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第1回 稲城市立病院 様(PDF:587KB)

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第1回 稲城市立病院 様(PDF:587KB)
Cutting Edge Report
ZEXIRAのある風景
稲城市立病院(東京都稲城市)
健康管理体制を築く
中核病院をサポートする
被ばく低減と高画質の両立
緑豊かなベッドタウン・東京都稲城市に位置す
る稲城市立病院は、1946 年に開設された。新
築改築を経て、1998 年には高度化・多様化す
る医療ニーズに応える形で最新の医療設備と病
院機能を備えた現在の新病院棟に生まれ変わっ
ている。2002 年リハビリテーション室増改築、
2 年後には救急外来棟増改築および核医学検査
新設、さらに 2012 年には健診・外来棟が新設
された。内部には化学療法室や放射線治療室な
どを設置しており、同院の医療設備の充実度が
伺える。市立病院として地域に根差した取り組
みに徹する同院について紹介する。
同院ではZEXIRAを2台導入しており、天井吊り
の4面モニタや透視、撮影ができるフットスイ
ッチも備える。
人といわれています。住民の皆様に安心できる信
頼とぬくもりのある医療を提供し、地域の中核病
院としての役割と自治体病院としての使命を果た
すよう、稲城市医師会および地域の医療機関との
連携に努めています」
。都心へ通勤する方が多い
ファミリー層を主としたベッドタウンとしての稲
城市の特徴について「これは稲城市だけではなく、
近隣の地域にもいえることだと思いますが、都心
に近く、一家の働き手は平日は都心へ通勤してい
るので、外来でいらっしゃる方はとくに高齢者の
方と子どもさんが多いです」と同氏。
「ですから、
質の高い検査を提供することはもちろんですが、
検査を行う際に患者さんの転倒などの事故が起き
ないようにすることや、患者さんの取り違い、誤
稲城市立病院の地域における位置づけ
認防止についても重要視しています」と、地域特
性に応じた対応を行っている。
同院放射線科診療放射線技師長の宍戸敏彦氏は、
同院の地域における位置づけについて次のように
地域連携で実現する健康管理体制
語る。
「8 万 5 千人の稲城市民を中心に、近隣の多
摩市、府中市、川崎市など、診療圏人口は 30 万
同院では、 病気にさせない病院 を実現するた
め健診部門にも力を入れている。
「稲城市は、病
気にならないような健康づくり、身体づくりをし
ましょうということで健診センターを作り、でき
稲城市立病院
〒206-0801
東京都稲城市大丸1171
TEL. 042-377-0931
http://www.hospital.inagi.tokyo.jp/
・診療科目:内科、外科、整形外科、産婦人科、皮膚科、泌尿器
科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーショ
ン科、精神科、脳神経外科、呼吸器科、消化器科、
循環器科、放射線科、神経内科、麻酔科
・病床数:入院290床
・診療指定:二次救急医療機関、災害拠点病院(いずれも東京都
指定)
1
映像情報メディカル
るだけ早く病気を見つけることを目指しています。
それから健診センターと合築した市の施設である
健康プラザには、プールなどを完備しています。
健康管理に積極的に取り組むことで病気にならな
い身体づくりの意識を高めようというものです。
今後は健康プラザと連携して、生活習慣病の対策
や妊婦さんの産後の体力づくりなどにも力を入れ
ていくつもりです」と、宍戸氏は地域一体となっ
Cutting Edge Report
ZEXIRAのある風景
稲城市立病院(東京都稲城市)
エコ活動にも積極的だ。
幅広い領域に活用できる装置として機種選考
稲 城 市 立 病 院 で は、2011 年 9 月 に 東 芝 製 の
FPD 搭載デジタル X 線 TV システム ZEXIRA を
2 台導入した。同院放射線科部長の池田俊昭氏に
稲城市立病院に隣接する健診・外来棟および健康プラザと連携
し、地域の健康管理に注力している。
導入の経緯を伺った。
「マルチパーパスに使える
装置ということで、まず機種を考えました。透視
