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資料10(PDF形式:309KB)
資
料
10
電力設備電磁界対策ワーキンググループ
に対する市民団体等からの意見
電力設備電磁界対策ワーキンググループに対する意見
¾
9月28日(金)に開催された第3回電力設備電磁界対策ワーキンググループにおいて本年6月
に公表されたWHOのファクトシートNo322を受けて、超低周波磁界による人体への短期的
及び潜在的な長期的影響に対する対応について、市民団体等から意見を募集(募集期間10月3
日∼10月16日)。
¾
意見件数
合計16件
¾
意見概要(意見原文は別添参照)(カッコ内の数字は意見者番号)
1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
○ ICNIRPガイドライン規制値では不十分。
(1,11)
○ 規制対象は電力設備に限定せず環境保健基準(以下EHC)が対象とした「すべての電磁波発生
源」を対象とすべき。(1)
○ 一般公衆対象だけでなく、労働者対象の規制値、用心値の設定も導入すべき。(1)
○ 慢性的影響がEHCで科学的に示された以上は、ICNIRPのガイドライン自体を更新するべ
き。(2)
○ 規制値導入には賛成だが、値に不服。長時間過ごす所は、0.4マイクロテスラ以下に規制して
ほしい。(3)
○ 対象とする「超低周波磁界」の周波数帯の定義について明確にするべき。(4)
○ 医学的根拠があれば規制値は導入するべき。その際、根拠は明確に示すべき。(4)
○ 短期的曝露とは言え、影響は磁界強度と曝露時間で決まると考えられる。従って曝露時間との関
係(常時立入者、一時立入者等の区別を含む)を決めるべき。(4)
○ 短期的曝露による非熱効果の存在を指摘する研究者もおり、この点も考慮に入れるべき。(7)
○ 一義的に規制値を定めるのではなく、既設の改修時に適用する数値及び、新設時に設計上考慮す
べき数値に分けて設定すべき。(9)
○ 慢性影響については科学的証拠は不確かなので、規制値は時限的なものとして見直しの余地を明
記すべき。(9)
○ 急性影響とはどのような状態か具体的に明記すべき。(10)
○ これまで、ICNIRPのガイドラインをあたかも慢性影響へのガイドラインかのように専門家
が説明し混同していたので、急性影響と明記した上で規制値を提示すべき。(10,14)
○ 規制値を導入するのであれば、その値に対して曝露時間的な値をセットにして導入すべき。
(14)
○ ICNIRPの他に主だった国際的ガイドラインがないので、このガイドラインが適正かどうか
不明。(14)
資料10-1
2.超低周波磁界による人体への潜在的な長期的影響に対する対応
2−1)研究
○
ファクトシートの内容に賛成。
(4,9)
○
研究プログラムには段階を定め、期限ごとに結果を公表し、ガイドラインに反映すべき。(9)
○
交流磁界以外に、直流磁界に対する検討もすべき。(4)
○ 政府及び産業界だけでなく中立的な立場の研究者も参加した研究プログラムを推進すべき。
(2,5)
○ 疫学調査を行うべき。(5,6,7,8,10,14)
○ 電磁波過敏症の治療法等について研究すべき。
(6,7,8,10)
○ 全国の送電線からの電磁波測定を実施すべき。
(16)
○ 高圧送電線近くで白血病が多いと噂されている所は、政府は調査を行い国民に説明するべき。
(2)
○ 常時高電磁界曝露環境での就労者の実態と健康調査及び研究を行うべき。(10)
○ 妊娠期間中による曝露の実態調査及び研究をすべき。(10)
○ 電磁波曝露の時間的な累積量の計測調査を行うべき。(12)
○ 従来の大半の規制値は成人を基準としたものであり、それをそのまま妊婦や子供に適用すること
は問題。(12)
○ 胎児、新生児、乳幼児などの脆弱性の最新成果をふまえ、基準値づくりをすべき。(12)
○ 電力会社の研究は短期的曝露影響に関するものしかないので、長期的曝露影響に対しての研究を
すべき。(14)
○
各国で人体への危険値がことなるのはおかしい。日本で研究を行わないのであれば各国の研究デ
ータを研究するべき。(15)
2−2)コミュニケーション
○ 科学的・医学的根拠が曖昧なままで、設備計画プロセスにコミュニケーション・プログラムを導
入しても、調整・協議を促進させることは難しい。(4)
○ ファクトシートにある「超低周波電磁界を発する設備の計画プロセスに産業界、地方自治体、市
民との間の調整と協議を増進することを盛り込んでも良い」に賛成。
(2,5,6,9)
○ 相談窓口の設置、広く国民に情報提供できる体制をつくるべき。(5,6)
○ 審議会等の設置時は市民もメンバーとして入れ、オープンな議論を保障すべき。
(1,7,8)
○ 住民の要求を聞き、行政、業界、市民での協議の場を設けるべき。(2,10)
○ 新設時は住民に情報を開示し合意を得ること。
(10)
○ 国民が予防原則に沿った行動を個人レベルで行える程度の情報提供をすべき。(6)
○ 送電施設等からの磁場発生強度の公開を義務化すべき。(6,10,16)
○
現段階において、慢性影響に関する確立したガイドラインは存在しないことを明記すべき。
(10)
○
同ワーキンググループは電力会社の問題のある広報に対しては勧告すべき。
(12)
○
当時者の声を反映できるようなコミュニケーションをし、曝露当事者の不安を取り除くことを最
重要目的とすべき。(14)
○
EHCにある「国家当局は、すべての投資家が十分に情報を与えられた上で意志決定できるよう
資料10-2
に、効果的でオープンな情報戦略を実施すべきである。」そして「地方当局は、超低周波電磁場
を発生する施設の建設計画の立て方についてたとえば、主要な超低周波電磁場の発生源の位置を
決める際、産業界と地方行政と市民との間でより良い協議をはかるなど改善すべきである。
」が
実現されることを望む。
(13)
2−3)低費用対策
○ もし超低周波電磁界が病気の原因であることが将来的に立証された時に必要となる治癒費や対策
費に要する膨大なコストも考慮すべき。(1)
○ ファクトシートが低費用に限定していることに疑問あり。
(9)
○ 電力設備の新設あるいは設計変更の際は、0.4マイクロテスラ以上になる空間への立入禁止や
施設建設を禁止すべき。あるいは既設建造物がある場合は補償と占有者の含意にもとづく移転の
前提を認めるべき。また0.4マイクロテスラ以下であっても利害関係者の話し合いによる、意
志決定を保障すべき。(1)
○ 送電線と送電線との距離をできるだけ縮めるべき。(11)
○ どの事例にも有効な電線の接近設置を行うべき。(14)
○ 低費用な対策は既に実行されているとのことだが、どこにどれだけ実施されているのか、コスト、
採用方式、不採用になっている所の理由などについて公表すべき。(13)
○ 子供が長時間滞在する施設から高圧送電線などから回避すべき。(1,5)
○ 学校、病院周辺にある送電線を移設すべき。(6)
○ 子供や体の弱い住人の近くに電力設備を新設する際は、可能な限り低減策を行うことをルール化
すべき。(13)
○
公的機関等が学校や公共施設の電磁波発生量を計測し公表すべき。(1,10)
○ 国、自治体が電磁波測定器を購入し、貸し出し制度を設けるべき。(1)
その他の意見)
○ 0.4マイクロテスラ以下となるような規制をすべき。(1,2,8,14,15)
○ ファクトシートにある「恣意的に低い曝露限度の採用は是認されない」に賛成。
(4)
○ 当面は新規設備の設置の際には、0.3∼0.4マイクロテスラを規制値または、目標値として
採用すべき。
(8)
○ 慢性影響の視点に立った規制を行うべき。(11)
○ 医者の意見を参考にし「用心値」または「予防値」を設定すべき。(1)
○ 規制値導入時は、予防的観点から新設時の方が既設改修時よりも厳しい数値にすべき。また規制
値は時限的なものとして見直しの余地を明記するべき。(9)
○ 小さな行政区で環境アセスメントを実施してほしい。(3)
○
予防原則に則った対策が必要。
(6,8,13,14,16)
○
電力設備は家電製品と異なり、自ら曝露の選択を出来ない。よって既存、新設問わず電力会社は
対策を講じるべき。(14)
資料10-3
3.その他の意見
○ WHOの見解をファクトシートに限定せず、EHCをベースとして議論すべき。
(1,8,10,
15)
○ WHOのEHCNo238を分かりやすく周知してほしい。(10)
○ WHOは「0.3∼0.4マイクロテスラの小児白血病リスクはプール分析が多数に基づいてい
ることで得られた結果が偶然である確率は低いと思われる」と述べ、同ワーキンググループは疫
学のリスクが確定的になっていることを認めるべき。(13)
○ 「生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価に関する研究」
(平成11年∼13年度科学技術
振興調整費)の再評価をしてほしい。(11,13,14)
○
電磁波に敏感な人々がいることについて確認する必要があり、電磁波過敏症の専門家から本ワー
キンググループにおいてヒアリングをしてほしい。(8)
○
電力設備以外の電磁波発生源について、設計段階から電磁波を抑制するよう製造者に義務付ける
べき。(1)
○ 磁場の強いIHクッキングヒーターのCMを禁止すべき。
(5)
○ 業務用電磁調理器がICNIRPのガイドラインを越えることもあるので、早急な調査、対策を
望む。(12)
○ 家電製品の磁界強度、使用注意事項を表示すべき。(6,16)
○ 短期的視点ではなく、30年∼50年先を見据えた政策に切り替えるべき。(16)
資料10-4
(別
意見募集テーマ
1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
本年6月に公表されたWHOのファクトシートNo322 では、短期的な高レベルの磁界曝露に関連す
る健康影響は生物物理学的なメカニズムにより説明されており、ガイドラインの一つとして国際非電
離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドライン(100マイクロテスラ(50Hz)、83マ
イクロテスラ(60Hz))を採用するべきとある。ICNIRPのガイドラインを参考とした規制
