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Ⅱ 基本プラン 基本方針4-施策方針(1) 市民が学習活動の幅を広げることができるよう、講座、講演会、イベント等の情報や講師、団 体活動の情報を積極的に提供します。 基本方針4の施策方針(1)は、生涯学習情報の提供に関わる事業の推進を柱としています。 町田市では、市関係機関による講座、イベント情報は、市の広報、ホームページを中心にイベ ントの開催ごとに周知し、その他は、実施主体ごとのチラシ、パンフレット、冊子でのお知らせ を行っています。 主な取組 ホームページや広報紙での情報提供(生涯学習部) ホームページでのイベント案内や広報「まちだ」や「まちだの教育」において、生涯学習関連の様々 な催し物の情報提供を行っています。 今後は、生涯学習部と文化スポーツ振興部等とが連携・協力しながら、生涯学習、文化スポーツ情 報が見やすく、アクセスしやすいホームページの構成にしていきます。また、広報「まちだの教育」 において、一覧してわかる生涯学習情報の提供に努めます。 主な取組 生涯学習 NAVI の発行や情報コーナーの設置 ▼生涯学習NAVI (生涯学習部) 2007 年度から、10、11 月の市内の講座、講演会、イベントを 整理した生涯学習情報誌「生涯学習NAVI」を試行的に発行 しています。今後より一層、生涯学習情報を市民に分かりやす いジャンルに分類し、魅力ある紙面づくりを目指します。また、 情報誌作成を通じて、生涯学習関連機関や市民団体の開催講座 を掲載し、連携を強めます。 あわせて、森野分庁舎1階に「情報コーナー」を設置し、イ ベントパネル、文化財や子ども学習に関する講座や催し物を紹 介しています。今後は、公民館、図書館、文学館、自由民権資 料館、森野分庁舎の情報コーナーが連携して、他市の生涯学習 活動を含めた情報コーナーのあり方を検討します。 主な取組 生涯学習関連団体の情報提供(生涯学習課) ホームページ上にある、「町田市施設案内予約システム」内 の「集会・学習施設ネットまちだ」において、市内の生涯学習 関連団体や諸団体の情報提供を行っています。 現状は受動的な情報提供にとどまっていますが、今後は学校 支援ボランティア制度との連携を模索し、生涯学習関連団体の 活動紹介を行うなど積極的な情報提供、支援のあり方を検討し ます。 52 ▼公民館の情報コーナー 2 施策方針と主要事業の概要 基本方針4-施策方針(2) 市民が誰でも自由に学習できるよう、図書館では図書やその他の資料の充実・サービスの向上 に努め、公民館、市民文学館、市民大学では多様化する市民の学習ニーズに応える講座等を行い、 社会教育の充実に努めます。 基本方針4の施策方針(2)は、市民への学習機会の提供に関わる事業の推進を柱としていま す。 教育委員会では、市民に学習機会を提供するため、公民館では、80 を超える講座、講演会、 学級のメニューが用意され、延べ 567 回の講座、講演会、学級活動が行われ、22,966 人の市民 が参加しています。市民大学では、年間 15 コース延べ 174 回の講座が実施され、6,969 人の市 民が参加しています。今後とも市民の学習ニーズにどのように応えるか、広く、多くの市民の学 習活動に結びつく講座のあり方について検討する必要があります。 また、市民の主体的な学習を支えるもっとも基本的な機能は、図書館における資料・情報の提 供です。現在、図書館には全館合わせて 100 万点を超える図書や雑誌、映像資料などが備えられ、 年間 400 万点を超える貸出しを行っています。今後とも、生涯学習社会を支える基盤としての図 書館資料の提供に努める必要があります。 1 生涯学習機会の提供 主要事業 公民館事業 ▼公民館の講座回数・延べ参加者数 重点事業 予算(’08) (2007 年度) 21,066 千円(公民館) ①講座型事業 若い世代、子育て世代、団塊の世代、高齢者の世代など多世 代にわたって、暮らしに役立ち、市民の関心の高いテーマの講 座や仲間づくりのための講座を企画しています。 ②家庭教育学級 事業の形態 講座型 講演会等 回数 参加者数 131 5,133 31 4,005 市民企画型 218 3,130 ことぶき大学 障がい者青年 学級 67 5,275 120 5,423 家庭教育に焦点をあて、乳幼児、小学生、中学生をもつ親を 対象にし、家庭での教育に必要な講座を企画しています。 ③講演会及び公民館企画イベント事業 人権、平和、法律等に関わる今日的課題について、青少年から成人までを対象に、様々な講演会、 イベントを実施しています。また、若者の芸術家支援の一環として、ホールを使用してのコンサート や夏休みの子ども対象イベントを企画しています。 ④市民企画型事業 地域の市民団体が企画する市民企画型講座を公募により実施しています。また、ジェンダー(社会 的文化的につくりあげられた性別)にとらわれることなく、一人ひとりがその個性を発揮できる男女 平等参画型社会の実現に向け、自主男女共生学級を市民の自主的運営により開設しています。 ⑤ことぶき大学 「楽しく学んで 文学、歴史、美術、音楽、健康など 10 コースの講座で、60 歳以上の市民を対象に、 豊かに生きる」をモットーとして、生きがい、仲間づくりができる講座を実施しています。 53 Ⅱ 基本プラン ⑥障がい者青年学級 200 名近くの学級生が「生きる力・働く力の獲得」を目標に、学習活動、自治活動、仲間づくり、 集団づくりを支援スタッフの協力により展開していますが、新たな学級生の受け入れが課題となって います。 ⑦公民館保育室 乳幼児を抱えた女性が講座等に参加できるようにとの配慮から公民館保育室は始まりました。