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サブ・サハラアフリカにおける協力の方向(PDF:811KB)

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サブ・サハラアフリカにおける協力の方向(PDF:811KB)
資料−3
アフリカにおける農業農村開発分野の協力の方向
―
サブ・サハラアフリカにおける協力の方向
平成16年3月
農林水産省
農村振興局整備部
−
目
次
サブ・サハラアフリカにおける農業農村開発分野の協力の方向
1.第1回国際小委員会での検討経緯
1
2.検討の考え方
2
(1)開発の現状と可能性指標による分類
3
(2)土地資源の保全指標による分類
7
(3)サブ・サハラアフリカ42ヶ国の分類
9
3.サブ・サハラアフリカにおける協力方向の検討
10
(1)各グループにおける開発課題
10
(2)農業農村開発分野における協力の方向
11
1.第1回国際小委員会での検討経緯
サブ・サハラアフリカ47ヶ国
○
平成15年度第1回国際小委員会では、サブ・
サハラアフリカ42ヶ国(小島嶼国5ヶ国を除く
)を地理的条件により4地域に区分し、農業農
村開発分野の協力の可能性が高いと考えられ
る8ヶ国を抽出。
サブ・サハラアフリカ42ヶ国
地理的条件により4地域に区分
西アフリカ地域
(15ヶ国)
東アフリカ地域
中央アフリカ地域
南アフリカ地域
(9ヶ国)
(7ヶ国)
(11ヶ国)
ニジェール
タンザニア
○
高い
コンゴ民主共和国
ザンビア
協力の必 要性・可能性
これに先進的農業農村開発事例の1つであ
る南アフリカ共和国を加えた9ヶ国において、
現状と特徴を概観し、農業農村開発分野の課
題と協力の方向(骨子)を検討。
小島嶼国5ヶ国を除外
エチオピア
カメルーン
コートジボワール
ナイジェリア
南アフリカ共和国
低い
農業分野の協力の可能性が高い8ヶ国+南ア
・必要性の指標:栄養不足人口割合
・可能性の指標:農業経済活動人口割合
コメ生産量・輸入量
9ヶ国について、農業、環境等の現状と特徴を分析。
1人当たり耕地面積
○ 第2回国際小委員会においては、サブ・サハラ
アフリカ諸国を開発程度や水・土地資源の状況等、
開発課題が類似の国毎にグループ分けし、分類さ
れたグループ毎に農業農村開発分野の協力方向
を検討。
・食料安全保障の観点からも、主要な産業としての農業の発展が不可欠。
・西アフリカ地域を中心に、ネリカ米の開発・普及等による生産性の向上が重要
・灌漑面積の割合が3%と極めて低く、安定的な農業生産のためには灌漑開発が必要。地
域の特性に応じた効率的な水利用のためにも小規模灌漑開発等による土地生産性の向上
を図ることが重要。
・砂漠化が進行している地域では、砂漠化の進行を防止することが重要。
・南南協力にも積極的に取り組むことが重要。
・しかしながら、これらの課題は、地域毎・国毎に大きく異なることから、国別に更に検
討を深める必要がある。
-1-
2.検討の考え方
○
農業農村開発分野の具体的な協力内容を検討するに当っては、当該国における農業農村の開発の現状と農業農村開発に欠く
ことのできない水資源・土地資源の開発可能性等の度合いを踏まえることが重要。
○ 「開発の現状」指標、「開発の可能性」指標、「土地資源の保全」指標を設定し、サブ・サハラアフリカ42ヶ国を開発課題
が類似のグループに分類、グループ毎に協力の方向を検討。
1)「開発の現状」指標:
「人間開発指数(HDI)」
2)「開発の可能性」指標: 「国民一人当たり未利用灌漑可能面積」
3)「土地資源の保全」指標:「土壌劣化の激しさ」
検討実施フロー
人間開発指数(HDI)
①
サブ・サハラアフリカ
42ヶ国
自立発展がある
程度見込める国
HDI<0.5 人間開発低位国
開発の現状指標
HDI>0.5
人間開発中位国
データなし
Yes
水・土地資源に開発
優位性を有する国
HDI<0.5、
灌漑面積>0.1ha
開発の可能性指標
国民一人当たり未利用
灌漑可能面積<0.1ha
No
Yes
③
リベリア
ソマリア
HDI<0.5
No
②
HDI>0.5 人間開発中位国
土地資源の保全の
必要性が低い国
HDI<0.5、
灌漑面積<0.1ha、
土壌劣化「軽度」
④
土地資源の保全指標
土地資源の保全の
必要性が高い国
土壌劣化の激しさ>
サブ・サハラ平均
No
Yes
-2-
HDI<0.5、
灌漑面積<0.1ha、
土壌劣化「重度」
(1)開発の現状と可能性指標による分類
1)「開発の現状」指標の選定
○
「開発の現状」を示す指標として、国連開発計画(UNDP)が提唱し、世界的にも広く利用されている人間開発指数(HDI)を
採用。
・ かんがい排水審議会国際部会報告「21世紀における農業農村開発協力の展開方向」(H11.3)においても、HDIを用いた農業
発展段階に応じた協力の展開方向を検討。
○ 人間開発指数(HDI)と農業関連指標の関連を考察し、妥当性を検証する。
人間開発指数(HDI)
長寿で健康な生活
人間らしい生活水準
出生時平均余命
1人当たりGDP
農業関連指標として検証を行う項目
指数化
指数化
① 農業経済活動人口一人当りの耕地面積
② 労働生産性
HDI
人間開発指数
③ 土地生産性
④ 栄養不足人口比率
指数化
知
成人識字率
識
人間開発指数(Human Development Index)
総就学率
人間開発とは、自らが大切だと思うような生活を送れるように人々
の選択肢を広げること。その程度を表す指標として、国連開発計画
(UNDP)により提唱。
HDIは、人間開発の3つの分野(寿命、知識、人間らしい生活水
準)での平均達成度を測定する指標。
資料:人間開発報告書2002(UNDP)
-3-
○
人間開発指数(HDI)は農業関連指標とも高い相関。
・1人当りの耕地面積、労働生産性との間には高い正の相関。
・土地生産性との関係では、南アフリカ共和国とコンゴ民主共和国を除けば高い正の相関。
・栄養不足人口比率とはサブ・サハラアフリカ全体で考察すると緩やかな負の相関。
