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1 - 第 2 回 教育実践フォーラム用資料 本学におけるシラバス改善の取組 1
第 2 回 教育実践フォーラム用資料 本学におけるシラバス改善の取組 1.シラバスに関わる経過 1996 年度 書式の統一、授業計画に加えて授業内容・評価基準等の追加 1997 年度 発行形態の見直し(キャンパスごとの発行、目的別発行によるスリム化など) 1999 年度 カリキュラムの回生別掲載、履修モデルの掲載、到達目標の明示 2001 年度 講義概要のインターネット公開、インターネット入稿システムの導入 講義概要とオンラインシラバスの内容は同一であり、検索・リンク機能はなか った 2002 年度 講義概要とオンラインシラバスの位置づけを切り分ける オンラインシラバスの掲載項目のうち、最低限必要なものは講義概要として 発行する。加えて、オンラインシラバスは付加的情報を加味できるものとした 2005 年度 講義概要を CD-ROM 化して全回生に配布 2.本学のシラバスを取り巻く状況 1)学生の評価 ① 2005 年度前期授業アンケート結果 「シラバスの役立ち」度は、「読まなかった(17%)」、「役立たなかった(17%)」が全体 の約3の1(34%)、「ある程度役立った(56%)」、「非常に役立った(11%)」が全体の3分 の2(67%)となっており、その評価は必ずしも一致していない(対象:講義系科目を受 講、授業に2分の1以上出席した学生)。したがって、例えば当該授業を受講している全期 間、シラバスが有効活用されるように内容の充実を図ることが求められる。 ② シラバスに対する不満 「シラバス通りの授業内容でない」、「シラバスに書かれた成績評価基準と実際の評価基 準が異なる」という声が、学部五者懇談会や全学協議会代表者会議などで出されているこ とから、実態把握に加えて改善に向けた具体的見直しを継続して進める必要がある。 2)学内外の評価 ① 大学基準協会『立命館大学に対する相互評価結果ならびに認証評価結果報告書』 (2005) における指摘事項への対応 大学基準協会からは、 『シラバスの内容や量に精粗が認められるので、その形態にかかわ らず、学生の立場に立ったものへの改善が望まれる。また、「評価方法・基準の項目」は具 体的に数字による一貫した表記が望まれる』との指摘を受けており、改善に向けた早急な 取組が必要である。 ② 2003 年度全学協議会における議論 「各科目シラバスにおける目標の明示」、「講義科目におけるリーディングアサイメント提 示の追求」などが確認されていることから、シラバス記載内容の見直しを進める必要があ る。 -1- ③ 2006 年度問題・2007 年度問題への対策 2006 年度には、 「新学習指導要領」のもとで学んだ学生が入学することから、学力や学習意 欲の低下、学力の二極化が問題になるといわれている。また、2007 年度には「大学全入時 代」が到来することから、大学全体で教育の質的保証に向けた取組をシラバスの見直しを 通じて進めたいと考えている。 ④ 第三者評価の広がり 大学評価が事前審査から事後審査に移行する中で、第三者評価の比重が高まっている実態 を踏まえて、シラバスにはその大学の教育の質を明確にする内容や水準が求められている。 3.大学教育開発・支援センターにおけるシラバスの見直し 1)2005 年度 学生の確かな学力形成に寄与することを目的として、2005 年度にオンラインシラバスの 内容面での抜本的な見直しをおこなった。 まず、山口大学 大学教育センターの沖裕貴教授(同教授は、2006 年 4 月に本センター 所属教員として着任)をお迎えして「シラバス検討に向けた学習会」をおこない、他大学 の先進的取組事例を学んだ。その後、 「シラバス開発に向けたワークショップ」を 3 回に渡 って開催し、本学にふさわしいオンラインシラバスのあり方について教員・学生・職員が 同じテーブルについて議論を重ねた。三者の連携による検討結果を踏まえて、新たなオン ラインシラバスを全学に提起し、全学議論を受けた後、承認されるに至った(2005/10/31 教学対策会議)。 