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調査報告書 社 団 法 人 日 本 鉄 鋼 協 会 株式会社 日鉄

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調査報告書 社 団 法 人 日 本 鉄 鋼 協 会 株式会社 日鉄
平成22年度
調査報告書
経済産業省
平成22年度産学連携人材育成事業
(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる
産学連携の在り方に関する調査事業)
調査報告書
平成23年2月
社団法人
株式会社
日本鉄鋼協 会
日鉄技術情報センター
目次
第1章
はじめに ........................................................................................................................................... 1
第2章
平成22年度取り組みの位置付け ................................................................................................... 1
2-1. 経緯。平成21 年度までの活動内容と課題抽出 .............................................................................. 1
2-1-1. 平成19年度の活動内容と課題抽出、 ......................................................................................... 1
2-1-2. 平成20年度の活動内容と課題抽出 ............................................................................................. 2
2-1-3. 平成21年度の実施内容概況 ........................................................................................................ 4
2-2. 平成22年度の実施項目 .................................................................................................................. 5
第3章
定点観測的フィードバック体制の確立............................................................................................ 6
3-1. 卒業生の意見フィードバックに関する基本方針とアンケートフォーマット.................................. 6
3-2. 具体的アンケート結果...................................................................................................................... 9
3-2-1.アンケート回答者属性....................................................................................................................... 9
3-2-2.アンケート結果概要 ........................................................................................................................ 13
3-2-3.アンケート結果・重要項目の内容分析 ........................................................................................... 20
3-3. アンケート結果の考察.................................................................................................................... 35
3-3-1. アンケート結果・重要項目の内容分析の総括 .............................................................................. 35
3-3-2. アンケート結果をも踏まえての「定点観測的フィードバック体制確立に向けた材料分科会での議
論 ............................................................................................................................................................... 36
第4章
「目標となる人材像」の提示、材料系分野以外の学生を惹きつける方策の検討 ........................ 37
4-1. 従来の経緯と今回の視点 ................................................................................................................ 37
4-2. アンケート結果 .............................................................................................................................. 39
4-3. 考察と今後への活かし方 ................................................................................................................ 41
第5章
アジア諸国での材料系教育の実態調査.......................................................................................... 43
5-1. ヒアリングの考え方 ....................................................................................................................... 43
5-2. ヒアリング結果 .............................................................................................................................. 44
5-5-1.POSTEC GIFT 佐々木教授ヒアリング ....................................................................................... 44
5-2-2.北京科学技術大学・王教授 ............................................................................................................. 47
5-3. 考察と今後への活かし方 ................................................................................................................ 53
第6章
これまでの材料分科会での議論・検討内容に対する評価収集 ..................................................... 54
6-1. 評価項目の総括とヒアリング先 ..................................................................................................... 54
6-2. ヒアリング結果 .............................................................................................................................. 55
第7章
まとめ(総括と次年度以降の方針) ............................................................................................. 65
7.1 総括 .................................................................................................................................................. 65
7.2 今後の進め方 ..................................................................................................................................... 66
(参考 1) 委員名簿 ..................................................................................................................................... 67
(参考 2)産学人材育成パートナーシップ 平成22年度第1回材料分科会............................................ 68
(参考 3)産学人材育成パートナーシップ 平成22年度第2回材料分科会............................................ 89
(参考 4)POSTEC GIFT 佐々木教授ヒアリング .................................................................................. 111
(参考 5) 北京科学技術大学ヒアリング(英語を翻訳) ............................................................................. 114
平成22年度産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の
在り方に関する調査事業)報告書
第1章
はじめに
グローバル競争やイノベーション競争の激化及びIT化等に依る業務の質の高度化に伴い、我
が国産業界においては、これらの競争を勝ち抜くための人材育成が喫緊の課題となっている。
平成21年度においては、
「産学人材育成パートナーシップ中間取りまとめ(平成20年7月)
」
における課題から「①基礎教育の強化」
、「②課題解決型産学連携プラクティス事業」、「③特色を
生かす拠点化ネットワーク事業」
、「④人材育成重視型産学連携研究開発事業」については、別途
の予算事業によりプログラム開発を進展させつつ、更なる検討が必要である「⑤材料系分野の魅
力普及・啓蒙に掛かるPR活動」
、
「⑥大学評価システムの充実」に関して、材料分科会において、
具体的な活動の方向性を議論・検討した結果、PR活動に関しては「学生の立場で見た『活躍す
る未来の自画像の明確化』
」、また大学評価システムに関しては『定点観測的フィードバック体制
の確立』の有効性や必要性等が明確になった。
本調査事業では、平成21年度に材料分科会において議論された諸課題に対する基本方針を踏
まえ、
「定点観測的フィードバック体制の確立」に向けた具体的実行計画・試行を行う。また、日々
難化していく複雑課題及び解決アプローチについて整理し、その解決の担い手になる理系全分野
の学生に対する「目標となる人材像」の提示を行い、材料系分野のみならず、材料系分野以外の
学生をも惹きつける方策について検討する。更に、発展著しい「アジア諸国での材料系教育の実
態調査」及び「これまでの材料分科会での議論・検討内容に対する評価収集」を行い、材料系分
野の教育の質の向上に資することを目的とするものである。
第2章
平成22年度取り組みの位置付け
2-1. 経緯。平成21 年度までの活動内容と課題抽出
2-1-1. 平成19年度の活動内容と課題抽出、
平成19年度:6つの課題を抽出し、その内4つの課題について次年度プロジェクト化へ方向づ
けた。
2-1-1-1.求められる人材像
業務職種別に求められる人材像を整理した。例えば、操業技術部門では、ユーザーからの要求
厳格化や事業環境変化などに対して、責任工程の技術内容変革をリードできる人材(能力・経験
等)が求められており、基礎学力(具体的には、物理・化学・数学・熱力学・流体力学・材料力
学・組織学など)を基盤としながら、コミュニケーション能力および未知の局面に対応できる課
題発見解決能力などが挙げられた。
2-1-1-2.求められる人材の育成に向けた産学の課題
(1)産学人材育成に係るミスマッチの解消
「①求められる人材像の積極的発信、産学コミュニケーションの深化」、
「②産学における人材
育成の役割分担明確化」
、
「③産学間の研究者・技術者の交流」、「④産業界における長期的採用・
育成戦力の強化」
1
(2)材料系学科・専攻等における基礎教育の強化
「①材料系学科・専攻等の維持・充実」、「②個別教育機関における施設・教員等リソース不足
の解消」
、
「③教員・研究者のものづくり現場との関連強化」
(3)材料分野の魅力にかかる情報発信
「①魅力を伝える機会の積極的拡大」
、「②材料分野における社会貢献の可視化」、
「③大学研究
での夢のある研究テーマの設定」
2-1-1-3.提言(プロジェクト始動時の提言)
1.基礎教育の強化
基礎学力強化の要望が強い学部生を主体に、何故この基礎が重要なのか「有用性」と「醍醐味」
を解きほぐしながら、工学と材料科学の基礎教育の強化が求められる。種々の重要な産業の最先
端で貢献する基礎の位置付けが理解できる様な「教育プログラムの共同開発」が求められる。
2.課題解決型産学連携プラクティス事業
産業界ニーズを反映した基盤的中長期なテーマについては、課題設定やPDCA管理方法の立
案等の重要さから、教員の参画は極めて重要な要素である。企業における課題解決に資する「教
員+学生(材料分野以外を専攻する学生も含む)による戦略的インターンシップ」を目指したプ
ログラム作りに取組むことが望まれる。
3.特色を生かす拠点化事業
材料教育を実施している各機関における特徴を可視化するデータベースを整備しながら、特色
となる分野や特徴的な拠点運営方法の調査・解析を行い拠点をネットワーク化することにより、
個別教育機関では不十分な施設・教員等のリソースをネットワーク間で有機的に活用することを
可能とし、
「教育プログラム」を効果的に実施するためことを可能とする環境整備が望まれる。
4.人材育成重視型産業連携研究開発事業
産学共同による研究開発プロジェクトの推進については、適切なテーマ設定を行った上で、人
材育成という観点を組み入れた取組が望まれる。
5.材料系分野の魅力普及・啓蒙に掛かるPR活動
若者へのものづくりの面白さ伝達の目的で、現代社会と材料とのかかわり、材料の革新を進め
た研究者や技術者の成功体験物語など PR ビデオ等資料を作成し、材料分野の魅力をアピールし
ていくことが望まれる。
6.大学評価システムの充実
産学人材育成パートナーシップを契機に産学協力による大学教育の拡充が図られることが望ま
れるが、産業社会全体の中で大学の機能や輩出された人材の社会での受け皿を考えると、産業界
のニーズもある程度踏まえつつ、大学評価システムを引き続き充実させていくことが必要である。
平成20年度の活動内容と課題抽出
2-1-2. 平成20年度の活動内容と課題抽出
2-1-2-1.材料分野の人材育成に関する成功事例(人材モデル)の調査
平成20年度の取組:成功事例/失敗事例別に分類整理
平成20年度の成果: 共有事例集作成
基本的考え方
一般解として単純導入する内容ではないことから、そのケース毎
2
の具体例として、情報共有し、各企業・大学で役立てる。"
今後の進め方
「①共有事例集を完成し、関係企業・大学に配布」
「②PR事業の
一環に、
「ケアされている事例」等として取り込む。
」
実施主体:材料分科会にて実施
2-1-2-2.大学評価の充実に向けた産業貢献評価軸など新指標の提案産業界からの大学
側に向けの要望事項
平成20年度の取組:
「求める人材像」における「要求レベル」と「実績レベル」の関係明
確化とフィードバックの在り方を整理"
平成20年度の成果:
「①企業側にて人材に対して求められる要素を抽出し、各素養への重
み付けを提示(相対的な重み付け)」
、「②企業は、入社後3年目程度の時期(別途決定)での
評価結果を希望する大学にフィードバック(個人毎データ/大学単位かは、要峻別)
」
、
「③得ら
れたフィードバック結果(企業側の求める要素と実績との比較)を元にして大学側でアクショ
ン」
、
「④アクションは、講義内容への反映や教育プログラムの追加、学外研修の実施など、大
学・学科毎に検討」
基本的考え方
企業から大学への育成のフィードバックは重要である。その内容、
やり方については、多様な意見を集約・充分な検討が必要。
今後の進め方
材料分科会において「実行形態・運用の考え方」
「個別議論と全体
トランスファー方法」等、全体的な考え方と運営ルールの大綱を構築する。フランチ
ャイズ箇所での実行に当っては、ニーズの大きな箇所から優先的に実行し、軌道修正
していく。
実施主体:大綱の構築;材料分科会 フランチャンズ実行:個別企業と個別大学
2-1-2-3.材料分野の魅力普及に向けた PR のためのプロトタイプ作成
平成20年度の取組:材料分野全体としてのPR重要性再認識。重点対象者の分類整理
平成20年度の成果:PR コンテンツ試作
基本的考え方
「材料の貢献の実績の可視化」と「未来に向けての材料の貢献の
可能性」の二点で PR を行っていく。一番目の材料の貢献の実績の可視化については、
母親をも含む世間一般の対象から、物心の付く小中学層、学部選択を行う高校生層、
更には学科選択を行う大学学部レベルに最低限対象を峻別し、材料の有用性に対して、
歴史的、経済的、科学的、工業技術的各種視点毎に、「貢献の可視化」を行う。
第二の未来に向けての材料の貢献の可能性については、今後重要度が更に増加す
る環境エネルギー分野についても、触媒等の最先端機能材料による抜本改善や、社会
への影響度の大きい構造材の着実な改善、ニッチな不得意領域として取り残された難
処理材処理等のリサイクル分野における貢献など、社会の土台を構築している材料分
野ならではの社会貢献の可能性を重点的に追求してゆく。"
今後の進め方
「①各対象に対して、興味を持って見てもらい、材料分野の重要性・
楽しさを理解してもらえる媒体の作成が重要。」「②コンテンツ作成に向け、3つの重点対象
3
(
『大学生向けコンテンツ』
、
『教師向けコンテンツ』及び『母親等家庭向けコンテンツ』
)ごと
に、PR 戦略について検討を進める」
メニュー1:大学生向けコンテンツ→プロトタイプ前提にテスト
コンテンツ作成
メニュー2:教師向けコンテンツ→プロトタイプ前提にテストコ
ンテンツ作成
メニュー3:母親等家庭向けコンテンツ→本格仕様のコンテンツ前の業界コンセ
プトの整理
実施主体:戦略/戦術の策定は材料分科会、個別コンテンツの作成については適宜、選定。
2-1-3. 平成21年度の実施内容概況
2-1-2-1 産業貢献評価軸等新評価指標の提案
既存の大学教育における人材育成に加え、現在開発を進めている各種プログラムにより育成さ
れた学生をも新たに視野にいれつつ、まず産業界への就職状況の評価と、産業界就職後の教育効
果評価方法について、大学で教えられるもの/そうで無いものの峻別も含め検討を深化させた。
企業と大学の間のPDCAについては、当初念頭においていた「"会社組織"と"大学教育陣"」のフ
ィードバック/フィードフォワードだけで無く、
「"大学卒業後の若手従業員"と"大学教育陣"」
、
「"
大学卒業後の若手従業員"と"学生"」のフィードバックの重要性も新たに認識に加える方針となっ
た。育成の新評価指標として、
「産業貢献評価軸」的なものを追及したが、それは新評価項目と言
うより、より意義ある評価方法の問題であるという認識にも至った。
2-1-2-2 材料分野の魅力普及・啓蒙に掛かる活動
「材料の貢献の実績の可視化」と「未来に向けての材料の貢献の可能性」を重点にしつつ、若
者にものづくりの面白さを伝えることを目的に、PRすべき対象別(大学生向け、
(小学校~高校
の)教師向け、母親等家庭向け)に戦略をもってPRコンテンツを開発するべく、それぞれのコ
ンテンツ仕様と戦略を検討した。また、その有効性を確認するためのモニタリングも試行した。
理工系の大学3年~4年の学生 15 名を対象に資料として配布した上で、作成の背景も含めプ
レゼンテーション実施後、アンケート用紙への記入と、ディスカッション形式での意見聴取とい
う形で意見を集約した結果、以下のようなカテゴリーに集約される意見を多数得た。
<カテゴリー1>学生に対して、
「研究・技術の醍醐味」が伝わっておらず、将来の「活躍できる
イメージ」が湧いて来ない。
<カテゴリー2>身近な判りやすい内容等、親近感を持たせる工夫が必要
<カテゴリー3>PR 法のテクニック的な修正で改善が期待できるもの
<カテゴリー4>対象、目的にあった絞り込みを行うべき
<カテゴリー5>課題の難しさから、新しいブレークスルーアイデアを出さないと解無し
以上の評価を踏まえ、課題としては、
「技術の醍醐味が伝わり、自分がどんな活躍が出来るか
の楽しみが湧く」コンテンツに磨き上げ、若い学生に賛同を得る重要性が明確になった。
2-1-2-3 海外事例調査
海外における人材育成事例を現地調査し、我が国の各種人材育成手法との比較評価を実施する
4
とともに、我が国において適用可能な事項について、材料分科会を通じて情報共有を行い、以下
に 2 つの重要な概念をご教授いただいた。
①学生自身が自分の能力を高められる環境を作ることの重要性
提示した10の評価キーワードに対し、これらは独立に養われるものでなく、つながりがある
ものである。人材育成という視点で見ると、単に大学にこれらの能力の養成を期待するのではな
く、企業側として育成すべき内容に対するニーズの明確化や企業内での具体的有効性の提示等、
企業として何をできるかを積極的に考えるべき。重要なことは、学生に能力を身につけさせるよ
りも、学生自身が自分の能力を高められる環境を作ることがその後のキャリアで重要。大学の役
割はそういった動機を与えること。(キーワードを1つ1つあげることは意味がない。自分で必要
に応じて能力を高めるべきで、自分でそうできることが重要。大学で身につけさせるものではな
い)
②卒業生の意見の重要性
最も重要なことは、日本の様に、入学試験は大変厳しいが、入学後は極めて緩い選抜システム
とは違い、"Fire hose drinking" 方式つまり極めて勢いのある消火ホースの水を直接飲ませる様
な、厳格な教育法を取っていることに特徴がある。これはMIT方式にも相通ずるものがある。
2-2. 平成22年度の実施項目
(1)定点観測的フィードバック体制の確立
「定点観測的フィードバック体制」手法の確立を目的に、入社数年目の若手就業者に対して大
学等における教育内容の就職後有用度などについて調査し、大学等教育成果のフィードバックを
試行する。さらに、
「大学評価システムの充実」に向けた本手法の活用法などについて検討する。
(2)
「目標となる人材像」の提示、材料系分野以外の学生を惹きつける方策の検討
我が国鉄鋼業等材料産業における国際競争力を向上させるためには、材料系分野の知識だけで
はなく、機械、電気、化学などの材料系分野以外
の知識との融合が重要。このため、就業者に対して卒業学問分野別に、
「就業の実態」、
「活躍の
場」などの調査・分析を行い、
「目標となる人材像」の策定を行う。
(3)アジア諸国での材料系教育の実態調査
成長著しいアジア各国の鉄鋼教育・社員教育事情について現地調査(2カ国)等行い、我が国
の各種人材育成手法との比較評価を実施するとともに、我が国において適用可能な事項について
は、その期待効果について整理する。
(4)これまでの材料分科会での議論・検討内容に対する評価収集
高等教育担当者、企業担当者等に対し、これまでの材料分科会での議論・検討内容についての
評価コメントを収集し、分析・整理する。
5
第3章
定点観測的フィードバック体制の確立
3-1. 卒業生の意見フィードバックに関する基本方針とアンケートフォーマット
平成 21 年度で得られた「卒業生の意見の重要性」の考え方に基づき、若手社会人の研修の場
としての「鉄鋼工学セミナー」を活用し、大学等を卒業し産業界に従事している技術者に大学教育に
対する生の意見をアンケート調査した。調査の視点としては
【1】自身の体験に基づき、教育によりプラスとなった点。(成功体験)
【2】過去を振り返っての反省点。(反省材料)
【3】上記を踏まえての大学および企業の人材育成システムへの提言
の3つの切り口について、質問を設定し、大学教育と企業教育の双方に対する具体的な評価を抽
出できる様、関係識者の意見を反映して設問を設定した。
以下にその設問内容を示す。
1.大学教育について
【1】ご自身の体験に基づき、教育によりプラスとなった点(成功体験)
(1 ) 入社後直接/ 間接に最も業務に役だっていると
思う事は何ですか。(最大3 つまで挙げてください)
(2 ) 入社後、幅広い能力育成に貢献したものは何ですか。
(最大3 つまで挙げてください)
(
) ①一般教養科目の講義 (科目名、その理由)
(
) ①一般教養科目の講義 (科目名、その理由)
(
) ②専門科目の講義 (科目名、その理由)
(
) ②専門科目の講義 (科目名、その理由)
(
) ③演習、ゼミ、インターンシップ等参加型 (科目、その理由)
(
) ③演習、ゼミ、インターンシップなど参加型 (科目、その理由)
(
) ④卒論・修論・博論などの研究 (その理由)
(
) ④卒論・修論・博論などの研究 (その理由)
(
) ⑤学会への参加・発表・外部講師による講演、
外部セミナーなど学外活動 (その理由)
(
) ⑤学会への参加・発表・外部講師による講演、
外部セミナーなど学外活動 (その理由)
(
) ⑥部・クラブなどの活動 (その理由)
(
) ⑥部・クラブなどの活動 (その理由)
(
) ⑦その他 (その理由)
(
) ⑦その他 (その理由)
(3 ) 大学教育によりご自身の能力が向上したと思われるものは何ですか。
6
【2】過去を振り返っての反省点(反省材料)
(1) 大学時代の専門科目の中でもっと勉強しておけば良かったと思う科目は何ですか? 理由とともにお答えください。
(2) 大学時代に学ぶ機会がなかったが、機会があれば勉強すべきだった科目は何ですか?理由とともにお答えください。
【3】上記を踏まえての大学および企業の人材育成システムへのご提言
(1) 大学で学ぶことと、企業での業務の関係があるとお考えですか? あるとすれば何ですか? ないとすればなぜですか。
(その際、上記調査目的3行目の10個の要素のどれかに限定してお答えいただいても結構です。)
(2) 大学での教育に満足されていますか?改善が必要だとすればどのような点でしょうか?
その理由とともにお答えください。
2.入社後社内教育
【1】ご自身の体験に基づき、教育によりプラスとなった点(成功体験)
(1) 直接/間接に最も業務に役だっていると
思う事は何ですか。(最大3つまで挙げてください)
(2) 幅広い能力育成に貢献したものは何ですか。
(最大3つまで挙げてください)
(
) ①新入社員研修または新人フォロー研修 (その理由)
(
) ①新入社員研修または新人フォロー研修 (その理由)
(
) ②現場研修または交代勤務研修 (その理由)
(
) ②現場研修または交代勤務研修 (その理由)
(
) ③3年目等研修 (その理由)
( ) ③3年目等研修 (その理由)
(
) ④業務論文または昇格論文 (その理由)
(
) ④業務論文または昇格論文 (その理由)
(
) ⑤OJT研修ないしは、業務そのもの (その理由)
(
) ⑤OJT研修ないしは、業務そのもの (その理由)
(
) ⑥OFFJT専門技術研修 (その理由)
(
) ⑥OFFJT専門技術研修 (その理由)
(
) ⑦その他 (その理由)
(
) ⑦その他 (その理由)
(3) ご自身の現在の能力が、入社後のどの様なやり方で培われたと自己評価されていますか?
7
【2】現状の問題点について(反省材料含む)
(1) 大学時代の理解と入社後で最も違っていたことは何でしたか? 理由とともにお答えください。
(2) 鉄鋼材料の勉強をしたいと思いますか?(材料系出身の方→もう一度勉強したいですか?
材料系以外の出身の方→基礎から一度勉強したいですか?)理由とともにお答えください。
【3】上記を踏まえての大学および企業の人材育成システムへの提言
(1) 鉄鋼会社を若い人にPRする上で、強みは何ですか? 弱みは何ですか?
(2) 会社の教育システムには満足されていますか? 問題点があるとすれば何ですか?
3.入社の動機
(1) 現在の会社を選んだ契機、動機
(2) 大学時代、鉄鋼のことは良く知っていましたか。知りえる環境は整っていましたか? それともご自身で努力されましたか?
(3) 大学時代に製鉄所を見学する機会がありましたか? 見学した方はそれが就職の選択に影響しましたか?理由とともにお答えください。
(4) 大学生に鉄鋼業の理解をしてもらうため、大学と鉄鋼会社は協力して何をすれば良いと考えますか?
(5) 鉄鋼を希望する人材が減少傾向とすれば、その理由は何だと思いますか?
(6) 鉄鋼への就職を選択する人を増やすために、鉄鋼会社が行っている努力に対して、改善点をコメントください。
8
3-2. 具体的アンケート結果
回収数 140
3-2-1.アンケート回答者属性
(1) 性別
女性, 4,
2.9%
性別
無回答, 1,
0.7%
男性, 135,
96.4%
(2) 年齢
年齢分布(平均30.0才)
30
27
26
25
20
17
人
15
数
13
11
10
8
7
5
4
5
8
5
3
1
0
2
1
2
0
24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
年齢
9
(3) 入社後年数
入社後年数分布(平均5.9年)
30
28 28
25
21
20
18
人
15
数
13
10
8
5
5
1 1
2
5
4
1
0
0
1 1 1
0 0 0
1
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
入社後年数
(4) 学歴
学歴
博士, 9, 6.4%
学士, 29,
20.7%
修士, 101,
72.1%
10
高卒, 1, 0.7%
(5) 所属企業属性
その他企業,
14, 10.0%
企業
以外,
2,
1.4%
所属企業属性
電炉企業,
26, 18.6%
高炉企業,
98, 70.0%
(6) 所属職場属性
本社
部門,
2,
1.4%
所属職場属性
研究部門,
48, 34.3%
生産部門,
75, 53.6%
設備部門,
15, 10.7%
11
(7) 出身大学
出身大学
2
茨城大学
宇都宮大学
大阪大学
岡山大学
鹿児島大学
神奈川大学
金沢大学
関西大学
九州工業大学
九州大学
京都工芸繊維大学
京都大学
近畿大学
熊本大学
久留米高専 専攻科
群馬大学
神戸大学
静岡大学
芝浦工業大学
上智大学
千葉工業大学
中央大学
電気通信大学
東京工業大学
東京大学
東京農工大学
東北大学
徳山高専 専攻科
鳥取大学
富山大学
名古屋工業大学
名古屋大学
新潟大学
日本大学
姫路工業大学
広島大学
福井大学
法政大学
北海道大学
室蘭工業大学
山形大学
横浜国立大学
立命館大学
早稲田大学
学部東工大、修士・博士コロラド鉱山大
学部島根大学、修士九州大学
学部名古屋工大、修士東北大学
学部名古屋大学、修士東京大学
学部山形大学、修士岩手大学
高卒
無回答
1
11
1
1
1
1
2
9
14
2
9
1
3
2
2
3
1
2
1
1
1
1
7
4
1
18
1
1
1
1
4
1
2
1
1
1
1
2
1
1
1
1
7
1
1
1
1
1
1
4
0
5
10
人数
12
15
20
(8) 出身学部(専攻)
出身学部(専攻)
材料(マテリアル)
74
機械工学
36
電気・電子
4
化学工学
9
制御・計測
0
土木・建築
3
物理
4
化学
5
原子力
2
エネルギー科学
1
数理工学
1
無回答
1
0
10
20
30
40
50
60
80
70
人数
3-2-2.アンケート結果概要
3-2-2-1.大学教育について(成功体験)
(1)自身の体験に基づき、教育によりプラスになった点(成功体験)
大学教育でプラスになった点(成功体験)
入社後直接/間接に最も業務に役立っていると思う事
入社後、幅広い能力育成に貢献したもの
19
20
①一般教養科目の講義
②専門科目の講義
89
58
20
17
③演習、ゼミ、インターンシップ等参加型
④卒論・修論・博論などの研究
95
61
⑤学会への参加・発表・外部講師による講演、外部セミナーな
ど学外活動
35
37
41
38
⑥部・クラブなどの活動
7
⑦その他
0
10
12
20
30
40
50
60
選択した人数
13
70
80
90
100
「大学教育でプラスになった点」
選択項目数分布 (平均1.7件)
60
49
50
43
40
33
人
30
数
20
13
10
1
1
4
5
0
0
1
2
3
選択した項目の数
3-2-2-2.過去を振り返っての反省点(反省材料)
(1) 大学時代の専門科目の中でもっと勉強しておけば良かったと思う科目は何ですか?
もっと勉強しておけば良かったと思う
専門科目(3人以上が挙げた科目)
熱力学
30
材料力学
19
流体力学
9
英語
9
数学
9
凝固
7
反応速度論
5
塑性力学・加工学
5
破壊力学
4
移動現象論
4
物理
3
材料組織学
3
化学工学
3
0
5
10
15
20
人数
14
25
30
35
3-2-2-3 大学および企業の人材育成システムへの提言
(1) 大学で学ぶことと、企業での業務の関係
大学で学ぶことと、企業での業務に関係があるか?
どちらとも言えな
い、無回答, 38,
27.1%
関係ある, 91,
65.0%
関係ない, 11, 7.9%
(2) 大学での教育に満足しているか
大学での教育に満足していますか?
満足している,
35, 25.0%
満足していな
い, 20, 14.3%
どちらとも言え
ない、無回答,
85, 60.7%
15
3-2-2-4. 社内教育について
(1)自身の体験に基づき、教育によりプラスになった点
社内教育でプラスになった点(成功体験)
直接/間接に業務に役だっていると思うこと
①新入社員研修または新人フォロー研修
幅広い能力育成に貢献したもの
20
13
②現場研修または交代勤務研修
69
33
22
24
③3年目等研修
④業務論文または昇格論文
49
40
⑤OJT研修ないしは、業務そのもの
17
⑥OFFJT専門技術研修
2
⑦その他
0
29
18
10
20
30
40
50
選択した人数
「社内教育でプラスになった点」
選択項目数分布(平均1.8件)
60
53
46
50
40
31
人
30
数
20
10
8
2
0
0
74
62
1
2
選択した項目の数
16
3
4
60
70
80
(2)現状の問題点について(反省材料を含む)
○鉄鋼材料の勉強をしたいと思いますか?
鉄鋼材料の勉強をしたいと思うか
いいえ, 34,
24.3%
もう一度勉強し
たい(材料系出
身), 54, 38.6%
基礎から一度
勉強したい(材
料系以外の出
身), 52, 37.1%
3-2-2-5 大学および企業の人材育成システムへの提言
○会社の教育システムに満足していますか?
会社の教育システムに満足しているか?
満足していない,
28, 20%
満足している、不
満は無い, 51,
36%
特になし、どちら
とも言えない、無
回答, 61, 44%
17
3-2-2-5. 入社の動機
○大学時代、鉄鋼のことを良く知っていましたか?
大学時代、鉄鋼のことを良く知っていたか?
無回答, 21,
15.0%
はい, 51, 36.4%
いいえ, 68,
48.6%
○大学時代に製鉄所を見学する機会がありましたか?見学した方はそれが就職の選択
に影響しましたか?
大学時代の製鉄所見学の機会有無と、
就職の選択への影響
16
41
機会なし
無回答
90
26
36
23
18
機会あり(影響あり)
機会あり(影響なし)
機会あり(影響不明)
○大学生に鉄鋼業の理解をしてもらうため、大学と鉄鋼会社は協力して何をすれば
良いか?
多かった提案
45
41
40
35
29
30
25
20
15
11
10
5
0
製鉄所見学
インターンシップ
共同研究
○ 鉄鋼を希望する人材が減少傾向とすれば、その理由は何だと思いますか?
鉄鋼を希望する人材減少の理由
イメージが良くない(成熟、泥臭い)
42
将来性
7
古い
18
きつい、汚い、(3K)
5
華やかさがない
4
0
10
19
20
30
40
50
3-2-3.アンケート結果・重要項目の内容分析
以上のアンケート概要に対し、大学教育および企業教育に対する技術者の回答が比較的多数とな
った項目に対し、更に内容のカテゴリーを分析すべく、個別処理を行った。処理の方法としては、
回答多数項目を 14 抽出し、記述を依頼したその項目の選択理由を 140 名分列挙した。又、それ
らを数項目のカテゴリー(事務局案)に分類し、カテゴリー別の数の集約を行い、マクロな内容分析
を行った。カテゴリー別の集約数に対して、図中に記述している「分母」を用いて、各カテゴリ
ー毎の発生比率として整理を行った。次ページ以降にその結果を順次示し、最後にその総括を行
う。
アンケート内容分析項目
1 成功体験として専門科目を挙げた理由
2 成功体験として卒論・修論・博論などの研究を挙げた理由
3 大学教育により向上した能力
4 もっと勉強しておけば良かった専門科目
5 大学時代に学ぶ機会は無かったが、機会があれば勉強すべき科目
6 大学の教育に満足しているか
7 就職動機
8 自分の能力が入社後のどの様なやり方で培われたか
9 会社の教育により自身のプラスとなったか
10 会社の教育システムに満足しているか
11 入社後、最も違っていたことは何か
12 鉄鋼材料の勉強を(もう一度)したいと思いますか
13 大学生に鉄鋼業を理解してもらう為になすべきこと
20
21
22
23
24
25
26
27
28
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
1
3
業務を通じての経験により技術者として幅が出たと思う。
1
1
1
1
2
1
論文作成には幅広いものが必要
2
3
業務を通じて学ぶ。
1
1
2
実現象での基礎学問の適用方法を学ぶことができたため
1
1
1
1
2
1
理由不記載
実体験にまさるものはないと思います。
1
1
1
1
業務遂行知識が得られる。
仕事の効率化はやはり経験をつまないとできない。
1
1
1
理由不記載
実際に直面して考え、実行するのが最も身につく。
知識不足を補える。
1
1
3
1
1
1
「習うより慣れろ」で、実務に取り組みながら学ぶほうが早く仕事を身に付けることができるため。
2
1
現場で学ぶことの方が多いため。
業務そのものに取り組むことが一番。
1
1
3
1
現場で学ぶ点は非常に多い(知識・マネジメント)
2
2
理由不記載
1
1
2
実際的な問題解決
2
2
2
理由不記載
実践的知識を得るのに役立つ
1
3
0
業務に直結
2
1
2
先輩社員のノウハウを盗める
理由不記載
1
1
1
理由不記載
理由不記載
トラブル対応等で鍛えられた
何度も経験すると良く分かる
現場現物
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112
113
114
115
116
117
118
119
120
121
122
123
124
125
126
127
128
129
130
131
132
133
134
135
136
137
138
139
140
無回答
理由不記載
コミュニケーションにとって有益
習うより慣れろ
幅広い題材から学べる
本番で学ぶしか時間無い
不具合点から学べる
生きた材料から学べる
業務必然性から基礎を学ぶ
業務必然性から基礎を学ぶ
3
2
必要なことから覚えるべき
3
日々の業務に直結している
1
1
2
1
やってみないとわからないことばかり、百聞は一見に如かず
理由不記載
1
2
2
1
業務の知識は業務からしか身につかない
業務を通して学ばないと身につかない。学ぶべきことが多すぎるので業務をとっかかりにしている。
業務は直接的に身になるため
2
3
2
1
1
3
1
じっくり勉強している時間がないので、業務をやりながら業務を学ばなければならない。
必要知識が得られる。
1
3
2
1
1
1.業務以外の勉強なんてプロではない!
ビジネス用語(言葉づかい等)
理由不記載
1
1
1
2
3
3
3
3
大学では習わなかった分野(金属組織)の学習
日々の仕事を一つ一つ大切にすることで、成長できると思う。
3
3
1
研修がない。
業務をがむしゃらにこなすことが一番経験値をつめる。
業務を行う上で現場とのコミュニケーションは欠かせない。人間関係という意味で非常に役立った。
3
3
3
1
業務を通じて業務を理解することが有用であったため。
学生では直面しないトラブルに遭遇するから。
1
1
1
理由不記載
業務を通して、覚えることが多い。
業務をこなしながら身につけるものが多い。
仕事をしながら勉強していくことが大事。
業務フロー等は業務で身につけるしかない。
3
3
1
2
3
1
9
4
1
14
会社の教育により自身のプラスとなったか/OJT
2
1
3
0
2
2
業務として取り組むと真剣度が違う
2
3
1
経験として取り組むと習熟度が違う
2
業務必然性から基礎を学ぶ
3
1
3
1
業務必然性から基礎を学ぶ
3
3
不具合点から学べる
2
2
1
生きた材料から学べる
1
1
本番で学ぶしか時間無い
1
2
業務内容は一番の勉強となった。
1
1
2
毎日が勉強なので
業務そのもの:業務推進には課題把握から計画、実行あるいは他部門との連携等々が必要でありあらゆる能力の向上につながった。
1
1
2
1
2
業務はOJTで学ぶのが一番よくわかるから
結局OJTで理論、現象を学ぶ
業務のやり方学ぶ
実際に業務をこなさないと何も身につかないから
2
一番実践的
1
1
自分で考え実行したものほど多くのこと(現象理論と実務のギャップ等)を学べたため
実戦経験を経て得られる体験は重要である為
仕事をしながら覚える
必要になって取り組むもので本人意識も高い
理由不記載
2
理由不記載
リアリティとして最も大きい
理由不記載
理由不記載
各種業務でのいろいろな経験ができた
1.業務=実践で技術力向上
日々、新しいことを学んでいます
1
3
実際にやらないと身につかない
理由不記載
自分で目的を作って取り組む
経験として取り組むと習熟度が違う
業務として取り組むと真剣度が違う
無回答
理由不記載
コミュニケーションにとって有益
習うより慣れろ
幅広い題材から学べる
本番で学ぶしか時間無い
不具合点から学べる
生きた材料から学べる
業務必然性から基礎を学ぶ
業務必然性から基礎を学ぶ
経験として取り組むと習熟度が違う
業務として取り組むと真剣度が違う
会社の教育により自身にプラスとなったこと/OJT
1
習うより慣れろ
2
幅広い題材から学べる
コミュニケーションにとって有益
理由不記載
29
2
材料系
機械系
4
6
その他
8
10
12
14
9
2
9
20
1
1
0
2
1
1
0
2
1
1
0
2
1
2
1
4
1
0
1
2
1
1
0
2
3
3
3
9
0 11 36
0 2 19
1 2 11
1 15 66
比率
12 12
5
3
1 12
1
1
0
1
1
0
1
1
0
1
3
1
1
0
1
1
1
0
4
4
4
0 15
0 3
1 3
16
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
1
会社全体の育成システムには不満→業務に直結せず意味がない。室内の新人育成に対する教育制度(ブラザー制度)は満足→理解度up
OJTを増やして欲しい。
3
1
1
1
全く満足していない。上司が忙しすぎて、しっかりとしたOJTが行われていない。
満足してない→入社人員が少ないので、十分な教育・育成期間なく働かされ、上司のロボットになる。
1
1
1
満足していない。窓口が少ない。
時間および人的に余裕がない。場当たり的。
マネージメントは学ぶ機会がないこと
1
2
3
満足している。ただし、一人前になる頃に担当変えがあるのがもったいないと思う。
これといった不満はないが、外部講師などを招いて教育を行えば良いと思う。
充実しており、特に不満はない。
基礎学問を学ぶ機会を与えてもらえることには満足しているが、学んだことを適用することが少なく、忘れてしまったり、使わないことが多い。
経営やキャッシュフローの教育には満足している。しかし、専門の教育については、内容を理解(教授できる人材があまりいない。)
満足していますが、業務が忙しく、なかなか参加させてもらえない。
ある程度は満足している
入社時に大量の教育を行うが、実務との関連性に対する意識が低く、効率的でない。結局OJTに頼るところが多い。
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
教育システムはないのでわからないが、忙しさを理由に技術伝承ができていないと感じでいる。
ほぼ満足。(ただ、業務ボリュームが大きすぎて、なかなか教育に出られないのも事実)
満足している
満足
フォローが足りない。
1
1
1
1
1
1
1
満足している。
とくになし
必要あるなしを選択したい。(必須という形で決まっている)
今回のようなセミナー、学会にも参加させてくれますので、満足しています。
もっと世間にCMすべき。一般人は大手以外名前すら知らない。
1
3
1
1
満足していない。特にOJT。教育者(上司)にもよるが、その人が忙しすぎて、きちんとした指導ができていない。指導できてないから、要らぬミスを犯す。そのミスをフォローするため
上司が動くといった悪循環になる事が多々ある。
不満。不必要な教育をおこなっている。
教育する側(事務)が技術側について知らないため、体制的な教育が多く、時間のムダになる。
満足しています。
特に不満はありません
OJTに依存し過ぎており上司の当たり外れにより成長が大きく変化する
通信教育をしたが能力向上したとは思えない
2
1
1
1
1
3
1
2
2
1
1
2
どちらとも言えません
満足
満足しています
満足している
満足しています
概ね満足しているが、実務を意識した教育内容・システムがあれば尚良い
2
2
2
1
3
ある程度満足
2
満足しているが、入社初期の研修を充実させた方が良いと思う
特になし
大学時代にどんな授業を取ってきたかで個人の知識レベルにとても差が生じていた。入社後配属された部署に応じた選択性の教育などを受けられたら良いと思う。
定期的なセミナーではなく日々のスキルアップを支援するシステムが欲しい
満足している
満足している
2
3
0
1
2
1
2
1
1
1
1
1
満足している
何のために必要かを最初にしっかり話をして欲しい
十分満足
不満:個人任せな部分が多い。部によって差が大きすぎる。
満足している
OJT3年で特に問題ない
満足
満足
時に、本当に必要なのか分からない研修がある。(各人の能力・背景に関わらず全員受講が決められている講義など)
満足している
ほぼ満足してます。ただし、OJTがどうしても強いですが…
問題点:企業でもとめられることを学ぶ機会が少ない。
満足
はい
業務に忙殺されて教育に時間をかけていない。 教育の機会はあってもあまり応用は利かないものが多い。
冶金学科関係の卒業を前提としたOJT教育は他学科出身には違和感あり
2
満足している
教育は準備されていると思うが、製造部にいるとなかなか参加できない
研修が多く準備されており、環境的には非常に良いと思う。但し、必要な研修を自分自身で選べるものはいいが、意味の無い研修で強制のものが多く無駄もある。
特にない。満足している。
OJTを基本としている点は満足している。問題は、いきなり第一線に立たせること。(私の所属部門の問題)
あまり教育がない(人が少なく、同一業務の人から教育を受ける時間がない)
満足している
2
0
満足
3
育成メニュー・内容の問題
志望者に限定参加よるインセンティブ
アップ必要
3
3
2
3
2
2
育成側の資質・マイント
受講側の問題
1
2
1
個別メニューに良さあり
1
1
2
フォロー等の問題
1
2
1
持続期間に問題
+の改善要望
参加チャンスが無い
無回答
30
無回答
2
1
2
3
3
2
1
1
ある程度満足している
不満→今後求められる能力(英語、タイムマネージメント、決断力)を、磨くための講習会、もしくは、それを学ぶためのきっかけ(資金等)を与えてくれていない。→自分で学ぶことに
111
(全員自習的にやればよいが・・・)。
112 指導員が忙しすぎて相手をしてくれなかった。技術屋が足りない。
113 特になし
114
115 まだわかりません。教育中なので言い切る事はできませんが、大変良いと思います。
116
117 教育が多すぎる。
118 特になし。
119 満足している。
120
121 ある程度満足している。
122 満足している。
123
124
125 あまり満足していない、基本はほったらかしなので、成長しようとする人以外はひどい状態になる。
126 満足している。
127 満足している。
128 システム自体が存在しない。
129 教育システムはあるが、業務優先のため、なかなか参加できない。
130 毎年教育の内容を変更しすぎ。上司が理解していない。
131 業務優先になりがちになり、人事部門と技術部門で温度差があるところ。
132 70点。上司やチューターによって大きく左右される。
133 満足
134
135
136 満足していない。成長は個人にゆだねられている。
137 忙しすぎることが最大の問題点
138 どういう人材を求めるのかロジックがない。
139
教育する側にやる気がない。あるいはやり方が分かっていない人が多い(例:キレれば良いと思っていたり、叱ることが出来ない)。まずは、教育する側に教育の仕方を教育しないと
140
何の意味もない。
材料系
1
+の改善要望
1
2
1
参加チャンスが無い
3
1
1
会社の教育システムに満足しているか
3
持続期間に問題
2
2
2
2
3
1
フォロー等の問題
1
1
1
満足している
満足している
満足している
強制参加ではなく必要と感じた人、学びたいと思った人が自主的に参加するようにした方が良い。講義の雰囲気もよくなる。
受講側の問題
2
1
3
1
3
2
個別メニューに良さあり
2
1
1
満足している
1
3
3
育成側の資質・マイント
2
特に問題なし。有効なものにするかどうかは受講者次第と思う
業務とのバランス、時間がとり難い
満足
満足
専門技術の教育が部門に依存しているため上司によってバラツキが大きい
満足していない。語学教育に力を入れて欲しい
今、産業界で必要とされている技術的壁を理解しながら教育することが必要。これは学ぶことによって将来どう使えるのか説明がない
満足している
満足している
人間味に欠ける
業務が忙しすぎて、教育にかけられる時間は少ない
各分野(開発、工程管理、営業)が同じ研修を受けている事。それぞれに合った研修をしてほしい。
ほぼ満足
2
OJTなので上司によるところが大きい
強制的研修が多すぎる。研修への理解の希薄さ(業務負荷大)。
教育システムがないので分からない
自由な発想を育ててくれるが努力の見られない職員に対しての評価が甘い
教育システムは充実していると思うが、業務負荷が高いせいかフルで活用できていないかも…
志望者に限定参加よるインセンティブアップ必要
満足
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
育成メニュー・内容の問題
無回答
+の改善要望
参加チャンスが無い
持続期間に問題
フォロー等の問題
受講側の問題
個別メニューに良さあり
育成側の資質・マイント
志望者に限定参加よるインセンティブアップ必要
満足
育成メニュー・内容の問題
会社の教育システムに満足しているか?
5
10
機械系
3
1
1
3
1
1
1
1
1
2
3
3
3
3
3
3
1
3
3
3
3
1
1
1
1
3
3
1
2
3
1
29 15
16 4
8 9
53 28
3 7
0 5
1 4
4 16
0
0
0
0
1
0
0
1
1
0
1
2
1
0
0
1
1 6 17
1 3 8
1 2 8
3 11 33
24 13
13 3
7 8
3
0
1
0
0
0
1
0
0
1
0
1
1
0
0
1
1
1
その他
15
20
25
30
6
4
3
5 14
3 7
2 7
31
32
33
34
3-3. アンケート結果の考察
3-3-1. アンケート結果・重要項目の内容分析の総括
④
⑫
⑭
35
3-3-2. アンケート結果をも踏まえての「定点観測的フィードバック体制確立に向けた材料分科会での議論
P35 で述べた重要項目の内容分析の総括をも踏まえ、材料分科会において、定点観測的フィードバック体制確立に
向けた原因と対策に関する議論を行った。下表はその総括を示すが、対策の考え方の内、緑文字で表現したものは
材料分科会の取り組みの延長線上で対処できる内容であり、紫字で書かれたものは、未だ対策として明確に方向つ
けられていない高次元な課題として認識し、処置は後述する。
第2回材料分科会での「定点観測的フィードバック体制確立」
凡例
大下座長
C委員
要対策課題
紫字:対策としてオーソライズ
されていないもの
肯定的事象
要整理議論項目
逆にいうと、学生時代、基礎教育として大事でないと思ったもの
が、会社に入ったらやはり大事だったということが書かれている。そ
うすると大学の先生に基礎教育のところを時間を取ってきちんと指導
してもらうということはものすごく大事である。逆に言うと、大学の先生
にそれだけのゆとりがあるか心配である。
基礎科目に重点を置いて、演習科目を増やして、そこで具体的
な問題を解かせるというトレーニングをすると、かなり力がつきま
す。私自身もそういうカリキュラムを提唱していたんですが、まず
認められない。
どういうことかというと、材料系の学科というのはだいたい仕事、研究
内容で採りますので、セラミックス、半導体から鉄鋼まで、いろいろな
先生がおいでになる。そうすると、その先生は自分の専門を教え
たがります。だから、学生としては結局基礎ではなく各論を学ぶとい
うのが、全国の材料系のほとんどのカリキュラムです。だから、自分の
専門に関係なく必要な基礎科目をきちんと教えるようなカリキュラムを
大学でつくればいいのですが、残念ながら日本の材料系でそれをや
るところはない。やろうと思っても、トピックスを追って研究してい
る人が多いので、大学の教員のすべて基礎学力があるかという
と、かなり問題だと思います。
要点
後悔しない為の「基礎の醍醐味」
の育成法・育成環境の整備
時流に乗った領域の専門を教える
ので「基礎のシステマティックな
育成」となっていない
対策の考え方
「基礎と応用の橋渡し」
指向の基礎教育強化事業
但し、大学の先生の負担軽減
は別途課題
「基礎と応用の橋渡し」
指向の基礎教育強化事業
但し、鉄鋼協会事業の
将来展開時には
大きな課題として残る。
E委員
大学の材料系のカバーする範囲があまりにも広くなっているの
で、従来、企業に行って基礎力として役立つような各論もたぶん相当
薄くなっている
対象の拡大による基礎重点化の
困難性
「基礎と応用の橋渡し」
指向の基礎教育強化事業
E委員
それを全部和集合でカバーするようなカリキュラムはなかなか難
しいという感じがしています。
対象の拡大による基礎重点化の
困難性
「基礎と応用の橋渡し」
指向の基礎教育強化事業
E委員
大学で学んだことが基礎として有効と感じられている人がいると
いうことは、それなりに評価すべきなのかなと思います。
基礎の有効性
E委員
就活がM1の途中から始まったりすると、本来それにしっかり取り組
む時期に何となく浮ついてしまって、課題解決のチャンスを逃
す。むしろそれは受け入れる産業界にとってもマイナスなのではない
かと思います。
就職活動時期の問題
E委員
OJTの中で自分で取り組んだということに価値を認めている人
が多いので、それは大学からずっと続けて、自分で取り組むとい
うプラクティスを続けるのが重要だと思います
OJTの有効性
L委員
材料の中で材料・物理・化学という三つのカテゴリーに分けて、それ
ぞれから必ずこういう科目は採りなさいという指導をしています。
基礎教育重視
L委員
その三つの分野は必ず勉強するというスタイルにしています。
基礎教育重視
L委員
大学全体として、必修で狭く取るというのはやや抵抗感があるところも
ありますが、一方でわれわれは、そういう中でも基礎的にできるところ
はしっかりやっていくことを意識してやっています。
基礎教育重視
L委員
日本人は英語がなかなか得意ではないし、先生方もそんなにうまい
わけではありません。留学生と日本人の学生が交流するとか、目標は
いいのですが、実質、基礎的なところをきちんと教えようというこ
とになると、やや漠然としたことになって、きちんと教えにくいと
いう状況になってきている。そこをどういうふうに考えてやっていか
なければいけないのかというのがいま課題になっています。
日本人が故の英語教育の
困難さ・課題
国際化課題は
「基礎と応用の橋渡し」
指向の基礎教育強化事業の
次ステップ課題
L委員
先生方が忙しくなってきていて、学生とじっくり膝をつき合わせて話
をする時間がかなり減っている
物理的時間の問題
大学の先生の負担軽減
は別途課題
G委員
各論をやってはいけない。先生方は科目をどんどん膨張させて
忙しくなる一方です
物理的時間の問題
「基礎と応用の橋渡し」の
基礎教育強化事業
G委員
高専は現場と直結する技術者ですので、インターンシップとか、実習
を重視している。最先端のものは教えられる先生が少ないこともあっ
て、ほとんどが大学の非常勤講師でまかなっています。ですから、167
といいながら、15コマですから2日間、朝から晩まで非常勤講師に授
業してもらう。学生は悲鳴を上げていますが、出席は必須。
現場・現実立脚
H委員
パソコンはよく使えるけれど、入ってきて、実際に実験をさせても
なかなかできない人もいる。溶解・鋳造という基本的なところからや
らないと、それもできない。自分でどうやって実験したらいいのかわか
らない。
現場・現物体験の欠如
E委員
数年前からいわゆる創成科目という言い方で、アルミとかいろいろな
素材を使ってフレームカーをつくるということと、たたらでとにかく鉄を
つくろうという、昔から永田先生がやっていたのを継承しています。あ
とは電池です。この三つをつくろうということで、3年生に半年かけてや
らせています
現場・現物体験のチャンス
E委員
うちの場合、材料化学実験と、いまの創成科目と、金属化学実験を学
部の学生にやらせています。コンピュータは黙っていると座ってその
ままということにもなりますので、なるべくそういった装置を使って動か
すような工夫をしていかないといけない。
現場・現物体験のチャンス
M委員
ロボットとか、バーチャルリアリティとか、新しい分野が学生に対して非
常にビジュアルに訴えるので、材料系は極めて
不利な状況である。
材料系の最終製品で無い宿命
36
文部科学省、厚生労働省、
経済産業省、日本経団連
にて時期最適化検討中
実習重視は
「基礎と応用の橋渡し」
指向の基礎教育強化事業の
次ステップ課題
Webの戦力化(net化と、分野
戦略とPRの3者一体)での取り組み
第4章
「目標となる人材像」の提示、材料系分野以外の学生を惹きつける方策の検討
4-1. 従来の経緯と今回の視点
目標となる人材像に関し、材料系の学生に対しては、下表に示す如くの対象毎の個別具体的人材像となるが、次ページに示す如く、それらを大きく集約したマクロな考え方で 6 本の柱で人材育成に対しね取り組みをお身なっ
てきた。一方、材料系以外の学生に関し、今回重点的に整理・解析を行ったのでその結果は 4-2 アンケート結果に示す。
材料業界の人材ニーズ(例示)
要
生産・操業管理
修士課程
同右
①担当分野において
工場運営上の視点
に立って、課題解決
への指針提示・ 問題
解決手法を提示し
PDCAをまわす
リーダーシッ プが
取れる人材
同右
②その為には
課題の原因となって
いる事象を技術的に
把握する洞察力
を有する人材
同右
③自身の見解に、組織
としての意思調整を
行った後リーダーシップ
発揮でPDCAを回す
強靭な意志を
有する人材
同右
④プロジェクト完遂で
評価が完了する為
狭義の技術専門性
のみならず、スケジュール
管理、予算管理
等の総合能力を
有する人材
同右
⑤ユーザーの要求厳格
化、事業環境変化対応等
のメガトレンド変化に対し
て、責任工程の技術内容
変革をリードできる様な見
識と経験を持つ人材。過
去に無かった答を創出でき
る創造性ある人材。
同右
⑥異常事態に対する
危機管理能力、
新たな局面に対応
する折衝能力等を
有する人材
(注)要求レベルは全く
同じである。
博士の付加価値を
出せる領域があれば
否定するものではない
カ
25%
学士課程
共通
同左
①自然科学に
愛着があり、
物づくりに
興味があること
同左
②科学的思考能力
同左
③技術解析能力
同左
④担当業務の
組織全体における
位置づけを
常に意識して
業務に当たれる人材
同左
⑤自身のオリジナリティ
を主張する部分と
組織全体の効率的
業務運営の総合
最適を常に考えられる
人材
博士課程
修士課程
同右
①担当分野において
専門性で課題
に対してアプローチ
の指針提示・
問題解決のPDCA
に対するリーダー
シップが取れる人材
同右
②失敗の許されない
実務経験に
対し、専門性を
もった高度で効率的
なアウトプットを出し、
社のドキュメント化に
寄与できる人材
同右
③設備設計・製作
を軸にメーカーをも
リードできる
専門性と実務知識
を有する人材
同右
④プロジェクト完遂で
評価が完了する為
狭義の技術専門性
のみならず、スケジュール
管理、予算管理
等の総合能力を
有する人材
同右
⑤異常事態に対する
危機管理能力、
新たな局面に対応
する折衝能力等、
総合的なエンジニアリング
能力を有する人材
ゴ
リ
ー
大学教育のオリジナリティ
で磨かれる可能性の
部分
.
