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運動の描画

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運動の描画
滋 賀 大 教 育 学 部 紀 要 人 文 ・社 会 ・教 育 科 学,
No36 p.p.97-105, 97
1986
交 替 図形 描 画 課 題 に お け る
運 動 の プ ラ ン と遂 行 の 発 達 ・障 害
黒 田 吉 孝
Development and Disorder Graphic for Planning Tests Requiring Yoshitaka The purpose plann㎞g and handicapped tasks which ([へ
of graphic consisted KURODA
tests requiring children. of placing of
Alternation
of the present study is to investigate and performance pre・school and Perfo㎜ance the developmental alternation For this purpose pieces([〈)and process children were given several
of drawing sequential figures
〔 へ).
The (1) main results were In nonhandicapped summarized pre・school as follows.
children from 4:0 to 4:11, placing of pieces
ロ
(motor planning)
.were well 丘9・ ・e・ 彬 ・・ew・11 p・rf・ ・m・d
tests were (2) In handicapped in tests about even children were verbalize (3) Down but 6 age. performed graphic close two tests. and at DA 6:0 to 6:11, pl・nni・g・nd 5 age most drawing sequential
p・rf・ ・m・nee・f of children in tests of sequential In contrast in two with tests. tests correlation. For this reason requiring Down drawing many But g・aphi・
were well performed
figures handicapped autistic alternation syndroms we assumed children few were children, were well
autistic
difficulty to
and sequential children couldn't dysfunction of voluntary articulation perform nervous tests,
smoothly
system in
syndroms.
問 題
交 替 図 形 描 画 は ル リヤ の 神経 心 理 学 の テ ス ト
バ ッテ リ イの ひ とつ で 、成 人 の脳 機 能 の 診 断 、
主 と して 前運 動 野 の機 能診 断 と して 使 用 され て
1986年9刀24日
from b・tween action.
Between found children pieces, at DA well these performed, ・Atim・1・g 2 years.
of placing perfo㎜ed we of
in nonhandicapped
受理
い る(JIyp11H
, A.P.1970, Christensen, A. L.
1979)。
こ の 課 題 は[と
く
の要 素 か ら な り、
「 ハ 「1へ の 連 続 描 画 が 課 せ られ る 。 成 人 の 場 合 、
通 常 、 連 続 描 画 の 運 動 反 応 を 通 しな が ら 運 動 過
黒 田 吉 孝
98
程 にお け る興 奮 と抑 制 の切 り替 え の ス ム ー ズ性 、
確 か め られ る。次 に 、 図形 模 写 が 可 能 な児 童 に
運 動 の ス ピイ ド等 が分 析 され る。 ま た、 この 課
対 して 課 題1と ほ ぼ 同様 の指 示(「 並 べ な さい」
題 は 運動 性 失 語 症 患 者 等 に も適 用 され る こ とが
の 代 わ り に 「描 き な さい 」)を 与 え 、 自主 的 に
