Comments
Description
Transcript
第3章 道内各空港の将来展望
第3章 1 道内各空港の将来展望 新千歳空港の将来展望 (1)新千歳空港の現状と課題 ◎ 新千歳空港は2本の3,000メートル滑走路を備えた24時間運用空港で、道内最大の719haの広さ があり、国内外の航空輸送のネットワーク拠点、北の空の玄関口としての役割を担っている。 [沿革] 大正15年 昭和20年 昭和26年 昭和34年 昭和63年 平成4年 平成6年 平成8年 千歳村民が約2.5haの整地を造成 米軍接収 千歳空港開港(民間航空の再開) 日本政府へ返還 新千歳空港開港(A滑走路供用開始) 新千歳空港旅客ターミナルビル供用開始 国内初の24時間運用開始 B滑走路供用開始 ◆ 国際航空ネットワーク ◆ <国際航空ネットワーク> ● 新千歳空港に就航する国際定期路線は東アジア地域とを結ぶ路線を中心に13路線であるが、そ のうち4路線は運休(平成22年1月現在)となっている。 ● 新千歳空港における国際航空貨物は、輸出は生鮮類や電機部品、輸入は機械類や青果物を中心 に、近年の取扱量は4千トンから5千トンで推移している。 ● 世界的な不況や円高などの影響により、国際航空旅客、貨物ともに減少傾向にある。 <一部外国航空会社の乗り入れ制限> ● 新千歳空港は航空自衛隊千歳基地と隣接していることから、防衛上の理由により一部外国航空 会社の乗り入れに関して、曜日及び時間帯に一定の制限がある。これまでに乗り入れが認められ ていた曜日や時間帯に加え、平成22年3月28日から新たに火曜日の昼間の時間帯の乗り入れが認 められるなど、徐々に制限が緩和されているが、外国航空会社などからは更なる制限の緩和が求 められている。 〔 一部外国航空会社に対する乗り入れ制限の状況 〕 区 分 午 前 昼 間 午 後 日 月 火 水 木 金 土 17時以降 :一部外国航空会社の乗り入れが制限されている曜日・時間帯 :平成22年3月28日から乗り入れ可能となる曜日・時間帯(乗り入れ制限緩和後は、 火曜日及び水曜日の12:00~16:00の間の乗り入れが可能) - 36 - ◆ 幹線交通ネットワーク ◆ <国内、道内航空ネットワーク> ● 新千歳空港と道内外を結ぶ定期路線は、道外路線として羽田、関西、中部などとを結ぶ19路 線、道内路線として稚内、釧路、女満別、函館、利尻とを結ぶ5路線の合計24路線(平成22年1月 現在)が就航しているが、直近10年間で最も多くの路線が就航していた平成11年に比べ7路線減 となっており、特に関西以西の空港とを結ぶ路線の休止が目立っている。 一方で、新千歳と羽田を結ぶ路線については、現在4社により1日49往復(平成22年1月現在) されており、多様な運賃形態と合わせ、利用者の選択肢が広がるなど、利便性が高い路線となっ ている。 ● 新千歳空港における平成20年の国内線、道内線の利用者数は約1,686万人で、羽田空港に次い で国内2番目となっているが、ここ5年間で最も多い平成18年の約1,764万に比べ78万人減とな っている。 ● 国内航空貨物については、輸送量の拡大や企業誘致の弾みになるものと期待されていた貨物定 期便が運航経費の増大や航空機燃料の高騰などの影響を受け、約1年半で撤退となったことなど もあり、近年の取扱量は20万トン前後で推移している。 ● 道内空港においては、世界的な不況などの影響を受け、不採算路線の休止・減便などが相次い でおり、航空会社では直行便の休止・減便による利用者利便の低下を補うため、道内空港から新 千歳空港、さらに新千歳空港から道外空港への乗り継ぎについて、割引運賃の導入を検討してい る。 ● 北海道新幹線の札幌延伸を視野に入れながら、丘珠空港との役割分担や連携の下、新千歳空港 における今後の国内・道内航空ネットワークのあり方や、路線の利用促進、維持・充実に向けた 方策を検討する必要がある。 〔 新千歳空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 523,090 17,082,412 17,605,502 H17年 622,729 17,249,023 17,871,752 (単位:人) H18年 H19年 H20年 749,106 801,948 794,864 17,643,529 17,527,464 16,861,398 18,392,635 18,329,412 17,656,262 (国土交通省「空港管理状況調書」による) 〔 新千歳空港における貨物取扱量 〕 区 分 国際航空貨物 積 荷 卸 荷 国内航空貨物 積 荷 卸 荷 合 計 H16年 5,562 2,258 3,304 213,818 95,734 118,084 219,380 H17年 5,506 1,808 3,698 214,311 97,716 116,595 219,817 - 37 - (単位:トン) H18年 H19年 H20年 4,474 4,373 4,050 1,412 1,435 1,401 3,062 2,938 2,649 214,146 224,382 241,559 101,968 108,507 119,084 112,178 115,875 122,475 218,620 228,755 245,609 (国土交通省「空港管理状況調書」による) ◆ 空港機能の強化等 ◆ <深夜・早朝時間帯発着枠> ● 新千歳空港は日本初の24時間運用空港であるが、空 〔 深夜・早朝枠の利用状況(H22.1現在) 〕 港周辺地域に対する航空機騒音軽減の観点から、現在、 旅客便 羽 田→新千歳(3便) 深夜・早朝時間帯(夜10時から翌朝7時まで)における 中 部→新千歳(1便) 発着は、地域住民との合意(平成6年4月)により1日 貨物便 羽 田«新千歳(2便) 6回までが上限となっている。この6回の発着枠はす べて使用されており、航空会社のニーズや中長期的な航空需要を考慮すると、今後将来を見通し た発着枠数の確保が必要であり、平成22年10月に予定されている羽田空港の再拡張における航空 ネットワークの再編などを見据え、利用者の利便性の向上とともに、道内経済の活性化に向けて、 枠の拡大に向けた取組が急務である。 <空港機能の向上> ● 国際線旅客ターミナル施設の狭隘による混雑を解消するために整備が進められていた、新たな 国際線旅客ターミナルビルが平成22年3月に供用となり、また、これに合わせて手狭となってい る国内線旅客ターミナルビルの増改築や国際線・国内線両ターミナルビルを繋ぐ連絡施設の整備 も行われており、これまでに比べ、格段に空港機能が向上するものと期待されている。 ● 新千歳空港においては、現在、2本の3,000メートル滑走路が整備されているが、冬季間にお ける安定運航や長距離国際線への対応などに向け、滑走路の延長を含めた滑走路の整備・高質化 が求められている。 ● 通常、着陸用として使用している滑走路は、降雪や霧などによる視界不良時の着陸を誘導する ILS(Instrument Landing System:計器着陸装置)が設置されておらず、悪天候時における離発 着がILSの設置されているもう一方の滑走路に集中し、発着が輻輳するため、年間3,000便以 上の欠航・遅延便が発生している。 また、年々、除雪体制が整備され、降雪時の欠航が減少してきているが、冬季間における運航 率の改善にあたっては、除雪体制の更なる強化とともに、除氷・防氷作業を行うためのデアイシ ング・エプロン(De-Icing apron)の整備が求められている。 <空港アクセス> ● 空港利用者の円滑な移動を 確保するためには、2次交通 機関との十分な連携が必要で あるが、バスやタクシー、レ ンタカーの駐車場が不足して いるほか、貸切バスの乗降場 が離れていることもあり、利 用者に不便を掛けている状況 にある。 ● 札幌市内から新千歳空港へ のアクセスについては、JR やバスなどにより充実が図ら れているが、深夜・早朝時間 帯における円滑なアクセスと ともに、札幌方面以外からの アクセスの強化が求められて いる。 「新千歳空港-札幌」 JR札幌駅 〔JR:快速エアポート(約36分)〕 〔バス:道央自動車道利用(70~80分)〕 札幌市内 新千歳空港 〔自家用車:道央自動車道利用(約50分)〕 「新千歳空港-苫小牧」 JR苫小牧駅 〔JR:普通(南千歳駅乗換、約30分(乗車時間))〕 〔バス:一般道利用(45分)〕 苫小牧市内 新千歳空港 〔自家用車:一般道利用(約30分)〕 「新千歳空港-室蘭」 JR室蘭駅 〔JR:特急・普通(南千歳駅乗換、約70分(乗車時間))〕 〔バス:道央自動車道利用(110分)〕 室蘭市内 〔自家用車:道央自動車道利用(約80分)〕 - 38 - 新千歳空港 ◆ 地域活性化等 ◆ <地域活性化・地域振興> ● 新千歳空港を生かした地域経済の活性化や空港周辺の各種プロジェクトとの連携を通じた地域 活性化を図るとともに、地域が支える空港として、地域の住民や企業などと連携した取組が求め られている。 ● 新千歳空港が太平洋線や北回り欧州線の航路上にあるという地理的優位性、空港周辺の広大な 土地、航空機整備士養成学校があるなど、航空機関連産業を展開する上でのポテンシャルを有し ている。 ● 新千歳空港を国際拠点空港として発展させていくためには、地域住民の理解と協力の下、空港 機能の強化を図っていくことが必要であり、現在、深夜・早朝時間帯発着枠の拡大に向け、地域 との協議を進めている。 <新千歳空港を取り巻く課題(総括)> ・ 新千歳空港は、道内空港発着の国際線、国内線利用者のそれぞれ約74%を占めるなど、北 海道の空の玄関口として、大きな役割を担ってきた。しかし、世界同時不況の影響などによ る厳しい経済情勢が続く中、本道経済の活性化を図るためには新千歳空港の機能面の充実や 航空路線の拡充を図ることにより、人や物の交流の一層の活発化を進めることが必要である。 ・ そのため、これまでも深夜・早朝時間帯における発着枠の拡大や、一部外国航空会社の乗 り入れ制限の緩和などの空港機能の強化、航空路線の誘致や運休路線の再開などに向けた取 組を行ってきたが、今後とも関係自治体や経済界などが連携を図りながら、こうした取組を 積極的に行い、新千歳空港の一層の活性化を図っていくことが求められている。 - 39 - (2)新千歳空港のめざす姿とその実現に向けて - 我が国の北の拠点空港(国際拠点空港化)をめざして - <めざす姿①> Ⅰ 北海道経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークの中核となる空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 北海道の地域資源や新千歳空港の地理的優位性などを活かし、食や観光といった本道のリーディ ング産業の振興や海外への多様な展開、海外との人や物の活発な交流を支える「国際航空ネットワ ークの中核となる空港(国際拠点空港化)」をめざす。 ◎ 北海道では、現在、平成20年度にスタートした「新・北海道総合計画(ほっかいどう未来創造 プラン)」及び「北海道交通ネットワーク総合ビジョン」に基づき、『新千歳空港の国際拠点空 港化』を目指しており、今後ともこの計画などに基づき、新千歳空港における人やものの活発な 交流を図るとともに、当面、一層の伸びが期待できる旅客の増大に重点的に取り組む。 《北海道の長期計画などにおける新千歳空港の位置付け》 第3次北海道長期総合計画 新・北海道総合計画 (平成10年度~平成19年度) (平成20年度から概ね10年) 北海道交通ネットワーク 総合ビジョン (平成20年度から概ね10年間) 〈新千歳空港の国際拠点空港化〉 〈国際交通ネットワークの形成〉 〈国際交通ネットワークの形成〉 北海道を世界に開かれた地域 グローバル化の進展に伴う人 「食」や「観光」といった本道の 経済社会とし、豊かな道民生活 や物の増大に対応するため、新 リーディング産業の振興や海外 の実現を図るため、新千歳空港 千歳空港の国際拠点空港化を進 への多様な展開を図るため、新 を人やものが活発に交流する日 める 千歳空港の国際拠点空港化に向 本の北の国際航空ネットワーク けた取組を進め、本道産業のグ の拠点として整備する ローバルな展開を支える 【国内航空ネットワークの姿】 観光客やビジネス客など人の交流、道産品の輸送の促進など、本道と国内各地との交流による観 光産業など地域産業の振興、道民の快適な暮らしなどを実現する「国内航空ネットワークの中核と なる空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 丘珠空港との役割分担の下、道内各地域と道央広域連携地域の中核都市や道外との交流、経済活 動の活発化を促進するとともに、医療など道民の安全・安心で快適な暮らしを支える「道内航空ネ ットワークの中核となる空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ ◆ 新千歳空港は我が国の北の拠点空港、北海道の航空ネットワークの中核とする 国際航空ネットワークについては、中国など東アジア地域を中心として新規路線の開設を図 るとともに、今後の需要動向など航空を取り巻く状況を見極め、欧州やオーストラリアなどの 運休路線の再開をめざす ◆ 国内、道内航空ネットワークについては、現在の路線の維持と、需要拡大が見込まれる地域 との新規路線の開設や既存路線の多頻度化などを図るとともに、今後の需要動向など航空を取 り巻く状況を見極め、運休路線の再開をめざす - 40 - 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 新千歳空港においては、平成19年5月以降、新たな路線が開設されておらず、加えて4路線が 運休となっているが、平成22年3月に新たな国際線旅客ターミナルビルが供用となり、これまで に比べ、利用者利便の大幅な向上が期待されることから、この効果を最大限に活用し、海外から の誘客促進に向け、誘客対象を明確にした上で、国際航空路線の効果的な誘致・拡充、運休路線 の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 今後、一層の交流拡大が見込める中国をはじめとする東アジア地域などとの新たな国際航空 路線の開設や既存路線の拡充、再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う ・ トランジット機能を活かした国際定期路線の開設・充実を図る [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 道内各空港においては、航空需要の低迷などにより、道内外の空港とを結ぶ路線の休止・減便 が相次いでいることから、丘珠空港との役割分担の下、国内・道内路線の維持・充実や運休路線 の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 新千歳空港と道内外各空港とを結ぶ路線の維持・充実、再開に向けた航空会社などへの働き かけを行う ・ 道内各空港と道外空港との中継点となる航空ネットワークの形成を図る ・ 地域と連携した利用促進に向けた取り組みを進める [航空需要の拡大、利用促進] ○ 新千歳空港の利用者数は、厳しい経済状況を反映して、近年、国際線・国内線ともに伸び悩ん でおり、また、航空貨物においても、特に国際貨物取扱量が減り続けており、回復の兆しが見え ていない。 このため、北海道経済の一層の活性化に向け、今後、大幅な需要拡大が期待される中国をはじ めとする東アジア地域からの誘客をより一層促進するなど、地域や関係機関などと一体となって、 航空需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外からの誘客促進を図るため、北海道の新たな魅力の発掘や効果的なPR活動、ホスピタ リティの向上を展開する ・ 交流拡大が見込める中国など東アジア地域を中心に、新千歳空港国際化推進協議会や新千歳 空港利用者利便向上協議会など関係団体と連携した積極的かつ効果的な観光客などの誘致活動 を展開する ・ 海外への修学旅行など道民のパスポート取得を促進する取組や、航空会社・各国政府観光局 などと連携した効果的なアウトバウンド促進対策を展開する ・ 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する ・ 航空輸送需要の拡大に向け、道産品のPRや販売促進を進めるとともに、航空輸送に適した 道産品の製造を担う地域産業の振興を図る ・ 輸送時間の短縮など、航空貨物輸送のメリットをPRし、航空貨物需要の拡大・創出を図る ・ 国際航空貨物需要の動向を見極めながら、必要な貨物取扱機能の整備などを図る - 41 - [一部外国航空会社の乗り入れ制限の緩和] ○ 本道経済の活性化や国際化の進展のためには、高成長を続ける中国など東アジア地域との交流 をこれまで以上に推進することが重要であることから、中国などとの交流をより活発に行う上で 課題となっている一部外国航空会社に対する乗り入れ制限の緩和に取り組む。 