12 月には、教員を対象にオンラインシラバス改訂の意義を周知するための「2006 年度シ ラバス執筆にあたってのお願い」を作成・配布した。また、本年 1 月には学部・教学機関 の執行部ならびに事務局を対象に「2006 年度シラバスにおける執筆内容チェックの手引き」 を作成・配布、オンラインシラバス改訂の趣旨に沿った形で内容の点検をおこない、各教 員に対して必要な加筆・修正を要請するように依頼した。更に、4 月には実際にオンライン シラバスを利用する学生を対象に「2006 年度からシラバスが変わります!」を作成・配布 して、学生にも今次のオンラインシラバス改訂の意義について理解を促した。 2)2006 年度 オンラインシラバスの抜本的見直しをおこなった初年度となった 2005 年度は、限られた 時間の中で当面必要な改定を実現させることができた。教学対策会議という全学的な場で、 オンラインシラバスの教学的役割について議論し、認識の共有ができたことは、一定の成 果といえる。しかし、オンラインシラバスの入力状況には差があり、ガイドブックを配布 してはいるものの、個々の教員への周知徹底が不完全であるということは否定できない。 オンラインシラバスを内実させるためには、入稿時において教員にしっかりと記入しても らうことが第一に重要であり、そのためにはオンラインシラバスや各項目の意義について 教員に理解してもらうことが不可欠である。 そこで今年度は、ガイドブックの作成において関連部課で綿密な調整をおこなうととも に、ガイドブックの配布のみに留まらない、周知徹底の取組を検討している。また、教員 記入後のオンラインシラバス点検については、開講科目数は 14000 科目を超え、オンライ -2- ンシラバス入稿時期や開講時期を考慮すると点検期間は限られるため、05 年度センターが 提起した体制での点検には限界がある。今年度は点検期間の延長を検討する等の対応を検 討している。 4.シラバスの教学上の位置づけと役割 昨年度の学内議論において、本学におけるシラバスの教学上の位置づけと役割は次のよ うに設定された。 1)シラバスの教学上の位置づけ ① 各学部が育成する学生像と教育目標を達成するために、それぞれの科目の到達目標を 教育目標との関係で明らかにするものである。 ② 授業の到達目標に対応した成績評価基準を明示するものである。 ③ 授業が学部の教育目標に沿って運営がなされていることを確認し、教育(授業)の質 を保証するものである。 2)シラバスの役割 ① 教員が学生に対して、予め授業内容を約束する。 ② 学生が科目を受講する際の責任を明確にする。 ③ 教員と学生の授業における双務責任を明確にする。 ④ 学生に対して事前に必要な受講情報を提供する。 ⑤ 教員と学生が授業に関するコミュニケーションを図る手助けをする。 5.シラバス見直しにあたっての重点 シラバスの見直しにあたっては、シラバスの位置づけと役割を踏まえて、以下の 5 点を 重点として、記載内容の変更をおこなった。 1)到達目標の明示 シラバスは、各学部が育成する学生像と教育目標を達成するために、それぞれの科目の 到達目標を教育目標との関係で明らかにする必要がある。 2)成績評価基準の明確化 シラバスは、到達目標に対応した成績評価基準を、具体的に数字による一貫した表記で 明示する必要がある。 3)予め内容を約束したものであることの確認 シラバスは、教員が学生に対して、予め授業内容を約束するものであるとともに、学生が 受講する際の責任を明らかにするものである。これにより、授業における双方の責任を明 らかにする意味で、「一種の契約」であるという意識を双方が持つ必要がある。 4)コミュニケーションツールとしての機能強化 学生の多様化にともない、教員と学生のコミュニケーションについて工夫が必要となっ ている。今後は、シラバスにおいてもコミュニケーションツールとしての役割を高めるこ とを追求する。 5)教育(授業)の質的保証 シラバスは、授業が学部の教育目標に沿って運営されていることを確認して、教育(授 業)の質を保証するものである必要がある。 -3-