あ り、運 動 機 能 障 害 の範 囲 や程 度 等 の 診 断 に も
で き るだ け早 く、 鉛 筆 を用 紙 か ら離 さぬ よ う注
使 用 され て い る 。
意 し、1分 間描 画 させ る。 各 課 題 は2回 試 行 さ
ル リヤ の場 合 、 こ の課 題 で は前 述 した よ うに 、
れ 、 成稿 の 良 い方 が 分 析 の 対 象 に さ れた 。 また 、
運動 コ ン トロ ー ル等 の 反応 が 分 析 の 主 眼 にな っ
障 害 児 は 京都 児 童 院式 発 達 検 査 、構 音 器 官 の 機
て い る が 、他 に 図形 模 写 、運 動 プ ラ ン等 の心 理
能検 査 の た め にパ タ カの 音 声 連 続 呼 称 テ ス トが
機 能 を構 成要 素 と して含 んで い る。
実 施 され た。
そ れ故 、交 替 図形 描 画 が 十 分 な診 断 的 機 能 を
結 果
もつ た め に は こ れ らの機 能 の関 係 が 検 討 され る
必 要 が あ る。
(1)酉
己A言果題
そ こで 本論 で は 、 図 形模 写 、運 動 プ ラ ン、 運
配 列 課 題 は先 行 研 究(JIYPHR, 動 遂 行 の 機能 に視 点 をあ て 、 これ らの 機 能 の 関
黒 田1979、 神1982)を
係 の 発 達 と障 害 を検討 して み る こ と に した 。 更
位 以 上(口
に 、 この 課題 と他 の随 意 運 動 との 関 係 を構音 機
て 配 列 した もの を正 反 応 と した 。 図版 の向 きが
能 を取 りあ げ 検 討 して み る こ とに した。
誤 って い る場 合(・[コ 図 等)は
参 考 に、 見本 よ り も3単
囲 を1単 位 とす る)正
し く安 定 し
確 認 を促 し、 修
正 が み られ な け れ ば配 列 パ ター ンは正 し くと も
方 法
(1)被験 児 保 育 園幼 児3才
A.P.1972、
誤 反 応 と した 。
∼6才 、78名 。 養
誤 りの タイ プ と して は 、① 見 本 図 形 の配 列 が
護 学 校 中 学 部 児 童22名 。 この場 合 、 障 害 児 に お
不 可 能 、② 見 本 図 形 の み配 列 可 能 、③ 見 本 図形
い て は 自閉症 児 と ダウ ン症 児 が 半 数 の11名 を し
以 上 配 列 可 能 で あ るが3単 位 以 上 の安 定 した配
め て い た。
列 が 認 め られ な い に分 類す る こ とが で きた。
(2)材料 回 、 囚 の 配 列 用 図 版(25mm×
25mm)各10枚
と 「 レ
へ[〈 9描 画 図 形 用 紙
表1は 保 育 園幼 児 の 配列 課 題 成績 を年 令 毎 に
([、
〈
各 々 高 さlomm、 巾8mm)が
示 した もの で あ る 。
使用 さ
配 列 課 題 に み られ る運 動 プ ラ ンは3才 後半 で
れ た。
は むず か し く、 正 反応 は20%に
す ぎな い 。正 反
(3)手続 き 実験 は2つ の課 題 か ら な る。課 題
応 が60%を
1は 配 列 課 題 で あ り、 こ の課 題 で運 動 プ ラ ンの
が ほ ほ正 反 応 を しめす の は4才 後 半 以 降 で あ る。
発 達 、 障 害 が 検討 され る。 口 囲[コ 囚 の 図版
配 列 パ ター ンは 正 しい が(3.単 位 以 上安 定 配
を並 べ て み せ 、 「これ と同 じ よ う にや め と言 う
列)図 版 の 向 きが 誤 って い るケ ース は4名(3
まで 並 べ な さい 」 と指 示 し、見 本 の 下 に 自主 的
才 後 半2名
に 配 列 させ る。 課 題2は 描 画課 題 で あ る。 始 め
あ っ た。
に 「1ぺ「 〈 の 見 本 図形 が描 け るか ど うか が
表2は 障 害 児 の 配列 課 題 成績 で あ る。
越 す の は4才 前 半 か らで あ り、全 員
、4才
前 半 、 後 半 各1名)だ
けで
表1 保育園幼児の年令別配列課題成績
`⋮
52
44
n
4 a
e
M
コ 9
.
∩
﹂ ・・
暉3
E め n
6 3 a
^ M
e
4:6-4=11 5-535 Mean 4:8 Mean5:3 5丘 一5:11 6-66 Mean 5:10 Mean6:2 %
コ
1
0
9叩
頭
ん
20
9
6
0
0
0ワ
2
100 100 100 01
。1
。1(40
6め_611
Mean6:8
100
。1%
0/。1% 。1。1端1
交替図形描画課題 にお ける運動のプランと遂行の発達 ・障害
表2 障 害 児 の 配列 課 題 成 績
05
7
e 武 ・.
