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発行日/平成1
9年1
2月1日 発行/長野県環境保全研究所友の会
富山平野への合同研修旅行
1
0月27日(土)、恒例の「友の会会員と環境保
り傘をさしつつ連れ立ったりして、桜(ジュウ
全研究所職員との合同研修旅行」が、富山県中
ガツザクラ)の花や国内外、熱帯から高山まで
央植物園(富山市)と魚津埋没林博物館(魚津
5
00
0種に及ぶという様々な植物を見学されてい
市)を研修先に双方合わせて31名の参加で行わ
ました。
れました。
一同集合したところで植物園を管理している
朝7時20分長野駅東口を予定どおり出発、途
「花と緑の銀行」の学芸員の方から園の概要
中小布施パーキングエリアで数名の方が乗車し、
を説明していただきました。
全員の元気なお顔が揃いました。
「花と新緑の春にもう一度来てみたい」
が多く
酒井会長さんのごあいさつを皮切りに一人ひ
の方の感想でした。
とりが自己紹介。皆さんの気分がほぐれたとこ
次は昼食。富山名物ますのすし、富山湾の魚
ろで研究所員からそれぞれ専門分野の最近の話
料理、温かいうどんで少し冷えた体を温めまし
題(中越沖地震に関係した地質、酸性河川に生
た。食後は昼食会場に隣接するますのすし製造
息するマリモを半割りにしたような苔、霧ヶ峰
場を見学したり、直営の売店で富山の名産をお
高原の鹿の食害などなど)が次々と披露されま
土産に買い求めたりしました。
した。
午後の研修先「魚津埋没林博物館」は、魚津
最初の研修先「中央植物園」までの3時間、
漁港から道路を一本挟んだ場所にありました。
話に驚いたり感心したりであっという間に過ぎ
埋没林は、昭和2
7年、道路建設工事の際発見さ
てしまいました。
れたとのこと。約2
0
00年前にそびえていた巨大
そこには、神通川河川敷の富山空港近く、約
なスギの根張りがそのまま水中に現地保存され
25ヘクタールの広大な園地が広がっていました。
園入口近くには熱帯雨林植物室、熱帯果樹室
などの大温室が建ち並び、樹幹から沢山の大き
な実が直接ぶら下がっているパパイヤをはじめ
普段見ることのできないような多種多様な植物
が成育していました。また、鉢植えですが露地
で八朔、三宝柑など多種の蜜柑類がたわわに実
を付けており、温暖な富山平野を実感しました。
広大な園内は、電気自動車で回ることができ
ます(ガイド付き、10
0円)。
生憎の雨も気にされず、電気自動車に乗った
2
富山県中央植物園で学芸員から概要説明を聴く
環境保全研究所友の会ニューズレター No.2
2
1
ている水中展示館、手で触れることのできるこ
れも巨大な根や垂直に立てられた樹幹などの乾
燥展示館があり、シンプルな展示でしたが、海
水位の上昇など地球規模の自然環境変動の壮大
さに思いを及ばせることができました。また、
富山湾を一望できるテーマ館では富山湾のふし
ぎ「蜃気楼」を3
00インチの大画面ハイビジョ
ンで観賞しました。
すぐ近くにある海の駅「蜃気楼」で一休みし
た後、帰路につきました。帰りの車中も会員、
車中にて
所員からの興味深い話が途絶えることなく続き、
行きと同様退屈する間もなくほぼ予定どおり全
員無事で帰着しました。
です。
バスを降り、お別れの際には「いろいろな話
来年はさらに多くの皆様がご参加されること
が聞けてとても楽しかった。また来年も」と何
を願いつつ、報告といたします。
人もの方が仰ってくださり、ほっとしたところ
(環境保全研究所 倉沢)
安曇野の湧水をたずねて
7月7日、七夕の日、心配していたお天気も、
とができ、落ち着いた日本家屋の一室でつめた
青空が顔をのぞかせて、戸外を歩くには具合良
い麦茶をいただきながら、静かな一ときを過ご
い気候でした。
すことができました。
安曇野の水のきれいなことは知られています
今回は参加者が当日の欠席もあり私共夫婦だ
が、今回細かく案内していただき、やはりよそ
けで、講師の加々美さんには申し訳ないようで
から来ては判らない、現地を知る方のみの場所
したが資料どおりの予定コースをご案内いただ
もあり、本当に感激でした。江戸時代からの小
き、意義ある一日を過ごすことができて、本当
川、魚も泳ぎさらさらと流れていくのを見てい
に感謝いたしております。ありがとうございま
ると、これがいつまで維持されるのかと心配で
した。
(金井清子)
す。
穂高の湧水公園は、いくつかの湧水を巧みに
使った公園で、たくさんのカモの親子がのどか
に泳いでいたのが印象に残りました。御法田の
わさび畑にバスで多くの観光客が訪れていまし