値の導入の是非について御意見をお聞かせ下さい。
2.超低周波磁界による人体への潜在的な長期的影響に対する対応
下記2−1)∼3)のWHOのガイダンスの推奨事項について、我が国において、実効性のある電力
設備に係る磁界対策として、どのようなことができるか(2−1)∼3)について御意見のある事項
(全てでも可)について(2−3)についてはできるだけ具体的にコストについてお書き下さい))
お書き下さい。
WHOのファクトシートには「長期的影響に関しては、超低周波磁界への曝露と小児白血病との関連
についての証拠が弱いことから、曝露低減に健康上の便益があるかどうか不明。こうした状況から以
下の推奨を行う。」
とある。
2−1)研究
政府及び産業界は、超低周波電磁界曝露の健康影響に関する科学的証拠の不確かさを更に低減するた
め、科学を注視し、研究プログラムを推進すべき。
2−2)コミュニケーション
加盟各国には、情報を提示した上での意志決定を可能とするため、全ての利害関係者との効果的で開
かれたコミュニケーション・プログラムを構築することが奨励される。超低周波電磁界を発する設備
の計画プロセスに、産業界、地方自治体、市民との間の調整と協議を増進することを盛り込んでもよ
い。
2−3)低費用の対策
新たな設備を建設する、または新たな装置を設計する際には、曝露低減のための低費用の方法が探索
されることはよい。適切な曝露低減方策は、国ごとに異なるであろう。ただし、恣意的に低い曝露限
度の採用に基づく政策は是認されない。
資料10-5
添)
(意見者番号:1)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・意見内容
まず、はじめに意見を述べたいのは、今回の意見募集の方法です。「市民団体からの意見
の募集」をあらかじめこのようなテーマに限定して実施するのはいかがかと思います。ご
承知のようにWHO・EHCは「一般公衆・科学者・政府・業界のそれぞれが相互に情報
を有し、情報交換が可能」ならば、一般公衆の懸念は軽減される」とし「国家当局」は、
事前に情報提供されることですべての利害関係者による意志決定が可能になるよう、効果
的でオープンなコミュニケーション戦略を実行すべきだ」と述べています。私たちは10
年以上にわたって電磁波問題に対し取り組んできた「アドボカシー団体」です。行政当局
は狭量にならず、オープンな意見交換をできる場を設定すべきではないでしょうか。
「1」について
短期的な影響について「熱作用」を一つ基準とすることは一つの見識ですが、同時に電磁
波過敏症のように熱作用を起こすレベルよりはるかに低レベルで「短期的影響」が見られ
ることも配慮すべきです。したがって、ICNIRPのガイドライン規制値では不十分で、
「用心地」または「予防値」を設定すべきです。その際の値は電磁波過敏症患者を多数診
察している医者たちの意見を参考に設定すべきです。また規制対象は「電力設備」に限定
せず、EHCが対象とした「すべての電磁波発生源」を対象すべきです。とくに医療機器
のMRIなどはICNIRPのガイドラインの値すら超す可能性もありますから。さらに
EHCが指摘しているように、「一般公衆対象」だけでなく「労働者対象」の規制値、用
心値の設定も導入すべきです。
「2」について
WHOの見解を「ファクトシート」に限定するのは正当ではありません。WHOの国際E
MFプロジェクトはあくまで「環境保健基準」設定が主目的でした。したがってEHCを
ベースに論議すべきです。EHCは、電磁波の健康影響評価における相対的重要度は「ヒ
トを対象として研究」「長期的動物実験」「短期的動物実験」「細胞実験」の順であると
しています。EHCは電磁波(超低周波電磁界)の慢性影響における小児白血病症リスク
について「結局のところ因果関係を示すと見なされるほど証拠は不十分ではないが、懸念
が残る程度には十分な証拠がある」としています。しかも小児白血病症リスクが約2倍に
なる値は0、3∼0、4マイクロテスラ(3∼4ミリガウス)という低い磁場レベルです。
EHCが予防的アプローチについて再三普及しているのは「危険性が完全に証明されてか
らでは被害を防ぐことは難しい」という歴史から学んだ教訓を基礎にしていると考えるの
資料10-6
が妥当です。
以上の観点から以下提言します。
①
送電線・配電線・変圧器・変電所等の電力設備から出る磁場について0,4マイクロ
テスラ以下となるような法規制を検討する。「コスト」については「もし超低周波電磁界」
が小児白血病やそれ以外の病気の原因であることが将来的に立証されてから、必要となる
治癒費や対策費に要する膨大なコスト」も考慮すべきであり、狭量的視野による「コスト」
論で計算すべきではない。
②
電力設備の新設あるいは設計変圧器の変更の際は、0、4マイクロテスラ以上になる
空間への立ち入り禁止、施設建設禁止、あるいはすでに既設の建築物がある場合は、十分
な補償と占有者の合意にもとづく移転を前提とすること。またその値以下であっても計画
にあたっては、住民を含めた利害関係者相互の十分な話し合いと事前における情報提供に
よる意志決定の民主制を保障すること。(新規あるいは計画変更時は低コストで実現でき
るもっとふさわしい状況である)。
③
学校・幼稚園・保育園・病院・住宅など子どもたちが長時間移住・滞在する施設にお
いては電磁波曝露の回避を最重点とした施策を実行すること。
(子どもは社会の宝であり、次世代への特別な配慮は予防原則的観点からすればもっと
も低コストにつながる施策である)
④
電気器具・医療機器・交通機関なの電力設備以外の電磁波発生源について、設計段階
から電磁波発生を抑制するよう製造者に義務づけること。
(既存の機器については啓蒙活動を行い消費者に曝露低減の努力を呼びかけるが、これか
ら製造される機器については電磁波発生抑制を製造者側に義務付けていくことが低コスト
につながる)。
⑤
学校や公共施設の電磁波発生量を公的機関が計測し発表すること。また国や自治体が
電磁波測定器を購入用意し、市民・住民が自分の身の回りの電磁波を測定できるような貸
し出し制度を設けること。
⑥
国や自治体の審議会・委員会・ワーキンググループ等設置の際は、市民・住民・市民
団体もメンバーとして参加させ、オープンな論議を保障することがリスクコミュニケーシ
ョンの発展につながるので実行すること。「具体的コスト」について書くように指示され
ていますが、コストには経済的のみならず、政治的、社会学的、心理学的等の多面的要素
も加味されます。そのためにはそうした多方面の専門家の参加した「コスト計算部会」が
必要です。そうした仕掛けを行政が用意せずに、意見者側に「具体的コスト」を求めるの
は合理的ではありません。
資料10-7
(意見者番号:2)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
1回目意見(2回提出)
・意見募集テーマ番号
1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
・意見内容
私(事務局長)の友人の子どもが小児白血病で亡くなりました。公務員宿舎の裏を高圧線
が通っていて、葬儀の席で「高圧線の近くに白血病が多い」と話題になりました。もう30
年も前のことですが良く覚えています。
10年前には高圧送電線銀座の***で白血病が多発している事実が、***の町内会長
の調査で明らかにされ、テレビでも放映されました。10万人に3∼4人の発症率なのに、
少人数の町内に小児白血病が多発することそのものが異常です。この様な事例は、***変
電所に隣接した***地区でも同様で、最近この話題は全国各地からも聞こえてくるように
なってきました。
本来であれば、国が調査に乗り出すべきです。平成11年から平成13年に国立環境研究
所の兜真徳氏が行った国内初の疫学調査では、高圧線に近いほど小児白血病の発症率が高い
ことについても指摘されていますが、この研究結果についての政府の研究評価で「科学的な
根拠が不十分で、研究価値が低い」と最低の「C」評価が行なわれ、マスコミ報道にならず
葬り去られました。しかし、今回のEHCの中では兜論文が高く評価されています。
6月18日の全国各地の地方紙では、EHCが「小児白血病との関連 否定できず」と一面
トップで大きく報道され、「0.3∼0.4μT以上で小児白血病の発症率が2倍」と明示
されているため、国民の中ではこの数値が事実上の「安心」の目安になることは避けられな
いと思います。
以上により、「短期的影響」で確立されたICNIRPのガイドラインを参考とした規制
値の導入については、「潜在的な長期影響(慢性的影響)」がEHCで科学的に示された以
上は、ICNIRPのガイドライン自体を更新すべきで、既存のガイドラインの導入の是非
など問題外だと思います。
「潜在的な長期影響(慢性的影響)」の方が日本の現実に合致しており、この様な時期に
「短期的影響」のみのガイドラインの規制値の導入を云々すること自体が不自然です。「フ
ァクトシートNo322」がこれを推奨しているのであれば、企業に屈したWHOの姿を晒した
文書として、国際的に権威を失墜し、歴史的な汚点となりかねないことを危惧します。
今回の電力設備電磁界対策ワーキンググループには、国民の目線で安心が確認でき、生活
現場では0.4μT以下になるような規制値の導入を採用されるよう、人体への安全性を最
資料10-8
優先したきめ細かな予防策の策定を期待します。
2回目意見
・意見募集テーマ番号
2.超低周波磁界による人体への潜在的な長期的影響に対する対応
2−1)について
2−2)について
2−3)について
・意見内容
2−1)について:
この「科学的証拠の不確かさを更に低減するため」という意味か良く分かりません。
EMCに採用されている「小児白血病」が、人体への潜在的な長期的影響を示しています
が、日本では既に被害が出ていると認識すべきではないでしょうか。30年以上も前から「高
圧線近くで白血病が多い」という噂が明らかに存在してきました。
しかも現実に、高圧送電線銀座の***で白血病が多発している事実が、***の町内会
長の調査で明らかにされ、テレビでも放映され広く国民に知られています。また、***変
電所に隣接した***地区でも同様で、小児白血病が多発しています。