個人の素養が強い
部分
25%
博士課程
修士課程
学士課程
共通
同左
①自然科学に
愛着があり、
物づくりに
興味があること
①高度な専門性で
当該分野の課題
に対してアプローチ
の指針提示・
問題解決のPDCA
に対するリーダー
シップが取れる人材
①物質構造に関する
物理・物理化学の
理論(原子構造論等)
の見識を有する人材
同左
①自然科学に
愛着があり、
物づくりに
興味があること
②科学的思考能力
②事業マインドを
常に意識して
当該分野の
技術課題解決に
当たれる人材
②材料科学に関する
物理・物理化学
機械工学・材料力学
熱力学・統計力学・
反応速度論等の
基礎知識を有する人材
同左
②科学的思考能力
同左
③技術解析能力
③当該分野において
自社以外の連携に
おいて、リーダーシップ
を取れる人材
③大学の研究室を
通じ、先端分野に
おける材料に関する
研究開発を実行した
経験を有する人材
同左
③技術解析能力
同左
④担当業務の
組織全体における
位置づけを
常に意識して
業務に当たれる人材
④就業期間の短さ
のハンディを問題なく
乗り越えられる
人材
④表面的な現象の背景に
ある物理的意味を見出す
能力や、それに基づき新
規なアイデアを創造する
能力を持つ人材
同左
④担当業務の
組織全体における
位置づけを
常に意識して
業務に当たれる人材
同左
⑤自身のオリジナリティ
を主張する部分と
組織全体の効率的
業務運営の総合
最適を常に考えられる
人材
同左
⑤自身のオリジナリティ
を主張する部分と
組織全体の効率的
業務運営の総合
最適を常に考えられる
人材
同左
(注)要求レベルは全く
同じであるので、学士
において、当レベルを
満たすものであれば、
優先して採用したい。
37
類
共通
⑤ユーザーの要求厳格
化、事業環境変化対応等
のメガトレンド変化に対し
て、責任工程の技術内容
変革をリードできる様な見
識と経験を持つ人材。過
去に無かった答を創出でき
る創造性ある人材。
⑥持てる専門性の適用
だけでは、解決に至ら
ないケースにおいても、
異なる専門との連携に
よって解決への複数の
アプローチを提案できる
能力を有する人材
(注)要求レベルは全く
同じである。
博士の付加価値を
出せる領域があれば
否定するものではない
分
学士課程
同左
(注)要求レベルは全く
同じであるので、学士
において、当レベルを
満たすものであれば、
優先して採用したい。
テ
研究・技術開発(エンジ部門除く)
設備・整備管理(エンジ部門含む)
50%
博士課程
の
大学卒としての
差別化を生む
素質の部分
大学卒としての
必要な教養の部分
■求める人材イメージ(企業における各階層での採用の考え方と求められるコンピテンシーの検討例)
求
(注)要求レベルは全く同
じであるので、学士におい
て、当レベルを満たすもの
であれば、優先して採用し
たい。
産学人材育成パートナーシップ・課題認識から具体的取組課題にいたるフロー図
1.職種別/卒業グレード別に求められるものが異なるが、大局的な整理を行った求められる人材像に対するアンケート結果では、
「基礎学力」「課題発見解決能力」を求める意見が筆頭に挙げられており、それを受けての人材育成で取り組むべき6つのテーマが挙げられた。
求められる人材像・社会人基盤能力(アンケート結果)
求められる人材像・学力知識分野(アンケート結果)
課題発見解決能力
アプローチ方法論
コミュニケーション能力
表現力
柔軟性
積極性
協調性
実践展開応用
リーダーシップ
マネージメント能力
学部・修士・博士比率
及び生産/設備/研究開発比率を
考慮した加重平均
教養
現場に関心
基礎学力の重要度大
ものづくりに関心
専門知識
基礎学力・基礎知識
0
20
40
60
80
最重要項目を指数100として表示
100
課題発見解決能力の重要度大
学部・修士・博士比率
及び生産/設備/研究開発比率を
考慮した加重平均
0
120
20
40
60
80
最重要項目を指数100として表示
100
求められる人材像からの視点
対象
求められ
るもの
現状の
問題点
基礎教育
専門領域
基礎学力
課題解決能力
何故、この「基礎」
が重要なのか、
有用性と醍醐味が
学生に伝わって
いない
今までの大学工学
教育では課題解決型
の運営経験機会が
少ない。
足元実行すべき
対策項目
提案の総括概念
①基礎教育強化事業
教育体制の拡充
②「課題解決型・
産学連携プラクティス事業」
講座維持の為の
サポート体制強化
③拠点・ネットワーク化事業
研究テーマの
発掘と連携
④課題解決型・
開発マネージメント育成事業
⑤大学の教育評価システムの見直し
⑥若者へのものづくりの面白さ伝達
教育評価システムとしての「評価指標」としては、例示的に10個の指標を提示したが、これらは
素養
目標レベル
個人能力
変革能力
マインド
価値観
組織能力
(人間インフラ)
1
2
基礎知識 課題把握
評価指標→ (基礎学力)
力
材料分科会での
取り組み状況
A企業の総合目標
大学 テキスト改善
企業
2.4
3
4
提案力
プレゼン
テーション力
情報処理
能力
5
6
7
8
9
10
分析力
先見性
創造力
実行力
決断力
リーダー
シップ
統率力
コミュニケ
ーション
力
興味・
情熱
プラ クティス事 業
プラ クティス事 業 プラ クティス事 業 プラ クティス事 業
開 発 マネ ー ジメ ン ト
プラ クティス事 業
プラ クティス事 業 プラ クティス事 業 プラ クティス事 業
開 発 マネ ー ジメ ン ト
3.0
3.5
2.2
3.2
2.8
3.6
3.4
2.8
数値は例示
3.1
以上の6本柱を中心とした全体観を総括した結論
結論)1.求められる人材像については、職種別/卒業グレード別に求められるものが異なり、その例示は前ページの如くであるものの、教育評価システムでの結論の如く
更なる具体的内容は個別にPDCAを回す性格のものである。
2.しかしながら、大局的な視点からは、「基礎学力」と「課題解決能力」が求められており、その2基軸を中心に取り組むべき課題を6つ挙げて取り組んだものである。
38
120
4-2. アンケート結果
「目標となる人材像」の提示、材料系分野以外の学生を惹きつける方策の検討(機械工学系出身の若手技術者意見集約)
No. 性別
年
齢
入社
後
年数
学歴
所属
所属職場
出身大学
企業
属性
属性
機械工学系出身
7 男性
28
5
生産部門 静岡大学
修士
13 男性
31
7
学士
生産部門 大阪大学
18 男性
33
10
修士
設備部門 山形大学
32 男性
30
7
修士
設備部門 広島大学
39 男性
33
3
博士
研究部門 法政大学
①大学で学ぶことと、
企業での業務の
関係があるか?
②大学での教育に
満足しているか?
改善点は?
茶字:POSITIVE意見
青字:NEGATIVE意見
関係ある( 但し、一部の教育のみ) …教科
書上だけの話だけでなく、実際の現象まで
発展させた授業。←業務に役立つ。
課題に対して自ら考え行動する、という点は大
学の研究と業務で同じ。
改善が必要…実際にその学問がどのよう
に使われるか、もっと説明する必要があ
る。
社会的な常識の教育。欠如している人間は企
業として使いにくい。
専門的には直接関係ないと思うが、考え
方のプロセスは関係すると思う。
理論が実際にどの様に利用されているか
を教育する事で親しみ易くなると思う。
大学で学ぶ基礎科目はいくらかは関係があ
る。
ないと思います。研究職以外は現実( 収
益、儲け) を主体に仕事をするため
32
10
学士
生産部門 早稲田大学
44 男性
29
5
修士
あると思う。大学では応用を見据えた基礎
研究部門 東京農工大学 を学び企業では応用として具体的な問題
解決に当たるため。
45 男性
35
12
修士
研究部門 神戸大学
46 男性
26
2
修士
生産部門 京都大学
50 男性
35
11
修士
設備部門 大阪大学
52 男性
29
5
修士
研究部門 上智大学
58 男性
28
3
修士
生産部門 神戸大学
63 男性
29
4
修士
64 男性
30
7
学士
65 男性
33
7
修士
70 男性
29
6
修士
高炉企業
40 男性
関係あると思います。特に創造性が役に立
ちます。
ないと思います。そもそも大学は企業で働
く為の実能力を養うものではないと考えま
す。
太字:重要意見
改善は必要と考える。技術レポート等の作成
技術を身に付けさせる教育が必要。
満足はしていません。指導講師の教え方(実
力)にばらつきがある事です。
不満。メーカーではどんな考えでどのよう
な活動を行っているのかを、もっと知る事
が出来る機会があると良いと思う。
満足しています
③大学時代の理解と
入社後で最も違って
いたことは何?
④鉄鋼会社を若い人に
PRする上での
強みと弱み
太字:重要意見
紫字:ユニークな意見
太字:重要意見
紫字:ユニークな意見
強み…規模が大きく、かつ今だ制御しきれ
ない現象が多く、やりがいがある。
弱み…労働環境が悪い。
特になし
製造現場の環境。
特になし。
今後の鉄鋼業の発展性をアピール
成熟しきった印象
企業イメージUPと一般人への鉄鋼業の再認知
・大学では、制御関係の研究室に所属して
いたため、制御に関係する仕事に就きた
かったため。
・地元に近い企業に勤めたかったため。
特に電気関係の学生は、鉄鋼業に疎い
( 鉄鋼業に電気関係の学生は必要ないと
思っている) 。まずは、仕事内容をPRして、
電気関係のエンジニアが必要である事を
学生に知ってもらう事を実施すべきと考え
る。
製品がコイル、鉄板など他産業(たとえば自動
車など)に比べ、一見魅力に欠けるように見え
るため
→実際は、、性能などを踏まえて説明する
と魅力はあるが・ ・ ・
技術系の学生に対しては、エンジニアとし
て活躍する場が多いことをPRする。
→一体製鉄会社に入って何をするのか分
かっていない学生がほとんど。
専門分野以外に幅広い分野の知識も浅くても
よいから必要である点。
強み…基幹産業であるため広く社会に貢
献できる点
弱み…魅力が伝わりにく(実際に工場見学をし
てもらわないと、ダイナミックさ等が伝わらない)
研究での関連あり(共同研究)
インターンシップ
鉄鋼の先進技術を学生に十分伝達できず(機
会少ない)
上下社会。自らが社長になる以外は企業は上
下社会であり嫌でも従わなければいけない。
強み:昨年度からは違いますが、やはり高収入
だと思います。仕事が厳しい事は変わりません
ので。
安定性( 就職氷河期での入社でしたので
安定業種を選びました)
悪い言い方かもしれませんが良いことだけ
をアピールすれば良いと思います。実際の
業務は厳しいですが全てを正直に伝えると
入社してくださる方が減少すると思います。
労働環境、地方勤務(東京で仕事が出来るの
は一握り)
最近の活動を知りませんのでコメントできませ
ん
強み:多くの可能性。弱み: 地味、良さがわ
かりにくい( 知れば知るほどすごいのだが
…)
自動車用材料の研究をするため
見学の機会はあった方が良いと思う。
仕事をするフィールドは様々あり、相対的に優
先順位がつけにくくなっている?
(どのような努力をしているのか)十分把握して
いないのでコメントできません
学生時代に知り得た社員たちと本音で話し合
えた
大学でそのような研究をしており入りやす
かった為。それなりに給料も良いと思ったか
ら。また社員の人のキャラクターに惹かれた。
大学の講義でゲストとして鉄鋼会社社員をお
誘い頂ければと思います
他業種の人気アップだと思います
特にありません
製鉄所の見学という機会を作り社員と対話させ
る
現場の3K。管理者側の労働時間の異常さ。
メディアへの露出をより増やしてください
大学時代に材料系の研究室に入ったこと
( 学科は機械系)
現在あるような見学やインターン制度の拡充
企業イメージ( 古い産業、発展性が見えな
い←実際はそうではないが…)
インターンシップ期間の延長
院生時代の研究で鉄鋼関係に興味あり、社員
の人の話を聞いて自分を高められそうだと思っ
たため。性格的にも魅力を感じたため。
インターンシップ募集を増やす(受ける側は大
変だが…)
機械系だと重工・ 車メーカーに偏りがち。
工場見学等を積極的に行って良く知って貰
う必要があると思う( 学生は中身を知らな
い) 。
機械系だと重工・車メーカーに偏りがち。工場
見学等を積極的に行って良く知って貰う必要
があると思う(学生は中身を知らない)。
研究室の教授が鉄鋼出身
実務に携わっている人が鉄の魅力を伝えること
(例えば社員が講義を持つなど)。工場見学に
来てもらうこと。
日本の教育と事務系( 銀行、TV?…) が給
料が高いため。エンジニアの地位をあげる
べき。
世界一の技術を持っているということをアピー
ルする。CO2排出などで日本が利益が出せる
ような仕組みづくりをしてほしい。
なし
会社に入ってみると分野によっては実は基
礎的な問題が残っている事。一方、様々な
取組がなされている分野では全体を理解
することが難しいほど複雑化している。
限られた時間内でテーマを完結させる必要が
ある
概ね満足。実験演習を増やす、授業の評価。
自分の学んできた事が狭い範囲で浅かったと
感じた
関係は大いにある( 何度も書くが、現在の
仕事に直結しているので)
研究部門 京都大学
77 男性
27
3
修士
生産部門 早稲田大学 関係有。機械の知識
ある。強いて言えばゼミ等でも短期の研究プロ
ジェクト等により企業業務でのPDCAを学べれ
ば良い
ある。基礎学力は少なくとも学んでおくべき
少数で講義が受けられる体制が必要
解は一つではなく最適解も自分の思いによっ
て変わってくるということ。考え抜いて自分の思
いを持って課題に取り組む必要がある。
理想と現実のキャップ(入社後はコスト等現実
問題として制約があり過ぎる)
技術知識、人脈が広がり、人として強くなれる
地元である大分で新日鐵は良いイメージが
あった
工場見学会など
華やかなイメージがない(?)
大事な数字や公式に対する重要性の認識
他にはないダイナミックな装置産業と幅広
い商品群
装置(機械)に携わり且つそれを使うことが自
分のやりたいことにマッチしたため
工場見学、インターンシップ
アピール不足
( 強み) ありとあらゆる製品に使われており
社会への影響が大きい夢のある仕事。(弱
み)成熟している(新しい開発要素が少ない)
と誤解されやすそう( うまく誤解を解くのは
難?)
研究がしたかったこと。勤務地。面会したOBの インターンシップ、採用活動時期の積極的な
印象(←これは重要)
見学勧誘(いずれも現状やっているが…)
人事などが頑張ってPRしていると思います
先述のように成熟産業だと誤解されているので
し、自分自身もリクルータとしてPRしている
は
つもりなので現状で良いかと思う
若手の鉄鋼会社の入社希望者増を狙う
少数精鋭、給料が高い、人間ができてる
工学の理論( 大学で学ぶ内容) は重要だ
が、入社後はお客さんへの技術PRなど専
門外への人間に分かりやすく( 工業的に)
説明する機会が多いと痛感した( 大学では
なかなかそのような機会は少ないと思う)
特になし。仕事が大変なのは、なんとなく理解
していた
日本の鉄鋼会社の先進性( 商品、ノウハウ
等) をアピールすべき
エンジニアとしての将来像を考えた結果
鉄鋼会社エンジニアによる大学の講義
理論が実際とはあてはまらない場面が多いこと
旧NKKが鉄鋼だけでなくエンジ部門があっ
たため(入社前はエンジ志望)
在学中に工学系の学科の学生を対象に企
業が会社紹介を実施する(積極的なアピー
ル 鉄鋼業は冶金だけでなく、電気、制御
などの知見が求められていることを伝える)
強み:上工程-下工程にかけての技術分野の
広さ→いろいろな知識、技術が必要
弱み:各部門での技術分野が大きくちがうため
教育が部門に依存しがち
就職活動時の雰囲気、スケールの大きさ
コスト意識。商売の一端であるという意識をもっ
ともつべきであった
強み:組織力、社会貢献
弱み:海外競争力(コスト)
技術系社員にも経営学の知識が必要で
あった
生産部門 京都大学
改善点:基礎学力をつけるように分かりやすい
授業をお願いします。
各理論が実際どのような使われ方をしてい
るか含めての教育が必要(もっと興味を持
たせるようにすべき)
鉄鉱石価格等の上昇
・ 世間一般に対するアピール不足(何をして
いるか、具体的イメージが伝わっていない)
・ 大学生だけでなく、中高校生に対して、
具体的に何をしているかイメージできるよ
うなアピール必要
暑さや汚さのイメージを払拭すること
インターンシップの強化(もっと実業務をやらせ
るべきでは)
実際の業務がみえにくく、どんな仕事をしてい
るかがわかりづらいのでは(特に操業部門のエ
ンジニア)
実際のエンジニアの仕事をわかりやすく説
明できるようなやり方を考えた方がいいの
では
社会貢献と大規模設備にたずさわれると
思ったから
鉄鋼業の貢献度・技術力をPRして社会的地位
を高める
時代遅れ感
学生向けだけでなく、社会全体に対するPRが
必要。CM等
強み:仕事の責任範囲が広くやりがいがある。
弱み: 最終製品を作っていないので企業イ
メージが薄い。
デザインではなく機能が求められるモノ造
りをしたかったため
製鉄所見学機会を増やす
モノ造りの重要性が理解されなくなる
大学の授業で鉄鋼業の説明ができる時間を設
けてもらい、鉄鋼企業を学生に知ってもらう
鉄鋼会社というと、いろんな業務があるの
は知っていたが、実際に機械・ 材料・ 化
学・ 電気e tc と本当に幅広いと感じた
強み…スケールのでかい。弱み…イメージ的
に古くさいという印象が強い。
基幹産業であり、ダイナミックなスケール
に魅力を感じた
インターンシップで1 ヶ月程研修してもら
い、実際の業務( 面白いテーマ) を体験し
てもらう
産業として古くさいイメージが有る。新興国の
メーカーの躍進による業界に対する不安もある
かと
知名度PR(素材メーカーもCM等を流してもい
いのでは?)
強み: 若い時から大きな仕事をやらしても
らえる。現場で大きな設備・ モノを相手に仕
工場見学した時に現場の迫力に魅力を感じた
事ができる。弱み:3Kのイメージが強い。材
から
料系以外の人間にとって入社後のイメージが
作りにくい。
インターンシップや見学会を通じて製鉄所を
見て、知ってもらう機会をつくる
重厚長大・成熟産業というイメージから、仕事
のやりがいや会社の将来性に不安を感じてい
る
現場(製鉄所)を見てもらう機会を増やす
自社製品の社会的貢献が大きいこと。新
素材の開発の可能性が大きくあること。
共同研究
将来的な不安、古いイメージがあること。
社会に大きく貢献している鉄鋼製品をアピー
ルし、まだまだ伸びる業界であることを出してい
くべき。
大きな規模の設備、多くの人の中で自分がど
れくらいできるか試したかった。
もっと交流する機会を設けるべき。
イメージがわかない=悪い。
もっと交流する機会を設けるべき。
85 男性
36
12
修士
関係あり。・ 基礎学力をしっかり身に付けな
研究部門 電気通信大学 いと企業で苦労する。・ 課題把握→解決す
る能力も早期に習得必要あり
90 男性
33
8
修士
生産部門 岡山大学
95 男性
30
6
修士
・ 専門分野の学習は関係あり。ただもっと
実用実態をふまえるべき
生産部門 九州工業大学
・ 数学・ 解析は関係なし。基礎は高校まで
で充分
102
男性
29
7
学士
設備部門 早稲田大学
103
男性
30
6
修士
生産部門 東北大学
105
男性
31
6
修士
設備部門 神戸大学
専攻学科の専門内容も仕事を行う際の基
本となるが、研究を通しての課題解決にむ
けてのプロセスの経験も関係がある
単位さえ取れば卒業できる点。単位が期末の
テストのみなので、その場しのぎの知識しか身
につかない
大学では単位を取れる程度まで勉強・理解す
れば良かったが、仕事では課題に対して分か
らない・難しいは通用しない
114
男性
25
4
学士
基本的にはないと感じる。大学で学ぶこと
生産部門 立命館大学 は広く浅くであるが、企業での業務は狭く
深い業務であるため。
改善点:発表資料のまとめ方及び発表機会が
少ない点
理論だけで成り立たない、3現主義を優先
して、物を見ていく大切さを教えられた
120
男性
31
9
学士
生産部門 九州工業大学
電炉企業
斜陽産業であるというイメージ
強み:ベースロードを支えている産業であること
弱み: イメージが地味
6
実際の業務スキルに直結する教育を取入れる
べき。ソフト取扱い等、特定のソフトウェア
(office)に特化しても良いと思う。
やや不満。実際の企業で使用されている技
術と大学で学ぶ学問の関係を学びたかっ
た。
答えのわからない課題に対して情報を整理し、 「式の導出。代表的な例題を問いて終わり」と
論理的に解決するという流れは、大学の研究
いうようなスタイルで正直身につかない。会社
も会社の業務でも同じである。またレポートにま に入ってどういった場面で、どんな使い方をす
とめるという作業も同じである。
るのかがわかると良い。
ある。業務で必要となる知識の基本を時間か
けて大学で学べたのは良い。
企業の専門家(操業含む)の話も聞く機会を増
やして企業のイメージを明確にさせてやりた
い。
授業内容が産業にどう役立つかが学生は
わからない、知らない→具体的に結び付け
られる授業をすべき
収益、コストに対する考え、スピードと効果のバ
ランスが大事
圧倒的な事務の中、やりたい事をどんどん
やれる。
重機産業である( 機械屋にとって) こと
なし
テレビCM
企業イメージ、業界イメージがない、わかない
→鉄工業界がキライなのではなく、どんな業種
か知らないので希望者が少ない
自動車の燃費向上におけるCO2 排出量の
低減→材料の高強化に関われる業務に携
わりたいと思い、鋼鉄(特殊鋼)メーカーに
決めました。
上記と矛盾するが、見学会、体験会等を開催
し、業務内容を把握してもらった方がよい。
自動車用鋼材の減少(電機自動車への移行)
・出身大学が限定されているように感じる。幅
広く門戸を広げるべきではないか
・(リクルート活動を実施する大学を多様化すべ
き)
基本原理・ 原則を知っておくことで、応用す
る上で誤った使い方を抑制できる。
大学研究においても、産業界に直接関与する
内容を増やした方がよい。
研究開発の中身(実用的)とスケジ ュ ール(納期)
強み:産業界の基盤を支えている
弱み: 電機、自動車メーカと異なり、商品が
形となって表れてこない。
修士
生産部門 金沢大学
基礎学力、知識の修得と、科学的アプロー
チ手法に関し深いつながりがある 問題に
対し論理的解析につながる。 ☆興味・ 情
熱が最も大切。
改善は必要。現実社会とのつながりに現実
性が感じられなければどれだけ良い教育も
真剣に受け取らなければ意味がない。
責任とコスト意識
基幹技術である所が強み
素材の為、最終製品のイメージがわきづらいの 教授の紹介で採用試験を受けた
が弱み
鉄の歴史、設備(プラント)など生活と鉄のつな
がりをアピールし(CMなど)一般への理解を深
める。特に主婦層←家庭での会話は母子間の
方が圧倒的に多い。
製品イメージが沸きづらいため、派手さが
ない(車メーカーは人気がある) また、「 大
変そう」 というイメージ
修士
設備部門 東北大学 大学では基礎をきちんと学ぶべき
生産部門 宇都宮大学
満足
特になし
社会の基盤産業であること
大規模設備の建設
見学
3K。残業が多い。女性が少ない。
機械工学を4 年学び、あまりこの道に進もう
とは思わなかった。むしろ必ず必要な素材
メーカーに興味を持った事。
工場見学を多くやるべき。他業種と比べ閉
鎖的。材料系以外にも機械系の人間に
とって巨大な設備を見ることで興味を持
つ。
一般の人に対し身近でない(製品は身近にあ
るが企業自体が身近でない)
鉄鋼企業の製品アピールのみでは難しい
と感じる。ユーザ企業、業種と手を組んで
鉄鋼製品のPRをすべき。テレビCMは必
須。
教授の親戚(伯父さん)が取締役で、絶対入れ
てやると言われたから。
工場見学及び鉄がどういう所に使われて
いるのか知らせるべき。
きつい職場が多いのでは?夜も関係なしで徹
夜もあたりまえ。
何をしているのかよく分からない。
29
6
修士
87 男性
30
6
9 男性
34
31
8
4
修士
107
男性
29
5
学士
138
男性
35
12
学士
その他企業
研究部門 福井大学
86 男性
99 男性
更に頻繁に大学に行きセミナー等を実施
エンジニアの幅広い技術力
29
設備部門 無回答
テレビ等でのPR不足
工場見学。若手社員の業務内容を具体的に
紹介
特になし
生産部門 京都大学
修士
学士
インターンシップの最大限活用
改善すべき(産業への適用等も教育すべき)
修士
9
強み:規模が大きく社会に対する影響が大き
い仕事が出来る。弱み:華やかな業界ではな
い(B to Bのため)。
鉄の魅力、組織の不思議さ
特になし
5
31
基礎の各講義の研修がそろっている
満足している
28
83 男性
76 男性
強み:ダイナミックな設備を念入りに検討し立
ち上げる事。弱み:ない。
強み:素材会社である為、多くの他社を通じて
社会に影響を与えることが出来ること。弱み:
認識度が低いこと。
強み: どの分野の人でも活躍できること、
分野が異なってもOJTで学ぶことが自分を
鍛えてくれること。弱み:イメージとして古い
産業形態だと思われている。
強み:若いうちから大きな仕事を任され、やりが 業務内容( スタッフとして大きな仕事ができ
いがある。弱み:業務が比較的過酷。
る)
79 男性
幅広い専門知識を修得する機会として必要
労働環境が悪い(田舎、きたない、アナログ
等)
エンジニアリング部門があったため
ある。業務でのペースになると思う。
修士
鉄鋼産業の授業と工場見学。
生産量などだけではなく、技術要素と先進性
について、さらなる説明が必要。
社会を支える基幹産業としての存在意義。
実際の産業分野にてその学問がどのように使
用・活用されているのか。大学時代はただの
学問。
12
大規模な装置産業でやりがいを感じた。
太字:重要意見
紫字:ユニークな意見
環境影響を明確にし、鉄鋼産業の改善が
地球環境の改善の大きな部分を占めるこ
とをアピールした方が良い。
強み…?
弱み…成熟し切った印象があり、発展性のイ
メージが薄い。環境負荷が大きい。
私の場合は満足
35
太字:重要意見
紫字:ユニークな意見
理論と現実のGap。外乱の多さ。
基礎力学
74 男性
太字:重要意見
紫字:ユニークな意見
⑧鉄鋼への就職を
選択する人を
増やすための改善点
利益を生まない技術が進みにくいこと。
特にない
(既に実施されているかもしれないが)企業の
人を呼んで話をしてもらい、大学で学ぶことが
仕事に活かされているということを学生に十分
認識してもらう(学ぶ意欲を高める)
太字:重要意見
紫字:ユニークな意見
⑦鉄鋼を希望する人材が
減少傾向とすれば、
その理由は?
技術先進性。業界トップクラスの人材グ
ループ。
しています。が、より学生に時間を与える為、
出席を取るなどの行為はやめて欲しい。
基礎学力、課題把握力の養成に必要
基礎学力は学ぶことが出来る。そこから自分で 学生のうちからインターンなどの実社会体験を
生産部門 早稲田大学 答えを見つけ出し(答えを作って)課題を解決 どんどんやらせて、将来何が必要か、何をやり
するところが弱いかと思う。
たいかを考えさせるべき
生産部門 徳山高専 専攻科
入口はとにかく分かり易く目的意識を教えて頂
生産部門 九州大学 基礎学力、興味・情熱
くと良い(最初から難しいと興味が薄れる)
①基礎学力、⑤分析力が特に関係あり。会社
自分の将来の姿( 企業に入社する等) のイ
生産部門 熊本大学 に入ってからだとなかなか勉強する余裕がな
メージアップによる勉強への意欲アップが
い。
出来るようにできると良い
⑥大学生に鉄鋼業を理解
してもらうため、大学と
鉄鋼会社は協力して
何をすれば良いか?
⑤現在の会社を
選んだ契機、動機
生産部門 日本大学
ほとんどない。大学での勉強は企業に入っ
てからのイメージがわかないものが多い。
実務と大きく開きがある。
満足していない。改善点は上記。
大学での勉強は様々な制約の中での理論
だったが、実際は異なること
生産部門 鳥取大学
コミュニケーション能力の向上。
コミュニケーションが取れない人が最近多い。
最近入社してくる若手のレベルが低い(特に院
卒)
まさかここまで化学的な知識が必要と
は・ ・ ・ 。
51
強みはとくにない。弱み: 材料メーカーであ
るがゆえに一般の人にひと目でわかる、感
動する製品がない。どうしてもユーザー側
の方が目立つ。
化学系は給料が安い→給料は高いのでは?
きついが、自分の仕事が現場での改善につな
がる(まかせてもらえる)
39
鉄鋼への就職者数を増やすことが、今後
の日本経済の発展につながるとは思えな
いので、あえて増やす必要がないと思う。
小さなころから身近な最先端技術というイ
メージを与え、夢や希望が持てる産業イ
メージを造るべき。男ではなく、女性への
理解が深まれば自然と子供、男性へも広
まるのでは?
同上(3K。残業が多い。女性が少ない。)
「目標となる人材像」の提示、材料系分野以外の学生を惹きつける方策の検討(材料/機械工学系以外出身・若手技術者の意見集約)
No.
性別
年 入社後
齢 年数
学歴
所属
企業
属性
所属
職場
属性
出身
大学
48 男性
30
3
学士
生産部門
2 男性
29
6
修士
設備部門 京都大学
60 男性
126
男性
31
29
6
6
京都工芸繊維大学
出身学部
( 専攻)
化学
男性
27
3
修士
生産部門 京都大学
130
男性
31
5
修士
生産部門 九州大学
135
男性
28
5
学士
設備部門 大阪大学
136
男性
27
5
学士
生産部門
8
29
5
修士
男性
28
4
修士
34
10
修士
122
124
106
女性
男性
28
3
修士
電炉企業
生産部門 神奈川大学
研究部門
化学工学
姫路工業大学
生産部門 京都大学
修士
28 男性
③大学時代の理解と
入社後で最も違って
いたことは何?
④鉄鋼会社を若い人に
PRする上での
強みと弱み
⑤現在の会社を
選んだ契機、動機
⑥大学生に鉄鋼業を理解
してもらうため、大学と
鉄鋼会社は協力して
何をすれば良いか?
⑦鉄鋼を希望する人材が
減少傾向とすれば、
その理由は?
⑧鉄鋼への就職を
選択する人を
増やすための改善点
橙字:POSITIVE意見
青字:NEGATIVE意見
赤字:重要意見
赤字:重要意見
紫字:ユニークな意見
赤字:重要意見
紫字:ユニークな意見
赤字:重要意見
紫字:ユニークな意見
赤字:重要意見
紫字:ユニークな意見
赤字:重要意見
紫字:ユニークな意見
赤字:重要意見
紫字:ユニークな意見
課題把握力ではないかと思う
教育自体は特に問題ないと思うが考え方
を意識した教育機会を増やしても良いの
では
基礎理論と実務の間の考え方(特にコスト
意識)
強み:鉄は産業のコメであり、様々な場面・
場所で使用されていること。弱み: 様々な
場所で使用され過ぎ「 素晴らしい材料」
を国民にアピール出来ていない。最終
製品製造会社に比して何をしている会
社なのか分からない( 鉄を作っている
だけと思われている) 。
前職で塗装鋼板を取り扱っており、ま
た塗装技術の業務に携わっていたこと
から塗装鋼板の分野で知識・ 知見が活
用できると考えたため
鉄鋼材料・ 鉄鋼プロセスは需要家の厳
しい要望に応える、新しい需要を掘り
起こすためにまだまだ発展していく産
業であることを認識してもらう活動をす
れば良いと考える
鉄鋼は古くから研究・ 開発されており
今後の開発の広がりが他材料・ 他素材
と比較して小さいと学生に認識されて
いるのではないか。製造現場は3 K職
場と認識されているのではないか。体
育会系の雰囲気。
最終ユーザー(国民)への鉄鋼業のPR(鉄
鋼会社はこのような事をやっていますよ)
→CM etcによる認識度up
ある。大学の研究の進め方と業務の進
め方に関係がある。
はい。
簡単なことを分かりやすく、直感的に説明
する必要がある。専門家がいないため。
プロセスが大きく、少しの改善が大きな効
果になる。
[3] (1)と同様
(プロセスが大きく、少しの改善が大きな効
果になる。)
説明会の実施
華やかでない。
(4)と同様 (説明会の実施)
教養科目を確実に身につけることができる
仕組み
系の複雑さ、現象理解のための学問分野
の多様さ
強み:グローバル。弱み:個人裁量の限界
(大きな組織)。
強み…産業をささえている。
弱み…ユーザーが限定されていて、
CM等宣伝していない( 少ない) ので、
意外と認知度が低い。
強み…基幹産業等、世界トップクラスの技
術力
弱み…景気にふりまわされる3Kのイメージ
がまだある。
強み:スケールの大きさ。人材の豊富さ。
弱み:中国台頭、原燃料高騰など世界情
勢に不安あり。
環境影響大
メディアへの露出を増やす。共研を増や
す。
古典的なイメージ、どろくさいイメージ
( ⇔クリーン: バイオ系など)
古典的なイメージ、どろくさいイメージ(⇔
クリーン:バイオ系など)
鉄は国家なり。大きな仕事がしたかっ
た。
直接的にPRして知ってもらう。
将来への不安。
リクルーターが研究室の先輩で、他の方よ
りも興味を持った。元々鉄鋼or自動車志
望。
製鉄所を見てなんぼの世界なので、積
極的にインターンシップなどを受け入れ
る。
泥臭いイメージが強い。
まずは名前を覚えてもらいたい。
タイミングだけ(大きい会社だから)
化学系に対し、アピールが足りない。
分野ごとに入社したらどんな業務があ
るのか具体的に提示すべき。
世界情勢(鉄鋼に関わる)の先行き不安
化学系に対し、アピールが足りない。分野
ごとに入社したらどんな業ムがあるのか具
体的に提示すべき。
強み…幅広いフィールド、さまざまな分野
を専攻した人々に活躍の場がある。
就職活動時に工場見学をして、設備の
ダイナミックさに刺激を受けたため。
共同研究。工場見学会。積極的なイン
ターン生受け入れ。
学生へのアピール不足。具体的な業務
内容が伝わっていない。研究・ 開発や
最先端のイメージが湧きにくく、現場第
一と捉えられがち。
成熟した技術であるのが強みでもあり、弱
みでもあると感じる。
出身地の近ぺんの化学会社
身近に感じる課題の研究、エネルギー・
CO2削減等。
成熟したものというイメージが強い。
基盤的な事をアピール、社会への貢献
度、規模の大きさ等
変わったという事をアピールすべき
TV CMなどしたらいいと思う。
基礎的な所は、企業でなかなか学ぶ時間
がないので必要だと思う。
生産部門 群馬大学
修士
129
33
②大学での教育に
満足しているか?
改善点は?
設備部門 東京大学
修士
高炉企業
37 男性
①大学で学ぶことと、
企業での業務の
関係があるか?
九州工業大学
エネルギー科学
化学
化学
研究部門 大阪大学
その他企業
本人がどこを選ぶか次第だが、理系に
関しては、論文作成の過程でのデータ
解析やロジックはどの企業でも必要と
なる。
特になし。本人次第。
コスト最優先
大学での研究は、課題把握、実行力など
の面で関係があると思う。
特に不満はない。
企業はお金があるので、問題が生じれ
ば早急に対策をうつと思っていたが、
問題が多すぎて投資がむずかしい。
あると思います。少なくとも基礎的なことを
勉強しているから、理解ができる。
ある。エンジニアですと、もちろん専門性、
論文等の書き方、論理性。何より基礎とな
る教養。
満足しています。基礎研究を含め、色々経
験できる点。
自己の取り組み方が十分でないので満足
/不満足と言える水準ではない
集務的な仕事が少なく、アイデア等が大事
である事。
くだらないトラブル、軋轢が多い
強み:総合的な技術が求められること。弱
み:体質の古さ。
材料系かつ関西立地
共同研究、プランドツアー
体質の古さ、長時間労働、理不尽な命
令( 軍隊組織) というイメージ。NSCの
ヘルメット一気。
全く違うモノ作りに興味があった。
鉄鋼で何か必要か明確にすること。
わからない。
ある。各企業で専門知識が必要なた
め。また、企業では時間をかけて仕事
ができないため。
どちらともいえない。
とくになし
強み…まだこれからの問題(予想される)
に対応しきれていないため、自分の思い
が実現できる(かもしれない)
弱み…今後の世界状況により、左右される
こと。
課題把握力、プレゼンテーション力、分析
力
プレゼンテーション能力、分析力を向上さ
せる必要がある。
研究内容の違い、会社の研究、検討で
は、ビジネスにならないようなものは扱わな
い。大学ではそうではなかった。
強み…世界的な仕事ができる。
弱み…あまりきれいな職場ではない。
化学系の出身だから
工場見学、インターシップ、共同研究等
きつい、汚い、あついイメージがあること。
弱み…お洒落な感じがしないこと。
分析をしている会社に興味があったことと、
地元だから。
共同研究。
ある程度、完成された技術に思える。
化学工学の知識が活かせること、材料
の開発が可能と考えたこと
技術力の高さを示すこと、現状の問題
点を示すこと( 将来の展望を示すこと)
鉄鋼を専攻する人々からの希望者が減少
しているのなら、給与面での魅力を感じな
いのではないでしょうか
大学の学科やコースの名称から“金属”
“鉄鋼”という文言が消えてきている。研究
への需要が減ってる事はないと思うが研究
者が減少しているように感じる。大学に寄
与講座を持ってはどうか。
学生時に研究分野が同じだったので、興
味があった。
大学生に理解してもらうには、見学と
事業紹介が良いと思います。
「 古い」 というイメージがあるからだと思
います。逆に「 新しいこと」 もあるとア
ピールすべきと思います。
鉄鋼メーカーそのものの会社のものではな
いですが、鉄鋼会社の人気はまだまだある
と思います。国際競争が激しくなる中で、
「世界で活躍したい」という人材を集めてい
ますとアピールすれば学生も注目すると思
います。
研究室を追われたため
共同研究
基礎学力
本社部門 名古屋大学
あると考える。①③⑤は大学で学ぶことで
獲得しうる。
ある程度将来の方向性が見えた人に対し
て、実際の業務に近い経験を提供する
(ex:インターン)、現状の問題点など現場
の声を聞く機会の提供
特になし
強み:人件費が高くコスト競争力の低い日
本の産業において、基礎的な製造業であ
る鉄鋼業が世界的に戦えているという背景
には優れた技術力が間違いなく存在して
いるという点。弱み:製造業の中で泥臭い
イメージがある。
大学は学問を修めるところなので、企
業に役立つ人材を育てるところに注力
するのは、良くないとと思います。社会
人としての教育は企業が行うべき。
殆どの人が大学まで卒業する時代で、卒
業後困らないようにするためだけの科目が
多い。もっと本質的な学問に力を入れるべ
きと思います。
安全、コストという考え方に重点があるこ
と。
(自分の会社限定です)
強み…特にない。
弱み…国際化に対応できるか不安
研究所のため、一般企業の業務を知らな
いが、、数値そのものの見方や分析法に
対する知識は大学にいるうちに一通り触っ
ておくべき。
産学官連係の中で、学生の外部への派遣
に対して助成等が必要である。
ノルマの厳しさとサービス残業を事実
上強要されていること。
必要にならないと勉強する気がおきま
せん。必要だと思えるような授業にして
欲しい。
工場は古いので古い知識が必要だった
(サイリスタ等)
力学一般
満足
スピードが速い。
日常業務の中心となる知識が必要
休みが長い点
理論どおりとならない事
基礎学問のペースアップ等は必要。協同
で1つの課題をクリアする等、創生型のプロ
グラムがあると良い。
大学で学んだことが会社で役立つ確率
は低い。しかしながら、もし必要になった
ら自分で勉強できるように各科目の基
礎についてインデックスのようなものが
残るようにしておくといい。
就職先が決まってから自身が必要と思
う講義をさかのぼって受講しやすい環
境があれば嬉しい
思っていたよりもニーズ型の研究が多
いこと
強み:ものづくり、赤い鉄、個性豊かな鉄。
弱み:最終製品になりにくいので目に見え
にくい仕事になりがち。
土建業で言うと「過去に景気良」→「大学
の定員大」となって、その後の変化につい
ていかないため専門に進めない学生を増
やしている。
製鉄所は空気が悪く、体調が悪くなる
強:高度な知識が要求される→競争力高
い。弱:職場環境が悪い。空気悪い。
化学工学
125
男性
32
6
修士
128
男性
32
5
博士
71 男性
28
5
修士
生産部門 群馬大学
企業以外
研究部門 日本大学
設備部門
化学
東京工業大学
高炉企業
研究部門 大阪大学
男性
30
7
修士
10 男性
30
6
学士
電炉企業
男性
28
6
学士
その他企業 設備部門 近畿大学
121
139
電気・電子
生産部門 富山大学
29
3
修士
96 男性
33
9
修士
男性
29
5
修士
その他企業 生産部門 中央大学
66 男性
27
3
修士
高炉企業
高炉企業
123
研究部門 早稲田大学
生産部門
32
7
修士
高炉企業
研究部門 大阪大学
68 男性
32
7
修士
高炉企業
研究部門 京都大学
92 男性
32
6
修士
高炉企業
生産部門 無回答
男性
40
14
修士
高炉企業
研究部門 大阪大学
73 男性
31
3
修士
その他企業 研究部門 鹿児島大学
113
75 男性
29
4
修士
その他企業 研究部門
土木・建築
学部名古屋大学、
修士東京大学
たまたま製鉄所を見学に行って面白そ
うだったため
工場見学、ツアー
きつい、キタナイ、等のイメージ
スケールの大きさ、リクルーターの人望
見学を行う。
学生の人数減少。
正直特に無かった
製鉄所の見学等
大学での学部学科の減少
工場見学で興味がわいた。
見学会等。
鉄、溶接をキーワードに就職活動を行った
大学と企業とが積極的に共同研究を行
い、密に交流を続けること
不景気、企業イメージが伝わりにくい(TV
CMなどがない)
何かを生み出す会社に入りたかった。
( 金融や証券のような) ゼロサムの業
界ではなく。
インターンシップ、工場見学
汚い、危険。空気悪い
まずは知ってもらう。
インターンシップなどの受け入れ機会を増
やす
関連分野の企業のみではなく、一見関
連のない分野企業への進路も幅広い
視点で見られるようにした方がよいと
思う。
素材メーカーを希望していたこと。研究室
の先輩が多く入社していたこと。
学部島根大学、
修士九州大学
男性
110
強み…高給、スケールが大きい。
弱み…イメージが悪い
強み…(空白)
弱み…現場は"3K"であること
スケールが大きい
勉強したことを生かせる場面が少ない。
研究部門 大阪大学
62 男性
大規模
原子力
数理工学
物理
自動車や機械産業と比較すると地味
(講義としては)あまりない。大学で学ぶ
のは理論であり企業で問題に直面した時
にすぐに活用するのは難しい。理論と現
実をつなぐ知識+経験(例えば量的なイ
メージ )が必要。研究室での勉強には価
値があると思う。
企業で必要なのは浅く広い知識+一部深
く狭い専門知識だと思われるため、広い範
囲の基礎・考え方を学んだ後、早い段階で
研究室配属等を行い経験を積む方法が有
効に気がする。
入社後の勉強が極めて重要であり“ 大
学時代は勉強し入社後に実践する” と
いう、かつての考えとは違った
強み:入社後に自分で勉強する機会があ
る(逆に必要があるともいえるが)。弱み:
一部を除いて大学で学んだことが役に
立たない。
推薦があったため。親族の中に鉄鋼の仕
事をしている方があり親しみがあったから。
委託研究等を増やし学生が鉄鋼について
研究する機会を増やす
関係がある。⑤分析力、⑨コミュニケーショ
ン力、⑩興味・情熱について。
自主性に任せている点には満足している
現場、研究、間接部門等、色々経験で
きると考えていたが、会社、業界、専門
分野を幅広く有機的に理解し誇れる人
は限られている
強み:色々なバックグラウンドを持つ人と仕
事が出来る。仕事を任せてもらいやすい。
弱み:何も意識しなければ狭い範囲の仕
事で終わってしまう。
契機: 同じ研究科の先輩がリクルート
で研究室訪問。動機: 自分の専門分野
が生かせそう。仕事も遊びも楽しんで
いる先輩が多い。
リクルート活動で学生の話を聞いてみ
ると、もうこれ以上技術的な発展がな
い分野だと考えていることが分かった。
まだまだ技術者が活躍できることをア
ピールするべき。
関係はあると思います。本、専門書を読め
るようになった
工場のマネジメント論、安全論などがあっ
ても良いのでは?
大学の知識は必ずしも職業に合致しな
い。当然大学では学校に残る事を前提
とした教育が行われている
”大きな製品を作っている”、”社会への貢
献度が高い”
仕事を決める際、自分に合ってそうだ
なと感じたから
材料メーカーは製品にかくれている素材
です。鉄鋼メーカーが何をしているのか
もっと社会に認知されなければ社会的
なステータスの上昇や人材の確保は望
めません
専門以外もふれる必要
満足
特になし
理学部にも工学部の講義を選択可能に
満足している
企業での配置に大学での専攻はあま
り考慮されないため関係はない
専門的なことを深く学んでも関係ない
部署に行くことが多いので意味がな
い。基本を手厚く広く学ぶのが良い。数
学、物理、化学など。
特になし
材料等
強み:基幹産業。弱み:インパクトがない
(イメージ)
52
強み:現状安定している。弱み:将来性が
不安。
40
先輩
鉄鋼業について知る機会の減少( 知ら
なければ選択肢に入りようがない) 、国
内でのプレゼンスの低下( 加えて世界
でのプレゼンスの低下) →規模の拡大
が必要( ALL JAPAN?) 世界で戦う企
業が国内に乱立しているのが問題( 家
電や自動車も同じ)
リクルート活動で学生の話を聞いてみる
と、もうこれ以上技術的な発展がない分野
だと考えていることが分かった。まだまだ技
術者が活躍できることをアピールするべ
き。
人は待っていれば集まるorチューター
による学校訪問は古い。同じ系統の人
しか集まらないため、進化が望めない
のでは?