《主な取組》 ・ 平成22年3月からの乗り入れ制限の緩和に伴う利用状況などを勘案しながら、更なる乗り入 れ制限の緩和に向け、経済界と一体となって取組を進める <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい北海道の空の玄関口 ◆ 24時間運用の拡大など利用者ニーズに応える空港 ◆ 現在、1日6便が上限となっている深夜・早朝時間帯発着枠の拡大を図り、本格的な24時間運 用空港に向けてその機能を高めるなど、北海道の空の玄関口として、誰もが利用しやすい「利用 者ニーズに応える空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [深夜・早朝時間帯における発着枠の拡大] ○ 北海道経済の活性化を図るためには、新千歳空港の国際拠点空港としての機能強化を高め、国 内外における旅客・貨物双方の需要をさらに拡大させることが必要である。 現在使用されている深夜・早朝時間帯発着枠6枠(旅客便4枠、国内貨物便2枠)の運航による 道内経済への波及効果について、道外からの旅客需要の増加、空港輸送事業者の生産活動の拡大 及び航空貨物輸送量の増加の3項目について調査した結果、年間約71億円の道内への経済効果(所 得額ベース)が発生しているとの結果が出ている(新千歳空港24時間運用に伴う経済波及効果調査 報告書(平成22年1月))。更に、2015年、2020年、2030年における航空需要を予測したところ、 深夜・早朝時間帯発着枠として、それぞれ13枠、20枠、25枠の需要があると想定されており、こ の場合の経済効果は、それぞれ約115億円、各181億円、約221億円と算出されている。このよう に24時間運用の拡大は、道内経済に少なくない経済効果をもたらしている。 このため、現在、1日6便が上限となっている深夜・早朝時間帯における発着枠の拡大を図り、 国内線においてはビジネスや観光を目的とする旅客の利便性向上による新たな旅行需要の喚起、 農水産物などの輸送に係るリードタイムの短縮化による貨物輸送の拡大、国際線においては中国 など東アジア路線の更なる増便や、欧米・オセアニアなど長距離国際線の再開・就航、近年の道 内農水産品の東アジア地域への輸出増加など、更なる充実に取り組む。 《主な取組》 ・ 深夜・早朝時間帯の発着枠拡大に向けて、住宅防音対策など必要な地域対策を講じながら、 空港周辺地域住民の理解を得る ・ 広く道民に対し、深夜・早朝時間帯の発着枠拡大の効果や必要性を示し、道民理解を得なが ら、本格的な24時間運用に向けて、必要な発着枠の確保に取り組む ・ 深夜・早朝時間帯の交通アクセスの確保や高速道路などの物流ネットワークの形成により、 新千歳空港を核とした道内の旅客、貨物輸送体制の整備・充実を図るなど、航空需要の拡大に ついて、経済界などと連携しながら取り組む - 42 - [利便性向上に向けた空港機能の充実] ○ 新千歳空港が北海道の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰もが利用しや すい空港として整備していくことが重要である。 また、新たな国際線旅客ターミナルビルや国内線旅客ターミナルビルの整備に引き続き、利用 者ニーズに的確に対応した検討や取組が必要である。 このため、空港機能の向上に加え、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフト面の 充実にも取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、CIQ体制の充実、インフォメーシ ョン機能の向上、ユニバーサルデザインの考え方に基づく機能向上などの実現をめざす ・ 新千歳空港を国際拠点空港とするため、外国人利用者が利用しやすい空港となるよう機能の 向上を図る ・ 大雪などによる輸送障害発生時において、利用者への適切な情報提供に取り組む [他の交通機関との連携強化] ○ 新千歳空港と世界とを結ぶ国際航空定期路線は13路線(うち4路線は運休)で、近年の利用客数 は年間約80万人となっているが、羽田空港の再拡張による航空ネットワークの再編や航空会社に よる不採算路線の休止・減便、北海道新幹線の整備の進展などにより、新千歳空港を含めた道内 空港全体への影響が懸念されている。 このため、路線の維持・拡充に向けた需要拡大に取り組むとともに、道民の利便性向上、交通 手段の選択肢の確保に向け、他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ 北海道新幹線の札幌延伸を視野に入れながら、全道各地や北東北地域などから新千歳空港経 由で海外に行く観光客などの誘客に向け、鉄道やバスなど他の公共交通機関との連携を図る ・ 海上輸送や鉄道・トラックなど陸上輸送との役割分担の下、航空輸送に適した貨物の需要拡 大を図る [交通アクセスの充実] ○ 空港内における利便性向上とともに、航空機とアクセス交通との連絡の円滑化や、空港から目 的地までの移動の利便性・快適性の確保も極めて重要である。 このため、空港利用者の利便性に配慮した情報の提供とともに、深夜・早朝時間帯の便にも対 応できる新たな需要創出に寄与する交通アクセスの充実に取り組む。 《主な取組》 ・ 深夜・早朝時間帯における国際航空旅客便の運航なども見据え、空港利用者の利便性を重視 した交通アクセスの実現を図る ・ 利用者の利便性に十分配慮した駐車場や貸切バス乗車場などの確保、円滑な運用の実現を図 る ・ 大雪などによる輸送障害発生時において、利用者への適切な情報提供に取り組む - 43 - ◆ 安全・安心で環境に配慮した空港 ◆ 空港における十分な安全・安心の確保及び周辺地域の環境に配慮した「安全・安心で環境に配 慮した空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [安全・安心の確保に向けた空港機能の充実] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の高質化 とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など、安全・安心の確保が求め られている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の高質化を図るとともに、防災・防犯対 策など、十分な安全・安心の確保に取り組む。 《主な取組》 ・ 平成24年度までに完了予定のILSの高度化事業及び双方向化事業の効果を勘案しながら、 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ ・ 冬季間における安定運航などに向け、デアイシング・エプロンや滑走路の延長整備など空港 機能の強化を図る 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の強化を図る [周辺環境への配慮] ○ 今後の空港運営にあたっては、安全・安心の確保を図りつつ、環境への配慮を行うことが重要 である。 このため、空港周辺地域の良好な環境の保全と創造に向け、環境にやさしい空港づくりに取り 組む。 《主な取組》 ・ 空港管理者や空港ビル会社、周辺自治体及び地域住民などと連携しながら、環境負荷の軽減 を図る ・ これまでのCO2の削減に向けた取組(雪冷房の活用など)を含め、引き続き環境への十分な配 慮を前提とした空港運営を行う <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 空港や航空輸送の活用が見込まれる空港関連産業の集積、空港周辺地域の豊かな自然環境や観 光資源の活用、地域の産業振興・観光振興などの各種プロジェクトとの連携を通して、地域の発 展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [航空関連産業の立地促進や地域産業の振興] ○ 新千歳空港周辺地域には数多くの企業が立地しているほか、インターチェンジの整備が進めら れているなど、産業や物流拠点形成に向けた諸条件が整いつつある。また、広大な土地や航空関 連の教育機関などもあり、航空機関連産業などを誘致する上での優位性も持っている。 このため、これら新千歳空港が有するポテンシャルを有効に活用し、空港を拠点とした産業な どの集積に取り組む。 - 44 - 《主な取組》 ・ 航空輸送の活用が図れる産業の集積や航空機整備場など航空機関連産業の誘致を進める ・ 空港の活動を支える地域産業の振興を図る [地域の魅力発信] ○ 空港周辺地域は、北海道特有の雄大な景観や豊かな自然、札幌市周辺の観光施設などが地域の 魅力の一つとなっている。 このため、この恵まれた自然環境を最大限活用し、国内外からの観光客の誘致に向け、観光資 源の効果的な連携や新たな魅力の発掘に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港周辺の地域資源を有効に活用した観光ルートの形成や、地域の魅力の発信に取り組む ・ 周辺地域の環境に配慮しながら、民間が行う森林などを活用した観光開発など、新たな観光 資源の発掘に取り組む [民間活力を利用した地域開発の促進] ○ 新千歳空港周辺地域において、民間企業や経済団体などから、新千歳空港の24時間運用の拡大 を見据えて、インランド・デポ(内陸保税蔵置場)などの物流基盤や空港利用者向けのレンタカー 基地、高度医療関連施設や国際観光リゾート施設などの整備、国際緊急援助基地の誘致などに関 する構想が提案されている。 このため、深夜・早朝時間帯の発着枠の拡大を図り、これらの構想の推進に資する。 《主な取組》 ・ 関係自治体と連携し、民間企業や経済団体などの地域開発に関する構想の具体化を促進する ・ ◆ 民間活力を利用した地域開発の促進により、空港周辺地域への経済効果の波及や雇用の拡大 に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や企業、空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わ いの創出や地域住民との良好な関係を創造する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能を整備するとともに、空港を活用した交流促 進に取り組む。 《主な取組》 ・ 国内線旅客ターミナルビルにおける交流施設などを活用し、空港と地域住民の結びつきを深 め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ 関係団体や地域住民などの連携を図りながら、空港の魅力や利便性などを活用した地域活性 化の取組を進める ・ 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 45 - 2 丘珠空港の将来展望 (1)丘珠空港の現状と課題 ◎ 丘珠空港は札幌市の中心部から北東6kmに位置し、陸上自衛隊北部方面航空隊の航空基地でも ある共用空港として、防衛省が設置・管理している。道内各空港と結ぶ定期便のほか、札幌観光 の遊覧飛行、ビジネスジェット、北海道警察や北海道防災ヘリの基地としても使用されており、 札幌市など道央広域連携地域の空の玄関口としての役割を担っている。 [沿革] 昭和17年 昭和19年 昭和21年 昭和29年 昭和36年 昭和42年 昭和49年 平成4年 平成16年 旧陸軍が229万m²(695千坪)の用地を買収して飛行場設置 飛行場完成(滑走路長1,000m) 米軍接収 陸上自衛隊移駐 共用飛行場として供用開始 滑走路延長(1,400m) 道外定期路線が千歳に完全移管 新ターミナルビル供用開始 滑走路延長(1,500m) <航空ネットワークの動向> ● 丘珠空港は函館や釧路など道内5空港と結ばれ、ビジネス需要を中心に、札幌市を含む道央広 域連携地域と道内各地域とを結ぶ空港として重要な役割を果たしてきたが、㈱エアーニッポンネ ットワーク(A-net)が運航する全5路線が平成22年7月より新千歳空港へ集約されることと なった。これにより、残る路線は㈱北海道エアシステム(HAC)が運航する函館及び釧路の2路 線となるが、同社の筆頭株主である日本航空が平成22年1月に会社更生法に基づく申立を行い、 経営再建の一環としてHACの運営の見直しが進められており、同路線の維持存続に影響を及ぼ す状況となっている。 ● 丘珠空港については、過去に路線の大半が千歳空港に移転したことにより、ピーク時(昭和49 年)に70万人を超えていた利用客数が1万人台まで激減。その後、道内航空ネットワークの充実 に伴い、利用客数は40万人近くまで増加していたが、近年は37万人前後にとどまり、利用者数は 伸び悩んでいる。また、丘珠空港利用者数の8割以上を占めるA-net路線の新千歳空港への 集約によって利用者の減少は避けられず、更に将来的な北海道新幹線の札幌延伸の影響などによ り、空港利用者の一層の減少が懸念される。 〔 丘珠空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 ㈱エアーニッポンネットワーク ㈱北海道エアシステム 合 計 H16年 H17年 H18年 - - 369,614 320,032 49,582 369,614 373,191 322,657 50,534 373,191 (単位:人) H20年 H19年 - - - 379,326 362,741 347,769 330,199 318,520 285,044 49,127 44,221 62,725 379,326 362,741 347,769 (国土交通省「航空輸送統計調査」による) <空港機能> ● 丘珠空港の滑走路延長は1,500メートルであるため、離着陸できる機材が限られていることに 加え、周辺住民との合意により、1日の運航便数に上限が設けられている。 また、札幌市の中心部から近いという利点がある一方、直行バスのダイヤが限定されているほ か、地下鉄駅から離れているなど、公共交通によるアクセスの利便性が十分でない。 - 46 - ● 丘珠空港は冬季間における激しい降雪や強風などの影響を受ける立地条件にあり、道内の各空 港と比較しても降雪量が多い空港であることから、冬季間における就航率が低い状況にある。 〔 丘珠空港における就航率 〕 100.0% 年間 95.0% 冬季間 90.0% 85.0% 80.0% H 15年度 区 分 年 間 冬季間(12~2月) H 1 6年度 H15年度 95.8% 87.8% H 1 7年度 H16年度 94.6% 84.6% H 1 8年度 H1 9年度 H17年度 H18年度 H19年度 95.3% 95.3% 96.0% 86.2% 89.5% 88.1% (国土交通省「空港の利用状況」による) <多様な空港利用> ● 丘珠空港は自衛隊との共用空港であるが、航空旅客の輸送に加え、防災基地としての機能や、 遊覧飛行などの観光事業、スカイスポーツ活動やプライベートジェットの発着など、幅広い用途 に活用されている。 <丘珠空港を取り巻く課題(総括)> ・ 丘珠空港においては、道内経済の低迷に加え、A-net路線の新千歳空港への集約など により、利用者数の減少が進むことが懸念されるとともに、路線の減少による利用者利便性 の低下、更にはビル使用料収入の減少により、空港ビルの運営にも影響を与える恐れがある。 また、今後の北海道新幹線の札幌延伸により、空港利用者の一層の減少も予想され、将来 的には空港のあり方にも影響を及ぼす可能性もある。 ・ そのため、A-net撤退後に残る路線の維持や、将来的な新規路線の開設などにより、 旅客需要の維持・拡大を図るとともに、交通アクセスの改善など利用者利便の向上に向け、 札幌市をはじめとする関係自治体や地域の関係者の一層積極的な取組が求められる。 - 47 - (2)丘珠空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 道央広域連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 新千歳空港と一体となって道内航空ネットワークの中核を担う空港 ◆ ビジネス需要に応える空港 ◆ ◆ 【道内航空ネットワークの姿】 道内各地域と道央広域連携地域の中核都市との交流や経済活動を促進するとともに、医療など道 民の安全・安心で快適な暮らしを支える「新千歳空港と一体となって道内航空ネットワークの中核 を担う空港」をめざす。 