の装置というのは 10 年近く使うことが普通です
た健康管理体制の充実化について言及した。
から、今後の医療現場の動向を考えて、I.I.-DR で
また地域連携という側面では、大学病院や近隣
はなく、予算的に無理してでもやはりフラットパ
の医療機関とのネットワークを作っている。患者
ネルディテクタ(FPD)を入れたほうがいいだろ
のプライバシー保護を図りながら、地域の医療機
うということで、FPD 搭載型の装置で機種選考
関と通信回線で結び、患者の同意のもと同院の電
に入りました。そしてFPDを使うメリットとして、
子カルテや CT、MRI の画像データなどを共有し
まず視野が広くとれるということを考え、17 ×
ている。
「今までは電話で予約をしていましたが、
17 インチの装置にしようとなりました」と、1 つ
なかなか全部の検査を電話でというわけにはいき
目の選考基準を語った。
ませんでしたので、ウェブ上で CT、MRI の検査
FPD には直接変換方式もあるが、池田氏は、
予約を行えるシステムを構築しました。今後は、
同院での部屋の温度設定や使い方を考えたときに
大腸 X 線検査等、他の検査予約もウェブ上で行う
間接変換方式のほうが扱いやすく、コスト面も含
ようになると思います」と宍戸氏。とくに小児救
めて日常業務ではより使いやすいと判断したとい
急の診療は、地域の小児科医と同院の医師が連携
「装置メーカにもよりますが、間接と直接を
う。
することにより、地域における小児夜間・休日診
比較した場合に、最近の傾向として間接のほうが
療体制の確保を図っている。
ランニングコストを抑えられると思いました。年
さらに同院は、公立病院初の免震工法を採用し、
間保守契約も FPD 代を込みにして考えたときに
安全面にも注力している。また、近隣のクリーン
金額の違いが出てきました。温度などとくに気に
センターからの熱温水を、施設の冷暖房や健康プ
することなく通常の環境で検査ができるという利
ラザ内の温水プールに利用し、JR 武蔵野線トン
点などもあり、東芝さんの装置で、ということに
ネルの湧き水をトイレの洗浄水に利用するなど、
なりました」
と池田氏。
放射線科部長
放射線科診療放射線技師長
放射線科診療放射線技師
放射線科診療放射線技師
池田俊昭 氏
宍戸敏彦 氏
家後哲夫 氏
寺田美里 氏
2
対 し て は 非 常 に 満 足 し て い ま す 」と 家 後 氏。
ZEXIRA には画像処理のさまざまな機能が備わ
っているが、ユーザ側でこれらの機能を調整せ
ずとも、標準設定の状態そのままで何不自由な
く使えているという。撮影像を診断する医師、
透視像で検査を進める技師ともに、その画質に
読影はPACSベースによるモニタ診断を行っている。
ZEXIRAのFPDによる優位性も実感できる。
は満足しているようだ。
17 × 17 インチの広い視野も評価が高い。
「以前
のアナログシステムでは、透視で確認できる範
囲(I.I. の視野)と撮影したフィルムで確認できる
同院の透視検査室は消化管造影検査だけでなく、
範囲が異なりましたが、ZEXIRA では撮影と同
内視鏡下での治療などにも使われている。ほかに
じ範囲を透視で確認できます。これは本当に助
も、整形外科領域の関節腔造影やミエログラフィ、
かりますね。たとえば大腸検査で、一番先頭の
そして、婦人科、泌尿器科、小児科など、あら
バリウムの位置も確認しておく必要があるなとい
ゆる領域で使われている。つまり、ZEXIRA の
うときには視野を広げて見られますしね」と、検
さまざまな検査に活用できるという特長は、選定
査効率も飛躍的に向上している。
の大きな判断材料になったといえるだろう。
ZEXIRA はフィルムレスな上、あらゆる領域
「本当に多目的に何不自由なく使わせてもらっ
での検査に活用できる。そのため、検査室のモ
ています」と、同院放射線科の診療放射線技師、
ニタを天井吊りの 4 面モニタ台にしているのも同
家後哲夫氏。ZEXIRA を導入する際、高機能機
院の特徴のひとつ。
「モニタにはビデオ端子をつ
種だけに操作に戸惑うこともあるのではないかと
けているので内視鏡の画面を表示したりして、
思っていたが、まったく戸惑うことなく導入当初
複数のモニタを同時に使っています」と池田氏。
から普通に使うことができたという。
「その科専
ZEXIRA の透視像と撮影像、内視鏡の画像を同
