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沖縄医報 Vol.41 No.12 2005 月間 (週間)行事お知らせ 世界エイズデー(12/1)に寄せて 沖縄県中央保健所 上原 真理子 レッドリボン 沖縄県においては、毎年その数は増え、九州 12 月にはクリスマスがあり赤のイメージが湧 の中で人口比で最も HIV/AIDS の数の多い県で きますが、もう一つ、レッドリボンの赤があり す。平成 16 年 1 年間の HIV/AIDS は 14 人で、累 ます。皆様は、「世界エイズデー」をご存じで 積数も 70 人となっています。平成 17 年の 10 月 しょうか? では感染者 11 人と患者 1 人、不明 2 人増加して、 WHO(世界保健機関)は、1998 年に世界的 累積数 84 人になりました。この 4 月からは、全 レベルでのエイズ蔓延防止と患者・感染者に対 県的に HIV 迅速検査を導入しているため、検査 する差別・偏見の解消を図ることを目的とし 数も例年の 1.7 倍と増加しています。 て、12 月 1 日を“World AIDS Day ”(世界エ なぜ検査が必要か イズデー)と定め、エイズに関する啓発活動等 の実施を提唱しました。アメリカでエイズが広 HIV 感染者は 20 代から 30 代が全体の約 7 割を がり始めた頃、ニューヨークで活躍していたア 占めており、特に若者に対する対策が必要とな ーティスト達の中にも次々と死んでいく仲間が っております。そんな HIV/AIDS は、感染のほ 増えていました。そんな仲間の死を悼み、エイ とんどが、性的接触によるものであり、誰でも ズは、社会問題であるとの意識を高めようと 感染する可能性があります。自分には関係ない “赤いリボン”をシンボルとして着けたのが始 と無関心でいられるでしょうか? まりのレッドリボンは、元々「死を悼む心」を 今年の世界エイズデーのテーマは、「エイ 表すものとして、古くからヨーロッパに伝わる ズ・・・あなたは関係ないと思っていません 伝統的な風習でした。多くの方がレッドリボン か?」です。長期間、自覚症状が殆どないた の意味を知って、胸に着用し、偏見と差別をな め、気づかずにうつしたり、うつされたりする くすために対話されることを望みます。 危険があるので、早期検査による早期発見は、 早期治療に結びついて病状の重症化防止に役立 世界と日本、沖縄の現状 ちます。 世界では 4,000 万人以上の HIV/AIDS の人々が 受けやすくなった HIV 抗体検査 いて、平均寿命が 40 歳を切るような地域もある サハラ以南のアフリカや、南・東南アジアで約 エイズの検査(HIV 抗体検査)は、全国の保 3,000 万人を占めています。先進国が HIV/AIDS 健所で受けることが出来、しかも、「匿名」「無 の数を減らしていく中で、唯一増加しているの 料」です。しかし、保健所での検査について が、我が国日本なのです。 は、基本的に平日昼間など、限られた日時にし 昨年 1 年間に新たに報告された HIV/AIDS 数 か実施していないこと、保健所の立地条件が必 は、HIV 感染者数が 780 件、AIDS 患者数が 385 ずしも良くないこと、保健所そのものが日常生 件と合わせて合計 1,165 件となり、初めて 1,000 活に馴染みが薄いこと等から「検査に行きにく 件を突破し、いずれも過去最高となっています。 い」という声も聞かれます。そこで、平成 17 年 −72(1368) − 沖縄医報 Vol.41 No.12 2005 月間 (週間)行事お知らせ 4 月より、沖縄県においては全県的に迅速検査 もじ前での街頭キャンペーンと、12 月 3 日(土) を導入実施し、検査結果がその日のうちに分か 15:00 ∼美浜カーニバルパーク特設会場でのメ るようになりました。即ち、午前のうちに受け インイベントを予定していて、若者が楽しみな 付けした人は午前のうちに、午後受け付けた人 がら HIV/AIDS に関心を持てるように企画しま には午後で結果を説明することになったので した。是非、多くの方が参加されますようお願 す。以前のように 1 週間待つことがないので、 いいたします。 聞きに来ない方はありませんし、結果を聞くま での長い不安な時間が短縮され、好評です。 ただし、スクリーニング検査として、偽陽性 が 1 %ほど出現するため、確認検査をして陰性 北部保健所の高校生のピア活動や八重山保健 所の高校生・中学生のピア活動は、ここ 5 年ほ ど継続しており、もっと広がりながら引き継が れることが期待されます。 か陽性かの判定が必要となります。99 %の方に ボランティアで頑張って来た HIV 人権ネット は、正しい陰性(2 ヶ月以内に感染する行為が ワークも NPO 化し、夜間の電話相談(毎週月 なければ、感染がないこと)の結果をすぐに説 ∼金曜夜 8 時∼ 10 時)の継続や、今年 3 年目と 明できますが、偽陽性の方には確認検査の結果 なるエイズキャンペーンも高校生の演劇を通し が出るまで、早くて 2 日、場合によっては 5 日 て、観客がエイズを理解するという形のピア活 ほど待っていただくこともあります。