たが、今は得難いきれいな水、おいしい水を求
めて来る人が多いのでしょう。
午後、高橋節郎美術館を見学、金を使って工
夫された作品の数々を拝見、さすが文化勲章を
受章されただけのことはあります。ここでたま
たま焼物の展示をやっている方のお話を伺うこ
2
環境保全研究所友の会ニューズレター No.2
2
安曇野市「プラザ安曇野」の湧水
冠着山と聖大池の自然観察会をふり返って
友の会恒例の夏の自然観察会が去る6月29日、
出発約2時間、コース途中でアルプスの展望
千曲市戸倉、上山田の背中の冠着山と聖大池で
台があったが、生憎の曇り空で見ることができ
開催された。梅雨どきとあって天気を心配して
なかった。そのかわり、この里山にしては珍し
いたが、早朝に小雨だったので地域によっては
い花や木を見ながら観察、山頂での昼食となる。
曇りとかでまちまち、当日不参加(連絡有り)
食事後は自己紹介や集合写真撮影。下りコー
と連絡が無い人に携帯電話をすると、雨が降っ
スは八幡や千曲市の見えるコース。細い道、急
たから中止か…と思ったとの返事が返ってきた。
な上り下りの道を経て鳥居平(駐車場)へ。そ
天候によっては戸惑ったかと思うが、連絡が欲
して次の聖大池に全員移動する。
しかった。
池のまわりは雑草(茅・葦)に被われ、一部
集合された皆様には点呼と本日の計画を話し
踏み跡をたどり池の端で観察をする。夏にはま
て、目的地冠着山に向かう。
だ早いキャンプ場は静まりかえり、2、3人の
上山田温泉街を通り抜け、見晴らしの良い荒
散歩者がいた。ここで何年かぶりに菱の実を見
砥城下を通り、一路鳥居平駐車場へ。駐車場は
た。長いつるの先に水の中から菱の実がいくつ
少々の霧が巻き、鳥の鳴く声も聞こえる。ここ
も生っていた。
で再度点呼を行い、本日の講師、中山先生の話
この池は長野方面からの人たちが大勢来られ
を聴いて、先生を先頭にいよいよ出発だ。
るので、植物も在来種以外の入り込みが多いと
今日の講師助手に、会員上沢さんと細田さん
いう、中山先生の話を複雑な思いで聴いていた。
を予定していたが、上沢さんが体不調のため参
時間はだんだんと経過し、今日観察会に参加
加できず、細田さんにお願いして後列引率をし
された皆さんにはそれぞれの収穫があったこと
てもらう。
と思う。心配されていた天気も大きな崩れはな
山頂までの距離が短く、標高1252mとあまり
く、参加者の協力で無事に一日が終わった。ま
高い山ではないが、千曲川から吹き上げる風や、
た次の機会に皆様に会えることを期待したい。
裏手の北アルプスからの気候の関係で、他の山
(金井善男)
に比べて植物の種類が豊富なのに驚
く。県の希少性植物マルミノウルシ、
他にグンバイナズナ等、下見の時に
確認していたので期待をしていた。
ところが山頂に着いてみると、神社
境内では雑草がきれいに刈り払われ
ていた。イヤ残念…
この話をすると、参加された会員、
下村さんが「心配しなくてもいいよ。
まだこの付近にはたくさんあるか
ら」との話。参加された皆さんには
この山頂でのウルシは見られなかっ
たが、次の機会に見て欲しいと思っ
た。
環境保全研究所友の会ニューズレター No.2
2
3
「高峰・黒斑」自然観察会
H1
9.8/24∼25
昨年から雨に祟られ通しの東信友の会自然観
察会。今回は好天に恵まれ素晴らしい2日間で
した。
秋の可憐な花々が迎えてくれた高峰山、つい
最近友人と登って見慣れた花なのに、中山先生
の解説で見ると特別な花に見えるから不思議で
す。
常連はいつも先生の近くではお話が聴けない
のですが、今回は適当な人数でラッキー! ぴったり後ろについていました。
富樫先生の講義、東日本大火山帯と海溝の関
高峰山山頂にて
連、火山の分け方、表面がひび割れた溶岩をパ
ン皮状と表すこと等、再度ゆっくり講義を受け
活動されていることがよく分かりました。黒斑
たいと思いました。「富士山が爆発して…」にも
山頂からは、富士山をはじめ八ヶ岳、中央・北
納得です。また登るのはいやだから秋になった
アルプスの峰々にも会えて大満足。
ら、三ツ峠に行って富士山をバックに写真を撮
解散式直前、カラマツの成長を促す長枝と同
ろうか…なんて考え始めました。
化作用で本体を太らす短枝のお話、一瞬も無駄
10年ぶりに参加された柴平さんに案内してい
にしない中山先生の姿勢に脱帽です。次回がま
ただいた早朝散策の清々しかったこと。そして
すます待ち遠しくなりました。
楽しいお話から高峰を自分のフィールドとして
4
環境保全研究所友の会ニューズレター No.2
2
(上沢容子)
秋の北白樺高原ミニ観察会&交流会
H1
9.1
0/7 於・八ヶ岳中信高原国定公園・北白樺高原