また、都市型空港としての利点を活かし、札幌市など道央広域連携地域の中核都市や地方の企業 活動を支える「ビジネス需要に応える空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 新千歳空港との役割分担を踏まえながら、当面は㈱北海道エアシステムが運航する路線の維 持を図るとともに、今後の航空を取り巻く情勢の推移や需要動向などを見極めながら、他の航 空会社による運航も視野に入れ、道内路線の充実や道外を含めた新規路線の開設をめざす <新千歳空港との役割分担の考え方> ◆ 新千歳空港と一体となって、札幌市など道央広域連携地域と道内各地の交流を支える道内航 空ネットワークの中核を担う ●新千歳空港 ・観光やビジネスなど本道の経済活動を支える空港 ・道外空港と道内各空港の中継機能を果たす空港 ●丘珠空港 ・札幌市と地方のビジネス需要に応え、企業活動を支える空港 ・札幌市などが有する高度医療機能などに対する地方のニーズに応える空港 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [利便性に配慮した航空ネットワークの形成] ○ 丘珠空港は住民との合意により、1日に運航できる便数に上限が設けられているが、道内各地 域の経済活動を支えるためには、利用者の利便性向上が重要である。 このため、地域住民の理解を前提として、新千歳空港との役割分担の下、道内各地域からの日 帰りが可能となるようなダイヤ設定や需要動向を見極めた新たな路線の開設など、航空利用者の 利便性に配慮した航空ネットワークの形成に取り組む。 《主な取組》 ・ 新千歳空港との役割分担の下、㈱北海道エアシステムが運航する路線の維持とともに、他の 航空会社の誘致なども視野に入れながら、将来的な新規路線の開設を図る ・ 道内各空港からの日帰りが可能となるようなダイヤ設定や空港運用時間の延長など、利用者 の利便性を向上させる航空ネットワークの形成を図る - 48 - [航空需要の拡大] ○ 道内経済の低迷による旅客需要の伸び悩みや、㈱エアーニッポンネットワーク(A-net)路線の 新千歳空港への集約、北海道新幹線の札幌延伸による函館路線への影響、高速道路などの幹線道 路ネットワークの整備の進展などにより、航空需要の流出・減少が懸念されている。 このため、新千歳空港との役割分担の下、札幌市や地元経済界が一体となって、利用者の中心 であるビジネス需要の維持・拡大とともに、新たな需要の創出に取り組む。 《主な取組》 ・ 地元経済界などと連携し、ビジネス需要の維持・拡大に取り組むとともに、生活に密着した 利用や地域間交流の促進を図る ・ 丘珠空港を活用した旅行商品の開発や各種の情報発信などにより、観光需要の創出を図る - 49 - <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい道央広域連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ 道央広域連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空 港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実] ○ 丘珠空港が札幌市など道央広域連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するために は、誰もが利用しやすい空港として整備していくことが重要であるが、A-net路線の新千歳空港 への集約により、空港ビルを含めた空港機能の低下が懸念されている。 このため、騒音の軽減など周辺住民の日常生活に配慮しながら、空港機能を維持・充実すると ともに、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフト面の充実にも取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る ・ 空港ビルを含めた空港機能の維持に取り組む [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の高質化 を図ることが必要である。また、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全 ・安心の確保や環境への配慮、離着陸できる機材が限られていることから、航空会社の動向を踏 まえた滑走路延長問題への対応も求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の高質化を図るとともに、防災・防犯対 策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る [交通アクセスの充実] ○ 丘珠空港は、札幌市中心部に近いという都市型空港としての利点を有する一方で、直行バスの ダイヤが限定されているほか、地下鉄駅から離れているなど、公共交通によるアクセスの利便性 が十分でない。また、新千歳空港と一体となって、道内航空ネットワークを充実させるためには、 新千歳空港とのアクセスを強化する必要がある。 このため、空港から目的地までの移動の利便性向上、新千歳空港とのアクセス強化に向け、交 通アクセスの充実に取り組む。 《主な取組》 ・ 札幌市内へのアクセス改善など、空港利用者の利便性を重視した交通アクセスの充実を図る ・ 北海道新幹線の札幌延伸を視野に入れ、丘珠空港を経由した道内他都市への移動の利便性の 向上にも配慮する ・ 北海道縦貫自動車道など様々な交通手段の活用や、他の公共交通機関との連携を図ることに より、丘珠空港と新千歳空港間のアクセス強化を図る - 50 - <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 札幌市の都市機能や周辺地域の観光資源、地域の産業振興・観光振興などの各種プロジェクト との連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 札幌市周辺には、大規模な商業施設や様々な文化・スポーツ施設などが充実しているほか、小 樽運河周辺や定山渓温泉などの全国的な観光スポットなどがあり、これらが地域の魅力の一つと なっている。また、札幌市の都市機能などを活かした様々な産業の集積が望まれる。 このため、道内外からの観光客の誘致や基幹産業の一つである観光産業をはじめとする産業の 振興に向け、地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用した広域観光ルートの形成や、地域の魅力の発信に 取り組む ・ ◆ 札幌市の都市機能などを活用した産業の振興を図る 地域と共生する空港 ◆ 市街地に隣接している空港として、空港周辺地域の住民や、乗客以外の空港利用者と空港の交 流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 市街地に近接している空港として、空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるた めには、航空機利用者だけではなく、地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくり が不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める ・ 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する ・ 空港周辺地域の緩衝緑化の整備や住環境の整備など、快適で住みやすいまちづくりに向けた 取組を推進する - 51 - 3 函館空港の将来展望 (1)函館空港の現状と課題 ◎ 函館空港は北海道南部の経済や観光の中心地である函館市内中心部から約10kmの海岸沿いに位 置し、昭和36年の開港以来、新千歳空港に次ぎ道内第2位の輸送量を誇る、北海道南部の空の玄 関口となっている。 [沿革] 昭和36年 昭和46年 昭和53年 平成6年 平成11年 平成17年 函館空港開港(滑走路1,200m) ターミナルビル供用、滑走路延長(2,000m) 滑走路延長(2,500m) 国際定期路線(ユジノサハリンスク)開設 滑走路延長(3,000m) 新ターミナルビル供用 <航空ネットワークの動向> ● 函館空港は羽田などとを結ぶ道外路線、奥尻島とを結ぶ離島路線などの道内路線、北海道とロ シアを結ぶ最初の定期路線であるユジノサハリンスク線やソウル線が開設されており、道南連携 地域の空の玄関口としての役割を果たしているが、国内線については直近10年間で最も多くの路 線が結ばれていた平成11年に比べ、平成20年には7路線減の3路線となっており、特に関西以西 の空港とを結ぶ路線の休止が目立っている。 また、台湾などからの国際チャーター便が好調で、平成16年から平成19年までは道内空港で最 も多くのチャーター便が就航していたが、昨今の世界的な不況や円高などの影響により平成20年 後半から激減し、平成21年に入っても減便に歯止めがかかっていない。 ● 国際線、国内線の利用者数は年々減少しており、平成20年は5年前と比較して約20%減の170 万人となっている。 また、今後の北海道新幹線の「新青森-新函館」間の開業や北海道縦貫自動車道の整備などに よる航空需要の流出や、それに伴う路線への影響が予想される。 〔 函館空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 103,891 2,084,443 2,188,334 H17年 146,645 1,946,017 2,092,662 (単位:人) H18年 H19年 H20年 123,852 129,788 125,157 1,895,288 1,771,744 1,618,505 2,019,140 1,901,532 1,743,662 (国土交通省「空港管理状況調書」による) <函館-ユジノサハリンスク線> ● 函館空港を発着する2本の国際定期航空路線のうち、函館-ユジノサハリンスク線については、 サハリン2プロジェクトの終了などを背景として搭乗率が低迷したことにより、平成21年4月下 旬以降、欠航が相次いでいる。 <函館空港を取り巻く課題(総括)> ・ 函館空港においては、地域経済の低迷とともに、平成27年度に予定されている北海道新幹 線「新青森-新函館」間の開業により、首都圏方面の利用者の大幅な流出が懸念される。更 に、将来的には北海道新幹線の札幌延伸によって、丘珠空港や新千歳空港を結ぶ路線の利用 者の一層の減少も懸念される。また、道南連携地域の将来人口も平成47年には現在より34% の大幅な減少と予想されており、それによる旅客需要の減少などにより、函館空港の利用者 の一層の減少や航空ネットワークの再編が進む恐れがある。 ・ 函館空港が今後とも道南連携地域の拠点空港としての役割を担っていくためには、奥尻空 港との連携や、北海道新幹線新函館駅(仮称)と函館空港のアクセス向上などにより、新幹線 の利用者の函館空港利用の増加に向けた方策の検討を進めるなど、函館市をはじめとする関 係自治体や函館空港利用促進協議会など地域の関係者の一層積極的な取組が求められる。 - 52 - (2)函館空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 道南連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 道南連携地域の空の玄関口として、ロシア・韓国など海外主要都市と道南連携地域の交流を支え る「国際航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 新幹線など他の交通機関との役割分担や連携を視野に入れながら、道外主要都市と道南連携地域 との交流による観光産業など地域産業の振興や道民の快適な暮らしなどを支える「国内航空ネット ワークを担う空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 道内各地域との交流や離島住民の生活環境の維持向上や、経済活動の活発化を促進するとともに、 医療など道民の安全・安心で快適な暮らしを支える「道内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、国際チャーター便の誘致や東アジア地域な どを対象とした新規路線の就航をめざす。また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や需要動向 などを見極めながら、北海道新幹線新函館駅での乗り換えに対応した道内各地への路線の充実 や道外の運休路線の再開(関西)などをめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致・拡充] ○ ユジノサハリンスク線が平成21年4月下旬以降、欠航が相次でいるなど、函館空港と海外とを 結ぶ定期路線の利用客数が低迷しているほか、近年、国際チャーター便も激減している。 このため、既存路線の利用促進を図るとともに、将来的な定期便化を視野に入れた国際チャー ター便や既存の航空会社・LCCなどに対する新たな路線の誘致、誘客対象を明確にしたプロモ ーション活動の実施など、国際航空路線の効果的な誘致・拡充などに取り組む。 《主な取組》 ・ 今後、一層の交流拡大が見込める中国をはじめとする東アジア地域などとの新たな路線の開 設及び既存路線の拡充に向けた取組を重点的に展開する [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 函館空港においては航空需要の低迷などにより、ピーク時の10路線から現在は3路線となるな ど、道内外の空港とを結ぶ路線の休止・減便が相次いでいることから、新たな航空会社の参入な どによる国内・道内路線の維持・拡充や運休路線の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、道内外空港との路線の維持・拡充、 再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う - 53 - [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 函館空港においては、利用者数が年々減少していることに加え、今後の北海道新幹線の開業や、 高速道路などの幹線道路ネットワークの整備の進展による他の交通機関への航空需要の流出が懸 念される。更には、道南連携地域の将来人口も大幅に減少(H17 50万人→H47 33万人)することが 予想されている。 このため、地域や関係団体などと一体となって旅客需要の拡大に取り組むとともに、北海道新 幹線の開業により、青函交流の活発化が期待される北東北地域との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外から道南連携地域への誘客促進を図るため、地域の新たな魅力の発掘や効果的なPR活 動、ホスピタリティの向上を展開する ・ 交流拡大が見込める中国など東アジア地域を中心に、函館空港振興協議会など関係団体や青 森県など北東北地域と連携した積極的かつ効果的な観光客などの誘致活動を展開する ・ 海外への修学旅行など道民のパスポート取得を促進する取組や、航空会社・各国政府観光局 などと連携した効果的なアウトバウンド促進対策を展開する ・ 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する [離島路線の維持] ○ 過疎化や高齢化の進行などの影響による航空利用者の減少や運航コストの上昇など、離島航空 路を取り巻く環境は厳しさを増している。 このため、離島振興のための諸施策との連携を図りながら需要を喚起し、離島航空路の維持に 取り組む。 