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床遮音性能の向上
床遮音性能の向上 26・27号棟各所 検証位置 昭和40年代から50年代前半に建設された住宅ストックのコンクリート RC梁(26号棟102号室) スラブ厚は、120mm程度といったものが多く、床遮音の面では現在 の基準からすると十分ではありません。 この検証では、重量床衝撃音(床を飛び跳ねたときに起こる音)と 軽量床衝撃音(床にスプーン等の物を落としたときに起こる音)に ついて、既存スラブの許容積載荷重を満たす条件内において、床 の遮音性能の向上を目指しました。 鉄骨梁(26号棟104号室) 床遮音の測定方法 床衝撃音の測定に当たっては以下の機器を使用 しました。 重量床衝撃音 : バングマシン 軽量床衝撃音 : タッピングマシン バングマシン タッピングマシン 床遮音実証試験項目 ■ 鉄骨梁 (26号棟 発音室:204号室 → 受音室:104号室) スラブの剛性を増し、支点間 距 離 を 短 く する た め に 、 重量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 軽量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 ●:素面 ○:鉄骨梁施工 ▲:内装完了 ●:素面 ○:鉄骨梁施工 ▲:内装完了 Li,Fmax,r,H(1)- 70(69) Li,Fmax,r,H(1)- 65(64) Li,Fmax,r,H(1)- 65(65) 100 受音室に鉄骨梁を設置。 Li,r,LLi,r,LLi,r,L- 80(80) 85(83) 80(81) 100 (A) 鉄骨梁 90 90 (C) Lr-85 内ネジアンカー+六角ボルト 4 - M 1 6 FB12×38 無収縮グラウト FB12×150 リブPL6×250~150 FB12×38 1 5 0 ベースPL16 PB厚9.5の上クロス貼 Lr-75 70 Lr-70 (B) 60 Lr-65 Lr-60 (C) 50 30 31.5 非改修住宅 発音室 (204号室) ▼ 街かど住宅 (104号室) 受音室 Lr-55 Lr-50 Lr-45 40 110 2 5 0(端部)~ 1 5 0(中央部) 仕上げなし グラウト注入用孔あけ +グラウトφ30@600 Lr-80 63 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) Lr-85 80 床 衝 撃 音 レ ベ ル (dB) 床 衝 撃 音 レ ベ ル (dB) 80 (B) Lr-80 Lr-75 70 Lr-70 Lr-65 60 Lr-60 Lr-55 50 Lr-50 Lr-45 40 30 31.5 63 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) * 重量床衝撃音の決定周波数帯域である63Hz帯域に、鉄骨梁の効果が確認できる。(●→○▲)…(A) * GL工法(コンクリート面に接着剤を団子状に点付けし、その上から石膏ボードを圧着する工法)の影響 により、125~500Hz帯域で上昇している。(●→○▲)…(B) * 1kHz~2kHzに関しては、低床化などによる受音室形状や仕上げ材の変化、床衝撃時に生じた鉄骨の振動 やスラブと鉄骨梁の一体化不足による衝突などによるものと思われる変化が見られる。(●→▲)…(C) ■ RC梁+FRP成形断熱防水パネル (26号棟 発音室:路地廊下 → 受音室:102号室) スラブ端部の拘束力を増し、 支点間距離を短くするため 重量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 軽量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 ●:素面 Li,Fmax,r,H(1)- 75(73) ○:RC梁、FRP断熱防水パネル Li,Fmax,r,H(1)- 70(70) ▲:発泡ポリウレタン防振材+ウッドデッキ Li,Fmax,r,H(1)- 55(54) ●:素面 Li,r,L○:RC梁、FRP断熱防水パネル Li,r,L▲:発泡ポリウレタン防振材+ウッドデッキ Li,r,L- に受音室にRC梁を設置。 100 発 音 室 に防 水遮 音材 を 90 床 衝 撃 音 レ ベ ル ( dB) 1 5 1~1 6 6 ウッドデッキ厚25mm 発泡ポリウレタン防振材6mm (100×100) +アルミ根太45×30 FRP成形断熱防水パネル厚75mm 3-D13 コンクリート充填用孔 350 φ100@600 フレア溶接(片面10d) Lr-85 80 (B) Lr-80 Lr-75 70 Lr-70 Lr-65 60 Lr-60 Lr-55 50 Lr-50 (C) Lr-45 40 30 31.5 63 Lr-85 80 Lr-80 Lr-75 70 Lr-70 Lr-65 60 Lr-60 (D) 50 Lr-55 (E) Lr-45 40 30 31.5 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) Lr-50 63 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) * 重量床衝撃音の決定周波数帯域である63Hz帯域に、RC梁とモルタル(厚15~30mm)の効果が 貫通ボルトM 1 2 @ 2 5 0 モルタル 厚15~30mm φ 3 0 グラウト充填 D10@250 RC梁350×250 90 床 衝 撃 音 レ ベ ル ( dB) RC梁 110 100 (A) 設置。 