このような現実にこそ目を向けて、もしこの認識が誤りと言われるのであれば政府は速や
かに調査研究を行い国民に説明すべきです。国民の不安に応える公平中立な研究プログラム
を推進すべきと思います。
2−2)について:
この「コミュニケーション」の分野では、我が国は世界で後進国になっています。
実際、変電所建設や高圧送電線の敷設では、市民は協議の対象外で、自治体も調整機能を
持たされておらず、電力会社などの横暴には市民は泣かされてきました。
この様な中で、私たちは情報公開とともに、この課題をこれまでも強く要望してきました。
「電磁界を発する設備の計画プロセスに、産業界、地方自治体、市民との間の調整と協議を
増進することを盛り込む」問題は、本来当たり前のこととして実現すべき課題です。
2−3)について:
「2−1)」で述べたようにEMCで指摘されている「小児白血病」が日本では既に被害
が出ています。これまでの公害事件の教訓からも、この認識は必要だと思います。
また、今回の曝露低減の目的は、「小児白血病との関連 否定できず」というEMCに基づ
くもので、しかも「0.3∼0.4μT以上で小児白血病の発症率が2倍」という数値も発
表されています。国民の中ではこの数値が事実上の「安心」の目安になることは避けられま
せん。既に「岩手日報」で報道されたように保育園移転ではこの目安が使われています。
このことから国民が求める曝露低減の要求は、生活現場でこの数値以下となることは自然
の成り行きです。新たな設備を建設する、または新たな装置を設計する際には、曝露低減方
策は、国ごとに異なるのですから、国民の不安解消のためにも生活現場にはこの目安以下と
なるよう配慮すべきです。
このためにも、個々の対象現場で、コミュニケーションを通じて時間を掛けて住民の要求
を聞き、自治体が調整役を果たせる協議の場を設けることで、低費用の方策についてもルー
資料10-9
ル化は可能と考えます。
もしこれらの要求を「恣意的に低い曝露限度の採用に基づく政策は是認されない」として
機械的に葬り去れば、国民の健康や人命を軽視している政府の姿勢が浮き彫りにされること
は避けられないと思います。
資料10-10
(意見者番号:3)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
2−2)に賛成し,市民の立場で意見を書かせて頂きます。
ただ、この意見募集も非常に目に付きにくく、形ばかりの意見募集にような印象を受け
ました。
・意見募集テーマ番号1について、意見内容
規制値の導入には賛成だが、値が不服。長い時間過ごす住宅地等の周辺に於いては、
0.4マイクロテスラ以下に規制して欲しい。送電線の近くとそうでない住宅地とでは
差があるから。うちの2階にある子ども部屋の値が、この値を超している。この部屋で
長い時間を過ごすと、鼻血が出る・アトピーがひどくなる等の症状が出る。住宅地等人
が長い時間過ごす場所の中を通過せざるを得ない送電線については、漏洩を防ぐような
対策を望む。どの地点で測定するのかにもよるが、地上1mで0.4マイクロテスラで
も、住宅の2階では1マイクロテスラを超える家庭もある。電磁波を環境に影響を与え
る因子として認め、小さな行政区で環境アセスメントを行って欲しい。
・意見募集テーマ2について、意見内容
実際体調がすぐれない方が出ている以上、現時点の状態で使い続けるのはやめて欲し
い。電磁波に関しては、環境問題対策の歴史上、有機水銀を垂れ流し続けた水俣病発症
の頃と変わっていない。環境へ影響がある因子として何故認めないのか。社会技術論等
を参考にして欲しい。日本の未来を明るいものにしたいなら、企業に遠慮せず、ヨーロ
ッパ並に規制をかけて欲しい。子どもたちの異変が警告している。電磁波を環境に影響
を与える因子として認め、小さな行政区で環境アセスメントを行うことを望む。
資料10-11
(意見者番号:4)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・意見募集テーマ番号
「1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応」に対する意見
・意見内容
① 対象とする「超低周波磁界」の定義について明確にすべきであります。(例えば、超低
周波とは、50∼100Hzの領域とするとか、明示していただきたい。)
② 医学的根拠があれば規制値は導入すべきです。しかし、医学的根拠が明確でないまま
導入すると混乱を招くので、合理的・客観的な根拠を明示していただくように御願いし
ます。
③ 短期的な暴露とは言え、影響は磁界強度と暴露時間で決まると考えられます。従って、
規制値を設けるのであれば、暴露時間との関係(常時立入者、一時立入者等の区別を
含む)を決める必要があります。
・意見募集テーマ番号
「2.超低周波磁界による人体への潜在的な長期的影響に対する対応」に対する意見
・意見内容
2-1) 科学的・医学的根拠に関する研究プログラムを推進することに賛成です。尚、交
流磁界以外に、直流磁界に対する検討もして頂きたいと思います。
2-2) 科学的・医学的根拠が曖昧なままで、設備計画プロセスにコミュニケーション・
プログラムを導入しても、調整・協議が増進し難いと思います。
2-3)「暴露低減のための低費用の方法が探索されることはよい。恣意的に低い暴露限度
の採用に基づく政策は是認されない。」という方針に賛成です。
以上、よろしくご検討のほど、お願いいたします。
資料10-12
(意見者番号:5)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・意見募集テーマ番号
1, 2-1, 2-2, 2-3
・意見内容
1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
ICNIRPのガイドラインは、短期的(急性的)な高レベルの磁界暴露に関連する規制値で
すが、長期的(慢性的)なレベルについての論議がなされていません。
我が国においては、国立環境研究所の疫学調査結果や北里研究所病院の電磁波過敏症に関す
る報告が長期的レベルのものであると考えられます。WG のメンバーから これらの研究者を除
外したことは、当初から長期的なレベルでの影響のみを議論し、ICNIRPのガイドライ
ンを採用しようとする計画であったと疑わざるを得ません。従いまして、人体への短期的な
影響だけでなく、長期的な影響も議論すべく中立的な立場での研究者の参加も含め、公平に
判断ができる WG のメンバーに再編し、期間を延長して議論を尽くすべきと考えます。
従いまして、ICNIRPのガイドラインの採用には反対します。
2-1) 研究
海外では電磁波は電磁スモッグとも言い、環境問題として考えています。
我が国の環境問題は、科学的根拠を優先し予防原則を軽視した結果これまで多くの公害問題
を引き起こし、多大な悲劇をもたらしてきました。環境問題に関しては EU のように疫学調査
を主体にするべきです。電力会社は、独自で実施した生物学的実験研究の結果、磁界の強さ
は最大 5,000μT でも安全とのパンフレットを配布し、電気機器の販売業者は IH クッキング
ヒーターの販売用にパンフレットを添付し「IH は安全」とアピールしています。WHO のファ
クトシートは、100μT レベルで人体への短期的な影響を認めていますが、電力会社の研究結
果はそれを否定するものとも解釈できます。このように利害関係が絡む団体の報告は、常に
安全性を証明するための研究ばかりで、国民の不信感はいつまでたっても払拭できません。
従いまして、政府及び産業界だけでなく(1)で述べました中立的な立場の研究者も多数参加し
た研究プログラムを推進するべきと考えます。
2−2)コミュニケーション
「超低周波電磁界を発する設備の計画プロセスに、産業界、地方自治体、市民との間の調整
と協議を増進することを盛り込んでもよい」は当然のことと支持します。WHO は、電磁波過敏
症の発症原因が電磁波に因るものかどうかは不明としながらも電磁波過敏症という症状は認
めています。これらの疾病者は年々増え続けており、0.01μT(0.1mG)以下の曝露でも体調の
資料10-13
異変を訴えています。できれば経済産業省に「電磁界相談窓口」を開設し、現実に電磁波の
影響を受けて苦しんでいる人々の生の声に耳を傾け、相談に応じて下さい。多くの市民団体
は、日夜そのような人々の相談に追われています。先ず電磁波の影響を受けていると感じる
人々の声も参考にし、苦しみを緩和する方向で設備計画をして欲しいと思います。
2−3)低費用の対策
日本は狭い国土に住宅が密集し、欧米人が最初に驚くのは住宅の傍や上空に高圧送電線が所
構わず走っていることです。日本は世界から環境後進国と言われていますが、その象徴のよ
うな高圧送電線を住宅地・学校・病院等の施設から遠ざけることが重要です。そのための費
用は、これまで世界の常識を無視し、無計画に高圧送電線を架設してきた電力業界の責任に
おいて低費用の対策を考えるべきです。
また家電製品の中で、最も強い磁場が発生する IH クッキングヒーターのテレビ CM を禁止す
る等、一定の規制をするべきと考えます。環境問題には「予防原則」を適用するべきです。
資料10-14
(意見者番号:6)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・意見募集テーマ1.超低周波磁場による人体への短期的な影響に対する対応
人体への影響については、短期のみでなく長期の曝露についても議論を行うべきと考えま
す。高圧送電線周辺やオール電化住宅に暮らす住民などは、日常的に長期間曝露してしま
う環境にあり、そのような環境に暮らす人々は日々増え続けていると思われるからです。
国立環境研究所の疫学調査では長期レベルの影響が報告されており、人体への影響の可能
性が完全に否定できない以上、予防原則の考えにのっとった慎重な対応が必要であると考
えます。従って、4回の議論で早急に現在のICNIRPのガイドライン採用には反対で
す。期間を延長し、WGの構成員も再編追加等行い、議論を深める必要があると考えます。
・意見募集テーマ2-1.研究
科学的根拠を探究すると同時に、疫学調査の実施を再度行うべきであると考えます。また、