《主な取組》 ・ 運航費補助による航空事業者への支援、地元住民を対象とした航空運賃助成、北海道地域航 空推進協議会等との連携事業など、必要な支援策を展開する ・ フェリーとの接続改善など利用者利便の向上を図るとともに、離島周遊観光など新たな旅行 商品の開発により、誘客促進を図る - 54 - <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい道南連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ 道南連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港」 をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実] ○ 函館空港が函館市など道南連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、 誰もが利用しやすい空港として整備するとともに、函館空港-新千歳空港間の交通アクセスの状 況を踏まえ、新千歳空港の悪天候時などにおける代替空港としての役割を担うことができる空港 機能の確保が求められている。 このため、空港機能の維持・充実とともに、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソ フト面の充実にも取り組む。 《主な取組》 ・ ユニバーサルデザインの考え方などを踏まえた、すべての人にとって利用しやすい空港の実 現や、新千歳空港の代替空港としての役割を担うため、必要な空港機能の維持・充実を図る [他の交通機関との連携強化] ○ 北海道新幹線「新青森-新函館」間の開業などを踏まえ、利用者の利便性向上や航空路線の維 持を図るため、他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ 北海道新幹線「新青森-新函館」間の開業を視野に入れながら、鉄道やバス、タクシーなど 他の公共交通機関との連携を図る [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の高質化 とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環境へ の配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の高質化を図るとともに、防災・防犯対 策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る - 55 - <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 道南連携地域の豊かな自然環境・観光資源の活用や、地域の産業振興・観光振興などの各種プ ロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」をめざ す。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 道南連携地域には、赤レンガ倉庫群や五稜郭公園などの観光スポットとともに、松前城や縄文 文化などの歴史的文化財などが地域の魅力の一つになっている。また、函館市の都市機能や函館 港の物流機能と連携し、様々な産業の集積が望まれる。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、道南連携 地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や広域観光ルートの形成など に取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 56 - 4 旭川空港の将来展望 (1)旭川空港の現状と課題 ◎ 旭川空港は旭川市と東神楽町にまたがり、旭川市中心部から約16km東に位置し、旭山動物園に 代表される周辺観光の盛況や、ソウルとの国際航空路線の開設等により、国内外の多くの観光客 に利用されている。 [沿革] 昭和41年 昭和55年 昭和57年 昭和57年 昭和57年 平成10年 平成12年 平成18年 旭川空港開港(滑走路1,200m) 第2種B空港に政令指定 空港供用開始(滑走路1,640m) 新ターミナルビル完成 滑走路延長(2,000m) 滑走路延長(2,500m) 新空港ターミナルビル供用 国際定期路線開設 <航空ネットワークの動向> ● 旭川空港は羽田などとを結ぶ道外路線や、道北連携地域と道南連携地域の交流を支える函館線、 道北連携地域における唯一の国際線であるソウル線が開設されており、近年は旭山動物園効果な どで利用者数が伸びていたが、昨今からの急激な景気の悪化や関西線休止の影響により、利用者 数の大幅な減少が予想されるとともに、国際線においてもソウル線の利用者数が伸び悩んでいる など、空港を取り巻く状況は厳しさを増している。 また、北海道縦貫自動車道の整備の進展により、自家用車やバスなどによる都市間移動の利便 性向上が見込まれ、旭川空港の利用者が新千歳空港や他の交通機関へ分散することも予想される。 〔 旭川空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 48,344 1,069,558 1,117,902 H17年 68,956 1,115,594 1,184,550 (単位:人) H18年 H19年 H20年 86,386 87,917 88,134 1,179,050 1,165,246 1,232,065 1,265,436 1,253,163 1,320,199 (国土交通省「空港管理状況調書」による) <旭川-ソウル線> ● 旭川-ソウル線については、景気後退や円高ウォン安の影響を受けて韓国からの旅行需要が落 ち込んでいたところに、新型インフルエンザの影響などが重なり、平成21年11月から一時休止し、 12月末から運航を再開していたが、平成22年3月から再び運休となる予定である。 <旭川空港を取り巻く課題(総括)> ・ 旭川空港においては、北海道縦貫自動車道の整備の進展により、自家用車やバスなどによ る都市間移動の利便性が向上し、旭川空港利用者が他の交通機関や新千歳空港に流出するこ とが懸念されている。また、新千歳空港と結ぶ路線の開設が難しい地理的条件にある。更に、 平成22年3月より唯一の国際定期路線であるソウル線が運休予定であることから、CIQな ど空港機能の低下も懸念される。加えて、道北連携地域の将来人口も平成47年には現在より 30%の大幅な減少と予想されており、それによる旅客需要の減少などで、近年好調である旭 川空港の利用者が減少に転じる可能性がある。 ・ 今後とも、旭川空港を道北連携地域における空の玄関口としていくためには、旭山動物園 など地域の魅力を最大限に活用し、旅客需要を創出するとともに、運休路線の再開や新たな 路線開設に向け、旭川市をはじめとする関係自治体及び旭川空港利用拡大期成会など地域の 関係者の一層積極的な取組が求められる。 - 57 - (2)旭川空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 道北連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 道北連携地域の空の玄関口として、東アジアなどの海外主要都市と道北連携地域の交流を支える 「国際航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 高速道路を利用した他の交通機関との役割分担や連携を視野に入れながら、道外主要都市と道北 連携地域との交流による観光産業など地域産業の振興や道民の快適な暮らしなどを支える「国内航 空ネットワークを担う空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 道南連携地域との交流や道民の快適な暮らしなどを実現する「道内航空ネットワークを担う空港」 をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、国際チャーター便の誘致や東アジア地域な どを対象とした新規路線の就航をめざす。また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や需要動向 などを見極めながら、道内外の運休路線の再開(仙台、新潟など)や既存路線の充実などをめざ す。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致・拡充] ○ 旭川空港と海外とを結ぶ唯一の定期路線であるソウル線が景気後退や円高ウォン安、新型イン フルエンザなどの影響による旅行需要の低迷により平成22年3月から運休となる予定である。 このため、路線の維持に向けた利用促進の強化を図るとともに、将来的な定期便化を視野に入 れた国際チャーター便や既存の航空会社・LCCなどに対する新たな路線の誘致、誘客対象を明 確にしたプロモーション活動を実施するなど、国際航空路線の効果的な誘致・拡充に取り組む。 《主な取組》 ・ 今後、一層の交流拡大が見込める中国をはじめとする東アジア地域などとの新たな路線の開 設及び既存路線の拡充、再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 旭川空港においては、航空需要の低迷などにより、道内外の空港とを結ぶ路線の休止・減便が 相次いでいることから、利用者の利便性向上や航空路線の維持を図るため、他の公共交通機関な どとの連携も視野に入れながら、新たな航空会社の参入などによる国内・道内路線の維持・拡充、 運休路線の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、道内外空港との路線の維持・拡充、 再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う - 58 - [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 旭川空港においては、旭山動物園効果により利用者数は安定しているが、近年の国際線利用者 の減少に加え、今後の北海道新幹線の札幌延伸や高速道路などの幹線道路ネットワークの整備の 進展による他の交通機関への航空需要の流出が懸念される。更には、道北連携地域の将来人口も 大幅に減少(H17 67万人→H47 47万人)することが予想されていることから、地域や関係団体など と一体となって旅客需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外から道北連携地域への誘客促進を図るため、地域の新たな魅力の発掘や効果的なPR活 動、ホスピタリティの向上を展開する ・ 交流拡大が見込める中国など東アジア地域を中心に、旭川空港利用拡大期成会など関係団体 と連携した積極的かつ効果的な観光客などの誘致活動を展開する ・ 海外への修学旅行など道民のパスポート取得を促進する取組や、航空会社・各国政府観光局 などと連携した効果的なアウトバウンド促進対策を展開する ・ 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい道北連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ 道北連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港」 をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実など] ○ 旭川空港が道北連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰もが利用 しやすい空港として整備するとともに、旭川空港-新千歳空港間の交通アクセスの状況を踏まえ、 新千歳空港の悪天候時などにおける代替空港としての役割を担うことができる空港機能の確保が 求められている。 このため、空港機能の維持・充実とともに、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソ フト面の充実にも取り組む。 また、鉄道やバス、タクシーなど他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ ユニバーサルデザインの考え方などを踏まえた、すべての人にとって利用しやすい空港の実 現や、新千歳空港の代替空港としての役割を担うため、必要な空港機能の維持・充実を図る [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の高質化 とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環境へ の配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の高質化を図るとともに、防災・防犯対 策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る - 59 - <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 道北連携地域の豊かな自然環境・観光資源の活用や、地域の産業振興・観光振興などの各種プ ロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」をめざ す。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 旭山動物園や富良野周辺のラベンダーなどの観光資源とともに、温泉、大雪山などの雄大な景 観などが地域の魅力の一つとなっている。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、道北連携 地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や広域観光ルートの形成など に取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 60 - 5 稚内空港の将来展望 (1)稚内空港の現状と課題 ◎ 稚内空港は日本最北のジェット化空港として、稚内市の中心部から約12kmの海岸線に位置して おり、昭和35年に北海道最初の第2種空港として開港以来、最北の地と札幌を結ぶ路線など宗谷 地域にとって重要な役割を果たしている。 [沿革] 昭和35年 昭和62年 昭和63年 平成10年 平成21年 稚内空港開港(滑走路1,200m) 滑走路延長(1,800m) 滑走路延長(2,000m) ターミナルビル増築 滑走路延長(2,200m) <航空ネットワークの動向> ● 稚内空港からは羽田とを結ぶ国内定期路線、関西や中部とを結ぶ季節運航路線、新千歳、丘珠 とを結ぶ道内路線が開設されており、羽田線については地方航空ネットワークの維持・充実を図 るための「3便ルール」により直行便が担保されているが、道内線を含めた国内線利用者数は、 地域経済の低迷による道内路線の搭乗率の低下などもあり、年々減少している。また、平成22年 7月より丘珠路線が新千歳空港へ集約されることから、稚内空港における航空ネットワークの再 編が予想される。 〔 稚内空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 H17年 255,111 255,111 239,177 239,177 (単位:人) H19年 H20年 989 229,679 221,705 197,500 229,679 222,694 197,500 (国土交通省「空港管理状況調書」による) H18年 <空港機能> ● 冬季間の悪天候による欠航や他空港への代替着陸が相次ぎ、就航率が大きく落ち込んでいたこ とから、冬季間などにおける安定運航対策として、平成19年度から滑走路の改良整備が進められ、 平成21年11月に供用開始となっている。 内 効 容 果 滑走路延長(2,000m→2,200m) ・追風緩和(計器着陸装置を利用した着陸機会の増加) ・着陸重量制限の緩和 ・搭載燃料の増加により上空待機時間の延長による着陸機会の増加 〔 稚内発着路線の就航率(平成20年度) 〕 区 分 予定便数 就航便数 就 航 率 4月 5月 6月 180 186 360 178 186 360 98.9 100.0 100.0 7月 8月 9月 10月 11月 12月 372 366 98.4 372 300 186 370 300 186 99.5 100.0 100.0 180 163 90.6 186 156 83.9 1月 2月 (単位:便、%) 3月 合 計 186 160 86.0 168 114 67.9 186 172 92.5 2,862 2,711 94.7 (北海道新幹線・交通企画局調べ) <稚内-ユジノサハリンスク間定期航空路の開設要望> ● 道北連携地域とサハリンとの交流を更に促進するためには、現在就航中のフェリーに加え、新 たに航空路線を開設するなど、ロシアとのアクセスの強化が求められている。 - 61 - <稚内空港を取り巻く課題(総括)> ・ 稚内空港における定期路線は3路線で、それぞれ1日1便の運航であり、航空ネットワー クの充実が望まれているが、平成22年7月には丘珠路線が新千歳空港に集約されるなど、利 便性の低下が懸念される。加えて、道北連携地域の将来人口が平成47年には現在より30%の 大幅な減少と予想されており、それによる旅客需要の減少などで稚内空港の利用者の一層の 減少や空港機能の低下が進む恐れがある。 ・ 航空機は、離島を含めた宗谷地域における重要な交通手段であることから、路線の維持・ 充実に向け、宗谷地域の豊かな観光資源を活かした観光振興の推進による旅客需要の拡大、 宗谷地域の魅力の発信、住民の旅行需要の創出など、稚内市をはじめとする関係自治体や稚 内空港高度利用協議会など地域の関係者の一層積極的な取組が求められる。併せて、稚内空 港だけではなく、旭川や紋別など周辺空港との連携を図るといった新たな視点からの利用促 進の検討も求められる。 (2)稚内空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 道北連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 地域の魅力の発信を進めるとともに、地域の認知度や地域イメージの向上を図りながら、国際チ ャーター便の誘致をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 旭川空港や女満別空港など道北連携地域、オホーツク連携地域の空港との役割分担や連携を視野 に入れながら、道外主要都市と道北連携地域との交流による観光産業など地域産業の振興や道民の 快適な暮らしなどを支える「国内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 道央広域連携地域の中核都市などとの交流や経済活動の活発化を促進するとともに、医療など道 民の安全・安心で快適な暮らしを支える「道内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、国際チャーター便の積極的な誘致をめざす。 また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や需要動向などを見極めながら、首都圏や関西圏など の路線の充実などをめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致] ○ 地域の認知度や地域イメージの向上を図るため、誘客対象を明確にしたプロモーション活動を 実施するとともに、既存の航空会社やLCCなどに対する国際チャーター便の積極的な誘致に取 り組む。 - 62 - 《主な取組》 ・ ユジノサハリンスクなどとの路線開設に向け、地域が一体となって、国際チャーター便の積 極的な誘致を展開する [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 稚内空港においては、航空需要の低迷などにより、道内外の空港とを結ぶ路線の休止・減便が 相次いでいることから、利用者の利便性向上や航空路線の維持を図るため、他の公共交通機関な どとの連携も視野に入れながら、新たな航空会社の参入などによる国内・道内路線の維持・拡充 や運休路線の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、羽田空港との直行便の維持・拡充と ともに、道内外の空港とを結ぶ路線の充実、再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 稚内空港においては、羽田空港や道央地域の空港とを結ぶ路線が開設されているが、地域経済 の低迷などにより、利用者数は年々減少している。更には、道北連携地域の将来人口も大幅に減 少(H17 67万人→H47 47万人)することが予想されている。しかし、地域住民の快適な生活や移動 手段を確保するためにも既存路線の維持は不可欠であることから、地域や関係団体などと一体と なって旅客需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外から離島など道北連携地域への誘客を促進するため、離島周遊観光など旅行商品の開発 や、地域の新たな魅力の発掘、効果的なPR活動を展開する ・ 稚内空港高度利用協議会など関係団体と連携した積極的かつ効果的な誘客活動を展開する ・ 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい道北連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ 稚内市など道北連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しや すい空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実など] ○ 稚内空港が道北連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰もが利用 しやすい空港として整備していくことが重要である。 このため、空港機能の維持・充実に加え、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフ ト面の充実にも取り組む。 また、フェリーや鉄道、バス、タクシーなど他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る ・ 離島フェリーとのダイヤ調整など、利用者の利便性向上に向け、他の交通機関との連携強化 に取り組む - 63 - [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の高質化 とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環境へ の配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の高質化を図るとともに、防災・防犯対 策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 平成21年度完了の滑走路延長事業の効果などを検証しつつ、悪天候時における就航率の向上 や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 稚内市など道北連携地域の豊かな自然環境・観光資源の活用や、地域の産業振興・観光振興な どの各種プロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空 港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 離島の個性豊かな自然や風土とともに、ラムサール条約登録湿地のサロベツ原野やクッチャロ 湖などが地域の魅力の一つとなっている。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、道北連携 地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や広域観光ルートの形成など に取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 64 - 6 釧路空港の将来展望 (1)釧路空港の現状と課題 ◎ 釧路空港は北海道東部の経済、産業の中心である釧路市と白糠町にまたがり、釧路市中心部か ら北西に約20km、海から5kmの丘陵上に位置し、昭和36年の開港以来、航空需要の増加と航空機 の大型化に対応した空港の拡張整備を行い、道東地域の拠点空港として重要な役割を担っている。 [沿革] 昭和36年 昭和48年 昭和59年 平成元年 平成7年 平成8年 平成12年 平成18年 釧路空港開港(滑走路1,200m) 滑走路延長(1,800m) 滑走路延長(2,100m) 滑走路延長(2,300m) 高性能ILS(CATⅢa)供用 新ターミナルビル供用 滑走路延長(2,500m) 高性能ILS(CATⅢb)供用 <航空ネットワークの動向> ● 釧路空港からは、羽田や中部とを結ぶ国内定期路線、関西や伊丹とを結ぶ季節運航路線、また、 新千歳や丘珠、函館など道央広域連携地域、道南連携地域との交流を支える道内路線が開設され ているが、道内線を含めた国内線利用者は、ここ5年間で最も多い平成17年の約90万人から平成 20年は13%減の約78万人まで減少しており、加えて平成22年に予定されている関西線、中部線の 休止、更には平成22年7月より丘珠路線が新千歳空港へ集約されるなど、釧路空港における航空 ネットワークの再編が予想される。 また、台湾からの国際チャーター便が好調で、平成16年には300便を超えるチャーター便が運 航されていたが、昨今の不況や円高などの影響などにより平成20年後半から激減し、平成21年に 入っても減便に歯止めがかかっていない。 〔 釧路空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 34,747 888,934 923,681 H17年 48,201 903,992 952,193 (単位:人) H18年 H19年 H20年 33,209 29,696 21,731 876,495 847,546 782,770 909,704 877,242 804,501 (国土交通省「空港管理状況調書」による) <空港機能> ● 釧路空港は、この地域特有の濃霧による欠航が発生していたが、この問題を解消させるため、 電波で飛行機を誘導するILS(Instrument Landing System:計器着陸装置)の整備が行われ、平 成7年に当時、国内では最も性能の高いカテゴリーⅢa、更に平成18年には、より高性能なカテ ゴリーⅢbが運用開始となり、就航率と定時性が向上している。 - 65 - ● 空港へのアクセスを改善することにより、コミューター航空路線の利用率を向上させるため、 平成21年度に空港連絡バスやレンタカー、タクシーを活用した実証実験を行っている。 <釧路空港を取り巻く課題(総括)> ・ 釧路空港においては、平成22年5月以降、定期路線である中部線や季節運航路線である関 西線が休止予定であり、関東以西とのネットワークの利便性の低下が懸念される。また、国 際チャーター便の激減などに加え、釧路・根室連携地域の将来人口が平成47年には現在より 34%の大幅な減少と予想されており、それによる旅客需要の減少などで釧路空港の利用者の 一層の減少が進む恐れがある。 ・ 今後とも、釧路・根室連携地域の拠点空港としていくためには、これまでの地域の利用促 進に向けた取組に加え、広域的な連携を図るなど、空港の利用者増加などに向け、釧路市を はじめとする関係自治体や釧路空港整備促進協議会、釧路空港国際化推進協議会など地域の 関係者の一層積極的な取組とともに、道東地域の他の空港や地域との連携強化が求められる。 (2)釧路空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 釧路・根室連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 釧路・根室連携地域の空の玄関口として、東アジアなどの海外主要都市と釧路・根室連携地域の 交流を支える「国際航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 中標津空港など他の道東地域の空港との役割分担や連携を視野に入れながら、道外主要都市と釧 路・根室連携地域との交流による観光産業など地域産業の振興や道民の快適な暮らしなどを支える 「国内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 道央広域連携地域の中核都市などとの交流や経済活動の活発化を促進するとともに、医療など道 民の安全・安心で快適な暮らしなどを支える「道内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、将来的な国際定期航空路線の開設も視野に 入れ、国際チャーター便の積極的な誘致をめざす。また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や 需要動向などを見極めながら、道内外の運休路線の再開(仙台、関西など)や道内外路線の充実 などをめざす。 - 66 - 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致] ○ 近年の世界的な景気後退や新型インフルエンザなどの影響により、国際チャーター便の運航が 激減していることから、将来的な定期便化を視野に入れた国際チャーター便や既存の航空会社・ LCCなどに対する新たな路線の誘致、誘客対象を明確にしたプロモーション活動を実施するな ど、国際航空路線の効果的な誘致に取り組む。 《主な取組》 ・ 地域が一体となって、定期便化を視野に入れた国際チャーター便の積極的な誘致を展開する [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 釧路空港においては、航空需要の低迷などにより、道内外の空港とを結ぶ路線の休止・減便が 相次いでいることに加え、平成22年には中部線や季節運航の関西線が休止予定であるなど、一段 と厳しさが増すことから、利用者の利便性向上や航空路線の維持を図るため、他の公共交通機関 などとの連携も視野に入れながら、新たな航空会社の参入などによる国内・道内路線の維持・拡 充や運休路線の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、羽田空港との直行便の維持・拡充と ともに、道内外空港とを結ぶ路線の充実、再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 釧路空港においては、道内外路線の休止・減便や国際チャーター便の激減により、利用者が年 々減少していることに加え、今後の北海道新幹線の札幌延伸や高速道路などの幹線道路ネットワ ークの整備の進展による他の交通機関への航空需要の流出が懸念される。更には、釧路・根室連 携地域の将来人口も大幅に減少(H17 35万人→H47 23万人)することが予想されていることから、 地域や関係団体などと一体となって旅客需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外から釧路・根室連携地域への誘客促進を図るため、地域の新たな魅力の発掘や効果的な PR活動を展開する ・ ・ 釧路空港整備促進協議会や釧路空港国際化推進協議会など関係団体と連携した積極的かつ効 果的な誘客活動を展開する 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する - 67 - <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい釧路・根室連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ 釧路・根室連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい 空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実など] ○ 釧路空港が釧路・根室連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰も が利用しやすい空港として整備していくことが重要である。 このため、空港機能の維持・充実に加え、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフ ト面の充実にも取り組む。 