物理、理系ばなれ
先生の紹介
工場見学、インターンシップ、講義
アピール不足(CM等)
研究職で転勤なし、配属先が内定時に確
定。実家から近い。
工場見学、インターン、技術者の講談など
で良いと思います
将来性への不安(新興国企業の台頭)
特になし
リクルートのブース出展などで大学へア
ピールしている点は良いと思う。優秀でや
る気のある人の気を引くべく、様々な学会
誌や一般誌に最新の技術トレンドを投稿
するのはどうか。
日本に鉄鋼会社が何をやっているのか
知っている人はいません。ネットにホーム
ページを作ってのっけているだけではだれ
も見に行きません。見に行くという考えすら
ないのです。まずは会社名を知ってもらい
ましょう!
無理をする必要はない。
特にありません
4-3. 考察と今後への活かし方
アンケート結果が示す様に、極めて幅広い技術領域において、最新の技術革新が求めら
れており、かつそれをブレークスルーする為には、物理・化学・電気・制御等の領域におい
て、
「未知の課題に挑戦するフロンティアスピリット」が要求されているが、その状況が必
ずしも学生側に充分伝わっていないことが如実に表れている。本件は PR の方法論から企業
内の業務取り組みスタンスに至るまで、広範囲な課題と考えられ、具体的なアクションから
初めて PDCA を回してゆくことが有効と考えられるが、その際に必要な項目については、
次ページの表に例示している。
41
42
第5章
アジア諸国での材料系教育の実態調査
5-1. ヒアリングの考え方
平成 21 年度において、本調査事業はグラーツ工科大学及びローザンヌ工科大学に対して、下表に
集約される様な調査結果を得たが、本年度は新興国における新規可能性の調査を行うべく候補の
絞り込みを行い、材料分科会委員のご推薦による 2 ケ所に対してヒアリング調査を実施した。
H21FYの取り組み概要
欧州でのヒアリング先での有益情報
①グラーツ工科大学・Prof.Cerjak との議論
①
②
1 0 項目 の要 素は 独立 に養 われ るも ので なく 、つ なが りが ある もの であ
る。人材育成という視点で見ると、単に大学にこれらの能力の養成を期待するの
ではなく、企業側として育成すべき内容に対するニーズ の明確化 や企 業内
での具体的有効性の提示等 、企 業と して 何を でき るか を積 極的 に考 える
べき。
重要なことは、学生に能力を身につけさせるよ りも 、学 生自 身が 自分 の能
力を高められる環境を作ることがその後のキャリア で重要。大学 の役 割は
そういった動機を与えること。(自分で 必要 に応 じて 能力 を高 める べき で、
自分でそうできることが重要。
H22FYの取り組み
我が国の一般的状況
中国・韓国での議論ポイント
企業側として育成すべき内容に対するニーズの明確化や企業内での具体
的有効性の提示については、まさに材料分科会の最優先検討事項であ
る。(換言すると、現状では不十分)
「学生の自主性を高める」という考え方は、当然日本においても指向してい
るが、産業側のニーズ・情報をどの程度まで反映された「自主性養成の環
境作り」ができているかという点では、上記項目と同様、課題として残るもの
である。
学生の自立性を育む
教育システムの有無について
基礎学力について
③
基礎学力が重要。大学学部教育の役割(オーストリアの場合は3年)。こ れを
基盤として、問題の発掘、解決、創造ができる。こ れがなければ他の能力は無
理。大学院(オーストリアは2年。これでdiploma(修士相当)を取得)では この基礎
学力を基に、1つの応用を行う。あくまで基礎を応用するという経験が重要で、そ
れが企業で様々な応用につながる。
基礎力に期待する視点は全く同等である。又、企業も即戦力を期待してい
るわけでは無い。ただ、「基礎の応用経験」という点でどの程度、学生を魅
了できる環境を整備できているかという点では、日本の場合、充分とは言え
ず、新しいテキスト作りにおいても腐心している処である。
インターンシップおよびDiplomaでの研究
④
昔はドイツではdiploma修了まで(5年間で)12カ月のインターンシップが要
求された。2期制で各学期15週なので、年間22週休みがある。それをつかって
日本の場合、長期インターンシップは極めて限定的であり、
企業や研究所にインターンに行った。平均2ケ月程度。いろいろな企業を経験で
プログラム開発で、「プラクティス事業」として推進している処である。
きる。ただしGraz工科大の副学長としてこれをやろうと思ったが、反対意見もあり
うまくいかなかった。
⑤
先のリ ストにはsocial competenceが抜けている。(社会でやっていける能力、グ
が、これが「国際力」の領域となると突然、課題が多くなる。重要性はますま
ループで働く力、交渉力、協調性、コミュニケーションなど含まれる)
⑥
Diplomaの論文は6カ月の研究。5 0 % 以上 は企 業の 現実 課題 を企 業に 入り
込んで研究する。企業 とや る場 合は 、企 業側 が持 ち込 んだ 課題 から 先生
が選択してdiplomaの課題とする。企業は全面的に協力する。その中で、課
本領域が欧州と日本の決定的に違う処である。但し、この差を埋める事は
題の絞り込みや、背景の理解、企業の人たちとのコミュニケーション、ま とめと報
簡単では無く、企業ポリシーや社会通念の処から見直す必要もあり、長い
告、プレゼンなどの能力も養われる。またこの間、企業は 学生を見極め、自企業
に就職勧誘することもあり、学生にとっては その産業で働く動機づけ、意識、熱 目で設計してゆくべき課題である。
意にもなる。企業から学生の研究に対する経済的な支援もあり、平均して2500
ユーロ程度。月800ユーロ程度というのもある。
日本の場合、social competenceについては、かなり強みのある領域である
す増加する課題である。
産学連携の理想と実情
企業の役割
⑦
グラーツにはマグナという世界有数の自動車部品メーカ ーがある。グ ラー
ツ大に自動車工学として 4 講 座を 寄付 。建 物込 みで 初期 2 0 0 0 万ユ ーロ
(2 8 億円)、年間2 0 0 万ユーロ(2 .8 億円 )。 4 講 座の 1 つ は技 術経 営工 本領域が欧州と日本の決定的に違う処である。但し、この差を埋める事は
学のコースで、半年 海外 のマ グナ (カ ナダ 、他 )で の研 修を 組み 込ん でい 簡単では無く、企業ポリシーや社会通念の処から見直す必要もあり、長い
る。学生には極めて好評。マグナが寄付している、講座を開設しているこ とは 目で設計してゆくべき課題である。
学生にも周知で、良い企業イメージにつながっている。こ の例のように大学での
多くの研究が企業と関連している。
高い経済成長速度が材料系学生の育成に
及ぼす「新しい可能性」の調査
学生の熱意・意欲
⑧
本領域が欧州と日本の決定的に違う処である。但し、この差を埋める事は
オーストリアでは金属産業、自動車、機械などが学生に人気がないということはな
簡単では無く、企業ポリシーや社会通念の処から見直す必要もあり、長い
い。共同研究等を通して密接につながっている。
目で設計してゆくべき課題である。
最先端産業と汎用的材料産業
それぞれに対する学生の適性就職の実態
②ローザンヌ工科大学・Prof.Mortensen との議論
ローザンヌ工科大学の基本カリキュラムの概要説明
⑨
ここで最も重要なこと は、 日本 の様 に、 入学 試験 は大 変厳 しい が、 入学
後は極めて緩い選抜シ ステムとは違い、"Fire hose drinking" 方式つまり この様な取り組みは日本においては、あまり多くは見られないが
極めて勢いのある消火ホースの水を直接 飲ま せる 様な 、厳 格な 教育 法を 教育の一つの原点として、当然指向されるものの一つであろう。
取っていることに特徴がある。これはMIT方式にも相通ずるものがある。
提示した10のキーワードに対するコメント
⑩
初めの基礎学力については、Bachelorコース の最 初の 2 年 間で 徹底 的に
鍛 え て い る 。そ の徹 底度 はド イ ツ に相 通ず ると ころ があ り、 英国 より 厳し
い。2 番目の課題解決能力については、Full Contact Research を通 じて
強化しているところである。3番目の企画力、プレゼン力も同じ。4番目の情報
処理能力については、それ自身を強調してのアクションは とっていない。5番目
の分析力はコースの中で一般的に取り組んでいるものに包含される。6番目の先
見性や創造性はMasterコースの修士論文の過程で当然要求さ れるものである。 バランスの取れた視点については、材料分科会の委員アンケートとかなり
7番目の実行力、決断力については、4番目と同様、それ自身のアクションは とっ 相通ずるところがある。
ていない。8番目のリーダーシップはチームプロジェクト(4人)の活動の中で発揮
されるものではあるが、それ自身教えるものでは無い(個人素養による)。9番目の
コミュニケーション力については、この5~6年で強化してきているところである。
フルレポートやプレゼンテーションの機会を使って充実を図っている。10番目の
興味・情熱については、ポスターセッション等も重要な手段として活用している。
提示した10のキーワードに
対する理想と現状
育成成果の評価について
⑪
非 公式 的な 意見 で言 えば 、最 も重 要な もの は、 「卒 業生 の意 見」 であ
本見解も日本でも認識されていたことではあるが、この見解の紹介が、材料
る。これは、シ ステマティック に集 約し てい るも ので はな いが 、情 報の 質と
分科会の委員に非常に注目され、定点観測を進める
しては高く、かつ意見を 言っ てく れる 学生 は大 学の こと を真 剣に 考え てい
ひとつのきっかけとなった。
てくれる為、説得力がある。
⑫
次に公式的なコミッティーによる判断の機会もある。正確に周期を決め
て実施しているわけではないが、概ね5年ごと行われているもので、6人~1
2人程度の規模で、半数は企業側の委員が入ることで、判断結果の正確性
を向上しようとしているが、上記学生の評価に比べ、やはり形式的なところ
がある。
育成システムの評価についても、材料分科会の大きな課題として、現在
フィードバックのあり方を議論している。左記の評価という意味では「大学評
価・学位授与機構」等の活動との対比となろうが、詳細な比較検討は本部
会のミッションを超えるので立ち入らない。
自立性担保の教育システム
⑬
「学生の自主性を高める」という考え方は、当然日本においても指向してい
重要なことは、学生の自立性の育 成で あり 、カリキュラムや修士論文、博
るが、産業側のニーズ・情報をどの程度まで反映された「自主性養成の環
士課程において、一貫して狙っているのもそこにある。
境作り」ができているかという点では、課題として残るものである。
43
大学・企業の育成評価方法の妥当性
5-2. ヒアリング結果
5-5-1.POSTEC GIFT 佐々木教授ヒアリング
2011 年 1 月10日
韓国 POSTEC GIFT
(POHANG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
Graduate Institute of Ferrous Technology)
9 つの研究部門で歳出的には 11(ローリングと特殊鋼を追加)
規模 100 名
教育側の組織はフラット化を指向している。
「ディスカッション重視」と言うことで、物理的環境も指向している。
teaching では無くディスカッション
25%が女性
1 億円の圧延試験設備 ZEN Former MPS8300DS
GIFT は従前技術者の再教育として取り組んでいたものの限界を感じ、画期的な
アウトプットを出すことを狙い、5 年前にスタート
教育者比率は MAX4 を越えないようにしている。現状 1:3
学生の能力を引き出すことを重視している。
100%英語で実施
International education の領域で世界の No1 を目指している。
POSCO に行こうと思えば 100%行ける、現実には、学生の意思を無視できないが、マスターで 1
名他を志望したことがいる程度。5 年前スタートなので、今年初めて結果が出る。
POSTECH 自体の特殊性もある。成績上位 3%が選抜される。
SNU 文部省 3~4 万人
カイスト 科学技術省 7~8 万人
POSTEC
3000 人 スタッフ 300 人 意図的に小さくしている。
就職先は基本的には研究職 韓国は Dr 以外は取らない。
日本の場合矛盾している。物の考え方を教えるのが大学の仕事なのに日本は出来ていない。
今 20/20 を目標にしている。2020 年までに 20 位に入ろうということである。(現在 28 位)
バイリンガルキャンパス
外国人比率25%(東南アジア インドなど)
学生教育は国家の財産という方針
日本の問題は teaching だからである。韓国も学部は同じであるが。
GIFT も優等生なので、答えのあるものに対する回答は早い。しかし考えてみろと
いわれると困ることとなる。
「だから研究する」という部分もある。マンツーマン教育の
重要性。
教員側の視点からすると 6 ケ月の企業研究を義務付けしている。(佐々木先生は個人的には
今の技術の延長線上ではないので必要なしと考えているが、現状の技術を
知らないと限界も分からないとは言えるとのこと)
学生の構成は材料系 3 割 その他は種々の学科から来ている。
44
技術者の理科離れなどという問題もあるが、その対策としては給与を
2 倍に上げる等の思い切った対策が必要。そうなると大学側も学生の質を
上げる努力を背させるを得なくなる。国立大学の場合、育成費用としては
理系の方がはるかにコストかかるので、求めるアウトプットも大きくなることから
して、その様な決断も必要となろう。
韓国の場合先生のステータスが極めて高く、学生とのギャップが大きい。
その関係は改善してパートナーとしたいところである。
韓国の学生の場合も日本と同じでディスカッションが苦手である。それに対しては
物理的な環境を作りサポートすることが必要。
大学にとっては企業の一ニーズはあまり高いプライオリテイにはならない。
だが、日本の材料系の場合、企業大学ともに相互依存している甘えがある。
企業が本気で材料系の学生が欲しいかどうか。コンペティションの無い社会は
必ず滅びるものである。
材料系としても学生の質の最低保証のようなことを実現してゆかなければ
ならない。GIFT の場合成績 B を取ると Caution が出る。もう一度取ると
退場となる。
一方日本の奨学金の制度は返済であり、中途半端である。GIFT の場合
30 万円支給されており、経済上十分補償されている。
人気一位のサムスンも同様の育成システムを取っている。韓国は競争社会であり、
優秀な学生を集めるための競争制度確立に躊躇はしない。
研究の構成は
10%は posco ニーズ 40%が GIFT の独自開発
50%が BT(ブレークスルーとして認証されたもの)という構成である。
一番と二番は以前は逆転していたが、それでは差別的なことが出来ないとして現状の
形にした。
佐々木先生自身は「固定還元鉄法」を開発している。溶解はするが、ストリップ鋳造後
固体段階での脱炭で介在物の影響を遮断する発想。
目標をはっきりさせることが重要で個性的な教育につながるのである。
例えばコリアン大の場合学部から英語を前提としている。
鉄の教育でトップとなるようなことをしてきたか。
POSCO とは方針会議を毎年行っている。韓国はトップダウンでやる国なので
方針がきまればやりやすい。危機感としては、POSCO は NSC にベンチマークして
ちょっと後に中国が迫ってきており、奥の深い仕事をする必要性にかられている。
ブレークスルーする貯めに GIFT という発想で出来たものである。独自技術の
必要性を強く感じているのである。POSCO の幹部は特に危機感をもって
心配している。POSCO は歴代会長が技術系であり、教員のサラリーも
意識的に高く確保している。サイテーションの数も世界 No1 であり、
シンクロトロンもその様な環境の中で運営している。
45
予算は年間 50 億円程度であり、成果は予算に比例する。
材料の「手法」を教える講座は必要性を感じず、数学物理化学、材料力学、熱力学
などの極基本的なことで十分だと考える。中途半端な手を教えても仕方ない。
卒業生の学生で何が出来るという品質保証が出来ていない。
マーキテリアルとか、マートといった総合的なものも必要と考える。
日本の材料系の学科は不健全である。あまりにも分散して材料科学の
科学とは何かを作り上げる必要がある。
就職しても鉄鋼メーカーなら良いが、他のメーカーなら主力になれない。
機械系はみずからの独自性でコンヒートできているが、材料系はできていない。
まずディスカッションすら出来ない。欧米では講義+演習がセットとなっている。
IHI では、20 人を韓国から取り出した。日本は重厚長大で不人気だが、
韓国ではそうでないので優秀な学生を取れるのである。良い学生を
手間隙かけて育てる時代から良い学生をとつてくるアプローチの
典型である。
Q 日本の場合戦略的に考えるのが不得意 POSCO のアジア戦略や
Finex アプローチなどやっている。その秘訣は
A 個人で発想してそれを推進することが出来るからである。これと
思った人が全権をもって責任の下にやる。日本は合議制であるところが
大きく違う。韓国はエリート社会であり、これはメリットもデメリットも
ある。ソウル大卒が幅を聞かせるところあたり。能力ある人に任せる
風潮があるが日本はこれが苦手。選ばれなかった人が全人格的に
否定された形になってしまっている。日本は「リーダーを育てる」
ことが不得意である。2020 年から韓国も外国人比率が 3 割越える時代となる。
「日本と韓国がいかに手を組む」かが今後のポイントと考えられる。中国は
そうさせまいと画策しているが、それに負けずに努力する必要がある。
46
5-2-2.北京科学技術大学・王教授
2011 年 1 月 14 日
北京科学技術大学にて
30 年前に、ポリシーを変更して経済的な視点が貧弱だという観点よ
り、工学系からビジネス系(コンピュータ含む)へのシフトが顕著と
なったが、行き過ぎがあり、ビジネス系の就職難という状況を生み
出していた。1995 年くらいから銀行や役所に行き過ぎ等の反省があ
り工学系に戻り始めた。(ちょうどその頃は中国の市場経済が大きく
加速する時期と一致している。)
鉄鋼の生産も驚異的に伸びたため、鉄への就職も良好な状況が形成
された。
学生の育成に関しては基礎教育の充実を行って魅力を高めるという
よりは、就職が良いということで十分の状況であった。競争が激し
いので、
好条件の就職が得られるのは、レベルの高いところという体制ができている。
学生の評価というのは難しいが、我々は以下の様な順序で考えている。
①大学のランク
トップ 2 は清華大学と北京大学の二つ 第 2 グループは
70 程度ある国立大学であるが、千差万別であり、教育系の大学も含まれる。
第3グループは省立等の地方大学であり、どこを出たかが重要。
2 番目に成績であり、上位5~10%に入っているかどうかで
状況が大きく違う。3 番目には、面接の結果である。成績だけで
判断できない「生きた表情や受け答え」で人格が分かる。
4 番目には、大学の先生による推薦を補助的に使っている。
入社後 1~5 年でパーソナリティを評価していくのでその
点は日本と似ている。
教育制度は 30 年以前はソビエトのコピーだった。その時代大学の先生は
教育の専任という立場であったが、カリキュラムを教えてテストで高い点を
とるかどうかを選別するというスタンスであり、思考したり、疑ったりという
様な訓練はされていなかった。1980 年代後半以降は、欧米への留学も増えたこともあり、
アメリカや日本の仕組みを導入し、カリキュラム内容も以下の 3 階層に厳選するようにした。
①基礎学科
数学、法律など
②エンジニアリング基礎(コンピューター、IT、応用物理も含む)
③金属学 金属製造基礎(製銑、製鋼などのいわゆる従来型鉄鋼製造含む)
その際、新領域にも配慮し、バイオ等も部分的に導入することで、③の領域は 50%以下に
することを目指した。
(鉄鋼に限定するともっと比率は低減させた)
そうすると企業側から、鉄鋼の基本的な内容を出来ない学生がいるとクレームが来る様になり、
内容を改善しつつあるところである。メタラジカル・エンジニアリングという名前に変えて
47
鉄鋼向けには限定せず、製造プロセス全体に通用する様な内容を教えるようにした。
又、企業での実験の機会を増やして体験的学習の頻度を増加させている。
Dr のケースで話をすると、日本とは給与システムが違い、始めから高い給与は与えることとして
いない。
成果が出れば上がる win-win の仕組みとしているので、就職は良好である。
ここ 10 年今日での驚異的成長の影響がカリキュラムら現れているかに対しては、
研究費は大幅に増えて、研究内容は変わったが、教育は基本は変わっていない。
もちろん、メソッドとしての IT の活用という様な表面的なものの変化はあるが、
この 10 年程度、教育の内容が変わったということは無い。
ただし、もっと長い目で見ると、30 年前は、鉄鋼なら鉄鋼・製銑という様に
かなり限定的・即物的な教育をするようなところもあったが、それは無くなった。
産学の連携の程度という点では、教育の点では良好な関係が出来ている。企業は
インターンシップを学生の育成に力を入れる目的で行っているので、学生の向き不向き
も評価するような動きが出来ている。一方研究の方はケースバイケースであり、
中小企業の場合は、企業側に体制が乏しいので連携関係は良いが、大企業の場合
研究連携が個人と個人のケースとなっており、特に教授個人と企業間という
形があり、そこはシステマティックでは無い。
トップで無い大学の学生のレベルは高く無く、就職も良好ではない。
政府は、その様なところに研究援助しているというのが実情である。中国の
大多数の層のレベルアップというのは、中国の抱える大きな問題である。
教育者は「優等生をどれだけ出したか」が評価されるが、中位者以降の状態は
評価されていない。
又、研究と教育の分離の点については、やはり中国でも研究重視という点には
変わりは無い。理想は両者については「違い」もあるのだから、峻別して
取り組めたら良いが、残念ながら「時間制約」があり、現実は難しい。
5-2-3.カリキュラム比較
北京科学技術大学については、王教授のご厚意により、学部における単位のデータを入手する
ことができた。それによると、10 年以上継続しているとおっしゃっていたカリキュラム内容が
「基礎重視」の徹底であることが解る。特に「コンピュータ」重視の傾向は「その他」項目の半
数以上をコンピュータが占めていることから推定できる。更に金属材料基礎および金属材料応用
の比率が依然高い日本の場合と比べ、北京科学技術大学の場合、その比率をかなり制限しており、
それが王教授の仰る「産業界からの不満」を一部呼んでいる可能性はある。しかしながら、それ
を含めても「基礎重視」をきちっとオーソドックスに継続しているところに、学ぶべき点はある
様に思料される。
48
Curriculum ratio(2007fiscal year)
数学
物理・化学
A Univ. 3.2%
11.3%
E Univ.
7.0%
F Univ.
7.2%
16.1%
22.5%
4.4%
H Univ.
24.6%
6.9%
4.0%
J Univ.
5.6%
北京科学技術大学
14.1%
8.1%
11.2%
11.2%
20%
8.8%
34.3%
34.6%
30%
40%
15.2%
50%
49
60%
1.6%
1.9%
16.7%
0.0%
1.6%
11.3%
7.8%
17.5%
6.1%
10.3%
22.3%
4.1%
2.3%1.5%
6.1%
9.7%
24.7%
9.6%
35.4%
4.8%
4.2%
11.3%
5.5%
21.1%
5.4%
20.8%
10%
3.2%
2.2%
18.9%
4.2%
31.4%
10.5%
29.2%
8.8%
0%
10.2%
13.2%
22.9%
21.0%
機械電気
23.7%
6.5%
7.5%
8.3%
15.1%
6.5%
29.0%
22.6%
35.4%
実験・実習・卒論
6.5%
12.9%
15.1%
8.3%
無機材料
37.6%
24.2%
9.4%
D Univ.
金属材料応用
2.2%
11.3%
C Univ.
I Univ.
金属材料基礎
18.3%
B Univ.
G Univ.
その他
12.3%
19.2%
5.6%
18.4%
70%
80%
6.9%
8.1%
16.8%
2.5%1.8%
3.5%
4.7%
10.2%
90%
100%
1.必修科目
原文
課程種類
課程名称
人文科学、社会科学、管理必修課 基礎外国語
(時間683、単位76)
体育
軍事理論
思想道徳修養
毛沢東思想概論
マルクス主義哲学原理
法律基礎
マルクス主義政治経済学原理
経済と管理
鄧小平理論と”三個代表"概論
数学、自然科学、計算機必修課
高等数学A(Ⅰ)
(時間733、単位81)
無機化学B
計算機文化基礎
無機化学実験B
高等数学A(Ⅱ)
大学物理A
C言語プログラミング
線形代数
工学物理学
工学力学
確率と数理統計
数学実験
パソコンの原理と応用
学科基礎必修課
機械設計と製図
(時間390、単位44)
物理化学B
電工技術実験
金属学原理
物理化学実験B
電子技術実験
電工技術
電子技術
専門必修課
冶金伝送原理
(時間424、単位45)
冶金物理化学
鋼鉄冶金学(Ⅰ)
鋼鉄冶金学(Ⅱ)
非鉄金属冶金学
環境工学
材料分析方法
金属材料学
冶金工程実験技術
必修課程時間合計
時間
262
140
32
30
36
45
30
36
36
36
94
63
36
42
78
118
54
42
60
54
42
10
40
99
90
14
45
36
16
45
45
66
66
40
46
40
30
36
46
54
2166
単位
29
16
4
3
4
5
3
4
4
4
10
7
4
5
9
13
6
5
6
6
5
1
4
11
10
2
5
4
2
5
5
7
7
4
5
4
3
5054
6
239
備考
実験4
実技18
课程类别
课程名称
人文、社科、管理类必修课
(学时683,学分76)
基础外语
体育
军事理论
思想道德修养
毛泽东思想概论
马克思主义哲学原理
法律基础
马克思主义政治经济学原理
经济与管理
邓小平理论和"三个代表"概论
高等数学A(Ι)
无机化学B
计算机文化基础
无机化学实验B
高等数学A(Ⅱ)
大学物理A
C语言程序设计
线性代数
工科物理实验
工程力学
概率论与数理统计
数学实验
微机原理与应用
机械设计与制图
物理化学B
电工技术实验
金属学原理
物理化学实验B
电子技术实验
电工技术
电子技术
冶金传输原理(双语)
冶金物理化学(双语)
钢铁冶金学(Ⅰ)(双语)
钢铁冶金学(Ⅱ)(双语)
有色金属冶金学(双语)
环境工程
材料分析方法
金属材料学
冶金工程实验技术
数学、自然、计算机类必修课
(学时733,学分81)
実技22
実験6 実技2
実験4
実験4
学科基础必修课
(学时390,学分44)
专业必修课
(学时424,学分45)
実験36
必修课程学时合计
2.選択科目
課程名称
C + +に関する可視化プログラミング
ナノ材料
無機非金属材料
環境化学
機能性材料
環境流体力学
冶金プロセス一般的アルゴリズムの分析と設計
冶金システム工学
環境システム工学
応用表面化学技術
データベースの原理と応用
人工知能の原理と応用
環境モニタリングと評価
エネルギー工学
冶金プロセス新技術
ソフトウェア工学
金属工学と環境資源
環境生態学
環境保護設備の設計
冶金プロセスの分析と離散信号の分析処理
レアメタルの抽出と回収
複合材料
時間
単位
36
20
27
36
36
36
36
20
20
30
36
36
36
36
36
20
30
30
30
36
36
36
備考
4 実技20
2
3
4
4
4 設計8、実技8
4 実技8
2
2
3
4
4 実技8
4
4
4
2
3
3
3
4 実技8
4
4
51
原文
课程名称
C++面向对象可视化程序设计
纳米材料
无机非金属材料
环境化学
功能材料
环境流体力学
冶金过程常用算法分析及设计
冶金系统工程
环境系统工程
应用表面化学与技术
数据库原理及应用
人工智能原理及应用
环境监测与评价
能源工程
冶金工程新技术
软件工程
冶金资源工程与环保
环境生态学
环保设备设计
冶金过程离散信号分析及处理
稀贵金属提取与回收
复合材料
3.生産実習科目
課程名称
コミュニティサービス
軍事訓練
コンピュータ応用実践
金属加工実習
両課演習(Practice)
機械課程設計
認識実習
生産実習
冶金工学専門コース設計
卒業論文
小計
週数
1週
3週
2週
2週
4週
2週
1週
4週
4週
18週
41週
単位
学期
4
4
4
2
8
8
36
66
1
1
2
3
3
4
6
6
7
8
実践場所
校内第一学年
第1-2週
サマースクール
サマースクール後期
校内
校外
校内1-4週
52
原文
课程名称
公益劳动
军训
计算机应用实践
金工实习C
两课实践
机械课程设计
认识实习
生产实习
冶金工程专业课程设计
毕业设计(论文)
小计
5-3. 考察と今後への活かし方
下表に海外ヒアリングの概要を総括する。韓国については、完全に研究 OJT のエリート教育であ
り、会社のトップのポリシーが極めて明確であるという特徴はあるものの、育成という観点から
は「teachimg では無く、discussion/debate」という双方向指向というものは、日本にとっても極
めて有効と考えられる。
一方、成長著しい中国においても、研究テーマについては、変革が早いものの、教育プログラ
ムについて、
「特別な刷新」を行っているものでは無く、地に足のついた「基礎教育」を行ってい
ることが判明したことは重要なことと思料される。
海外ヒアリング総括
ヒアリング個所
韓国・POSTEC・GIFT
佐々木教授
Environmental metallurgy
Laboratory
北京科学技術大学・王教授
Department of Ferrous
Metallurgy
得られた特徴的事項
今後への反映の考え方
①育成手法としてTeachingを
行うから、身に付かない。
Discission/Debateで
やらなければならない。
(学生/教員<4)
①エリート育成のケースでは
有効なアプローチと考えられる。
②戦略的なテーマに基づく
「研究OJT」が奏功。
韓国のトップダウン
方式が後押し。
②日本の場合でも、戦略判断
による取り組みのケースでは
有効なアプローチと考えられる。
①企業人材ニーズと
学生就職ニーズが
良好にマッチング。
①日本と中国の条件差もあり
単純比較困難。
②大学のカリキュラムが
基礎教育重視型であり、
10年以上変更せず
継続している。
②基礎立脚の重要性は相通ずるものであり、
材料分科会の指向である
「基礎と応用の橋渡し」の多様化/強化を
指向することが方策と考えられる。
53
第6章
これまでの材料分科会での議論・検討内容に対する評価収集
6-1. 評価項目の総括とヒアリング先
材料分科会が取り組んで来た、6 本の柱に対して、
「項目・狙い・実施内容・対象・結果・自
己評価」をまとめた共通フォーマットを作成し、下記のリストの委員にヒアリングを実施した。
その結果を次ページ以降に示す。尚、委員名はリストに示すものの、ご意見は匿名扱いとしてい
る。
評価ヒアリング委員
岡田 益男 教授
東北大学・総長補佐
三島 良直 教授
東京工業大学・大学院
総合理工学研究科長
清水 伸二 教授
上智大学 理工学部
教育界
長井 寿 様
浜田 直也 様
産業界
物質・材料研究機構
ナノ材料科学環境拠点マネージャー
新日本製鐵・技術開発企画部・技術企画GL(部長)
佐藤 敦 様
住友金属工業技術総括室長
谷 敬三 様
日本伸銅協会・事務局長
菅野 幹宏 様
古河スカイ㈱社外監査役
(元東京大学大学院工学研究科教授)
山田 直仁 様
日本ガイシ 材料セクター主任研究員
54
6-2. ヒアリング結果
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
し」を指向
研究室に配属されていない学部低
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
ネットワーク化することで、活
動の強化・最適化を図り
つつ、PR等情報の内外
共有化も併せて狙う。
H21年度の3試行事業の
全体総括と、事業化に
向けての企画検討
及びJRCMプロジェクトの
プレゼンス・アピール
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること ①技術経営概論講義
での育成が狙い。その際 ②グループ検討「将来の鉄鋼
に必要となる開発マネージ 技術の企画検討」
メント教育も併せて実施す
る。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
①鋼の高温物性
/赤熱脆性の解析
②テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討
③溶融亜鉛めっき鋼板の
めっき剥離性について
対象
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
結果
自己評価
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
事業化予定
産体系を理解できた。
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
詳細な内容検討の必要
はあるが、3つの取り組み
は、それぞれ「初期流動」
参画数:16名(教員含む) に対処しながら本来の狙
いに対する「きっかけ」が
構築できた。(教育的見地
からのアプローチ)
評価視点・評価/コメント
育成する側の
学生の自主性を
自己改革を伴う
評価/コメント
高める環境づくり
活動となって
となっているか
いるか
鉄鋼協会において、プレゼンスを行ってきた経験か
ら見て、本アプローチは有効と考えられる。講義し
見学のセットが意味のあるものと考えられる。留意点
としては見学参加者の鉄鋼就職率が必然的に
体制は整ったの
高いとは限らないことは念頭に置いておくべき
で、その中で運営
リクルート目的と
で、リクルートにあまりリジッドに結び付けすぎるのは
分離することが 方法の内容に関
良くない。見学での理解のレベルアップがポイントとな
し、引き続き検討す
ポイント
るが、修士の場合は時期を良く検討すべきであろ
べき。
う。M1早期の場合は「キャリアが決まる前に興味を
引く」効果を期待するのであろうし、適切な時期に
ついては、慎重に検討すべきであろう。
-
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
-
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
-
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
ことでPDCAを回す。
PDCA総論検討
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
専門分野別に、実質的な
意見が
聴取出来た。定期的な実
施も可能。
課題別(例えば、エリート
教育/ボトムアップ
のどれにどう焦点を当て
るかの切り口での
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
-
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
師
るかが、今ひとつ伝わっ
ジ」との連携融合
③母親含む家庭
てこなかった。」という意
見が最も代表的
-
本取り組みが一番わかりにくく、難しいものと思われ
Webの内容改善が る。特にWe bサイトの場合は、自然体では「 受け
ポイントとなる。
身」 になってしまうので、キーワード検索機能強
化とか工夫が必要である。
「テーマ発掘」がキーポイントとなることは言うまでも
無い。助教の参加は良いことであるが、助教が参画
できる環境を設備する必要があり、自然体では大
大学教員の負担軽 学の職務が忙しく無理なので、大学側にとって
減が重要課題
も「 インセンティブ」 を生むものが必要。「共同研
究」に結び付く様な着眼点などが必要であろう。又、
実行に当たっての実務の「効率化」も課題。
これは大学だけではなかなか実行できない内容で
あることから、評価できる。技術シーズの意義・意味
合いを頭に置いての研究活動という観点から、企業
鉄鋼協会の中の取
の人の出番であると考える。①③④は相互に関係
り組みの融合化が
しているので、セットとして考えてゆくことも重要
課題
であろう。鉄鋼協会の取り組みの中でうまい融合を
期待したい。
良い取り組みであ
る。
継続磁力が課題
鉄鋼工学セミナーアンケートは非常に良い取り
組みであり、是非大学側にもフィードバックして
欲しい。
4コマ漫画まで作る割には、多種多様の学生に「マ
インド」を伝達することは苦労の割には効率はあまり
良く無いと考えられる。実物の見学が良いのだが、n
を稼ぐのに限度があるので、母親含めた過程向け
に、もっとくだけた「 解りやすい」 内容にしたりす
るのも一案ではないか。
総合評価 実行上においては、③の課題設定と助教の環境整備の困難さが挙げられるが、上記取り組みでフェイタルな欠落項目は無いものと考えられる。鉄鋼協会での事業化においては実務実行上の新課題も出て容易では無いと思料するが、高い目標に向け
て、継続努力して欲しい。
55
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
評価視点・評価/コメント
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
し」を指向
研究室に配属されていない学部低
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
H21年度の3試行事業の
ネットワーク化することで、活
全体総括と、事業化に
動の強化・最適化を図り
向けての企画検討
つつ、PR等情報の内外
及びJRCMプロジェクトの
共有化も併せて狙う。
プレゼンス・アピール
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること ①技術経営概論講義
での育成が狙い。その際 ②グループ検討「将来の鉄鋼
に必要となる開発マネージ 技術の企画検討」
メント教育も併せて実施す
る。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
①鉄鋼表面に形成される
スケールの解析(H21FY)
②溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ
剥離性(H21FY)
①テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討(H21,22FY)
②高炉スラグ微粉末の活性度
に及ぼすMnOの影響(H22FY)
対象
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
結果
自己評価
学生の自主性
を高める環境づくり
となっているか
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
事業化予定
産体系を理解できた。
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
-
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
-
各取り組みは、それぞれ
「初期流動」に対処しなが
ら本来の狙いに対する
参画数:16名(教員含む)
「きっかけ」が構築でき
た。(教育的見地からのア
プローチ)
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
ことでPDCAを回す。
PDCA総論検討
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
課題別(例えば、エリート
専門分野別に、実質的な 教育/ボトムアップ
意見が
のどれにどう焦点を当て
聴取出来た。定期的な実 るかの切り口での
施も可能。
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
師
るかが、今ひとつ伝わっ
ジ」との連携融合
③母親含む家庭
てこなかった。」という意
見が最も代表的
刺激を与えてモチベー
ションを持つようにするこ
とが重要で、その環境づ
くりのマニュアル設備も必
要であろう。
-
-
-
育成する側の自己改革を伴う
活動となっているか
評価委員の
独自のご視点
学部レベルで何を求めるかについては充分に議論す
る必要がある。勿論、職種毎に要求が異なるという事
実は存在するであろうが、学部レベルでそれを意識し
て育成に反映する意義がどの程度あるのか疑問であ
る。寧ろ最低限どこでも共通的に必要なコアにな
産業界からの継続的な意思表明を特に期る部分を「 産業界」 からもっと明確に示すことで、
大学教育側も「 これだけは是非必要」 と自信をもっ
て教えてゆく姿勢が大切である。そういう観点か
らは今回のテキスト作り+ 基礎教育育成事業は素
晴らしい。
-
Web化を進展させていることは大変良いことであり、大
学講義においてもWe bの活用を行っているので、
それらの教材を利用することが出来て好都合であ
る。
-
あまり、「プログラム化」を狙いすぎて、全てお膳立てし
てデータを採らせるというのは、行き過ぎであると思う。
現場で起きている現象を自分で良く観察すること
から始めて、自然体では疑問すら出で来ないとこ
ろにチューターから質問で誘導する様な手間暇を
掛けることも重要と思う。
リクルートの比重が過大であり、3年で内
定しようとしても実力が十分判定できて
いないし、学生側も落ち着いて学業を行
うどころか、努力の姿勢すらそがれる実
態である。その様な矛盾に目をつぶっ
て、対策を上積みするだけの取り組みで
は一向に良くならない。産業界からそれ
に対するきちんとした要望を出して欲し
い。
育成上の問題点として「学生をお客様
にし過ぎている」ことが挙げられる。本当
に必要だと信念を持って教えるので無
く、学生の顔色/反響を見ながら教えて
いる状況であり、緊張感が無さ過ぎる
が、そのような「社会全体」の体質も変え
ていかなければ、部分的な評価だけ
行っても、改善は難しい。
又、「教える人」も不足していることが危
機。ただ、何度も言うが、「学生を甘やか
す」のではなく、信念をもって「最低限こ
の科目だけは絶対に履修しなくては,こ
の分野で,将来君のやりたい仕事はで
きない」ことを理解させる,教育者として
の気概を持った人材を育てることが重
要。
戦略的な視点から言うと、「人材育成パートナーシッ
プ」全体に共通することだが、「文部科学省&経済産
業省連携レベル」「国家レベル」の「日本の産業競争
力を向上させるには、これとこれとこれをやる」と言った
明確な方針が無いのが最大の問題で、左記の6つの
取り組みにしても、結局それが生きるかどうかも、全体
戦略によるところがあるので、せめてそれを「 産業
界」 からきちっと要求してもらうということは必要で
ある。
業界が率先して「 育成のメリットを感じて、官を引っ
張ってゆくべき」だと考える。そして、世界の材料動
向を踏まえてこのような「育成」が必要で、その為には
材料産業向け人材育成ベスト10はこの大学だというよ
うな産業界としての「 ニーズと評価」 を提示するよう
な産業界の意気込みが欲しい。
学生が「物づくりの現場」に行けていないことが最大の
問題なので、そのチャンスを増やす努力必要。またビ
ジネス中心に行われている展示会をもっと人材育成に
も使う必要がある.展示会場をリクルート活動の一環と
して学生が使えるような仕組みが必要である.展示会
場を就職相談,面接会場として使うようにしたら,もっ
と活気のある展示会になるかと思います.