女性 に限らず、大人の学習権の保障と子どもの発達権の尊重という二つの役割を持っています。 今後の方向として、以下のことがらについて進めていきます。 ①地域での学習機会の創設 中央公民館での講座のほかに、地域センターなどで、出張講座などの開設について検討していきます。 ②生涯学習センター機能の強化 交通の便利な市街地に立地している特性を生かし、生涯学習情報の提供や生涯学習相談などの機能 を検討していきます。 ③講座等の事業設定 学習の機会の提供について、行政が担うべき分野を詳細に検討し、講座、学級、講演会等の事業を 設定していきます。 ▼公民館の講座例(2008 年度) 区 分 単独事業 業 名 公民館で学ぶゆかたの着 付け 趣 旨 連 携 先 浴衣の着付けを学ぶとともに、若者を対象とした講座を公 民館活動サークルの方たちが講師となって行うことで、異 世代間の交流をめざす。 フレッシュコンサート 町田市にゆかりのある新進音楽家に演奏する機会と場を提 供し、新人音楽家の育成を図る。合わせて、町田市におけ る音楽文化に息吹を与え、地域文化の一層の発展をめざす。 知って得する!あなたのため の議会と議員の使いこなし術 ~市民必携!@議会のトリセ ツ(取り扱い説明書)~ 豊かな地域の自治を創るために、議会の役割はますます高 まっている。先進自治体議会の事例や全国での取り組みな どから、市民に開かれた議会をどう創っていけるのかを学 ぶ。 共催事業 イタリアフェア 「ピラネージ版画展」開催に合わせ、各施設また地域商店が連携 してイタリアに関するさまざまなイベントを行うことによって、 版画展の周知を図るとともに、地域の活性化、新たな利用層の開 拓を目指す。公民館の事業は①「イタリア料理の楽しみ方」②「講 座ピラネージ版画の魅力」③「viva イタリアオペラ」の3本。 国際版画美術館、 図書館、商工会議 所、トラットリア 「ラ.イタリアー ナ」、リカー・ポ ート蔵家 共催事業 ①地球の悲鳴 ②インドシナ諸国と日本 ③生涯幸福論 大学との共催による講座を企画し、教育文化向上・地域と の交流の場を広げていく。 東京女学館大学 共催事業 三菱化学生命科学研究所 見学会 アルツハイマー病や脳梗塞などに関する基礎研究やライフ サイエンス技術の開発等を研究している施設で、どのよう な研究がされているのか、講義を交えて見学する。 三菱化学生命科 学研究所 単独事業 単独事業 (市民企画型) 54 事 2 施策方針と主要事業の概要 主要事業 市民大学事業 重点事業 予算(’08) 26,391 千円(生涯学習課) ▼市民大学の講座回数・延べ参加者数 講座数 まちだ市民大学HATSは、「あなたを励まし、地域を育てる」 を基本理念とし、「市民による自由な相互学習」 「町田市独自の市 民文化の創造と市民のまちづくりの拠点・シンボル」 「学際から多 くの発想が生まれる学習」を指針として、市民プログラム委員の 回数 参加者数 2005 年度 17 176 6,332 2006 年度 15 167 6,746 2007 年度 17 174 6,970 企画等により、以下の講座を展開しています。 ①通年講座 「多摩丘陵の自然入門」全 13 回と「まちだの福祉」全 14 回の2コースで、市内の自然保護団体や 福祉施設の協力により、野外学習や実習を通して、自然保護や福祉活動のボランティアを送り出して います。 ②前期・後期講座 「町田の環境・参加体験講座」「心と体の元気学」「まちだ市民国際学」「町田の郷土史」「陶芸入門 講座」 「人間関係学」などの内容で、地域での活動に結びつく内容の講座を前期、後期に分けて1講座 10 回から 12 回実施しています。 ③HATSのつどい・特別講座 市民大学の修了生が組織する各団体が実行委員会をつくり、活動の発表や展示、講演会等を企画運 営する「HATSのつどい」と市民大学が現在実施している講座の分野にとらわれない課題について 学習する「特別講座」をそれぞれ隔年で実施しています。 ▼市民大学 HATS の講座例(2008 年度) テーマ・フィールド 野外観察入門~自然発見の楽しみ(講義) 自然保護の考え方と実施活動について ごの森 ~市民がかかわる地域の自然~ ~野津田公園の里山環境を体験する~ 導 団 体 町田市文化財保護審議会委員 内野 秀重 /森野分庁舎 ~かたくりの保護管理について~ 町田・横浜の市境に残る尾根緑地の保全 原っぱの時間 指 /町田かたか /成瀬尾根 /野津田公園 町田かたかごの森を守る会 成瀬の自然を守る会 野津田・雑木林の会 湧水・自然環境をいかし、自然観察を目的とした公園の観察と虫こぶの調査 /忠生公園 町田の尾根・谷戸に親しむ会 現地見学「京浜河川事務所遊水池管理センター」の見学とグループディスカッション 境川源流域の水生生物の観察をとおして自然環境を考える 恩田川流域の生きもののにぎわいにふれる 葉調整池 /芹が谷公園~高瀬橋の親水公園~高ヶ坂松 小野路地域での自然観察と保全地域の管理の方法について 鶴見川源流・泉のひろばの自然回復を学ぶ /大地沢青少年センター周辺 /小野路地域 多摩丘陵の自然をまもる市民 の会 恩田川の会 鶴川自然友の会 /鶴見川源流泉のひろば 鶴見川源流自然の会 自然に触れ、自然に仕組みを学ぶ ~愛護会の自然維持活動について~ /かしの木山自然公園 かしの木山自然公園愛護会 多摩丘陵・谷戸山の自然にふれる 梅木窪の会 /都立小山田緑地 足元の自然とどのようにつきあってゆくか(講義・グループディスカッション) 分庁舎 /森野 慶応大学教授 岸 由二 55 Ⅱ 基本プラン 今後の方向として、以下のことがらについて進めていきます。 ①地域の課題に柔軟に応える講座の開拓 現在、環境、福祉など、行政課題をテーマとした講座を実施していますが、さらに日々変化し、広 範にわたる課題に市民が取り組み、地域活動などに参加していく講座を設定していきます。 ②市民ボランティア・地域コーディネーターの育成 講座内容においても、市民大学で学んだ修了生が地域の活動へ参加するよう働きかけるとともに、 市民ボランティアや地域のコーディネーターとして活躍する仕組みづくりを進めます。 ③多世代の講座参加 若い世代の講座参加者が少ない中、様々な世代の市民が参加する講座を設定するとともに、参加し やすい仕組みを検討します。 ▼図書館の講座・講演会(2007 年度) 各施設の特色を生かした学習機会の提供(生涯学習部) 回数 参加者数 図書館入門講座 4 35 図書館活用法講座 1 23 かした文学講座、古文書講座のほか以下のような施設の利用普 朗読奉仕者養成講座 1 23 及に関する取組を進めています。 おはなし会ボランテ 1 45 ■ 講座・講演会事業 文化講演会 7 639 主な取組 図書館、市民文学館、自由民権資料館では、施設の特色を生 ィア中級講座 ①図書館:図書館活用法講座・図書館入門講座、おはなし会や障がい者サービスに関わるボランティ ア養成講座、文化講演会、映画会の開催 図書館が市民にとって身近で、使いやすいものとなるための講座、講演会を企画しています。 ②自由民権資料館:企画展示に関わる講演会の開催、古文書講座の開催 古文書講座により、地域資料の整理に参加するボランティアを養成しています。また、自由民権研 究に多くの市民が参加できるよう、自由民権講座の開設を検討しています。 ③文学館:展覧会に関わる講演会・文学講座の開催 市民が文学の素晴らしさを発見し、文学への知識や関心を深めることができるよう、講演会、文学 講座を開催しています。 ■ 利用普及事業 今後は利用者の拡大を目指して以下の取組について検討・実施します。 ①図書館:小・中・高の児童・生徒の総合学習、調べ学習のための援助。 全館での乳幼児を対象にしたおはなし会の実施。 ブックスタート事業として、絵本の理解を深めるリーフレット配布やブックスタートおは なし会の開催。 教員・学校図書館関係者に対する図書館理解のための講座の実施。 子どもへの読み聞かせに関心を寄せる保護者への援助。 図書館ボランティアのスキルアップのための支援。 ②文学館:市内の学校との連携を深める企画を推進。 文学館運営協議会を中心に小・中・高の児童・生徒に文学館を活用してもらう方策を検討。 ③自由民権資料館:展示解説を充実させ、学校教育における総合学習(市域の歴史学習)を支援。薬 師池公園で、「自由民権の鐘を撞く会」を実施し、町田市の自由民権運動の事跡を アピール。 56 2 施策方針と主要事業の概要 2 学習資料の提供 主な取組 図書館資料貸出し・閲覧事業(図書館) ▼図書館資料貸出し総点数の推移 図書館における資料の貸出し・閲覧は、市民の生涯学習活動 貸出し数(点) 対前年比 を支えるもっとも基本的な機能です。市民が身近な場所で図書 館資料を利用できるよう、中央図書館のほか地域図書館5館を 市内に配置し、さらに移動図書館車3台が 64 箇所のサービスス テーションを巡回しています。また、市民の多様な資料要求に 2005 年度 4,026,214 0.99 2006 年度 4,083,552 1.01 2007 年度 4,050,060 0.99 確実に応えるため、貸出し中や未所蔵の資料についてはリクエ スト制度を設けるとともに、都立図書館を始めとする他の公立 図書館や大学図書館との連携も行っています。さらに、インタ ーネットを活用し、自宅や携帯電話からの資料検索や予約も可 ▼図書館資料リクエスト件数の推移 2005年度 2006年度 2007年度 カウンター受付 186,685 185,309 185,231 インターネット受付 268,825 350,475 403,308 合 455,510 535,784 588,539 1.29 1.18 1.10 能となっています。 2007 年度実績によれば、町田市の図書館は年間 400 万点を超 える図書館資料を貸し出し、60 万件近いリクエストに対応して います。これは、特別区、政令指定都市を除く人口 30 万人以上 の 54 自治体の中で、トップクラスの数値です。今後、貸出し点 計 対前年比 数制限(図書資料2週間 10 冊/AV資料1週間3点)の緩和や 開館時間の拡大、既存施設を活用した資料の受け渡しなど、さ らに市民の利便性の向上を目指した改善を行う必要があります。 今後の方向として、以下のことがらについて進めていきます。 ①施設の整備・充実 図書館には、必要な資料・情報を入手するという機能のほか に、市民が未知の本や著者と出会うことで知見を広め、情操を 豊かにするというもうひとつの機能があります。このため、市 民が散歩の途中にふらりと立ち寄れる範囲に、可能な限り「場」 としての図書館があることが望ましいと言えます。 今後、鶴川駅前公共施設内に新たな図書館が設置される予定 ですが、まだ身近に図書館がない地域も多く、図書館設置を求 める市民の声も多数寄せられています。また、老朽化・狭隘化 した既存図書館の建替えも喫緊の課題です。市として、中・長 期的な図書館整備のあり方を検討する必要があります。 ②レファレンスサービスの充実 ▼レファレンスカウンター受付件数の推移 貸出しと共に図書館サービスの“車の両輪”といわれるのが、 (中央図書館) 調べものへの援助、いわゆるレファレンスサービスです。市民 のさまざまな課題や疑問に対して、職員が図書館資料を駆使し 一般主題 て解決への援助を行います。この機能によって、図書館は、よ 地域主題 り一層市民生活に必要なものとなります。 