また、鉄道やバス、タクシーなど他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の高質化 とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環境へ の配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の高質化を図るとともに、防災・防犯対 策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 平成18年度に完了したILS高度化事業(CATⅢ-b)の効果を勘案しながら、悪天候時に おける就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る - 68 - <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 釧路・根室連携地域の豊かな自然環境・観光資源の活用や、地域の産業振興・観光振興などの 各種プロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」 をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 釧路湿原や阿寒湖、摩周湖などの豊かなで神秘的な自然環境や、雌阿寒岳などの雄大な景観が 地域の魅力の一つとなっている。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、釧路・根 室連携地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や広域観光ルートの形成など に取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 69 - 7 帯広空港の将来展望 (1)帯広空港の現状と課題 ◎ 帯広空港は日本有数の畑作地帯が広がる十勝平野の中心都市である帯広市から約25km南に位置 し、昭和56年に旧空港から現在の場所に移転して供用されている。気象条件が良いことから道内 空港の中でも高い就航率を誇り、首都圏などと十勝連携地域を短時間で結ぶとともに、台湾など 海外から十勝連携地域への観光需要に応えるなど、道東地域における空の玄関口の一角を担って いる。 [沿革] 昭和12年 昭和31年 昭和39年 昭和47年 昭和56年 昭和56年 昭和60年 旧海軍飛行場設置 陸上自衛隊使用開始 帯広空港開港(滑走路1,200m) 滑走路延長(1,500m) 旧空港供用廃止(防衛庁十勝飛行場となる) 新帯広空港開港(滑走路2,000m) 滑走路延長(2,500m) <航空ネットワークの動向> ● 帯広空港からは羽田、名古屋とを結ぶ定期路線と、季節運航である関西線が就航し、国内線利 用者数は年間60万人台で推移しているが減少傾向にあり、加えて平成22年に予定されている関西 線の休止や北海道横断自動車道の整備などにより、帯広空港の利用者が新千歳空港へ流出するこ とが予想される。 また、台湾からの国際チャーター便が好調で、平成16年には300便を超えるチャーター便が運 航されていたが、昨今の世界的な不況や円高などの影響により、平成21年に入って激減している。 〔 帯広空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 43,179 614,571 657,750 H17年 53,703 627,349 681,052 (単位:人) H18年 H19年 H20年 35,476 40,086 34,890 608,828 606,146 585,979 644,304 646,232 620,869 (国土交通省「空港管理状況調書」による) <空港機能> ● 帯広空港は訓練空港としても活用されており、我が国の国際線・国内線のパイロットを養成す る独立行政法人航空大学校帯広分校が隣接している。 <帯広空港を取り巻く課題(総括)> ・ 帯広空港においては、平成23年度に予定されている道東道(占冠IC-夕張IC)の開通な ど北海道横断自動車道の整備の進展により、帯広空港の利用者が新千歳空港へ流出すること が懸念されている。また、新千歳空港と結ぶ路線の開設が難しい地理的条件にある。更に、 平成22年より季節運航である関西線が休止となるほか、国際チャーター便が激減しているこ とや、十勝連携地域の将来人口が平成47年には現在より21%の大幅な減少も予想されており、 それによる旅客需要の減少などで帯広空港の利用者の一層の減少が進む恐れがある。 ・ こうした事態は将来的な空港の方向性にも大きな影響を与える可能性があることから、羽 田路線のダブルトラッキング化の実現などによる利便性の向上に向けた取組に加え、釧路地 域や上川地域などとの広域的な連携を図るなど、空港利用者の増加や利便性向上に向け、帯 広市をはじめとする関係自治体やとかち帯広空港利用促進協議会など地域の関係者の一層積 極的な取組が求められる。 - 70 - (2)帯広空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 十勝連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 十勝連携地域の空の玄関口として、海外主要都市と十勝連携地域や周辺地域の交流を支える「国 際航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 他の道東地域の空港との役割分担や連携を視野に入れながら、道外主要都市と十勝連携地域との 交流による観光産業など地域産業の振興や道民の快適な暮らしなどを支える「国内航空ネットワー クを担う空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、将来的な国際定期航空路線の開設も視野に 入れ、国際チャーター便の積極的な誘致をめざす。また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や 需要動向などを見極めながら、羽田路線のダブルトラッキング化や運休路線の再開など、道内 外路線の充実などをめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致] ○ 近年の世界的な景気後退や新型インフルエンザなどの影響により、国際チャーター便の運航が 激減していることから、将来的な定期便化を視野に入れた国際チャーター便や、既存の航空会社 ・LCCなどに対する新たな路線の誘致、誘客対象を明確にしたプロモーション活動を実施する など、国際航空路線の効果的な誘致に取り組む。 《主な取組》 ・ 地域が一体となって、定期便化を視野に入れた国際チャーター便の積極的な誘致を展開する [国内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 帯広空港においては、航空需要の低迷などにより、道内外の空港とを結ぶ路線の休止・減便が 相次いでいることに加え、平成22年には季節運航の関西線が休止予定であるなど、一段と厳しい 状況になることから、利用者の利便性向上や航空路線の維持を図るため、他の公共交通機関など との連携も視野に入れながら、ダブルトラッキング化の実現や、新たな航空会社の参入などによ る国内路線の維持・拡充、運休路線の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、羽田空港との直行便の維持やダブル トラッキング化などとともに、国内路線の維持・充実、運休路線の再開に向けた航空会社など への働きかけを行う - 71 - [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 帯広空港においては、国内路線の休止・減便や国際チャーター便の減少により、利用者数が伸 び悩んでいることに加え、今後の北海道新幹線の札幌延伸や平成23年度に予定されている道東道 (占冠IC-夕張IC間)の開通をはじめとする高速道路などの幹線道路ネットワークの整備の進 展による他の交通機関への航空需要の流出が懸念される。更には、十勝連携地域の将来人口も大 幅に減少(H17 35万人→H47 28万人)することが予想されていることから、地域や関係団体などと 一体となって旅客需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外から十勝連携地域への誘客促進を図るため、地域の新たな魅力の発掘や効果的なPR活 動を展開する ・ ・ とかち帯広空港利用促進協議会など関係団体と連携した積極的かつ効果的な誘客活動を展開 する 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい十勝連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ 十勝連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港」 をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実など] ○ 帯広空港が十勝連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰もが利用 しやすい空港として整備していくことが重要である。 このため、空港機能の維持・充実に加え、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフ ト面の充実にも取り組む。 また、鉄道やバス、タクシーなど他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の高質化 とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環境へ の配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の高質化を図るとともに、防災・防犯対 策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る - 72 - <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 十勝連携地域の豊かな自然環境・観光資源の活用や、地域の産業振興・観光振興などの各種プ ロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」をめざ す。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 広大な田園風景や雄大な山岳景観など周辺地域の豊かな自然環境とともに、世界でも珍しい植 物性モール温泉やアウトドアスポーツなどの観光資源が地域の魅力の一つとなっている。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、十勝連携 地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や、道東地域及びその周辺地 域との連携強化による広域観光ルートの形成などに取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、地域資源の開発や観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 航空大学校などを活用した地域住民との交流拡大など、空港と地域住民の結びつきを深め、 住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 73 - 8 女満別空港の将来展望 (1)女満別空港の現状と課題 ◎ 女満別空港は昭和60年度に旧空港から現在の場所へ移転、ジェット化空港となったことにより、 網走市と北見市を中心とした地域の航空輸送量は大きく伸び、道内空港の中で上位にランクされ ている。好調な航空需要に対応するため、平成12年に大型機が就航可能な2,500メートル滑走路 が供用され、近年は世界自然遺産に登録された知床の玄関口に位置する空港として、多くの観光 客に利用されている。 [沿革] 昭和10年 昭和17年 昭和27年 昭和36年 昭和38年 昭和60年 平成12年 平成18年 気象観測用飛行場設置 旧海軍飛行場 米軍接収(昭和33年まで) 北海道へ移管 女満別空港開港(滑走路1,200m) 新女満別空港開港(滑走路2,000m) 滑走路延長(2,500m) ターミナルビル増改築 <航空ネットワークの動向> ● 女満別空港からは羽田や中部とを結ぶ国内定期路線、関西とを結ぶ季節運航路線、新千歳、丘 珠とを結ぶ道内路線が開設されているが、道内線を含めた国内線利用者数は、ここ5年間で最も 多い平成18年の約108万人から平成20年は16%減の約90万人まで減少している。また、平成22年 7月より丘珠路線が新千歳空港へ集約されるなど、女満別空港における航空ネットワークの再編 が予想される。 国際チャーター便については知床人気を反映し、平成20年は台湾を中心に100便近いチャータ ー便が運航されていたが、昨今の不況や円高などの影響などにより、平成21年に入って激減して いる。 〔 女満別空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 1,648 994,157 995,805 H17年 1,904 1,013,446 1,015,350 (単位:人) H18年 H19年 H20年 11,835 9,136 13,166 1,076,360 963,189 904,465 1,088,195 972,325 917,631 (国土交通省「空港管理状況調書」による) <女満別空港を取り巻く課題(総括)> ・ 女満別空港においては、国際チャーター便の激減などに加え、オホーツク連携地域の将来 人口が平成47年には現在より32%の大幅な減少と予想されており、それによる旅客需要の減 少などで女満別空港の利用者の一層の減少が進む恐れがある。 ・ 今後とも、オホーツク連携地域の経済、各種交流を担う拠点空港としての役割を果たして いくためには、流氷や知床世界遺産など地域の特色を活かした観光客誘致にこれまで以上に 積極的に取り組むとともに、住民の旅行需要を喚起するなど、空港の利用者増加に向け、網 走市をはじめとする関係自治体や女満別空港整備・利用促進協議会など地域の関係者の一層 積極的な取組とともに、道東地域の他の空港や地域との連携強化も求められる。 - 74 - (2)女満別空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ オホーツク連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 オホーツク連携地域の空の玄関口として、東アジアなどの海外主要都市とオホーツク連携地域の 交流を支える「国際航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 紋別空港など他の道東地域の空港との役割分担や連携を視野に入れながら、道外主要都市とオホ ーツク連携地域との交流による観光産業など地域産業の振興や道民の快適な暮らしなどを支える 「国内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 道央広域連携地域の中核都市などとの交流や経済活動の活発化を促進するとともに、医療など道 民の安全・安心で快適な暮らしを支える「道内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、将来的な国際定期航空路線の開設も視野に 入れ、国際チャーター便の積極的な誘致をめざす。また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や 需要動向などを見極めながら、国内運休路線の再開(仙台、新潟など)や道内外路線の充実など をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致] ○ 近年の世界的な景気後退や新型インフルエンザなどの影響により、国際チャーター便の運航が 激減していることから、将来的な定期便化を視野に入れた国際チャーター便や既存の航空会社・ LCCなどに対する新たな路線の誘致、誘客対象を明確にしたプロモーション活動を実施するな ど、国際航空路線の効果的な誘致に取り組む。 《主な取組》 ・ 地域が一体となって、定期便化を視野に入れた国際チャーター便の積極的な誘致を展開する [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 女満別空港においては、航空需要の低迷などにより、道内外の空港とを結ぶ路線の休止・減便 が相次いでいることに加え、平成22年7月には丘珠路線が新千歳空港へ集約される予定であるこ とから、利用者の利便性向上や航空路線の維持を図るため、他の公共交通機関などとの連携も視 野に入れながら、新たな航空会社の参入などによる国内・道内路線の維持・拡充や運休路線の再 開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、羽田空港との直行便の維持・拡充と ともに、道内外各空港とを結ぶ路線の充実、再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う - 75 - [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 女満別空港においては、道内外路線の休止・減便に加え、平成21年には国際チャーター便が激 減するなど、今後も利用者数の減少が懸念される。