Comments
Description
Transcript
画像からの距離・姿勢評価を用いた4脚歩容学習法
平成 21 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号:172 画像からの距離・姿勢評価を用いた 4 脚歩容学習法 Learning Method of Quadrupedal Gait based on Distance and Posture Evaluation using Eye - Camera Image 田山 喜崇 1 Yoshitaka Tayama 1 東京工芸大学 Tokyo Polytechnic University 瀧 晃司 2 Koji Taki 鈴木 秀和 1 Hidekazu Suzuki 2 東京工芸大学大学院 Graduate School, Tokyo Polytechnic University 西 仁司 3 Hitoshi Nishi 3 福井工業高等専門学校 Fukui National College of Technology 1 緒言 近年,動物の癒し効果を利用したセラピー手法として アニマルセラピーが注目を集めている.これは動物介在 療法と動物介在活動の2つに分けられる.動物介在療法 は治療を目的としての専門的な勉強や知識を得た人が行 う医療であり, 動物介在活動はボランティア団体や個人 が病院などの施設に動物を連れて行き,参加者とコミニ ケーションを図ってもらいヒーリング効果を導く活動で ある.しかし,これらには感染症などの問題があり医療 機関などへの導入は消極的である.そこで,これに代わ る新しい方法として,動物の代わりに動物型ロボットを 用いるロボットセラピーが注目され始めている. ロボットセラピーでは,感染症等の問題が解決できる だけでなく,導入前の調教や導入後の維持・管理が容易 といった様々な利点がある.本研究の最終目的は 4 脚歩 行ロボットでの散歩であるので, ロボット介在活動に該 当すると思われる. 本研究では, 動物の脚軌道を規範として遺伝的アルゴ リズム (GA) を用いて推進力の高い脚軌道を生成し,人 間が動物らしいと感じる感性を取り入れるためにアン ケートを行った.そして,実環境に適応するために再度 GA を行い,動物らしい歩容を目指す. 2 脚軌道の生成 2.1 推進力評価実験 本研究では 4 脚歩容生成の導入としてまず, 脚単体に おける推進力に着目し, 大きな推進力を発生する脚軌道 を GA を用いて探索している. 実験は AIBO を台座に乗 せ, 脚を一度動かすことで評価ボードを蹴り出させる. そ して, この時の評価ボードの移動距離を評価値として世 代交代を繰り返し, 最も評価が高かった軌道をパラメー タとして決定した. 次に動物学のエネルギー消費量に基 づいた 4 脚歩行の分類の 1 つである Walk を参考にし, 各脚を組み合わせることで推進力の高い脚軌道を生成す ることが出来た. 2.2 人間の感性を考慮した歩容生成 人間が動物らしいと感じる感性を取り入れるためにア ンケートを行った.アンケートは前項で生成した脚軌道 を基にデューティ比と周期を変化させた 25 パターンに 対し行った.そして,その結果から歩容毎に中央値を計 算し,その歩容が台座上では動物らしいことを確認した. 3 実環境における歩容学習 前節において,動物らしい歩容が生成できたが,実際 に地面で歩容させてみると複雑な動的干渉を受け動物ら しい歩容には至らなかった.そこで再度 GA を用いて, 地面での歩容学習を試みる.評価値には画像から歩行距 center coordinates (xs,ys) ball width (bs) 図 1 歩行開始前 (be) (xe,ye) 図 2 歩行終了後 図 3 最適化後の歩容 離と姿勢を評価したものを用いた.歩行開始前 AIBO の 目の前にはピンク色のボールが置かれており,このピン ク色を抽出した 2 値化画像を図 1 に示す.AIBO はこの 画像からボールの中心座標と幅を記憶する.そして歩行 終了後の図 2 の画像より,再度ボールの中心座標と幅を 取得し,その差から評価値を決定する.中心座標の差か らは歩行時のずれを決定することができ,差が小さいほ ど直進して歩いたことになる.またボールの幅からは歩 行距離を測定することができ,差が大きいほど前に進ん だことになる.この方法を用いて AIBO に歩容学習を 行った結果を図 3 に示す.12 世代目には評価の高い歩容 となり,動物らしく約 60[cm] 直進させることが出来た. 4 結言 本報告では,推進力の高い脚軌道を生成し,人間が動 物らしいと感じる感性を取り入れるためアンケートを 行った.そして,AIBO の画像からの距離・姿勢評価を 用いて,動物らしい歩容を生成することが出来た. 今後の課題として,歩行開始前にボールの方向を向く 動作と,歩行終了後にボールと一定の距離を取る動作を 追加する必要がある.この動作を追加することで AIBO を起動するだけで,完全に歩容学習が自動化され,最適 化することが出来るようになる. 参考文献 [1] 鈴木 秀和, 西 仁司, 瀧 晃司, ”人間の感性に基づく動物型ロボット -172- のための 4 脚歩容生成”, 日本知能情報ファジィ学会誌, Vol. 21, No. 5, pp. 653-662 (2009.10) Copyright © 2010 IEICE