○ それぞれの指標との相関における地域別の傾向は見られない。
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
農業経済活動人口1人当たり耕地面積との関連
労働生産性との関連
労 働 生 産 性 ( to n / 人 )
10.0
南アフリカ 共
コートジボワール
カ メルーン
r = 0.901
ザン ビ ア
ニジェ ール
ナイ ジェ リア
コンゴ民主共
タン ザニア
エチオピ ア
0.2
0.3
0.4
③
土地生産性
( to n / h a)
②
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
0.5
HDI
0.6
0.7
0.8
ナイジェリア
4.0
r = 0.867
コンゴ民主共
2.0
0.0
ザン ビ ア タン ザニア
エチオピ ア
ニジェ ール
0.4
カ メルーン
ナイ ジェ リア
南アフリカ 共
9ヶ国
9ヶ国
2ヶ国を除く7ヶ国
2ヶ国を除く7ヶ国
0.5
HDI
0.6
r=0.387
r=0.387
r=0.880
r=0.880
0.7
0.8
南アフリカ共和国は著しく土壌劣化が進行(62%)
コンゴ民主共和国では土壌劣化が進行していない(8%)
資料:人間開発報告書2002(UNDP)、FAOSTAT(FAO)
カメルーン
0.3
0.4
0.5
0.6
HDI
④ 栄養不足人口比率との関連
80
0.7
0.8
東アフリカ地域
西アフリカ地域
中央アフリカ地域
南アフリカ地域
その他31ヶ国
60
40
20
r =-0.570
0
0.2
-4-
コートジボアール
タンザニア
ザンビア
エチオピア
ニジェール
土地生産性との関連
コートジボワール
0.3
6.0
0.2
コン ゴ民主共
0.2
南アフリカ共
8.0
栄 養 不 足 人 口 比 率 (%)
1 人 当 た り耕 地 面 積
(h a)
①
0.3
0.4
0.5
HDI
0.6
0.7
0.8
2)「開発の可能性」指標の選定
○ 農業農村分野における「開発の可能性」を示す指標としては、「未利用水資源量」、「未利用灌漑可能面積」等が考えられるが、
以下の理由により、「未利用灌漑可能面積」を採用。
1)「国民一人当り未利用水資源量」は、地形条件等を加味しておらず、実際に利用できる水資源量より過大。
2)「国民一人当り未利用灌漑可能面積」は、地形条件や土壌条件等を踏まえた水資源の利用可能面積を示す値。
○ 当該指標を用いた分類のための目安値(0.1ha/人)については、FAOにより定義された「栄養不足境界値」を参考に、将来の灌漑農業
開発により最低限確保すべき生産量から設定。
国民1人当たり未利用灌漑可能面積の考え方
国民1人当たり未利用灌漑可能面積0.1ha/人設定の考え方
サブ・サハラアフリカの栄養不足境界値
1830 kcal/day・人 (2010年)
国民1人当たり未利用灌漑可能面積
栄養不足境界値を米の単位熱量で割ると、1日
に必要な米の重量が算出される。
灌漑可能面積
1日に必要な米の重量
509 g/day・人
チェック
灌漑適地面積
年間必要重量を算出し(×365日)、精米換算
(/0.667)と水稲作が進んでいる西アフリカ地域
の米の単位収量(2.1t/ha)を割ると1人当たり
必要灌漑面積が算出される。
農業用水資源量
1人当たり灌漑可能面積
0.13ha/人 ≒ 0.1ha/人
必要単位用水量
資料:Irrigation potential in Africa (FAO)
注:サブ・サハラアフリカ諸国における主食やカロリー摂取の中心はコメだけではない
が、「国民一人当り灌漑可能面積0.1ha」の設定に当たってはコメと仮定して算出。
-5-
3) 「開発の現状」・「開発の可能性」指標による分類
○ 42ヶ国を分類するに当っては、以下の視点で整理。
1)開発の現状の観点から、人間開発低位国と中位国に2分類。
2)開発の可能性の観点から、人間開発低位国について、水・土地資源の開発可能性の高い国と低い国のグループに2分類。
○ 一番条件の厳しい「HDIがおおむね0.5以下で、国民一人当り未利用灌漑可能面積0.1ha以下」に分類された国は、ニジェール、ザンビ
ア、エチオピア等25ヶ国に上るため、土地資源の保全指標により細分類。
HDIと灌漑可能面積による分類
0.60
②
①
国民1人当たり未利用灌漑可能面積(ha/人)
0.50
ニジェール
0.40
ナイジェリア
エチオピア
コートジボワール
0.30
カメルーン
コンゴ民主共和国
タンザニア
0.20
ザンビア
0.10
③、④
南アフリカ
0.00
HDI>0.5
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
HDI<0.5、国民1人当り未利用灌漑可能面積>0.1ha/人
HDI
HDI<0.5、国民1人当り未利用灌漑可能面積<0.1ha/人
資料:人間開発報告書2002(UNDP)、FAOSTAT(FAO)
-6-
(2)土地資源の保全指標による分類
あ
1)「土地資源の保全」指標の選定
○ 「土地資源の保全」を示す指標として、FAOによる土壌劣化の激しさ分類に基づく「土壌劣化指数」を採用。
土壌劣化の激しさ(第1回委員会で検討した9ヶ国)
なし
軽度
中程度
重度
極度
土壌劣化
指数
93
コンゴ民主共
コンゴ民主共
コートジボワール
コートジボワール
123
ニジェール
ニジェール
153
ザンビア
ザンビア
160
タンザニア
タンザニア
169
カメルーン
カメルーン
175
エチオピア
エチオピア
228
ナイジェリア
ナイジェリア
239
南アフリカ
南アフリカ
259
0%
土壌劣化指数の考え方
10%
20%
資料:TERRASTAT(FAO)
30%
40%
50%
60%
70%
東アフリカ地域
中央アフリカ地域
80%
90%
100%
西アフリカ地域
南アフリカ地域
TERRASTATによる土壌劣化の激しさ分類
FAOにより分類された土壌劣化の激し
さを、それぞれ国土面積に占める割合
(%)とし、激しさに応じた係数を掛
けることで指数化を行う。