用の装置が置けるほど当院は大きくないですから、
じ視野内に捉えることができ、加えて過去の検
どの部屋でも同じことができるセッティングにし
査や他の装置による検査画像を検査しながら同時
ています」と同氏。ZEXIRA を 2 台導入した理由
に確認できることは、検査効率の向上に役立っ
には、そんな効率も考えてのことのようだ。
ているようだ。4 面のうち 2 面は、基本的に内視
鏡用と電子カルテ用に割り振ってあるが、各モ
撮影像、透視像ともに高いレベルで
診断に適した画像
実際に ZEXIRA を導入してみて、
「画像の解像
度が高いため、拡大表示をしても画が粗くなるこ
ニタの使い方は状況に応じて臨機応変に対応さ
せている。
低レートのパルス透視で実現する
低被ばく検査
とはなく安心して診断できる」と、池田氏の画像
に対する満足度は高い。同院では、読影をフィル
ムレス化しており、PACS ベースによるモニタ診
ZEXIRA が導入されたことで、検査方法に変
化が生まれたという。
断を解像度 5 M ピクセルのモノクロモニタ 2 面を
透視機能には、連続透視とパルス透視の 2 種類
3 台設置して行っている。そこでZEXIRAのFPD
があるが、稲城市立病院の放射線科では主にパ
による優位性も実感しているという。
ルス透視を使っている。パルスレートは基本的
「以前に比べて今まで見えなかったものが見え
に 7 .5 fps。ほとんどのケースにおいて、15 fps ま
るほど、透視が非常によく見えるので、検査に少
で出す必要性は感じないという。
「パルス透視
し没頭しすぎてしまうことがあるくらい、画質に
7 . 5 fps の場合、1 秒間に 7 . 5 画像ですから、連続
3
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ZEXIRAのある風景
稲城市立病院(東京都稲城市)
患者に優しいと、日々接する患者の反応を目の当
たりにしている技師目線がその満足度を物語る。
ZEXIRA の寝台は、水平状態で床面から天板
までが 48 cm、立位状態でも床面からフットレス
トまでが 6 cm と、非常に低い位置を確保するこ
とにより、患者の乗り降りがしやすい配慮がなさ
ZEXIRAは遠隔操作卓にも、ユーザ目線に立ったこだわりが施
されている。
れている。また、患者が握りやすく滑りにくいよ
う考えられた段付ハンドグリップや、転倒事故防
止に効果を発揮するあんしん起倒モードを装備し
ており、立位になる前に寝台が自動的に一旦停止
透視や高レートのパルス透視に比べると画の動き
する患者にやさしい機能は、高齢者や子どもの来
は滑らかではありません。でもすぐに慣れてしま
院が多い同院のニーズに合っているようだ。
いましたし、それをカバーするくらい画質が良い
また寝台の動きがスムーズなため、寝台の動作
ので問題ありません」と家後氏。基本的に低いレ
が検査の流れを妨げることがなく、検査時間の短
ートのパルス透視による低被ばく検査を行ってい
縮にもつながっているという。
「逆傾斜で頭を下
る。同院放射線科の診療放射線技師、寺田美里氏
げた状態というのは、目をつぶって逆立ちするの
は「側面にしたときにちょっと線量が足りないか
と同じくらいに感じますので、その時間がスッと
なと思うこともありましたが、絞りなどをうまく
いってすぐ戻れるというのは患者さんにとっても
調整すれば大丈夫でした」と語る。わざわざ連続
楽ですよね」と家後氏。寺田氏も実際に寝台に乗
透視や高いレートのパルス透視で検査をしなくて
り、傾けてもらって体感するなど、検査を受けら
も 対 応 で き る ケ ー ス が ほ と ん ど の よ う だ。
れる方々の立場を大切にしながら業務にあたって
ZEXIRAは、低レートの透視像を活用することで、
いる。
必要最小限の線量で十分な検査を行う ALARA
運用してみて実感できる操作性についても、技
(As Low As Reasonably Achievable)の原則に
師目線ならではの視点が垣間見える。家後氏は、
基づく被ばく低減に貢献する装置といえるだろう。
「ZEXIRA は照射野ランプの点灯スイッチが遠隔
操作卓の上にもあるんです。検査開始前など、以
技師目線で語る『ZEXIRA』
のこだわり
前の装置では、観察部位を確認するために透視を