9 C 4
∩
4 1
CA
14:6
5
^
o ^5
DA4age
DA 4:5 99
8q/
33・:㍉1
。%
DA6age
A CO 6:7 14:5
10(㌔/
。%
。%
咀
MODEL
TYPE 1
4AGE 3 MONTH
4AGE5MONTH
TYPE 2
60sec
4AGE g MONTH
TYPE 3
60sec
5A6E 7MO"τH
TYPE 4
30sec
・6AGE7MONTH
図1 交 替 図 形 描 画 の4つ
の 反 応 タ イ プ(保
育 園 幼 児)
A
黒 田 吉
100
孝
障 害 児 の場 合 、 配 列 課 題 が ほ ぼ可 能 に な る の
描 画 可 能 な もの(反 応 タ イプH)、
はDA 5才 以 降:であ った 。 配列 パ ター ンは正 し
上 描 画 可 能 で あ る が 反応 が不 安 定 な もの(反 応
見本図形以
い が 図 版 の 向 き に誤 りが み られ た ケ ー ス はDA
タ イ プ 皿)、 見 本 図 形 よ り連 続3単
5才 の1名
つ安 定 そ して 、 正 確 に 描 け る もの(反 応 タイ プ
だ けで あ った 。
位以上、 か
障 害 児 の場 合 も配 列 課 題 は発達 年 令 に規 定 さ
IV)で あ った 。4つ の 反応 例 は 図1の 通 りで あ
れ るが 、保 育 園 幼 児 に比 べ る と約1年
る。
の遅 れが
み ら れ た。
こ れ らの 反 応 タ イプ を も とに保 育 園幼 児 の 交
(2)交 替 図形 描 画 課 題
替 図形 描 画 の 結果 を整 理 した のが 表3で あ る。
交 替 図形 描 画 課 題 も正 反 応 は 見本 図形 よ り も
保 育 園 幼児 の場 合 、 見本 図形 模 写 以 上 の反 応
3単 位 以上 描 け る場 合 と した が 、 部 分 的 に連 続
が 可 能 に なる の は(タ イ プ 皿以 上 の 反応 を しめ
3単 位 以上 描 画 が み られ て も、 反応 全体 が著 し
す 年 令)4才
く不 安 定 な場 合 は誤 反 応 と した 。 また 、 運動 過
安 定 して くるIVの タイ プ は6才 をす ぎて か ら多
後半 以 降 で あ る。 交 替 図形 描 画 が
程 に お け る興 奮 と抑 制 の 切 り替 えの ス ム ー ズ性 、
くみ られ る。5才
運 動 の ス ピイ ド性 を検 討 す るた め に、 制 限 時 間
定 な もの が比 較的 多 く(40%)み
で は タイ プ 皿の 連 続 描 画 不 安
られ る。
1分 内 の連 続 正 反 応 の平 均 単 位 数 を年 令 毎 に 算
表4は 保育 園幼 児 の 制 限 時 間1分 内 の 連 続 正
出 した 。
反 応 の平 均 単 位 数 であ る。
そ の 結果 、交 替 図形 描 画 は4つ の 反 応 に 分 類
この場 合対 象 に した反 応 は タ イ プIVに 属 す る
す る こ とが で きた。 す な わ ち、 見 本 図 形 の模 写
もの で あ っ た。
不 可 能 な もの(反 応 タ イ プ1)、 見 本 図 形 の み
5才 前 半 と5才 後 半 の 連 続 平 均 正 反 応 単 位 数
表3 保 育 園幼 児 の 年 令 別 交 替 図形 描 画 反 応 タ イ プ
AGE
3=6-3詔
冊=10
反 応 タイ プ1
4-4:5
"=13
10
100%
5高8
4:6L≧ 馴
:6-5:11
麗=10
鹿:=11
12
9391.
6・一55
"=13
雅 鯉1
1
9。 ノ.'