電磁波過敏症の方々に対する治療方法についても平行して研究がされるべきと考えます。
・意見募集テーマ2-2.コミュニケーション
「産業界、地方自治体、市民との間の調整と協議を増進することについては、賛成です。
様々な立場の方の意見を取り上げて頂きたいと考えます。また、磁場の影響についての情
報が、一般市民では入手しづらく、内容が難しい面もあるため、専門の窓口を設置して頂
き、海外の情報等広く国民に提供できる体制と、磁場に敏感な方(過敏症)や感心の高い
方のために、送電施設や家電製品からどのくらいの磁場が発生しているのか、個別表示の
義務を希望します。国民に予防原則に添った行動が個人レベルで行える程度の情報提供が
必要と考えます。そして、各省庁が連携をとってこの問題に取組んでもらいたいと思いま
す。
・意見募集テーマ2-3.低費用の対策
まずは学校、病院周辺(大人より子供、胎児への影響が懸念されるため)での送電線の移
設が必要だと考えます。それと、前述した磁場の強度を距離別に表示をすれば、曝露軽減
の個別対策が可能だと考えます。
資料10-15
(意見者番号:7)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・意見募集テーマ番号 1 超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
・意見内容
ICNIRPのガイドラインは、強いレベルの電磁波に短期間被爆した場合の熱効果のみを考
慮したもので、参考にするのは問題があると考えます。
1999年にWHO EMFプロジェクトが発表したファクトシート226では、10GHz以下の電磁波に
ついて「被爆した人に健康影響が起きるには、最低でもSAE値4W/kgが必要」と述べていま
した。しかし、2004年に報告されたEUのREFLEX報告では、SAR値0.3∼2W/kgの時、DNA損
傷が有意に増加した、とあります。低周波電磁波についても、研究が進むにつれて、さら
に生体影響が明らかになり、より弱い電磁波でも健康影響が発生することが明らかになる
可能性があります。ニュージーランドの***博士やアメリカの***医師のように、被
曝影響は体内に蓄積するので、しきい値は存在しないと主張している研究者も存在します。
また、かつては熱効果しかないと考えられていましたが、今では非熱効果の存在を指摘す
る研究が多数報告されています。新たに規正や対策を考える際は、これらの点も考慮する
べきです。
当会は電磁波過敏症、化学物質過敏症を発症した人へ治療や症状改善に役立つ情報を提
供し、症例を集めています。会員の中には、職場環境が原因で発症した人もおり、短期間
の被曝であっても深刻な影響が発生する点は見逃せません。
たとえば、IT関連の職場で発症したプログラマーの20代男性は、電磁波過敏症と診断さ
れましたが、職場の理解を得られず、退職に追い込まれました。一度発症すると、蛍光灯、
交通機関のエンジンなどから発生する電磁波、周囲の人が使う携帯電話、送電線や室内配
線、パソコン、家電製品、電子レンジなどあらゆる電磁波に反応し、頭痛やめまい、吐き
気、睡眠障害、食欲低下、記憶力・集中力の低下などさまざまな症状に悩まされます。
電磁波過敏症になり、働けなくなっただけでなく、日常生活にも支障をきたしている人
は少なくありません。重症患者の中には、太陽の紫外線にも反応し、日中外出するのが難
しい人もいます。屋外から侵入する電磁波を避けるため、窓を金属で覆い、ロウソクで生
活しているひともいます。病気になっても、院内の蛍光灯や医療機器などに反応するため
医師の診断を受けられない人や、腫瘍の除去を勧められているのに必要な治療を受けられ
ない人もいます。レントゲン撮影で、どうきやめまいに襲われ、MRIで数日間寝込むほど体
調を崩す人もいます。電磁波過敏症を発症した子どもは、通学することができず、友達と
遊ぶこともできません。
WHOはファクトシート296で、電磁波過敏症と被曝の因果関係は明らかになっていないと
資料10-16
述べていますが、環境医学センター
ダラス(EHC-D)の***博士に訊ねると、「電磁波
過敏症かどうかを医学的検査で診断することは可能」で、WHOの見解について「彼らは間違
っている」と言われました。現時点で、「因果関係が明らかになっていない」ということ
は、「因果関係が存在しない」という証明にはなりません。新しく発見された病気で、原
因がわからないものは、「精神的なもの」と判断されてきたことを忘れてはいけません。
「わからない」という事実があるからこそ、予防的対策が必要になるはずです。
ベルン大学(スイス)が一般開業医を対象に行った調査でも、69%の医師が「電磁波が
原因と思われる診察を、少なくとも一回以上は経験」しており、10年以上開業している医
師の50%は、「電磁は関連の診療が増えている」と答え、61%の医師が「日常生活で発生す
る電磁波への被曝は、症状を引き起こす」と考えています。
電磁波過敏症になった場合、被曝をできるだけ避けるよう医師に指示されますが、今の
日本では、どこに行っても電磁波があふれ、避ける事は困難ですし、社会的にも十分認知
されず、医師でさえ、この病気を知らない人がいます。患者の中には、家族にも理解され
ず、症状を改善する見込みがないことに絶望し、真剣に死を考える人もいます。
電磁波過敏症は世界的に増加しており、2017年には総人口の50%が発症するという予測
もあります(***ら、2006)。スウェーデンで1991年に行われた調査では、電磁波過敏症
と推定される人の割合は、0.06%でしたが、99年の調査では1.5%に、2004年の調査では9%
に増えています。スウェーデンでは、電磁波過敏症を身体障害の一つとして認めており、
発症しても働き続ける事が出来るよう、職場の蛍光灯を白熱灯に変えたり、電磁波の少な
いコンピューターに変えたり、コードレス電話を外す等の対策を雇用主に指示し、発症者
の住居の電磁波対策を行い、被曝量を減らしています。
ストックホルム市で障害問題を担当している***さんは、「スウェーデン国内で電磁
波過敏症を発症している人は25∼30万人いる。電磁波過敏症の問題を真剣に受け止めない
と、より多くの人に影響が出るかもしれない。真剣に対処しないのは、経済的でも賢明で
もない。何よりも非人道的だ」と述べています。
もしも、電磁波過敏症患者が人口の50%を超えることになれば、生活保護を受ける人が急
増し、社会保障精度は破綻し、経済にも深刻な影響を与えるでしょう。欧州環境庁(EE
A)のリポートによると、オランダでアスベストと中皮種の因果関係が認められるように
なった1965年に、アスベストの使用を禁止していれば、同国内で3万4000人の健康被害を防
ぎ、建物と人的賠償約2兆5000億円の節減になったという試算もあります。
国民の健康を守るために、規制値は慎重に設定するべきです。電磁波過敏症の治療方法
を解明するための研究、電力施設など電磁波発生源周辺での疫学調査も実施する必要があ
ります。最近の研究報告を参照し、より安全なレベルの値を採用し、被曝量を低減してく
ださい。その際、電磁波過敏症の研究を行っている***大学研究所の***医師や**
*医師、長年にわたって電磁波の健康影響を指摘してきた***研究所の***先生、電
磁波問題に関わってきた市民団体を検討会のメンバーに加えてください。
利害関係者を協議に加えるのは海外では常識であり、日本の現状は立ち後れていると言
わざるをえません。2006年にイギリス健康保護庁が設置した、電磁波の予防的対策を考え
る検討会「EMF-DG」には、政府や業界団体だけでなく、携帯電話基地局設置後、乳がんを
発症し、電磁波のリスクを啓蒙する市民団体の代表や、電磁波過敏症の患者団体も含まれ
ています。
資料10-17
(意見者番号:8)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・意見募集テーマ番号
2について
・意見内容
2−1)研究
研究プログラムの推進には賛成します。とりわけ、人を対象とした研究、すなわち、
疫学調査や、電磁波過敏症についての研究等を推進すべきと考えます。
人の健康について調べるのですから、人を対象とした研究がもっとも重要であると、
国際機関は考えているとのことです。このことについては、たとえば、以下のように紹
介されています。
「電磁界が人体において発がんの原因であることを断定するために、動物実験による
確認は必要条件ではないのである。これは、世界保健機関の傘下の国際がん研究機関(I
ARC)により取り決められている。」「「『ある特定の物質が人体に対して発がん性
を示すかどうか?』という問いに対する、間接的というよりむしろ直接的な答えは、疫
学的方法論を使った人体に関する研究からのみ得られ、疫学は症例報告もしくは統計を
用いた探索的な研究結果や動物実験結果に動機づけられて行われる」(IARCが1990
年に出版したがんの原因に関する本から引用)のである」(津田敏秀・岡山大学教授『市民の
ための疫学入門』(緑風出版)176∼181頁)。
世界保健機関(WHO)による今回の環境保健基準(EHC)も同様であり、「ヒト
の健康リスク評価においては、入手可能な場合はいつでも、ヒトに関する妥当なデータ
の方が、一般的に動物データよりも有益である。動物およびin vitro研究は、ヒトでの
研究からの証拠を裏付けること、ヒトでの研究による証拠のデータのギャップを埋める
こと、あるいはヒトでの研究からの証拠が不十分または証拠がない場合にリスクについ
ての判断を行うために用いることができる。」(1.1.11 健康リスク評価)と述べていま
す。
日本においては、国立環境研究所の兜氏が中心になり、優れた疫学調査が行われまし
た。しかし、この調査は、文部科学省による不当な介入により打ち切られました(この
経緯については、朝日新聞の松本健造記者の著書『告発・電磁波公害』(緑風出版)をご覧く
ださい)。
科学とは関係ない政治的な経緯で打ち切られた研究の流れを回復することが必要で
あり、疫学研究の継続・拡充を求めます。
また、電磁波過敏症を発症している方々は、電磁波によって直接苦痛を受けていると
資料10-18
いう意味で、電磁波の規制問題について、もっとも切実な当事者です。
私たちの生活環境においては、さまざまな人工電磁波が発生しているため、発症者は