また、高速道路などの幹線道路ネットワーク の整備の進展による他の交通機関への航空需要の流出や、オホーツク連携地域の将来人口も大幅 に減少(H17 32万人→H47 22万人)することが予想されていることから、地域や関係団体などと一 体となって旅客需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外からオホーツク連携地域への誘客促進を図るため、地域の新たな魅力の発掘や効果的な PR活動を展開する ・ ・ 女満別空港整備・利用促進協議会など関係団体と連携した積極的かつ効果的な誘客活動を展 開する 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしいオホーツク連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ オホーツク連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい 空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実など] ○ 女満別空港がオホーツク連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰 もが利用しやすい空港として整備していくことが重要である。 このため、空港機能の維持・充実に加え、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフ ト面の充実にも取り組む。 また、鉄道やバス、タクシーなど他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の維持・ 充実とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環 境への配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の維持・充実を図るとともに、防災・防 犯対策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 平成21年度に完了したILS双方向事業の効果を勘案しながら、悪天候時における就航率の 向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る - 76 - <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ オホーツク連携地域の豊かな自然環境・観光資源や、地域の産業振興・観光振興などの各種プ ロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」をめざ す。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 知床の世界自然遺産や流氷など世界に誇る豊かな自然環境、雄大な自然などが地域の魅力の一 つとなっている。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、オホーツ ク連携地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や広域観光ルートの形成など に取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 77 - 9 中標津空港の将来展望 (1)中標津空港の現状と課題 ◎ 中標津空港は、鉄道がないこの地域における高速交通手段として非常に重要な役割を果たして いる。平成2年には地域が待ち望んでいたジェット化と東京路線の開設が実現し、その後、平成 9年には2,000メートル滑走路が供用されるなど、地域の経済、産業の発展に大きく貢献してい る。 [沿革] 昭和40年 昭和48年 平成元年 平成2年 平成9年 中標津空港開港(滑走路1,200m) 北海道へ移管 新滑走路供用(1,200m) 滑走路延長(1,800m) 滑走路延長(2,000m) <航空ネットワークの動向> ● 中標津空港からは羽田とを結ぶ国内路線、丘珠とを結ぶ道内路線が開設されており、羽田線に ついては地方航空ネットワークの維持・充実を図るための「1便ルール」により直行便が担保さ れているが、道内線を含めた国内線利用者数は地域経済の低迷などにより年々減少している。ま た、平成22年7月より丘珠路線が新千歳空港へ集約されるなど、中標津空港における利用者数の 変動が予想される。 〔 中標津空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 254 213,019 213,273 H17年 214 222,887 223,101 (単位:人) H19年 H20年 300 200 208,500 199,826 180,296 208,500 200,126 180,496 (国土交通省「空港管理状況調書」による) H18年 <代替交通の不存在> ● JRなどの代替の公共交通機関のない当地域においては、航空ネットワークは地域生活に欠く ことのできない交通機関となっている。 <中標津空港を取り巻く課題(総括)> ・ 中標津空港においては、丘珠路線の新千歳空港への集約により、新千歳空港を経由した道 外からの観光客誘致が可能となる一方で、JRなどの代替公共交通機関のない当該地域にと って、医療やビジネスの面で地域へのマイナスの影響が懸念される。更に、釧路・根室連携 地域の将来人口が平成47年には現在より34%の大幅な減少と予想されており、それによる旅 客需要の減少などで中標津空港の利用者の一層の減少や空港機能の低下が進む恐れがある。 ・ こうした釧路・根室連携地域の人口減少などに伴う空港利用者の減少は、中標津空港の今 後の方向性やあり方にも大きく影響すると考えられることから、空港機能の維持や空港の利 用者増加などに向け、中標津町をはじめとする関係自治体や中標津空港利用促進協議会など 地域の関係者の一層積極的な取組とともに、釧路や女満別など近隣の空港との連携による利 用促進も求められる。 - 78 - (2)中標津空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 釧路・根室連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 地域の魅力の発信を進めるとともに、地域の認知度や地域イメージの向上を図りながら、国際チ ャーター便の誘致をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 釧路空港など他の道東地域の空港との役割分担や連携を視野に入れながら、道外主要都市と釧路 ・根室連携地域との交流による観光産業など地域産業の振興や道民の快適な暮らしなどを支える 「国内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 道央広域連携地域の中核都市などとの交流や経済活動の活発化を促進するとともに、医療など道 民の安全・安心で快適な暮らしを支える「道内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、国際チャーター便の積極的な誘致をめざす。 また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や需要動向などを見極めながら、羽田路線の複便化な ど道内外路線の充実などをめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致] ○ 地域の認知度や地域イメージの向上を図るため、誘客対象を明確にしたプロモーション活動を 実施するとともに、既存の航空会社やLCCなどに対する国際チャーター便の積極的な誘致に取 り組む。 《主な取組》 ・ 地域が一体となって、国際チャーター便の積極的な誘致を展開する [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 中標津空港においては、航空需要の低迷などにより、道内空港とを結ぶ路線が休止となってい ることに加え、平成22年7月には丘珠路線が新千歳空港へ集約される予定であることから、利用 者の利便性向上や航空路線の維持を図るため、他の公共交通機関などとの連携も視野に入れなが ら、新たな航空会社の参入などによる国内・道内路線の維持・拡充や運休路線の再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、羽田空港との直行便の維持・拡充と ともに、道内外空港とを結ぶ路線の充実、再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う - 79 - [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 中標津空港においては、道内路線の休止に加え、丘珠路線の新千歳空港への集約により、今後 も利用者数の減少が懸念される。また、釧路・根室連携地域の将来人口も大幅に減少(H17 35万 人→H47 23万人)することが予想されていることから、地域や関係団体などと一体となって旅客 需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外から釧路・根室連携地域への誘客促進を図るため、地域の新たな魅力の発掘や効果的な PR活動を展開する ・ 中標津空港利用促進協議会など関係団体と連携した積極的かつ効果的な誘客活動を展開する ・ 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしい釧路・根室連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ 釧路・根室連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい 空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実など] ○ 中標津空港が釧路・根室連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰 もが利用しやすい空港として整備していくことが重要である。 このため、空港機能の維持・充実に加え、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフ ト面の充実にも取り組む。 また、バスやタクシーなど他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の維持・ 充実とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環 境への配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の維持・充実を図るとともに、防災・防 犯対策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る - 80 - <めざす姿③> Ⅲ 地域が支え地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 釧路・根室連携地域の豊かな自然環境・観光資源の活用や、地域の産業振興・観光振興などの 各種プロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」 をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 釧路・根室連携地域は、知床の世界自然遺産をはじめとする豊かな自然環境などが地域の魅力 の一つとなっている。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、釧路・根 室連携地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や広域観光ルートの形成など に取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 81 - 10 紋別空港の将来展望 (1)紋別空港の現状と課題 ◎ 紋別空港はオホーツク海に面した地域の中核都市である紋別市内中心部から南東に約7kmの海 岸沿いに位置する。平成11年に現在の位置に移設され、2,000メートルの滑走路を有するジェッ ト化に対応した空港であり、就航している路線は羽田路線のみであるが、背後圏である紋別市を 中心とした遠紋地域の振興や、経済・観光の活性化等に寄与している。 [沿革] 昭和41年 昭和48年 平成11年 紋別空港開港(滑走路1,200m) 北海道へ移管 新紋別空港開港(滑走路2,000m) <航空ネットワークの動向> ● 紋別空港から唯一就航している羽田線については、地方航空ネットワークの維持・充実を図る ための「1便ルール」により担保されているが、利用者数は年々減少しており、今後も地域経済 の低迷により、利用者数の大幅な増加は難しい状況にある。 また、紋別空港からは新千歳や丘珠空港との間で道内路線が結ばれていたが、就航・撤退をく り返し、平成18年を最後に道内路線は就航していない。 〔 紋別空港利用者数(国際線、国内線) 〕 区 分 国際線 国内線 合 計 H16年 54,853 54,853 H17年 55,714 55,714 (単位:人) H18年 H19年 H20年 54,457 49,759 47,917 54,457 49,759 47,917 (国土交通省「空港管理状況調書」による) <紋別空港を取り巻く課題(総括)> ・ 紋別空港から就航する路線は1路線のみであり、空港利用者の減少に歯止めがかからず、 搭乗率も低迷を続けている。また、旭川紋別自動車道(白滝-旧白滝間)の整備の進展、更に はオホーツク連携地域の将来人口が平成47年には現在より32%の大幅な減少と予想されてお り、それによる旅客需要の減少などで紋別空港の利用者の一層の減少とともに、空港機能が 大きく低下する恐れがある。 ・ 特に紋別空港は離島を除き、道内でただ1つの単一航空路線の空港であり、当該路線の有 無が空港のあり方に直結するといった極めて厳しい状況にある。そのため、観光客の誘致と ともに、住民の旅行需要を喚起するなど、空港の利用者増加や空港機能の維持に向け、紋別 市をはじめとする関係自治体やオホーツク紋別空港利用・整備促進期成会など地域の関係者 の一層積極的な取組を進めるとともに、道東地域の他の空港や地域との連携強化が求められ る。 - 82 - (2)紋別空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ オホーツク連携地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 国際・国内・道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 【国際航空ネットワークの姿】 地域の魅力の発信を進めるとともに、地域の認知度や地域イメージの向上を図りながら、国際チ ャーター便の誘致をめざす。 【国内航空ネットワークの姿】 女満別空港など他の道東地域の空港や道北連携地域の空港との役割分担・連携を視野に入れなが ら、道外主要都市とオホーツク連携地域との交流による観光産業など地域産業の振興や道民の快適 な暮らしなどを支える「国内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 【道内航空ネットワークの姿】 道央広域連携地域の中核都市などとの交流や経済活動の活発化を促進するとともに、医療など道 民の安全・安心で快適な暮らしを支える「道内航空ネットワークを担う空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 当面は現在の路線の維持・充実を図るとともに、国際チャーター便の積極的な誘致をめざす。 