「なし」面積率(%) ×0
「軽度」面積率(%) ×1
「中程度」面積率(%)×2
「重度」面積率(%) ×3
「極度」面積率(%) ×4
土壌劣化の激しさの指数化
0∼400 (アフリカ平均145)
参考(UNEPより)
土壌劣化の激しさ分類の定義は以下のとおり。
「軽 度」:土地は農業に適しているが、生産力は幾分低下。
「中程度」:土地は農業に適しているが、生産力は相当低下。
「重 度」:土地は農業に適さない。回復のためには大掛かりな
土木工事が必要。
「極 度」:土地の開墾も回復も不可能。生命維持機能はほとん
どない。
-7-
資料:World Soil Resources Report 90 (FAO)
2)「土地資源の保全」指標による分類
○ サブ・サハラアフリカにおける土壌劣化指数の平均値により、水・土地資源の開発可能性が限られている25ヶ国を土壌劣化程度の「軽
度」国と「重度」国に2分類。
サブ・サハラアフリカの土壌劣化状況
400
軽度 <<
土壌劣化程度
土壌劣化の原因
>>重度
TERRASTATでは、人為的行為に限って以下
の要因を主要なものとして挙げている。
データなし
自立発展がある程度見込める国
水・土地資源に開発優位性を有する国
土地資源の保全の必要性が低い国
土地資源の保全の必要性が高い国
アフリカ平均 ( =145)
350
300
250
「過放牧」:
家畜の可能な食餌による植生の減少や土
地の踏み荒らしによる表土の圧縮。
「自然植生(植林等)の伐採・除去」:
立木等の産業的利用のための伐採、道路
建設、都市化、産業開発のための伐採・除去
等。
200
150
「農業活動」:
不適切なかんがい排水による塩類集積、侵
食防止策の欠如、焼畑移動耕作における休
閑期間の短縮、肥料農薬の過剰蓄積などの
不適切な農地管理。
100
50
南アフリカ共
マダガスカル
レソト
ブルンジ
ルワンダ
エリトリア
ブルキナファ ソ
トーゴ
ウガンダ
ジブチ
スワジランド
セネガル
エチオピア
ナイジェ リア
ギニアビサウ
ベナン
ガーナ
ケニア
シエラレオネ
ザンビア
タンザニア
ソマリア
カメルーン
ギニア
ジンバブエ
マリ
ガンビア
ニジェ ール
モザンビーク
ボツワナ
チャド
マラウィ
コートジボワー
アンゴラ
モーリタニア
コンゴ民主共
ナミビア
赤道ギニア
コンゴ共
ガボン
中央アフリカ
リベリア
0
「過剰採取」:
燃料や家畜囲いなどの生活利用に供するた
め、植生の回復能力を考えずに行う採取。
「産業活動」:
産業廃棄物の集積、油の漏れ、空中汚染物
による弊害など。
資料:TERRASTAT(FAO)
-8-
(3)サブ・サハラアフリカ42ヶ国の分類
○ 「HDI」、「国民一人当り未利用灌漑可能面積」、「土壌劣化指数」の3指標を用いて、サブ・サハラアフリカ42ヶ国を以下のように分類。
7ヶ国
① 自立発展がある程度見込める国
8ヶ国
② 水・土地資源に開発優位性を有する国
6ヶ国
③ 土地資源の保全の必要性が低い国
19ヶ国
④ 土地資源の保全の必要性が高い国
HDI/灌漑可能面積/土壌劣化を踏まえた分類
セネガル
モーリタニア
マリ
ガンビア
ニジェール
エリトリア
チャド
ギニアビサウ
ジブチ
ギニア
ナイジェリア
エチオピア
シエラレオネ
中央アフリカ
ウガンダ
ガーナ
ブルキナファソ
トーゴ
コートジボワール
ルワンダ
コンゴ民主共和国
ベナン
HDI>0.5
ケニア
ガボン
ブルンジ
カメルーン
タンザニア
マラウイ
HDI<0.5、国民1人当り未利用灌漑可能面積>0.1ha/人
赤道ギニア
アンゴラ
ザンビア
HDI<0.5、国民1人当り未利用灌漑可能面積<0.1ha/人、
土壌劣化程度「軽度」
ジンバブエ
HDI<0.5、国民1人当り未利用灌漑可能面積<0.1ha/人、
土壌劣化程度「重度」
マダガスカル
ナミビア
ボツワナ
コンゴ共和国
モザンビーク
*リベリアとソマリアはデータがないため、検討対象国から除外
南アフリカ
スワジランド
-9-
レソト
3.サブ・サハラアフリカにおける協力方向の検討
(1)各グループにおける開発課題
資源的制約要因
厳しい
厳しい
社
会
・
経
済
的
制
約
要
因
④土地資源の保全の必要性が高い国
・水資源
天水利用中心、干ばつ常襲地帯
開発可能性は低い
・土地資源
砂漠化の進行が著しい
協力の方向④
協力の方向
・農業
○地球環境の保全
メイズや米等穀類中心の
協力の方向
砂漠化防止対策
国が多い
・栄養不足や貧困の解消。
・社会状況
特に、ウォーター・ハー ○栄養不足や貧困
栄養不足人口割合が高い
ベスティング等の天水 の解消
・流通インフラ
陸稲ネリカ普及と
利活用技術の導入
道路密度が低い
合わせた畑地の土
・農民指導者や開発担当者
・代表的な国
壌保全対策
の養成
ニジェール、エチオピア
③土地資源の保全の必要性が低い国
・水資源
天水利用中心
開発可能性は低い
・土地資源
保全の必要性は低い
・農業
メイズや米等穀類中心の国が多い
施肥は他グループに比べれば多い
・社会状況
栄養不足人口割合が高い
・流通インフラ
道路密度が低い
・代表的な国
コートジボワール、ジンバブエ
協力の方向
協力の方向③
共通課題に対する協力の方向
協力の方向①(共通課題に対する協力)
○ 栄養不足や貧困の解消
○ 栄養不足や貧困の解消
①ネリカ米の開発・普及による主食の増産
②根茎類等を主食とする国における食料の増産
③農家収入向上、農村女性の過重労働解消
②水・土地資源に開発優位性を有する
国
・水資源
天水利用中心
開発可能性は比較的高い
・土地資源
開発可能性は比較的高い
・農業
キャッサバ等澱粉類中心の国が多い
・社会状況
栄養不足人口割合が高い
内戦、紛争が多発
・流通インフラ
道路密度が低い
・代表的な国
モザンビーク、コンゴ民主共和国
協力の方向
協力の方向②
○ 栄養不足や貧困の解消
地域の現状に応じた規模
の灌漑開発
○ 人間中心の開発
グッド・ガバナンスの強
化、復興支援
①自立発展がある程度見込める国
緩い
ウォーター・ハーベステ
ィング等の天水利活用技
術の導入
緩い