その他 レファレンスサービスの充実のためには、専門知識や技術を 合 計 2005年度 2006年度 2007年度 5,473 8,207 7,303 694 1,017 1,033 4,779 1,137 1,106 10,946 10,361 9,442 備え、十分に訓練された司書が必要であることはもとより、多 彩な参考図書(レファレンスブック)類、特に市民が個人では 57 Ⅱ 基本プラン 活用しにくい有料オンラインデータベースなどのデジタルツールが、図書館に豊富に用意されていな ければなりません。中央図書館のレファレンス機能をいっそう充実させるとともに、中央図書館と連 携して各地域図書館が「地域の情報拠点」として機能する必要があります。 ③障がい者サービス事業の充実 図書館は、すべての市民がいつでもどこでも自由に資料・情報を手に入れることができるよう、利 用者の状況に応じた資料提供を行っています。身体に障がいがあるために来館が困難な市民、また通 常の活字のままでは本を読むことのできない市民に対しては、ボランティアの協力を得ながら、図書 館が宅配サービスや点字・録音資料の製作、対面朗読サービスなどを実施しています。 町田市の障がい者サービスは他市に比べて大変活発な利用がありますが、さらに新刊案内や書評、 ベストリーダーなどの情報を利用者に積極的に提供することで、より一層利用を促すよう努力する必 要があります。 ④学校教育との連携 若い世代、特に小・中学生の頃に読書の習慣を身に付けることは、その後の長い人生に掛け替えの ない恩恵をもたらします。戦後の公共図書館は、子どもたちへの徹底したサービスを柱のひとつに掲 げてきましたが、子どもたちがもっとも長い時間を過ごす学校との連携が、近年の公共図書館の大き な流れとなっています。 町田市の図書館でも、従来から学校への団体貸出し等を実施してきていますが、2008 年度からは 小・中学校の求めに応じて、定期的に図書館資料を配本する学校図書館支援貸出しをスタートさせま した。今後は、学校図書館への協力、支援をさらに充実したものにするとともに、おはなし会やブッ クトーク、調べ学習、社会科見学など、図書館資源を活用した学校教育との多様な連携を図ります。 主な取組 各施設の閲覧等事業(生涯学習部) ①文学館図書貸出し・閲覧事業 ▼文学館資料貸出し実績 図書館コンピューターシステムと連動して、町田ゆかりの文 2006年度 2007年度 一般図書 1,306 3,111 その他の所蔵資料については、インターネットを通じ、資料 地域資料 18 93 を検索し館内にて閲覧することができます。また、作家の原稿 児童図書 341 929 や旧蔵書に直に接することで、文学に対する関心を高める機会 雑誌 106 241 1,771 4,374 学者の著作を中心とした図書の貸出しを行っています。 を提供します。 合 計 ②自由民権資料館閲覧事業 自由民権資料館は町田市の歴史研究のセンターとしての役割 ▼自由民権資料館 資料閲覧者数 をもち、自由民権運動関係の資料や、地域歴史関係資料を閲覧 ・2006 年度 することができます。閲覧をさらに容易にするため、地域資料 ・2007 年度 43 件 の検索システムの導入が課題となっています。 58 37 件 2 施策方針と主要事業の概要 3 学習資料の充実 主要事業 図書館資料購入事業 予算(’08) 103,762 千円(図書館) 中央図書館と文学館を含む地域図書館の総資料点数は、2007 年 ▼図書館資料購入費の推移 決算額(千円) 度 1,045,785 点で、新規購入資料は 54,662 点でした。年間リクエ スト件数は 588,539 件、利用者数は 1,182,124 人、総貸出し点数 は 4,050,060 点に上っています。しかし、図書資料でみると市民 1人当たりの蔵書数は 2.36 冊で、多摩地域 26 市の市民1人当た りの平均 4.10 冊よりはるかに低く、市民1人当たりの資料購入費 対前年比 2003 年度 93,707 0.70 2004 年度 88,314 0.94 2005 年度 99,139 1.12 2006 年度 94,577 0.95 2007 年度 94,232 1.00 に至っては、2008 年度当初予算ベースで 26 市中 25 位の 249 円と なっています。 市民の多様な資料要求に応えるためには、さらに資料の充実を 図ることが必要です。 主要事業 文学館資料収集事業 予算(’08) 6,350 千円(図書館) ▼主な蔵書資料 町田にゆかりの文学者の著作や文学作品のほか、市民の文学的 ・遠藤周作や八木義德など、町田ゆか 著作を網羅的に収集・保存し、市民の利用に供しています。特に貸 りの文学者の著書・原稿・遺品など 出し可能な資料は、図書館資料と同様の扱いとし、図書館の利用 ・現在、町田市内在住で活躍中の文学 者、作家(森村誠一や赤瀬川原平な カードで個人貸出しも行っています。 作家の直筆原稿や色紙・短冊類、生前の愛用品など、文学館固 ど)の著書(一般市民の著書を含む) 有の貴重資料も積極的に収集し、展覧会や研究者の求めに応じて 閲覧に供しています。 主な取組 自由民権資料館資料収集事業(生涯学習課) 自由民権運動に関わる資料の収集を行うとともに、市内の旧 家から寄託・寄贈された資料の整理・保存を行っています。寄 託された資料の整理が十分に進捗していないことが課題となっ ています。 主な取組 文学館・自由民権資料館等図書刊行事業 (生涯学習課、図書館) 文学館、自由民権資料館、生涯学習課文化財担当では、文学、 地域資料、自由民権運動、遺跡発掘などの調査・記録、研究を 行っていますが、その成果を広く市民に活用していただくため に、紀要や報告書、図録等の図書を刊行しています。今後、研 究成果の活用の範囲をさらに広げるための工夫と民間等での貴 重な研究成果をどのように発掘し、市民の利用に供するかとい った点が課題です。 ▼主な刊行図書 ○文学館 ・『ことばの森の住人たち ―町田ゆかりの文学者』 ・『遠藤周作と Paul Endo ―母なるものへの旅』 ・『町田市民文学館所蔵遠藤周作蔵書目録 (欧文篇) 光の序曲』等 ○自由民権資料館 ・『武相自由民権史料集』 ・『自由民権』 ・『民権ブックス』 ・『町田の歴史をたどる』等 59 Ⅱ 基本プラン 4 文化との出会いの場の提供 文化・スポーツに関連する事業、施設が、組織改正により市長部局に移管されましたが、教育委員会 では、町田市の地域の歴史に関わる施設で、市民にとって身近な文化遺産に触れる機会を提供する事業 を実施しています。文学、自由民権運動、考古資料といったそれぞれのテーマを持ち、特色ある展示を 行っています。課題としては、歴史資料の展示として、町田市の古代から現代に至る通史を展示する施 設がないこと、歴史的資料の収蔵場所がそれぞれの施設で、限界にきつつあるという点です。 また、社会教育施設を生かして文化事業を展開し、市民の文化との出会いの場を提供しています。 主要事業 文学館展示事業 予算(’08) 11,458 千円(図書館) 町田ゆかりの作家の自筆原稿や遺品の展示を通じて、多くの市 民に文学に対する関心をもってもらうための展覧会を企画してい ▼2007 年度文学館展覧会一覧 開催 展覧会名 入館 日数 者数 76 4,810 59 2,733 ・開館1周年記念特別企画展 「 遠 藤 周 作 と PaulEndo ―母なるものへの旅」展 67 3,035 神奈川県でも活発な動きがあり、町田からは、石阪昌孝、村野常 ・「遊んで学べるカルタ展― ことわざといろは歌留多―」 21 1,786 右衛門など有力な指導者を輩出しました。その事跡を偲び、自由 ・「八幡城太郎と俳誌『青芝』 の人々―多摩の文学空間 そ のⅠ」展 43 2,121 ます。 主要事業 ・「絵本作家おぼまことの動物 園(ワンダーズー)」展 ・小企画展「100 年前の町田と 『小説教育者』」展 自由民権資料館展示事業 予算(’08) 1,337 千円(生涯学習課) 明治 10 年代、全国で自由民権運動が盛り上がり、三多摩を含む 民権運動の常設展示とともに、様々な企画展示を行っています。 主な取組 考古資料室展示事業(生涯学習課) ▼種類別収蔵物個数 町田市は都内でも、縄文時代を中心とする遺跡の宝庫で、そ 縄文土器 約 700 点 の箇所は約 1,000 箇所あります。開発等によって、発掘調査さ 弥生土器 約 20 点 れた遺物が考古資料室に展示されていますが、その展示物は収 土師器 約 1,000 点 須恵器 約 300 点 土製品(土偶など) 約 300 点 蔵品のごく一部となっています。近年では、忠生区画整理事業 に伴う発掘調査が大規模に行われ、現在整理作業に入っていま すが、こうした貴重な遺物の展示を行い、市民にその成果を還 元することが課題となっています。 主な取組 *上記の点数は、復元され展示可能なも のです。 施設の特色を生かした文化事業の実施(生涯学習部) ①公民館文化事業 ホール等を利用し、サタデーコンサート、人形劇、映画会など、市民が地域に密着した文化と触れ 合う機会を提供します。 ②図書館文化事業 図書館では、小ギャラリーを利用した市民展示会、ホールを利用した映画会、文化講演会を開催し、 図書館に親しみを感じてもらうとともに、図書館の施設を生かした文化事業を実施します。 60 2 施策方針と主要事業の概要 基本方針4-施策方針(3) 地域の教育力の向上を図るために、学校と地域の連携・交流を深める仕組みづくりを進めま す。また、地域の大学や生涯学習事業を行っているその他の機関との連携を図ります。 基本方針4の施策方針(3)は、地域の教育力を高めるための連携に関する事業を柱としています。 地域社会を人間的に豊かにする教育活動としての社会教育の役割は、家庭と学校と地域社会の3者 の協力関係を創り出し、家庭と学校をつなぎ地域の教育力を高めるための中核としての活動にありま す。今後、地域での重要な生涯学習の主体が子どもと高齢者であることを踏まえ、多くの市民活動団 体が学校や市民センター、会館等で、地域に開かれた学習活動ができる仕組みを検討する必要があり ます。 主な取組 地域学習ネットワーク事業(生涯学習課) 地域での学習プログラムを自主的に計画し、学習会を実施で きる団体のネットワークをつくり、町内会・自治会等の地域団 体と協力して地域での学習会を実施するためのコーディネート ▼イメージ図 市民大学の 修了生の会 地域協働の学校づくりの支援(生涯学習課) 生涯学習課 場の提供 自主参加 ・情報交換 ・プログラム案作成 地域学習ネット ・学習事業の ワーク・幹事会等 コーディネート を行います。 主な取組 市民団体 町内会 ・自治会 学 校 PTA 青少年健全育成 地区委員会 市民団体・ NPO 教育委員会と学校とで「地域協働の学校づくり」を進めるに あたり、学校とPTAや学校協力者との様々な協力・連携活動 ▼地域学習ネットワーク講座実績 に対して、社会教育や地域活動の経験者、団体を紹介し、活動 (2007 年度) の支援を行います。特別教室を開放している学校を中心に、地 ネットワーク参加団体数 4団体 域協働の学校づくりを進める取組と連携しながら、活動支援を 実施講座数 5講座 行います。また、本町田小学校と青少年教育事業を実施するN 協力町内会・自治会等の数 1団体 講座地域参加者数 25人 PO法人との調整を行うなど、各学校が地域と連携して活性化 するための支援・協力を子ども生活部と連携して行っていきま す。 主な取組 小中PTAのネットワークの支援(生涯学習課) 小学校、中学校のPTAの連合体の活動に社会教育の観点から助言し、PTA活動が全市的活動に なるよう支援します。また、小学校PTA連絡協議会及び中学校PTA連合会との共催による研修会 を実施します。 