4・
反 応 タイ プH
36.劉
1
反 応 タ イ プIH
7。1。
。
4
6
44.6。 ノ。 40。1。
40。 ノ。
7.7『 〆
。
6
60。1。
6
60。 ノ。
12
92.31。
反 応 タ イ プIV
4
1
表4 保育園幼児の制限時間内平均連続正反応単位数
AGE
5-5=5,5=6「5調1,6-6…5,6嗣5-6=11
平均正反応
単 位 数
9.3 8.8 11!ヰ 15.3
range 14 range s range 3
8 range
5
11
100『1。
交 替 図 形描 画課 題 にお け る 運動 の プ ラ ン と遂 行 の 発 達 ・障 害
101
は ほ ぼ同 様 で あ る が 、5才 前 半 で は個 人差(レ
もの が 多 か った 。 このDA群
ンジ14)が 顕 著 で あ る。6才 後 半 にお い て個 人
も自 閉 症 児 で あ った 。DA 5才 群 で は タ イ プIV
差 が 減 少 し、 反 応 が 安 定 して くる。
はみ ら れ なか っ た。 このDA群
図2は 反 応 タイ プ 皿 に出現 す る誤 反 応 の4つ
うに 自閉 症 児 は含 まれ て い ない 。 しか し、 この
の タイ プ で あ る。 誤 反応 は表3、 表6中 の 反応
年 令 群 で は全 員 が見 本図 形 の模 写以 上 の 反 応 が
タイプ 皿の分析 か らえ られた ものであ るが、
可 能 で あ り、 タ イプ1皿の子 ど もが 多 くみ られ た 。
各 々 、運 動 の 不 連 続 、 運動 の冗 長 、 形 の 歪 み 、
DA 6才 群 で は タ イプIVが 増 え るが い ず れ も 自
図形 の大 き さの異 常 に 分 類 され た。
閉 症 児 で あ った 。
表5は 保 育 園 幼 児 の4才 後 半 か ら6才 前半 ま
表7は 障 害児 の反 応 タ イ プ 皿に み られ た4つ
で の誤 反応 タイ プIHに み られ た4つ の 反 応 型 の
の 反 応 型 の 出現 頻度 を しめ した もの で あ る。
の タ イ プ 皿 の1名
に は前 述 した よ
出現 頻 度 を しめ した もの で あ る。
障 害 児 の場 合 、形 の歪 み と運 動 の冗 長 が 多 く
保 育 園幼 児 の場 合 、 運 動 の 冗長 型 が 最 も多 く
み られ た 。4つ の反 応 型 はすべ て の年 令 群 に 共
半 数 を しめ るが 、 年 少 児 で は形 の大 き さの 異常
通 して み られ 、 また 、反 応 型 が発 達 に と もな い
が 多 くみ られ た。 誤 反 応 が重 複 す る ケ ース は1
減 少 す る傾 向 は み られ なか った 。
名 だ けで あ っ た。
(3)運 動 プ ラ ン と連 続 描 画 反応 の 関係
障 害 児 の交 替 図 形 描 画 の 基 本 的 な反 応 タ イプ
表8は 保 育 園幼 児4才 前 半 か ら5才 後 半 まで
の4つ の 年令 群 の配 列 課 題 と連続 描 画 反 応 の 関
は表6の 通 りで あ った 。
DA 4才 群 で 正 反 応(タ イ プIV)を しめ した
の は1名 だ けで あ り、 自閉症 児 で あ っ た。 この
係 を しめ した もの で あ る。 表8の 評 価1-Nは
年 令 群 で は見 本 図 形 模 写 不 可 能(タ イ プ1)な
る。
前 述 した4つ の基 本 的 反 応 タ イプ に対 応 して い
運動の冗長
運動の不連続
/vr〔
大 き さの異 常
形の歪み
図2 反応 タ イ プ1皿に出現 す る4つ の誤 反 応 例
表5 保 育 園 幼児 の反 応 タ イ プ 皿の4つ の誤 反応 出現 頻 度
4=4-11
踊
=6
5-5・5N
=:4
5=6早5:116-635
闘=4
N:=1
SUM
2
運動の不連続
1
1
運動 の 冗長
2
2
3
4
1
1
1
8
形 の 歪 み
大 き さの 異常
6
黒 田 吉
102
孝
表6 障 害 児 の交 替 図 形 描 画 の 反応 タイ プ
DA4 H=9
age
DA6 a即
DA5 age
閥=8
閥=5
6
反 応 タ イ プ1
66,7』1
。
1
1
11.1。1。
20%
1
4
反 応 タイ プH
反 応 タ イ プln
5
80。1。
11.1。!。
62・5。
ノ.