・アフリカのパートナーとしての技術交流、連携の実施
(人間開発中位国であり、他グループへの協力を優先)
・社会状況
HIV/AIDS 感染者率が高い
・代表的な国
南アフリカ共和国、ガボン
-10-
(2)農業農村開発分野における協力の方向
○
○
適切かつ実効性のある協力を効率的・効果的に行うためには、優先的に取組むべき協力の方向について焦点を絞ることが重要。
Ⅰ 主食の増産などを通じた「栄養不足や貧困の解消」
Ⅱ 復興支援などを通じた「人間中心の開発」
Ⅲ 砂漠化防止対策を通じた「地球環境の保全」
より効率的・効果的な協力を実施する観点から、国際機関や NGO との連携、南南協力、広域協力を積極的に進める必要。
Ⅰ 栄養不足や貧困の解消
○ ネリカ米の開発・普及による主食の増産
特徴・制約要因
・陸稲ネリカ普及と合わせた畑地の土壌保全対策
・ 灌漑開発の遅れ等による
食料生産の停滞
・ 土地の劣化等による環境
の悪化
・ 紛争・内戦による社会イ
ンフラの未整備
・ 人材不足・開発手法の未
整備
協力の方向①
(共通課題)
協力の方向③
(グループ③)
・水稲ネリカ普及のためのワジ氾濫源における小規模灌漑開発
○ 根茎類等を主食とする国における食料の増産
・土壌保全、地力増進による主食の増産
・食生活が変化している澱粉類を主食とする国への稲作の導入
○ 農家収入向上、農村女性の過重労働解消
・換金畑作物導入のための低投入型小規模灌技術の開発
・計画段階からの女性の参加
○ ウォーター・ハーベスティング等の天水利活用技術の導入
○ フード・フォー・ワークによる農民の水路補修技術の向上
○ 地域の現状に応じた規模の灌漑開発
Ⅱ 人間中心の開発
協力の方向②
(グループ②)
○ グッド・ガバナンスの強化
○ 住民参加により村落の開発計画や村道の整備等を行う「村づく
り協力」の手法を活かした復興支援
Ⅲ 地球環境の保全
協力の方向
協力の方向④
(グループ④)
○ 西アフリカ地域における砂漠化防止対策の展開
○ 西アフリカの成果を活用し、農業、林業、牧畜を有機的に連携
させた砂漠化防止対策技術の開発(東アフリカ地域)
国際機関や NGO との連携、南南協力、広域協力
協力の手法
-11-11-
○ 農民指導者育成のための農業工学系の大学と連携した広域協力
○ 開発担当者育成のためのアフリカの成功事例を核とした南南協力
1)協力の方向①:共通課題に対する協力の方向
ア)ネリカ米の開発・普及による主食の増産
○ 西アフリカ地域を中心に、土地生産性を向上させるためネリカ米の開発・普及に対して支援を継続。
・陸稲ネリカ米の増産に伴う焼畑拡大による土壌侵食の防止対策が遅延していることから、これを推進する必要。
・開発ポテンシャルのある地域では、開発中の水稲ネリカの普及に備え、ワジ(涸れ川)氾濫原の活用等、アフリカの現状に適
合した整備水準を抑えた小規模灌漑技術の開発に取り組む必要。
○
「栄養不足や貧困の解消」に向けた協力の方向
ネリカ米の開発・普及による主食の増産
ネリカ米は「遺伝子組換え(GM: Genetic Modified)作物」ではないが、
アフリカ 45 ヶ国においてメイズ等 GM 作物の圃場栽培試験が実施中
(2000 年)であり、急増する食料需要に対応するため導入が有効であると
の意見がある一方、食品としての安全性や環境への影響等を懸念する意見
もあることから、導入に際しては総合的な視点が必要。
陸稲ネリカ普及と合わせた畑地の土壌保全対策
・現在普及が進むネリカ米は陸稲であることから、焼畑の拡大を招き、
その結果土壌侵食を誘発することが懸念
・ 地力向上のためにも、豆科作物+ネリカ米の導入が有効
・ 普及と合わせて土壌侵食のモニタリングを行い、早期に土壌侵食防
止対策を講じる必要
GM作物の作付面積の推移
60
52.6
50
44.2
39.9
作付面積(百万ha)
水稲ネリカ普及のためワジ氾濫原における小規模灌漑開発
・陸稲ネリカよりも収量が高く、土壌侵食等の問題を発生しにくい水
稲品種のネリカ米が開発中であることから、この普及のための小規
模灌漑施設を整備する必要
・その際、アフリカの現状に合わせて、未利用であるワジ氾濫原の利
用や集水路設置などの必要最小限の整備水準で灌漑する、低投入型
の小規模灌漑技術の開発が必要
40
39.1
27.8
30
32.8
世界計
先進国
33.5
開発途上国
20
23.4
10.7
11.0
10
4.4
1.7
13.5
7.1
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
資料:International Service for Acquisition of Agri-biotech Applications
-12-
イ)根茎類等を主食とする国における食料の増産
○
キャッサバ等の根茎類の澱粉を主食やカロリー摂取の中心としている国が9ヶ国あり、これらの国に対しては、土壌保全、地
力増進を図りつつ主食の増産を進めることが必要。
このうちガーナ、ベナン、コンゴ共和国は、米の消費量が伸びているものの、その増加を主に輸入に依存していることから、
稲作、特に開発中の水稲ネリカの導入に対する協力を検討。
○
「栄養不足や貧困の解消」に向けた協力の方向
澱粉類を主たるカロリー源とする国における米の消費動向
根茎類等を主食とする国における食料の増産
国民1人当たり米消費量
(kg/人/年)
30
土壌保全、地力増進による主食の増産
・土壌保全、地力増進を図りつつ主食を増産
食生活が変化している国への稲作の導入
・特に、水稲ネリカの普及
ガーナ
25
ベナン
コンゴ共和国
20
コンゴ民主共和国
15
中央アフリカ
ブルンジ
10
ルワンダ
ウガンダ
5
アンゴラ
0
1961
80
ルワンダ
ブルンジ
コンゴ
ガーナ
ベナン
アンゴラ
中央アフリカ
ウガンダ
20
0
1
0
20
40
60
80
穀類(%)
2001
400
穀類を主食とする国
注1:「澱粉類」は、キャッサバ、
ジャガイモ、サツマイモ、ヤ
ム芋等の合計。
注2:
「穀類」は、小麦、米、大麦、
トウモロコシ、キビ等雑穀、
ソルガムの合計。