第3回東信友の会交流観察会は、秋たけなわ
の10月7日(日)、素晴らしい好天の中、錦秋エ
コーバレースキー場エリアで行いました。新入
会員数名を含む22名の讃歌を見ました。
ゲレンデ周辺のミニ観察会は、いつも通り我
が会が誇る専任講師、中山洌先生の解説で行い
ました。「ビギナーは先生の近くで、常連はな
るべく後方で」の、私のお願いを守っていただ
き、初めて参加の方々はご満足の様子でしたが、
中山チルドレン(?)の面々は多分にストレス
が蓄積したかも……
豪華昼食会後の総会では、例によって観察会
の回数を増やして欲しいなどの意見も出ました
が、本会との兼ね合いや事務局のキャパシティ
不足もあり、来期も宿泊を伴うもの1回日帰り
2回に落ち着きました。
来年は、東信友の会発足10年を迎えます。記
念事業の意味合いもあり、執行部は新機軸を強
いられてプレッシャーを感じているところです。
会員の皆さんの斬新なご提案を切望する次第で
す。どしどしお寄せください。
(文責・東信事務局 上沢)
八方尾根お花畑観察会
H1
9.8/5 八方尾根自然研究路 参加者1
2名
美麻トンネルを抜けると、景色は一変して一
まっている。
望する白馬の田園と、遠見・八方の尾根や白馬
八方尾根の自然研究路は、黒菱平鎌池から八
連山などから成る後立山連峰のパノラマが広が
方池付近の草原湿原崩壊地などの変化に富んだ
る。
植生環境に恵まれ、沢山の植物を観察できます。
中央に見える八方尾根は、麓ほど斜面が急で
標高1,
6
8
0mの黒菱平から2,
1
3
0mの八方池では、
稜線は緩急が交互に起伏し、尾根筋の鎌池や八
ブナ林から針葉樹林ダケカンバ林へと移り変わ
方池などの池や湿原が点在する部分と急な南斜
る標高ですが、代わって低木林や高山性の植物
面や北斜面の荒々しい崩壊地が狭い尾根筋に集
群落の植生となっています。この地域は蛇紋岩
環境保全研究所友の会ニューズレター No.2
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ツガザクラ、ハッポウウサギギク、ハッポウタ
カネセンブリなどがあります。
八方尾根の植物は蛇紋岩の上の粘土層と薄い
表土に生育しており、水が地中に浸透できず湿
地性の植物も多くみられますが、土壌浸食が激
しいところに沢山の人が訪れるため八方池付近
は裸地化が著しく、観察路は木道が施され、裸
地には表土被覆の修復が進められています。
今回の観察会には研究所の尾関雅章技師に講
による特殊な地質分
師をお願いいたしました。大勢の入山者の混雑
布が植生に影響を与
している中で植物の紹介解説をいただきありが
えており、大型木本
とうございました。真夏の観察会でしたが、八
などは生育し難いた
方尾根ではミヤマシャジン、タカネマツムシソ
め高山植物が下りて
ウが咲き始め一足早い秋の香りに触れた一日で
きて育っています。
した。
(酒井今朝重)
また今回は行きませ
んでしたが、八方池
から上の森林限界に
あたる、上の樺、下
の樺は地質が蛇紋岩
から花崗岩に替わっていて、見事なダケカンバ
群落となっています。八方尾根の地域性は沢山
の特殊植物を育み、ハッポウウスユキソウ、
ハッポウワレモコウ、ハッポウアザミ、ミヤマ
ナガハシスミレ、オバケツガザクラ、ハッポウ
■事務局だより
山々が白いベレー帽を被る季節になりました。
葉の落ちた木々を見るに、早春の残雪が残る霊
仙寺山の登山道伝いに沢山のくま棚があり、思
わず鈴の音を高くして歩いたのを思い出します。
今年も有り難くない活躍をした熊は、冬ごもり
をしたでしょうか。
今年もまた研究所職員との合同研修旅行には
大勢のご参加をいただきまして、ありがとうご
ざいました。バスの車中で代わるがわる研究所
職員のお話を聴いて大いに盛り上がるのも、こ
の旅行の恒例となっています。研究員の皆さん
来年もよろしくお願いいたします。
6
環境保全研究所友の会ニューズレター No.2
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【連
連 絡 先】
3
8
1
‐
0
0
7
5 長野市北郷2
0
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4
‐
1
2
0
長野県環境保全研究所内
「環境保全研究所友の会」事務局
0
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0
3
1 0
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