3
1
反 応 タイ プIV
11・1ツ
37.5。
。
ノ
。
表7 障 害児 の反 応 タ イ プ 皿 に出現 す る4つ の 誤 反 応 頻 度
瞥
・
・
DAa5
-5・ ・
1
運動の不連続
o
.禽ge SOM
1
2
運動 の冗 長
2
2
4
形 の 歪 み
3
2
5
1
1
大 きさの 異常
表8 保育園幼児の配列課題 と交替図形描画評価の関係
描画
△△△
△△▲ ▲
▲▲ ▲▲
運 動 プ ラ ン評 価 と運 動 遂 行 評 価 の ズ レが 最 も
列 課 題で 評 価IVに 属 して い るが 、 描 画 課 題 で は
皿
0● ● ●
●
△▲
△△
▲▲
△
1
▲
●● ●●
●●
IV
00
1
H
皿
w
階 に あ る。4才 後 半 に な る と運 動 プ ラ ン は安 定
して くる が 、連 続 描 画 は困 難 で あ る。5才 前 半 、
を しめ す 。す な わ ち、 配 列 課 題 は全 員 評 価Wに
属 す るが 、描 画 課 題 は評 価 皿 、IVに ほ ほ個 数 に
分かれる。
90
8013
3
5
切
5
5 日
脚6
55
△▲
● ・
一 9
3 8
1
5 謂
本 辺
噛め
4 4
0 ●
U
己
酉
1
ほ ぼ全 員 が 評 価1の 見 本 図 形 模 写 が 不 可 能 な段
5才 後半 の配 列 と描 画 の関 係 は ほ ぼ 同様 の 傾 向
0000
0000
●
o
大 きい の は4才 前 半 で あ る。 この 群 の多 くは配
障 害児 の配 列 、 描 画 課 題 の 関 係 は表9の 通 り
で あ る。
交 替 図形 描 画 課 題 に お け る運 動 の プ ラ ン と遂 行 の 発達 ・障 害
表9 障 害 児 の 配列 課 題 と
交 替 図形 描 画 評価 の 関係
描画
(4)自
○●●●
△△△△
皿
O
H
1
し くはWに 属 して いた 。
o△ △ △
w
00
1
O
表10は 自 閉症 児(DA平
均5才11ケ 月)と ダ
ウ ン症 児(DA平
均5才5ケ
月)の 配 列 課 題 と
交 替 図 形描 画 課 題 評 価 の 関係 を しめ した もの で
自 閉症 児 の 場 合 、 全 員 が両 課 題 評 価Wで あ っ
た。 一 方 、 ダ ウ ン症 児 で は描 画 課 題 にお け る運
H
動 反 応 の困 難 さが め だ っ た。 ダ ウ ン症 児 の 場 合 、
IV
田
配列
00A4311△0且631●
●0A5・
閉 症 、 ダ ウ ン症 児 の 交 替 図形 描 画 、
な らび に構 音 能 力 との 関係
あ る。
O●
00
103
塞・
配 列 課 題 で は評価 皿 も し くはWの い ず れ か に属
して い た が 、描 画課 題 で 評 価IVに 属 す る もの は
み られ な か った。
障 害 児 の場 合 、保 育 園 幼 児 ほ どの運 動 プ ラ ン
の 明 確 な先 行 傾 向 はみ られ なか った。 た と えば 、
図3は 両課 題 いず れ も評価Wの 自閉症 児 と、
配 列課 題評 価IV、 描 画 課 題 評価mの ダ ウ ン症 児
DA 4才 群 の半 数 は 配列 課 題 で 評 価1、 Hに 属
の描 画 反応 例 で あ る。
し、描 画課 題 の評 価 で は殆 ん どの児 童 が1、H
交 替 図形 描 画 と3音 節 連続 構 音 能 力 との 関係
は表11の 通 りで あ った 。
に 属 して い た。DA 5才 、6才 児 群 で は1名
を
除 き、全 員 が 配 列 評 価 がIVで 、描 画 評 価 が 皿1も
構 音 能 力 評 価 は養 育版 の失 語 症 検 査 評 価 を参
考 に し、パ タ カの3音 節 繰 り返 しの ス ム ー ズ性
を基 準 に4段 階 で お こな わ れ た。
描画
表10 自閉症 児 とダ ウ ン症児 の
配 列 ・交 替 図形 描 画 評価 の 関係
評 価1は 単 音 節 の繰 り返 しさ え も困 難 な もの 、
評 価Hは 単音 節 の繰 り返 しは可 能 で あ るが3音
OO
w
節 の 繰 り返 しは 困 難 な もの 、 評 価 皿は3音 節 の
繰 り返 しは可 能 で あ るが 不 安 定 で ス ム ー ズ性 に
●●
皿
欠 け る もの 、 そ して 評 価IVは3音
●
H
●
1
●●
節 の繰 り返 し
が ス ム ー ズ に お こ な え る もの で あ る 。