注3:データのない赤道ギニア、
ソマリアを除く 40 カ国。
生産量・輸入量(千トン)
澱粉類(%)
40
1991
米の生産量・輸入量の動向
澱粉類を主食とする国
コンゴ民主共和国
1981
資料:FAOSTAT (FAO)
サブ・サハラアフリカ各国におけるカロリー摂取源
60
1971
300
ガーナ輸入量
ガーナ生産量
200
ベナン輸入量
ベナン生産量
100
コンゴ共和国輸入量
コンゴ共和国生産量
0
1961
資料:FAOSTAT (FAO)
1971
資料:FAOSTAT (FAO)
-13-
1981
1991
2001
ウ)農家収入向上、農村女性の過重労働解消
○
農家収入向上のため、低コストで、作物多様化による換金作物の導入を可能とする整備水準を抑えた低投入型小規模灌漑技術
の開発に取り組む必要。
○ 幹線道路と連携した農道の整備により、農産物輸送体制・市場アクセスを確立。
○ 農業労働を担う農村女性は、水汲み、人力による脱穀・製粉等の主体であり、過重労働解消のためには、灌漑施設の整備によ
り水汲み労力を軽減する等、計画段階から女性の参加を進める必要。
■ 1人当たり GDP が同レベルの世界各国の道路整備状況(1999)
「栄養不足や貧困の解消」に向けた協力の方向
1.6
農家収入向上
スリランカ
道路密度(km/km2)
1.4
換金畑作物導入のための低投入型小規模灌漑技術の開発
・生産量の増加、作物多様化による換金畑作物導入のための小規模
灌漑施設を整備する必要
・その際、アフリカの現状に合わせ、集水路設置などの必要最小限
の整備水準で灌漑する、低投入型の小規模灌漑技術の開発が必要
1.2
1.0
0.8
0.6
モルドバ
0.4
0.2
0
・生産地から消費地までの農道整備(一般道路建設に合わせた支援
道路建設)
・ 農産物輸送体制の整備(集出荷施設・貯蔵施設・輸送用トラック
整備施設などの整備、ポストハーベスト対策の実施)
中国
サブ・サハラ
アフリカ
0.0
農道等の輸送インフラの整備
パキスタン
20
ウズベキスタン
ブータン
ホンジュラス
40
60
道路舗装率(%)
80
100
資料:World Development Indicators 2003 (WB)
■ ザンビアにおける農村女性の状況
労働人口
農村女性の過重労働解消
男
性
計画段階からの女性の参加
30%
・意志決定における女性の参画を明確にするため、計画段階からの
女性の参加を進める必要
自家用
穀物生産
極貧世帯
50%
52%
20%
女
性
50%
70%
-14-
商業用
穀物生産
80%
資料:南部アフリカ援助研究会報告書 (JICA)
60%
男
性
世
帯
主
世
帯
女
性
世
帯
主
世
帯
非貧困世帯
32%
27%
2)協力の方向②:「水・土地資源に開発優位性を有する国」グループ②
に対する協力の方向
○
灌漑農業のポテンシャルが高いにもかかわらず、その導入が進んでいなかったことから、各国の水資源状況、維持管理能力等
の現状に応じた適切な規模の灌漑開発を進める必要。
○ 過去約10年間に8ヶ国中7ヶ国において紛争や内戦が発生していることから、
・持続的な開発を進めるためには、グッド・ガバナンスに立脚した農業農村開発政策の策定を支援する必要。
・戦禍により失われた農業農村機能の再構築を図る復興支援に、「村づくり協力」の手法を活用することも有効。
特徴・制約要因
特徴・制約要因
ポテンシャルはあるものの、灌漑開発
が進んでいない国
紛争、内戦が制約要因となっている国
「栄養不足や貧困の解消」に向けた協力の方向
「人間中心の開発」に向けた協力の方向
グッド・ガバナンスの強化
地域の現状に応じた規模の灌漑開発
・持続可能な農業農村開発を進めるためには、政策の着実な履行が不
可欠。そのためには、グッド・ガバナンスに立脚した農業農村開発
を重視する政策の策定・実施を支援することが必要
・灌漑施設の整備は、生産量の増加のみならず、作物多様化による換
金作物導入が可能となることから有効な手段。その際は、ハードと
ソフトの連携に配慮しながら、当該地域の現状に応じた規模の灌漑
施設の整備を図る必要
住民参加により村落の開発計画や村道の整備等を行う
「村づくり協力」の手法を活かした復興支援
■ 村づくり協力の手法を活かした復興支援のイメージ
・農村機能の回復のため、「村づくり協力」の参加型計画策定手法を
応用し、アフリカ特有の「部族」社会の現状に合わせた農民、難
民、女性等が参加した農村再生計画を策定
・同計画に基づき、「村づくり協力」における農民の組織化・農業基
盤の整備手法を応用し、地域コミュニティの再生や難民等の就業
機会の確保も考慮した灌漑施設整備等の支援を行い、崩壊した農
村社会を再生
村づくり協力の手法を活
かした復興支援
帰還兵士
難民
復帰
部族
参加型手法により、部族
間の対立緩和を図りつつ
地域コミュニティを再生
部族
部族
-15-
3)協力の方向③:「土地資源の保全の必要性が低い国」グループ③
に対する協力の方向
○
このグループは、灌漑用水の大幅な増加が期待できないことから、
・土地生産性を向上させるため、天水をより有効に活用して生産量を増やす「ウォーター・ハーベスティング」等の導入。
・限られた灌漑用水を効率的に利用するため、
「フード・フォー・ワーク」等の手法等を導入し、小用水路建設と農民の水路補修
技術の向上を図る必要。
特徴・制約要因
■ 西アフリカにおけるウォーター・ハーベスティングの事例
(雨水を集めるための畦畔。水が集まったところに果樹を植える)
灌漑用水の大幅な増加が期待できず、
開発が進んでいない国
「栄養不足や貧困の解消」に向けた協力の方向
ウォーター・ハーベスティング等の天水利活用技術の導入
・ 限られた天水を最大限活用して土地生産性を向上させる「ウォータ
ー・ハーベスティング」や、雨期・洪水時に流水を作物栽培地域へ
導入する「ウォーター・コンサベーション」の技術を導入
フード・フォー・ワークによる農民の水路補修技術の向上
■ フード・フォー・ワーク参加の報酬として米を受け取る
農民(コートジボワール)
・小用水路建設、栄養不足人口解消に資するのみならず、農民が水路