その間 動で実践中です。「エイズキャンペーン 2005 」 に、保健所は結果が「陽性」ならば、拠点病院 の 12 月 17 日(土)14:00 ∼名護市民会館には、 へも紹介する可能性の方がいることを連絡し、 琉大産婦人科の佐久本助教授が厚生労働省の研 紹介状を書いて相談者を待ちます。結果説明の 究班員として母子感染の研究成果も発表され 日に、どこの病院を受診したいかご本人の希望 る、盛りだくさんの催しとなります。他に、12 を聞いて、紹介状と電話相談機関リストや保健 月 4 日(日)18:30 ∼那覇市民会館、12 月 10 日 所の電話番号と担当名など書いた紙を渡して、 (土) 19:00 ∼那覇市てんぶす館、 12 月 22 日 紹介します。しかし、その方の様子によって (木)18:30 ∼沖縄市あしびなー(入場料はすべ は、病院まで保健所の担当が付き添い、お金の 手続きの援助や医師の説明を一緒に聞くなどす て無料)がございます。 また、那覇市医師会さんでは、 NPO 法人 HIV 人権ネットワーク沖縄(会長 平良一彦 琉 ることもあります。 大教育学部教授)への寄付金募集にご支援いた 各種の啓発・イベント だいていると聞き及んでおりますし、 12 月の 沖縄県においては、県本庁の大きなイベント 「 OCN :医療ホットライン」では、「エイズ」 と、各保健所毎に地域での啓発やエイズ予防教 をテーマに取り上げ、私も出演予定です。どう 育(主に中学・高校生向け)を、世界エイズデ ぞ足をお運びくださるよう多くの方々をお誘い ーの時期とそれ以外の時期にも随時行っていま ください。若者の感染が少しでも減るように、 す。今年の沖縄県の取り組みはチラシにありま これをきっかけに親子・友人での対話が増える すように、 12 月 1 日(木) 16:00 ∼パレットく ことを期待しています。 −73(1369) − 沖縄医報 Vol.41 No.12 月間 (週間)行事お知らせ −74(1370) − 2005 沖縄医報 Vol.41 No.12 月間 (週間)行事お知らせ −75(1371) − 2005 沖縄医報 Vol.41 No.12 2005 月間 (週間)行事お知らせ フリーダイヤルによる「自殺予防いのちの電話」 ∼フリーダイヤル週間(12/1 ∼ 12/7)∼ 沖縄いのちの電話 運営委員・研修担当 渡久山 朝裕 1953 年にイギリスで生まれた電話相談「サマ リタンズ」、1963 年にオーストラリアで始まっ た「ライフライン」などの影響を受けて、1971 年に東京で「いのちの電話」が生まれました。 人生の危機に立ち、孤独や不安にさいなまれ、 生きる希望や気力を失いつつある人々に対し、 「電話」を通し、その人が自分自身を見直し、 勇気をふるって再び生きぬいていこうとするた めに、適切な援助を行うことが目的です。「沖 縄いのちの電話」は「東京イングリッシュ・ラ 図1.フリーダイヤル電話総数(全国) イフライン」、「関西いのちの電話」に続いて 1976 年 1 月、日本で 4 番目に開局しました。こ けて全国の加盟電話センターが協力し、毎年 12 の人道的な市民活動は全国に広がり、今では 50 月 1 日から 7 日までの 1 週間、「全国フリーダイ ヵ所に電話センターがあります。毎日かかって ヤル自殺予防いのちの電話」が実施されまし くる相談電話の多くは人生の問題、家庭や人間 た。当沖縄センターも初年度から 4 年連続して 関係の問題などですが、やはり自殺予防が最大 これに参加しています。自殺関連の相談に限定 の目的であることには変わりありません。 された、全国共通番号の特別回線のフリーダイ 「沖縄いのちの電話」は開局以来、年中無休 ヤルですから、自殺志向電話に応対するための で朝 10 時から夜 11 時まで相談電話を受け続け 特別研修を受けた経験 3 年以上のベテラン相談 ています。2004 年度の集計によりますと、電話 員が電話を受けています。昨年は午前 10:00 か 総数が 10,752 件で、 1 日平均 29 件、 1 時間に 2 ら深夜 1:00 までの 1 日 15 時間、7 日間で合計 105 件の相談電話がかかってきたことになります。 時間を延べ 60 名の相談員スタッフが担当責任 その内、自殺志向つまり自殺念慮(自殺するこ を持ち、活動しました。通常の電話相談業務も とを考えている)、自殺通告(これから自殺す 並行して実施している中でのこの特別事業です ると告げる)、自殺実行中などの電話は 213 件 ので、当沖縄センターでは相談員が十分に確保 ありましたので、50 件に 1 件の割合で自殺志向 できず、24 時間体制は組めませんでしたが、全 電話がかかっています。 国からかけられた自殺志向の相談電話にていね 日本はこのところの長期不況にあえぎ、うつ 病者が増加し、年間自殺者数が 7 年連続で 3 万 いに対応しました。 