して患者さんと照射野の位置関係を調整すること
画質はもちろんのこと、ユーザ目線に立ったこ
が当たり前でしたが、ここで照射野ランプをつけ
だわりが細部にまで施されているのも ZEXIRA
て事前に位置を合わせてあげると、その分の被ば
の特長のひとつ。寺田氏は、ラウンドシェイプ型
くを減らせるというメリットがありますね」と、
の天板が、従来のフラットなものより動きやすく、
機能としては些細なことのようでも運用において
高齢者など動くのが大変な患者にとっても負担が
は非常に重要なことと前置きをしながら語る。医
少 な い と 語 る。
「一 般 的 な フ ラ ッ ト な 天 板 と
師と技師がコンビで行う透視の検査では、
「位置
ZEXIRA の天板がどう違うのか試したことがあ
を合わせるので透視出します」というのが合言葉
りました。ZEXIRA は、ラウンドシェイプのお
のようによく交わされる会話だったそうだが、そ
かげで、天板の上での身体の回転がすごく自然な
ういったやりとりがなくてもスムーズに業務がで
流れでスムーズでした。仰向けの状態で寝てみる
き る よ う に な っ た と い う。 実 運 用 に お い て、
と、身体への負担が少ないと身をもって感じまし
ZEXIRA の細部にわたるこだわりが感じられる
た」と、実体験を話してくれた。さらに胃の検査
エピソードだ。
において、うつ伏せで頭を下げるという状態でも、
圧迫感がラウンドシェイプ型の天板では軽減され、
4
ZEXIRAとともに放射線科
スタッフの皆さん。
被ばくは増えず情報量が増える透視収集
要な情報を得ており、実用度の高さが伺える。
透視収集はボタンひとつで行える。そのため、
検査中に咄嗟の判断で対応することも多いよう
透視収集の機能も被ばく低減につながると家後
だ。
「検査における動画というのは、食道などで
氏。ZEXIRA は、簡単に検査中の透視像を保存
連続撮影というのがありますけど、それはその
することができる。
「透視をしているときに何か
分だけ X 線を出していますので、被ばくもちゃ
あるなと思ったら、透視収集をしておけばあとで
んとおまけでついてきてしまいます。透視収集
読影者に見せられます。透視の線量はそのままで
なら被ばくのおまけがついてこないので、患者
すし、被ばくが増えているわけじゃないのに情報
さんにとっても術者にとっても大きなメリットに
が増えるというのは嬉しいことなんですよ」と、
なります」
と、高い評価を得ている。
客観性が高く有効な機能と指摘する。もちろんこ
任意型の胃がん検診では食道の撮影も行われ
れは、透視で十分に観察できているからこそ実現
るが、食道を確実に撮るために時間をかけすぎ
可能な運用であろう。
てしまうと、胃の観察をし始める前に胃からバ
透視収集は、十分な線量をかける撮影像に比べ
リウムが流れてしまうためあまり時間はかけたく
れば画質はやや落ちるが、画像を取得するタイミ
ない。そこで透視収集により、飲んでいるとこ
ングを外したくない場面では、有効なケースが少
ろをそのまま透視でとっておくというのもこれか
なくないという。
「小児科では、尿路感染による
らの検査の方法のひとつではないかと、見える
発熱に対して排尿時膀胱造影(VCUG)
を行うこと
透視像の活用方法の広がりに期待も膨らむ。
があります。以前は、排尿の瞬間を狙い、排尿開
始直後に膀胱側面、男児なら排尿中に膀胱尿道斜
地域に根差した病院づくり
位、排尿終了時に腹部正面、腎盂尿管に逆流があ
れば膀胱に戻ってから腹部正面を撮影していまし
稲城市立病院は、市立病院として稲城市をは
た。この検査を ZEXIRA では、排尿開始時から
じめ診療圏の住民の健康管理、そしてフィード
排尿中は透視収集で行っています。つまり 2 回分
バックが重要と宍戸氏は話す。地域の中核病院
(排尿開始直後、排尿中)の撮影がなくなりました
といっても公立病院である限り、どのような患
ので、以前よりも少ない線量で、撮影のタイミン
者も積極的に受け入れていかなければならない。
グを気にすることなく必要なデータを得ることが
こうした姿勢こそが地域に根差していくという
できています」と家後氏。とくに被ばくを気にす
ことなのであろう。
る小児の検査において、線量を増やすことなく必
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