(総括) 分野毎の取り組みであるので、出来れば分野における共通的/普遍的な概念の整理をしたいところであろう。難しさがあることは覚悟の上で業界でポリシーを持って進めるべき。最大の課題は「学生にいかに自立的な思考能力をつけさせるか」であり、それには、産業側が明確に「 こうして
欲しい」 を提示しつつ、自然体ではレベルアップしにくい学生に対して甘やかすのでは無く、効率的/ システマティックに育成が図れる「 マニュアル」 を作ることであり、今回の材料分科会の試みは奏功していると思料される。
今後は上述の様に、特に「 産業界の戦略」 をより強化して、「 官のWin / Win 体制の創出」 なども意識しながら、官をリードする産であって欲しいと考える。
56
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
評価視点・評価/コメント
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
研究室に配属されていない学部低
し」を指向
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
ネットワーク化することで、活
動の強化・最適化を図り
つつ、PR等情報の内外
共有化も併せて狙う。
H21年度の3試行事業の
全体総括と、事業化に
向けての企画検討
及びJRCMプロジェクトの
プレゼンス・アピール
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
結果
自己評価
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
産体系を理解できた。
事業化予定
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること ①技術経営概論講義
での育成が狙い。その際 ②グループ検討「将来の鉄鋼
に必要となる開発マネージ 技術の企画検討」
メント教育も併せて実施す
る。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
PDCA総論検討
ことでPDCAを回す。
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
専門分野別に、実質的な
意見が
聴取出来た。定期的な実
施も可能。
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
師
るかが、今ひとつ伝わっ
ジ」との連携融合
③母親含む家庭
てこなかった。」という意
見が最も代表的
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
①鉄鋼表面に形成される
スケールの解析(H21FY)
②溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ
剥離性(H21FY)
①テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討(H21,22FY)
②高炉スラグ微粉末の活性度
に及ぼすMnOの影響(H22FY)
対象
各取り組みは、それぞれ
「初期流動」に対処しなが
ら本来の狙いに対する
参画数:16名(教員含む)
「きっかけ」が構築でき
た。(教育的見地からのア
プローチ)
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
課題別(例えば、エリート
教育/ボトムアップ
のどれにどう焦点を当て
るかの切り口での
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
育成する側の
学生の自主性
自己改革を伴う
を高める環境づくり
活動となって
となっているか
いるか
評価委員の
独自のご視点
言及しない。
「産側」はあらゆる場で「基礎が重要」言
い続ける。但し、今の学生は「量子力
学」「材料力学」に対してなぜそれを勉
強しなければならないかピンと来な
い。それならいきなり「 具体的現実課
題」 の中から、問題を抽出させて、そ
こから「 基礎」 の問題に遡る様に指
導する手もあるのではないか。産側
はこの実態も踏まえた上でニーズを
言い続けなくてはならない。
テキスト新作も含めた民会の基礎教育
強化の活動は重要な活動項目として
評価できるものと考えるが、内容を更
に充実させてゆく為には継続的な改
善検討が必要であり、左記にも述べた
が産側が継続して大学側に言い続け
て行く必要がある。
言及しない。
言及しない。
言及しない。
-
言及しない。
-
-
-
言及しない。
東芝のインターンシップは極めて出
色している。各職場がリスキ-でと
ても手を出せない様な課題を集め
て、インターンシップで取り組み、結
果を各大学で発表させることを行って
いる。しかもそれに対して「 インターン
シップ専門の役員」がいる。(5年前か
ら開始)
言及しない。
-
-
セミナーアンケートの結果を
大学側にも是非伝えて欲しい。
教授自身も2000万円かけて総合科学
技術会議において、ナノテクのPRDVD
を作成し、関係に配布したが、有効に
活用されているかは判定が難しい。現
代はインターネットにアップロード
し、アクセス数で判定することで、
更新も行いながら、改善してゆくの
が一番良い。
(総括) 多数の課題を限られた予算の中で取り組んでおり、「欲張りプロジェクト」である印象は否めないが、あくまでも、個別課題で「実績・成果」を挙げるというものでは無く、今後絞り込んだ領域で、継続的に活動を行う為の調査活動であると認識しており、その観点からは、
①基礎教育の強化 ②評価システムとしての「 卒業生アンケート」 でのPDCA という二大取り組みへの重点化という結論は評価できる。
57
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
評価視点・評価/コメント
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
研究室に配属されていない学部低
し」を指向
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
H21年度の3試行事業の
ネットワーク化することで、活
全体総括と、事業化に
動の強化・最適化を図り
向けての企画検討
つつ、PR等情報の内外
及びJRCMプロジェクトの
共有化も併せて狙う。
プレゼンス・アピール
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること
での育成が狙い。その際
に必要となる開発マネージ
メント教育も併せて実施す
る。
①鋼の高温物性
/赤熱脆性の解析
②テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討
③溶融亜鉛めっき鋼板の
めっき剥離性について
①技術経営概論講義
②グループ検討「将来の鉄鋼
技術の企画検討」
対象
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
結果
自己評価
学生の自主性を
高める環境づくり
となっているか
育成する側の
自己改革を伴う
活動となって
いるか
評価委員の
独自のご視点
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
産体系を理解できた。
事業化予定
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
-
-
基礎教育の強化には大いに賛成。だが、必要とされている
基礎教育とは何かを具体化するには深い考察が必要。概し
て、工学部に進学する学生は、高校で普通科に在籍したも
のが多い。高校では、技術ではなく、いわゆる科学の勉
強を『 受験勉強』の枠内で履修しているとみるべき。しか
も技術に関する科目は皆無であるという事実に立脚し
て、工学部で行うべき基礎教育は何かをまず考えるべ
きだと思う。工学が理学とどう違うのかを基礎教育で重視す
べき。
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
-
-
ネットワーク化は不可欠であるが、大学を対象にしてネット
ワーク化する実現性はあるのか。本来的にオールジャパン
の存在である学会などが、高度技術者教育という目標
を掲げて事業を展開するのが現実的ではないかと思う。
-
-
成功例を一つでも作る。その成功体験を広げるという現
実路線しかにように思う。適切な課題はいくつもあると思う
ので、学会などがプラットフォームになるのが好ましい。
-
ビジョン作りは困難だろう。産学のトップマネージメントの立
場にある方々が、肉声で若者に語りかけるのが、最も効果が
大きいと思う。そのコンテンツを公開・アピールするだけでビ
ジョンづくりに匹敵する効果があると思う。日本では高度技
術者の社会貢献が制度的に期待されているという状況
がないことが致命的な弱点となっている。
詳細な内容検討の必要
はあるが、3つの取り組み
は、それぞれ「初期流動」
参画数:16名(教員含む) に対処しながら本来の狙
いに対する「きっかけ」が
構築できた。(教育的見地
からのアプローチ)
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
-
専門分野別に、実質的な
意見が
聴取出来た。定期的な実
施も可能。
課題別(例えば、エリート
教育/ボトムアップ
のどれにどう焦点を当て
るかの切り口での
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
-
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
PDCA総論検討
ことでPDCAを回す。
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
るかが、今ひとつ伝わっ
師
ジ」との連携融合
てこなかった。」という意
③母親含む家庭
見が最も代表的
(総括) 客観的な立場としてコメントさせていただいた。
58
大学評価を日本で定着させるのには、企業に就職した
公開採点方式に向
卒業生による公開採点が良いかもしれない。教育の微
けてのオープン化
細構造に立ち入るのは難しい。俯瞰的な問題提起が正確に
がキーワード
大学に伝わる工夫が必要。
若者をものづくり好きから遠ざけているのは、初等中等
初等中等教育の重 教育だという分析がある。元来嫌いな人たちを好きに洗脳
要性を忘れずに。 することはできないので、元来好きな人たちを励ますとい
う視点に立ち切った方が良い。
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
評価視点・評価/コメント
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
し」を指向
研究室に配属されていない学部低
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
ネットワーク化することで、活
動の強化・最適化を図り
つつ、PR等情報の内外
共有化も併せて狙う。
H21年度の3試行事業の
全体総括と、事業化に
向けての企画検討
及びJRCMプロジェクトの
プレゼンス・アピール
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
①鉄鋼表面に形成される
スケールの解析(H21FY)
②溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ
剥離性(H21FY)
①テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討(H21,22FY)
②高炉スラグ微粉末の活性度
に及ぼすMnOの影響(H22FY)
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること ①技術経営概論講義
での育成が狙い。その際 ②グループ検討「将来の鉄鋼
に必要となる開発マネージ 技術の企画検討」
メント教育も併せて実施す
る。
対象
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
結果
自己評価
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
事業化予定
産体系を理解できた。
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
各取り組みは、それぞれ
「初期流動」に対処しなが
ら本来の狙いに対する
参画数:16名(教員含む)
「きっかけ」が構築でき
た。(教育的見地からのア
プローチ)
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
育成する側の
学生の自主性
自己改革を伴う
を高める環境づくり
活動となって
となっているか
いるか
-
実行に当たっては産側もかなり負担のかかるものであるが、
本課題の産学で取り組む意味合いから見ると負荷をかけて
も実行する価値のある内容である。特に「学生に興味と志を
産側の定期的な
持ってもらうサポートをする」取り組みとして有意義である。
バージョンアップ
短期間で精力的に作成していただいたテキストについて
の重要性を強調
は、特に産側の視点で「 生きた技術としても見られる」
する。
様に定期的なバージョンアッ プが奏功すると思料する。そ
の際、産側の講師の人選にも配慮が必要である事は補足し
ておく。
-
-
当初は、「単位化」も視野に入れて実質的な出口設計を試
みたが、克服すべき課題が多すぎる事が調査で判明し、実
質的な活動が行える鉄鋼協会での事業化に軌道修正した
経緯はあるものの、全国の地区割りでの集中講義+製鉄所
での見学とのペアリンクおよび後述のWeb活用で実質的な拠
点とネットワークの構築は達成しうると判断する。一方We b
化については、実質的なベースを構築したので、今後
学生からのアクセス性の改善や、We bのPR等を通じて
充実が図られるものと考えている。
-
産側の定期的な
バージョンアップ
の重要性を強調
する。
成功を決するのはニーズ/シーズのマッチングに尽きる。大
前提としてある「共同研究前」という条件を課すと、実行する
のは現実的では無いと考えられる。換言すれば、「大学の
シーズを新規に適用可能なフィールド探索」の視点で見て
行った方がマッチングを行い易いのではないか。更に、良
いマッチングがあった後も実行には負荷がかかるの
で、産側も本事業には「 ポリシーを持って実施する」 覚
悟が必要。
-
「現場・現実・現物立脚の課題解決アプローチでは歯が立
たない中長期課題に対して夢を持って課題企画を行う疑似
体験をする」という本来目標に対して、開発マネージメント
改善検討が必要 講義の実態は相応しく無く、除外した方が良いのではない
か。学生にとって課題企画の醍醐味を体験させる事は重要
であるので、成功体験として「やって良かった」と思わせる
「設計」は必要で、これも産側の実行覚悟が必要。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
課題別(例えば、エリート
専門分野別に、実質的な 教育/ボトムアップ
意見が
のどれにどう焦点を当て
聴取出来た。定期的な実 るかの切り口での
施も可能。
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
-
-
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
ことでPDCAを回す。
PDCA総論検討
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
師
るかが、今ひとつ伝わっ
ジ」との連携融合
③母親含む家庭
てこなかった。」という意
見が最も代表的
評価委員の
独自のご視点
常日頃言っている事であるが、「育成で実績を挙げた大学」
を正しく評価する事が重要で、「産官学」の中で最後には
「官」できちんとそこをオーソライズして欲しい所であるが、
「官」にそれをやっていただく為の「ネタ作り」を総論で無く、
情報活用の高度
具体論で構築する方向で産も今後取り組むべきではと思
化が課題
料する。
鉄鋼工学セミナーの定点観測は、ツールとしては有
用であるので、情報を良く解析して、上記目的にも活用
できる様にする事も重要である。
Webの活用が重要となってゆくことになる。その際、キー
ワードは①母親②高校生 と考えられる。①母親は「 興
味」 というより「 関心」 をどう持ってもらうかを女性も入れ
高校教育改革が て検討すべきであるし、②高校生は、理科に興味を
重要
もっていたのに、「 無機的な数式の押しつけ」 でスポイ
ルしてしまわないような高校教育改革が必要と考え
る。
(総括) 「物づくりの大切さ」「理科のわくわく感」から始まり、「技術系が報われる」という社風につながることが理想かどうかは兎も角、少なくとも学生は、働いている従業員がどれだけ充実しているかを「 きちんと見極めている」 という原点からスタートして人材育成に取
り組んでゆくべきと考えている。
59
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
し」を指向
研究室に配属されていない学部低
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
H21年度の3試行事業の
ネットワーク化することで、活
全体総括と、事業化に
動の強化・最適化を図り
向けての企画検討
つつ、PR等情報の内外
及びJRCMプロジェクトの
共有化も併せて狙う。
プレゼンス・アピール
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること
での育成が狙い。その際
に必要となる開発マネージ
メント教育も併せて実施す
る。
①鉄鋼表面に形成される
スケールの解析(H21FY)
②溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ
剥離性(H21FY)
①テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討(H21,22FY)
②高炉スラグ微粉末の活性度
に及ぼすMnOの影響(H22FY)
対象
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
結果
自己評価
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
事業化予定
産体系を理解できた。
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
各取り組みは、それぞれ
「初期流動」に対処しなが
ら本来の狙いに対する
参画数:16名(教員含む)
「きっかけ」が構築でき
た。(教育的見地からのア
プローチ)
言及しない
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
ことでPDCAを回す。
PDCA総論検討
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
専門分野別に、実質的な
意見が
聴取出来た。定期的な実
施も可能。
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
師
るかが、今ひとつ伝わっ
ジ」との連携融合
③母親含む家庭
てこなかった。」という意
見が最も代表的
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
①技術経営概論講義
②グループ検討「将来の鉄鋼
技術の企画検討」
学生の自主性
を高める環境づ
くり
となっているか
実製造ラインの
見学と座学の組
み合わせは効
果的であると考
える。
課題別(例えば、エリート
教育/ボトムアップ
のどれにどう焦点を当て
るかの切り口での
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
評価視点・評価/コメント
育成する側
の
評価委員の
自己改革を 独自のご視点
伴う
カリキュラム ベック「鉄の歴史」、ヒュームロ
内容等、社 ザリー「対話金属基礎論」のよう
内教育の参 な、学術的薀蓄話も入れたら
どうでしょう。
考とした。
言及しない
言及しない
当社の場合は、 会社の研究 一歩踏み込んだインターン
極めて向上した に資する成 シップとして実績が上がった
と考えます。
果が上がりま と考えます。
した。
受講者は、何ら
かのポジティブ
な刺激を受けた
と思う。ただし受
講者の期待を満
足したかどうか
は不明。
言及しない
言及しない
試行2回で進 研究開発を行うエンジニアとし
歩はあったと て身につけるべき研修であるこ
思うが、未だ とは間違いない。
模索段階と
思う。
言及しない
言及しない
フィードバックの前段としての「情報」と
いうところから価値があると考える。特に
工学の世界では、「学の独立」とい
うわけにはいかないので、是非産の
意見反映という観点から 、こ の情報
を活用していただきたいと考える。
素材は地味であるという宿命は仕方の
ないことであるが、社会インフラの提供
まで含めた幅広い事を行っているわけ
であるので、解ってもらいにくいという
ハードルの高さは認識しつつ、継続努
力は必要である。
(総括)全体的には、投下した工数に見合う成果は上がっていると思う。 しかし、個人的にはベーシックな疑問が無いわけではない。即ち、人材が育つために本人が持つ要素として、知識・情報、モチベーション、に加えて信念・思想信条・
日常生活における哲学的根拠がある。かつては、「鉄は国家なり」であり「鉄は産業の米」であったわけで、鉄鋼業を目指す若者がこれらの言葉に少なからず意気に感じていたはずである。知識、興味、きっかけも確かにとても大事だと思
いますが、若者の心理に訴える要素が少ないように思えます。その意味で、経営トップの特別講義は、期待したいと思います。
60
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
評価視点・評価/コメント
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
し」を指向
研究室に配属されていない学部低
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
ネットワーク化することで、活
動の強化・最適化を図り
つつ、PR等情報の内外
共有化も併せて狙う。
H21年度の3試行事業の
全体総括と、事業化に
向けての企画検討
及びJRCMプロジェクトの
プレゼンス・アピール
①鉄鋼表面に形成される
スケールの解析(H21FY)
②溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ
剥離性(H21FY)
①テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討(H21,22FY)
②高炉スラグ微粉末の活性度
に及ぼすMnOの影響(H22FY)
対象
結果
自己評価
評価委員の
独自のご視点
座学と工場見学の
セットが価値あり。
-
自身の実習体験から一番印象に残っていることは、現場の
現象に接する機会を得ることも大切であるが、それを帰宅後
に自分のものとしてどれだけ咀嚼して身につけるかである。
そういう意味では、基礎を身につけるとは、「 単に知る」
では無く、「 基礎からの調べ方・ 考え方のアプローチを
身につける」 ことであり、その観点から、今回の基礎教
育強化の狙いが、座学と工場見学のセットとなってい
る点で評価できる。
-
-
Web化については、「基本的に活動参加できていない学
生」に対する広い周知活動として、有効であると考える。
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
-
育成する側が「共
同研究前」という
視点で考えてい
る点で認識は正し
い。
本取り組みで、直接的な「事象に対する結果」を求めるのは
適切では無く、あくまでも「 問題解決の手法を学ぶ」 とい
うことに徹するべきであろう。育成を企画する側もその位
置づけを弁えて臨むべきである。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
-
-
夢を持たせることは重要であり、世界が変わる様な発想を持
つ機会として有効。
専門分野別に、実質的な
意見が
聴取出来た。定期的な実
施も可能。
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
事業化予定
産体系を理解できた。
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
育成する側の
学生の自主性を
自己改革を伴う
高める環境づくり
活動となって
となっているか
いるか
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること ①技術経営概論講義
での育成が狙い。その際 ②グループ検討「将来の鉄鋼
に必要となる開発マネージ 技術の企画検討」
メント教育も併せて実施す
る。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
PDCA総論検討
ことでPDCAを回す。
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
るかが、今ひとつ伝わっ
師
ジ」との連携融合
てこなかった。」という意
③母親含む家庭
見が最も代表的
各取り組みは、それぞれ
「初期流動」に対処しなが
ら本来の狙いに対する
参画数:16名(教員含む)
「きっかけ」が構築でき
た。(教育的見地からのア
プローチ)
課題別(例えば、エリート
教育/ボトムアップ
のどれにどう焦点を当て
るかの切り口での
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
フィードバック内
その活動のフィード 容が具体的なの
卒業生の声を聞くことは極めて有効である。修士や博士課
バックで学生側の で大学側・企業側
程の学生に聞くのとは、内容の充実度がはるかに違う。
意識も変わる。
ともに改革に結び
付きやすい
-
-
材料の場合、内容に対する「直感」をもってもらうことが難し
いので、その点を良く考慮すべき。母親や高校の教師を対
象とすることは有効であり、「 色々な角度からのPR」 を行
うことが重要。
(総括) 折角、工学・理学に対して興味を持ちかけているのに、高校段階の数式化で挫折する問題については、「 厳密化を狙って嫌いな生徒を生み出すことは本末転倒」 ということを言いたい。高校教育の目的は、厳密な内容を教えることでは無く、その領域を使
える学生を生み出すことであるという教育の原点を忘れるべきではない。
61
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
評価視点・評価/コメント
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
研究室に配属されていない学部低
し」を指向
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
ネットワーク化することで、活
動の強化・最適化を図り
つつ、PR等情報の内外
共有化も併せて狙う。
H21年度の3試行事業の
全体総括と、事業化に
向けての企画検討
及びJRCMプロジェクトの
プレゼンス・アピール
①鉄鋼表面に形成される
スケールの解析(H21FY)
②溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ
剥離性(H21FY)
①テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討(H21,22FY)
②高炉スラグ微粉末の活性度
に及ぼすMnOの影響(H22FY)
対象
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
結果
自己評価
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
産体系を理解できた。
事業化予定
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
継続の為の組織
双方向の議論とし 運営となっている
ことが評価でき
て評価できる。
る。
評価委員の
独自のご視点
この種の「エポック」的な企画の長所は、その課題に対し
て、通常とは違う環境で、学生や先生が「 興味の集中
と質疑応答」 が出来るという点である。双方向の授業と
いう点でも非常に意味がある。又、「継続する」ことが重
要であり、その為の組織運営の仕方を継続して議論するこ
とも重要。
-
継続という意味で重要であり、ネットワーク関係者の努
将来のバージョン 力が必要である。更に大学間や協会間のネットワークも将
アップには期待す 来重要となるので、視野にいけておく必要あり。Webの重要
性は100%アグリーするが、その場合、実務者をきちんと入
る。
れて進めるべきである。
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
-
基礎教育を補完する形となろうが、この種の活動は非常に
将来のバージョン 大事であり、受け入れの負担を考慮しても推進すべきもの
アップには期待す であると考える。これも継続が重要なので、鉄分野だけ
る。
でない連合軍での持ち回りでも良いのではないか。内
容のレベルを票純化しておけば可能だと思われる。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
-
専門分野別に、実質的な
意見が
聴取出来た。定期的な実
施も可能。
全般
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
育成する側の
学生の自主性を
自己改革を伴う
高める環境づくり
活動となって
となっているか
いるか
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること ①技術経営概論講義
での育成が狙い。その際 ②グループ検討「将来の鉄鋼
に必要となる開発マネージ 技術の企画検討」
メント教育も併せて実施す
る。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
ことでPDCAを回す。
PDCA総論検討
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
課題別(例えば、エリート
教育/ボトムアップ
のどれにどう焦点を当て
るかの切り口での
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
-
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
るかが、今ひとつ伝わっ
師
ジ」との連携融合
てこなかった。」という意
③母親含む家庭
見が最も代表的
-
各取り組みは、それぞれ
「初期流動」に対処しなが
ら本来の狙いに対する
参画数:16名(教員含む)
「きっかけ」が構築でき
た。(教育的見地からのア
プローチ)
-
非鉄分野においても、カリキュラムの中に必ず取り込んで企
画実行しており、学生にとっても興味が大の所である。研究
の視点では無く、企業経営の視点から考えるのも重要であ
ろう。
将来のバージョン アンケート評価を行うという企画は評価するが、それだけで
アップには期待す 無く、本育成事業と更に一体化したPDCAを回すことも
る。
将来考えたら良いのではないか。
-
母親の関心を引くことは非常に重要。3~4年前も議論
あったが、難しい問題の為、なかなか進捗できていない。
(総括) 企業トップや経済産業省、大学の著名な先生に講演してもらう企画もあるが、参加者が50~60人程度と必ずしも多くなく、あまり効果を挙げている様には見えない部分もある。答えが決まっているものを教えるものではないし、難しい面もあるのは事実だが、もっと「ポリ
シー」を出してゆくべきではないか。
62
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 総括
評価視点・評価/コメント
狙い
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
実施内容
修士講座
3日間の集中講義+工場見学
①高温冶金プロセス(4コマ)
基礎教育の充実、特に、 ②加工・成形プロセス(4コマ)
工業生産プロセスにおい ③組織と特性(4コマ)
て基礎現象がどの様に応 ④機能と環境性能(4コマ)
用されているかの「橋渡 学部講座
研究室に配属されていない学部低
し」を指向
学年の学生を対象に、鉄鋼業に対
する理解促進を図り、鉄鋼業を志す
学生を増やすための講義を実施
特徴ある人材育成活動を
ネットワーク化することで、活
動の強化・最適化を図り
つつ、PR等情報の内外
共有化も併せて狙う。
H21年度の3試行事業の
全体総括と、事業化に
向けての企画検討
及びJRCMプロジェクトの
プレゼンス・アピール
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
(共同研究対象外のテーマ
として)企業が日常取り扱
えていない現象・事象に
対して科学のメスを入れ
るという趣旨で、教員も含
めた長期的視点の下、現
場現物現実で課題解決
を狙う。
①鉄鋼表面に形成される
スケールの解析(H21FY)
②溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ
剥離性(H21FY)
①テラヘルツ波を利用した
分析技術の検討(H21,22FY)
②高炉スラグ微粉末の活性度
に及ぼすMnOの影響(H22FY)
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
材料分野の夢を描くという
大命題の下、中長期的な
開発課題を企画すること ①技術経営概論講義
での育成が狙い。その際 ②グループ検討「将来の鉄鋼
に必要となる開発マネージ 技術の企画検討」
メント教育も併せて実施す
る。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
対象
修士講座
受講数;30名
学部講座
受講数;61名
全般
結果
自己評価
育成する側の
学生の自主性を
自己改革を伴う
高める環境づくり
活動となって
となっているか
いるか
評価委員の
独自のご視点
修士学生では大学で学
ぶ基礎が企業で実践・応
用されていることを理解
し、製鉄所の鉄鋼製品生 鉄鋼協会でH23年度より
産体系を理解できた。
事業化予定
学部学生では、鉄鋼への
理解・興味・関心が大きく
高まった。
-
企業人の生の声
を伝える環境を設
定することで、自
らの継続努力とも
なる。
①WG1-1の内容の
鉄鋼協会での
自立化を達成
②ネットワーク化に向け
Web-Site化推進
-
Webの維持に際し 各大学に分散してしまうことは、弱体化を促進するので、拠
て自らの改革を伴 点ネットワーク化は有効な手段である。研究テーマすら重
わざるを得ない。 複してしまう可能性もあり、それを回避することが出来る。
各取り組みは、それぞれ
「初期流動」に対処しなが
ら本来の狙いに対する
参画数:16名(教員含む)
「きっかけ」が構築でき
た。(教育的見地からのア
プローチ)
自身の経験からして、学生が企業人の生きた講義を聴く
チャンスを持つことは極めて有効であり、是非継続して
続けてゆくべきであると考える。更に本講座のPRについ
ても工夫してゆけば更に充実するであろう。学生の全員が
優秀でなくても、トップ2割が優秀であれば良いが、その2割
が他分野に流れてしまうことを防止する目的の為には、この
様な「基礎教育強化事業」が必要となろう。
ペアリングの設定が最大
の課題という認識の下
鉄鋼協会での事業化検
討を行う。
当社では難しい
当社では難しい
当社程度の規模の企業では、実行は難しいと考える。
実質やれるとすると2週間程度なので、なかなかここで構想
している様な取り組みにまでは至らない。
受講数:36名
討議は刺激的であった
と、当初の狙いの「ビジョ
ビジョン作りを受けた「開
ン作り」は概ね成功。
発マネージメント」
講義との有機的連携等、
の充実が重要
運営技術上の課題が得ら
れた。
当社では難しい
当社では難しい
これも弊社程度の規模の企業では、実行は難しいと考
える。又、マネージメントであれば、学生の間に行う必要は
ないと考える。⇒マネージメント教授が目的では無く、現場
現実現物では解決できない将来課題を夢を持って検討す
るという本来目的を説明してご理解を戴いた。
①大学別/企業別 評価項目の設
育成の評価を可視化する 定と
ことでPDCAを回す。
PDCA総論検討
②新規卒業生の意見反映
②鉄鋼工学セミナー
参加 約140名
専門分野別に、実質的な
意見が
聴取出来た。定期的な実
施も可能。
社会に貢献する切り口として
材料の社会貢献とそれを
①豊かさ・新価値+安全安心
支える材料の技術的側
②快適・快感③省エネ・高効率
面を可視化
④環境・エコ⑤健康・衛生
学生からは「自分が将
①学生 ②高校以下の教 来、どの様な活躍が出来
企業PR用の「活躍イメー
師
るかが、今ひとつ伝わっ
ジ」との連携融合
③母親含む家庭
てこなかった。」という意
見が最も代表的
課題別(例えば、エリート
教育/ボトムアップ
のどれにどう焦点を当て
るかの切り口での
更なる解析)の解析など
に深化させたい。
事故改革も伴う唯 これが唯一有効な手段であろう。我々から見ても、良い
一無比の有効な 教育を受けて来た人財と放ったらかしにされて来た人材
方法
は、見ただけで判別が付く。
Webの活用が雌
雄を決する。
当社においてもホームページにて化学実験のコーナーを
紹介しており、宿題対応時期となるとかなり好評である。こ
の様に「 We b」 の活用がかなり実質的である。
(総括) 個々の事業はそれぞれ意味ありと考えるが、それらを有機的に組み合わせて、発展させてゆくことを是非期待したい。特に基礎教育強化事業と若者へのものづくりの面白さの伝達についての連携が重要であると考える。
63
産学連携人材育成事業(鉄鋼業等材料産業における人材育成にかかる産学連携の在り方に関する調査事業) 評価コメント案含めた事務局総括
事務局総括
評価/コメント
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
鉄鋼協会において、プレゼンスを行ってきた経験から見
て、本アプローチは有効と考えられる。講義し見学のセット
が意味のあるものと考えられる。留意点としては見学参
加者の鉄鋼就職率が必然的に高いとは限らないこと
は念頭に置いておくべきで、リクルートにあまりリジッドに
結び付けすぎるのは良くない。見学での理解のレベルアップ
がポイントとなるが、修士の場合は時期を良く検討すべき
であろう。M1早期の場合は「キャリアが決まる前に興味を
引く」効果を期待するのであろうし、適切な時期について
は、慎重に検討すべきであろう。
学部レベルで何を求めるかについては充分に議論する必
要がある。勿論、職種毎に要求が異なるという事実は存在
するであろうが、学部レベルでそれを意識して育成に反映
する意義がどの程度あるのか疑問である。寧ろ最低限ど
こでも共通的に必要なコアになる部分を「 産業界」 か
らもっと明確に示すことで、大学教育側も「 これだけは
是非必要」 と自信をもって教えてゆく姿勢が大切であ
る。
「産側」はあらゆる場で「基礎が重要」言い続ける。但し、
今の学生は「量子力学」「材料力学」に対してなぜそれを
勉強しなければならないかピンと来ない。それならいき
なり「 具体的現実課題」 の中から、問題を抽出させて、
そこから「 基礎」 の問題に遡る様に指導する手もある
のではないか。産側はこの実態も踏まえた上でニー
ズを言い続けなくてはならない。
当初は、「単位化」も視野に入れて実質的な出口設計を
試みたが、克服すべき課題が多すぎる事が調査で判明
し、実質的な活動が行える鉄鋼協会での事業化に軌道修
正した経緯はあるものの、全国の地区割りでの集中講義+
製鉄所での見学とのペアリンクおよび後述のWeb活用で実
質的な拠点とネットワークの構築は達成しうると判断する。
一方We b化については、実質的なベースを構築したの
で、今後学生からのアクセス性の改善や、We bのPR
等を通じて充実が図られるものと考えている。
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
本取り組みが一番わかりにくく、難しいものと思われる。特
Web化を進展させていることは大変良いことであり、大学
にWe bサイトの場合は、自然体では「 受け身」 になって
講義においてもWe bの活用を行っているので、それら
しまうので、キーワード検索機能強化とか工夫が必要
の教材を利用することが出来て好都合である。
である。
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
「テーマ発掘」がキーポイントとなることは言うまでも無い。
助教の参加は良いことであるが、助教が参画できる環境を
設備する必要があり、自然体では大学の職務が忙しく
無理なので、大学側にとっても「 インセンティブ」 を生
むものが必要。「共同研究」に結び付く様な着眼点など
が必要であろう。又、実行に当たっての実務の「効率化」も
課題。
あまり、「プログラム化」を狙いすぎて、全てお膳立てして
データを採らせるというのは、行き過ぎであると思う。現場
で起きている現象を自分で良く観察することから始め
て、自然体では疑問すら出で来ないところにチュー
ターから質問で誘導する様な手間暇を掛けることも重
要と思う。
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
これは大学だけではなかなか実行できない内容であること
から、評価できる。技術シーズの意義・意味合いを頭に置
いての研究活動という観点から、企業の人の出番であると
考える。①③④は相互に関係しているので、セットとし
て考えてゆくことも重要であろう。鉄鋼協会の取り組み
の中でうまい融合を期待したい。
戦略的な視点から言うと、「人材育成パートナーシップ」全
体に共通することだが、「文部科学省&経済産業省連携レ
ベル」「国家レベル」の「日本の産業競争力を向上させるに
は、これとこれとこれをやる」と言った明確な方針が無いの
言及しない。
が最大の問題で、左記の6つの取り組みにしても、結局そ
れが生きるかどうかも、全体戦略によるところがあるの
で、せめてそれを「 産業界」 からきちっと要求してもら
うということは必要である。
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
東芝のインターンシップは極めて出色している。各職
場がリスキ-でとても手を出せない様な課題を集め
て、インターンシップで取り組み、結果を各大学で発表さ
せることを行っている。しかもそれに対して「 インターン
シップ専門の役員」 がいる。(5年前から開始)
業界が率先して「 育成のメリットを感じて、官を引っ張っ
てゆくべき」 だと考える。そして、世界の材料動向を踏まえ
てこのような「育成」が必要で、その為には材料産業向け
鉄鋼工学セミナーアンケートは非常に良い取り組みで
セミナーの結果を大学側にも
人材育成ベスト10はこの大学だというような産業界として
あり、是非大学側にもフィードバックして欲しい。
是非伝えて欲しい。
の「 ニーズと評価」 を提示するような産業界の意気込
みが欲しい。
4コマ漫画まで作る割には、多種多様の学生に「マインド」
を伝達することは苦労の割には効率はあまり良く無いと考
えられる。実物の見学が良いのだが、nを稼ぐのに限度が
あるので、母親含めた過程向けに、もっとくだけた「 解り
やすい」 内容にしたりするのも一案ではないか。
学生が「物づくりの現場」に行けていないことが最大の問
題なので、そのチャンスを増やす努力必要。またビジネス
中心に行われている展示会をもっと人材育成にも使う必要
がある.展示会場をリクルート活動の一環として学生が使
えるような仕組みが必要である.展示会場を就職相談,面
接会場として使うようにしたら,もっと活気のある展示会に
なるかと思います.
実行に当たっては産側もかなり負担のかかるものである
が、本課題の産学で取り組む意味合いから見ると負荷をか
けても実行する価値のある内容である。特に「学生に興味
と志を持ってもらうサポートをする」取り組みとして有意義で
ある。短期間で精力的に作成していただいたテキストにつ
いては、特に産側の視点で「 生きた技術としても見ら
れる」 様に定期的なバージョンアッ プが奏功すると思料す
る。その際、産側の講師の人選にも配慮が必要である事
は補足しておく。
岡田教授自身も2000万円かけて総合科学技術会議にお
いて、ナノテクのPRDVDを作成し、関係に配布したが、有
効に活用されているかは判定が難しい。現代はインター
ネットにアップロードし、アクセス数で判定することで、
更新も行いながら、改善してゆくのが一番良い。
(評価コメント総括) 多数の課題を限られた予算の中で取り組んでおり、非常に多角的・精力的に取り組んでいる。本活動の位置づけとしては、個別課題で「実績・成果」を挙げるというものでは無く、今後絞り
込んだ領域で、継続的に活動を行う為の調査活動であると認識しており、その観点からは、①基礎教育の強化 ②評価システムとしての「 卒業生アンケート」 でのPDCA という二大取り組みへの重
点化という結論は評価できる。
64
成功を決するのはニーズ/シーズのマッチングに尽きる。
大前提としてある「共同研究前」という条件を課すと、実行
するのは現実的では無いと考えられる。換言すれば、「大
学のシーズを新規に適用可能なフィールド探索」の視点
で見て行った方がマッチングを行い易いのではないか。更
に、良いマッチングがあった後も実行には負荷がかか
るので、産側も本事業には「 ポリシーを持って実施す
る」 覚悟が必要。
「現場・現実・現物立脚の課題解決アプローチでは歯が立
たない中長期課題に対して夢を持って課題企画を行う疑
似体験をする」という本来目標に対して、開発マネージメ
ント講義の実態は相応しく無く、除外した方が良いのでは
ないか。学生にとって課題企画の醍醐味を体験させる事
は重要であるので、成功体験として「やって良かった」と思
わせる「設計」は必要で、これも産側の実行覚悟が必要。
常日頃言っている事であるが、「育成で実績を挙げた大
学」を正しく評価する事が重要で、「産官学」の中で最後に
は「官」できちんとそこをオーソライズして欲しい所である
が、「官」にそれをやっていただく為の「ネタ作り」を総論で
無く、具体論で構築する方向で産も今後取り組むべきで
はと思料する。
鉄鋼工学セミナー定点観測は、ツールとしては有用
であるので、情報を良く解析して、上記目的にも活用
できる様にする事も重要である。
Webの活用が重要となってゆくことになる。その際、キー
ワードは①母親②高校生 と考えられる。①母親は
「 興味」 というより「 関心」 をどう持ってもらうかを女性も
入れて検討すべきであるし、②高校生は、理科に興
味をもっていたのに、「 無機的な数式の押しつけ」 でス
ポイルしてしまわないような高校教育改革が必要と考
える。
「H23FY鉄鋼協会事業化」予定
されている。産側が「基礎」の工業
的意味合いを多様な角度から明確
化する努力を学に対する継続がポ
イントである。
試作したWebをスパイラルアップ方
式で拡充してゆくことが最も実質的
である。
産学の共同研究の手前の「エンブ
リオ」の段階の「テーマの芽出し」
から着手することも視野に、推進方
法の検討から要着手
試作したWebの活動の一端とし
て、「テーマの芽出し」を行ってゆく
ことが実質的と考えられる
卒業生フィードバックの定点観測
化については、極めて好評であり、
的を射た手段であることが評価され
ている。
PR素材をWebにアップロードするこ
とをスパイラルアップ方式で推進す
ることが実質的と考えられる。
第7章
7.1
まとめ(総括と次年度以降の方針)
総括
1.基礎教育強化事業については、
「基礎と応用の橋渡し」の主旨を多角的な事例も含め、システ
マテックにかつ継続的に実施してゆく大方針が再確認された。学生時代に「これは重要」と体感
させる工夫が必要。
2.大学の教育評価見直し事業については、卒業生の生の声のフィードバックは極めて有効であ
り、今後、解析の深堀も含め、継続的に取り組む価値が大である。
3.ネットワーク化、産学連携プラクティス事業、開発マネージメント育成事業、ものづくり面
白さ伝達については、材料分科会および事業評価委員の議論の集約に見られる様に、試作 Web の
充実とプラクティス・マネージメント事業の芽出し、PR 素材のアップロードを含めネットワーク
化に取り組むことが有効である。特に、
「アクセス」の反応を見て、軌道修正を行う方法が効果的
である。
産学連携人材育成事業 総括
取り組み項目
外部評価の総括
事業総括
「H23FY鉄鋼協会事業化」予定
①基礎教育強化事業
(WG1-1)
「H23FY鉄鋼協会事業化」予定
されている。産側が「基礎」の工業
的意味合いを多様な角度から明確
化する努力を学に対する継続がポ
イントである。
②拠点・ネットワーク化
事業
(WG1-2)
試作したWebをボトムアップ方式で
拡充してゆくことが最も実質的であ
る。
Webの戦力化(net化、分野戦略、
PRの3者一体)
③課題解決型産学連携
プラクティス事業
(WG2-1)
産学の共同研究の手前の萌芽段
階の「テーマの芽出し」から着手す
ることも視野に、推進方法の検討
から要着手
Webの戦力化(net化、分野戦略、
PRの3者一体)
④課題解決型・
開発マネージメント
育成事業(WG2-2)
試作したWebの活動の一端とし
て、「テーマの芽出し」を行ってゆく
ことが実質的と考えられる
Webの戦力化(net化、分野戦略、
PRの3者一体)
⑤大学の教育評価
システムの見直し
(追加改善)
卒業生フィードバックの定点観測
化については、極めて好評であり、
的を射た手段であることが評価され
ている。
鉄鋼工学セミナーアンケート等の
卒業生フィードバックの定点観測
化
⑥若者へのものづくり
の面白さ伝達
PR素材をWebにアップロードするこ
とをスパイラルアップ方式で推進す
ることが実質的と考えられる。
Webの戦力化(net化、分野戦略、
PRの3者一体)
65
産側が「基礎」の工業的意味合い
を多様な角度から明確化する努力
を学に対する継続がポイント
7.2 今後の進め方
1.基礎教育強化事業については、平成 23 年度以降、日本鉄鋼協会・育成委員会事業として取り
組むことが方針決定されており、本活動で得られた知見の反映も含め、鋭意取り組んでゆく。
2.非鉄分野について、平成22年度より自立化した企業若手向けの活動である「アルミニウム
産業人材育成講座」の組織的継続を図る。
3.教育成果フィードバックについては、鉄鋼工学セミナーの定点観測化を中心に、拡大推進を
図る。
4.ネットワーク化・プラクティス事業・開発マネージメント事業・ものづくり面白さ伝達につ
いては、Web 活用による各取り組みでの機能向上と全体を戦略的に考えて材料分野の特徴を生か
してゆく様な課題連携を指向することが重要であると思われることから、今後、さらに検討を深
化させることが重要。
5.本調査事業の取り組みでカバーしきれなかった以下の①~④の課題については、より高次元
な課題との認識の下、文部科学省/経済産業省の共催による「産学人材育成パートナーシップ」の
精神に立ち戻り、幅広く課題解決に取り組むべき課題と考える。
①基礎教育強化に必要な「大学教員の負担」問題
②時流に乗った専門領域を教えがちで「基礎のシステマティックな育成」不足問題。
③日本人が故の「英語による大学教育の困難さ」問題
④現場・現物実習体験の欠如問題
以上 1~4 の課題への取り組みについては、最低限の自立化からスタートする目途は得らてい
るが、日本の産業競争力強化を図る目的を加速する視点で、予算をも含めた幅広いご支援をいた
だくことは極めて有効なことと思料する。
66
(参考 1) 委員名簿
平成22年度 材料分科会 委員名簿
(五十音順、敬称略)
〈座長〉
大下 滋
新日本製鐵株式会社 常務取締役
〈大学界〉
井口 泰孝 八戸工業高等専門学校 学校長/東北大学名誉教授
伊藤 公久 早稲田大学 基幹理工学部 応用数理学科 教授
小関 敏彦 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 教授
里 達雄
東京工業大学大学院理工学系研究科 材料工学専攻 教授
鈴木 俊夫 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 教授
高木 節雄 九州大学工学研究院 材料工学部門 教授
永井 正幸 東京都市大学教授 総合研究所所長
三浦 博己 電気通信大学 知能機械工学科 准教授
〈産業界〉
武田 重喜 京セラ株式会社 経営推進室事業推進部東京企画部責任者
平田 雅治 古河電気工業株式会社 金属カンパニー 技術部長
藤原 弘之 JFEスチール株式会社 労政人事部長
堀江 均
大同特殊鋼株式会社 常務取締役 特殊鋼事業部長
吉田 英雄 住友軽金属工業株式会社 研究開発センター常務研究員
67
(参考 2)産学人材育成パートナーシップ 平成22年度第1回材料分科会
日時:平成 22 年 10 月 29 日(金)14:00~16:00
場所:経済産業省本館2階 2東6共用会議室
[X 事務局] 時間になりましたので、これから平成 22 年度第 1 回材料分科会を開催したいと思
います。私、事務局の鉄鋼協会の小島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今日は、
議事次第にありますように、これまでの取り組み、特に分野別ということでアルミニウムと鉄鋼、
あとは昨年度からの宿題でありました定点観測で、若手の人からのアンケートの結果をまとめて
います。そのあと、海外調査を含めてご議論いただいて、この次につなげたいと思っております。
本日、里先生と三浦先生がご欠席ですが、それ以外の方は全員ご出席ということですので、よろ
しくお願いいたします。
[Z(事務局)
] 事務局から資料の確認をさせていただきます。まず大きなクリップで留めてあ
る分厚い資料があります。これが全体のメインの資料です。クリップをはずすとバラバラになっ
てしまいますので、基本的にはこのかたちでお願いしたいと思います。中に膨大な資料で折り込
み等もありまして、見にくい場合にはクリップを調整して見ていただくというかたちでお願いし
ます。
それから、別添で写真付きのもの、これは鉄・非鉄両方のプロジェクトの人材育成の写真を紹
介しています。これが 1 セットあります。もう一つ、前回、21 年度の議事録というかたちでまと
めています。本資料に戻っていただきまして、2 ページ目には本日の座席表を用意しています。
委員の方々はあいうえお順で並んでいただいておりますが、今回委員が交代された方が 2 名いら
っしゃいます。JFE スチールの藤原様と大同特殊鋼の堀江様、各々西馬様と津田様のご後任とい
うことで新たに参加していただいております。それから、文部科学省の高等教育局の今井様が急
きょご欠席ということで、代理で松田様に出ていただいております。
[大下座長] 新日鐵の大下です。今年度もまた座長を引き継がせていただくことになりました。
試行事業のほうも若干軌道に乗って成果が出つつあると、私自身思っています。今回、鉄・非鉄
の分野の取り組み状況、今後の進め方について、皆さんの忌憚のないご意見をいただきたいと思
いますのでよろしくお願いいたします。
それでは、人材育成パートナーシップのこれまでの経緯と 22 年度分科会の検討事項について事
務局のほうからお願いします。
[Z(事務局)
] それでは、資料の 1~4 ページを使いまして簡単にご報告いたします。まず 1
ページですが、平成 22 年度の事業概要ということで、目的のところに書いています。特に 3 行目
のところ、先程来挙がっております「定点観測的フィードバック体制の確立」というのが、一つ
重要なキーワードになっています。また、その次の「目標となる人材像」の提示を行い、材料系
分野のみならず、材料系分野以外の学生をも惹きつける方策がキーワードになっています。3 番
目には、発展著しい「アジア諸国での材料系教育の実態調査」をやっていく。4 番目には、これ
までの諸活動、
「材料分科会での議論・検討内容に対する評価収集」ということで、客観的な第三
者の方にご意見を伺っていく。この四つのかたちになっています。
2 ページには、その内容を若干ブレークダウンして書かせていただいております。(1)~(4)
までありますが、特に(1)の「定点観測的フィードバック体制」につきましては、1 行目にあり
ますように、入社数年目の若手就業者に対して、大学および企業等における教育内容のアンケー
トを採らせていただきました。特に今回は日本鉄鋼協会様がやられております鉄鋼工学セミナー
の場を使いました。ここは材料系学生だけではなく、機械・電気・化学等々広く来られています