さまざまな生活場面において症状を引き起こされています。電磁波過敏症は現在のとこ
ろ即効的な治療法がありません。さらに、この病気について一般に知られておらず、発
症者の家族や友人等からさえ「気のせい」と言われるなど理解や協力を得られずらい場
合も多いという事情もあります。すなわち、電磁波過敏症の発症者は、いつ終わるとも
しれない不断の苦痛の中に、たった一人で放置されているようなものなのです。
WHOは、ファクトシートにおいて、電磁波過敏症の存在自体は認めていますが、電
磁波曝露と症状の因果関係については認めていません。
しかし、電磁波曝露との因果関係を示した研究は、これまで国内でも行われています。
因果関係の不明確さを減らすための研究、および、電磁波過敏症の治療診断のための研
究を拡充させる必要があります。
2−2)コミュニケーション
いわゆる「リスクコミュニケーション」とは、「環境リスクなどの(略)情報を、市
民、産業、行政等のすべてのものが共有し、意見交換などを通じて意思疎通と相互理解
を図ることをいいます」(環境省のウェブサイト http://www.env.go.jp/chemi/communicati
on/9.html)と言われています。
つまり、専門家、行政等が「正しい」と考えることを市民に対して一方的に 教え諭
す ことを「コミュニケーション」というのではありません。講演会の開催等は「広報
活動」ではあっても、コミュニケーションではありません。
また、専門家、行政のみによって政策を決定しても、その決定は市民には信用されず、
結果として市民の電磁波に対する不安は解消されません。
英国では、政府が2004年、40団体をメンバーとする「超低周波電磁波に関する
利害関係者助言グループ(SAGE)」を設置しました。電磁波のリスクについて、国
と産業界、国民の間で情報を共有し、話し合うのがねらいで、保健省や電力会社、家電
業界団体のほか、小児がん患者の会や高圧線建設反対の住民団体も加わり、送電線と建
物の距離はどれくらい離すべきか、電磁波を減らす技術的手段はあるのかなどを議論し
ました(『読売新聞』2006年11月11日)。
もちろん、異なる立場の人たちのコミュニケーションは、初めから順調にはいかない
でしょう。しかし、お互いの意見をぶつけあい、違いを認め合うことを出発点にしなけ
れば、真のコミュニケーションは成り立ち得ません。コミュニケーションには「信用」
が必要だと、本ワーキンググループの第3回会合で発言がありましたが、「信用」は初
めから存在するものではなく、コミュニケーションの中で参加者の努力により作り育て
ていくものでしょう(逆に、初めから信頼し合っている者たちしか参加しないのであれば、そ
れはリスクコミュニケーションの定義にはあてはまらない可能性が大であると言えます)。
日本においても、専門家、行政のみならず、電磁波の安全性について異なる見解を持
つ専門家、消費者、電磁波問題に取り組んできた市民団体、電磁波過敏症の医師や発症
者等も参加したコミュニケーションにより、政策が決定されるべきと考えます。
2−3)低費用の対策
本ワーキンググループでは「WHOの見解はファクトシートであり、EHCではない」
旨の説明がありました。しかし、研究グループがまとめたEHCについて軽視すべきで
はありません。
資料10-19
超低周波磁界と小児白血病との因果関係について、EHCは「証拠は因果関係ありと
するには十分強固ではないものの、懸念を抱き続けるには十分強固である。」(1.1.11
健康リスク評価)と述べています。つまり、市民が抱く不安には根拠があります。漠然
とした根拠がない不安ではありません。
この根拠がある不安への対策として、これまでの疫学調査結果が示した0.3∼0.
4μTを、規制値、または目標値等として採用することには理由があり、その国の国民
が同意すれば是認されるべきです。
WHOがファクトシートで「恣意的に(任意の)低い曝露限度の採用に基づく政策は
是認されない」と述べていますが、WHOが主権国家の より安全側の 政策に対して
「是認されない」と言うべき権原が不明です。一方でWHOは、EHCにおいて「なん
らかの予防的措置は正当化される」(12.6結論)と述べており、市民の安全を重視する
のであれば、予防的措置を講じるべきと考えます。
しかし、費用その他の事情を考慮すれば、既存設備のすべてをただちにこの値にする
ことは不可能であるため、当面は新規設置の場合は、この数値を規制値、または法的に
義務づけることが難しいならば目標値等として採用すべきと考えます。
また、既存の設備については、この値に向けた低減について計画的に取り組むべきで
す。
関連が疑われている病気が小児白血病であることを考えれば、保育園、幼稚園、学校
をはじめ、病院、住宅等、子どもが長時間滞在する場所について、優先的に取り組むべ
きです。
さらに、電磁波過敏症の発症者が電力設備からの電磁波によって体調不良となってい
る場合には、対策が必要です。発症者は、反応する電磁波の周波数や、反応する強さな
どについて、個人差がありますので、その対策も発症者に応じたものになり、また、電
力設備設置者側の対策にも自ずと限界があることから、一律の規制を定めることは困難
です。
ただし、電磁波に特に敏感な方々がいることについて、本ワーキンググループで確認
することは必要です。
同様の例として、いわゆるシックハウス問題で、厚生省(当時)の「快適で健康的な
住宅に関する検討会議健康住宅関連基準策定専門部会化学物質小委員会」は、その報告
書(1997年6月。http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0906/h0613-2.html)で、化学物質ホ
ルムアルデヒドの室内濃度指針値を「0.1mg/m3以下」とすることが適当であると答申し
ましたが、さらに微量の化学物質に反応する化学物質過敏症発症者の存在等を念頭に
「しかしながら、さらに低い濃度暴露レベルでもホルムアルデヒド臭を感じる人もいる
ことに留意する必要がある。」と、報告書に明記しました(同報告書は、化学物質過敏症
について「化学物質過敏症と室内空気中の化学物質の関係については現時点における定量的な
評価は困難であるが、その存在を否定することはできない」と位置づけていました)。
電磁波についても、一律の規制により、特に敏感な方々に重大な不利益を与えないよ
う、本ワーキンググループで認識の確認をしていただくよう求めます。
なお、電磁波過敏症については、***研究所病院の***センターにおいて、世界
でも最先端レベルの研究および診療に取り組んでいることから、本ワーキンググループ
において、同センターの医師(***先生、***先生、または***先生)からのヒ
アリングを行うよう求めます。
資料10-20
(意見者番号:9)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・
意見募集テーマ番号
1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
・意見内容
1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドライン(100マイクロテスラ
(50Hz)
、83マイクロテスラ(60Hz)
)を参考とした規制値の導入は、短期間
の検討成果としては已むを得ない部分があり、早期に結論を出されたことを高く評価い
たします。
しかしながら、此処に至る過程では利害の異なる委員から異なった意見が出されことは
想像に難くなく、特に既設設備を規制値に適合するように改修する費用を勘案して妥協
された面もあると思うので、一義的に規制値を定めるのではなく、①既設の設備を改修
すべき数値と、②予防的観点から新設設備で設計上考慮すべき数値に分けた設定が望ま
しいと考えます。
また、第2項にあるように、超低周波電磁界曝露の健康影響に関する科学的証拠には不
確かさがあるので、導入される規制値は時限的なものとして近い将来の見直しの余地を
明記されるよう要望いたします。
2.超低周波磁界による人体への潜在的な長期的影響に対する対応
・意見内容
2−1)研究について
「政府及び産業界は、超低周波電磁界曝露の健康影響に関する科学的証拠の不確かさを
更に低減するため、科学を注視し、研究プログラムを推進すべきである」とする見解に
同感です。
このプログラムには何段階かの期限を定め、期限ごとに結果を公表してガイドラインに
反映させるようにしていただきたいと存じます。
2−2)コミュニケーション
「情報を提示した上での意志決定を可能とするため、全ての利害関係者との効果的で開
かれたコミュニケーション・プログラムを構築することが奨励される。超低周波電磁界
を発する設備の計画プロセスに、産業界、地方自治体、市民との間の調整と協議を増進
することを盛り込んでもよい」にも同感で、むしろ「産業界、地方自治体、市民との間
の調整と協議を増進すべきである」と表現していただきたいと存じます。
資料10-21
2−3)低費用の対策
「新たな設備を建設する、または新たな装置を設計する際には、曝露低減のための低費
用の方法が探索されることはよい。適切な曝露低減方策は、国ごとに異なるであろう。
ただし、恣意的に低い曝露限度の採用に基づく政策は是認されない」ことも基本的には
同感ですが、なぜ「低費用」と限定されるのかは疑問に思っています。
新設設備で設計上考慮すべき数値は、予防的観点から既設設備の改修目標値よりも厳し
く設定されるのが望ましいと考えます。また、超低周波電磁界曝露の健康影響に関する
科学的証拠には不確かさがあるので、導入される規制値は時限的なものとして近い将来
の見直しの余地を明記されるよう要望いたします。
以上
追伸
当委員会の立場
当地に***万V変電所新設の計画があり、***電力から7月に住民への説明会があり
ましたが、私たちは6/18付け日本経済新聞の記事などにより「低周波電磁波と小児白血病
との直接の因果関係は認められないが関連は否定できず、予防的な対策が必要」と知って
情報を集め、地区の臨時総会の決定で10名の対策委員会を立ち上げて***電力と折衝中
です。
私達は電力会社の供給責任の立場は十分に理解しており、電力の利便性の恩恵にも浴し
ていますが、例えば小児白血病への懸念については50年先・100年先の孫・曾孫・玄孫の代