主な取組 学校支援ボランティア推進事業との連携(生涯学習課) 学校教育部が進める学校支援ボランティア推進事業には、地域から学校への主体的な働きかけが欠 かせません。豊富なボランティア人材が学校に関わることができるための基盤づくりとして、地域の 各団体や関係諸機関への働きかけを学校教育部と連携しながら行っていきます。 61 Ⅱ 基本プラン 主な取組 共催・連携事業(生涯学習部) 生涯学習は、民間、公の機関を問わず、市内の諸機関で実施されています。また、市の部局におい ても、市長部局、教育委員会の各部局でも行われています。しがたって、これらの生涯学習の実施機 関が相互に協力することにより、市民の学習の機会は豊かに広がる可能性があります。 公民館では、市内大学、民間事業所、行政機関等とタイアップした講座を実施していますが、より 地域の教育力を高めるために連携を広げていきます。 図書館でも、NHK等との共催による講演会の開催や和光大学との協力貸出しを実施しています。 また、公民館、図書館では、他の公共機関と連携した事業、国際版画美術館や博物館等他部署との連 携による講座、講演会なども実施しています。さらに、図書館では、小・中学校と連携し、学校の読 書環境の充実のために、学校図書館への定期的配本を実施しています。 文学館では、地域連携事業として、文学館通りを考える会と共催で文学館まつりを実施しています。 ▼共催・連携事業例(2007 年度) 所管課 生涯学習課 62 連携機関等 連携方法 内 容 放送大学 協力 生涯学習情報誌の作成 公民館 東京女学館大学 共催 講座「庭園の文化」3講座 公民館 三菱化学生命科学研究所 共催 講座「アルツハイマー病の恐怖」 ・研究所見学会 公民館 東京地方裁判所 共催 講座「1年半後あなたが裁判員」 図書館 和光大学 協定 図書館資料の協力貸出し 図書館 相模原・京王線沿線6市 協定 図書館の相互利用 図書館 NHK 共催 文化講演会 2 施策方針と主要事業の概要 基本方針4-施策方針(4) 市民が自らの学習成果を地域等様々な場で発揮できるよう支援し、市民の学習の場が十分 確保できるよう社会施設の整備を図るとともに、学校が地域の拠点となるよう、校庭、体育館、 教室の開放を進めます。 基本方針4の施策方針(4)は、生涯学習が地域での市民活動の基盤となるよう市民の自主的学習活 動の支援と場の提供を行う必要があり、そうした事業が柱になります。社会教育施設、地域コミュニ ティ施設をはじめ、市内にある小・中学校の積極的な活用を推進します。 1 学習団体への支援と協働 主要事業 社会教育関係団体講師派遣事業 予算(’08) 1,600 千円(生涯学習課) 市民学習団体が広く市民を対象とした学習会、講演会を企画する場合、1回を限度にして、講師料2 万円を負担する制度です。 主要事業 社会教育関係団体事業費補助事業 予算(’08) 500 千円(生涯学習課) 社会教育関係団体が、市民を対象にした講演会、講習会、発表会等の事業を行う場合、事業費の2分 の1以内を補助しています。 主な取組 市民企画型講座事業(公民館) 公民館では、地域の市民学習団体が、地域住民の生活課題を中心としたテーマで市民を対象にした 連続講座の企画を募集し、市民と公民館職員が協力して講座の準備及びその運営を行っています。 主な取組 公民館まつり事業(公民館) 公民館で、活動している団体等が日頃の活動成果を発表する場として、公民館まつりを実施してい ます。実行委員会方式による市民の自主的な運営のもとで、協働・協力関係を広げています。 主な取組 市民研究員による研究会事業(図書館) 文学館では、町田の文学に関する調査研究を、学芸員とともに公募による市民が主体的に行ってい ます。新たな資料の作成や展覧会の解説などの活動に参加しています。 主な取組 市民大学修了生の会活動支援事業(生涯学習課) 市民大学では、環境、福祉、自然、歴史といったまちづくりに関する学習を深めた市民に、講座修 了後団体づくりや既に活動している団体への参加を呼びかけています。 また、市民大学の講座運営についても、協力を求めています。 さらに、市民大学の修了生の会の活動を広く市民に知っていただき、活動のネットワークを広げる ために、各団体が協力し、「HATSの集い」を開催し、展示や講演会等の催しを行っています。 2 社会教育施設の整備と生涯学習の場の提供 主な取組 市民大学の拠点整備事業(生涯学習課) 市民大学は、現在森野分庁舎に事務局を置き、講座事業を実施していますが、庁舎であるための制 63 Ⅱ 基本プラン 約から十分な講座活動ができない状況になっています。また、将来の庁舎移転の際の場所確保の見通 しがまだ立っていません。市民大学の今後のあり方を踏まえ、拠点の整備計画が急務となっています。 主な取組 図書館利用環境の充実(図書館) 重点事業 町田市の図書館は現在、中央図書館のほか5館の図書館と3台の移動図書館車でサービスを展開し ています。しかし、市域が 71k㎡と広く人口も 41 万人と多いのに比べて、図書館数が必ずしも十分 でなく、身近で図書館を利用できない地域が市内に多く存在します。 特定の資料・情報を入手するだけでなく、思いもよらない本や著者との出会いを通じて、市民が自 らを深め高めることこそ図書館のもっとも本質的な機能ですから、市内のどこに住んでいても散歩の 途中などに気軽に立ち寄れる身近な場所に、魅力ある蔵書を備えた図書館があることが望ましいとい えます。そのためには、中央図書館を中心に各館がシステムとして結ばれ、市内全域を覆う図書館網 が形成されている必要があり ▼多摩地域各市の図書館1館あたり人口(2007 年4月1日現在) 自治体名 人 口 図書館数 1館当たり人口 自治体名 人 口 図書館数 1館当たり人口 ます。 