ので、この中の約 140 名の方からアンケートを採らせていただきまして、後ほど紹介するような
膨大な情報をいただいております。それを抽出してご報告するかたちになります。
(2)
「目標となる人材像」
、材料系分野以外の学生も惹きつける方策につきましても、生ネタと
しましては、鉄鋼工学セミナーアンケートの中で、いわゆる材料系以外の方のご意見を集約して、
こういう情報が得られているというご報告を本日させていただきます。
(3)
(4)は、今日はまだ十分ではありませんが、
(3)につきましては、昨年ヨーロッパを中心
に海外調査もさせていただきましたので、それとの対比ということと、直近変化が著しいという
68
二つの視点で、アジア、特に中国・韓国を調べる予定だということのご紹介です。(4)は、これ
も資料はありませんが、本年度はそういった諸活動について評価をいただくとことも項目に入っ
ているというご紹介です。
3 ページ目につきましては、簡単なイメージだけですが、色を付けておりますように、縦軸に
は定点フィードバックの(1)~(4)までの項目、横軸方向には 22 年度企画して進めていくこ
とと、23 年度にそこを定期的にやっていく仕組みというかたちで連関を整理したものです。先ほ
どありましたように鉄鋼工学セミナーをうまく使ってやっていくことがポイントになります。
4 ページ目につきましては、一言でいえば昨年度の復習です。特に定点観測的フィードバック
のところにつきましては、下のほうに図で紹介させていただいておりますが、左側に企業、右側
に大学といった中で、特に企業については、上は会社組織、下には当然人がいます。
(若手)従業
員というかたちで、企業の中では人事評価をしたり、人事対話システムをしたりしている。右側
の大学では、教授・准教授がいて、学生がいる。そして、普段は成績評価と教授評価というかた
ちでやられているわけです。
一番初めのころは、真ん中に書いている赤の矢印、つまりフィードバックについて、全体、企
業と大学の間でのフィードバックといったことを議論しておりました。ただ、議論が進むにつれ
て、×を描いているような視点、たとえば若手従業員からとか、学生からとか、こういったとこ
ろで定期的にフィードバックしていこうといったことが、材料分科会の中からのご指摘もありま
したし、海外調査等でもそういったヒントをいただきましたので、今年度、鉄鋼工学セミナーア
ンケートをもってスタートしたところです。後ほど紹介がありますように、これに併せて、全国
大学材料関係教室協議会との連携も強めていって、そのへんのところを有効に活用していきたい
と考えています。
[大下座長] ただいまの件でご質問がございましたらお願いいたします。よろしいですか。そ
れでは、取り組みの状況のところから進めたほうがいいと思いますので、まず非鉄分野を吉田さ
ん、お願いします。
[H 委員] お手元の資料でご説明させていただきます。6 ページ目、日本アルミニウム協会「ア
ルミニウム産業中核人材育成講座」について、ご報告させていただきます。このプロジェクトは
平成 19 年から 21 年度まで、JRCM を通じてプロジェクトの試行を含めてテキストを作成し、本
年度から本格的に実施している内容です。
その前に、日本のアルミ業界はどんなものかということが次のページに書いてありますが、世
界中から見ると、日本の 5 社を合わせても世界のハイドロとかアルコアに及ばないぐらいのもの
なので、ここで競争力をいかに上げていくかというのが非常に重要な課題になっています。それ
と、最近では中国で日本の企業と同じレベルのアルミメーカーが五つぐらいできているというこ
とで、非常に脅威になってきている中、われわれ自身が、基礎力ときちんとしたデータを解析す
る能力によって、いい製品をつくっていくことが要求されている。それを担う中核人材をどう育
成していくかというのが課題でした。
次のページはアルミをつくる工程です。これは鉄もほぼ同じような流れになっているかと思い
ますが、このプロセスをきちんと理解してものづくりができる人材が必要になっているだろうと
いうことで、その中身について、必要とする知識はどういうものかというのは下に書かれたとお
りです。基礎知識、技術の詳細を書いています。このへんは鉄もアルミも同じようなことだと思
います。いずれにしても鋳造、均質化、熱間圧延、押出の場合もありますが、このへんのプロセ
ス図を材料学的に、あるいは機械特性を含めて理解することが必要とされています。
次のページは、どのような構成でやってきたかということです。平成 19~21 年にかけて 3 年
間ですが、
JRCM を通じて軽圧 6 社と大学が共同してコンソーシアムをつくってやってきました。
中心になっているのは、京都大学、大阪大学、東京工業大学、同志社の 4 カ所の大学と軽圧 6 社
です。それを支えていく協力機関としてはアルミ協会と軽金属学会があります。
次のページにそのへんをさらに詳しく書いています。3 年間プログラムをつくろうということ
で、1 年目はテキスト作成をやりました。2 年目には演習プログラム、実際に教えるだけではなく、
その中の具体的な演習を通じて理解するというところをやっています。たとえばパソコンを使っ
てシミュレーションをしてみたり、実際に材料を研磨して写真を撮るといったこと。溶解鋳造も、
69
大学の小さな規模ですが、一度そういうことを経験してみるというようなことをやっています。
そういうようなプログラムを開発して、あとは実際に現場で起こっている問題はどういうものな
のかを教えて、その中でどういうふうに解決しているかというケーススタディ集をつくりました。
このような資料集をベースに今年度から始めています。座学のテキストの構成内容は下に書かれ
ている通りです。
次のページ、自立化ということで今年から始めるのですが、その前の先ほどのスケジュールが
書いてあります。今年から始めたのはⅡということで、開講状況を書いています。
「鋳造凝固」
「熱
処理」
「力学」
「加工(圧延・押出)
」の四つのコースを受講して、アルミニウム製造プロセスの理
解を深めることをやっています。コースのプログラムの例は 17、18 ページに書かれている通り
です。熱処理の例では、たとえば今年も 9 月 16~18 日の 3 日間、座学と実際の組織観察という
ことをやっています。これは東京工業大学の里研究室でやっている内容です。
その次のページは熱処理コースの受講生ということで、あまり多いとなかなか難しいので、だ
いたい 12~14 名というところで行っています。これを見ていただくとわかりますが、出身学科
は必ずしも材料系ではない。中には法律・政治などというのもありまして、どこまで理解しても
らえるか、非常に難しいところもあります。送り込むほうも中身を十分理解して送り込んでいる
かどうか、わからないところもありますが、いずれにしてもいろいろな分野から集まってきてい
るのがおわかりいただけるかと思います。階層も、入社して間もない人たちから 10 年目ぐらい、
平均が 5 年目ぐらいといわれていて、必ずしも全員が中核というまでには至っていないというこ
とで、このへんも問題点としてあります。
いろいろな項目についてアンケートを採ったものが下にあります。これからほかの分野につい
てもアンケートを採りながら、実際、どの程度理解されているか、期待されたものが得られてい
るかどうかというのを確認していこうとしています。
お手元の別の資料で写真集がありますが、最後の 1 枚が非鉄分野における産学人材育成パート
ナーシッププロジェクトの講義授業です。先ほどの里先生の講義と演習の組織観察、実際に研磨
している状況です。裏のページは、軟化曲線、温度をかけて軟らかくなっていくところを実際に
調査するということを演習として行っているところです。そして、その解析したものをさらに議
論している風景の写真です。このようなことで現在講義と演習を含めてやっているところです。
[大下座長] どうもありがとうございます。それでは、ただいまの報告につきましてご質問等
ございましたらお願いします。私のほうからいいですか。テキストはどなたがつくられたんです
か。
[H 委員] 先ほどの大学の 4 人の先生と企業の、私もその一人ですが、現場の問題はどちらか
というとわれわれが中心になりました。圧延とか押出といったところはわれわれが書かないと具
体的にわからないだろうということで、大学の先生方は基礎的なところを中心に、シミュレーシ
ョン技術とか、そういうものを入れたかたちでテキストをつくっています。
[大下座長] 資料の守秘性というか、どこか外に出て行かないかというのは。
[H 委員] それは非常に気にしています。
[オブザーバー] 資料につきましては、テキスト作成にご参画された企業さんには、テキストに追
番を付けて管理していただくという前提で配布しています。原則コピー厳禁ということでお願い
しております。
[大下座長] 学生さんには。
[オブザーバー] 学生には全部ではなく、熱処理でしたら熱処理に関係したところだけを刷って、
それもコピー厳禁で本人だけが使ってくれというかたちでお願いしております。
[大下座長] あと、日本の国内製造量と同規模の中国の会社がいくつかできているという話で
したが、技術レベルからいうとどうですか。
[H 委員] とてもまだ日本の技術レベルには来ていませんが、量的にはわれわれをしのいでく
るぐらいの規模です。
[オブザーバー] 現時点でもそうですが、予測しますと非常に恐ろしい数字です。たとえば 2020
年を想定しますと、世界の 60%はたぶん中国で生産するであろうという数字で、中国とどう付き
合うかというのは大きな課題です。
70
[大下座長] あと、いま試行的に始められたかたちだと思いますが、継続性というのはどんな
ふうに考えられていますか。
[H 委員] 今年から始めて、それを何年間続けるかはニーズとの兼ね合いにもよります。
[オブザーバー] 原則、毎年やっていこうというかたちです。ただ、内容につきましては、さっき
説明がありましたように、少しずつ結果を見ながらアレンジしていきますが、原則的にはずっと
続けていきたいと考えています。
[大下座長] 予算はどういうかたちですか。
[オブザーバー] 原則的に、直接の運用費用は受講生の受講料で賄うという趣旨でやっています。
[大下座長] テキストはどうされましたか。
[オブザーバー] テキストは、先ほど申し上げたものにつきましては、3 年間の委託事業の費用と
して作成しています。
[大下座長] リバイスとか、あるいは拡大していくということがあると思いますが。
[オブザーバー] それは、おそらくそのときのアルミ協会の予算でやることになると思います。
[小島(事務局)
] こういう教育というのは、これまでアルミ業界ではやられていなかったとい
うことですか。
[オブザーバー] こういう中核人材を対象とした系統的なものはやっていなくて、個別のシンポジ
ウム的、集会的なものはいろいろありましたが、こういう系統的なものは初めてです。
[H 委員] そうですね。製造プロセスを中心にやるというのは、たぶんいままでなかったと思
います。どちらかというと熱処理の講義とか、凝固の講義とか、そういう基本的なところは軽金
属学会とかアルミ協会で主にやっていたと思いますが、製造プロセスはノウハウが足りないもの
ですから、いままで各社お互いにやるということもありませんでした。しかし、いまはそんなこ
とを言っていられないような状況に来ているので。
[大下座長] 基礎的なところですからね。だから、共通的に。
[H 委員] ええ。ケーススタディ集をつくるという点でも、お互いの情報を持ち寄ってやると
いうことは、いままであまりなかったものですから、非常にまとまったかたちでテキストができ
たのではないかと思っております。ただ、これについてはまだまだ発展させていかなければいけ
ない部分がありますので、これを今後どうやって発展させるかというのが一つに課題になるかと
思います。
[大下座長] 委員の方、何かご質問ございますか。それでは、引き続きまして鉄鋼分野の取り
組み状況を小関先生、お願いいたします。
[E 委員] 東京大学の小関でございます。資料 21 ページでご説明させていただきたいと思いま
す。具体的な資料はその後ろと、あとは別途配布いただきました写真を付けておりますが、21 ペ
ージをご覧いただきまして、鉄鋼分野における産学人材育成パートナーシップの進捗についてご
説明させていただきます。
皆さんご存じのように、経産省のご支援をいただき、東北、京都、大阪、九州、東京の 5 大学
と鉄鋼 6 社が集まりまして、特に大学と企業の間をつなぐような人材の育成のあり方をこの委員
会の議論に基づいて議論し、いくつかのプログラムを試行してみたということです。その試行し
たプログラムにつきましては、さらに鉄鋼協会と議論させていただいて、自立化について検討を
進めている段階です。
試行しました事業ですが、その表の左側、事業項目と書いてあります四つです。このプログラ
ムは 3 年目ですが、去年と今年、実際の学生を対象に試行を行いました。まず一番上の「基礎教
育強化事業(修士対象)
」というところです。これは、最初、鉄鋼業に就職する前の修士 1 年ぐら
いを対象にしていたのですが、こういった学生に、大学で学ぶ鉄鋼の基礎と実際の現場でどうい
うふうに応用されているかというところ、それと見学を組み合わせた講義のプログラムをつくっ
てみましょうということで、実際にテキストをつくりました。大学でいいますと 1 学期すべてを
カバーするようなテキストをつくっていますが、試行は 4 日間行っています。
具体的には、プログラムの内容のところにありますように、製銑・製鋼、加工・圧延、材料組
織・特性、環境性能のそれぞれにつきまして、大学の講師が基礎講義を行い、企業からも講師を
招いて、企業では大学で学ぶような基礎が実際にはどういうふうに生かされているかという講義
71
をいただく。そして、それに対応したような工場見学もするといったようなことで、基礎から応
用、実際までプログラムの中で一貫して学ぶといったようなことを目指しております。
今年度は 8 月に 4 日間行いまして、学生は 17 名参加しております。そのうち 10 名が M2 で、
この 10 名は皆、鉄鋼に内定している者でした。それで、プログラムの試行を検討するにはどうか
と思っておりましたが、M1 の学生は大学で学んだことと実際の応用のつながりがよくわかって
よかったというアンケートの意見が多かったですし、M2 の学生には、実はもっと好評でした。
懇親会なども含めて、私も話をしましたが、
「鉄鋼に内定して非常に不安に思っていたが、今回こ
れに参加して全体観が自分なりに整理できて非常によかった」ということでした。
いま鉄鋼協会さんと自立化に向けて議論させていただく中では、修士にやる意味があり、大学
の学部で学んだことと、就職を前提にしたときに、その間を産学でつなぐようなプログラムは意
味がある。ただし、対象として、就職を考える前なのか、就職を決めたあとにもう 1 回鉄鋼の全
体像を見るうえで有効なのかというところは、われわれとしてももう少し考えて、鉄鋼協会の育
成委員会の中で議論いただき、プログラムとして自立化に向けて検討したいと思っております。
2 番目は、同じく「基礎教育強化事業(学部生対象)
」です。これは主に工場見学を想定してお
ります。鉄鋼協会でも実際このプログラムはありますが、この中でやっているのは単なる工場見
学ではなく、大学側・企業側から講師を出していただいて、いかに鉄鋼業というのがおもしろく
て、しかも社会的に重要で意味のあるところかということを講義し、それに併せて工場見学をし
てもらう。特に対象としていますのは学部の 1 年生で、専門課程をまだ決める前。東京大学の例
ですと駒場の教養に相当し、理学、工学、あるいはどこの学科へ進むか、まったく真っ白な状態
の学生に講義をすることで、ものづくりに対する興味ですとか、あるいはもう少しスペシフィッ
クには、材料分野に進むといったようなことが現実的になるような機会を与えるということを考
えています。
今年は 3 回行っております。これは全国各地で行うということで、関東地区と関西地区、九州
地区で 3 回行いまして、1~3 年生まで計 51 名の学生の参加がありました。うち 19 名が材料系外
の学生です。九州地区の講義では、今日ご出席の高木先生にもご協力いただきまして、鉄鋼業の
おもしろさ、鉄のおもしろさといったようなお話をしていただきましたが、学生の反応は非常に
よかった。高校から大学に入ったばかりの学生にとっては、鉄というのはまったく遠い存在で、
いかに社会の中で役立っているかとか、そういったようなことがこの講義で初めてわかったとい
う意見もだいぶ出ております。もちろん工場を見てもらうことは若い人にとって意味があること
だと思いますが、それに併せて、いまつくっているもの、あるいは見てもらうものの意味はどう
いうものか、きちんと話してやることが、興味を醸成するという意味では重要ではないかという
ことが、われわれもやってみてよくわかってきました。
そういうことで、いままで鉄鋼協会のプログラムは学部の 3、4 年生を対象にしていましたが、
そうではなく初年度からこういったようなことを積極的にやることで、この分野の理解度、関心
度が広がるのではないかと思っております。鉄鋼協会でもその方向で検討を進めさせていただい
ております。
3 番目の「プラクティス事業」ですが、これはインターンシップです。インターシップは世の
中にたくさんありますが、これは企業側からのご提案で、各社からインターンシップをやりたい
テーマをまず提示していただく。ここのところが新しいと思いますが、各社こういうテーマでや
りたいということを出していただいて、それに対して大学側から応募していただく。ねらいとし
ては、学生の比較的長期の参加と、彼らの卒業論文や修士論文にかかわるような点、さらに大学
の鉄にあまり関係ない教員、あるいは若手教員を巻き込むといったようなことを考えております。
今年は東北大学と住友金属さん、早稲田大学と JFE スチールさんということでやっていただき
ました。たとえば住友金属さんの場合ですと、東北大学のテラヘルツを分析に使ってみる。これ
は鉄鋼側にはない発想で、大学側はどういうところに使えるかわからない。そういう新しいマッ
チングがこの中から出てきて、われわれとしてはおもしろい結果だったと思っています。いまま
で鉄鋼にあまり関係のなかった大学の先生や学生が、これによって鉄鋼業のおもしろさをわかる
ようになりましたし、鉄鋼業も新しいシーズがそういう関係の中で出てきた。こういったような
ものが将来的には共同研究なりに発展していくのかなと思っています。これについてはもう少し
72
試行を続けてみて、自立化が可能かどうかを検討する予定です。
4 番目は「マネジメント育成事業」です。今年度は、大学の修士の学生 11 名、企業に入って 2、
3 年ぐらいの若手 7 名ぐらいに参加いただき、企業の技術開発の戦略みたいな議論をしていただ
く。もちろん学生としてはそういうバックグラウンドが全然ないので、たとえばケーススタディ、
「プロジェクト X」的な、鉄鋼業でいままでどういう技術開発をしたかというお話をしたり、知
的財産の基礎講義をしたりした上で、学生のグループに企業の若手が何人か入ってもらって、た
とえば革新的な製鉄法のようなテーマを議論してもらう。3 日間議論するのですが、もちろん時
間的にも足りませんし、バックグラウンドが十分ではない。しかし、その中で鉄鋼業のおもしろ
さを学生がわかってきた。一方で、若手社員のほうも大学の学生の議論をリードするというとこ
ろで、自分たちで考える部分がある。若手社員のほうがいい反応で、学生向けにと思っていたの
ですが、どちらもいい反応が得られています。これについてもさらに検討を続けていきたいと思
っています。
一番下の「ネットワーク」ですが、こういった試行事業をどうやって自立化させていくかとい
うことで、
(1)の自立化というところを議論しております。
(2)拠点化・ネットワーク化ですが、
こういった試みはいま 5 大学でやっています。全国の材料系、あるいは材料系外のさまざまな分
野の大学から、将来的に自立化のあかつきには参加いただくというネットワークをつくりましょ
うということで、まず、さまざまな情報をリンクし、われわれの活動を PR するようなホームペ
ージを立ち上げました。これを各大学に紹介するような方向で検討していきたいと考えています。
以上、駆け足で恐縮ですが、進捗状況です。
[大下座長] どうもありがとうございます。ただいまの報告につきましてご質問等ございまし
たらお願いいたします。
[J 委員] いまのお話の中で、学部向けのお話で 51 名が参加されて、19 名が材料系以外とい
うことでしたが、材料系以外の内訳というか、どういう方が参加されたのでしょうか。
[B 委員] 材料系外の学科の学生、まったく行き先の決まっていない教養の学生、これから行
く先を決める学生ということで、具体的な内訳は後ろのほうにまとめております。
[Y 事務局] 学部の 1 年生で学科が決まっていないといった方たちもおられますので、それも
含めて材料系外ということで。
[大下座長] 永井先生の言われるのは、電気屋もいるのかとか、そういう意味ですか。
[J 委員] そうです。要するに、ほかのことを志向していたのだけど、この話を聞いてこちら
のほうに傾いてきたとか、そういうお話があればいいなと。
[E 委員] 私の記憶している範囲では、横浜国大から参加いただいた学生何名かは電気系だと
思います。それから、永井部長、ほかに具体的なデータはございますか。
[Y(事務局)
] あとで報告させていただきます。
[大下座長] では、調べて後ほど報告してください。今回試行してみて、ワーキンググループ
1-1「基礎教育強化」は修士と学部生の両方がありましたが、学生の人数規模とか、あるいは講師
の先生方の負荷というのは実際やってみてどうでしたか。
[E 委員] 修士のほうは、それぞれ大学の先生 1 名と企業の先生 1 名といったようなことを 4
日間やりました。それで 8 名です。学生は 17 名ですが、規模的には 20 名程度が限界かなと。そ
れ以上になるとだいぶ大きいクラスを教えるようなかたちになりますし、見学、ディスカッショ
ンを含めてそれぐらいが限界かと思います。
[大下座長] 先生の負荷はどうですか。いろいろ忙しい中でやらなければいけない。
[E 委員] 1 日ぐらいでしたら、各先生いろいろなご協力はいただけると思いますし、テキスト
をつくっておりますので、必ずしも毎回同じ先生ではなく、開催する場所等によっていろいろな
先生にお願いすることも可能だと思います。学部のほうは日曜日や休みの日の開催ですが、これ
は大学の先生、企業の方に 1 日講義と見学にお付き合いいただいて、見学のあともいろいろ話を
していただきます。
[K 委員] 1 年生とかは集めるのが非常に難しいという実感です。大学に入ったばかりで目の前
の進学とか単位を取ることに一生懸命で、まだ将来はあまり考えていない。ですから、一番効果
があるのはやはり研究室を考えるような 3 年生とかです。あのころになるとかなり考えているの
73
で。たくさん来てくれると非常にやりがいのある仕事ですよね。受けてくれた学生はかなり鉄鋼
に興味を持ってくれて、将来、就職を考えていいという学生がほとんどです。
[大下座長] 先生の写真もやけに楽しそうですね。普段と違って。
(笑)
[K 委員] 十数名だったのでマンツーマンでいろいろ質問しながらずっとやっていた。ただ、1
年生は学術的なことを知らないんですよ。ですから、鉄の重要性、社会的貢献といったものを中
心に、おもしろおかしく話すぐらいしかできないのですが、来てくれると、影響はかなり大きい。
いかにして集めるかというのが一番大変です。
[E 委員] まったく高木先生のおっしゃるとおりで、できるだけ 1 年生、2 年生を集めるような
仕組みをつくる。これは各大学のネットワークも必要になると思いますし、鉄鋼協会でいまいろ
いろ検討しています、各社の幹部の方の低学年層への講演といったようなものも組み合わせて、
関心を持ってもらったうえでこういうところへ出席してもらうことが重要だと思います。どの段
階でやるのがいいかというのはいろいろ検討してみないといけませんし、各大学で学科を決める
タイミングが違いますので、必ずしもどの学年を対象にということは難しいのではないかと思い
ます。たとえば東大の場合ですと、たぶん 1 年生から 2 年生の前半ぐらいにやらないと学科が決
まってしまいます。あるいは、学科が決まったあと研究室を志望する段階も、先生がおっしゃる
ようにあると思います。
[大下座長] 継続性という意味では、鉄鋼協会の育成委員会のほうで受け止めなくていいので
すか。来年からは育成委員会のほうで考えていくという。
[X 事務局] それで継続的にやっていくということですね。
[E 委員] 育成委員会で議論いただきまして、前向きに進めさせていただけるということです。
[大下座長] そのときに 2-1 の継続性というのはどうすればいいですか。
[E 委員] これについてはもう少し議論しないといけないんですが。既存のインターンシップ
との差別化とか、どうやって今の仕組みとマージしていくかといったようなことだと思います。
[Y(事務局)
] 先ほどのご質問に対しまして、33 ページの一覧表を見ながら説明させていただ
きます。33 ページに参加した人たちが書いていますが、先ほどの先生のご質問ですと、横軸の上
の欄の真ん中に「学部低学年集中講義試行」とあります。22 年度 7 月 17 日と 7 月 31 日、新日
鐵八幡さんと神鋼加古川さんのデータが手元にありますが、それについてだけ説明させていただ
きます。
下に、どの年次の学生が参加したというのがあります。八幡さんは、学部 2 年が 12 名で 1 年
が 3 名、加古川さんのほうは、学部 2 年が 1 名で 1 年生が 7 名、15 名と 8 名ですが、この 15 名
のうち 14 名は材料系の学科でした。それ以外は 1 名です。加古川さんのときは、8 名ともまだ学
科が決まっていないということで、かなりばらつきがあります。ちなみに加古川さんの場合です
と、応用理工や数理工学、機械工学の方が 8 名で、たまたま全員が材料系ではない人でした。6
月 5 日の君津は先ほど小関先生がおっしゃいましたように、28 名のうち 18 名は材料系学科です
が、10 名はそれ以外の学科の方たちです。開催地によってばらつきがありますが、これぐらいの
感じでの、材料系、あるいは材料系以外の参加です。
[大下座長] よろしいでしょうか。もう少し知りたければ、もう少し深く。
[J 委員] 単位は 2 単位なのでしょうか。
[E 委員] 短い期間ですので、単位は付いていません。
[J 委員] まだないんですか。
[E 委員] 将来的にこれを単位化できるかどうかというのは、いくつかの大学と議論させてい
ただいておりますが、その場合は 1 学期フルにやるか、それに相当する時間数をきちんとやらな
いといけませんので、そのへんは今後検討しないといけないかなと思います。アンケートの中で
は、必ずしも単位を伴わなくても参加したいという学生の声が強くありますし、できれば夏休み
に集中的に何日間かやってもらいたいという声もありました。
[J 委員] 単位というのがインセンティブにプラス方向に働けばいいですが、単位ということ
で学生の動きがどれぐらい変わるのか。
[E 委員] 大学によっても違うと思いますが、いま単位はあまりインセンティブにならないの
ではないか。
74
[Z(事務局)
] 単位につきまして補足させていただきます。実際に調査に行きました。関東圏
で筑波大、茨城大等に行かせていただきまして、一番肯定的なご回答をいただいたのが茨城大で
す。学部 1 年生を対象に、いわゆるセミナー的なコースがある中にそういうことを組み込んでい
くことも可能ということは言っていただきました。
ただ、ほかのところはそういった肯定的なことをいただくよりは、「趣旨はよくわかるけれど、
単位化というのは非常に難しい。なぜならば、大学の機構としての事務的な障壁を乗り越えて、
ここまでやろうと実際に汗をかいてくれる先生がいないのではないか。意図はよくわかる。ただ、
現実問題としては難しい」というご回答をいただきました。
JRCM プロジェクトの中でも、そういった実態を踏まえ実効を上げていく中で、少しずつ皆さ
んの賛同をいただいたほうがいい。急にハードで織り込んでしまうのは難しい。2 単位は無理で
も 1 単位ではどうかということで聞いて回りましたが、それでもそのようなご回答でしたので、
正面突破は難しいかなという感触を持っております。
[A 委員] おそらく、大学の中の先生が積極的にこういったゼミをおやりになりたいとおっし
ゃればできますが、外部の人間がやれというのは、制度的になかなかバリアが高いということだ
と思います。ついでにもう一つだけご意見として申し上げたかったのは、高木先生にしろ、佐々
木先生にしろ、大学の 1 年生を連れてくるというのはとても大変なんですね。なぜかといいます
と、高校のイメージの中では、自分が大学に入って、大学の先生と講義以外のいろいろなコンタ
クトがあるということはまったく想像外です。逆にいえば、そこで成功すればすごくエフィシェ
ンシーがいい。先生方も自分の学科の学生として接することには慣れていらっしゃいますが、ま
るっきりのフレッシュマンと接するというノウハウをいったん得てしまいますと、1 年生から 2
年生始めぐらいまでは、先生と個人的にゼミをやったりするのは少ないので、食いつきがいい。
ただ、いったん食いつくといいのですが、最初はお互いにどう接していいのかという難しさがあ
ります。
だから、そういったプログラムがあるというのが何年か続き、そういったものが皆の頭の中に
インプットされるとだんだん入ってきやすくなるので、継続というのは非常に大事ではないかと
思います。
[大下座長] そのほかございますか。
[K 委員] 学生は勉強のことが知りたいというよりも、最近の学生は結構シビアに将来を考え
ていまして、
「材料系だったら、鉄鋼会社に入ったらどんなことをするんですか」というようなこ
とを聞くんですね。これはおそらくほかの機械系や化学を出た学生も一緒だと思います。鉄鋼会
社の中で、化学を出たらこういう仕事をやるんだよという、共通した DVD みたいなやつで簡単
に見せられるようにすると、幅広く集められるのではないか。
今回、タイトルが材料ですから、集まってくるのは材料系の学生しか来なかった。興味もあま
り学問的なことではなく、大学を出て鉄鋼会社、たとえば非鉄の会社に入ったら、実際にどうい
う仕事をするのかということに非常に興味がある。工場見学などのバスの中で個人的に聞いてく
るのも、勉強のことより、
「会社に入ったらヘルメットをかぶってスコップを持つんですか」とか、
変に勘違いしている学生もいます。
[大下座長] そういうのは、各企業でつくるよりは、鉄鋼協会みたいなところが 1 本でつくっ
てしまうというのもあるのかもしれない。
[K 委員] そうですね。1 年生とかには、それが一番インパクトがある。どういう活躍ができる
ということを訴えるのに。私、材料のほうはわかるんですが、たとえば機械とかの学生から聞か
れても、
「設計とか、何だろうね」ぐらいしか言えないので、簡単に、鉄鋼会社での活躍の場みた
いなものがあるといい。
[大下座長] 大学の学科の分野と、鉄鋼会社の製造部門の分野とがどういうふうに連携してい
るのかというのが見える。たとえば化学の人は「俺の場所がないじゃないか」と。圧延屋さんな
どをやっている人は、圧延を見ただけで、
「俺はここでものをつくるんだな」という感じだと思い
ますが、実際、化学屋さんは表面処理鋼板、あるいはコークスとか、化成処理などのほうがメイ
ンだと思うんです。
[K 委員] 材料系といっても、化学の女の子などがいるんですね。そうしたら、化学は化学と
75
思って、鉄鋼会社は全然関係ないと思っている。ですから、どういう場で活躍できるのか。
[X(事務局)
] 2 年前ですか、友野社長が駒場でやられたときに、研究者の 1 日とか、現場技
術者の 1 日とか、そういうかたちでライフタイムをわかりやすく見せられた。ああいうものを業
界共通で用意していると、非常にわかりやすいのではないかと思います。
[K 委員] 興味はほとんど「会社に入ったらどういう仕事をするんですか」というのが大半だ
ったような気がします。
[大下座長] 特に学部は、修士で 2 年でインターンシップや共同研究などに参加している人だ
とかなり見えてしまう。
[METI] 女性も入っているみたいですが、女性の評判はどうでしたか。
[K 委員] よかったです。
[METI] やりたいと言っていましたか。
[K 委員] 一番心配したのは、女性の働く場所があるのかということなんですね。
「肉体労働で
すか」ということを聞く。
「いや、そうじゃないよ。女性でも現場で働いている人もいるし、そう
いう職場がちゃんとある。研究なんていったら男性も女性も全然関係ないよ」と。鉄鋼会社に研
究所があるというイメージがない。非常に視野が狭いんです。鉄をつくる製鉄所のイメージでし
かものを見ていないので、女性の職場はないと。ところがうちからも、残念なことに男はゼロ、
女性が 3 人申し込んでくれた。非常に優秀で積極的でした。ですから、先ほどの中に「女性の活
躍している場所」というのを織り込んでいただいたら、掘り起こし効果は非常に大きいのではな
いかと思います。かなり行きたいと言っていました。それには大学院に行かないとだめだよ、と
いうこともちゃんと言って。
[X(事務局)
] 先日、首都大学で鉄鋼業の話をしたら、3 割ぐらい女性の方が入ってきてくれ
ました。
「私、文化系なんだけど、鉄鋼会社に入ったら何をするんですか」という質問がずいぶん
多かったです。
[E 委員] 今回のこの中でも、修士の講義も含めて、たぶん 3 割ぐらいは女性だったと思いま
す。東北大からもだいぶ来ましたが、女性の比率も多かった。高木先生がおっしゃるように、将
来に対してどういうふうになるのかという気持ちはだいぶあって、一方でスペシフィックにこう
いうことをやるんですよというのもありますが、自分の希望するところはどこでも行けます、と
いうのもありだと思います。自分の道が決まってしまうよりは、この広い鉄鋼業の中で自分に何
ができるかというのを少し考えてもらうのがいいと私は思うので、なるべく分野が定まらないよ
うなところで、こういうものを繰り返しやる。そして、ある程度自分の分野が決まった中で重ね
てやるのも重要だと思いますし、ほかの情報に勝ってこの情報が残っていくためには、何しろ何
回も繰り返してやらないと、若い人の中には入っていかないかなと思っています。
[METI] そのへんは企業で抵抗はないのでしょうか。女性だからと。
[B 委員] 昔はありました。ただ、文系・理系問わず、女性の学生の比率が増えてきて、その
中で優秀な学生さんを採用していこうということで、かなり急激に意識が変わってきています。
私どももいろいろな採用計画の中で、とにかくできるだけ積極的に女子を採りにいって、採用し
て、実際に活躍しているという実績を学生さんにも見せていかないと採れないので、とにかく積
極的に採っていこうではないかということでいろいろ声をかけています。
実際、会社の説明会などで男女問わず学生さんと接している、うちの若い社員などに話を聞き
ますと、先生方がおっしゃったように、鉄鋼業でどんな働き方をしているのかというのは、学生
さんはほとんどイメージしにくいようです。実態と学生さんのイメージにかなりギャップがあり
まして、そこらへんをどうやって埋めていくか、非常に難しい問題だと思いますが、先ほどサゼ
スチョンがありましたように、業界として取り組んでいく。たとえば各学科ごとに典型的なキャ
リアパスがある程度描けると思うんです。そういったキャリアパスの中で働いてきた先輩の体験
談などを DVD に収めて配布するとか、業界として、いろいろやりようがあるような感じがしま
す。
[A 委員] 一方で、それは危険でもあります。学生にとってみると、学科専門を選ぶというこ
とと、キャリアパスが固定されるということのイメージがついてしまうと、いまの学生さんたち
は最後までできるだけオプションをたくさん持っていたい。ある程度イメージがなければいけな
76
いけれど、非常にフレキシブルだというイメージを出さないと逆効果になることがありますね。
[B 委員] 危険かもしれないですね。
[大下座長] 議論は尽きないところがあるしれませんが、次にいきたいと思います。分科会課
題の取り組み状況ということで、事務局から定点観測の報告をお願いします。
[Z(事務局)
] 資料 36 ページから、いまの議論ともかなり関連するデータも出てきております
ので、それを含めてご紹介します。
36 ページを開いていただきますと、
「調査目的」というところに太字で三つほど書いてありま
す。先ほど申しましたように、鉄鋼工学セミナーアンケートで約 140 名の受講生の方にいろいろ
アンケートを採っていますが、その中身として「ご自身の体験に基づき、教育によりプラスとな
った点。(成功体験)」
「過去を振り返っての反省点。(反省材料)」「上記を踏まえての大学および
企業の人材育成システムへの提言」という大きな考え方の下に、「高炉企業ですか」「職場の職制
はどうですか」といったことを記入していただいたあと、まず大学教育について、
「ご自身の体験
に基づき、教育によりプラスになった点」は「入社後、直接役立っているものはどんなことでし
ょうか」ということで記述していただくようにしています。それから、一番下「大学教育により
ご自身の能力が向上したものは何ですか」ということを伺っています。
36-2「過去を振り返っての反省点(反省材料)」とか「上記を踏まえての大学および企業の人材
育成システムへのご提言」ということを伺っております。後ほど、重要なところだけ具体的なデ
ータでお示しします。
36 の真ん中以降は、
「入社後の教育によりプラスになった点は何ですか」ということを聞いて
おります。36-3 につきましては「現状の問題点」「それを踏まえての育成システムへの提言」と
いうことです。
3 として「入社の動機」ということで、
「どうしてこの会社を選んだのですか」といったことも
聞いています。これがアンケートの母体です。
36-4 以降は、結果の統計数字を書いています。年齢的には平均 30 歳ぐらいのところ。次の 36-5
にいきますと、修士の方が 72%ぐらいという母集団になっています。36-6、特に生産部門の方が
約 54%、研究部門が 34%です。36-7、出身大学はこういった分布で、かなり広いところから来
られているということです。
36-8、
「大学教育でプラスになった点は何ですか」といったところで、
「専門科目」
「卒論・修論・
博論」といった②④が、回答数が非常に多かったものですから、これについては後ほど詳細に分
析しております。
36-9「もっと勉強しておけば良かったと思う専門科目は何ですか」というのは、熱力学、材料
力学、流体力学等々が挙げられております。これも後ほど詳しく分析させていただきます。
36-10「大学での教育に満足していますか」「大学で学ぶことと、企業での業務に関係がありま
すか」ということでは、かなり関係があるということで、これも後ほど詳しく述べさせていただ
きます。
36-11 では「社内教育でプラスになった点(成功体験)はどんなことがありますか」。これは参
考データがありませんが、②現場研修または交代勤務研修、OJT そのものといったものです。
36-12「鉄鋼材料の勉強をもう一度したいと思うか」。これにつきましても後ほど出てまいりま
す。
36-15 はアンケートの経緯ということで、アンケート実施に先立ちまして、材料分科会のみな
らず、全国大学材料関係教室協議会および JABEE の関係の方々の英知を集約してアンケートの
フォーマットを仕上げております。この全材協をその下に紹介しておりますが、会長が東京大学
の吉田教授で、全国大学の材料系の教室および大学院専攻を会員とし、材料教育の発展を図るこ
とを目的として、いま 37 大学より構成されております。先般、9 月 27 日に鉄鋼協会・金属学会
の共催の下、特色ある材料関係教育といったことの議論もされておりますし、来春、そういった
シンポジウムも企画されています。ここの吉田会長からも貴重なご意見をいただきましてアンケ
ートをつくったということです。
37 ページ以降、ポイントだけをご紹介させていただきます。ここに約 140 という生データをま
ず挙げております。そして、質問項目が一番左側にあります。たとえば「教育によりプラスとな
77
った点」が「専門科目の講義」だったと答えられている方を引き出してきて、具体的にコメント
していただいた文章を生で書いています。
それを受けまして、これは単純に全部並べたのではわかりませんので、右側にカテゴライズし
ております。たとえば「業務に直結している」とか「基礎として有効」とか、四つぐらいのカテ
ゴリーで、ビットを立てているのがここのカテゴリーだろうと事務局で勝手に判断して、生のも
のをカテゴライズした結果です。
また 1 は材料系、2 は機械系、
3 はその他ということで集約しています。表の一番右下のところ、
材料系・機械系・その他で各々何人いたかということをまとめ、それを右下にグラフで書いてい
ます。グラフは絶対数ではなく比率、つまり材料系なら材料系、機械系なら機械系の中で、
「業務
に直結している」ということを挙げられた比率です。材料系の人で「専門科目で役立った」とい
うことを挙げられた人を分母にして、その中で「業務に直結している」ことを挙げられた方が、
同じく材料系の中で何割あったかということです。
そうやって見ますと、絶対数は材料系のほうがもちろん多いのですが、比率で見ますと、材料・
機械・その他が共通して、まさに専門科目が業務に直結しているということが非常に多い。それ
とほぼ同じ規模で「基礎として有効」ということで、かなり高い比率で専門科目が非常に役立っ
ているということです。あとは個々のコメントを見ていただいたらと思いますが、事務局の視点
で重要そうなところはゴシックで強調しております。
38 ページにつきましては、
「プラスになった点」の中で、
「卒論・修論・博論」です。解析の仕
方はまったく同じですが、結論だけ述べさせていただきますと、
「推進手法が直接役立つ。そうい
うことを手法として習ったので、それが業務に役立っている」というのが、材料・機械・その他
を問わずかなり高い比率です。その次に「未知課題の解決能力が養成された」
「論理的手法が育成
された」といったところが挙げられております。具体的な記述は、その上のところに生データが
書かれています。これが教育によってプラスになったというところです。
次に 39 ページ、
「大学教育により、ご自身の能力が向上したと思われるものは何ですか」とい
うことを記述式で書いていただいております。これは生データを見ていただくしかありませんが、
一応カテゴリーに分けてみました。たとえばもともと用意していた①~⑩という、この分科会で
も議論した 10 個の要素例に当たるかどうかということと、それ以外にいくつか項目を付けて見て
みました。その結果が右下です。これも材料・機械とかに分けていますが、
「基礎学力」が当然高
く、
「研究方法」
「論文作成方法」
「提案力・プレゼンテーション力」
「課題解決総合力」
「コミュニ
ケーション」と、このへんになってくると、分野まで分けるとかなりばらついてきますが、マク
ロはこういうところです。一番下の「実行力・決断力」あたりは誰も挙げていない。このへんは
教えてできるものでもないということかもしれません。
次の 40 ページにつきましては少し視点を変えまして、
「大学時代の専門教科の中でもっと勉強
しておけばよかったと思われるものは何ですか」ということです。これもコメント付きで全部整
理しております。
結論的には、右の真ん中「もっと勉強しておけばよかった専門科目」として、「熱力学」「材料
力学」
「材料工学」
「数学」
「流体力学」もあります。その上に「反省科目なし」などというのもあ
ります。それを左のほうで色を付けています。熱力学は黄色、材料力学は緑、材料関係が紫で、
大きいところを分野別に分析しています。たとえば熱力学であれば、反省理由として「業務で必
須」というのが圧倒的な比率です。材料・機械併せて必須ということです。材料力学についても
「業務で必須」
、特に機械よりは材料のほうがそれをひしひしと感じているということです。材料
工学のほうも似たようなところです。それから数学は、特に機械系が業務に必須ということを高
く挙げています。
41 ページはちょっと異色な質問ですが、
「大学時代に学ぶ機会はなかったが、機会があれば勉
強すべき科目は何ですか」ということです。機械工学と材料工学というのが多いところです。そ
れを分野別に見ますと、ちょっと奇異に感じるのは、たとえば機械工学を取っていなかったとい
うことで、機械系の方でも取っていなくて来られるのかと思いますが、そういう方も一部いらっ
しゃいます。同じく材料系でも、材料工学を取っていなくて来ている人もいらっしゃる。比率自
身の絶対値はあまり高くないですが、こういうご意見も出ているということです。
78
次に重要な項目、42 ページは科目がどうのこうのではなく、哲学的な意味も入るんですが、
「大
学で学ぶことと、企業での業務の関係があるとお考えですか」という質問です。これにつきまし
ては、「特に関係がある」のはどういうことかというと、「応用とか課題解決を教わる非常にいい
機会である」ということです。これも材料・機械・その他を問わず、非常に高い比率になってい
ます。それから「基本・素養として有効である」とか、
「直接役立つ」というのは 3 番目ぐらいの
ところです。特に材料系が、直接役立っているというのが非常に高い。
それから、ここの項目には否定的なところも入れています。グラフの下半分の三つ、否定的な
ご意見として、たとえば「直接利用できない/効率が悪い」
「会社のことは会社でやればいい」
「学
ぶ側の資質なので教えるものでもない」というところです。数ではマイナーな数字ではあります
が、そういったご意見もいただいております。
次に 43 ページ、
「入社後最も違っていたこと」です。これにつきましては、時間の関係で学科
別に分けられていませんが、当然のことながら「経済合理性/コストの重要さ」
「要因の多さ/複
雑さ」
「現実制約の大きさ」など、想定内の項目が高く挙がっています。これはある程度仕方がな
いかなと思いますが、データ的にはこういうものが出ています。
44 ページも重要な話ですが、
「鉄鋼材料の勉強をもう一度したいと思いますか」。「もう一度」
というのは材料系の方で、機械系の方は「いままで習ってこなかったとしたら、もっと深くやり
たいか」ということで、特に右下のグラフにありますように、材料系というよりは機械やその他
の方が「切迫感から/ベースとして必要」ということです。一方、材料系の方は「いまならより
理解が深まる」ということで、ある程度やっているけれど、もっと深くやりたいというのがかな
り高い比率で出てきています。
45 ページは「大学の教育に満足しているか」ということです。このシートで特に気をつけて見
ていただかなければならないのは、
「満足」というのが 2 番目の高さで来ていて、2 年前に採った
類似のアンケートに比べて、比率が非常に高くなっております。ただ、「満足はしているけれど、
さらにいえば」ということでコメントをいただいているところもありまして、それが「満足」以
外の答えにも載っているケースがあるということを頭に置いて、この表を見ていただきたい。
この中で一番比率が高いのは「応用の明示/企業との連携が必要」ということで、先ほど高木
先生からもご指摘いただいていますように、何をやるのかというところが、自分が何をやれるか
というところも含めて、もっとはっきりしてほしいという希望をいただいております。それ以外
のところの説明は省略します。
46 ページ、
「大学生に鉄鋼業を理解してもらうためになすべきこと」。これは「工場見学」
「連
携/共同研究」
「交流会」
「産業の重要性」というような順番になっています。
47 ページは就職の動機ということで、これは当然のことながら、狭い意味での技術に惚れ込ん
だというか、それを目指してきたという方が多いのですが、それ以外に、
「鉄鋼の産業意義」とか
「就職条件」「会社の体質・雰囲気」「教授先輩等の推薦」等が挙がっています。残念ながら、工
場見学とかインターンシップで来たという人の比率はあまり高くない。実績はこうなっておりま
す。
統計の最後、48 ページです。
「自分の能力が入社後、どのようなやり方で培われたか」という
のは、圧倒的に「OJT」「上司同僚の指導」「独学・自己学習」といったデータになっています。
以上です。
[大下座長] どうもありがとうございました。ただいまの報告につきましてご質問等ございま
したらお願いいたします。
[H 委員] 鉄鋼工学セミナーアンケートはどういう人が参加するところで採られたアンケート
ですか。
[Z(事務局)
] 先ほどの年齢のところにありますように、若手技術者が会社のほうから鉄鋼工
学セミナーのメニューで勉強してこいというかたちです。
[H 委員] 自発的ではなく、勉強してこいと、会社から言われたんですね。
[Z(事務局)
] そうですね。もちろん自発的なところもあるかもしれません。職場の中での協
議の下で来られています。
[H 委員] 結構、意識が高いような方ですか。
79
[Z(事務局)
] もちろんそうです。
[大下座長] 鉄鋼工学セミナーの研修については、レベルは高いです。この人は中核になって
もらおうとか、頑張ってほしいという人を行かせる。結構期間が長いので、上司のほうも育てる
ためには仕方がないかということで行かせるんです。だから、母集団として、結構マインドが高
い人のアンケートです。
このデータは、私も全部は見切れていませんが、中身を見てみましたら、ものすごく重要な情
報だと思いました。やはりこれに応えるように、企業側も、大学側も、このネタを見て、どこを
どういうふうに取り込んでいけるかということを考えていかなければいけないのかなと思いまし
た。アルミのほうも、軽金属学会とか研修の場でアンケートを採ると、同じような答えが出てく
るのではないかという気がします。
[H 委員] そうですね。こういうことも考えてみたいですね。何かアンケートに近いことはや
っていますね。
[オブザーバー] 直近ですと、先ほどの四つのコースで詳細なアンケートを採っています。先ほど
のは総合的な質問ですが、20 項目ぐらい聞いていまして、やはり「原則として、アンケート内容
は企業にも先生にもオープンにしない。集計したものだけだから忌憚のない意見を下さい」とい
うことで、正直な意見が出ています。非常におもしろい。
[X(事務局)
] こちらのアンケートは公開することを前提に採っていますので、一応こういう
かたちで出ています。
[オブザーバー] 集計結果は公開しますが、個人の、だれが何を書いたというのは公開しません。
[大下座長] これは今後どうやって活かしていくかたちですか。
[小島(事務局)
] 一つは、9 月の全国材料教室協議会の総会で大学側にはフィードバックしま
したので、そこは大学側の判断があるだろうと思います。
[Z(事務局)
] 一番大きいのが、先ほど高木先生からもご指摘があり、あとの部でも出てきま
すが、企業として今後入ってきた人たちに何をしてほしいのか、ということを明確にしていくこ
とだと思います。それで今後の戦略を考えることが重要ではないかと思います。
[大下座長] 企業は企業側で考える。大学は大学側で考える。
[Z(事務局)
] そこを連携して。
[大下座長] 連携するのだけれど、連携の場はどこでやったらいいのか。この会議の継続性と
いうのが必ずしも担保されていない中で、どうやってやっていくのか。そういうことがまずは課
題だな。今日ここで議論しても時間が足りなくなってしまう。非常に成果が出てきている中で、
この継続性をどうするかというのが大きな課題だと思います。
[A 委員] 鉄鋼工学セミナーのときは上(かみ)と下(しも)で、だいたい半々ぐらいですか。
[K 委員] 下が 100 人です。製銑・製鋼・材料で、20・20・100 です。
[A 委員] 下の人たちは熱力学をまじめにやっていなかったので、まずかったと。大学はもっ
とちゃんと教えてくれなければいかんということですね。
[大下座長] チャンスはあるのだけど、どちらかというと材料設計のほうに興味がいって。熱
力や算数は難しいですから。だから力が入らなかったというか。私自身、熱力は嫌いだったから
機械のほうにいってしまったんです。
[K 委員] 熱力、数学が嫌いなやつが材料に来るんです。同じ鉄鋼関係を希望している学生で
も、数学や熱力が得意なやつは上工程のほうの研究を希望します。基本的に材料というのは難し
い数学を使わないで、叩いて、引っ張って、組織を見てというのが結構多いものですから、わり
とカラーがはっきり分かれている。私の研究室は、残念なことに数学が弱い学生がほとんどうち
を希望する。その代わり、鉄鋼材料とか、相変態とか、ああいったところは満点を取るように、
非常に個性があります。だから、同じ材料でも上工程と下工程では得意分野がまったく異なって
いる。これはかなり材料系の数が多いので均等ではない。
[A 委員] 材料系の人がそれほど熱力学を勉強しなければまずかったと思っている、最大の理
由は何でしょうか。あまりいらないような気がしますが。
[大下座長] やっぱり必要だからでしょう。企業に入ってやるとやはり。そこらへんは小関先
生がわかるのではないですか。やられていたから。
80
[C 委員] 基本的には相変態ですよね。相変態の速度論までいくときに、どうしても熱力学へ
戻ってくる。最大の問題点は、いま大学の材料系の熱力学は化学熱力学ベースなんです。だから、
化学反応がどうなるかというのを調べたくなる。ところが、材料の組織のほうにいって相変態な
どをやると、今度は固体物理などを使うわけで、固体物理として必要な熱力学が教えられていな
い。だから、本当は固体物理をベースに置いた熱力学と統計力学を教えるようなカリキュラムに
すればよくなると思います。いま化学熱力学を教えている先生たちに、もうちょっと違った授業
をして、と頼むのが一番いいことだと思います。本来なら固体の熱力学をやるべきです。あと統
計力学もそうです。
[A 委員] 私がやっているような講義を皆が希望したらいい。
(笑)
[大下座長] 学生にも、講義だけ聞くと難しいけど、これが企業でどういうふうに役立つかと
いうことを見せると、もしかしたら意欲がわくのか。そこが、先ほどの連関が見えないという学
生の悩みなのかもしれないですね。
[C 委員] 鉄冶金熱力学を専攻してこんなことを言うのはあれですが、鉄冶金熱力学というの
はものすごく偏っている熱力学なので、機械や物理、化学の人たちも全部やれるのであれば、本
来は物理ベースの熱力学を講義として取り入れる。あともう一つは、統計力学を大学でもう少し
ちゃんと教えていただきたい。実は、統計力学を中心にした学科というのはないんです。学科の
売りは何ですかといったとき、機械は 4 力があるし、電気はそれなりにあるし、物理や化学は量
子力学です。だから、物理学科の目標というのは量子力学を理解する。化学科は量子化学を使っ
て設計ができる。では、材料やマテリアルは何があるのかというと、私は物理ベースの熱力学と
統計力学をきちんと教えて、原子・分子から物質の設計や性質が理解できる人材を育てるような
カリキュラムを本来はつくるべきだと思っています。
[A 委員] そういう意味で、熱力学をもっと勉強しておけばよかったということですね。
[C 委員] そうだと思います。だから、やはり材料屋さんのほうが、化学熱力学ではなく、ち
ゃんとした熱力学を教えてくれという要求だと思います。
[A 委員] それは当たっているかもしれない。
[E 委員] 熱力学をもっと勉強すればよかったというとき、どういう場面でそう感じているか
というのを聞くと、もう少し具体的になると思います。ただ、
「活量」と言われただけで迷ってし
まう人もいるかもしれないので、どのぐらいのレベルでもっとやりたいと言っているのかがよく
わからない。
[C 委員] 「活量」と持ってきてしまうので困ってしまうんです。化学ポテンシャルというと
ころで話を止めていればいいのだけど、鉄冶金が熱力学を非常にうまく使った経緯があるので、
その用語が材料屋さんのほうにも無理強いをしているような気が、個人的にはします。
[METI] 熱力は何時間、何単位ぐらいやっているのですか。
[C 委員] 大学によって違うと思います。
[E 委員] 東大はだいぶやっています。ただし、材料の熱力学以前の部分もその中に入ってい
ます。
[G 委員] 大きい大学は、早い時期から統計熱力学とか、そういう講義が大学院は必修で入っ
ているんですが、ここを見ると、大きい大学だけではなくて非常に幅広い大学から来ています。
そうすると、カリキュラムをそれだけ教えられる先生がいないということもあって、やれていな
いと思うんです。
私はこれをやっていたので、どういうことをやっているかわかっていますが、全体を見ると、
いま上工程と下工程があって、基礎と企業の先生方による応用をやっていますが、どういう内容
でやっているか、カリキュラムがあるとわかると思います。結局、上工程と下工程でどういうこ
とやっているか。最近、材料系のここが非常に多いというのは、いわゆる状態図、あるいは組織
制御、結晶粒子制御をこういう統計熱力学に基づいていかにやっていくかということと、製品開
発が直結しているものですから、たぶん現場の研究者の先生の講義に対して、
「自分たちはこれが
足りないな」と思うのだと思います。
それから、たぶん上工程の人たちが、昔のような単純な化学熱力学だと、ケミカルエンジニア
リングのセンスがないとまったくわからない。そういう意味で、その人たちは流体工学とか、そ
81
ういうことがある。だから、鉄鋼工学セミナーのときに、製鋼・製銑の上工程の分野と材料系の
分野でざっといいカリキュラムがどうだったか。これには付いていないですよね。どこかに付い