図 1 はその 7 日間で全国のセンターに「かか 人を越すという非常事態におちいっています。 ってきた電話(件数)」と「つながった電話 厚生労働省は自殺防止対策事業の一環として (件数)」を集計して年ごとに示したものです。 2001 年度から日本いのちの電話連盟に対して、 実際に相談員と話ができたコーラー(かけ手) フリーダイヤル(無料電話)による自殺予防電 は 30 %にも届いていないことがわかります。つ 話相談実施の協力要請を行いました。これを受 まり、70 %以上の人はせっかく電話しても話し −76(1372) − 沖縄医報 Vol.41 No.12 2005 月間 (週間)行事お知らせ 図2.フリーダイヤル自殺志向電話(沖縄) 図3.フリーダイヤル自殺志向電話:年齢別(沖縄) 中のためにつながらず、すぐには相談ができな かったということです。この方々はその後も電 話がつながるまでかけ続けたのか、あるいは相 談をあきらめてしまったのか分かりませんが、 気になる結果です。もっと多くのコーラーが相 談できる、つながりやすい電話にする体制づく りが急務だと思います。 図 2 は沖縄センターにつながった電話総数と その内の自殺志向電話件数を示したものです。 フリーダイヤルで通話料金がかかりませんか 図4.フリーダイヤル自殺志向電話:問題別(沖縄) ら、自殺と無関係な相談であっても電話してく る方々がいたことがおわかりだと思います。結 活動ではありますが、「自殺をみんなで防ごう」 果的に自殺志向電話をかかりにくくしている要 というメッセージを全国のいのちの電話が一致 因がここにもあるわけですが、当のコーラーた 団結して発信することは意義のあることだと思 ちは悩んで電話するわけですから、相談員は話 います。沖縄センターは今年も継続してこの活 を聞かないわけにもいきません。対応に工夫が 動に参加する予定ですが、通常の電話相談にお 求められますが、ひととおり相談内容を受けと いても自殺予防への貢献という本来の目的を再 めたのちに、通常のいのちの電話の方にかけ直 確認し、コーラーの生きる力を支えられるよ すようにお願いしています。 う、ボランティア相談員と共に努力していきた 図 3 は沖縄センターで受けた自殺志向電話を いと思います。 コーラーの年齢別に集計した結果です。40 歳代 最後に紙面をお借りして、お願いを申し上げ の方々からの電話が多かったことがわかりま ます。沖縄いのちの電話は市民ボランティアの す。図 4 は相談内容を問題別に集計した結果で 無償の奉仕で支えられておりますが、研修講師 す。「生きるのがつらい」、「将来への希望がな 謝金、電話室・事務室の賃貸料、事務経費等の い」などという「人生」の問題をかかえていて 運営資金が必要です。沖縄県医師会の先生方に 死にたい気持ちを訴えたケースが最も多く、続 資金ボランティアとなっていただき、わたした いて「うつ病で苦しい」、「重い病気で働けな ちの活動を支えていただきたいと存じます。事 い」などの「精神・保健」の問題が多かったこ 務局までご一報くだされば手続き等の説明をさ とがわかります。 せていただきますので、どうかご協力をよろし 1 年間の内、たった 1 週間だけのフリーダイヤ くお願いいたします。 ル自殺予防電話という、キャンペーン色の濃い −77(1373) − (電話: 098-863-0133 、事務局員:城間) 広 報 委 員 会 広報委員会では、県民の健康増進に資 ③図やイラスト、グラフの添付は可 するため、沖縄タイムス及び琉球新報の 能。 紙面を借りて医療に関する情報を提供し ・図やイラスト、グラフは簡単な ております。 原稿をいただければ、新聞社の つきましては、会員の皆さまからの原 デザイン係の方で紙面用に仕上 稿を下記のとおり募集いたします。 げます。 なお、執筆内容が専門的な傾向になら ④本企画は、県民の健康増進に資す ないよう、文章全体のトーンとしては、 るため、医療知識の適切な提供と 一般の読者が親しみやすいように”医療 その啓発普及を主旨としておりま 随筆”風の柔らかい感じを希望します。 す。企画主旨にそぐわない内容・ 表現について、または修飾語、助 記 詞、見出しについては、新聞社・ ○掲載日 編集側にて若干の手直しを行う場 「命ぐすい耳ぐすい」 合がありますので、ご了承下さい。 :沖縄タイムス毎週水曜日朝刊 ⑤新聞掲載に際して著作権は本会に 「うちなー健康歳時記」 帰属されます。ご投稿は同意され :琉球新報毎週火曜日夕刊 たこととみなしますのでご了承下 ○掲載要領: さい。 ①字数 「命ぐすい耳ぐすい」:1000字 「うちなー健康歳時記」:1200字 ・注釈をつける場合は、その字数 も含める。 ・執筆者の顔写真をご提供下さい。 原稿と併せて掲載致します。 ②原稿のタイトル並びにサブタイト ルを10文字程度でお付け下さい。 ⑥新聞掲載の採否については広報委 員会にご一任下さい。 ⑦文中に固有名詞の使用はお控え下 さい。 ⑧他誌に掲載済みの原稿は掲載いた しかねますので、ご了承下さい。 ○原稿の送付先 〒901-2104 浦添市当山2丁目30番1号 沖縄県医師会広報委員会宛