建設技術を習得するため、将来の農民自身による水路補修が期待
・日本の政府米を援助米として使用することも可
■ フード・フォー・ワークのイメージ
水路補修技術
労働力
小用水路建設
食糧
(政府、援助団体等)
農民
(主に土水路)
事業主体
-16-
4)協力の方向④:「土地資源の保全の必要性が高い国」グループ④
に対する協力の方向
○
土壌劣化の進行を阻止し、持続的な農業生産を通じた農村社会を維持するため、
・西アフリカ地域において開発済みの砂漠化防止対策をサヘル地域の周辺国へ継続的に展開する必要。
・自然条件、社会条件の異なる東アフリカ地域において、西アフリカの成果を活用し、ある程度期待できる降雨をもとに、水、
森林の下草、ふん尿等を循環させ、農業、森林、牧畜を有機的に連携させた地域資源循環型の砂漠化防止対策技術を開発する
必要。
特徴・制約要因
■ 地域資源循環型砂漠化防止対策技術のイメージ
砂漠化(土壌劣化)が制約要因となっ
ている国
地域資源を有効に活用したウ
ォーター・ハーベスティング
技術、土壌保全技術の確立
農業
「地球環境の保全」に向けた協力の方向
○小規模ポンプ水源開発
○輪作体系の確立
○ストーンライン、半月工法
○住民管理組織の構築
○乾期・雨期の野菜栽培
西アフリカ地域における砂漠化防止対策の展開
・西アフリカのサヘル地域で開発した砂漠化防止対策技術を、自然条
件、社会条件の類似するサヘル地域の周辺国において継続的に展開
人の手による森林管理
ふん尿を堆肥として利用
地域資源を利活用した循環型の
土壌保全システムの技術指針の確立
西アフリカの成果を活用し、農業、林業、牧畜を有機的に
連携させた砂漠化防止対策技術の開発(東アフリカ地域)
森林
・西アフリカ地域に比べてある程度期待できる降雨をもとに、水、森
林の下草、ふん尿等を循環させ、農業、森林、牧畜を有機的に連携
させた地域資源循環型の砂漠化防止対策技術を開発
○用土、播種等の苗木生産
○苗木の種子保存
○育苗園等の育苗方法
○用途別の適応品種の選定
牧畜
○乾燥飼料の保存
○市場性を考慮した家畜品種選定
○ふん尿からの堆肥製造
○放牧の集約化
○家畜頭数の適正管理
下草を飼料として利用
薪炭材として収奪された森林
を再生し、持続的に維持する
植林・育林技術(コミュニティ・
フォレスト)
-17-
過放牧で収奪された牧草を再
生する牧草栽培技術
5)協力の手法:国際機関や NGO との連携、南南協力、広域協力
○ より効率的・効果的な国際協力を実施する観点から、他の国際協力機関や NGO との連携を強化する必要。
○ 「南南協力」や、近隣諸国の間における国境を跨いて協力する「広域協力」は、類似の技術とノウハウをより広範囲に渡って適
用することのできるスキームであることから、これを積極的に進める必要。
特徴・制約要因
■ 南南協力のイメージ
教育、労働力、HIV/AIDS が制約要因
となっている国
成功事例、先行事例を有する途上国
(ケニア、タンザニア、インドネシア等)
支援
(講師派遣)
南南協力
我が国
・第三国研修(注1)
・第三国専門家派遣(注2)
国際機関や NGO との連携、南南協力、広域協力
農民指導者育成のための農業工学系の大学と連携した広域協力
開発の遅れている
アフリカの途上国
注1:日本より移転した技術を活用し、周辺国から研修生を受け入れるもの
注2:途上国の人材を専門家として、別の途上国へ派遣するもの
■ 南南協力の事例(タンザニアにおいて周辺国に対して実施
している南南協力の一貫として、水牛による圃場耕起方法を
インドネシアからきた講師が指導)
・優秀な農業経済活動人口を増加させるためには、農業技術や農業経営能力を高めるた
めの農民のキャパシティ・ビルディングが必要
・ケニア国のジョモケニヤッタ農工大学(アフリカ人造り拠点を含む)等、アフリカに
ある既存の農業工学系を含む大学と連携することにより、農民のキャパシティ・ビル
ディングを担う農民指導者を育成
開発担当者育成のためのアフリカにおける成功事例を核とした南南協力
・アフリカにおける農業開発成功事例(タンザニア国のローアモシ農業開発、農業技術
者訓練センター等)、小規模灌漑開発を通した人材育成先行事例(エチオピア国オロミ
ア州)を核として、周辺国から開発手法を研修するための南南協力を支援
■ NGOとの連携強化のイメージ
-18-
現状
政府ベース
連携の強化
政府ベース
基幹的施設
などの整備
基幹的施設
などの整備
井戸
トイレ
NGO
NGO
共同井戸
共同トイ
レ
NGO
NGO
参考
○ グループごとに、特徴と開発の制約要因を分析し、その結果に基いて協力の方向を整理すると下表のようになる。
(赤字は、他に比較して厳しい制約要因となっている項目。青字は、他に比較して有利な項目。)
分 類
① 自立発展がある程度見込める国
対 象 国
注:リベリア、ソマリアは、データがないため対象から除外
自然条件
降水量
干ばつ
社会状況
特
紛争
(平均余命)
教 育
栄養不足
徴
HIV/AIDS
労働力
・
経済状況
制
1人当たりGDP
貧困
農村部人口
約
農業関係
主 食
施 肥 量
要
農村女性
土壌劣化
(砂漠化)
因
農業インフラ
灌漑施設
道 路
総論
② 水・土地資源に開発優位性を有する国
③ 土地資源の保全の必要性が低い国
ガーナ
赤道ギニア
ガボン
ボツワナ
ナミビア
スワジランド
南アフリカ共和国
ギニアビサウ
シエラレオネ
チャド
中央アフリカ
コンゴ民主共和国
コンゴ共和国
モザンビーク
アンゴラ
ギニア
マリ
モーリタニア
コートジボワール
マラウィ
ジンバブエ
7ヶ国
年降水量は概ね400∼2,500mmと大きく異な
る。雨期と乾期があり、南アフリカ共和国
など国内でも地域によって降雨較差が大き
い国がある。
1990∼2000年の11年間における干ばつ発生
頻度は18∼28%と低めで安定。
8ヶ国
年降水量は概ね400∼3,500mmと大きく異な
る。雨期と乾期があり、コンゴ民主共和国
など国内でも地域によって降雨較差が大き
い国がある。
チャド、モザンビークを除き、1990∼2000