図書館が身近にない地域へ の図書館の新設、老朽化・狭隘 化した図書館の建替えが急務 ですが、同時に既存施設を活用 した予約資料の受け渡しシス テムの構築など、市民の利便性 向上に繋がる現実的な対応を 模索する必要もあります。 主な取組 国立市 武蔵村山市 清瀬市 青梅市 あきる野市 福生市 稲城市 小平市 府中市 国分寺市 立川市 調布市 日野市 73,563 68,808 73,497 140,268 80,846 61,071 79,865 181,261 242,607 116,143 174,989 214,480 173,822 7 6 6 11 6 4 5 11 13 6 9 11 8 10,509 11,468 12,250 12,752 13,474 15,268 15,973 16,478 18,662 19,357 19,443 19,498 21,728 昭島市 多摩市 東大和市 西東京市 東久留米市 東村山市 三鷹市 小金井市 武蔵野市 羽村市 町田市 狛江市 八王子市 合 計 112,578 145,247 82,215 192,226 115,696 147,515 175,920 112,060 136,516 57,401 413,398 76,987 547,799 3,996,778 5 6 3 7 4 5 5 3 3 1 6 1 5 157 22,516 24,208 27,405 27,461 28,924 29,503 35,184 37,353 45,505 57,401 68,900 76,987 109,560 25,457 公民館施設貸出事業(公民館) 公民館は、2007 年度で、施設利用登録団体が 1,010 団体、利用者が年間 16 万 9 千人を超え、利用 率は 90%近くになっています。今後広く、市民団体に開かれた利用施設としてのあり方をさらに検討 する必要があります。 主な取組 文学館施設貸出事業(図書館) 文学館は、2007 年度で、利用登録団体が 44 団体、利用者が年間約 2 万 8 千人で、会議室の利用率 は 43%です。今後、文学館での市民活動をどのように活発化させるかが課題となっています。 主要事業 学校特別教室開放事業 予算(’08) 3,463 千円(生涯学習課) 地域での生涯学習の拠点として、木曽境川小学校、本町田小学校、小山ケ丘小学校、鶴川中学校の特 別教室の一部を開放教室として、無料で市民団体に貸出ししています。利用登録団体は、74 団体、利用 人数は年間約 8,400 人で、利用率が各校平均 7.2%と低調です。地域の学習の促進のあり方を検討する 必要があります。 主要事業 学校跡地開放事業 予算(’08) 3,304 千円(生涯学習課) 旧忠生第五小学校の独立棟1棟、全館8教室を開放教室として無料で市民団体に開放しています。利 用登録団体 82 団体、利用人数は、約 1 万 3 千人で、利用率は、27.3%となっています。この事業は、 学校跡地の有効利用の観点から暫定的な利用形態を継続していきます。 64 2 施策方針と主要事業の概要 基本方針4-施策方針(5) 市内の貴重な文化財の維持・保全に努め、市民が文化財を活用できる機会を提供します。 基本方針4の施策方針(5)は、文化財の保護や活用に関する事業を柱としています。市内には、国 や都、市指定文化財が 60 あります。その他にも貴重な文化遺産が多数ありますが、時代の変遷とと もに失われつつあります。こうした文化財の維持保全と保護を、文化財の各分野の専門家から構成さ れる文化財保護審議会による調査、審議により、計画的に進める必要があります。 また、市内の文化財の多くは、民間の所有者によって保全されており、文化財の保護は、市と市民 の協力・理解によって図られています。 主要事業 埋蔵文化財保護事業 予算(’08) 3,696 千円(生涯学習課) 町田市は縄文時代の遺跡を中心に約 1,000 の遺跡がある都内で も有数のまちです。首都圏のベッドタウンとして、急速な開発の 波が押し寄せた時期に比べ、大規模な開発に伴う発掘調査は落ち 着いたものの、宅地開発に伴う埋蔵文化財の事務が文化財保護の ▼開発に伴う調査件数の推移(件) 試掘調査 本調査 2005 年度 8 1 2006 年度 24 2 2007 年度 14 4 主要な業務となっています。 また、これまで 20 年をかけて行っている忠生区画整理事業に伴 う発掘調査の現地調査が一段落し、膨大な量の整理作業と報告書 作成の段階に入っています。 主要事業 古民家保存事業 予算(’08) 16,535 千円(生涯学習課) 市内には、国指定重要文化財「旧永井家住宅」 、都指定有形文化財「旧荻野家住宅」、市指定有形文化 財「青木家住宅」等の古民家が保存されています。古民家の維持については、「保存管理計画」を策定 して計画的に修繕等を実施していく必要があります。特に、国指定重要文化財の「旧永井家住宅」の修 繕が当面の課題となっています。 主な取組 史跡保存事業(生涯学習課) 市内には、国指定史跡「高ヶ坂石器時代遺跡」、都指定史跡田端環状積石遺構、都指定史跡小山田 1号遺跡等 11 の史跡が指定されています。順次整備を進めてきましたが、国指定史跡「高ヶ坂石器 時代遺跡」の整備が今後の課題です。 65 Ⅱ 基本プラン 文化財活用事業(生涯学習課) 主な取組 重点事業 ▼町田市の指定文化財(一部) 国 重要文化財 旧永井家住宅 国 史跡 高ヶ坂石器時代遺跡 その維持・保全に多額の費用がかかることから、その意義が広 都 有形文化財 妙福寺祖師堂 く市民に理解された上で、はじめて成り立つものです。また、 都 有形文化財 旧荻野家住宅 都 史跡 田端環状積石遺構 都 史跡 本町田遺跡 民に周知され、様々な機会に文化財に触れることで、郷土の理 都 旧跡 井出の沢古戦場 解に繋がります。