また、今後の航空を取り巻く情勢の推移や需要動向などを見極めながら、道内外路線の充実な どをめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [国際航空路線の効果的な誘致] ○ 地域の認知度や地域イメージの向上を図るため、誘客対象を明確にしたプロモーション活動を 実施するとともに、既存の航空会社やLCCなどに対する国際チャーター便の積極的な誘致に取 り組む。 《主な取組》 ・ 地域が一体となって、国際チャーター便の積極的な誘致を展開する [国内・道内航空路線の誘致・拡充、運休路線の再開] ○ 紋別空港においては、航空需要の低迷などにより、道内空港とを結ぶ路線が休止となっている ことから、利用者の利便性向上や航空路線の維持を図るため、他の公共交通機関などとの連携も 視野に入れながら、新たな航空会社の参入などによる国内・道内路線の維持・充実や運休路線の 再開に取り組む。 《主な取組》 ・ 利用者の利便性向上や交通手段の選択肢の確保に向け、羽田空港との直行便の維持・拡充と ともに、道内外空港とを結ぶ路線の充実、再開に向けた航空会社などへの働きかけを行う - 83 - [旅客需要の拡大、利用促進] ○ 紋別空港においては、道内路線の休止などにより、利用者数が年々減少していることに加え、 高速道路などの幹線道路ネットワークの整備の進展による他の交通機関への航空需要の流出が懸 念される。更には、オホーツク連携地域の将来人口も大幅に減少(H17 32万人→H47 22万人)する ことが予想されていることから、地域や関係団体などと一体となって旅客需要の拡大に取り組む。 《主な取組》 ・ 道外からオホーツク連携地域への誘客促進を図るため、地域の新たな魅力の発掘や効果的な PR活動を展開する ・ ・ オホーツク紋別空港利用・整備促進期成会など関係団体と連携した積極的かつ効果的な誘客 活動を展開する 就航先の地域との連携を図り、新たな交流の創出に向けた取組を展開する <めざす姿②> Ⅱ 人と環境にやさしいオホーツク連携地域の空の玄関口 ◆ 安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい空港 ◆ オホーツク連携地域の空の玄関口として、「安全・安心で環境に配慮した誰もが利用しやすい 空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [空港機能の維持・充実など] ○ 紋別空港がオホーツク連携地域の空の玄関口としての機能を最大限に発揮するためには、誰も が利用しやすい空港として整備していくことが重要である。 このため、空港機能の維持・充実に加え、利用者ニーズに対応した使いやすさの追求などソフ ト面の充実にも取り組む。 また、バスやタクシーなど他の公共交通機関との連携強化に取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る [安全・安心の確保と環境への配慮] ○ 空港においては、航空輸送サービスの質の向上や利用者利便の増進に向けた空港機能の維持・ 充実とともに、航空輸送サービスを脅かす犯罪の未然防止、防災対策など安全・安心の確保や環 境への配慮が求められている。 このため、将来の需要動向を勘案しながら、空港機能の維持・充実を図るとともに、防災・防 犯対策など安全・安心の確保や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る - 84 - <めざす姿③> Ⅲ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域の活性化の拠点となる空港 ◆ オホーツク連携地域の豊かな自然環境・観光資源の活用や、地域の産業振興・観光振興などの 各種プロジェクトとの連携を通して、地域の発展に貢献する「地域の活性化の拠点となる空港」 をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域の魅力発信、産業振興] ○ 冬季の砕氷船による流氷観光とともに、夏季におけるマリンスポーツや原生花園などが地域の 魅力の一つとなっている。 このため、国内外からの観光客の誘致や観光産業をはじめとする産業の振興に向け、オホーツ ク連携地域の持つ魅力の効果的な発信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用し、効果的な情報発信や広域観光ルートの形成など に取り組む ・ ◆ 観光産業など地域産業の振興に向け、観光客の効果的な誘致に取り組む 地域と共生する空港 ◆ 空港周辺地域の住民や空港利用者と空港の交流を通して、空港を含めた周辺地域の賑わいを創 出する「地域と共生する空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能の維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する - 85 - 11 離島空港(奥尻、利尻、礼文)の将来展望 (1)離島空港の現状と課題 《奥尻空港》 ◎ 奥尻島は本道からフェリーで約2時間半の海上に位置する周囲約84kmの漁業と観光の島で、昭 和49年に空の玄関として奥尻空港が開港された。函館空港とを結ぶ定期便は、日本海の観光基地 として発展をめざしている奥尻にとって大きな役割を担っており、また、北海道南西沖地震発生 時には救難活動の拠点として利用された。 [沿革] 昭和49年 昭和50年 平成18年 奥尻空港開港(滑走路800m) 北海道へ移管 滑走路延長(1,500m) 《利尻空港》 ◎ 利尻島は稚内市からフェリーで約1時間半の海上に位置し、利尻島への観光客の増加に対応し て平成11年には滑走路が1,800メートルに延長され、ジェット機の就航が可能となった。平成19 年には定期便が通年ジェット化され、地域経済の活性化や地域振興など、利尻島民の重要な生活 基盤施設として重要な役割を果たしている。 [沿革] 昭和37年 昭和49年 昭和51年 平成11年 利尻空港供用開始(滑走路600m) 滑走路延長(800m) 北海道へ移管 滑走路延長(1,800m) 《礼文空港》 ◎ 礼文島から稚内への交通機関は、昭和53年の空港開港まで片道3時間あまりかかるフェリーに 頼らざるを得なかったが、空港が開港したことにより時間短縮が図られた。学術的にも貴重な植 物が群生する礼文島は多くの観光客が訪れているが、平成15年3月末をもって定期便が運休、平 成21年4月から空港の供用が休止されている。 [沿革] 昭和53年 礼文空港供用開始(滑走路800m)、北海道へ移管 <航空ネットワークの動向> ● 奥尻空港からは函館、利尻空港からは新千歳へそれぞれ1日1便が就航しているが、礼文空港 については平成21年4月から供用休止となっている。また、厳しい経済状況などにより、奥尻空 港、利尻空港とも利用者数は減少傾向にある。 <航空需要の拡大> ● 離島路線を維持していくためには、地域住民の利用に加えて、それ以外の利用客を確保するこ とが不可欠である。 〔 離島空港利用者数 〕 空港名 奥尻空港 利尻空港 礼文空港 H16年 13,553 37,871 - H17年 11,657 35,827 487 - 86 - (単位:人) H18年 H19年 H20年 11,986 11,010 10,297 30,727 27,100 30,162 (国土交通省「空港管理状況調書」による) <礼文空港の供用休止> ● 平成14年度末で「礼文-稚内線」の定期運航の休止後、礼文町や道など関係者で構成する「礼 文空港路線誘致委員会」を設置し、路線の誘致活動を行っているが、新たな路線開設の見通しが 立たなかったことから、関係者で協議を行い、平成21年4月9日から平成27年3月31日までの約 6年間、空港の供用を休止となっているが、救急患者の搬送は引き続き確保されている。 <離島航空路線の維持確保対策> ● 離島航空路線の維持・確保のため、運航費補助や着陸料の軽減、航空機燃料税の減免などの支 援制度が創設され、充実が図られてきているが、景気後退による旅客需要の低迷などの影響によ り、これまでにも増して厳しい環境となっている。 また、生活路線として安定的運航の確保が図られるよう、道と離島町において、国の運航費補 助制度と連動した独自の上乗補助制度を設けているとともに、離島町単独の住民運賃助成制度に より、路線の維持・存続に努めているところである。 <離島空港を取り巻く課題(総括)> ・ 離島空港においては、採算性の低い離島路線を維持するため、厳しい財政状況の中、国の 補助制度を活用した航空会社への支援を行っているところである。また、過疎化や高齢化の 進行、地域経済の低迷などにより、利用者の一層の減少が進む恐れがある。 ・ 離島路線は、島の住民にとって生活の足であり、この路線を維持していくことが地域にと って非常に重要であることから、空港の利用者増加(特に冬季)などに向け、就航先の自治体 や地域などと連携した一層積極的な取組が求められる。 - 87 - (2)離島空港のめざす姿とその実現に向けて <めざす姿①> Ⅰ 離島の生活と人々の交流を支える航空ネットワークの実現 ◆ 離島の生活と地域振興を支える道内航空ネットワークを担う空港 ◆ 離島住民の生活環境の維持向上や、経済活動の活発化を促進するとともに、医療など道民の安 全・安心で快適な暮らしを支える「離島の生活と地域振興を支える道内航空ネットワークを担う 空港」をめざす。 今後の航空ネットワーク展開の方針 ◆ 離島路線については、島民の生活の維持や安全・安心の確保のために、必要不可欠な路線で あることから、他の交通機関との役割分担や連携を視野に入れながら、路線の維持を図る。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [生活路線の維持] ○ 離島においては、過疎化や高齢化の進行、厳しい経済状況による利用者の減少が進んでいるが、 離島住民の通院など受診機会を確保するためにも、航空路線の維持は不可欠である。 このため、離島振興のための諸施策との連携により需要を喚起しながら、関係者と一体となっ て、離島航空路の維持に取り組む。 《主な取組》 ・ 運航費補助による航空事業者への支援、地元住民を対象とした航空運賃助成、北海道地域航 空推進協議会等との連携事業など、必要な支援策を展開する ・ フェリーとの接続改善など利用者利便の向上を図るとともに、離島周遊観光など新たな旅行 商品の開発により、誘客促進を図る - 88 - <めざす姿②> Ⅱ 地域と共生し地域の活性化を促進する拠点 ◆ 地域と共生し、地域の活性化の拠点となる空港 ◆ 離島住民の快適な暮らしや安全・安心の確保に十分に配慮するとともに、離島の豊かな自然環 境・観光資源の活用や地域の産業振興・観光振興などの各種プロジェクトとの連携を通して、地 域の発展に貢献する「地域と共生し、地域の活性化の拠点となる空港」をめざす。 〈めざす姿の実現に当たっての対応方向〉 [離島地域の魅力発信] ○ 離島の個性豊かな自然や風土などが地域の魅力の一つとなっている。 このため、この魅力を最大限活用し、道内外からの観光客の誘致に向け、離島地域の魅力の発 信に取り組む。 《主な取組》 ・ 周辺地域の様々な地域資源を有効に活用するため、効果的な情報発信や広域観光ルートの形 成など連携方策を図る [地域住民などとの交流促進、地域活性化] ○ 空港の賑わいを創出し、空港周辺地域の活性化に繋げるためには、航空機利用者だけではなく、 地域住民が気軽に訪れることができ、楽しめる空港づくりが不可欠である。 このため、地域住民のニーズに対応した空港機能を維持・充実を図るとともに、空港を活用し た交流促進に取り組む。 《主な取組》 ・ 空港と地域住民の結びつきを深め、住民に身近な空港づくりを推進する ・ ・ 関係団体や地域住民などと連携を図りながら、地域活性化の取組を進める 空港を活用した地域イベントの開催や観光資源のPRなど、空港を地域情報の発信基地とし て活用する [空港機能の維持・充実] ○ 離島住民の安全・安心で快適な暮らしの確保とともに、誰もが利用しやすい空港づくりに向け、 空港機能の維持・充実や環境に十分配慮した空港運営に取り組む。 《主な取組》 ・ すべての人にとって利用しやすい空港を実現するため、ユニバーサルデザインの考え方など に基づき、必要な空港機能の維持・充実を図る ・ 悪天候時における就航率の向上や定時運航の確保を図る ・ * 安全な運航の確保、保全・防災面における対応能力の維持・充実を図る 礼文空港については、平成21年4月から休止となっており、緊急搬送や災害時に対応ができる よう適切な管理を行うとともに、利尻空港との連携強化に取り組む。 - 89 - 第4章 1 ビジョンの推進に当たって 多様な主体との連携・協働 このビジョンに基づく取組の推進に当たっては、道が中心となり、多様な主体相互が密接に連携 ・協働を図りながら、各種施策を効果的、効率的に展開する。 〈ビジョンの推進に係る道の基本的姿勢〉 ○ ○ ○ ビジョンの推進に当たっては、道が中心となって関係者の連携を促進するための調整を行うと ともに、地域の意向を踏まえながら、ビジョンの示す方向に沿って、様々な施策を総合的に実施 する。 ビジョンに沿った地域の取組に対し、道は地域政策総合補助金などにより支援を行う。 道が管理する女満別、中標津、紋別並びに離島空港については、引き続き、適切に整備・運営 を行う。 〈各関係主体に期待される役割〉 [ 国 ] ○ 国においては、ビジョンの示す方向に沿って、道や市町村、運輸事業者、関係団体などが進め る取組の円滑な推進や航空ネットワークを含めた総合的なネットワークの形成に向けた適切な助 言や支援とともに、国が管理する新千歳、丘珠、函館、稚内並びに釧路空港については、引き続 き、適切な整備・運営が期待される。 [市町村] ○ 市町村においては、国や道、運輸事業者、関係団体などとの連携の下、旅客需要の創出や航空 路線の維持に向け、利用促進などに積極的に取り組むとともに、市が管理する旭川、帯広空港に ついては、引き続き、旭川市並びに帯広市による適切な管理・運営が期待される。 [運輸事業者] ○ 航空事業者においては、安全で快適なサービスを提供するとともに、公共性と採算性のバラン スを図りながら、利用者ニーズに的確に対応した質の高いサービスの提供が期待される。 ○ 鉄道やバス、トラックなどの運輸事業者においては、空港利用者の利便性向上に向け、航空事 業者をはじめとする事業者間の連携強化を図り、交通アクセスの充実など円滑な移動の提供が期 待される。 [関係団体など] ○ 各空港の利用促進協議会や観光団体などにおいては、国や道、市町村、運輸事業者などと一体 となって、旅客需要の創出や航空路線の維持、空港の賑わい創出などに向け、積極的に取り組む ことが期待される。 ○ 空港ビル会社においては、安全・安心の確保や環境との共生とともに、空港利用者や地域住民 のニーズに的確に対応した質の高いサービスの提供が期待される。 [地域住民] ○ 地域住民においては、地域活性化に向け、空港を地域の財産として積極的に活用するなど、空 港を支えることが期待される。 - 90 - 〈地域に期待される役割〉 航空路線の利用促進や需要拡大に向け、地域の既存組織の活用を図るとともに、各地域の状況に 応じ、住民や事業者など幅広い分野から構成される会議を設置し検討を進めるなど、空港活性化に 向けた地域の積極的な提案・取組が期待される。 〈各関係主体の連携による北海道が一体となった取組の推進〉 空港の利便性向上や利用促進、空港運営の効率化などに向け、各関係主体などが一体となって、 次の取組を推進する。 [効果的な誘致活動の展開] ○ 道と各利用促進協議会などの連携による航空路線、特に国際線の誘致に向けた取組 ○ 国内外での積極的な観光客誘致の取組 [道民のアウトバウンドの促進] ○ 道民の道外、国外への旅行需要の拡大や航空機利用の促進に向けた取組 [推進体制の見直し] ○ オール北海道による取組の充実に向け、全道的な組織や各地域の推進組織の連携強化など、推 進体制の見直し [空港運営の効率化] ○ 空港と空港ビルの一体運営や民営化、複数空港の一体運営も視野に入れた空港運営の効率化に 向けた取組 2 ビジョンの推進管理 このビジョンに基づく施策の効果的な推進を図るため、施策の推進状況について、定期的に点検 ・評価を行うとともに、その評価結果や社会経済情勢の変化、国の動向なども踏まえながら、必要 に応じてビジョンの見直しを行う。 このビジョンの点検・評価の実施や見直しの検討のほか、施策の推進に当たっての重要事項の検 討などについては、知事の附属機関である北海道運輸交通審議会で審議を行いながら進める。 - 91 -