2つ の課 題 に は正 の 相 関 が み られ 、 ダウ ン症
児 の場 合 、3音 節 連 続 構音 に お い て も困 難 が認
め られ た。 構 音 評 価 は、 自閉症 児 の場 合 、Wが
1
H
m
IV
OAutistic配
3名 、 皿が2名 、 ダ ウ ン症 児 の場 合 、評 価1が
列
2名 、 評 価Hが4名
で あ った。
●Down
60sec
60
Autistic; CA14age DA6age 10month
Dow髄;
CA14ago DA6ag●9mon面
60$㊤6
図3 自 閉症 児 と ダ ウ ン症 児 の交 替 図 形 描 画 例
黒 田 吉
104
孝
表11 自閉 症 児 と ダ ウ ン症 児 の交 替 図 形描 画 と連 続 構 音 の関 係
描画
1
構音
1 H
IV
皿
●
●
●●
H
o
m
o
000
w
OAutistic
●Down
(第1試
行)
(第2試 行)
(第3試 行)
(第4試 行)
(第7試
行)
60sec
CA14 age DA6age 10month
図4 見 本 図形 模 写 に特 別 困 難 を示 した児 童 の 反 応 例
(5)描 画 課 題 に み られ た特 殊 な ケ ー ス
考 察
対 象 児 の 中 に連 続 描 画 運 動 は比 較 的 容 易 で
あ った に もか か わ らず 、 見 本 図 形 模写 に特 別 困
(D 交 替 図 形描 画 に お け る運 動 プ ラ ン と
難 を しめ した児 童 が1名 み られ た 。 この児 童 は
図 形 模 写 の 学習 に長 い時 間 を要 した 。
交 替 図形描 画 が可 能 に なる年 令 をそ の年令 の3
図4は
この児 童 の交 替 図形 描 画 反 応 で あ る。
分 の2以 上 の 子 ど もに 正 反 応 が み られ る時期 と
運 動 遂 行 との 関 係
この 児 童 の 場 合 、3音 節 繰 り返 しは全 く問 題 が
み な した場 合 、 保 育 園 幼 児 が この 年 令 に 達 す る
み られ ず 非 常 に 流暢 で あ った。 この 児 童 は 新奇
の は6才 以 降 で あ る。 そ れ 故 、 子 ど もの 診 断 テ
な幾 何 図 形 模 写 や積 み木 構 成 等 が 困難 で あ った 。
ス トと して の 交 替 図 形 描 画 は、6才 前 後 の 子 ど
構 成 失 行 様 の特 別 な 問 題 が存 在 して い る よ うに
も を対 象 にす るの が 妥 当 と思 わ れ る。
思 わ れ た。
この 場 合 、今 回 わ れ わ れが 試 み た よ うに、 こ
交 替 図 形描 画 課 題 に お け る運 動 の プ ラ ン と遂 行 の 発達 ・障 害
105
の 課 題 で は運 動 プ ラ ン と運 動 遂 行 の レベ ル を 区
(3)交
別 す る こ と は意 味 が あ る と考 え る。
連 続 描 画 反 応 の 正確 性 を検 討 す る た め に4つ の
保 育 園幼 児 の 場 合 、 こ の課 題 の プ ラ ンが ほ ぼ
誤 反 応 タ イ プ(運 動 の不 連 続 、 運 動 の 冗 長 、 形
可 能 に な るの は4才 で あ り、 運 動 遂 行達 成 年 令
の 歪 み 、 図 形 の 大 き さ の 異 常)を
と の問 に2年 の 開 きが み られ た。 また 、 こ の課
各 々の 反 応 は重 複 して現 われ る こ とな く、 個 々
題 の見 本 模 写 が 可 能 に な る年 令 は4才 後半 で あ
の 子 ど もに一 貫 して い た。
る こ とか ら、 連 続描 画 運 動 が 可 能 に な る6才 ま
今 回 、 これ らの反 応 タイ プ はい ず れ も運 動 過
で の お よそ2年 間 は そ の運 動 遂 行 に必 要 な機 能
程 にお け る興 奮 と抑 制 の切 り替 えの悪 さの ため
が 成 熟 、 形 成 され る期 間 と考 え られ る。
に 出現 す る と考 え たが 、今 後 、脳 損傷 児 等 の 資
障 害 児 の場 合 、連 続 運 動 遂 行 の 安定 性 、正 確
料 も加 え、 そ の 意味 等 を検 討 して い く必 要 が あ
性 の 獲 得 に 困 難 を しめす 子 ど もが 多 くみ られた 。
る と思 われ る。
また 、 障 害児 の 中 に は連 続 描 画 運 動 に比 べ 見 本