そのためには、文化財が適切に保存され、市 都 名勝 福王寺旧園地 市 有形文化財 誕生釈迦仏立像 市 有形文化財 村野常右衛門生家 市 無形民俗文化財 金井獅子舞 市 史跡 白坂横穴墓群 市 史跡 白洲次郎・正子旧宅 市 天然記念物 アカガシ群落 文化財の保護は、市内の文化財の多くが民間の所有であり、 文化財は、町田市の歴史を知る上で貴重な文化遺産であり、市 民が見学できること、文化財の調査・研究の成果を市民が手軽 に知ることができること、文化財施設を通して市民が活動でき ることが求められます。 そのため、施設整備を含めた文化財の総合的な活用計画が必 要となっています。 主な取組 (薬師池公園) (東雲寺) 歴史的遺物収蔵事業(生涯学習課) 埋蔵文化財の遺物保管については、考古資料室に保管されているほか、市内の学校跡地等にも収蔵 されています。考古資料室の収蔵にも限界があり、将来的にどのように遺物を収蔵するかについて検 討する必要があります。 自由民権資料館においても、失われつつある市内の貴重な文書の受け入れを行っていますが、早晩 限界に達することは明らかであり、今後こうした歴史的遺物の収蔵体制を確立することが求められて います。 66 2 施策方針と主要事業の概要 基本方針4-施策方針(6) 文化・スポーツ振興に関する計画及び「子どもマスタープラン」の推進にあたって学校、図書 館等の教育機関を中心に積極的に参画します。 基本方針4の施策方針(6)は、文化・スポーツの振興に関する取組を柱としています。 町田市においては、文化、スポーツ、青少年事業が市長部局に移管されましたが、これらの分野の政 策課題に対して、教育委員会には「教育」という普遍的な営みをサポートする独自の役割があります。 文化やスポーツ等の豊かな教育性に注目し、その発展の方向を示唆する役割があります。 具体的には、「子どもマスタープラン」における図書館の子ども読書活動推進事業や市民の文化活動 の担い手を生み出す学習講座など、生涯学習は基盤的な役割を持っています。 また、児童の放課後対策やスポーツ振興における総合型地域スポーツクラブなど小中学校施設をめぐ る今後の新しい施策に対して、市長部局と調整を図る課題も多くあります。そうした教育委員会と市の 各部局と協力する仕組みづくりが課題です。 具体的には、今後の博物館のあり方、学校開放制度のあり方、子どもの居場所の検討、子ども読書活 動推進計画の実施について、市長部局の文化スポーツ振興部や子ども生活部と協議、検討を進めること が必要であり、今後の課題です。 主な取組 町田市子ども読書活動推進計画の実施(図書館) 人間が明晰な知性や豊 重点事業 ▼「町田市子ども読書活動推進計画」(第 1 次)の概要 かな情操を獲得するため に、読書の果たす役割が大 【学校における子どもの読書活動の推進】 きいことはいうまでもあ (1)図書資料の充実 (2)環境・施設の整備 (3)地域の図書館との連携 (4)学校図書館への専任職員の配置 (5)研修会の実施 (6)学校図書館支援センター的役割の部署の設置 りません。特に子どものこ ろの豊富な読書体験は、長 い人生を生きていく上で 掛け替えのない力となり ます。 1970 年代に本格化した 公共図書館の目覚しい発 展は、貸出しの重視ととも に、子どもたちに対する徹 ボランティアとの協働 【公共図書館における子どもの読書活動の推進】 (1)図書資料の充実 (2)図書情報の強化・充実 (3)おはなし会等の充実 (4)図書館利用の促進 (5)「総合的な学習」「調べ学習」のための情報提供 (6)児童青少年サービスに関わる職員の資質の向上 (7)地域に居住する外国人の子どもに対するサービス (8)障がいのある子どもに対するサービスの充実 (9)市民病院に入院している子どもや保護者に対するサービスの充実 (10)町田市民文学館の「ことば」や「文学」に親しむための活動 ボランティアとの協働 【家庭に向けての取組】 (1)「ブックスタート」の充実と支援 (2)「乳幼児向けおはなし会」の実施 (3)子育て支援コーナーの充実 【地域に向けての取組】 (1)図書館との連携の強化 (2)地域文庫への支援 (3)市民活動情報の提供 (4)おはなしボランティアの育成 底したサービスを行うこ とで可能となりました。町田市立図書館は日野市や府中市の図書館とともに、かつてその先頭に立っ た歴史をもっています。そうした歴史はいまなお図書館に生き続け、「みんなでよもう子どもの本」 の発行や、館外へ出かけてのおはなし会・ブックトークなど、きめ細かな児童サービスが展開されて います。 そうした実績を踏まえて、2004 年には「町田市子どもマスタープラン」に組み込む形で「町田市子 ども読書活動推進計画」を策定しました。これは 2005 年度を初年度とする5年間の計画であり、2009 年度を最終年度としています。したがって、2009 年度には5年間の成果を総括し、その結果を反映さ せた「第2次町田市子ども読書活動推進計画」を策定する必要があります。 67 Ⅱ 基本プラン 主な取組 「スポーツ振興計画」策定(文化・スポーツ振興部)への参画(教育委員会) スポーツ振興計画策定にあたり、庁内の総合調整を図るために設置された「町田市スポーツ振興計 画」策定調整会議に、主として「学校教育」、 「学校開放」の視点から学校教育部職員と生涯学習部職 員が、委員として参加しています。 主な取組 町田市子どもの居場所づくり懇談会への参画(教育委員会) 町田市における子どもの居場所のあり方を検討するために設置された「町田市子どもの居場所づく り懇談会」に、小学校の校長、副校長、社会教育委員の学識経験者が、委員として参加し、教育の立 場から意見の反映に努めています。 68