年の11年間で干ばつは発生していない。
6ヶ国
年降水量は概ね100∼3,600mmと大きく異な
る。雨期と乾期があり、マリなど国内でも
地域によって降雨較差が大きい国がある。
④ 土地資源の保全の必要性が高い国
ブルキナファソ、ニジェール
ガンビア、セネガル
トーゴ、ベナン
ナイジェリア、カメルーン
ブルンジ、ルワンダ
エチオピア、タンザニア
ウガンダ、ジプチ
エリトリア、ケニア
マダガスカル、ザンビア
レソト
19ヶ国
年降水量は概ね200∼1,600mmと他のグルー
プに比べ低くまとまっている。雨期と乾期
があり、ニジェールなど国内でも地域に
よって降雨較差が大きい国がある。
太平洋・ギニア湾岸の一部の国を除いて、
程度の差はあれ干ばつが発生。
マラウィ、ジンバブエを除き、干ばつ発生
頻度は10%以下とほとんど干ばつは発生し
ていない。
地域別に見ると、東アフリカ及び南アフリカ地域の国々で干ばつ頻度が高い。
1990∼2002年の13年間で、紛争はほとんど 4グループの中では紛争頻度が高いグルー
他のグループと比べ紛争頻度は比較的低
東アフリカ地域のルワンダ、ブルンジ、エ
発生していない。
プ。特にシエラレオネの平均余命は世界最 く、一番高いマリで40%程度。
チオピア等で紛争頻度が高く、出生児平均
低水準。
余命は40歳程度。
出生児平均余命は、37歳∼55歳程度と較差があるが、グループに固有の特徴は認められなかった。
15歳以上の非識字率(2001年)は低く、教 中央アフリカ、チャド、ギニアビサウ、モ 西アフリカ地域のコートジボワール、マ
ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、エチ
育が普及(ガボンはデータなし)。
ザンビークで15歳以上の非識字率が50%を リ、モーリタニアで15歳以上の非識字率が オピア、ガンビア、ニジェール、セネガル
超えている(アンゴラとシエラレオネは
50%を超えている。南アフリカ地域のジン で15歳以上の非識字率が50%を超えてい
データなし)。
バブエは10%程度と低い。(ギニアはデー る。特にニジェールでは83.5%と高い。
総人口に占める栄養不足人口の割合(1998 栄養不足人口割合は他グループと比べて高 栄養不足人口割合は、10年前と比べて6ヶ国 19ヶ国のうち6ヶ国で栄養不足人口割合が10
∼2000年)は他グループと比べて低い(赤 い。(ギニアビサウはデータなし)
全てで改善。ただし、ジンバブエ、マラ
年前と比べて増加。特に、エチオピア、エ
道ギニア、南アフリカ共和国はデータな
ウィ、ギニアでは依然として30∼40%と高 リトリア、ケニア、ルワンダでは、WFPに
し)。
い。
よる食糧援助が多い。(ジブチはデータな
15∼49歳人口に占めるHIV/AIDS感染者割合 HIV/AIDS感染者割合は他グループと比較す 南アフリカ地域のジンバブエ、マラウィで 南アフリカ地域のレソトとザンビアで
(2001年)は4ヶ国において20%を越すな
ると低く、一番高いモザンビークと中央ア HIV/AIDS感染者割合が高く、ジンバブエで HIV/AIDS感染者割合が高く、レソトでは
ど、他グループと比較して高い。(ガボン フリカで13%程度。
は30%以上。(ギニア、モーリタニアは
30%以上。(ジブチ、ニジェールはデータ
はデータなし)
データなし)
なし)
南アフリカ地域の国々でHIV/AIDS感染者割合が高い。
15∼64歳人口の全人口に占める割合(2001 モザンビークを除く当該グループ全ての国 15∼64歳人口の全人口に占める割合は概ね 15∼64歳人口の全人口に占める割合は概ね
年)は、他グループと比較して全体的に高 で、1961∼2001年の40年間で15∼64歳人口 55%以下と低い。マリやモーリタニアでは 55%以下と低い。特に、ニジェール、ルワ
い水準。
割合が減少。
減少傾向であるが、コートジボワールとジ ンダ、ウガンダでは50%以下の水準。
ンバブエでは近年強い増加傾向。
1人当たりGDP(2001年)は、ガーナを除く コンゴ共和国とアンゴラを除いて、40年前 40年前と比べてほぼ横ばい状態。ただし、 レソトやウガンダなど一部の国を除いて、
6ヶ国で1,500USドル以上、かつ、40年前と と比べてほぼ横ばいから減少傾向。チャ
コートジボワールでは1970年代前半まで順 40年前と比べてほぼ横ばいか減少傾向。一
比べて増加傾向にあり、他グループと比較 ド、モザンビーク、コンゴ民主共和国、シ 調な経済発展を続けてきたが、それ以降1人 番高いジプチでも800USドル程度の水準。東
して突出。
エラレオネ、ギニアビサウでは100∼200US 当たりGDPは減少に転じ、ピーク時の概ね
アフリカ地域の国々が最も低い水準。
ドルと最も低い水準。
1/2の水準。
総人口に占める貧困人口の割合は、一番高 貧困人口割合は、中央アフリカとシエラレ 貧困人口割合は、ジンバブエ、マラウィ、 貧困人口割合は、エチオピア、ウガンダ、
いガーナで45%程度。他グループと比べて オネで60%程度と高く、これらの国ではほ マリで高い。特にマリでは農村部人口全て ザンビア、ナイジェリアで60%以上と高
貧困人口割合は低い(赤道ギニア、ガボ
ぼ全ての農村部人口が貧困人口に当たる計 が貧困人口に当たる計算。(ギニアはデー く、これらの国では全ての農村部人口が貧
ン、スワジランドはデータなし)。
算。(中央アフリカ、シエラレオネ、モザ タなし)
困人口に当たる計算。(ベナン、ジブチ、
ンビーク以外データなし)
エリトリア、トーゴはデータなし)
30%台と低いコンゴ共和国を除き、農村部 40%台と低いモーリタニア、80%台と高い ジブチを除き、農村部人口割合はルワン
総人口に占める農村部人口の割合(2001
ダ、ブルンジ、ブルキナファソ、エチオピ
年)は、一番高いスワジランドで70%程度 人口割合は60∼80%程度と中程度の水準。 マラウィを除き、農村部人口割合は60∼
70%程度と中程度の水準。
ア、ウガンダで80%を越えるなど、全ての
で、南アフリカ共和国、ガボンは50%以
国で50%以上と高い。
下。他グループと比較すると相対的に低い