まで見通した地区の安全と安心を考慮した変電所の立地や送電線ルートの計画を求めてい
るのに対して、***電力側はWHO勧告の前半だけを取り上げて「安全」を主張するので平
行線を辿っています。
資料10-22
(意見者番号:10)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
最初に、WHO新環境保健基準(EHC238)【2007年6月18日発表】に基づいて、
意見を提出致します。
WHO発表のEHC238は、超低周波電磁界の慢性健康影響については小児白血病における疫学調
査結果を支持し、不確かな部分があるとして予防対応をとることを各国に勧告した内容で
す。今回の経済産業省での電磁界対策ワーキンググループの設置及び意見募集もその勧告
を実施されたものと受け止めております。
EHC238で勧告された予防対応策としては、低コストでかつ最大限の効果を得られる具体的
な方法の選択も推奨しております。以下にその方法案の1例として列挙いたします。
1:WHOの発表した新環境保健基準(EHC238)の内容に恣意的操作を加えず、一般の人にも
わかりやすい内容で広く周知してください。そうすれば個人が自ら判断し曝露量低減のた
めの行動が取れるようなります。
2:国、政策立案者、行政当局及び関係業界は 従来の方針にとらわれず EHC238で推奨
されている予防対策を実施してください。
根本的にはこの2点に尽きると思います。
1:周知について
これまで混同されてきた電磁界についての誤った解釈を整理し、今回のWHOの発表で明らか
になった情報を提供することで、一般大衆の不安を払拭し正しい理解を導くことが出来ま
す。今後の混乱、不要な曝露を避ける意味でも必要と考えます。
急性影響についての情報提供
・ ICNIRPのガイドラインは急性影響についてのみのガイドラインであること、
この場合の急性影響とはどのような状態なのかを具体的に明記する。
慢性影響についての情報提供
・ 小児白血病についての疫学調査結果について
0,3 0,4マイクロテスラの超低周波電磁界環境では小児白血病の発症率が上昇する結
果であった。現段階では確立したガイドラインは存在していないことを明記する。
・1章1・12
防護対策についても紹介されれば、具体策がとられることで不要な不安
を取り除くことが出来ます。
2:予防対応について
・ すでに海外では具体的な対策が取られていることはメディアを通じても紹介され、対
資料10-23
策の点において海外に遅れていると市民は認識しています。これまでの市民の不信感
を払拭するためにも、誠意を持って具体的な対策を講ずることが、将来的にも低コス
トで最大の効果を得る手段であると考えられます。
・意見募集テーマ番号:1(短期的影響に対する対応)について
意見内容
上記いたしましたように、ICNIRPの国際ガイドラインは短期的な急性影響に関しての
ガイドラインに過ぎません。これまであたかも慢性影響へのガイドラインかのように専
門家が説明することで、混同を生じておりました。また、これまで低周波電磁界の高曝
露環境での就労者においては、ガイドラインも適用されていなかったことを考えると、
「急性影響」と明記した上急性影響に限ってのガイドラインとして提示する必要はある
と考えます。
・意見募集テーマ番号:2(長期的影響に対する対応)について
意見内容
慢性影響の存在については不確実な段階ですから、「現段階で可能な限りの低周波電
磁界の曝露低減に努める」として、EHC238でも推奨されていますようにまずは全ての
発生源からの電磁界の測定と情報公開を義務づけることが必要と考えます。(高圧送電
線にしても、不安が先行し測定すると低い場合もあります。また、知らずに高曝露に曝
されている場合もあります。現実に電磁波過敏症が存在することは認められています。
いずれ責任追及されることはまぬがれないことでありますから、今の段階で明らかにし
対策を講ずるべきではないでしょうか)
<具体策>
1・実態調査
優先順位を決めて重点的に実施する。
・ 小児期(胎児期も含む)、就学期など
疫学調査においても小児期への影響が認められました。
・ 溶接、交通機関などの常時高電磁界曝露環境での就労者の実態と健康調査
・ 電磁波過敏症の実態
・ 一般環境・一般労働環境など、特に妊娠期間の曝露は要注意
など
2・実態調査に基づいた研究の推進
3・一般個人が曝露を軽減するために必要な情報の提供
【例】電化製品等の使用時に電磁界を発生するものについては、製品に使用時の暴露
量の記載を義務づける。また公共交通機関等から発生する電磁界についても公開するな
ど。
4・作業においての曝露量低減方法について具体的に指導する。
5・新設、既設に限らず超低周波電磁界を発する設備について、市民が電磁界曝露量等
についての情報を求めたときは開示し、必要に応じて行政、業界、市民で最善の方法に
ついて協議しあう。
6・新設の場合は、地域住民に情報を開示し住民の同意を得ること。
資料10-24
以上、言葉足らずではありますが思いつくまま方法の1例案として、意見を提出させてい
ただきます。
最後に、ご承知のことと思いますが、2006年8月30日に開催されたアスベストの小委員会
(経産省化学物質政策基本問題小委員会)においての事務局のご回答をご紹介いたします。
事務局はアスベスト問題に関する環境閣僚会議会合資料(2005年9月20日)を引き合いにし、
「検証結果全体としては、それぞれの時点で当時の科学的知見に応じて関係省庁による対
応がなされており、行政の不作為があったということは出来ないが、当時においては予防
的アプローチ(完全な科学的確実性がなくても深刻な被害をもたらすおそれがある場合に
は対策を遅らせてはならないという考え方)が十分認識されていなかったという事情に加
えて、個別には関係省庁の連携が必ずしも十分ではなかった等の反省すべき点もみられ
た。」と述べておられます。
どうぞ、国民の福祉を守るという行政の基本的役割において、国民が安心して生活
できるように、国民の利益を尊重した対応策を講じていただくことをここにお願するもの
であります。
資料10-25
(意見者番号:11)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
[団体名及び会員数]
[住 所]
[電話番号]
[FAX番号]
[電子メールアドレス]
[御意見]
・意見募集テーマ番号
1について
・意見内容
国際非電離放射線防護委員会のガイドラインを参考とした規制値の導入について、反対
です。
その理由は、本年6月のWHOの勧告を受けて、諸外国は、現状より更に厳しい磁界規
制を採用するだろうと言われています。日本が初の磁界規制を設けるにあたり、諸外国の
新しい規制を参考にして決めることが、WHOの勧告を尊重することになると考えます。
今回は電力設備に限定した磁界規制ということですが、その設備のほとんどは、日本全
土に張り巡らされ、農地や林地、宅地の上を走る送電線です。その送電線の真下や周辺で
働き、暮らす農家にとって、短期的な被曝の視点からのみの磁界規制は、現実を全く無視
したものです。農家にとって、むしろ慢性的・長期的な被曝の視点に立って、電力設備す
なわち送電線の磁界を規制すべきです。
その意味で日本初の疫学調査であった兜論文の評価を再検討して頂くことを要求しま
す。最近発刊された「告発・電磁波公害」によると、兜論文の評価過程で文部科学省の恣
意的な疑惑の言動があったことが詳細に述べられています。本ワーキンググループが公平
な判断・結論を出すために、その真相を明らかにして頂くよう強く要請します。
なお、送電線の劇的な曝露低減策は、送電線と送電線の距離をできるだけ縮めれば良いと
専門家から聞いています。
資料10-26
(意見者番号:12)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
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[御意見]
・意見募集テーマ番号
以下の意見(1)∼(3)はすべて2−1)「研究」にかかわる。
(2)は2−2)「コミュニケーション」にもかかわる基本データとみなすこともできる。
(3)は早急に対応が求められる2−3)「低費用の対策」でもある。
・意見内容
(1)電磁波の曝露の時間的な累積量の計測調査がほとんどなされていない。高圧送電線を
はじめとする電力設備ならびに様々な家電製品からの電磁波曝露が常態となった市民生活
において、24時間のトータルの曝露量を想定し得る合理的なケースにおいて把握しておく
ことは、ICNIRPのガイドラインの規制値としての妥当性を問題にする以前に、いかなる健
康影響研究の評価にとっても不可欠のデータであろう。
(2)健康リスク・環境リスクを考える上で、近年の趨勢として、「子どもは小さな大人で
はない」という基本認識(子どもの感受性・脆弱性)が大きく浮上している。すなわち、
従来の大半の規制値は成人を基準としたものであり、それをそのまま妊婦や子どもに適用
することには問題がある。WHOのEHC No.238でもその関連が重視されている「小児白血病と
超低周波磁界」の疫学調査結果も、かかる基本認識に立ち返って、胎児・新生児・乳幼児
などの脆弱性の研究の最新成果をふまえた上で(たとえばHEC
No.237
Principles for
Evaluating Health Risks in Children Associated with Exposure to Chemicals )、子
どもの健康を確保するための基準値作りや施策に生かされねばならない。
(3)WHOのEHC No.238にも指摘されているとおり、いわゆる中間周波数帯での生物影響・
健康影響研究が不足している。にもかかわらず、日本においては、その中間周波数帯の電
磁波(20kHz∼100kHz あたり)を発生する器機である電磁調理器(IHクッキングヒーター)
が急速に普及し、(1)の観点からみると、相当な累積量を曝露するケースが出てきている
と考えることができる。家庭用の電磁調理器の通常の使用によって生じる瞬間的な電磁波
曝露が、ICNIRPの現行の基準を超えることは考えにくいが、レストランや給食センターの