ていましたか。それが付いていると、ここで言われた先生方の議論がかみ合ったと思います。
これは上工程からスタートしましたので、あるところまでいって、やはり材料が必要だといっ
てトヨタから特別講師を呼んだんです。鉄鋼業がこうなった(低調になった)ときに呼んだんで
すね。そうしたら、300~400 人いますから、「鉄鋼会社は景気が悪いといってもこんなのがやれ
ているんですね」と逆に言われた。
「いやいや、だからこそ必要なんです」と言った覚えがありま
す。
[大下座長] どうもありがとうございました。議論は尽きませんが、どうやって生かしていく
かということを計画的に取り組んでいかなければいけないということだと思います。続きまして、
もう一つの分科会課題の取り組み状況ですが、目標となる人材像について、事務局からお願いし
ます。
[Z(事務局)
] 49 ページは、平成 19 年に一度報告させていただいておりますが、当時の材料
業界の人材ニーズということで、生産とか設備、研究でニーズが各々違い、しかも要求のカテゴ
リーもいろいろ違うということで色分けしている。これは単なるレビューです。
次の 50 ページは、昨年度の機械分科会がつくった資料を入手しました。機械分野のモデル人材
ということで、約 15 名の方に成功体験を踏まえたインタビューをされた結果をまとめております。
機械は工作機械・プラント・素形材の三つの領域で活動されていますが、そういった各々のとこ
ろが、一番上には「今後の機械分野の魅力発信はどうあるべきか」ということで、内容的には材
料分科会とかなり類似の議論をされているところも見受けられます。
それから、「仕事の魅力」というところで、私が赤でコメントさせていただいております。「モ
デル人材」と「仕事の魅力」で、魅力を感じてやれる人材みたいなことが、一言でいえば求めら
れているのではないかということです。それ以上の話は個別に見ていただくということで、今日
は時間の関係で省略させてください。
次のページは、新聞みたいな資料で恐縮ですが、開いていただきたい。これは、今回鉄鋼工学
セミナーに来られた中、機械系出身の方のご意見を全部総括したものです。縦軸方向は全部番号
を振っていますが、これは全部機械工学系のご出身の方の意見です。その中で横軸方向に並んで
いるのは、今回の学生を引きつける議論に関係のありそうなところをいくつか拾ってきておりま
す。
たとえば一番左側の「大学で学ぶことと、企業での業務の関係があるか」
。これは赤がポジティ
ブな意見、青がネガティブな意見です。いろいろな意見が出ていまして、どちらがいい、悪いと
いう議論ではありませんので、とりあえず紹介させていただきます。
それから、たとえば③「大学時代の理解と入社後で最も違っていたことは何か」。ずっと下のほ
うを見ていただきますと赤の太線で書いてありますように、
「鉄鋼会社というといろいろな業務が
あるのは知っていたが、実際に機械、材料、化学、電気等々、本当に幅広いと感じた」という非
常に素直なご意見もいただいております。
④は省略しまして、これも先ほどの高木先生のご指摘と通じますが、⑥「大学生に鉄鋼業を理
解してもらうため、大学と鉄鋼会社が協力して何をすればよいか」の中で、機械の方の特に上か
ら四つ目、「特に電気関係の学生は鉄鋼業に疎い。(鉄鋼業に電気関係の学生は必要ないと思って
いる)
。まずは仕事内容を PR し、電気関係のエンジニアが必要であることを学生に知ってもらう
ことを実施すべきと考える」。それから、「在学中に工学系の学科の学生を対象に企業が会社紹介
を実施する積極的なアピール。鉄鋼業は冶金だけではなく、電気、制御等の知識も求められるこ
とを伝える」。一番下から二つ目、「工場見学を多くやるべき。他業種と比べ閉鎖的。材料系以外
にも機械系の人間にとって巨大な設備を見ることで興味を持ってもらえるだろう」。
⑦「鉄鋼業を希望する人が減少傾向」ということで、真ん中へんに太枠で書かせていただいて
おりますが、
「機械系だと、重工・車メーカーに偏りがち。工場見学等を積極的に行ってよく知っ
てもらう必要があると思う(学生は中身を知らない)」。
⑧「鉄鋼への就職を選択する人を増やすために何をすべきか」ということで、特に上から 4 番
目、
「技術系の学生に対しては、エンジニアとして活躍する場が多いことを PR する。鉄鋼会社に
82
入って、いったい何をするのかわかっていない学生がほとんど」と、高木先生のご指摘のとおり
です。それから、一番下から 2 番目、
「鉄鋼企業の製品アピールのみでは難しいと感じる。ユーザ
ー企業・業種と手を組んで、鉄鋼製品全体の PR をすべき。テレビ CM は必須」
。これは機械系の
ご意見です。
次のページには機械系以外ということで、緑で塗っているのが化学です。化学系で、特に右側
の 6 番目のところをポイントで申し上げますと、
「理解してもらうために何が重要か」に対し、
「鉄
鋼材料、鉄鋼プロセスは需要家の厳しい要求に応える新しい需要を掘り起こすために、まだまだ
発展していく産業であることを認識してもらう活動をすればよいと考える」
。次の太枠ですが、
「化
学系に対してアピールが足りない。分野ごとに、入社したらどんな業務があるのか具体的に提示
すべき」
「鉄鋼で何が必要かを明確にすること」。
それから、その下を見ていただきますと、これは物理の領域ですが「リクルート関係で学生の
話を聞いてみると、もうこれ以上技術的な発展がない分野だと考えていることがわかった。まだ
まだ技術者が活躍できることをアピールすべきだ」ということもいただいております。
⑦の「鉄鋼を希望する人材が減少する傾向とすれば、その理由は」ということで、似たような
こと、特に「製造現場は 3K 職場と認識されているのではないか」「体育会系の雰囲気」「体質の
古さ、長時間労働、理不尽な命令(軍隊組織)というイメージ」
「NSC のヘルメット一気」とか、
ちょっと余計なことが書いてありますが、そういう誤解というか、変なところばかり伝わってい
るようなところもあります。これが化学・電気・土木・物理というようなところのご意見を集約
したものです。
それを受けまして、次のページが一番重要で、53 ページです。これは、いまご紹介したような
ことを左半分に書いております。縦軸は機械から物理まで並んでおりまして、いま現状認識から
得られた専門分野に関連の深いキーワード/キーフレーズを並べています。その右、横軸方向は
次のような構成になっています。まず「目標となる人材像」という視点で見たらどんなことがい
えるのか、材料系以外の学生を惹きつける方策はどんなことかを事務局として整理させていただ
いております。
ただ、始めにお断りをさせていただきますが、一番上のところに赤で書いていますように、学
生の専攻に壁はない。つまり、企業に入ってからいつまでも学生時代の専攻にこだわることを狙
っているわけでも何でもない。あくまでもステレオタイプのイメージ議論といいますのは、たと
えばまったく新しい未知の課題にぶつかって、どうやって解決しようかと考えるとき、自分の専
門で知識を生かせるとしたらこんな視点があるのではないかということもある意味有効になるの
ではないか。そういう断面だったらこんな視点もあるのかなということをステレオタイプに整理
しただけで、機械系の学生はこうでなければいけないとか、枠をはめるつもりはまったくありま
せん。
そういった前提で、たとえば機械系のところで、
「目標となる人材像」はあえて青と緑に分けま
した。青は足下的、生産/研究現場での課題をどうするのか。緑は中長期的な課題解決というこ
とです。先ほどの意見を集約したものをまとめていきますと、たとえば機械工学系の学科では、
足下的なこととして「設備上での専門性を生かした着眼点の問題解決」とか「設備系のリーダー
シップ発揮」「デザインに対応した機能発揮の指標化ができる人材」「設備上での専門性を生かし
た着眼点での問題解決ができる人間」というようなことです。中長期的なところでは、たとえば
「設備技術の進歩がもたらす新技術創出」とか「21 世紀型低消費、快適性の高いソリューション
を発想・企画できる人材」というようなところではないか。
化学につきましては、足下的なものは「高温物理化学や界面化学等、鋭い着眼点で現場現象に
メスを入れられる人材」
、中長期的なところでは「差別化商品、環境課題、安全安心課題等を中心
に、化学的シーズの提案ができる人材」というようなことを事務局の案として挙げさせていただ
いておりますので、後ほどご議論いただきたいと思います。
電気のほうでは、たとえば電気のところで、
「工場が古いので古い知識が必要だった(サイリス
タ等)」というようなことが書かれてはいますが、「あらゆる環境でも自らの担当領域で責任ある
仕事ができる人材」というのが足下的な課題ですし、中長期的なことでは「計測制御をも含む電
気電子の領域で、先端機能技術との連携で設備工程能力を一桁高められる人材」などです。
83
土木建築は時間の関係で飛ばしますが、物理につきましては、
「ナノ、界面、触媒等、ミクロ機
能改善のチャンスを生かせるような創造的人材」等々を叩き台として挙げました。
学生を惹きつける方策につきましても、アイボリーで塗っているのが学生向けで少し専門的な
見方、紫で塗っているのが世間一般、母親とかを含める見方です。アイボリーで塗っているとこ
ろで赤で書いてあるところは、機械系であれば「差別化商品、環境課題、安全安心課題を中心に、
今後の具体的課題の提示(機械の専門的な視点含む)」というところで、化学、物理についても同
じです。
一番右、赤で書いている「未知の解決すべき課題に対する着眼スタンス(特に複雑系に対する
課題)
」として、各々の分野の視点を生かしたところで進めていくべきではないかということを整
理させていただきました。
[大下座長] このカラーで塗ってあるところは、事務局で検討したものですか。
[Z(事務局)
] 事務局の案です。独断と偏見です。
[大下座長] ただいまの報告につきましてご質問等ございましたらお願いいたします。
[E 委員] いまの議論からちょっと離れるかもしれませんが、52 ページの「鉄鋼を希望する人
材が減少傾向とすれば、その理由は」というところの下から三つ目か四つ目のところに、
「人は待
っていれば集まる。チューターによる学校訪問は古い。同じ系統の人しか集まらないため、進化
が望めないのでは」というコメントがあって、私はおもしろいなと思ったんです。
材料系が、従来の鉄を中心とする材料からいろいろなマテリアルで広い学科に変わったり、工
学系の組織でたとえばバイオ系が出てきたりということで、大学自身がどんどん変わっている。
その中で、鉄鋼業に行く人材を今後継続的に確保しようということになりますと、いままでと同
じような人材発掘をやっていてはだめで、大学が変わっているのに対応した、新しいいろいろな
分野から人を採っていくことが重要だろうと思います。
その意味で、この中で人材のパートナーシップを考える中では、ある限られた分野だけではな
く、もっと広い分野から次の鉄鋼を支えるような人材をどうやって集めていくかという議論が必
要だろう。いま働いている人が実際にこう思っているのは、鉄鋼業自身も、たとえば環境の問題
が出てきたり、グローバルの中で動きがどんどん変わってくる。その中ではいままでと同じよう
な人の採り方をしていてはだめなのではないですかという意見として、私はなかなかおもしろい
と思います。ここでもそういう議論が必要なのかなと思います。
[大下座長] 鉄鋼業というと汚い 3K 的なイメージのことをおっしゃる人もいるが、鉄鋼業自
身も変わっていかなければいけないし、変わりつつあると思います。企業そのものが相当変わっ
ているし、設備がいまのありようでいいのかというと、これも大きなクエスチョンで、相当変え
ていかなければいけないのではないか。
来年入ってくる人間の面接などもしましたが、入ってくる人も多様化しているのは事実です。
企業が多様化するのに応じて多様化しているし、女性の数も増えている。ある意味では頼もしさ
を感じていますが、やはり継続性です。先ほどアルミの話もありましたが、アルミの半分は中国
がつくることになってしまいそうだと。鉄鋼も半分は中国がつくっていますから、同じ状況です。
その中で、エネルギー資源のない日本がどうやって生きていくかといったら人材育成しかない。
これをどうやってやっていくのか、最大の課題ではないかと思います。
そんな中、鉄鋼でいうと、中国で新しくできる鉄鋼などは、原料も全部ドームの中に入ってし
まっているし、ベルトコンベアもパイプコンベアになっているとか、構造が変わっている。高炉
はそう簡単に変わらないかもしれないけれども、それ以降のところはだいぶ変わってくるだろう。
高炉だけではなく、関連する制動とか、いろいろなかたちで変わる可能性がある。その中で人材
をきちんと担保してやっていけばいいが、その人材が離れていくと非常にあぶないと思います。
これに参加してくださった先生方が一番わかっているのだけれど、それをどうやって継続的に
やっていくか。鉄鋼協会とか、あるいは経産、文科も教育や人材育成を見られている。日本の問
題だと思ってどのように進めていくかが一番大事ではないかと思います。
[G 委員] やはり社会にアピールするのは、メディアがうんと影響を与えている。私はよく行
っているからわかっていますが、鉄鋼関係で低炭素、いわゆる省エネルギーというところには、
いまやむをえずというか、ものすごく設備投資をやって、そういうところは新しくなっていると
84
思います。そういう上工程の部分とか、下工程の部分はどんどん少しずつ新しくなっているが、
見ると、設備がかなり古くなってきているようなイメージがあります。だから、儲けているとき
に、ただただエネルギーを減らすということだけではなく、地道に設備を近代化して、皆が来て、
子どもたちが見ても「なるほど」と思うようにする。高熱重機もあって危険に見えるけれども、
実際はそうではないですよね。
高校の理数系の先生を連れて行った事業を鉄鋼協会で 10 年近くやったと思いますが、皆知らな
かった。行って、すごく感銘を受けて、いろいろな話題を高校の授業で出してもらっていました。
まさしくここに書いてあるようなことが、多くの保護者や母親など製造業にまったく興味を持っ
ていない、関与していない人たちのイメージが強くなりすぎている。新聞には、鉄鋼が非常に厳
しいという記事ばかりが出てしまうのもある。私たちはわかっているからいいですが、わからな
い人にも少し PR 的にうまい具合にやれるようなことも、パートナーシップでは大事ではないか
と思います。
[大下座長] どうもありがとうございます。
[A 委員] まさしく先生がおっしゃったように、大下さんなどは本当に頭がどんどん切り替わ
っているのがわかりますが、意外と若いリクルーターたちがだめなんです。
「お前、後輩の研究室
でリクルートしたって、いいのは来ないよ。全然分野の違う研究室に行け」と言っても、意外と
行かない。気の毒といえば気の毒で、日常でリクルートしているわけではなく、
「お前、卒業生だ
から行ってこい」と言われて、行きにくいのはわかります。しかし、本当に人材を獲得しようと
すると、人事・総務等もリクルーターの成果を求めると同時に、広いところにアタックするよう
な雰囲気にしていかないと、多様な人材は引っかかってこない。そのへんでずいぶんギャップが
ありますので、データそのものも、次の就職の機会には、人事あるいは総務のほうからリクルー
ターの方によく説明してお持ち帰りになるといいのではないかと思います。
[G 委員] ここに体育会系の雰囲気があると出ていますが、鉄鋼は一時期かなり体育会系の人
間を面接で採っていた時代があると思います。そういう連中をうまく利用すると、私も体育部長
とか長く体育会系ですが、ありとあらゆるところを、文系だ、医者だと知っているわけです。そ
ういう人が企業には絶対いるはずで、そのときの仲間が学校に残っていたら、そういうところに
行く。自分の出身のところだけではなく、そういう一種の課外活動を利用する。私はいま体育会
だけの話をしましたが、文系も総合大学だといろいろなところに属しているので、企業側が送っ
ていくときにはぜひそうやっていただきたい。
先生が言われたように、楽なんです。自分の研究室に行って、周りから「お前、来い」と言う
のが一番楽なのだけれど、そうではなく、新たな異分野を開拓するのも、自分の違うネットワー
クを利用しながらやることが非常に重要ではないかと思います。
[大下座長] 私も戻って人事部長にこの資料を渡そうと思っています。時間が迫っていますの
で、最後の報告、海外調査案について。
[Z(事務局)
] 54 ページです。これは昨年 21 年度、オーストリアとスイスで調査したもので
す。まず上半分はオーストリアのセルジャック先生です。
「重要なことは、学生に能力を身に付け
させるよりも、学生自身が自分の能力を高められる環境をつくることが、その後のキャリアで重
要。大学の役割はそういった機能・動機を与えることである。自分で必要に応じて能力を高める
べきで、自分でそうできることが重要」ということです。
下半分はスイスのモルタンセン先生です。
「育成成果の評価について、最も重要なのは卒業生の
意見である。これはシステマティックに集約しているものではないが、情報の質としては高く、
かつ意見を言ってくれる学生は大学のことを真剣に考えてくれる」ということです。
次は 55 ページです。いま申したのは一言でということですが、もうちょっとあるだろうという
ことで、55 ページの左半分は 21 年度ということで、①~⑬まで、資料としては書いております。
ただ、今日は時間の関係で、いま申しましたのが②と⑪です。こういったことを受けまして、右
側に平成 22 年度の取り組みということで、中国・韓国での議論ポイントの案を緑色の文字でまと
めております。冒頭ありましたように、
「成長著しいところを見てくる」というキーワードがあり
ました。それ以外に、上から「学生の自立性を育む教育システムの有無について」とか「産学連
携の理想と実情」、一つ飛ばして、「最先端産業と汎用的材料産業それぞれに対応する学生の適性
85
就職の実態はどうか」
「提示した 10 のキーワードに対する理想と現状はどうなっているか」
「大
学・企業の育成評価方法の妥当性」など、昨年との対比が取れそうなところをキーにして、案と
してまとめてみました。
現実にどこに行くかということはまだ確定していません。下に案ということでいくつか挙げて
おります。2 カ国程度、2×2 の 4 ぐらいに行ってこようかと思っていますが、基本的な考え方の
ご了解をいただいたあとで具体的に決めていきたいと思っています。
[大下座長] 22 年度中にやるのでしょう。
[Z(事務局)
] そうです。
[大下座長] 大丈夫ですか。あと半年しかない。
[Z(事務局)
] 中国が心配ですが、条件は確認したうえで。
[大下座長] やはり大事な情報だと思いますね。
[A 委員] 韓国と中国は、どこを選ぶかというのは非常に大事です。鉄鋼関連のご事情に詳し
い先生方とご相談されないと、いわゆる有名総合大学に行ってもソサエティが全然違う場合もあ
りますので、そこは慎重に。鈴木先生なんかとご相談のうえで。
[大下座長] 中国の中でやられている先生に聞いたほうがいいですね。
[A 委員] 中国は中国で人脈がいろいろありますので、変なところへ行くと、またへそを曲げ
られたりする。
[大下座長] 報告は以上です。今年度の進め方、これからの進め方が最大のポイントだと思い
ます。鉄鋼協会のほうで受け止められる、先ほどのワーキンググループの 1-1、1-2、このへんは
問題ないと思いますが、そのあとどうするかということが最大のポイントだと思います。何かご
意見がございましたらお願いします。アルミのほうはアルミ協会で継続されるのでしょうか。
[H 委員] はい。
[大下座長] 事務局のほうは何か案がありますか。
[Z(事務局)
] 鉄鋼協会が、というところまで。
[大下座長] では、いまのところは、鉄鋼協会の育成委員会でやるとか、決まったところまで
が確定していることで、それ以後のことは。
[Z(事務局)
] 中身的に申しますと、たとえばインターンシップについては、もともと n 数を
稼げないということもありますので、よさだけ理解していただいて、それを少しずつ広げていく
しかないと思っています。つまり、教員を巻き込むとか、幅を広げるとか。
それから、開発マネジメントのほうは、これも n 数を稼げないし、ものすごくエネルギーがか
かるので、たとえば鉄鋼工学セミナーで集まっているところでうまく活用するとか。私が勝手に
言っているだけですが、これもあくまで鉄鋼協会の中の運営だと思いますので、そういったとこ
ろで草の根的に理解を広げていかないと、先ほどの単位ではないですが、いきなり仕組みをつく
ろうと思っても結構難しいところがあると思います。仕組みでハードをここに構えるというとこ
ろまでは、まだ案を考えられておりません。
[大下座長] 鉄鋼協会から何か。
[小島(事務局)
] たとえば文部科学省の施策だとか、人材ですと厚生労働省などと連携という
のもあると思います。あと中小企業庁のほうで、今回人材関係で予算措置がされていると思いま
す。そういったものをもうちょっとサーベイしてみるということもあるかと思います。
[大下座長] この分科会の会議は、今年度どうなっているでしょう。
[Z(事務局)
] あと 1 回、第 2 回を 1 月か 2 月頭くらいに。
[METI] 日本でいま円高になってしまっていて、ものづくりが非常にやりづらい状況です。そ
の中で産業構造的にいろいろな人材が出てきていますが、これからの人材を企業はどういうふう
に考えているのでしょうか。日本は研究開発でいきましょうという話か、従来型のものづくりで
はなく、新たな人材を求めていらっしゃるのか。
[大下座長] 円高対策をやらないと日本も沈没ですね。
[METI] そうなんです。ものづくりがなかなかできない状況で。だから、求める人材も若干変
わりつつある。従来型ではなく、もっと新しい時代に対応するような人間がほしいのかなと思っ
たんです。
86
[大下座長] この円高は政治も含めてきちんとやってもらわないと。企業は全部外国に出て行
ってしまうが、国民は食っていける人間がいないというと、皆、農業と林業、水産業だけをやる
ことになってしまう。だから円高問題は他の外国に完全にやられてしまった。日本がスタートす
るのが出遅れた結果だと思います。そこはここで言われても困ってしまうけれど、企業としては
いまそのぐらいせっぱ詰まった状況の中にあって、でも何とか打破していくべく、どうやってい
くかと考えているのが実態です。そんな中、中国は人口の多さもありますが、世界の経済に及ぼ
す影響が出てきて、そこを技術力で打破していくことができるか。そのキーポイントの一番大き
なものはやはり人材なので、そこを十分理解していただく。
鉄の場合は鉄鋼協会、アルミの場合はアルミ協会で進めていくことになると思いますが、経産
省、文科省もそこらへんを十分バックアップしていただきたい。これは一企業でやる話ではなく、
日本株式会社が倒れるか、倒れないかということなので。大学の先生方も、いままで競争的資金
とかで研究費を取るのにものすごく時間を割かれていましたが、そういうところに時間を割かな
いで、もっと教育のところに十分時間が取れるように。やはり最終的にはそこを国のほうである
程度きちんと見ていただかないと、企業としてやるべきところはやりますが、先生方が変なとこ
ろで精力を使っているという声があまりにも多かったので。高木先生など 30%ぐらいそれに取ら
れているのではないか。
[K 委員] 7 割ぐらいが雑務で、研究の仕事をするのが 3 割ぐらいありますかね。(笑)
[大下座長] 人材育成で学生を育てるというと、ものすごい精力、研究する以上の精力を使う
と思うんです。しかも、その成果は研究成果ではなく、人材が育って、企業で活躍する人材が育
つということだと思う。そこをきちんと評価してほしい。それが日本の活力だと思います。それ
を先生方に、ニッチの世界の研究成果を出せといって、特許が何件あるかとか、論文は出るかと
か。論文を出そうと思ったら、人がやっていないニッチの世界の研究ばかりやらなければいけな
くなり、追い込んでしまっている。非常に変なことになっている。
鉄だったら鉄というものの学問領域を製造できちんとやっていく、勉強していくやつを何に育
てるかということのほうが大事だと思います。その中で、もちろんベーシックないろいろな研究
は先生方にやっていただかなければならないところで、それは企業にも共同研究やいろいろなか
たちで頼むかたちになると思います。そこは文科省、経産省ともぜひご理解してやっていただき
たい。
[A 委員] あと、いつも申し上げるんですが、1 回やってみて、確かにいいシステムはたくさん
あります。でも大学の場合、本当にいいかどうかはだいたい 5 年やってみないとよくわからない。
たしかに円高とかいろいろな外部環境が変わって、そのときどきに強調すべき点は変えるんです
が、コンセプトとしての人材育成をやるのであれば、数年間はやる。目先は変わらなくてもいい
から腰を据えて同じことをずっとやって、そのときどきのトピックスは取り入れるけれど、継続
してやらないと、本当の意味での人材育成はできないのではないか。少なくとも大学に関しては
ターンアラウンドが長いので、そういうふうに見ていただいたほうがいいのかなと思います。
今日のお話の中で参考になることがたくさんあると思います。ただ、それを全部 5 年間やり続
けようとすると、たぶん皆アップアップになってしまうので、これならばちゃんと続けられると
いうようなものを見出して、長く続けていただくほうが、効果はあるのではないかと思います。
[H 委員] それと関連して、経済産業省さんとかに支援していただきたいのは、基盤技術をも
っと徹底して強化したいとわれわれは思っていて、もちろんその人材育成もあるのですが、出口
志向だから、出口が見えないと支援しませんとおっしゃる。基盤技術をしっかりするところにも
っと支援をお願いしたい。それがわれわれの競争力を強化することになるのではないか。新しい
材料とか何とかというところにはお金が付くけれど、基盤のたとえばシミュレーションでも何で
もいいが、そういうところにもっとお金を付けていただいて、われわれの基礎力を充実させると
いうところに支援をしていただくと、ずいぶん変わっていくのではないか。
ヨーロッパなどは企業と大学のネットワークがしっかりしていて、フォーラムというか、いろ
いろな会をつくってきて、若い研究者がどんどん出てきているという背景がある。バーチャルの
いろいろな研究機関をつくってやってきて、そういう成果がいまいろいろなかたちで出てきてい
る。日本ももっとそのへんに力を入れないと、若い研究者も育ってこないという気がします。ぜ
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ひそのへんの支援をお願いしたい。ヨーロッパなどを見ていると、われわれはちょっと遅れてい
るのではないかという気がしています。
[K 委員] 吉田さんがおっしゃるとおりで、機械系で希望者が減っているのはなぜかというと、
機械系で鉄の研究をやっている講座が減って、ロボットのほうに移ったりしている。大学として
ノーベル賞を取るとポンと上がるものですから、ノーベル賞を取るようなところに力を入れると
か、いま大学の研究者は研究の競争をさせられているような感じで、危機感を感じています。教
育をやったって何の給料も上がらないけれど、ちょっと大きな科研費を取ると、そのまま給料に
反映される。では、そういう人がちゃんと教育をやっているかというと、そうでもないところが
かなりあります。教育をまじめにやっている人はなかなか評価されない。そういう評価システム
に一つ問題がある。
それから、先ほどおっしゃったように、審査員が先端のところにいい点を付けて、どうしても
偏る傾向にあるのは否めない。鉄というだけでなぜ不利かというと、
「新規性がありますか」とい
うことが一番上に必ず書いてある。鉄というだけで新規の材料ではないではないかと。中身がわ
からないわけです。そういう印象で、まずその段階で 3 点ぐらいしか付かないとなると、もう当
たらない。
企業や経済産業省のサポートでこういうところの基盤を支えていただかないと、中核人材どこ
ろか、大学から出て行く人材でこういう基盤をやっている人が、あと 10 年もつか。機械だったら
ロボットをやっている人間ばかりが入る。電熱とか基礎的なところを何も知らないという人で、
鉄鋼会社や自動車会社が動くのかということです。
私が危機感を持っているのは、人材が偏りすぎていることです。機械の中も人数は昔と変わら
ないのですが、分布を見ますと、先端分野に半分近く偏ってしまっている。バランスが崩れてく
ると、そのうち基盤のほうも、私は骨粗鬆症現象と言っていますが、見かけはがたいが立派でも、
中がスカスカになって、次の人が育たない。そういうことがもうすぐ起こってきているのではな
いかという気がします。ですから、ぜひとも研究者の数が減らないように、研究面での支援をお
願いしたい。
[大下座長] いろいろご意見をいただきましたが、時間になりました。今後の進め方は資料に
すでに記載しているものもありますが、今日いただいたご意見を踏まえて、事務局のほうでもう
1 回整理して、次回ご報告したいと思います。それでは、経産省のほうから覚道室長、コメント
をお願いします。
[主催者] 今年もよろしくお願いいたします。本日、大変活発にご議論をいただきましてどう
もありがとうございました。アルミと鉄のほうから人材育成の講座や講義の実例をご紹介いただ
きましたし、鉄鋼工学セミナーでのアンケートもある意味具体性があって、若手の研究者の方を
通して、人材パートナーシップの具体的な取り組みも目に見えてきましたし、またその課題が明
らかになったのかなと思っております。
材料分科会としての活動の進め方は、基本はいま座長がおっしゃったように、来年以降は鉄鋼
協会とかアルミ協会さんベースということで、それに向けて、今年ベースを固めていくというこ
とかと思います。ただ、最後にいろいろご議論がありましたように、円高に限らず、いま急きょ
話題になっている TPP、各国との通商問題ですとか、環境にしろ、あるいは法人税といったよう
な問題とか、ものづくり産業が今後引き続き日本でしっかりとやっていくうえで環境が非常に厳
しい中、経済産業省としては雇用を日本でしっかり確保していくために、ものづくり産業が日本
の中でしっかりと基盤を確保していかないといけないと思っています。そういう観点からも各種
の政策を一生懸命動員して、雇用の確保とものづくり産業の今後の発展のために頑張っていきた
いと思っております。
この分科会の活動についても、来年度以降もいろいろなかたちでサポートできるところがあれ
ば、引き続き頑張ってサポートしていきたいと思いますので、またぜひよろしくお願いいたしま
す。
次回は年明けにまたお集まりいただき、最終的なとりまとめとか来年度以降の方向性について
ご議論いただくということで考えておりますので、またぜひよろしくお願いいたします。どうも
ありがとうございました。
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[X 事務局] 時間もまいりましたので、これで材料分科会を閉会したいと思います。本日は本
当にありがとうございました。
(参考 3)産学人材育成パートナーシップ 平成22年度第2回材料分科会
日時:平成 23 年 2 月 4 日(金)10:00~12:10
場所:経済産業省本館2階 東6共用会議室
[X(事務局)
] おはようございます。事務局の鉄鋼協会の X です。まだいらっしゃらない方が
おられますが、遅れるという連絡をいただいています。定刻になりましたので、本年度第 2 回の
材料分科会を開催したいと思います。これが今年度最後ということになりまして、来年度以降、
これまでの討議を踏まえた実際の活動ということになるわけですが、鉄鋼協会のほうでもこちら
の成果を受けて、新しく産学人材パートナーシップ鉄鋼協会版というかたちで実施したいと思っ
ております。また、あとで議論になりますが、若手の企業技術者の方による大学教育へのフィー
ドバックということにつきましても、定点観測的に毎年実施していきたいと思っております。い
ずれにいたしましても、今日の議論を踏まえて実行面で生かしていければと思っております。そ
れではよろしくお願いいたします。
[Z(事務局)
] 事務局の日鉄技術情報センターの Z でございます。よろしくお願いします。資
料確認をさせていただきます。お手元のホチキス留めしたメイン資料のほかに、メインテーブル
の方のみですが、
「極秘・要回収」ということで東芝様の研究インターンシップの情報があります。
これは会議が終わりましたら席上に残しておいていただきたいと思います。それから座席表。こ
の 3 セットです。
メインの資料につきましては、一貫のページは打てていないのですが、一番下のところに議事
録のページ数ですとか、それが終わりましたらとりあえず 1~6 ページぐらいまで、あとは各々タ
イトルを打ちながらのページというかたちになっています。詳細はご説明いたしませんが、そう
いうかたちで見ていただきたいと思います。
それから、京セラの武田様が、名簿にありますようにアンテナ技研の社長様に変わられまして、
引き続き今回もご意見をいただくことになっています。よろしくお願いいたします。
[大下座長] それでは会を開かせていただきます。今回が最後ということで、前回、データを
含めてかなり中身の紹介をいただきました。今回、それのまとめと残件、今後の進め方というこ
とでまとめていきたいと思いますので、皆さんの忌憚のないご意見をよろしくお願いいたします。
それでは、議事進行表が最初にあると思いますが、経産省の人材政策室様のほうからアナウン
スがあるということです。よろしくお願いします。
[METI] 産業人材政策室です。よろしくお願いいたします。本日は、今日の主題とははずれる
かたちでまことに恐縮ですが、皆様のご知見をいただければということで 1 点ご説明させていた
だければと思います。
「新卒就職採用を巡る最近の動き」という 2 枚をホチキス留めにした資料で
す。
[Z(事務局)
] 分科会議事録のあとに付けております P1 と P2 というものです。
[METI] こちらに、昨今の産業界の採用活動、就職活動の経緯を簡単にまとめております。平
成 20 年秋以降、就職環境はかなり厳しい状況となりまして、就職活動の早期化や長期化という問
題が浮上してきているというのは、新聞でも大きく取り上げられているところです。また、産学
人材育成パートナーシップの中でも、20 年 7 月の中間とりまとめの中で、この早期化・長期化は
課題として取り上げています。
最近の動きですが、昨年 10 月 8 日には文科省・厚労省・経産省の 3 大臣連盟で、この早期化
是正を 245 経済団体へ要請したところです。また、日本貿易会や日本製薬工業協会等の一部の経
済団体におきまして、就職活動の後ろ倒しに向けた提言等が発表されております。
政府の取り組みとしましては、文科省、厚労省、経産省、そして経団連が事務局となりまして、
「新卒者等の就職採用活動に関する懇話会」
を設置し、第 1 回会合を 11 月 22 日に実施しました。
その後、経団連さんが 1 月 12 日、就職活動時期に関して、いままでは夏に動き出していたところ
89
を、広報活動を 12 月 1 日に開始という方針を表明されております。ただし、選考活動につきまし
ては、いままでと同じく 4 月開始で変更していないということです。
こういった動きに関して、経済同友会のほうでは、これよりもさらに後ろ倒しをするのが理想
的だということで、広報活動を大学 3 年生の春休みから、採用選考活動については夏休みからと
するのがよいのではないかという意見も出ております。
2 枚目にスケジュールを図示しています。大きく 2 段ありますが、下の見直し案に、昨今の動
きで提言されているところをまとめております。3 段ありますが、真ん中が経団連の案というこ
とで、おそらく 2013 年 4 月採用者からはこの動きになるであろうというスケジュールです。そ
れに対して、同友会や日本貿易会から、さらに後ろ倒しにした 3 年生春からの説明会、夏からの
面接ということが提言されている状況をその下に示しています。
こうした動きの一つの目的としては、留学生が日本に帰国してから就職活動に進む時期とマッ
チしないということで後ろ倒しがかなり叫ばれているわけですが、では理系の学生にとってこれ
が本当に理想的なかたちなのかどうか、そのご知見をいただきたく、ご説明申し上げる次第です。
と申しますのは、理系の学生というのは夏に論文を執筆する。大学 4 年、修士 2 年の夏は非常
に重要な時期で、学業に影響が出る時期であるというふうにも聞いております。もし万が一、こ
ういった後ろ倒しというところが夏休み期間にかかった場合、理系の学生にとっての影響がどの
ようにあるのか。また、もし後ろ倒しになった場合、学業活動のスケジュールを変更する等、そ
のかたちなりの対応が取れるのか。もしくは、そのほかにも対応案があるのかどうか。そういっ
たことで就職採用活動がどのような時期にあるのが理想的であるとお感じになるか、ご知見をい
ただければと考えております。
ご説明は以上ですが、議事次第の 9「総括と今後の方針」のところでぜひご意見をお伺いでき
ればと思いますので、申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
[大下座長] 大学の先生方のご意見が非常に大事だと思います。後ほどご意見をいただきたい
と思います。よろしくお願いします。それでは、先に議事のほうを進めさせていただきます。議
事次第 5「定点観測的フィードバック体制の確立」ということで、この前だいぶ紹介いただきま
したが、全体の総括をお願いします。
[Z(事務局)
] それでは、資料の 3~5 ページで報告させていただきます。まず 3、4 ページ目
は、前回ご紹介していない、いわゆる鉄鋼工学アンケートの中で企業教育に関する部分にスポッ
トライトを当てたものです。
3 ページにつきましては、「会社の教育により自身にプラスになったこと」は何かという中で、
OJT が筆頭に入っていましたので、その OJT のコメントを総括して、カテゴリー分けしたもの
です。結論的には右下のグラフに集約しており、前回と同じように「材料系」
「機械系」
「その他」
の三つの系列で、材料系が赤、機械系が青、その他が黄色という層別のカテゴライズをグラフに
しています。
多かったのが、上の二つ「業務として取り組むと真剣度が違う」
「経験として取り組むと習熟度
が違う」です。似ているかもしれませんが、そういうかたちです。具体的には生の意見の対応が
いろいろありますので、上を参考にしてください。今回の特色は、学科によって少し違いがあり
ますが、総じて真剣度・習熟度が違うということが出てきております。それから、下から 3 番目
に「幅広い題材から学べる」とあり、単純に座学よりはいろいろなことを考えなければいけない
ということで、OJT の有用さが表れています。
4 ページは、それらも含め、
「会社の教育システムに満足しているか」ということです。これは
かなりいろいろな意見が具体的に出ておりますから、それをご参照いただきたいのですが、基本
的には「満足」が、特に材料系では非常に高い。その他では少し低くなっていますが、材料系・
機械系ではそれなりに満足ということです。それ以外のご意見として、
「育成メニュー・内容」
「育
成側の資質・マインド」に少し問題ありというところも、特に材料系を中心に出ております。さ
らに下から二つ目、残念ながら時間がなく、
「参加チャンスが無い」というご指摘もいただいてお
ります。あと、かなり具体的なことも書かれておりますので、個別にご参照いただければと思い
ます。
5 ページ目は、これを受けまして、前回の結果も全部集大成しております。前回はデータのご
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紹介で、総括してそれが何だというご報告もしなかったものですから、今回の新しいデータも含
めて①~⑮まで、大学から企業へというかたちで順番に整理しております。そして右下のところ
に総括というかたちで書いておりますので、これでご報告させていただきます。
①大学教育でプラスになったものの中で、専門科目は当然「業務に直結」
「基礎として有効」と
いう二つのところで非常に重要であるという認識がされております。一方、修論につきましては、
「推進手法が直接役立つ」ということで非常に高く評価されています。
②大学の教育での反省材料としては、たとえば「熱力」
「材力」をもっときちんとやっておけば
よかったということで、その理由として「業務に必要であった」ということが上位に挙げられて
いますが、裏を返せば、学生時代にはそう感じていなかったということを表しています。このへ
んのところがポイントになるのではないかと思われます。
③大学の教育に満足かということにつきましては、ベース満足という答えがかなりありますが、
その中の要望の筆頭として挙げられるのが「応用の明示、企業との連携が必要」で、これが多数
の意見です。
④企業内教育では、OJT が圧倒的に有効という声が高いですが、それは先ほどありましたよう
に「真剣度」
「習熟度」の点で非常に優位性が挙げられています。
⑤会社の教育システムについては基本的に満足度が高いのですが、一部に「育成側のマインド」
「参加チャンスが無い」という指摘も出ております。
⑥大学で学ぶことと、企業での業務の関係は、
「応用/課題解決を教わるよい機会である」とい
う認識と、
「基本素養として有効」という「エンジニアとして自立するサポート」として奏功して
いるということを示しています。一方、
「直接利用できない」「効率が悪い」という否定的なもの
も一部あります。
⑦鉄鋼材料の勉強の意義については、
「切迫感からベースとして必要」という差し迫ったものか
ら、
「今ならより理解が深まる」という前向きなものまで、かなり広く高いニーズがあるというと
ころではないかと思われます。
非常に雑駁ですが、総括するとそのようなことではなかったかということで、このへんは定点
観測として非常に有用なツールではないかと思います。
[大下座長] いまの報告について、ご意見等ございましたらお願いいたします。私自身も一言
言わせていただきます。
総括のところに出ていることは、客観的に言うとこういうことなのかなということですが、学
生が一人ひとり真剣に考えて答えてくれたと思います。結局、やはり基礎教育は重要ということ
なんですね。大学で習った基礎教育というのは大事で、逆にいうと、学生時代、基礎教育として
大事でないと思ったものが、会社に入ったらやはり大事だったということが書かれている。そう
すると大学の先生に基礎教育のところを時間を取ってきちんと指導してもらうということはもの
すごく大事である。逆に言うと、大学の先生にそれだけのゆとりがあるか、そういうところを国
として支援できるようになっているか、教育・人材育成というところにきちんと時間が取れるよ
うになっているか、研究開発費を取るのにあくせくするような国の施策になっていないかという
ことだと思います。そこが大事ではないかということが、学生の生の声として出ていると思いま
す。C 委員、どうですか。
[C 委員] おっしゃるとおりだと思います。私が感じている大きな問題は、大学側で言うと、
本当は科目を絞るべきなんですね。基礎科目に重点を置いて、演習科目を増やして、そこで具体
的な問題を解かせるというトレーニングをすると、かなり力がつきます。私自身もそういうカリ
キュラムを提唱していたんですが、まず認められない。
どういうことかというと、材料系の学科というのはだいたい仕事、研究内容で採りますので、
セラミックス、半導体から鉄鋼まで、いろいろな先生がおいでになる。そうすると、その先生は
自分の専門を教えたがります。だから、学生としては結局基礎ではなく各論を学ぶというのが、
全国の材料系のほとんどのカリキュラムです。だから、自分の専門に関係なく必要な基礎科目を
きちんと教えるようなカリキュラムを大学でつくればいいのですが、残念ながら日本の材料系で
それをやるところはない。やろうと思っても、トピックスを追って研究している人が多いので、
大学の教員のすべて基礎学力があるかというと、かなり問題だと思います。
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[大下座長] それは国の施策が、トップを出すとか、論文の新しいものを出すとか、成果をあ
まりにも求めすぎて、先生方もそっちに行ってしまっているから、結果的に教育もそっちに流さ
れているということですか。
[C 委員] そうだと思います。おっしゃるとおりで、科研費の大きなものをどれだけ取れるか
ということが最大の眼目になっていますので、科研費が取れるような目新しい研究がたくさんで
きる人を教員として採用する傾向にあります。新しいことをやるということは、勉強をする暇が
ないということですから、必然的に学力が下がります。ですから、大学教員の学力低下が業績主
義の裏腹で出てきて、それが学生の基礎学力の低下につながっているのだと思います。
[大下座長] 論文を出そうと思うとニッチな世界を選ばなければいけない。ニッチな世界はど
っちかというと本流ではないから、あまり世の中の役にも立たない研究になってしまう。それを
国が求めるようなかたちに、結果的になってしまっているという弊害がある。これは嫌みではな
く、いろいろ聞くと、やはりそうなってしまっているんですよね。今日、文科省の方にも出てい
ただいていますが、教育で人材育成というのはものすごく大事で、それを先生が本気でやるとも
のすごく時間がかかってしまう。そこに基礎的なマンパワーを投入できるようなかたちにしない
といけない。その結果、人材が育つと、その人たちが企業に入ったときに本当に成果を出すとい
うことではないかと思います。E 委員、どうですか。
[E 委員] いま C 委員がおっしゃったのは当たっている部分があると思いますが、一方で、大
学の材料系のカバーする範囲があまりにも広くなっているので、従来、企業に行って基礎力とし
て役立つような各論もたぶん相当薄くなっている。たとえば東大の場合ですと、学科の名前が変
わる以前は鉄鋼系の講義の数がずいぶん多かったんですが、いま鉄鋼に特化したような講義はだ
いぶ少ない。
われわれとしては、基盤となるような、たとえば熱力学とか速度論については絶対に質を落と
さない。これは材料の分野がどれだけ広がっても、材料系の中の共通言語として重要なものであ
る。ここは落とさないということでカリキュラムを組んでいますが、実際、鉄鋼分野に就職して
すぐに役立つような、たとえば熱処理論とか、そういったようなものが学生の中には必ずしもな
いと思います。もちろん材料組織学の講義をちゃんと理解していれば応用はすぐに可能だと思い
ますが、各論が少なくなっています。
これに対して、鉄鋼各社の方とお話しすると、いまの学生は昔みたいに鉄鋼をちゃんと勉強し
ていないのではないですかという話があります。ですから、われわれとしては、そこに行って応
用できるような基礎はカバーしているつもりですが、企業側から、もうちょっと鉄そのものの知
識も持って入ってきてほしいという意見があって、大学の軸足の置き方というものを産業界と議
論しながら少し考える必要もあるのかなと思っています。ただ、カバーする範囲が広いので、た
とえば材料の中でも化学系に近いような材料をやっている先生は化学系の企業からいろいろな意
見が出てくるし、エレクトロニクスはエレクトロニクスで意見があるので、それを全部和集合で
カバーするようなカリキュラムはなかなか難しいという感じがしています。
そういうことで、この中で、大学で学んだことが基礎として有効と感じられている人がいると
いうことは、それなりに評価すべきなのかなと思います。いまは、大学でやったことが会社に行
って即役立つという時代では必ずしもなくなってきたという感じがします。
もう一つ、この中で、現場に出て非常に勉強になったという意見がずいぶんあると思います。
実際やらないとわからないという意見がだいぶあって、それを意図して、われわれは卒論とか修
論で、自分で問題を解かせるというようなことをやっていますが、先ほどお話があったように、
たとえば就活が M1 の途中から始まったりすると、本来それにしっかり取り組む時期に何となく
浮ついてしまって、課題解決のチャンスを逃す。むしろそれは受け入れる産業界にとってもマイ
ナスなのではないかと思います。
アンケートを見ていると、OJT の中で自分で取り組んだということに価値を認めている人が多
いので、それは大学からずっと続けて、自分で取り組むというプラクティスを続けるのが重要だ
と思います。そこは就職との兼ね合いで、もう少し産学で議論する余地があるのではないかと思
います。
[大下座長] L 委員のご意見をお願いします。
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[L 委員] 基礎教育は非常に重要な課題だと、われわれは日頃認識しております。大学院の修
士課程につきましては、かなり以前の段階ですと、わりとそれぞれの先生が自分のトピックスを
教えるというスタイルが多かったんですが、いろいろな意味の反省をし、きちんと学ぶべき基幹
になるものがあるだろうということで、うちの大学の場合、材料の中で材料・物理・化学という
三つのカテゴリーに分けて、それぞれから必ずこういう科目は採りなさいという指導をしていま
す。それもどういう体系になっているか、学生の側にわかるようなかたちにするということで、2、
3 年かけていろいろ議論し、そういうかたちを組みました。先生がリタイアしたり、替わったり
ということはありますが、そのときにもその分野のことは必ずだれかが教えるというかたちのカ
リキュラムにして、その三つの分野は必ず勉強するというスタイルにしています。
学部のほうは、われわれは金属工学科と言っていますので、そういう意味では、鉄鋼、非鉄、
材料にかかわるところはきちんとやろうということです。一方では、大学全体としてフレキシブ
ルにいろいろなものが取れるようにという考えがある。そうすると、実際に金属に来て、われわ
れ教員のほうでびっくりしたのは、マルテンサイトを知らない 3 年生がいるといったことがあり
ました。これはまずいと反省をして、やはり体系を学生にしっかり見せて、金属を出るからには
ここと、ここと、こういうところはちゃんと勉強しなければいけないということをかなり強く指
導する。大学全体として、必修で狭く取るというのはやや抵抗感があるところもありますが、一
方でわれわれは、そういう中でも基礎的にできるところはしっかりやっていくことを意識してや
っています。
ただ、最近は問題があります。特に留学生が増えてくる傾向にあり、一緒に授業をやるとなり
ますと、どこらへんに合わせて勉強を教えればいいのかということ。また、英語で教えなさいと
いう風潮が出てきました。そうしますと、日本人は英語がなかなか得意ではないし、先生方もそ
んなにうまいわけではありません。留学生と日本人の学生が交流するとか、目標はいいのですが、
実質、基礎的なところをきちんと教えようということになると、やや漠然としたことになって、
きちんと教えにくいという状況になってきている。そこをどういうふうに考えてやっていかなけ
ればいけないのかというのがいま課題になっています。
それからもう一つ、先ほどちょっと出ていましたが、たぶん先生方が忙しくなってきていて、
学生とじっくり膝をつき合わせて話をする時間がかなり減っている傾向にあるのではないか。昨
年度も申し上げましたが、学校の先生だけではなく、企業とかの協力をいただきながら、もっと
学生と直に話をするような、特に大学の場合はそういうことをしないと、大学の中で教育できず
に社会へ送り出してしまっているという危機感は非常に感じています。
[大下座長] G 委員、高専と大学、両方の経験を踏まえてお願いします。
[G 委員] 東北大学は材料系が 3 学科あって、学部で 20 以上、大学院だと 45 の講座があり、
先生方は自分の講義がないというので不平不満があります。いまも続いていますが、私の時代、
学部では物理化学と化学工学、材料組織と材料強度、材料力学と材料プロセスの六つは必修にし
て、全員取らせた。ただ、先生の出る機会があれだということで、並列で、ものによっては三つ
同じ講義をやる。普通は二つで分けて必修で取らせました。各論的な講義は 4 年生の卒論の時間
があったときに入れていきます。大学院 1 年もいまの六つのアドバンス、特論的なものを入れて
2 年でやっていきます。
ただ、先生方も 2 年に一度やればいいということになって、それが自分の研究室に学生が来な
い原因だとか、いろいろな不満があった。規模が多いとかえってそういう不満があるのですが、
違った意味で、若い先生方も含めて、学生実験、演習などで研究室をアピールできるので、じき
にそういう不満はなくなりました。
高専は 1、2 年が大学でいう教養部的なものですが、絶対に必要なのが、国語、英語、物理、化
学、生物です。そのへんをがっちり教え込み、そのあとにしっかりとそれぞれの専門基礎をやる。
各論をやってはいけない。先生方は科目をどんどん膨張させて忙しくなる一方です。大学と違っ
て高専は人数が少ないですから。それで、私が行ってから、いわゆる設置指針の最低基準の 167
単位に下げてしまって、いま 3 年まで来ています。若干不満はありますが、学生にも先生にも余
裕が出て、あとはオフィスアワーでやるとか、演習などでやっています。全国の高専が比較的そ
ういう方向で進んでいると思います。
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ただ、高専は現場と直結する技術者ですので、インターンシップとか、実習を重視している。
最先端のものは教えられる先生が少ないこともあって、ほとんどが大学の非常勤講師でまかなっ
ています。ですから、167 といいながら、15 コマですから 2 日間、朝から晩まで非常勤講師に授
業してもらう。学生は悲鳴を上げていますが、出席しないとだめですから。ですから、大学のよ
うな自由はないが、就職のいいこともあって我慢している。そうやって一生懸命やってくれてい
ると思います。ほかの大学とはちょっと事情が違うかもしれません。
[大下座長] どうもありがとうございました。そのほかご意見、ご質問等ございますか。学生
の総括というのはあるけれど、いまのご意見なども最後のまとめの中にこういうかたちでまとめ
ていただけると。現状認識と課題、提案というようなかたちで、議事録とは別につくってほしい
と思います。
[H 委員] 大学でどの程度の実験をされているかわからないですが、たとえばパソコンはよく
使えるけれど、入ってきて、実際に実験をさせてもなかなかできない人もいる。溶解・鋳造とい
う基本的なところからやらないと、それもできない。自分でどうやって実験したらいいのかわか
らない。感性的なものもあるかもしれませんが、そこがどうも養われていない。むしろ高専から
技術大学を出てきたような人たちは、たぶんいろいろな意味でトレーニングされているのだろう。
そういう人たちは比較的早いです。どっちがいいかという問題ではないと思いますが、そのへん
の違いを少し感じるところがある。コンピュータシミュレーションは非常にうまいけれど、もの
をつくってみろと言うとなかなかできない。
[大下座長] カリキュラムがあるかどうかということですよね。
[H 委員] 全員がそうではなく、もちろんできる人は両方できますが、全般的にそういう傾向
が最近は出てきました。
[大下座長] 設備を持っていないとだめなのか。大学ではどうなのだろう。
[E 委員] 学部学生は、夏学期は週 2 日、冬学期は週 1 日の実験が必修で、さまざまな計測や
解析、一部ものづくりも含めてやらせていますが、いまおっしゃったような、たとえば鋳造です
とか、そういったような実験設備はもうなくなってしまっています。鋳造や圧延の設備を持つの
は、お持ちの大学もあると思いますが、いまの大学ではなかなか難しいのかなと感じます。
東大の場合、必修の実験をやらせて、その後各研究室で卒業論文の実験は 1 年間やらせますし、
修士は 2 年間やらせます。研究室によって差があって、計算をメインにやっているところ、ある
いはデバイスなどを扱っている研究室と、われわれのように実際に鉄鋼材料を扱っている研究室
では、やっている中身が違うと思います。
[大下座長] やはり材料というのをがばっとプルしたところに、無理というかひずみみたいな
ものが出てしまっているのでしょうか。実験設備も含めて。
[E 委員] ええ。そういうことで、たとえば金属材料の加工や熱処理というような実験だけに
特化できるような学科の体制には、いまはなかなかなっていません。
[大下座長] 考えられないですね。鉛筆を削れない学生が会社に入ってくるというのもあるけ
れど。
[C 委員] 大学で鉄を溶かせるところは、ほとんどなくなっています。
[E 委員] ないですね。あの高温までは。
[大下座長] 軽金属学会とかアルミニウムのほうでもそういうことが起きているということで
すか。
[H 委員] 当然あるので、そういうことも含めて、プログラムの中にはそういう体験を入れて
います。たとえば L 委員のところで研磨をしてみるとか。研磨すらやったことのない人が多い。
われわれの学生時代は、ミクロンまで研磨して、写真を撮り、現像するということを基本的には
やってきましたが、最近はそれすらないですから。研磨もなかなかできない。
[大下座長] 実験法とか説明するにも、カリキュラムが組めない。
[L 委員] 私どものところでもそういった傾向が出てくるとまずいということで、3 年生に関し
ては、数年前からいわゆる創成科目という言い方で、アルミとかいろいろな素材を使ってフレー
ムカーをつくるということと、たたらでとにかく鉄をつくろうという、昔から永田先生がやって
いたのを継承しています。あとは電池です。この三つをつくろうということで、3 年生に半年か