水準。
ガーナを除く5ヶ国では、メイズや米等穀類 8ヶ国のうち、アンゴラ、中央アフリカ、コ 6ヶ国全てで、メイズや米等穀類が主食やカ 穀類以外のキャッサバやヤム芋等の根茎類
が主食やカロリー摂取の中心(赤道ギニア ンゴ民主共和国、コンゴ共和国の4ヶ国で
ロリー摂取の中心。
を主食やカロリー摂取の中心とする国は4ヶ
はデータなし)。ガーナは米以外の根茎類 は、穀類以外のキャッサバやヤム芋等の根
国(ルワンダ、ベナン、ブルンジ、ウガン
を主食とするものの、近年米の消費、生
茎類が主食やカロリー摂取の中心。
ダ)のみで、他の15ヶ国はメイズや米等穀
産、輸入が増加。
類が中心。
単位面積当たりの施肥量(1996年)は、ス コンゴ共和国を除く7ヶ国で単位面積当たり 単位面積当りの施肥量は、一番多いジンバ 単位面積あたりの施肥量は、一番多いケニ
ワジランドと南アフリカ共和国では、一時 の施肥量はほとんどゼロに近く、他グルー ブエで50kg/ha程度、他の国でも30kg/ha以 アで40kg/ha、他の国では20kg/ha以下と低
期100kg/ha以上の投入実績があったが、
プと比較しても低い水準。
下と低い水準であるが、他グループと比べ い水準。(ジブチはデータなし)
1980年以降減少傾向。他の国では10kg/ha以
ると多い。
下とほとんどゼロに近い水準。
農業経済活動人口に占める女性の割合
農業経済活動人口に占める女性の割合は、 農業経済活動人口に占める女性の割合は、 農業経済活動人口に占める女性の割合は、
(2001年)は、ボツワナでは50%を上回る 今後共和国で60%を超えるなど、比較的高 40∼55%程度と中程度。
40∼55%程度と中程度。
が、南アフリカ共和国で30%以下と比較的 い。
低い
南アフリカ共和国、スワジランド、ガーナ ギニアビサウ、シエラレオネで土壌劣化の 土壌劣化の激しさは平均以下だが、全体的 土壌劣化の激しさが平均以上のグループ。
で土壌劣化の激しさがアフリカ平均以上だ 激しさが平均以上だが、全体的に中程度の に中程度の水準。
が、全体的に中程度の水準。
水準。
耕地面積に占める灌漑面積の割合(2001
耕地面積に占める灌漑面積の割合は、デー 耕地面積に占める灌漑面積の割合は、モー 耕地面積に占める灌漑面積の割合は、マダ
年)は、スワジランドで30%以上、南アフ タのある国全てで5%程度以下と低い。(中 リタニアで10%程度あるものの、他は5%程 ガスカルで30%以上と突出しているもの
度以下と低い。
の、他は5%程度以下と低い。
リカ共和国で10%程度、他の国で5%以下
央アフリカはデータなし)
(赤道ギニアはデータなし)。
また、国民一人当り灌漑面積は、最も高い また、国民一人当り灌漑面積は、6ヶ国全て また、国民一人当たり灌漑面積は、マダガ
また、国民一人当たり灌漑面積(2001年) ギニアビサウでも0.02ha未満と低い水準。 で0.02ha以下と低い。
スカルを除く全ての国で0.01ha以下ときわ
は、スワジランド(約0.08ha)、南アフリカ (中央アフリカはデータなし)
めて低い。
共和国(0.04ha)で比較的高いが、他の4ヶ国
は0.01ha以下と低い水準。(赤道ギニアは
データなし)
道路密度は概ね0.2km/km2以下であり、最も 道路密度は概ね0.2km/km2以下と低い水準。 道路密度は概ね0.2km/km2以下と低い水準。 道路密度はルワンダ、ブルンジを除き、概
高い南アフリカ共和国でも0.3km/km2と低い 最近10年間でもほぼ横ばいで道路の整備は 最近10年間でもほぼ横ばいで道路の整備は ね0.2km/km2以下と低い水準。最近10年間で
水準。最近10年間でもほぼ横ばいで道路の 進んでいない。さらに、道路のほとんどは 進んでいない。さらに、道路のほとんどは もほぼ横ばいで道路の整備は進んでいな
整備は進んでいない。さらに、ボツワナを 未舗装道路で舗装率は概ね20%以下。
未舗装道路で、ジンバブエを除いて舗装率 い。さらに、道路のほとんどは未舗装道路
除き、道路の舗装率は30%以下。
は概ね20%以下。
で、道路の舗装率は概ね30%以下。
○ 適切かつ実効性のある協力を効率的・効果的に行うためには、優先的に取組むべき協力の方向について焦点を絞ることが重要。
① 主食の増産などを通じた「栄養不足や貧困の解消」
② 復興支援などを通じた「人間中心の開発」
③ 砂漠化防止対策を通じた「地球環境の保全」
○ より効率的・効果的な協力を実施する観点から、国際機関やNGOとの連携、南南協力、広域協力を積極的に進める必要。
協力の方向①(共通課題に対する協力)
協力の方向
グループごとの
協力の方向
○ 栄養不足や貧困の解消
①ネリカ米の開発・普及による主食の増産
・水稲ネリカ普及のためのワジ氾濫原における小規模灌漑開発
②根茎類等を主食とする国における食料の増産
・土壌保全、地力増進による主食の増産
・食生活が変化している国への稲作の導入
③農家収入向上、農村女性の過重労働解消
・換金畑作物導入のための低投入型小規模灌漑技術の開発
・農道等の輸送インフラの整備
・計画段階からの女性の参加
協力の方向②
○ アフリカのパートナーとしての技術交流、 ○ 栄養不足や貧困の解消
連携の実施(人間開発中位国であり、他 ・地域の現状に応じた規模の灌漑開発
グループへの協力を優先)
○ 人間中心の開発
・グッド・ガバナンスの強化
・住民参加により村落の開発計画や村
道の整備等を行う「村づくり協力」の
手法を活かした復興支援
- 19 -
協力の方向③
協力の方向④
○ 栄養不足や貧困の解消
・ウオーター・ハーベスティング等の天水
利活用技術の導入
・フード・フォー・ワークによる農民の水
路補修技術の向上
○ 地球環境の保全
・西アフリカ地域における砂漠化防止対
策の展開
・西アフリカの成果を活用し、農業、林業、
牧畜を有機的に連携させた砂漠化防止
対策技術の開発(東アフリカ地域)
○ 栄養不足や貧困の解消
・陸稲ネリカ普及と合わせた畑地の土壌
保全対策
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