厨房への導入が急速に進んでる業務用電磁調理器はその限りでない。我々***の実測に
よって、業務用電磁調理器において家庭サイズの鍋を用いて通常に調理する位置に人が立
って調理した場合に、ICNIRPの中間周波数帯域での基準値(6.25μT)を超える曝露が起き
資料10-27
ることが明らかになっている。これは、ことに妊娠している調理師らが職業的に曝露する
現実があると想定できるので、憂慮すべき事態である。早急な調査と対策が望まれる。
資料10-28
(意見者番号:13)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
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[御意見]
・意見募集テーマ番号
総体について
・意見内容
1、疫学調査結果について WHO の評価を受け入れるべきこと
ワーキンググループの中である委員は「低周波磁界に関してIARCの認定したグルー
プ2B(発ガンの可能性あり)は疫学研究が限定的であって、動物実験の証拠が不十分な
ので2Bという評価を受けた。」と説明しました。これによりリスクが不確定だという論調
の説明が繰り返されています。
しかし WHO の報告の中には IARC の発がん性分類について「この限定的な証拠に基づく分
類は、2002 年以降に発表された2つの小児白血病の研究を加えても変わらない。
」とし、
「0.3
∼0.4 マイクロテスラの小児白血病リスクはプール解析が多数に基づいていることで得ら
れた結果が偶然である確率は低いと思われる」と述べています。
このことは日本の疫学調査の「問題」として言われている「症例数が少ない。交絡因子
が排除されていない」などの主張はすでに WHO によって否定されたことであり、疫学のリ
スクは確定的になっていることを示すものとして、ワーキンググループはまずこの事実を
認めるべきです。
2、兜研究の評価について隠蔽の事実を認めるべきこと
日本の兜研究報告が文部科学省の調整官によって葬られ、非公開で不公正に評価が行わ
れたことは大問題です。WHO や IARC の評価でも共通に認められていることを日本では国と
して否定し隠蔽したこということ、このことの事実についてはまず認めるべきです。
「一般化できない」という言い方で正当な評価をされるべき報告として受け止めていな
いことが継続しているとすれば、今回のワーキンググループでもその「疫学結果をつぶす」
という省庁の非民主的な性格を踏襲していることにほかならないのではないでしょうか。
「文部科学省が行ったことだから経済産業省とは関係が無い」という理屈は間違いです。
今回の議論では、世界中のあらゆる研究を精査する必要があり、しかも兜研究は WHO の調
査研究の一環として行われたものなのです。
3、予防原則について
「あったとしてもリスクは弱い」という言い方がされています。仮にそうだとするなら、
資料10-29
その段階で対策をとることを論じるべきで、この灰色状態を白だとしようとするのがこの
作業部会の目的ではないはずです。その白にしようとする行為は過去の公害問題の教訓に
学んでいないのではないでしょうか。
このことで灰色でも対策を取るべきである、という「予防原則」の考え方が電磁場につ
いても採用されるべきことが EU などで主張されています。
Precautionary は予防と訳すのは間違いであるとかないとかの議論など時間の無駄です。
もっと重要なことは、電磁波を含むあらゆる新たな科学技術から生じる環境影響問題には
予防原則が採用され対策されなければならない、という理念です。この理念は基準値の制
定に関する議論の前提で必要なことであり、これは数値を定めることより優先されること
です。
ワーキンググループが公正中立な立場に立つのならば経済産業省に対して、さらにほか
の省庁に対して、電磁波問題にも予防原則を適用すべきであると提唱すべきです。
4、電力会社の問題 CM を放置していてリスクコミュニケーションは不能
9 月のワーキンググループでは電事連による発言が長時間行われました。***電力は
常々「5 万ミリガウスが WHO の基準」と(***電力は 5000 ミリガウス)いう「宣伝」を
してきました。むろんそのような基準はありません。事業者による問題の広報はこればか
りではなく、IARC の電磁波研究の責任者も怒りを表明し、抗議しています(「電磁波問題は
ネス湖の恐竜」と例えた件)。
作業部会ではまずこのようなありもしない「基準」を基準だと言うような企業に対して
厳しい指導を勧告するような立場に立つ必要があります。これを放置するばかりか彼らの
代表者を作業部会に参加させその主張をさせているようなことでは公正さははじめから期
待できません。これで消費者に対して信頼関係を築くことが前提のリスクコミュニケーシ
ョンができるものでしょうか。マスコミのことを問題にする以前の問題です。
5、磁場(磁界)低減策について
電磁場の健康影響問題について電力事業者の主張には前記のように問題があり不要だと
考えられますが、電力設備での具体的な電磁界低減の方法については専門家としての様々
な手法を持っていると思います。WG の中でも様々な低減策が紹介されています。
紹介されているもので、コストのかかからないものはすでに実行されている、とのこと
でした。そこで、どこにどれだけ導入されているのかを公表してください。実際上のコス
トの違い、また採用された方式、その区域で対策された理由などについて公表してくださ
い。
こちらで承知しているのは、***を通る 6 万 6 千ボルト線が一本に束ねられて、低減
策が施された例があります。
コストがかからないという条件が付された低減策については、ICNIRP のガイドラインの
数値以下にする、というのでは何の意味もありません。また、疫学で示されているリスク
の数値以下を安全だとするルールにもしてはなりません。
具体的な低減をする場合については<幼稚園、小学校、病院、など子どもや体の弱い住
人の近くに新設の電力設備を作る際は(***の方式などを採用して)可能な限りの低減
策を用いる>ことをルールとして定めることです。
WHOの勧告の中には「国家当局は、すべての投資家が十分に情報を与えられた上で意
志決定できるように、効果的でオープンな情報戦略を実施すべきである。」そして「地方当
資料10-30
局は、超低周波電磁場を発生する施設の建設計画の立て方についてたとえば、主要な超低
周波電磁場の発生源の位置を決める際、産業界と地方行政と市民との間でより良い協議を
はかるなど改善すべきである。」と記されています。
このことが日本国内で常に実現されるよう、今回の意見募集のみで終わりにならないよ
うに望みます。
資料10-31
(意見者番号:14)
経済産業省原子力安全・保安院電力安全課電気保安室
電力設備電磁界対策ワーキンググループ意見募集担当 宛
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[御意見]
・意見募集テーマ番号
1.超低周波磁界による人体への短期的な影響に対する対応
・意見内容
高レベルの磁界曝露に対する規制値の導入に関しては、電力会社も影響を認めているが、
まず、電磁界曝露に関してのこの規制がすなわちすべての電磁界曝露に対するものになる
というような混同が決して起こることのないようにし、あくまで「短期的な電磁界曝露に
対しての規制値」に対するものであることを明記すること。またその規制値を決めるとす
れば、その値に対して時間的な値を必ずセットにして決めるべきである。
「短期的」という枠組みは、最高でも人の拘束時間として一般的な8時間以内とし、そ
の環境から逃れることの出来ない状況に置かれることになる可能性を持っている人を擁護
できるようなものでなくてはいけない。8時間以上の曝露に関しては、すぐさま長期的値
というものではなく、今後もよく検討してくべき課題として考慮していくべき。
規制値のガイドラインの参考値については、現在の段階ではICNIRPのガイドライ
ンの他に主だった国際的なガイドラインがないので、その規制値が果たして適正かどうか
も不明。
・意見募集テーマ番号
2.超低周波磁界による人体への潜在的な長期的影響に対する対応
・意見内容
2−1について
研究については科学的な観点からのプログラムを推進するだけでなく、疫学的観点から
の研究・議論をもっと行うべき。このワーキンググループでは日本における最大の疫学研
究である兜氏の研究を軽視する傾向にあるが、学術的にはこの研究結果はバイアス値を考
慮しても科学的に根拠のあるものであり、この軽視の姿勢は完全に日本の疫学に対する認
識の低さからくるものと思われる。疫学の根拠となる因果関係の推論に使われる5つ、ま
たは9つの基準について、日本では必ずそれが揃わないと因果関係が認められないという
ような風潮があるが、その基準の中のひとつで、最も重視されることの多い「実験」の結
果が顕著な値を示さない、または全く実験では認められなくても、それが原因であること
がはっきりしている事例もある(ヒ素がそれにあたる。実験は動物で行われるが、動物で
資料10-32
は全く影響がないが、人間は死に至る。実験では結果が出ないが明らかにヒ素は毒である
ことは周知のとおり)。疫学にもっと時間とお金をかけるべき。
また、電力会社の独自の研究については、長期的曝露影響に対しての研究がない。すな
わち時間的な軸を考慮した研究が全くない。ほとんどが短命の動物や昆虫での実験であり、
霊長類での実験は、短期的曝露影響に関するものしかない。また一見、時間的軸が考慮さ
れているかのように装っている研究も、実際にはうまく焦点をずらして煙に巻いている。
例えば、第3回ワーキンググループの資料にもある***電力のヒトのガン細胞での実験
が顕著。ガン細胞を曝露させ、増殖速度に変化がないという結果で「健康に影響がない」
と結論づけているが、ヒトがガンになるかどうかが論点であるのに、ガン細胞の増える速
度が変わらないから健康に影響がないというところに持っていく結論づけは研究として成
り立っていない。このことから、長期的曝露による影響に関しては更なる検討が必要と思
われる。結論が出るまでは「疑わしきは回避」というスタンスで対応していくべきである。
2−2について
コミュニケーションについて、日本の住環境は諸外国とは異なるため、推測される以上