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けてやらせています。基本的にスタッフは後ろに回って、学生がグループをつくってディスカッ
ションをして、夜遅くまで工作室を使ってもいいと。ものづくりセンターには旋盤とかいろいろ
なものが置いてありますので、そういうところをとにかく自由に使っていい、とにかく手足を動
かして何かやらせようということでやっています。半期で非常にうまくできたチームと、そうで
ないチームがありますが、基本的にはそういうことをしてやらないと、パソコンの前に座ってし
まうということにもなりかねない。
うちの場合、材料化学実験と、いまの創成科目と、金属化学実験を学部の学生にやらせていま
す。コンピュータは黙っていると座ってそのままということにもなりますので、なるべくそうい
った装置を使って動かすような工夫をしていかないといけない。磨くというのも、磨いて初めて、
教科書に書いてある組織の意味がよくわかるみたいです。だから、それは失わないようにしない
といけないなとは思っています。
[大下座長] 科研費もいいかもしれないですが、建物ばかりつくるのではなく中身をつくる予
算にしなければいけないのではないか。三浦先生、材料系について、先生のほうから見ていてど
うですか。
[M 委員] 全然別次元の話で、明らかに階層化が起こっているのだなと。僕らから見ると理想
的な社会がまだ残っているという安心感があります。地方の場合、二期校系の機械科という前提
で、材料系の人員が 10 年前の半分になっていると大騒ぎになっていますが、機械系はもっと減っ
ています。それはやはりロボットとか、バーチャルリアリティとか、新しい分野が学生に対して
非常にビジュアルに訴えるので、学生に対して宣伝活動をするわけです。そして学生さんは、全
国のロボットとかバーチャルリアリティの学科を求めて受けに来る。機械科の中にポツンと材料
系の研究室があって、やむをえずそこに入ってしまったような傾向があります。
特にうちの大学は、人件費が全体の予算の 90%です。5%が物件費で、5%が研究費の状態で、
毎年 1%ずつ減らされてきました。どこを減らそうかということになると、まず人員を減らさな
ければいけない。いままでは非常勤講師でまかなっていた部分も切らなくてはいけませんので、
先生の科目数、負担もだんだん増えてくる。
僕の場合、前期で 6 コマの授業をやっています。6 コマで材料の授業ができればいいのですが、
材料の授業ではなく、物理とか、怪しい授業、怪しい内容になってしまいます。僕は大学で物理
そのものは習っていないので、学生に対して基礎教育は大事だと言っても、怪しい授業をせざる
をえない。
いまうちの学科で材料の授業がいくつあるかというと、4 年間で 1 コマしかありません。そう
すると、材料というものを学生に知ってもらう機会がまずない。あと、学生に対して重要だとい
うことを認識してもらえない。ただ、機械科の学生が材料学科の卒業生と比べて重要でないかと
いうと、そうではなく、生産プロセスとか、生産設備の設計にどうしても必要です。材料系の卒
業生は図面が書けないですから。そういう意味で非常に重要ですが、そういう危機的な状況にな
っているということです。
[大下座長] 日本は、溶解とか、鍛造、鋳造というのは全然負けていないというけれど、学校
の教育からそれがどんどん消えているということですね。
[M 委員] 半年の 15 時間の間で、転位論から組織、強度まで、表面をちょっと教えるだけです。
[大下座長] 実験なんかするどころではない。
[M 委員] 実験は一つだけ、材料の組織と強度というのをやっていますが、それは 1 コマだけ
です。10 コマあるうちの 1 コマで、正確にいうと、基礎実験ともっと重要な実験、2 年生の実験
と 3 年生の実験があるんですが、2 年生の実験の 1 コマだけが材料についてで、それ以外は全部
別の新しい分野の実験です。
[大下座長] 国のほうも考えてほしいし、大学側も、実態はこうだということの要望を出して
いかなければいけない。どこに提言していいかわからないけれど、まとめのところでもそういう
まとめをつくってもらおうと思っています。鉄鋼協会でインターンシップをやりつつ、企業も共
同研究などで、本当はこういうことをやっているということをある程度知ってもらうことが必要
だろう。実験設備はお金が付かないとどうしようもない。実験設備を取ろうとすると、何でもい
いからプロジェクトを起こさなければいけないということになってしまっている。悪いパターン
95
ですね。
あとで出てくる海外との比較があるでしょう。教育の仕方の資料になっているけれど、国の施
策としてどういう実験設備みたいなものを装備させているか。ミニ高炉はつくらなければいけな
いとか、いろいろ聞きます。日本でもそういうのを国としてやってほしいという提案はいま始め
ているところですが、海外は結構動き始めている。逆に言うと、教えるというよりは、こういう
のが必要だということで実験環境を与えると、学生は、自分がユニークなことをやってやろうと
自動的に動くところがある。そこを引き出せばいいけれど、テキストばかりだとコンピュータに
行ってしまうというところがあるのではないか。ご意見があれば最後の総括のところでいただき
たいと思います。
[Z(事務局)
] 6 ページです。これは目標となる人材像、特に材料系分野以外の学生を引きつ
けるということで、6 ページの左半分は前回もすでにお出ししている資料ですが、前回は情報量
が多すぎてほとんど議論できていませんので、もう一度持ってきました。
左側に各学科の生の声を挙げております。たとえば機械の上から二つ目「鉄鋼会社はいろいろ
業務があるのを知っていたが、実際に機械・材料・化学・電気などこんなに幅広いということが
身に染みた」とか、その下の「電気、制御などの知識が求められることをちゃんと伝えなければ
いけない」などの声があります。それから、化学系の二つ目「化学系に対してアピールがあまり
にも足りない」とか、電気についても「鉄鋼業に電気の学生は必要ないと思っている」というこ
とです。物理についても「もうこれ以上技術的な発展がない分野だと学生が考えている。まだま
だ技術者が活躍できることをアピールすべき」という生の声がありました。
それを受けて、右側にある「目標となる人材像」とか「学生を惹きつける方策」と書いたもの
については、前回ご報告していますので、今日は繰り返しません。文章にすればこういうことに
なるかなということで、要するに各々の専門性を生かしたような環境をつくるべきだということ
ですが、あまりにも抽象的すぎましたので、今回は一番右に一例を出しています。
これは、コークス炉のオンラインの壁面補修装置 Doctor of Coke Oven、通称 DOC と呼んでい
るものです。コークス炉の中で膨張して炉壁が傷むので、それを CCD で監視して補修するとい
う一連の流れの中で、いろいろな要素技術、設備技術が必要になってきます。図 7 にありますよ
うに、非常に泥臭い、たとえばガクガク揺れることが問題になるということについても設備技術
的には相当難しい課題であるということで、一番下に赤で書いてありますように、機械・電気・
無機材料・制御等、トータルの総合技術が必要になるということです。
ただ、その下に緑で書いてありますように、残念ながら当該担当者以外に開発技術の持つ「必
要とされる基礎理論」
「基礎理論と現実現象の境界条件を当てはめて解を求めるときに要求される
諸理論」等が十分に伝わっていないと、私は認識しています。たとえば三十何ページもある詳細
な特許がありますが、それなども相当複雑で、そういうことを物語っています。
育成という面で見ますと、ここには「解説が必要」とだけしか書いていませんが、先ほどから
いろいろ議論がありましたように、学生さんが「これはおもしろい」と思うためには、たとえば
ロボコンなどは学生さんが結構目の色を変えてやりますから、ああいうところに通じるようなア
プローチもしていかないと、こんなにおもしろい世界があるということがなかなか伝わらないの
ではないかと思います。それを言葉で書くとここに書いてあることなんですが、これでは意味合
いが表現しきれていないので補足させていただきました。
[大下座長] 本件についてご意見、ご質問等ありましたら。会社の中でもいろいろしゃべるこ
とがあって、鉄鋼技術は何で成り立っているか、ものづくり産業とは何なのかというと、設計と
製造技術ですよと。鉄鋼業も設計と製造技術で、設計とは何かといったら、これは鋼材の設計で
す。化学成分をどうやって、プロセス条件をどうやってというのが設計。では、製造技術とは何
かというと、操業技術と設備技術です。操業技術というだけでも、製銑、製鋼、圧延、熱処理な
どがある。それともう一つ大きなものが設備技術で、機械、電気、計装システムです。そこをし
っかりやらないとだめだということで、当社の中でも合理化で設備屋さんが相当圧縮されてはき
たけれど、コアは残しておかないとだめだということを言っています。
製造技術というのはいわゆる材料系の技術です。それともう一つ、設備技術がある。ここは必
ずしも鉄鋼協会の中で全部網羅できないところですが、これをどうやって PR するか。これはア
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ルミでも一緒だと思います。設備技術があるということをきちんと見せる。鉄鋼協会としては、
シンポジウムを開いたり、特集号を組んだりという工夫はやっていますが、そこをきちんと PR
しないといけない。
海外をよく見ると、設備技術会社がものすごくある。いま鉄鋼は、ワールドワイドに集約され
たミッタルみたいなものが出てきていますが、設備技術の大きいのは 3 大メーカーが出ています。
ダニエリとフェスト・アルピネとシュレーマン。そこの設備が世界展開していて、その装置を使
っている。実際にはその装置の操業状況が全部ドイツの本社に行って、調子が悪いと「そろそろ
部品交換時期ですよ」というようなかたちになっています。
だから、そういう設備技術ということをきちんとやって、鉄鋼の進歩を進めようと思ったら、
設備屋さんも体質の強い人を育てていかなければいけない。協会として PR するのか。鉄鋼協会
というと、どちらかというと材料系というか、メタラジーから製銑、製鋼、圧延で、設計と操業
のほうです。機械、設備屋さんをどう巻き込むか。その中で工夫していただいて、鉄鋼に関係す
る機械の先生とかを巻き込んで、うまく講座を回してもらう。そこはこれからもう少し強くやっ
ていかなければいけないと思います。どうやっていくかというのはなかなか難しいですが。
大学の学生を採用するときにいろいろ PR する。機械系の人間が行って、こういうふうになる
とか。機械の人で冶金を勉強して、そっちのほうの仕事になるということも結構多いですが、設
備そのものに強い人もきちんと育てなければいけない。土木は鉄鋼協会でもハンドルできなくて、
これは鋼構造協会だなと。土木学会、建築学会のプロにならないと。うちも土建専門のスタッフ
がかなりいます。建材を売っているのでその関係もありますが、ほとんど 1 級建築士です。だか
ら、設計もできるし、何でもできる。ただ、それを材料系とか鉄鋼協会で育てるのは無理だとい
うことで、実際には鉄連にお金を出して、土建部隊の教育をやっていただくというかたちで動い
ています。そこは無理かな、コア技術はちょっと違うなと思いますが、軽金属とかはどんなふう
に進んでいますか。
[H 委員] 応用の方で、たとえばアルミを使っていただくような橋とか、橋でなくてもいろい
ろありますが、そういうところでいろいろ活躍する道がある。だから、どちらかというと利用技
術のところで、建築士を含めてそういう人たちにやっていただいています。社内的に土木建築が
いまの製造ラインでどこかというと、ちょっとよくわからないですが。
[大下座長] 鉄の場合は工事なんですよね。工事と、水の管理とか、設備の管理ですね。それ
から建物。機械などはどうですか。
[H 委員] 機械系は同じ話です。やはり人が採用できなくて苦しい状態です。設備を入れると
きには当然設備屋さんがほしくて、どんどん入れますが、安定操業に入ったら、その人たちがど
こへ行くかといったら、逆に行き先がなかなかないということが一方で出てきます。だから、設
備を導入するときにはどんどん設備屋さんがほしいんですが、いったん安定生産に入ってしまう
と、日頃のお守りをするだけ。結局、そういう人たちが余ってしまって全然違う仕事に入ってい
る。そこが一つの問題点で、絶えず設備更新していくとかの話があれば、結構活躍する場が出て
くるんですが。そのへん、会社の中でどうやってうまく人を回していけるかというのが課題だと
思います。
[X(事務局)
] 設備の層が厚いということなのではないですか。
[大下座長] 鉄鋼は設備が暇になることがない。
(笑)四六時中走り回っています。設計する場
合と、メンテする場合と、改善が常に起きて、計装設備を入れなければいけないとか、そうする
とどの設備を入れたらいいのかとか、シミュレーションをしなければいけないとか。工事に入っ
て、それが終わったらとか、いろいろな部分が来てしまうので、計装屋さんなどはパンクした状
況です。それは状態が違うのかもしれないですね。
[H 委員] たぶんちょっと違うかもしれません。ただ、必要なときにいないと、いったん壊れ
出すとなかなか対処できないからドイツまで行くとか、さっきのお話のような、まさにそういう
問題が起きています。
[大下座長] 本件についてご質問等、先生方からございませんか。
[I 委員] 先ほどの話に戻りますが、大学というと 4 年で、修士は 2 年です。その中で専門を
本当にやれる時間というのは、修士の方でも就職活動とかを含めるとせいぜい 3 年ぐらいだと思
97
います。それに対して、企業というのは入ってからかなり長い。求められるのは、大学の 3 年で
やった紙の上の知識というよりは、センスのようなものではないかと思います。
たとえば教科書などで、
「これを粉体にして、これを混合して焼成すればできます」というよう
なことが書いてあったとしても、粉体というのは何であるか、どこまで細かくすればいいのか。
細かくする手段によって不純物が入ることもある。混ぜるにしても、どこまで混ぜれば本当に混
ぜたことになるのか。それは教科書には出ていません。焼成にしてもそうです。そういうことを
見ながら身をもって学ぶというところで競争力が出てくる。それは企業に入ってからやるような
内容かと思います。そのミスマッチが大学であるとすれば、物性というのはこういう難しいとこ
ろがあるというようなセンス、論文とか教科書に書かれている以外のものでこういうことがある
ということを実験で教える。そういうところが重要ではないかと思います。
[大下座長] やはり基礎的な実験設備は持っていないと。
[I 委員] しかも、ただ実験するのではなく、考察を加えていくんですね。いまは分析機器と
かコンピュータが発達していますので、それはかなり楽になっていると思いますが、それを使う
以前の、実際にものがどうなっているかというところのセンスがないと、いくら分析してもむだ
になることがあります。高価な測定器とかは企業に入ってからでもある程度使えることがあると
思いますが、基本的なセンスというのは大学のうちからやっておいたほうが、人材の育成として
は効率がいいのではないかと思います。
[大下座長] 体験学習ですね。資料のほうでまとめてくれていますが、鉄鋼協会などの工夫で
取り込めるところは取り込んで組んでほしい。見学ツアーなどは企業との中でやっていく話だと
思いますが、企業だけでできるのか、鉄鋼協会を通じてやれるのか。アルミのほうもいろいろや
られていると思いますが、産学連携でやるのか、協会のほうで工夫するのかというところがある
のではないかと思います。
[M 委員] 学生の目から見ると、素材屋さんは就職先ではないと思っているふしがあります。
パンフレットに、たとえばアルミならアルミ、鉄なら鉄とか、それしか出ていない。それで「僕
とは関係ない分野だな」と思ってしまうみたいなので、機械系の学生向けのパンフレットとかが
あるといいと思います。
先日、某鉄鋼メーカーさんに学生を連れて工場見学に行かせてもらい、そこの生産管理の方に
思いを熱く語ってもらいました。そのときに学生が、機械科の僕らでも素材メーカーに働き口が
あるということを初めて認識するみたいです。通常のパンフレットであれば、差し障りのないと
いうか、メインとする生産物しかないので、それから考えると、パンフレットを見ても自分たち
の働き口がないと思うみたいです。ですから、機械系の学生が必要だというアピールのパンフレ
ットがぜひ必要だと思います。
うちは、材料系は本当に人気のない学科ではありますが、毎年 1 回か 2 回、メーカーさんに学
生を連れて行くようになって、だいたい 4 人か 5 人卒業するうち、必ず 1 人か 2 人は素材メーカ
ーさんに就職するようになりました。それは、自分たちが働く場所があるということがわかった
から。あと、僕は学生たちに「材料屋さんはたしかに材料をつくれるけれども図面は引けない。
君たちの重要なポジションがそこに待っている」という説明をします。そういう関係のパンフレ
ットがあったほうが非常にいいのではないかと思います。
[大下座長] 私も製鉄所にいたときに工夫したのは、機械屋さんとか電気屋さんの工場見学を
するとき、普通、工場見学の通路は圧延なら圧延のラインしかないんです。だから、電気室を見
学させなさいと。圧延機より大きなモーターがグルグル回っているのを電気屋さんが見たら、や
っぱり身震いするんです。だから、機械屋さんには大きなギヤが回っているようなところを見せ
ないと。実際、現場で工場長とかやっているときには、設備屋さんと対話することのほうが多い
んです。たしかにパンフレットも、理解されるように、企業側ももうちょっときちんと努力しな
ければいけないということですね。
[M 委員] 学科ごとのアピール用のパンフレットがあったほうが、学生は理解しやすいと思い
ます。
[大下座長] 機械屋さん向けパンフレットとか。いいアドバイスをいただきました。残件があ
りましたら最後のところでやりますので、次にいきたいと思います。
98
[Z(事務局)
] 下に POSTEC-GIFT-1 と書いてある資料です。佐々木教授は東北大学から韓国
の POSTECH のほうへ行かれている方で、日本と韓国の両方をご存じということでお話を聞いて
います。
ここは非常に特徴的なエリート教育をやっておりまして、成績上位 3%を対象にしたエリート
教育ということで、研究 OJT のようなものです。ここに書いてありますように、規模は約 100
名ですが、ティーチングではなくディスカッション重視ということです。日本の場合は教えてい
るからだめなので、ディスカッション、ディベートが肝心ということを言われています。
100%英語で実施して、インターナショナルで世界一を目指している。就職先は基本的には研究
職で、韓国は Dr 以外採らないということです。いま世界ランキング 28 位ですが、2020 年まで
に 20 位に入ろうということで、20/20 を目標にしています。
教員側ですが、企業体験のない方もいらっしゃるので、そういう方には 6 カ月の企業研究を義
務づけて、教員も企業のマインドというものを身に付けることを前提に考えているということで
す。
次のページです。ディスカッションとはいいながら、韓国の学生も日本と同じでディスカッシ
ョンが苦手であるので、そのためには教室の構造を含めた物理的な環境をつくりサポートをする
ということで、設備もかなり配慮されておりました。
それから、先ほど申しましたように研究 OJT ですから、研究の話も書いています。研究の構成
は、10%が POSCO ニーズで、40%が GIFT の独自開発、50%が POSCO も認めたブレークスル
ーテーマです。佐々木先生自身は「固体還元鉄法」、いわゆる製鋼をすっ飛ばそうということで、
溶解は先にしておいてストリップ鋳造したあとに、固体段階で脱炭しようという、かなりユニー
クなことを研究されています。そのように目標をはっきりさせることで、完全な工程省略をねら
っているということを明言されていました。
POSCO とは方針会議をやっているということで、POSCO は新日鐵にベンチマークをしてやっ
てきたが、すぐ後ろに中国も迫ってきていて、何か奥の深い仕事をやらないと差別化できない必
要性に駆られている。POSCO の幹部は非常に危機感を持って、そのへんを特徴づけなければい
けないという心配をしている。そういうことで、年間予算 50 億という膨大な金をかけてやってい
ます。5 年前にスタートしているので、そろそろ卒業生も出てきて成果が評価される頃だという
ことを言われています。
3 ページ目です。日本も両方ご存じなので、
「日本の材料系の学科は不健全。あまりにも分散し
すぎて材料科学の科学とは何かということをちゃんと考えていかなければいけない」とおっしゃ
っていました。
それから、「どうしてそこまで戦略的にやれるのか、その秘訣は」と聞きましたら、「個人で発
想してそれを推進することができるからである」ということで、
「これと思った人が全権を持って
責任の基にやる。日本は合議制であるところが弱い」ということを言われていました。ただ、最
後に、
「そういった日本と韓国がいかに手を組むかというのが今後のポイントではないか。中国は
そうさせまいと画策しているが」とおっしゃっていました。
次に中国です。北京科学技術大学-1 というところを見ていただきますと、ここは一言でいうと、
きわめてオーソドックスにやられています。30 年前にポリシーを変更して、経済的な視点が貧弱
だということより、工学系からビジネス系(コンピュータ含む)へのシフトが非常に顕著になっ
たが、やや行き過ぎがあり、ビジネス系が多すぎて就職難という状況も生み出した。一方、1995
年ぐらいから銀行や役所に行き過ぎという反省もあり工学系に戻り始めた。ちょうどその頃、中
国の市場経済が大きく加速する時期と一致したこともあって、鉄鋼の生産も驚異的に伸びて、鉄
への就職も良好な状況が形成されているということです。
日本の場合、育成に関して基礎教育の充実で魅力を高めるということを言いましたが、別に中
国はそんなことをやらなくても、就職がいいということで十分ということで、競争が激しく好条
件の就職が得られるので、レベルの高いところに集まる体制ができているということです。
「では、どういうことで学生を選んでいますか」ということですが、まず大学のランクがあっ
て、トップ 2 は清華大学と北京大学です。2 番目は成績で、上位 5~10%に入っているかどうか
で全然違う。3 番目は面接の結果で、生きた表情、受け答え、人格。4 番目に大学の先生による推
99
薦等々ということです。
教育制度は、30 年前はソビエトのコピーでした。そのときは学校秀才をつくっているというこ
とで、思考したり、疑ったりという訓練はされていなかった。それが 1980 年代後半以降、欧米
への留学が増えたこともあり、アメリカや日本の仕組みを導入して、カリキュラムも以下の 3 階
層に厳選するようにした。①基礎学科、数学、法律など。②エンジニアリング基礎(コンピュー
タ、IT、応用物理も含む)
。③でやっと金属、金属製造基礎ということで、後ほどデータを出しま
すが、かなり基礎重視です。そして、一番下にも書いてありますように、企業での実験の機会を
増やして、体験的学習の頻度、これはインターンシップだと思いますが、そういうことも非常に
重視しているということです。
2 ページ目、
「ここ 10 年、特に驚異的成長があるが、それが何かカリキュラムに表れています
か」と聞きましたところ、
「研究費が大幅に増えて研究内容は変わったが、教育の基本は変わって
いない。
もちろんメソッドとしての IT の活用という表面的な変化はあるものの、この 10 年程度、
教育の内容が変わったということはない」とおっしゃっています。
それを受けまして、次のページには、海外ヒアリングの概要ということでまとめております。
POSTECH について得られた特徴的事項と今後への反映の考え方ですが、特徴的なことは、①育
成手法としてティーチングを行うから身に付かないので、ディスカッション、ディベートでやら
なければならない。学生と教員の比率は 4 以下に抑える。現状は 3 らしいのですが、1 人の先生
に対して学生 3 という比率でやっていく。今後への反映の考え方として、エリート教育をやるの
であったらこういうことが有効なアプローチだろうということです
②戦略的なテーマに基づく研究 OJT が奏功ということで、韓国のトップダウン方式が後押しし
ているのではないか。日本の場合でも、戦略判断による取り組みのケースではきわめて有効なア
プローチではないかと考えます。
それから、北京科技大のほうでは、まず企業人材ニーズと学生就職ニーズが良好にマッチング
しているということがありますが、これは条件差もあって単純な比較は難しいだろう。それから、
大学のカリキュラムが基礎教育重視型であり、10 年以上変更せず継続しているということですが、
基礎立脚の重要性というのは相通じるものがありますので、材料分科会の指向である「基礎と応
用の橋渡し」を、特に一つにこだわらず多様化して強化することが非常に重要ではないか。
次のページに、Curriculum ratio ということで、日本の各大学と北京科技大を比較しています。
濃い緑が金属材料の基礎、薄い緑が金属材料の応用ですが、この比率が、北京科技大はほかと比
べてかなり低い。逆に、たとえば数学、物理・化学、その他というのはコンピュータが半分以上
入っていますが、そういうところでの比率が非常に高くなっているというのが一つです。それか
ら、黄色である実験・実習・卒論はかなりやっていますし、機械電気もかなり比率が高い。この
構成が 10 年ぐらい変わっていないということですから、特殊なことをやっているわけでも何でも
なくて、基礎基盤をきちんとやっているということです。
北京科技大学の 1 ページ目に戻っていただきますと、いまのカリキュラムに関して、赤で書い
てある①~③のような構成でやっています。その際、新領域も配慮し、バイオ等も導入すること
で、③の金属学の領域は 50%以下、鉄鋼に限定するともっと比率は低減されたとあります。そう
すると、企業側から鉄鋼の基本的な内容ができていない学生がいるというクレームが来るように
なって、内容は改善しつつあるということです。先ほど委員の方々の議論にあったようなところ
については、向こうも少し悩みながらやっているところも実際にはあるようです。メタラジカル・
エンジニアリングという名前に変えて、鉄鋼向けには限定せず、製造プロセス全体に通用するよ
うな内容を教えるようにしたと言われておりました。
先ほどのデータのあとに生データを付けております。メインテーブルの方だけに付けておりま
すが、必修科目にどんなものがあるかということで、右側の原文の中国語をわれわれサイドで日
本語に訳していますので、もしかしたら訳に一部問題があるかもしれません。それから、このペ
ージで特に人文科学、社会科学で外国語などは、先ほどの表のカウントは外数ということで別枠
に扱っています。マルクス主義、毛沢東理論などは別格で扱っています。
[大下座長] いまの説明で何かご質問等ございましたら。要は基礎が大事だというところは共
通していて、先ほど先生方がおっしゃった、こういうふうに教えたいのだけど教えられないとい
100
うところをどう区別するかということではないかと思います。
[L 委員] POSTECH の場合、100%英語というのは、学部の授業ですか。修士の授業ですか。
[Z(事務局)
] POSTECH の GIFT です。GIFT というのは大学院ですから。GIFT の中です。
[L 委員] GIFT の中ですべての科目を英語で?
[Z(事務局)
] そうです。科目だけではなくて、廊下ですれ違う日常会話もすべて英語です。
[L 委員] 主な学生は韓国の学生ですか。
[Z(事務局)
] 比率が書いてありますが、外国人比率 25%ですね。大半は韓国の学生です。び
っくりしましたのは、佐々木先生が廊下で日本人とすれ違って話をされていましたが、英語でし
た。徹底しているなと思いました。
[L 委員] すごいですね。
[大下座長] グローバル化していく中で、うちも製銑工程の高炉の連中は 5 年目とか 3 年目研
修があるのだけど、5 年目研修の論文発表は全部英語で、工場長や課長などスタッフとの質疑応
答も全部英語です。はじめ 4 年生でやっていたら、新入社員のほうが英語がうまくて、討議する
ほうがへたくそで議論にならないから、そこは日本語にしました。
日本も、企業の中でもグローバル化に対応して教育を少しずつ進めつつある。採用も結構グロ
ーバル化していて、僕は全部面接していますが、
「まだ日本語がちょっとうまくできないんですが」
という人が何人かいました。要は海外で育った人とかです。だから、だいぶ変わってきているの
かなと思います。いずれにしても語学は時代の流れで、若い人はそれなりにそういう環境に育ち
つつあるのかなという気がします。
これを読むと向こうも悩んでいるところがあるが、やはり基礎教育のところをしっかりやって
いる。自分自身が経験していて、会社に入って役に立つのはやっぱり基礎なんですよね。基礎が
わからないと応用が解けない。どんなに複雑なやつもやっぱり基礎だということをものすごく痛
感していて、末端の変な特殊合金の CCT カーブを勉強しても役に立たない。やはり状態図がわか
るとか、機械系でも材料だったら弾塑性力学ぐらいはわかるとか、そういう基礎がわからないと
会話にならない。また、基礎をやっていないと本人も悩むと思います。結局、端々の聞きかじり
の情報で課題解決しようとするから本質の課題解決にならないけれど、基礎をやったやつは本質
の課題解決をするんですよね。企業でも圧倒的に違うと思います。
[L 委員] われわれのところに卒業生が学科とかで遊びに来るんですが、そういうことをよく
言います。
「会社に入ってあらためて、あの先生が教えていたあれが大事だったということがわか
った」と。大学の中にいると、そこがなかなか見えないのでしょうね。ただ、会社に入って、実
際に日常の仕事としてかかわってくると、
「こういう意味だったのか」というのがわかる。そこが
何とかうまい具合に反映できるといいかなという気はします。
[大下座長] やはり基礎がきちんと教えられる、その基盤のところを先生も教える時間がある。
あるいは基礎のところを突き詰めていくと、研究することはまだいろいろあると思います。そう
いうところが先生のほうもやりやすい環境で、先生がその研究をやれれば学生は巻き込まれます
から、卒業論文とかいろいろなかたちで学会活動の中に巻き込まれていって、そこに国の施策が
連動してくれるとものすごくありがたい。
この二つは紹介ということですが、ほかにも設備などの調査があるのではないかという気がし
ます。8 番をお願いします。
[Z(事務局)
] 4 年間やってまいりましたので、その活動を外部の方にご報告して、客観的な
アドバイスをいただくという試みで、ヒアリング先を緑が教育界、青が産業界ということで聞い
てまいりました。次ページ以降、具体名との対応はあえて付けておりませんが、活動評価 1 とい
うページからざっとレビューさせていただきます。
活動評価 1 のページで、縦軸方向には材料分科会の 6 本柱を①~⑥で書いています。①~④が
20 年度から JRCM プロジェクトで取り組んでいる部分、⑤は評価システム、⑥は PR というこ
とで、各々概要の総括表と実際の資料を用いてご報告をして、それに対して右でコメントをいた
だき、最後は総括コメントというかたちになっています。たくさんありますのでポイントだけい
きます。
活動評価 1。①基礎教育のところは、非常に有効であるが、留意点として、見学とセットにし
101
ているのは非常にいいことだが、見学参加者の鉄鋼就職率が必然的に高いとは限らないことは念
頭に置いておくべきで、リクルートにあまりリジットに結びつけるのはよくないのではないか。
マスターの時期についてはいろいろあるので慎重に検討すべきであろうということです。
②拠点・ネットワーク化の Web サイトについては非常にいいのですが、自然体では受け身にな
ってしまうから、キーワード検索機能強化とかが非常に必要であろうということです。
③課題解決型のプラクティス事業ですが、自然体では大学の特に助教クラスの方々の職務が忙
しくて無理なので、大学にとってもインセンティブを生むものを考えていかないと続かないだろ
うということ。
④課題解決型・開発マネジメント、夢を語るということですが、これは単独というよりは①③
④が相互に関係しているものなので、セットとして考えていったらどうだろうか。
⑤は評価の経緯も含めてご説明しましたが、鉄鋼工学セミナーについては非常によい取り組み
であり、ぜひ大学側にもフィードバックしてほしいということ。
⑥PR につきましては、4 コママンガとかもつくってだいぶ苦労をしましたという話をしました
が、苦労するわりにはあまり報われないよねということで、実際現物の見学がベストだが、n 数
を稼ぐには限度があるので、たとえば母親も含めた家庭向けに、もっとくだけたわかりやすい内
容にしたりするのも一案ではないかということです。
総括として、ぜひ高い目標に向けて継続努力してほしいということです。
活動評価 2。①基礎も当然重要であるが、むしろ最低限どこでも共通的に必要なコアになる部
分を産業界からもっと明確に示すことで、大学教育側も「これだけはぜひ必要」と自信を持って
教えていく姿勢が大切である。そういう意味で、今回のテキストづくりプラス基礎教育事業はす
ばらしいのではないかということです。
Web については、大学講義においても Web の活用を行っているので、それらを Web 化してい
くことは非常にいいことであるということです。
課題解決型プラクティス事業については、現場で起きている現象を自らよく観察することから
始めて、自然体では疑問すら出てこないところにチューターが質問するというようなかたちも含
めて手間暇かけることも非常に重要なことであろうということです。
⑤の青で塗っている大学の評価システムのところですが、育成上の問題点として、学生をお客
様にしすぎていることが挙げられる。本当に必要だと信念を持って教えるのではなくて、学生の
顔色・反響を見ながら教えているような状態もあって、緊張感がなさすぎる。そのような社会全
体の体質も変えていかなければ、部分的な評価だけを行っても改善は難しいのではないかという
辛口のコメントもいただきながら、業界が率先して育成のメリットを感じて官を引っ張っていく
べきで、産業界としてのニーズと評価を提示するような産業界の意気込みがほしいということで
す。
総括のところにも、産業界が明確にこうしてほしいというのを提示しつつ、自然体ではレベル
アップしにくい学生に対して、甘やかすのではなくて効率的・システマティックに育成が図れる
マニュアルをつくることが大切であり、今回の材料分科会の試みは奏功していると考えられる。
産業界の戦略をより強化して、官の Win/Win 体制、経済産業省様と文部科学省様の Win/Win 体
制の創出なども意識しながら官をリードする産であってほしいというコメントをいただきました。
活動評価 3。基礎のところについて重要なことをいただいております。量子力学や材料力学に
ついて、なぜそれを勉強しなければならないか、学生がピンと来ないので、それならいきなり具
体的現実課題をぶつけて、問題を抽出させて、そこから基礎の問題に遡るような指導もあってい
いのではないか。産側は、こういった実態もあるということも含めてニーズを言い続けなければ
ならないということを言われておりました。
③の長期インターンシップですが、東芝のインターンシップはきわめておもしろいということ
で、各職場がリスキーでとても手を出せないような課題を集めてインターンシップで取り組むと
いうのが、別途「極秘・要回収」でお配りしているこのリストです。中身はいちいち説明しませ
んが、こういった各職場が普段できないことをやって、大学で発表してもらっているということ
です。しかも驚くべきことに、インターンシップ専門の役員がいる。これに最近取り組まれてい
て、おもしろいとコメントをいただいております。
102
それから、⑥PR ですが、これは難しいという話になりました。先生自身も 2000 万かけて、総
合科学技術会議の中でナノテクの PRDVD をつくられて関係に配布したが、有効に活用されてい
るかどうかはどうもよくわからないということです。そんなことよりも、現代はインターネット
の時代なのだから、インターネットにアップロードしてアクセス数で判断して、更新も行いなが
ら改善していくのが一番である。何でつくったものをさっさとアップしないのかということを言
われました。いま中身を見直しているところだと言ったところ、それはどんどんアップしていけ
ばいいというコメントをいただいております。
総括としては、そういうことも含めまして、基礎教育の強化ですとか、評価システムとしての
「卒業生アンケート」での PDCA という二大取り組みへの重点化というのは評価できるというこ
とでした。
活動評価 4 です。これも基礎教育の重視は当然アグリーですが、評価コメントのところにあり
ますように、高校では、技術ではなく、いわゆる科学の勉強を「受験勉強」の枠内で履修してい
ると見るべきである。しかも技術に関する項目は皆無であるという事実に立脚して、工学部で行
うべき基礎教育は何かをまず考えるべきだと思う、といったコメントをいただいております。
一番下の PR のところですが、若者をものづくり好きから遠ざけているのは初等中等教育だと
いう分析もあって、元来好きな人たちを励ます視点に立ったほうがいいと言われています。
活動評価 5 につきましては産業界のほうですので、いろいろ言われております。たとえば基礎
教育のところは、特に産側の視点で「生きた技術としても見られる」ように定期的なバージョン
アップが奏功するし、重要であると考えているということです。
⑤の鉄鋼工学セミナーのところでは、鉄鋼工学セミナーの定点観測はツールとしても有効であ
るので、情報をよく解析していろいろな目的に使っていくべきだということ。
PR につきましては、これもちょっと特徴的なことを二つ言われている中の特に後半、高校生の
ところですが、高校生は中高で理科に興味を持ってきたにもかかわらず「無機的な数式の押しつ
け」でスポイルしてしまう。要するに、
「数式はこうだ」というかたちで、物理的な意味とか、意
味合いを十分に教えないままやってしまうようなところに問題があるのではないか。せっかく中
高で理科が好きだったのに、ここで嫌になってしまうという指摘が出ていました。
最後(活動評価 6)も産業界の方ですが、基礎のところで学術的うんちく話も入れたらどうだ
ろうかということです。
⑤の鉄鋼工学セミナーのフィードバックの件ですが、工学の世界では「学の独立」というわけ
にはいかないので、ぜひ産の意見反映という観点からこの情報を活用していただけたらというこ
とです。
総括のところでは、知識、興味、きっかけはたしかにとても大事だけれど、若者の心理に訴え
る要素が少ない。そういう意味で経営トップの特別講義は期待したいということで、鉄鋼協会様
が今後力を入れられるところについて非常に期待されているということです。
[大下座長] ただいまの報告についてご質問、ご意見等ございますか。評価・コメントのとこ
ろを集大成したものは最後に出てきますので、それで議論いただく。ここまでは認識ということ
で。
[X(事務局)
] 東芝の研究インターンシップとありますが、研究でないインターンシップとい
うのもあるんですか。
[Z(事務局)
] いわゆる就職インターンシップというかたちで、ホームページなどに出ている
のはもっと一般的なやつです。技術企画室と書いてありますように、私がこれをホームページで
探したときには出てこなくて、別ルートから。
[大下座長] これはどれぐらいの期間ですか。
[Z(事務局)
] これはテーマによって違うと思います。年度で募集していますから、少なくと
も……。
[大下座長] 1 年間か。
[Z(事務局) 1 年間の中で。
[大下座長] 数ヶ月。
[Z(事務局)
] だと思います。年度をまたがっているかどうかというのはちょっと。
103
[大下座長] それはないと思う。それでは、9.総括と今後の方針について。
[Z(事務局)
] 残りあと 30 分です。この資料の説明はすぐに終わりますが、先ほどから何度も
出ていますように 4 年間の最後ですので、縦軸の 6 本柱について最後どうなのかということを、
一番右側に事務局総括案というかたちでまとめております。左側は評価コメントですので、先ほ
どご紹介させていただきました赤字の部分を、このページでは黒字のゴシックにして割り振って
います。中身の説明は重複しますので省略しますが、それを受けて外部の評価コメントをいただ
いたことも含めて、一番右で簡単に結論を申し上げます。
①基礎教育強化事業につきましては、明確に予算も取れまして、平成 23 年度以降の鉄鋼協会の
事業化ということで予定されております。その中でポイントとしては、先ほどから何度も出てい
ますように、産側が基礎の工業的意味合いを多様な角度から明確化する努力を、学に対して継続
していくといったことがポイントではないかと思います。また、⑤の鉄鋼工学セミナーの卒業生
フィードバックについては、定点観測化が非常に有効であろうということで、赤で塗っている 2
本柱が、材料分科会の重点項目になっていくのではないかと考えております。
それから、薄いグリーンで塗っている三つは同じものです。Web の戦力化(net 化と分野戦略
と PR の三者一体)というかたちで書いてあります。これはまだ予算が付いてどうこうというと
ころまではいっていませんが、いろいろな考え方を集約してまいりますと、やはり Web をうまく
使いながらネットワークも組み、かつ分野戦略も可視化していって、それが PR ということで母
親を含めた家庭のほうにも見えるようになるというようなことを三位一体でやっていくというこ
とで書かせていただいております。
評価コメントの総括は一番下になります。いろいろやってきた中で、あくまでも個別の課題で
「実績・成果」を挙げるのではなく、今後どういうことが重要だということを絞り込むか、調査
活動という意味では、こういうかたちで絞り込んだということで、その観点からは①基礎教育の
視点、②評価システムとしての「卒業生アンケート」の PDCA という二大取り組みへの重点化と
いうのは的を射ているのではないかということをいただいております。
[大下座長] 基礎教育強化事業は鉄鋼協会で取り組んで、もう育成何とかというのでいいので
すか。
[Z(事務局)
] 育成委員会ですね。
[大下座長] これは、アルミ協会のほうはアルミでできているんですよね。
[H 委員] 一応できています。
[大下座長] もう先行されている。
[H 委員] 今年 1 年やっていまして、その評価を 3 月にやるので、どういう結果だったか評価
結果を待って、次にどうするかという展開になると思います。
[大下座長] ②の拠点・ネットワーク化事業は、ネットワーク化というよりは、見えるように
するということですね。これはもう見えるようになったということですか。
[E 委員] これから取り組んでいかなければいけないというところで、鉄鋼協会でも独自の Web
を運営されていましたし、われわれのパートナーシップでも新しいのをつくったんですが、それ
を合体して、さらに外部の人がアクセスしやすいようなかたちを、これから鉄鋼協会のプレゼン
ス部会と育成委員会の中で議論しなければいけないと思っています。
[大下座長] 鉄鋼協会の中では検討中?
[E 委員] 育成委員会の中では検討中です。
[大下座長] これは軽金属のほうはできているんですよね。
[L 委員] Web とかネット関係ですか。そこまではいっていないですね。実際にアルミ協会で
募集するのはそういうかたちになっていると思いますが、中身を実施してというかたちにはなっ
ておりません。たぶん 3 月に、今年度を踏まえてこれからという話になるかと思いますので、そ
こらへんで話題が出てくるかもしれません。
[大下座長] 課題解決型プラクティス事業というのは宙に浮いてしまっているんだね。
[E 委員] これも鉄鋼協会の育成委員会の中で継続して議論することになっています。実際、
いろいろなインターンシップが走っていますので、差別化も必要です。ただ、パートナーシップ
の中では、先ほど紹介があった東芝のような、普段取り組めていない課題を各社から出していた
104
だいて大学の先生方に提示したということは、プラクティスの中では一応やってみました。
[大下座長] 共研とかインターンシップとか、もうちょっと先のことをどういうふうにやるか。
[E 委員] それも必要です。ただ、多くのチャンネルがあるということ自身も意味があるとは
思います。
[大下座長] あと、課題解決型・開発マネジメントは育成委員会で検討中ですか。
[X(事務局)
]検討中です。
[大下座長] ⑤の鉄鋼工学セミナーのは継続ですね。
[X(事務局)
] これは定期的にやっていこうということです。ただ、鉄だけではなく、アルミ
とか、そういう分野でもぜひ。
[H 委員] やりたいような気がします。
[大下座長] これは講座みたいなものがうまくあると使えるんですね。
[X(事務局)
] そうですね。
[大下座長] アンケートを採ってしまえばいい。⑥の若者へのものづくりのメッセージは、グ
リーンだから検討中となっているけれども、つくったものがあまり評判がよくなかったというこ
とだな。
[Z(事務局)
] 学生いわく、もうできてしまって、俺が何をするのかよく見えないというのが
一つあります。
[大下座長] さっきのパンフレットで、企業の活動の紹介のところで製銑、製鋼、圧延はよく
書いてあるけれど、機械屋さんから見て、
「俺は何をやるのか」ということが見えるような、採用
の PR パンフレットというか、もうちょっとわかりやすいものをつくらなければいけないという
ことですね。これは企業側の仕事なんだろうな。
[X(事務局)
] 鉄連のパンフレットもそうですね。
[大下座長] 鉄連もそうだね。そこは提言のほうにまとめるとか。
[Z(事務局)
] ネタは一応ありますので、それをリバイズしてある程度ネットに乗せれば反応
も返ってきます。反応を見てまた修正していけばいいだろうということです。
[大下座長] そんなにしょっちゅう修正するものでもないだろうと思います。鉄鋼協会でつく
るのは、鉄鋼協会に関心のある人が見るのではなく、関心のない人に見てもらわなければいけな
いから、なかなか難しい。
[X(事務局)
] その先ですね。
[大下座長] やはり企業のパンフレットや鉄連のパンフレットは、そういうところが大事なの
でしょうね。
[X(事務局)
] 経産省でもパンフレットをいろいろつくられているみたいです。
[METI] 経産省ではなく、ものづくりの。
[Z(事務局)
] ホームページはだいぶ変わってきましたね。
[METI] いま広報の費用がなかなか厳しい状況でありまして、これからまた充実を。
[大下座長] 会社自身が、専門性とか鉄という枠で期待してパンフレットをつくったところが
あるので、そこはちょっと反省して、工夫してみたいと思います。それ以外に本件に関してご質
問等ありますか。
[G 委員] Web で最後のところの、若者へのものづくり。Web をポッと引いたとき、そこに大
学生あるいは会社に入ったばかりの人たちが名前付きで出てきて、いまこういう仕事をしている
とか、若い人に訴えるとか。たとえば健康保健食品のところを見ると、会社の宣伝より、使用者
の意見や、使用者と 1 対 1 で対応できるブログのほうが、名前も出ると信用されます。観光など
も同じです。トラベル・エージェンシーは宣伝しているが本当だろうかというと、そういうとこ
ろが出てくるのと同じで、いま就活、就活と言っている学生たちも不安を持っている。そうする
と、企業がどういうところに重点を置くか。
たとえば今日出た合併の話題などは、若い連中で特にマスターぐらいだと、ちょっと聞きたい
というと、そこのところからパッとリンクするところに若い連中の考えが出てくるとか。大人と
いうか、完成された人間がつくるときちんとできるが、若い人が本当に魅力を感じるか。
私たちも、高専は中学校や地域のキャンペーンですから 2 種類つくっています。まじめにがっ
105
ちりしたものも当然つくります。ところが、学生たちにすっかり任せてつくった DVD とパンフ
レットで中学校へ行くと、そっちは積ん読されないで、皆がさらっと見る。こういうインターネ
ットの社会だと、ポーンと魅力ある顔つきで出てその次のリンクにまじめな話とか、こういうう
まいリンク方法を考えないと、Web でも無視されてしまうと思います。自分自身も苦労している
ので。
[大下座長] 先生のおっしゃるとおりで、実際に採用活動して入社した人間に聞くと、やはり
自分に年齢が結構近い人の話を一番聞きます。うちも『新日鉄』という雑誌を出しているんです
が、できるだけ若い人を出すようにして、入社して 3 年目ぐらいがどんな仕事をやっているのか、
写真入りで説明するように心掛けています。「機械系」というのを押すとそうなるのが一番いい。
「材料系」をクリックすると、若い人のメッセージが伝わる。たしかそんなふうになったと思い
ます。それも工夫してやらなければいけない。これは教育の一環の一部なのでしょうね、産学連
携という面では。そうすると、勉強もこんなことをしなければいけないのかなと。そこに「やっ
ぱり学生時代は基礎が重要だった」ということが一言入るかもしれない。
それでは、新卒就職採用を巡る最近の動きということで、これに関して先生方のご意見をいた
だかなければいけないのですが。冒頭にあった資料です。
[I 委員] ちょっとずれるかもしれないですが、感じていることがあります。去年の 10 月だっ
たと思いますが、仙台で東北大学が中心となった産学連携フェアというのをやっていまして、そ
こに行ってまいりました。金属材料研究所とか、多次元物質材料を使うとか、通信研究所の発表
と、東北地区のメインの研究所の発表がありましたが、そのときに別のブースへ行きましたら、
ちょうど産学人材育成パートナーシップのボランティア団体が、産学人材育成パートナーシップ
をプロモーションする活動をやっていたんです。
金属材料研究所の研究成果をなめらかに産業界に移行するようなボランティア団体と思ってい
ましたが、実はそうではなく、彼らは地方密着型大学と地方産業、地方商店との連携をやってい
て、非常に成果を出しているという言い方をしていました。そこで、私はこちらのほうで産学人
材育成パートナーシップの分科会に出ていると言いましたら、名前ぐらいは知っているという話
でした。
いまわれわれがこういうふうにディスカッションをしている大学というのは、いったいどのレ
ベルの大学を想定したのかということがよくわからない。うんと上位の大学だけの話なのか。彼
らのいう地域密着型大学というのは、たとえば東北学院大学というのが中心になってやっている
と言っていますが、はたしてそこの大学にこれが生かされているのかどうか、ちょっとわからな
くなりました。うんと上のレベルのものを議論するのは当然必要ですが、日本の産業全体を考え
ると、やはり底のほうも上げなければいけない。そういった役割も必要ではないかと感じました。
[大下座長] 鉄鋼だったら、鉄鋼協会の先生方が出られているような大学というイメージでや
っていますね。
[X(事務局)
] そうですね。協会のメンバーで見ると、東北学院大学とかはちょっと少ないも
のですから、あまりスコープに入ってこないという感じがあると思います。それは分野によって、
ちょっと出入りがあるのではないかと思います。
[I 委員] 上の人材ばかり望みますと、それで足りなくなったら、たとえば中国とか留学生が
次に来るというようなことになる。はたしてそれが日本全体にとっていいのかという話になりま
すので、やはり大学全体を日本人全体で盛り上げるというようなことも考慮すべきではないかと
いうふうに感じました。
[G 委員] それは非常に重要です。ここは大部分が大大学です。それはそれで必要で、POSTECH
の GIFT や北京科技大も精華大学、北京大学もそういうレベルをやっているわけですね。ただ、
いま地域の大学、高専にいると、いま言われたような、地域の産業界に産学連携の何らかの人材
育成ということはぜひ必要で、無視しないでくれと。
私は、文部科学省の科学技術・学術審議会の専門部会の一つ、産学連携人材育成知財というと
ころの専門委員をやっていますが、文科省のほうから、発言は地域の大学とか高専というところ
での話を 1 回はしてくれというので、毎回毎回その話をします。ですから、第 4 期科学技術基本
計画のところにもそういうところを入れていただくとか、図式の中に地域の大学、高専という名
106
前も出てきます。
一昨日も JST の大きな会が未来館でありましたが、そこで地域のいわゆる結集型というのが仕
分けでついに終わってしまったんですね。でも、それぞれのところで非常に頑張っている。もう
一つは文科省と JST の知的クラスターですが、非常に大きくて、かなりお金も出ている。設備も、
約 1000 人近い研究員も採用されていました。そういうところで雇われた任期過ぎの人たちがい
まどういうふうにやっているか、どういう商品化、企業化をしたかも追跡調査しています。私が
評価委員長をやっているものですから、フェーズ 2、フェーズ 3 に至ったところはその情報もあ
るのですが、仕分けられてしまって非常に厳しい。
産学連携人材パートナーシップは非常に重要で、これからもやらなければいけないと思います。
ただ、さっき三浦先生が言われたように、地域とか地域大学、また規模はうんと小さいけれども、
高専だって材料をちょこっとやっている。地域の大学も同じです。ですから、何らかの情報でこ
ういうものも流す。経産省、文科省、経団連と、これだけ国で規模を大きくやったわけですから、
できるだけ流していきたい。そういうキャンペーンだけではなく、この成果とか、皆さんがつく
られたもののちょっといいところだけ食いつく。これも自由度を持たせてやっていただければと
思います。
いま私は弘前大学の役員を非常勤でやっていまして、4 月から常勤になるのですが、地域は非
常に苦しい。仙台は東北学院大学工学部と、東北工業大学と、石巻専修大学と、工学部が三つあ
る。先週、先々週は山形大、米沢でしたが、やはりリーダーシップを取って人材育成をやる大学
は地域で伸びていくし、その地域のイノベーションにつながっている。
いま私たちは青森ですから原子力人材育成を必死になってやっていて、文科省さんと経産省さ
んの両方からプログラムが出ています。それは連携してやっています。九つある中に原子力人材
というのがあって、その情報は別ルートから入っています。やはりこういう分科会の成果が、中
央の主立った大学だけではなく、地方の小さい大学にも伝わってほしい。そう思います。
[大下座長] うちの会社は結構田舎にいっぱいあるものですから、採用も八戸高専から沖縄高
専まで、高専は全国からです。あと、たとえば釜石製鉄所だとやはり岩手県内の大学だし、私は
大分だったので、大分大学とは先生も含めていろいろなかたちで会うことが多い。全鉄鋼会社だ
と、地元の大学との付き合いは結構あると思います。だから、それを活用するというのが一つの
手かなと思います。そこは鉄鋼協会を通せば一発でできるという気がします。
あとはこちらのほうを。
[METI] 就職活動の件は、先ほどご説明したばかりでなかなかご意見難しいところがあろうか
と思いますが、理系の学生にとって夏からの就職活動は、先ほど小関先生がおっしゃったとおり、
それが入ると学生が浮ついてしまう。専念できないことによって産業界のためにもならないとい
う観点もあろうかと思います。では、どこの時期に就職活動があるべきとお感じになられている
か。いま経団連が出しているような 4 月から始まるパターンのほうがよいのか、もしくはもっと
後ろのほう、夏よりさらに後ろにずれたほうがいいのか。そういったご意見をここでお伺いでき
ればと思います。いかがでしょうか。
[C 委員] やるとしたら、やはり 4 月、5 月で早めに決めていただいたほうが、学生はそのあと
卒業研究なりに没頭できます。夏にありますと、たぶん前期のほうは浮ついた状態というのでし
ょうか、地に足が着かないような状態で、勉強にも打ち込めないとは思います。だから、4 月、5
月で決めていただくというのがいいと思いますが、会社説明会等の期間が長すぎるようには思い
ます。
とにかくいまの新卒の採用のやり方自体が問題だと、私は個人的には思っています。就職産業
にある意味全部丸投げしているので、学生としては可能な限りの会社にエントリーしようという
ことになります。双方無駄な努力をして、就職斡旋会社だけがお金を儲けている。そういう構図
はやめたほうがいいと思います。だから、たとえば大手の会社が「うちはリクナビには出しませ
ん」というようなことを言っていただけると、状況はずいぶん改善されると思います。
[METI] そうしますと、時期としては 4 月、5 月で。
[C 委員] そうです。だから、会社説明会を年が明けてからというぐらいにしていただければ。
[大下座長] そのほかご意見はありますか。
107
[E 委員] 私も基本的には同じ意見です。たぶん各大学それぞれキャリアサポートセンターみ
たいなものを持っていて、そこがわれわれの意思と無関係に 1 年中似たような行事をやります。
企業を呼んで紹介をするということがあって、1 年中浮かれている感じがします。それはたぶん
採られる企業にとっても大きな損失で、大学でしっかり勉強なり研究なりをやっている学生をき
ちんと見極めて採るということが重要だと思います。そういったことからすると、たとえば修士
の場合、最初の 1 年間はしっかり勉強をやらせて、4 月、5 月ぐらいで決めていただいて、残りの
期間はまた研究に専念できるようなことがいいと思います。
もう一つ、先ほど産学連携のお話が出たので、ちょっとだけ意見を述べさせていただきたいと