以 上 、い くつ か の課 題 はみ られ る もの の 、 交
模 写 に特 別 な 困 難 を しめ す 児 童 もみ られ た。
替 図 形 描 画 テ ス トは子 ど もの 場 合 に も手 指 を中
以 上 の結 果 か ら、 ル リヤ の 視 点 とは 別 に、 運
心 とす る随 意運 動 機 能 、 な ら び に認知 機 能 を診
動 反 応 以外 の 観 点 か ら も交 替 図 形 描画 を と らえ、
断 す る ため の テ ス ト課 題 と して独 自の機 能 を有
各 々の レベ ル との 関係 にお い て 子 ど もの反 応 を
して い る と考 え られ た。
替 図 形描 画 にお け る誤 反応 の評 価
抽 出 し た。
評 価 す る こ とが 重要 で あ る と思 わ れ た。
(2)自
文 献
閉症 、 ダウ ン症 等 の 障 害 と
交 替 図 形描 画 との 関 係
交 替 図形 描 画 と各 種 障 害 の 関係 を検 討 す るた
め に診 断 名 の は っ き り して い る 自閉症 と ダウ ン
Christensen, A. L.(1979) gical Investigation。
Demyer, bal and motor profiles は 明 らか に異 って い た。
subnormal chidren. Schizophrenia,2PP.359-377.
描 画 い ず れ の 課 題 に お いて も成稿 が 良好 で あ っ
Jones, た 。 しか し、 両課 題 と も完 全 にで きた 自閉症 児
Neurological 4名 中 、 プ ラ ン を言 語 化 で きた の は1名 だ けで
Autism を しめ し、評 価IVの 児 童 はみ られ な か った。 ま
た 、 ダ ウ ン症 児 は3音 節 繰 り返 し構 音 も評 価 が
低 く、描 画 課 題 との 問 に相 関 が み られ た。 それ
故 、 ダウ ン症 の場 合 、 運 動 の 流 暢性 、興 奮 と抑
制 の切 り替 え等 に かか わ る随 意 運 動 、 そ して そ
の神 経 学 上 の 問 題が 予 測 され た 。
自閉症 児 の場 合 、 この 課 題 で は特 別 な 問題 が
み ら れ な か っ た が 、 他 文 献(Demyer, M.1972.
は 自 閉症 児 の 運 動 プ ラ ン
問題 に して お り、 運動 プ ラ ンの
質 や水 準 を考 慮 し、 検 討 して い く必 要 が あ る と
思 わ れ る。
of Autism and Childhood
Imitation in Autistic and Developmental ver-
and nonpsychotic
Abilities Children. Disorders. and
Journal Vol.15, of
No.1
PP.37-46.
ダウ ン症 児 の場 合 は特 に連 続 運 動描 画 に 困難
(運 動 模 倣)を
V.(1985)Motor Signs of adaptive, of psychotic Journal 自閉 症児 の場 合 、 ダ ウ ン症 児 に比べ 、配 列 、
Johes, V.1985)で
Neuropsycholo・
Munksgard.
M.(1972)Acomparision 症 を対 象 に した 。交 替 図 形 描 画 の 反応 は両 者 で
あ った 。
Luria's 神 常 雄(1982)普
通 児 お よ び 知 能 遅 滞 児 に お け る
意 識 的 行 為 の 発 達 岩 手 大 学 教 育 学 部 研 究 年 報 41
巻2号pp.157-178.
黒 田 直 美(1979) グ ラ
重 度 知 恵 遅 れ の 子
ミ ン グ 機 能
に つ
い て 障 害 者
ど も の プ ロ
問 題 研
究19号
PP.21730,
JIypHH, ecKHθ
JlypH∬, poBaHH10 pacTe, A.P.(1970}Moar Hpo1乳eccH qθ πoBeKa K ncHx四
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A.P.(1972)Hccπ
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PP.44・48
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