に高い曝露にさらされている人間が多いと推測されるので(第3回ワーキンググループ資
料5の配電線の設備実態及び諸外国との比較では、諸外国と比べて日本は電柱も高く、コ
ンパクトで影響が出にくいとされているが、設置されている場所が住宅などと、どの程度
の距離を保って設置されているかという具体的なことに触れていない。諸外国は設備と住
宅との距離が絶対的に離れている。日本は二階の窓を開けると電線に手が届きそうな家が
少なくない。そのような環境を全く考慮していない)諸外国よりもずっと当事者の声を反
映できるようなコミュニケーションのとり方を行うべき。それにより、曝露当事者の不安
を取り除くことを最重要目的とする。
2−3
新たな設備建設、設置に関しての曝露低減は周囲の曝露当事者とのコミュニケーション
が最も有効な方法。そのコミュニケーションの場に、設置者がしっかりした低減計画を明
示し、説明していくことで信頼関係が築かれ、その設置場所に有効な低費用の低減方法が
見出せることにつながる。
設置に関して、送電線からの曝露低減で具体的で、低費用かつどの事例にも有効な方法
は「電線の接近設置」である。手裏剣に似た器具を使い、3本一組の送電線プラス補助線
を接近させて設置する方法で、現在、設置場所の状況によって、日常的に行われている手
法で、通常の設置と比べてもほとんど費用面で変わらない(***電力からの情報)。こ
の手法で、住宅と接近する高圧線をまとめることで、かなりの低減を期待できる。
恣意的な曝露ということについて「恣意的」とはすなわちどんな値なのかということに
対しては、長期的曝露に関しては、長期がどのくらいの時間になるかは事例によって異な
ることを考慮すると、3∼4ミリガウスで発ガンレベルが2Bであるという結果が出てい
ることから、長期的曝露は、3∼4ミリガウスは十分危険な曝露値と考えるのが極めて順
当。恣意的な値を考える場合に、短期的レベルの規制値として検討されているガイドライ
ンと比較されるような混同がないようにすべき。曝露の当事者が、3∼4ミリガウス以下
を望むことは、極めて全うと思われることから、3∼4ミリガウスよりも下回る対策を講
じることが望ましいと思われる。
最後に、新たな建設、設置に限らず、既存の設備に不安を感じる環境に在る者が、電力
資料10-33
会社に要望すれば、低費用で対策を講じるよう求める。既存の設備に対策を講じても、
ファクトシートNo.322にもあるように、「住宅内での平均磁界曝露が3ミリガウスを超
えることは極めて稀」とのことから、対象となる事例も稀であると考えられるためである。
WHOは、対策を講じる必要はないとは言っていない。低費用で対策を講じることで、「疑
わしきを回避」することを推奨している。
電力設備からの磁界は、家電製品などの磁界と全く異なる。なぜなら、家電製品の磁界は
自ら選択して曝露することを受け入れたり拒否できるが、電力設備からの磁界曝露は24
時間365日曝露から逃れることができない。電力会社の利益のために、周りの人間が健
康を害するかもしれない疑いのあるものを我慢することを強いられるということは理不尽
である。ゆえに既存、新設を問わず、電力会社は対策を講じても当然であると思われる。
以上
資料10-34
(意見者番号:15)
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・意見募集テーマ番号
「短期的及び長期的影響に対する対応」
・意見内容
今回の意見募集がWHOのEHCは無視したファクトシートNo322に限定してい
る大前提は公正性に欠けている。
1. について
ガイドラインの100マイクロテスラなどという途方もない高い数値を設定している
国に企業優先の日本と軍事優先の米国だけである。少なくともEHC支持する3∼4ミ
リガウスで小児白血病が2倍に増加するという疫学調査の数値内すなわち2ミリガウ
ス以内に設定する必要があるはずである。
2―3)について
各国で人体への危険値が異なるということはあり得ないはずであり、日本で研究しない
というのなら各国の研究データを研究し採用すべきである。
資料10-35
(意見者番号:16)
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[御意見]
・ 意見募集テーマ番号
高圧送電線の被害について
私達は迂闊だった。高圧線の下に3年も住みながら、症状の原因を思い込み故に勘違
いしていた。
現在住んでいる家は借家である。自宅は別にある。平成10年8月に二世帯住宅を建
て、両親と暮らしていた。13年の秋頃、裏山の反対側から基地局(携帯電話***)
を建設され、すぐに被害を受け始めた。直後からテレビへの映像障害、固定電話への通
話妨害、及びテレビや電話の故障、パソコンは主電源入らずとなった。室内や庭の草花
の奇形、変色、消滅、株の縮小、肥大、家族3人への健康被害。ただこの原因にもなか
なか気が付かず、自分の更年期であると思っていた。
16年2月下旬、外出先で全く出ない症状や本から原因に確信を持った。気が付いて
40日間車の中で就寝した。1㎞離れると被害を受けないことにも気が付いた。4月か
ら寝る為の家を1.5㎞離れた集落に借りた。頭痛、脱毛、朝の痰、下痢(黒色)等は
即座に消失した。母(81才)も不眠、脱力感に堪え切れず、5月末から同居し、
父(81才)とは別居生活が現在も続いている。
16年11月に隣集落に***の基地局を建てられ、現在の借家に2度目の転居をし
た。急だったので住居を選定する日にちがなかった。高圧線の下であることはわかって
いたが、健康被害の詳細は知り得ていなかった。12月1日から越し、インフルエンザ
の予防注射を受けた。直後から大風邪を引いた。その後、半年のうちに6∼7回風邪を
引いた。過敏症になる以前は10∼15年、風邪など引かず健康体であった。自宅に居
る父も、同居している母も予防注射から風邪を引いたので、免疫力を失った被爆のせい
だと思い込んでいた。置薬や病院の処方箋で更に悪化した。化学物質過敏症も併発して
いる私は薬のせいだと服用を控えた。家族3人共、牛乳も飲めない体質に様変わりした。
考えてみれば、軽かった化学物質過敏症もこの家に越した半年後から悪化している。
17年5月、母は春の稲作に1週間詰めて自宅に通った。最初の転居先で現れた
「赤い斑点」「軟便」がぶり返した。7月30、31日に20時間私は眠り込んだ。一
度だけトイレに起きた記憶はあるが、それ以外何も覚えていない。8月7日に生まれて
初めて大量の鼻血をみた。朝洗面所に俯いた時、突然に床を汚すほど出血をした。20
分程止まらず、タオル1枚ゴミ箱へ消えた。
18年9月19日、トイレの前で身体中の血がドーンと一気に足元に下りるような異
様な感覚に襲われた。明け方から体調の悪さもしばらく続いていたが、受診は極力控え
ていた。たまらず、その日のうちにクリニックへ行った。医師は私の話を聞き、「家を
資料10-36
出たストレスのせいですよ」と言った。尿、血圧、心電図に異常はなく、自律神経失調
症の診断だった。1週間の服用で体調は改善した。
18年10月初めに「電波を止めた」という真偽の分からない情報で2週間自宅に帰
った。自宅で就寝すると右目が腫れ、4∼5日の間に体重は2.5㎏減少し、ほほがこ
けてきた。基地局の被害と相重なり、電磁波被害という共通点もあり、高圧線に思いが
いかなかった。
19年10月12日午前1時半から眠れなくなった。この時点で高圧線被害であるこ
とに決定的に気が付いた。借家は高圧線の真下にある。高さは隣の二階立家屋の少し上
である。線が古く、遺漏度は高いのではと思う。トイレや風呂場は電柱に近い。入浴す
ると体調がおかしくなる。湯船の中でくしゃみをする。左耳がボコボコし、10日程治
らなかったのも、風呂場が始まりだった。借家に帰ると鼻水が止まらなくなる。
「どこからそれほどの水が出るのか」と母と話し合った。手足がジンジンする。老眼鏡
をはずすと、一瞬ボーっと霞が掛かった様になるが他の場所では起きない。胃痛も何ヶ
月か治らず、常に軽い頭痛が起きる。寒暖の皮膚感覚が麻痺する。左ひざ裏の内出血と
ひざ痛。歯が折れる。心臓がドンドンドキドキ波打つ。圧痛がある。寝苦しい。記憶に
ポカリと空洞ができる。文字を書き間違えたり、思い出せなくなる。血圧が上下する。
(過敏症になる以前は全くなかった)低体温となった。以前、(17年冬場)マットに
敷いた毛布(アクリル)で身体が感電した様にビリビリとし、眠れず、綿の敷布に取り
替えた事がある。ドライクリーニングのせいだと思っていたが、今考えれば高圧線の可
能性が高い。3年もの間絶えず体調には波があった。朝、目が覚めなければ、その日の
体調は把握できなかった。予定事は全く立てられなかった。生活の質は低下し、人生は
一変した。私達の思い込みのせいで高圧の被害が表に出なかった。
19年春にはパソコン本体の基盤が壊れ、9月末にはライザーボードを修理したばか
りである。母は高圧のせいだと言っている。母は手足がジンジンし、白内障が急激にす
すみ、ひざ痛が増し場を離れると軽減する。母は少し離れた分れ屋で就寝し、私は10
月13日以降、車の中を就寝場所としている。新しい転居先に越すまで、このままの状
態である。庭を隔てた元の家は、トイレ、洗濯、炊事のみに使用している。
進み過ぎた科学、経済社会の私達は「カナリア」なのだろうか。人命を守れない法律
など無きに等しいと思う。基地局や高圧線被爆は小型の原爆と同じであり、瞬間最大と
長期微量の違いがあるだけである。電磁波過敏症は放射線障害と酷似している。
要望点
(1) 直ちに全国の送電線からの電磁波測定を実施する。
(2) 電化製品、パソコン等の使用注意事項を義務化する。
(3) 国民への電磁波に対する情報公開を徹底する。
(4) 短期的視点ではなく、30∼50年先を見据えた政策に切り替える。
(5) 天下り等の企業と省官庁の癒着を正す。
(6) 予防原則を取り入れる。
将来的に起きうる補償や裁判費用を考慮すれば、企業のコスト削減にもつながり、無
駄な医療費の抑制にもつながる。そして、電磁波低減を推進することは、ガン対策や撲
滅に最も有効な方法である。某県道片側の高圧線付近においてガン発症者が異様に多
い。
資料10-37
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