250 85(83) 55(55) 55(57) 確認できる。(●→○)…(A) * バングマシンの衝撃によりFRP断熱防水パネルが局所的に変形し、スラブに衝突することで中~高音域 で増大している。(●→○)…(B) 路地廊下 発音室 (202号室) ▼ ガーデンテラス住宅 (102号室) 受音室 * ウッドデッキ下地が衝撃を分散しFRP断熱防水パネルの局所的な変形が抑えられると共に、発泡 ポリウレタン防振材による低減効果が見られる。(○→▲)…(C) * 軽量床衝撃音低減にFRP断熱防水パネルが大きく寄与している。(●→○) * 発泡ポリウレタン防振材の振動抑制効果が63Hz~250Hz帯域に表れている。(○→▲)…(D) * 1kHz~4kHz帯域で、ウッドデッキと躯体の接触によるものと思われる上昇が見られる。(○→▲)…(E) ■ メッシュ付き巾木 (27号棟 発音室:304号室 → 受音室:204号室) 重量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 乾 式 二重 床の空気 層の ●:素面 ○:セルフレベリング ▲:乾式二重床(密閉) △:乾式二重床(メッシュ巾木) 密閉による重量床衝撃音 の増幅(空気ばねの影響) ●:素面 ○:セルフレベリング ▲:乾式二重床(密閉) △:乾式二重床(メッシュ巾木) 100 90 90 Li,r,LLi,r,LLi,r,LLi,r,L- 85(83) 85(83) 55(55) 55(55) 巾木 フローリング厚12mm 石膏系制振材厚9.5mm パーティクルボード厚20mm 鋼製束 床 衝 撃 音 レ ベ ル ( dB) メッシュ Lr-85 80 床 衝 撃 音 レ ベ ル ( dB) メッシュ付き巾木を設置。 Lr-80 Lr-75 70 Lr-70 Lr-65 60 Lr-60 Lr-55 50 Lr-50 Lr-45 40 110 5 メ ッシュ付き 巾木 メッシュ 2 . 5 mm目 発音室 ▼ 在宅ワーク型 メゾネット住宅 (304号室) 受音室 非改修住宅 (204号室) 30 31.5 63 Lr-85 80 Lr-80 Lr-75 70 Lr-70 Lr-65 60 Lr-60 Lr-55 50 Lr-50 Lr-45 40 30 31.5 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) 63 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) * セルフレベリングの効果は、重量床衝撃音をはじめ広い帯域に改善が見られる。(●→○) * 乾式二重床の空気層の密閉による空気ばねの影響で、重量床衝撃音の決定周波数帯域である 63Hz帯域に増幅が見られる。(○→▲) 120 5 軽量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 100 の軽減のために、壁際に セルフレベリング 厚10~20mm Li,Fmax,r,H(1)- 65(64) Li,Fmax,r,H(1)- 60(58) Li,Fmax,r,H(1)- 60(61) Li,Fmax,r,H(1)- 60(59) * メッシュ巾木は空気を逃がす事で空気ばねの影響を軽減できる。(▲→△) * 乾式二重床により軽量床衝撃音は大幅に改善した。(○→▲) ■ 発泡ポリウレタン防振材+コルクタイル (27号棟 発音室:在宅ワークルーム → 受音室:203号室) 床材からスラブへの振動 伝搬を低減するために床 重量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 軽量床衝撃音 ー 測定結果 ( )内はL数 ●:素面 Li,Fmax,r,H(1)- 75(76) ○:発泡ポリウレタン防振材+コルクタイル Li,Fmax,r,H(1)- 65(64) Li,r,L●:素面 ○:発泡ポリウレタン防振材+コルクタイル Li,r,L- 仕上げ材と既存スラブとの 間に発泡ポリウレタン防振 100 100 90 90 85(85) 55(54) 発泡ポリウレタン防振材 防振床を施工。 モルタル(据付用) 120 110 120 50 コルクタイル厚5mm 下地ベニヤ厚12mm 石膏系制振材厚9.5mm パーティクルボード厚20mm 発泡ポリウレタン防振材厚25mm (100×100) モルタル(据付用) Lr-85 Lr-80 Lr-75 70 Lr-70 Lr-65 60 Lr-60 Lr-55 50 Lr-50 Lr-45 40 在宅ワークルーム (303号室) 発音室 ▼ 非改修住宅 (203号室) 受音室 フロント コート 30 31.5 63 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) オクターブバンド中心周波数 (Hz) 床 衝 撃 音 レ ベ ル ( dB) 材と石膏系制振材等による 床 衝 撃 音 レ ベ ル ( dB) (A) 80 Lr-85 80 Lr-80 Lr-75 70 Lr-70 Lr-65 60 Lr-60 Lr-55 50 Lr-50 Lr-45 40 30 31.5 63 125 250 500 1k 2k 4k オクターブバンド中心周波数 (Hz) * 発泡ポリウレタン防振材と石膏系制振材等による防振床は重量床衝撃音及び軽量床衝撃音を大幅 に低減する。…(A) * 防振床+コルクタイルは軽量床衝撃音に関して、高遮音乾式二重床と同等の性能が得られた。 ピロティ