思います。やはり就職も含めて、産学でもう少し考える場が必要なのかなと考えています。特に
工学部です。産業界ときちんとつながった教育や人材育成をしないといけないんですが、いまの
多くの大学は理学部と工学部が混然としているような、産業的な出口がはっきりしないような新
しい分野が多い。それも重要ですが、一方で産業的に非常に強い基盤を持ちながら大学でカバー
していないようなところが出てくる。たとえば鋳造や溶接、塑性加工という分野は、多くの大学
でいま相当減らしている分野ではないかと思います。
先日、われわれの大学で企業のトップの方々をお呼びして議論する会を持ったとき、やはり機
械系や重工系の幹部の方が直接そういうことをおっしゃっていました。いまの大学では、われわ
れが一番重要としているようなところをやってくれている大学が非常に少ないというお話があっ
て、そういったようなところを産学の議論の中でもう 1 回考え直すのが重要だと思います。
先ほど井口先生がお話になられていたことですが、すべての大学の材料系がバイオをやる必要
はなく、それぞれの大学ごとのポジションというか、アプローチがあっていいと思います。それ
はそれぞれの大学で決めるということだと、たぶんすべての大学は研究費の多いバイオをやると
いうことになってしまうので、ある意味で強力なフィロソフィが、オールジャパンとして必要な
のかと思います。
GIFT などはその典型で、韓国としてか、POSCO としてかはわかりませんが、重要な基盤技術
をやりましょうということで、鉄鋼大学院を世界レベルで展開するというのは、たぶんトップダ
ウンの強力なフィロソフィがあってのことだと思います。あそこの仕組みをご覧になるとおわか
りになるように、一番上の教授は皆海外から来ています。ケンブリッジのハリー・バデーシアと
か、ブライアン・トーマスとか、ドクーマンとか、世界の本当にトップの人を持ってきて、その
下に韓国人の教授を付けている。ですから、中が全部英語になっているというのは当然の構造で、
考え方がまず上から決まっているようなところがある。そういったようなことが日本で成り立つ
かどうかですが、産学でそこは議論しなければいけないのではないか。
たとえばすべての大学が機能を持たなくていいというのは、先ほど大下さんがおっしゃったよ
うに、東大は昔、実験高炉を持っていました。そのときは日本中から学生が来て、実験高炉の操
業を皆でやって、各社で活躍されている人をたくさん輩出した。そういったような機能、必ずし
も全部の大学で実験高炉を持つわけにはいかないので、そういう大学の位置づけというものを産
学でもう 1 回話し合わないと、工学部はだんだん理学部にすり寄っていきます。これはアメリカ
もそうですが、材料分野はどんどん広がっていきますし、特定の技術を産業界のバックアップで
担保するということを考えながら議論しないと、この問題はなかなか難しいと思います。
この問題は階層化が激しくて、工学部全体でも考えないといけない。先ほどお話があったよう
に、高校生の理科は理学部出身の先生しか教えていないので、高専を除くと、高校の授業で工学
のなんたるかはまったく出ていません。われわれのところでいうと、教養の先生が教えている物
理や化学も理学部の先生なので、学生が工学というものに目覚めるのは、大学に入って自分たち
で模索して工学を選ぶ。あるいは、高校の段階で何も知らなくて大学の工学部にアプライする。
工学に携わるものからすると、あやふやな若者の進路選択があって、もっときちんと道をつけて
やって、工学のすばらしさを言わないとだめなのかなと思います。それはやはり産業界とつなが
って大学がやっていかないと、工学部としての意味がないかなと思います。
就職活動もその一環の中で議論する。産業界にとっても得するような優秀な人材を確保するた
めの期間がたぶんあると思いますので、そういったような視点で議論されるべきかなと思ってい
ます。
108
[METI] 私、経済産業省の産業人材政策室で企画官をやっております。よろしくお願いします。
1 点だけクリアにしたい点がありまして、ちょっとお時間を許してください。
いまの就職活動の問題で、世の中がかなり急に動いていて、経団連が広報活動の時間を短くす
る方向で動いたんですが、採用の内々定を出す時期が 4 月からでは甘いということで、どういう
対応か、いろいろなところから声が出ています。一方で、私大協、国大協といった大学の連盟、
協会からも、学生の本分はもっと集中的に勉強するべきではないかという観点から、もっと遅く
しろという声も出つつあります。
そういった中で、本音のところでは、本当は時期の問題ではなく、むしろ期間の問題だという
のはありますが、それは置いておいて、いま日経を賑わせている論点はまさに時期の問題になっ
てしまっていて、矮小化されているという点はあります。とは言え、この部分で活発な議論がな
されている。本当にこれが 7 月、8 月になってしまったら、実際に学生と接点を密着に持ってい
る先生方からすると、やはり大きな問題になりうるのでしょうか。
われわれがヒアリングベースでいろいろな現場の先生に伺った印象としては、まさに問題であ
るということで、われわれも経団連の案が悪くないのかなと思ったんですが、文科省あるいは大
学連盟、いろいろな協会から、それはちょっと違うという声もあるので、本当のところはどうな
のか。今日はその 1 点だけぜひ教えていただきたい。どうでしょう。
[L 委員] 研究室を運営しているわけですが、やはりタイミングというのは非常に重要です。
そういう意味では、M2 に入った、しかも比較的早い時期、ですから 4 月というわけにはいかな
いかもしれませんが、5 月とか、6 月とか、そのへんで行き先がもう決まっていれば、あとは修士
論文に集中できる。そういうかたちがいいのではないかという気はします。
[METI] 7 月、8 月は学事日程、国際的なカンファレンスがあったり、発表会があったり、その
あとずっと論文の作業があるのでやめてくれという声が結構出てきていますが、これは事実とし
てありますか。
[C 委員] 事実です。大学院の場合、夏休みはないですから。夏休みは大学に来て研究をやっ
ていて、秋がだいたい学会ですから、5 月、6 月に終わると、それから夏休みにかけて実験をやっ
て、データを出して、それをまとめて秋の学会で発表して、その成果を基に修士論文を作成する
というのが、本来の望ましい姿です。ですから、夏にやられるのが一番困ります。いまよりもも
っと大変なことになると、私は思います。
[METI] わかりました。
[大下座長] 総括のほうは、先ほど申し上げたとおり、ポイントは大学の基礎教育、基礎研究
はものすごく大事なので、国としてもきちんと支援してほしいということが一つ。あと、このワ
ーキンググループの回答は先ほど申し上げたのでもう説明しませんが、総括案をきちんとまとめ
て、今日いろいろいただいた話をこの活動全体の総括としてまとめてほしい。簡単な要約みたい
なものをやってほしいということです。これは事務局でお願いします。
あとは鉄鋼協会、あるいは軽金属学会、アルミニウム協会等、協会を通じて産学の対話を継続
していかなければいけないということです。海外の渡航調査なども、ソフトの話もあるけど、ハ
ード的にどういうことを持っているかということも今後は必要かなと思います。
それでは、覚道室長。
[主催者)
] 経済産業省製鉄企画室の覚道でございます。本日でこの材料分科会はとりあえず終
了を迎えるということで、今年 1 年ご議論いただきましてありがとうございました。また、4 年
間の最後ということで 4 年間、また途中からご参加いただいた委員の方にも大変活発にご議論を
いただきまして、どうもありがとうございました。何より大下座長には、ご自身の経験とかご知
見から議論をリードしていただきまして、本当にありがとうございました。
先ほど座長に総括していただきましたように、この 4 年間の成果を事務局と私どものほうで少
し整理をさせていただいて、提言のかたちで最終のものとしてとりまとめたいと思います。それ
を踏まえて、鉄鋼協会あるいはそれぞれの協会のほうで活動を続けていかれるところについては、
引き続き私どもも、文科省さんともご協力をして、可能な限りのいろいろなかたちのサポートを
してまいりたいと思います。
また、こうした議論が引き続き政府の中でもしっかりと継続されていくように、私どもも努め
109
てまいりたいと思います。本当に 4 年間、いろいろ活発にご議論、ご協力をいただきましてあり
がとうございました。
[X(事務局)
] これで議論は終了ということですが、鉄鋼協会、あるいは軽金属学会さん、ア
ルミ協会さん、いろいろな場で活動は続けていきたいと思っています。また、全国材料教室協議
会のほうでも、材料を横断的に、これまでの議論を反映させて、少しレベルを上げた議論につな
げられればと思っています。実際の事業ということで続けたいと思っていますし、また数年経っ
たらこういう場で、数年間のアクティビティが本当によかったのか、悪かったのか、改善すべき
点は何なのかという議論が再びできることを祈念いたしまして、閉会とさせていただきます。ど
うもありがとうございました。
110
(参考 4)POSTEC GIFT 佐々木教授ヒアリング
2011 年 1 月10日
韓国 POSTEC GIFT にて
研究所見学を一巡後、会議室にてディスカッション。
9 つの研究部門で歳出的には 11(ローリングと特殊鋼を追加)
規模 100 名であり、教育側の組織はフラット化を指向している。
「ディスカッション重視」と言う
ことで、物理的環境も指向している。teaching では無くディスカッションが重要なことである。
25%が女性。1 億円の圧延試験設備 ZEN Former MPS8300DS
GIFT は従前技術者の再教育として取り組んでいたものの限界を感じ、画期的なアウトプットを
出すことを狙い、5 年前にスタートした。教育者比率は MAX4 を越えないようにしている。現状
1:3
学生の能力を引き出すことを重視している。100%英語で実施。International education の領
域で世界の No1 を目指している。POSCO に行こうと思えば 100%行ける、現実には、学生の意
思を無視できないが、マスターで 1 名他を志望したことがいる程度。5 年前スタートなので、今
年初めて結果が出る。
POSTECH 自体の特殊性もある。成績上位 3%が選抜される。
SNU 文部省 3~4 万人
カイスト 科学技術省 7~8 万人
POSTEC
3000 人 スタッフ 300 人 意図的に小さくしている。少数精鋭(カリフォルニア工科
大をベンチマークした)
就職先は基本木には研究職 韓国は Dr 以外は取らない。本質的に日本と考え方が違う。Dr をも
っていないと近いものにならないという考え方である。個別の化学技術を教えるのでは無く、物
の考え方を教えるのが大学の仕事なのに日本は出来ていない。
POSTEC はとしは今 20/20 を目標にしている。2020 年までに 20 位に入ろうということである。
(現在 28 位、東大 26 位)
バイリンガルキャンパス
外国人比率25%(東南アジア インドなど)
学生教育は国家の財産という方針
日本の問題は teaching だからという点につきると思う。韓国も学部は同じであるが。GIFT も優
等生なので、答えのあるものに対する回答は早い。しかし考えてみろといわれると困ることとな
る。
「だから研究する」という部分もある。マンツーマン教育の重要性。
教員側の視点からすると 6 ケ月の企業研究を義務付けしている。(佐々木先生は個人的には
今の技術の延長線上ではないので必要なしと考えているが、現状の技術を知らないと限界も分
からないとは言えるとのこと)
学生の構成は材料系 3 割 その他は種々の学科から来ている。技術者の冠して理科離れなどとい
う問題もあるが、その対策としては給与を 2 倍に上げる等の思い切った対策が必要。そうなると
大学側も学生の質を上げる努力を背させるを得なくなる。国立大学の場合、育成費用としては理
111
系の方がはるかにコストかかるので、求めるアウトプットも大きくなることからして、その様な
決断も必要となろう。
韓国の場合先生のステータスが極めて高く、学生とのギャップが大きい。
その関係は改善してパートナーとしたいところである。
韓国の学生の場合も日本と同じでディスカッションが苦手である。それに対しては
物理的な環境を作りサポートすることが必要。
大学にとっては企業の一ニーズはあまり高いプライオリテイにはならない。
だが、日本の材料系の場合、企業大学ともに相互依存している甘えがある。
企業が本気で材料系の学生が欲しいかどうか。コンペティションの無い社会は必ず滅びるもので
ある。
材料系としても学生の質の最低保証のようなことを実現してゆかなければならない。GIFT の場
合成績 B を取ると Caution が出る。もう一度取ると退場となる。
一方日本の奨学金の制度は返済であり、中途半端である。
GIFT の場合 30 万円至急されており、
経済上十分補償されている。
人気一位のサムスンも同様の育成システムを取っている。韓国は競争社会であり、優秀な学生
を集めるための競争制度確立に躊躇はしない。
研究の攻勢は 10%は posco ニーズ
40%が GIFT の独自開発
50%が BT(ブレークスルーとして認証されたもの)という構成である。
一番と二番は以前は逆転していたが、それでは差別的なことが出来ないとして現状の
形にした。
佐々木先生自身は「固定還元鉄法」を開発している。溶解はするが、ストリップ鋳造後
固体段階での脱炭で介在物の影響を遮断する発想。
目標をはっきりさせることが重要で個性的な教育につながるのである。
例えばコリアン大の場合学部から英語を前提としている。鉄の教育でトップとなるようなことを
してきたか。 POSCO とは方針会議を毎年行っている。韓国はトップダウンでやる国なので方
針がきまればやりやすい。危機感としては、POSCO は NSC にベンチマークしてちょっと後に中
国がつてせまきており、奥の深い仕事をする必要性にかられている。
ブレークスルーする貯めに GIFT という発想で出来たものである。独自技術の必要性を強く感じ
ているのである。POSCO の幹部は特に危機感をもって心配している。POSCO は歴代会長が技術
系であり、
教員のサラリーも意識的に高く確保している。
サイテーションの数も世界 No1 であり、
シンクロトロンもその様な環境の中で運営している。
予算は年間 50 億円程度であり、成果は予算に比例する。材料の「手法」を教える講座は必要性を
感じず、数学物理化学、材料力学、熱力学などの極基本的なことで十分だと考える。中途半端な
手を教えても仕方ない。
卒業生の学生で何が出来るという品質保証が出来ていない。マーキテリアルとか、マートといっ
た総合的なものも必要と考える。 日本の材料系の学科は不健全である。あまりにも分散して材
料科学の
112
科学とは何かを作り上げる必要がある。
就職しても鉄鋼メーカーなら良いが、他のメーカーなら主力になれない。機械系はみずからの独
自性でコンヒートできているが、材料系はできていない。まずディスカッションすら出来ない。
欧米では講義+演習がセットとなっている。
IHI では、20 人を韓国から取り出した。日本は重厚長大で不人気だが、韓国ではそうでないの
で優秀な学生を取れるのである。良い学生を手間隙かけて育てる時代から良い学生をとつてくる
アプローチの
典型である。
Q 日本の場合戦略的に考えるのが不得意 POSCO のアジア戦略や Finex アプローチなどやっ
ている。その秘訣は
A 個人で発想してそれを推進することが出来るからである。これと思った人が全権をもって責任
の下にやる。日本は合議制であるところが大きく違う。韓国はエリート社会であり、これはメリ
ットもデメリットもある。ソウル大卒が幅を聞かせるところあたり。能力ある人に任せる風潮が
あるが日本はこれが苦手。選ばれなかった人が全人格的に否定された形になってしまっている。
日本は「リーダーを育てる」
ことが不得意である。2020 年から韓国も外国人比率が 30 割越える時代となる。
「日本と韓国がいかに手を組む」かが今後のポイントと考えられる。中国はそうさせまいと画策
しているが。
以上
113
(参考 5) 北京科学技術大学ヒアリング(英語を翻訳)
日時 2011 年 1 月 14 日 15:00~17:00
University of Science abd Technology Beijing Department of Ferrous Metallurgy
Professor Dr.Wang Xinhung
殿村:今日の予定に対し私は三つの資料を用意しました。1 番目は、我々の活動の概要、2 番目は、
それについての詳細、さらに 3 番目は、日本の大学のカリキュラムの変更、例えば、ある大学か
ら一般の大学への変更に関するものです。私は詳細について、また一般的な傾向について議論す
るつもりはありません。
王教授:これまでメールのやり取りをしてきましたが、本日のミーティングの目的をそれほどは
っきりと理解しているわけではありませんので、どうぞ質問してください。理解できればお答え
しましょう。いずれにせよ、議論はできます。それでよろしいでしょうか。
私はこの会議の主題は理解しているつもりですが、議論の目的が何であるか、その背景につい
て全くはっきりしておりません。でも、なんでも質問してください。
殿村:わかりました。意味のない一般的な議論を避けるため、まず我々の活動から紹介しますが、
たぶん理解していただけると思います。そして、そのあとで、先生が所属される学科の状況や先
生の大学の状況についてお聞きしたいと思います。まず、この資料を説明します。
3 年前に、このプロジェクトをスタートさせましたが、そのとき、産業界に進む技術スタッフ
に関する問題を認識しました。その状況について説明しなければなりません。日本では、大学は
純粋な学問領域のみならず、産業目的を対象とした教育も行っていますので、その産業目的に重
点を置こうと考え、産業分野で活躍するであろう学生のレベルを上げるために、学問領域と産業
領域の人たちと話し合いをもちました。
坂下:ご存知のように、大学機構は文科省が管轄していますが、産業界は他の省が管轄していま
す。そのような管轄の違いがありますが、産業界は大学での教育に関して意見をもっています。
殿村:また、特に材料の分野に対して、最近の若い学生はあまり興味を示しません。彼らは、新
しい分野、新たに発展しつつある分野に進みたがります。材料分野はあまり発展していないよう
に思われています。実際、そうではないのですが、そのようにみえるようです。それが問題なの
です。
このページには、27 の企業に対して行ったアンケート結果が示されています。ここで最大の問
題は、基礎理論の不足です。もちろん、大学は理論や基礎は教えていますが、たぶん学生は、実
際の企業でこの基礎理論がどのように効果的に役に立つかを理解できておりません。
2 番目の問題は、着想の独創性の欠如や問題提起能力の不足です。そして、3 番目は、モチベー
ション不足や問題解決意欲が不十分なことなどです。これらが企業側の意見です。
次のページでは、日本の、特に製鉄と非鉄製造分野においての事例を示しています。
王教授:それでは、ここで中国における状況を説明してほしいということですか。我々も同じ問
題を抱えています。そのことについてご説明しましょう。ご存知のように、状況は変化していま
す。15 年から 20 年ほど前、中国政府はいくつかの変革つまり改革開放政策を始めました。ちょ
うど 1980 年代の初め、30 年前です。それ以前は、ほとんどの中国の大学は、我々の精華大学と
同じように、主に技術分野に重点を置いていました。財務、保険、貿易、経営やビジネス分野を
重視する大学はそれほど多くなく、ビジネス、経営、経済を教える学部の規模はとても貧弱なも
のでした。
そのような状況の中、政府は、工業生産のための工学から、貿易、人材、銀行、保険へと変更
をしようとしましたが、この分野に従事できる十分なスタッフがいませんでした。そのため、ホ
114
テルの管理も十分にできませんでしたし、旅行、保険などの分野、そして海外貿易に精通した人
材がいませんでした。こうしたことは、以前の中国が完全に閉ざされていたことによるものです。
さらに、政府が改革と欧米への開放に着手した 20 年前の時点も、そのような人材が全く不足して
いました。
そこで、多くの大学では、それらの分野に関連する新しい学部あるいは新しい学科が新設され
ました。学生たちも、もはや数学や工学ではなく、海外貿易、ホテル、保険、銀行などについて
学ぶことを希望していました。これが一つ目の問題です。
二つ目の問題として、ご存知のように 30 年前の中国は、コンピュータや自動化の分野で非常に
遅れていました。そこで、30 年前、中国の産業は、多くの高度な最新の設備を輸入しました。た
とえば、宝鋼(Baosteel)は新日鐵から全ての設備を輸入しました。そして、全ての設備は自動
化されました。したがって、コンピュータやオートメーションの分野の人材が必要でした。
つまり、先ほど申し上げた 30 年前の保険、貿易、ビジネスの人材不足、そしてさらに、コンピ
ュータ分野においても人材が不足していたので、当時この業界、政府、産業界がそのような人々
へ高い給料を支払わなければならなかったのです。
このような環境のなかで、ほとんどの大学がそのような新しい学部、海外貿易学部、ビジネス
学部、コンピュータ学部などを新設し、最も高いレベル、最優秀の学生の大半は、鉄鋼や機械な
どの学科、従来の工学科の勉強を希望しなくなり、海外貿易を学びたがり、コンピュータを学び
たがるようになりました。
したがって 30 年前の中国の傾向は、あなた方とは異なり、まさにこのような状況でした。例え
ば、米国では、学生たちは工学の勉強をすでに希望していなかったようですが、中国では、30 年
前でさえも、学生たちは伝統的な工学の勉強は希望していないまでも、まだ工学の勉強を希望し
ていました。学生たちが、コンピュータなどの学科へ関心をもち始めたのは、まさにこの 30 年前
以降のことです。
その結果、多くの新規の大学や学校、あるいはそれらの学科に関連する学部が動き始めました。
これらの学校は、非常に多くの学生に、これらの新しい分野の学習をサポートしてきましたし、
今も、こうした学生たちが大勢卒業していきます。そのため、問題は変化しました。現在、我々
は、もはや、その分野の人材は不足していません。人材は十分で、それどころか、多すぎるほど
です。
したがって、過去の 5 年から 10 年間で、状況は完全に変わりました。例えば 20 年あるいは 30
年前、我々には銀行に精通した人材はいませんでしたが、今では、銀行や保険、コンピュータ分
野でさえも、教育を受けた人材を多すぎるほど抱えています。私の大学でも、30 年前は、ビジネ
ススクールがないために銀行経営を学ぶ学生はおりませんでしたが、今では、USTB のビジネスス
クールは最大の学部となり、この分野において、多すぎるほどの卒業生を輩出しました。そこで
問題は変わりました。同じ分野の非常に多くの卒業生が、卒業後に仕事や職場をみつけることが
非常に難しくなっています。このように、状況は全く変わってきています。
そこで現在の中国では、学生は保険の勉強や銀行の勉強を希望しないようになりました。なぜ
なら銀行の勉強をしても、卒業後、仕事をみつけることが難しくなっているからです。
このように状況は変化しています。30 年前に、新しい分野の学習の開始を認識しましたが、今
では仕事は偏在し、人々は今、回帰しつつあります。最優秀な学生の大半は、10 年あるいは 20
年前、新しい分野への勉強を希望しましたが、今では、まさに鉄鋼や材料のような製造業に戻る
ことを望んでいます。
過去 20 年間、中国の鉄鋼や、セメントのような素材製造産業などの製造業が、かなり急速に発
展したことはご存知だと思います。例えば、鉄鋼業を見ますと、まさに 1996 年、中国の鉄鋼生産
量は、初めて年産1億トンに到達しました。そして昨年、中国は 6 億トン以上を生産し、それは
日本の鉄鋼業の 6 倍以上です。これは、かなりの急速な発展であり、急速な拡大です。したがっ
て、多くの若い学生や、若い人材が必要となりました。それは、鉄鋼を学ぶこと、材料の勉強に
115
戻ることは、職を見つけることを容易にすることを意味します。中国鉄鋼産業の急速な発展によ
り、鉄鋼などを学ぶ学生は、高い地位を与えられ、高額な給料が得られるようになりました。こ
のように、状況は変化してきました。中国では、今、学生は鉄鋼や材料の勉強を希望しています。
その理由は理論でも理屈でもありません。非常に単純です。鉄鋼や材料を学べば、職探しを容
易にし、高い給料を得られるからです。単純なことです。
我々の大学では、いくつかの学部があります。そして私の学部は、金属工学及び環境工学です
が、この学部の主な領域には鉄鋼さらに非鉄金属が含まれています。
しかし 20 年前、この学部は大学の学部の中で入学難易度が低く、最も優秀な学生たちは、ビジ
ネス学部に進みました。最も低いレベルの学生たちが、まさに私の学部に来ました。しかし、現
在、それは完全に変わりました。最も優秀な学生たちは材料工学に進み、同様に、金属工学に進
みます。
殿村:非常によく分かりました。おおよそのイメージをつかむことができました。
王教授:産業界がもつ問題とは関係ありません。卒業後職を見つけることが難しいという状況の
変化によるということだけです。例えば、最近の中国では、毎年 600 万人の新卒学生が、大学卒
業後職を探さなくてはなりません。600 万人です。これは多すぎます。
殿村:最初に、私が用意した資料をすべて説明したいと思います。ご理解いただくためにそのほ
うがよいと思います。
それでは、次のページでは別の問題を取り上げます。これは雇用白書からのデータです。企業
が学生の良否を判断する上で、どのような点に注目しているかです。企業が重要視しているのは、
それぞれの人間性であって、科学あるいはそれに類する能力ではないということです。学生の将
来の潜在能力や、企業に向けての彼らの人間性や熱意なのです。つまり、大学におけるコースや
学部や学科などは企業にとって特に重要ではないのです。なぜなら、会社の中ではいろいろな仕
事があり、大学における活動は非常に狭いからというのが理由です。ここで、我々はこの点を問
題視しました。
そこで、3 年前、8 個の領域、例えば化学や機械などですが、すべての領域について、教育に関
する大学―産業連携協定について話し合いました。これが資料です。
我々はかなり多くのことについて話し合っています。例えば、次の 6 項目です。この緑色の項
目の 4 番目は非常に具体的なテーマで、いくつかの新しいテキストなどを検討し準備しました。
ここでは、この赤色で示す学習結果の評価手法に重点を置きました。その結果、我々は、例えば、
評価のために基礎理論、問題発掘力、計画立案力、プレゼンテーション力など、10 項目を選択し
ました。
これが、ポイントのアウトラインです。さらにこれらの資料で詳しくご説明します。
基礎理論教育について、このような資料を使います。詳細についてはご説明いたしませんが、
項目や考え方を認識いただければと思います。なぜ鉄鋼材料がこれほど広範囲に使用されている
かということの学習です。
これが基礎理論教育のもう一つの例を示す略図ですが、ここでのポイントは、戦略的議論です。
それは、将来の夢の計画立案を意味しています。これらの項目について、学生たちは、具体的な
議論をします。これは、あるグループの議論の成果である「リサイクル工程の系統的な概念」を
示す例です。他のグループの成果は、
「高張力材料」についてです。
これが将来の夢の計画立案に関するグループディスカッションの結果です。日本においては、
材料科学の分野はそれほどポピュラーではありません。それは、先生がご説明されたように中国
では産業が成長していますが、日本ではかなり停滞しているというのが理由です。したがって、
日本の学生たちは、鉄鋼や材料領域に進みたいとは思っておりません。こうした分野が学生にと
って有用ではないし魅力的ではないのです。
そこで、我々はさらに若い世代への宣伝活動に着目しました。例えば、大学生たちばかりでは
なく、小学生や高校生やその家族、母親なども対象にしました。これが宣伝活動の一例です。最
116
初に製品の機能を説明し、その後、その中の機構などを説明しています。さらに我々は、ある大
学でこれを実演しました。これは、この試験的活動の構成に対する実際の意見です。多くの意見
がありましたが、次の意見が典型的なものです。
「将来この分野において、新卒社員が何に貢献で
きるのかを示す具体的記述がありません。つまり、かなり沢山の製品がありますが、ほとんどの
ものは、たぶんもう完成しており、将来に向けた課題が見つけられません。
」これは非常に難しい
問題でもあり、まさに核心をついています。
最後の資料はこれです。10 個の項目があります。これが目標レベルでこれが実際の結果です。
かなりたくさんのレーダーチャートを用意しましたが、これは生産部門向けで、こちらは研究開
発部門向けです。おそらく、要求されるレベルは、生産部門と研究部門で違うと思われます。ま
た目標レベルは多くの大学間、そしてさらに、多くの企業間で異なっています。そこで我々は、
具体的な大学、具体的な企業を、それぞれ個別に始めたいと思います。
弊社はこのようなレベルが必要なので、1、2 年前の結果をチェックしました。我々もそうして
もらうことを期待していました。しかしながら、この考え方は、全くといっていいほど一般的な
観念でした。具体的にこのシステムを導入するとしたら、実用化は非常に困難であろうと思いま
した。
その後、昨年私はオーストリアとスイスを訪問しました。そこで、モーテンセン教授(Prof.
Mortensen)は、教育を評価する一番の方法は卒業生に聞くことだとおっしゃいました。そこで、
上述の方法のかわりに、昨年、我々は鉄鋼業で働く若いエンジニアである約 140 人の卒業生の意
見を聞きました。その結果、多くの情報を得ました。
これが我々の活動の概要です。3 番目をご説明します。これは 1987 年です。これは 2007 年で
す。ピンクの印は数学です。水色は物理と化学で全くの基礎科目です。緑は材料科学、特に金属
を基本とした分野です。この色は応用レベルの材料科学です。これは例えば熱力学や材料力学な
どです。これは材料科学でも、無機材料で、以前は小さい領域でしたが、最近は進展してきてい
ます。これは実験による修士論文などです。それは、これとやや類似している概念です。
そこで最初に、大学間で多くの違いがありますが、一般的にいえば、緑はやや減少しており、
青は、物理と化学ですが、増加しています。また、無機材料科学も増加しています。これは一つ
の傾向かもしれません。なぜなら新しい領域が入ってきているからです。そしてこの傾向は、新
規の課題と引き換えに、我々が理論や基礎を最も重視していることを示しています。しかしこの
事例では、大学がこの領域に重点を置いたとしても、学生たちが実際の現場でこの理論が何の役
に立つのか正確に理解できていないという理由でいくつかの問題があります。
大雑把に言えば、これらが我々の活動です。ここを訪問した主な目的は、先生が前におっしゃ
ったように、この国が猛烈なスピードで発展している今、その成長が、先生の大学のカリキュラ
ムに対しどのような影響を与えてきたかということにあります。
王教授:では一つ一つ議論しましょう。かなりたくさんの興味深いテーマと課題があります。
2 番目の評価方法に関する問題ですが、これは非常に難しい。なぜなら、今まさに中国では、
私が申し上げたように、大学を卒業した人たちが仕事を見つけることが極めて難しいからです。
したがって、通常はさまざまな種類の観点がありますが、一つの重要な観点は、多くのコースに
対する学生の点数です。例えば、学生が仕事を探す最初の段階では、中国でまだ重要なのは、ど
の大学かです。中国では、さまざまなレベルの大学があります。つまり、トップの 2 校は、精華
大学と北京大学です。あなたは北京大学をご存知ですか。精華大学と北京大学は、まさに東京大
学と同じようなものといえます。
そして、これらがまさにトップの 2 校です。最高レベルの大学は、依然、国立大学だと思いま
す。でも、いろいろなレベルの国立大学もあります。中国中央政府には、文化省ではなく、教育
省があり、約 70 の大学が、中央省である教育省により直接管理されています。これらの 70 の大
学が次のレベルにあります。トップの二つは精華大学と北京大学で、70 の大学が、北海道大学や
東北大学などのような、重要な国立大学となっています。その次に、第 3 ランク、第 4 ランクの
117
大学があり、地方省が管轄する重点大学、そして市立大学、地方大学です。
したがって、人々が仕事をみつける一番のポイントは、どの大学かです。だからいろいろな種
類の大学には、各種の評判があります。そして、精華大学と北京大学の学生たちは、東京大学の
卒業生のように、就職はかなり容易となっています。彼らは職を見つけることにおいては、何の
心配もありません。この資料では、学部や学科が重要となってきています。でも中国では、まだ
どの大学卒であるかが重要であり、最大の関心事なのかもしれません。実際的に、優秀な大学を
卒業することがとても重要で、依然としてこの点が重要なポイントとなっています。
もう一つの問題は、得点、成績、学業成績です。例えば私の大学では、学生に対し、科目の単
位があり、全部で 40 科目から 50 科目あります。それらは、基礎数学、化学、コンピュータなど
たくさんの異なる科目があり、これらに点数がつけられます。80 点、85 点、90 点などの点数、
あるいは不合格、50 点などのようになっています。したがって、この種の点数は重要です。
成績の中でも、一番重要なものは、全体で 50 番なのか 100 番あるいは 10 番なのかを告示する
こと、つまり順位です。例えば私の学校では、同学年の約 200 名の学生の全体での順位を示しま
す。200 名の中の何番であるかは非常に重要です。もし私がトップテンに入っていることが分か
れば、とても重要視されるでしょう。
このように、点数は重要であることを意味していますが、企業側の人々は、点数の意味を分か
っていません。彼らは比較しなければいけませんが、例えば、80 点もしくは 85 点は優秀である
かどうかを知りません。私の学校では、85 点は最優秀です。でもほかの学校では、85 点はただの
良好であって、最優秀ではありません。だから企業側は、順位がどのくらいのレベルかを知らな
ければなりません。それが、トップ 10 なのかトップ 20 あるいはトップ 50 なのか。その順位はよ
いのか。それは、優良ではないけれど、ちょうど中間の学生なのかです。
このように中国ではまだ、1 番重要視されるのは学校であり、2 番目はそこでの成績です。そし
て 3 番目は面接になります。つまり、中国で学生が仕事を探すとき、まず応募書類をインターネ
ットを通じてあるいはそれぞれの会社の人事部に直接送付しなければなりません。彼らは応募書
類を送付します。そして会社は、まず応募者からの応募書類をチェックし、選別します。例えば
全体で 50 人が応募しても、たぶん、全部の応募者と面接をする必要はないでしょう。これら 50
人の中から、たぶん 8 人または 10 人を選び、その次に彼らを面接します。上層部、技術系の人間
あるいはエンジニアや役員、管理部の人たちが、グループで面接を行います。面接での応対は非
常に重要で、学生がどのように反応するかを観察します。面接は非常に重要視されています。
面接は、学生たちの理解力と密接に関連しています。したがって、時には学生は、非常に高い
点数を得ることもありますが、その点数は単なる試験のようなものでもあったり、単なる調査で
あったりします。それはとても活発に行われ、彼らは質問し、CEO がプレゼンを行います。これ
が 3 番目の重要なことです。もしなんらかのサポートが必要ならば、例えば、学生は通常、教授
に推薦状の作成の依頼を希望します。もし学生が企業の人たちを知る個人的なルートをもってい
る場合には、それは有利に働くかもしれません。しかし、それほど重要ではありません。それで
も、時にはそれも有効です。
このように、中国では、職を探している学生にとって 1 番目はどの大学かです。2 番目のポイ
ントは、成績です。3 番目は、どのように対応するかの面接です。つまり、面接官に好ましい印
象を残さなければなりません。そして最後は、推薦が必要なルート、個人的なルートなどネット
ワークかもしれません。これは、まさに最初に職を探す人向けです。これは、効果的な場合もあ
りますが、さほど重要ではありません。
そしてその後に、彼らは、ちょうど新日鐵に相当する宝鋼(Baosteel)のような会社のスタッ
フとなり、従事した後、2 年、3 年、5 年、あるいは 10 年後に、昇進のための人事による最終チ
ェックを受けます。最初の入社の段階では、精華大学の卒業、優秀な大学の卒業生、優れた成績、
面接が大きく関係しています。それらのことはすばらしいことです。でもそれは、単なる履歴で
す。
118
その 5 年後、そして 3 年、5 年、8 年と働いた後、たぶん企業は、若い学生たちを、まさに再評
価するでしょう。そこで、恐らく同じこと、つまり人間性の問題となると私は思います。それが
非常に重要です。もしあなたが非常に優秀な学歴があったとしても、良好な人格がなければ、ま
さに一人で働くだけで、チームワークを発揮できないし、会社に対し何も貢献できません。それ
は、プロジェクト集団に対しても同じことです。つまり会社のために働くことを希望し、チーム
のために働くことを希望することは、現在のためでもあり、将来への可能性です。
つまり、最終的には同じです。初期段階ではそのようなことはわかりません。初期段階は、そ
れは学校であり、面接です。最初の印象は、相当重要であり、成績も同様です。しかしながら、1、
2 年後、そして確実に 5 年就労後には、その重要性は変わります。それは中国でも同じです。こ
のように中国の会社ではいろいろなことがあり……、精華大学や北京大学の学生が最初に昇進す
るでしょうか。いいえ。それは、彼らの本当の実力にかかっています。
その後の、彼らの真の会社への貢献が主にそのような昇進に影響しているのであって、経歴だ
けではありません。
殿村:追加の質問として、私は、1 番目の優先項目が「どの大学卒であるかと」であることがよ
くわかりました。そこで次の点についてお聞きしたいと思います。先生の大学では、この 10 年間、
カリキュラムを変更しましたか。
王教授:次にご説明しましょう。
それはあなたの 2 番目のポイントです。そこで我々は協定に参加しました。我々も同様です。
ちょうどこの 20 年間、またこの 10 年間でさえ中国の大学は多くの実験を試みました。
中国が改革政策を始める前、中国の大半の大学はまさにソビエトのコピーでした。それは 1980
年代の初めに始まり、中国政府は、全てにおいて、日本や米国と全く同様な、西欧の教育システ
ムを導入しました。指導者のほとんどが西欧の国々で学び、海外留学を経験しました。そして今、
いろいろな分野を学び、中国に戻ってきました。
さらに、彼らは共産主義の不利な点や古い教育システムを再評価し、ソビエトは遅れており、
かつ不利な点があるので、いくつかの実験を行うべきであることを認識しました。つまり、教育
省が実施してきた主なことは、教育分野の専門家、教育エキスパートを常にもつことです。彼ら
は、中国の大学の最大の欠点は、特定の分野だけを中国の学生に教えることにあると気づきまし
た。我々はすべてを教えていますが、主な目的は、試験への優れた対処の方法や、よい成績のと
り方を教えることでした。
例えば、小学校あるいは高等学校、そして大学でさえも、教師はいつも教え、そして学生はい
つも学習しますが、学生が自ら考えたり、疑問を感じたりする余地はありません。教師の言うこ
とは、当然正しい。もちろん、我々も学習したことを信じなければなりません。我々もまさにこ
のようなことをして、試験で非常によい成績をとることができました。つまり、中国の学生は、
保守的であり静かで礼儀正しく、そして上司や教師がするよう命じた全てをやり遂げることがで
きますが、自ら考えることに対しやる気がなく、疑問をもとうとしません。
したがって、我々に冒険はありませんでした。ただ従うだけです。いつも外国のあとをついて
いきます。例えば、鉄鋼分野の技術を輸入し、そして習得した後で、それらの種類の技術のコピ
ーを作ります。実際に何の大きな発明もしません。多くの教育エキスパートが、このことが主な
欠陥であると指摘しました。
そこでこの 20 年間、多くの実験をしてきました。そして変更したことの一つは、工学分野にお
ける教科を減らすということです。この教科は本当に特殊すぎると多くの人は言います。例えば、
私の学校では、鉄鋼や鉄鋼組織など実用的な教科がかなりたくさんあり、これらは必修科目の相
当多くを占めています。現在では、教育エキスパートは、そうした科目を学生に無理強いするべ
きではないと言います。特殊すぎる科目を減らしたり、なくしたりして、より一般的なあるいは
包括的なものにすべきだと考え、過去 20 年間、私の大学では、3 種類の副専攻課程があり、第 1
の課程は基礎専攻で、数学、物理、熱力学、化学などです。またこの課程には、それほど工学に
119
関係しない、法律や文化、思考手法、哲学も入っています。これらが基礎課程です。
さらに第 2 の課程は、工学関連基礎課程で、例えば、コンピュータ、情報、物理、化学など、
さらにその履修後の純粋物理などです。化学は、金属学の領域の基礎課程です。そしてさらに、
そのような科目が相当多くあります。
そして第 3 の課程は、学生が専攻する専門課程です。例えば、もしあなたの専攻が金属学であ
るなら、どのように鉄をつくるか、製鋼、鉄冶金などが専門課程です。
つまり、30 年前、教科の構成はとても単純でした。学生はただ限られた数の基礎課程だけを勉
強しました。例えば私が大学をスタートした時、主な基礎課程は、数学、化学、物理、そして熱
力学だけでした。その他はありませんでしたし、法律やビジネス、そのような教科もありません
でした。まさに、本当に単純でした。しかし今では、範囲が広くなってきています。つまり、材
料あるいは鉄鋼の専攻でさえも、学生たちは、かなり直接関係する科目のほかに、それらの哲学
や歴史、文化などもたくさん勉強しなければならなくなりました。これが一つのカリキュラムの
変更点です。
そして 2 つ目の変更点は、学生たちは他の領域の多くの基礎を勉強しなければならないという
ことです。彼らは材料について勉強すべきであり、プラスチックを勉強すべきであり、そのよう
なものをたくさん学ばなければなりません。したがって、教育省は、金属工学のような真の専門
科目、例えば、鉄冶金、製鋼、相変態現象といった直接鉄鋼に関係するか、あるいは学生の専攻
に直接関係する科目を決定しました。そのような教科の割合は、50%以下でなければなりません。
このように、これらが実験的な結果です。今、我々は、まさにこの種の政策を実行してきまし
たが、状況はとても奇妙なものになりました。それ以前は、中国の学生は専門化しすぎていると
申し上げました。でも我々が変更した後、15 年前だと思いますが、そのときこのような変更を開
始したのですが、今、産業界から批判されています。彼らは、以前の卒業生の能力は非常に高か
ったと言っています。例えば、我々の学校からの卒業生は、学校を卒業した後で、鉄鋼会社に進
み、基礎的で技術的な多くの仕事ができました。彼らは設計ができ、多くの計算もこなし、実際
の鉄鋼生産の運転をしたことがないにもかかわらず、鉄鋼についてたくさんの勉強をしていたか
らです。彼らは、本当に多くの実用的な能力を習得していました。どのように計算するかなど鉄
鋼について相当多くの時間を割いていたからです。しかしながら、現在はそれなしに即戦力を求
められる。その結果、企業は新規の学生は何もできないと不満をもらしています。彼らは、相当
大まかに鉄鋼のことを知っているだけで、例えば、
「ある構想を練って取鍋の基本設計を作ってく
ださい。あるいは絵を描いて写真をとってください。」と依頼した場合、彼らはそれができないの
です。
例えば、20 年前、我々の学校では、鉄金属工学と呼んでいた鉄鋼の科目がありました。これは、
そのような専門科目、内容の中心が鉄冶金である鉄金属工学を専攻した学生を意味していました。
だから彼らはやり方を知っていました。しかし、今、我々はそのような分け方は細かすぎると考
えて、今では、我々の学校では鉄金属専攻のような種類はありません。その名称は、金属工学専
攻です。金属工学は、鉄鋼だけに関係しているのではなく、アルミニウムや銅、多くの異種金属
を含んでいます。しかし、その教員全部の人数は 50%以下に制限されていますので、学生が、鉄
鋼、アルミニウム、銅そして希土類など多くのことを学習しなければならないのです。だから彼
らは大まかには理解していますが、そのことを基礎的にしかできません。それが問題となってい
ます。
昨年から、多くの教育エキスパートが変わりました。彼らは、学生は産業界における実習に、
もっと時間を割くべきであると言っています。彼らは、米国では、多くの学生が、卒業する前で
さえも、そのような実習のために工場に行くと言っています。我々中国人もそのような試みを学
ばなければなりません。しかし、いずれにせよ、我々は、いつも明確な方向へ進んでいるわけで
はありません。時にはこの方向に進み、そしてこのように折り返したりしているのです。それは
それほど順調ではありません。我々は 20 年前、あるいは 30 年前にしたことより、現在している
120
ことが本当に良くなっているのかわかりません。なぜなら、20 年あるいは 30 年前、卒業生は、
産業界に歓迎されていましたし、卒業後すぐに卒業生たちは、かなりいろいろなことができたか
らです。でも今は、企業の人たちは、新卒者は外国語を学ぶために多くの時間を割いて、上手に
外国語を話せることを知っています。彼らは物事について多くを知っています。彼らは情報をも
っているし、音楽を知っています。でも基礎的な技術についてはあまり知りません。すいません、
これは中国における問題です。したがって、新卒者を採用した後で、企業は半年間ぐらい、彼ら
を訓練するために特別研修をしなければならないようになりました。
王教授:ここでジャン博士(Dr. Jiang)にお尋ねします。彼は私の学校を卒業し、この学校で学
部を終了し、修士を終えました。彼に議論に入ってもらいたいと思います。彼は履修科目につい
て最近の状況を知っています。
殿村:一般的に言えば、私の聞いている限り、この状況は、日本と全く似ています、なぜなら、
同じように、傾向が変化しているからです。我々はいくつかの新規の分野に着目し、そしてそれ
は基礎分野であり、このような従来の基礎的な材料科学の減少につながりました。
王教授:それはほとんど同じです。でも我々はそれをさらに減少させました。さらに、あなたは、
金属ベースでと言いました。でも我々は、鉄ベースと言いました。つまり、もし金属ベースであ
れば、セーフでしょう。現在、それはまだほとんど鉄であると申し上げました。あなた方は銅を
学ばなければならないし、いろいろな材料を学ばなければなりません。
殿村:もしよろしければ、その比率を聞かせていただけますか。
王教授:いいでしょう、私の学生に聞きましょう。我々は、ここでそれらを、まさに数字で示す
ことができますが、中国語です。
〔打ち合わせ〕
王教授:こちらがジャン博士です。
殿村:はじめまして。ありがとうございます。
ジャン博士:ありがとうございます。はじめまして。
王教授:今、彼はポスドク研究のフェローです。ご紹介しましょう。こちらのお二方は、材料あ
るいは鉄鋼分野における教育の変化について日本国内で行われたリポートをもとに、調査をして
おられます。したがって、お二方は学部の教科における変遷を知りたがっておられます。中国語
で言ってください。
〔中国語〕
殿村:もし可能であれば、メールか何かでいただけますか。
王教授:けっこうです。メールで送信できます。ネットワークですと迅速です。
殿村:我々も OK です。
王教授:でも金属を専攻している学生も同じことですよね。
殿村:全くそのとおりです。
これはまさに表面上の調査です。カリキュラムの比率についてのみで、この緑のラインの内訳
については、参照できません。どのようにしてその内容が変わってきたのか、そのようなことを
明確にすることはたぶん非常に難しいと思います。
王教授:我々も、かなり明確な教科の名称やそのようなものなど、事実として提供することは可
能です。あなた達が、中国語で置き換えることは可能です。誰かに翻訳を頼むことも可能でしょ
う……。
坂下:日本語で対比することは可能です。
ジャン博士:この仕事は、教育の交流、意思疎通にとって意義深いと思います。
殿村:そのとおりですが、どのケースも難しいし、現在どの状況を議論しているのでしょうか。
非常に多くの大学があり、多くの会社もあります。したがって、全ての環境が全く違います。だ
から一般論で議論することは意味がありません。
121
ジャン博士:そうです。カリキュラムも大学の特徴によって違います。
王教授:私は、中国と日本では技術の扱われ方が違っていると思います。だから中国の学生はま
だ、金属工学の勉強を希望しています。
殿村:それは非常に重要なポイントです。
王教授:それは鉄鋼産業間の違いと契約形態の違いのためかもしれません。例えば、中国では、
契約はそれほど強くはありません。でも同時に、多すぎる卒業生がいます。これは全く異なる理
由です。例えば、ここに最も優秀な学生の一人がいます。彼は、いまだに、鉄鋼業で働きたいと
思っています。
ジャン博士:私は鉄冶金分野の専攻です。
王教授:また、製造は重要になっていますし、電気、発電所、そしてその周辺、産業の既存分野、
中国はこの種の製造産業を、相当に必要としているからです。だから、若い人達は、依然として、
この産業の基礎部門で働くことを希望しています。これは全く違います。例えば、日本では医学、
法律そして財務の勉強を希望するのに対し、まさに現在の中国では、ほとんど医学の道を希望し
ません。なぜなら、医大からの卒業生は多すぎて、大都市の病院は、若い人が多すぎるためにそ
れを必要としていません。したがって政府は、卒業生が地方へ行くことを期待しています。でも
若者は地方へ行きたがりません。
殿村:それは世界的な問題でもあります。
王教授:さらに、中国の東部と西部の間に、田舎と大都市の差があると思います。
その差は、日本や西欧各国における違いよりも、かなり大きくなっています。したがって学生た
ちは依然、大都市において勉強すること、暮らすこと、働くことを希望しています。そして、大
部分の既存製造業などの会社は、依然として大都市にあります。大半の鉄鋼業も依然、上海や大
都市にあります。したがって、鉄鋼産業で働くことは、大都市で暮らすことを意味し、ほかの既
存の製造業もまた同様です。それらもまた大都市にあります。
坂下:日本では、博士課程の数は増加していますが、博士が職をみつけることは非常に難しくな
っています。中国では、状況はどうですか。容易ですか。
王教授:日本と違っていますし、さらに、米国とも違っています。私の息子は、米国で博士課程
に進みました。彼の大学では、博士課程を取ろうとする米国の人達はそれほど多くないというこ
とです。なぜなら、例えば学部生、修士課程の学生、博士課程の学生の中で、博士課程の学生が
職を見つけることが最も難しいからだと彼は話しています。また、日本の会社でも博士課程修了
者には高い給料を払わなければならないため、簡単な仕事に多くの博士課程修了者を雇いたくな
いと思っています。しかし、中国の事情は全く違います。中国では、そのような給与制度はあり
ません。したがって、博士課程修了者にも低い給料が支払われる場合もありますし、同様に修士
やそれより低い学士により高い給料が支払われる場合さえあります。
このことは、全国的に規定給与制度ですが、給料は、会社それぞれに拠るものだということを
意味しています。例えば、鉄鋼関連の会社の給与は、非鉄の会社よりかなり高額です。将来中国
で、もし政府が、博士課程修了者の低い給与を改善する国家基準を作れば、まさに日本と同じ変
化が起きるでしょう。でも現在の中国では違います。一般的には博士課程修了者は、高度な教育
を受けて、より多くの能力をもっているのに、会社は高額な給与を払う必要がないため容易に仕
事がみつけられます。
ジャン博士:それは重要です。
殿村:もうひとつ質問があります。私が前に申し上げたように、あなたの国はこの 10 年発展しま
した。生産レベルはかなり急速に上がりました。こうした状況がカリキュラムや基本的な教育内
容に影響を与えましたか。
王教授:それほどありません。しかしながら、R&Dや研究に対してはかなり大きな影響があり
ました。なぜなら政府は非常に金持ちになりましたので、例えば、国立大学は財政的援助を、特
に研究分野において、今までよりも容易に得られるようになりました。それは研究を大きく変化
122
させました。研究を遂行するための財政援助の規模が拡大したのです。また、授業や教育に関し
急速な発展による影響の最も重要なものは、経済的な発展の要求に対応するための新規の専攻部
門を設立しなければならない場合があるということです。
例えば、エレクトロニクス業界に目を向けてください。そこでは大量の人材が必要です。人々
は、事業を進めるために、ものの購入を希望しますが、デパートからではありません。まさにイ
ンターネットを通じて購入します。そのようなネットワークや流通輸送において、依然として対
応できる学生が足りません。まさにこれが発展の大きな影響です。これが急速な経済発展の教育
への影響の例です。このように、経済の発展による新しい要求、新規の学部や新規の領域の新設
などを認識すべきです。
しかしながら、教育や授業の実際上の特徴において、すなわち、ほとんどの専攻や大学におい
て、自転車と同じようにほとんど変化はありません。我々はたくさんの実験もしましたし、まさ
に教授にパワーポイントを使って彼らの授業を改善することを依頼しました。
「あなたはこれらの
スライドを使用すべきでない」とか、「あなたは電子書籍を使った方が良い」といったものです。
でもこれは本質的なことではありません。それはテクニックであり、授業方法です。したがって、
主な内容は変わっていません。
ジャン博士:私はこの大学に 1999 年に入り、10 年間ずっと過ごしました。変更はそれほどあり
ません。
王教授:でも 30 年前と比べたら、我々は多くの変更をしました。初期には、多くの変更をしまし
た。30 年前は、学生は二つの学科、製鋼と鉄冶金の専攻に分けられ、2 クラスの学生がいました。
専門課程において中心となっていたのは、鉄や鉄鋼ではなく、まさに鋼の製法を学ぶことでした。
したがって学生たちは、鉄とアルミニウムの混ぜ方などを学んでいました。
その後、多くの変更を行いました。私は改善のための多くの実験を行ったと申し上げました。
でも、この 10 年間は、ほとんど何の変更もしていません。それは、15 年ほど前にソビエト方式
から西欧方式へ大規模な変更をほとんど終えたことを意味しています。つまり 20 年前にその変更
を完了しました。しかし現在、我々が混乱しているかどうかわかりません。申し上げたように、
我々がしてきた手法が機能しているのか、機能していないのか、まさに見直しているところです。
これが現在の課題です。
我々は、教育省に属しています。そして大臣は何度も変わります。時にはA大臣、時にはB大
臣。例えば、前の大臣はジュオ・リー氏(Mr. Zhou Li)でした。彼は、大臣はノーベル賞を取る
ことができるまさに特別な領域、きわめて限られた分野に配慮すべきであると言いました。たぶ
ん、中国はそのような賞を取ることに大きな期待をしていました。でも昨年大臣が替わりました。
ユエン氏(Mr. Yuan)は、貧しい地方にある通常教育、小、中、高等学校を強化すべきであると
言いました。このように大臣は、いつも替わります。それも問題です。
このように過去 10 年間、我々は時には左側に進み、大臣がそれは違うと言うと、それではこち
ら側に行きましょうということをしてきました。ほとんど大きな改革はありません。
殿村:もう一つの質問ですが、先生の大学と、例えば、いくつかの鉄鋼関連企業の間の協力関係
はうまくいっていますか。教科や協力方法に関して、問題はありませんか。
王教授:二つの協力の形態があると思います。一つは大学と企業間です。例えば、本学、USTB は、
中国で現在もっとも大きな鉄鋼会社である、宝鋼(Baosteel)と鞍鋼(Angang Steel)と強力な
公式協力協定を結びました。したがって、我々は、強力で公的な協力関係にあります。つまり、
大学から企業への協力は極めて良好です。でも、それはほとんど教育に関するものです。それは、
鉄鋼関連企業は教育が必要ですし、大学からの卒業生が、特に優秀な卒業生が必要です。そこで、
彼らは大学に対して、例えば短期間のコースを作り、若い研究者、例えば工学修士や工学博士と
いった若い研究者を養成するために、研究生の論文、修士論文、学位論文、そのようなものを依
頼してきます。つまり、企業が大学に対して、社員の研修あるいは養成の支援を依頼してきてい
ます。
123
同時に、企業は社員研修への支援の見返りに、大学を財政的に援助し、何らかの報酬を提供し
ます。それは形式的なものであって、究極的な補完ではありません。でも良いことです。しかし、
R&D や研究に関しては、企業によって違います。また、雇用という面では、中国の鉄鋼企業は全
く異なっています。つまり、小さな規模の企業は、高いレベルの研究者が不足しているために、
我々の大学からの短期間の雇用を必要としています。それは、USTB、大学との緊急の必要性を意
味し、中規模あるいは低レベルの鉄系企業を支援するため、この種の協力は望ましいことです。
中国では、宝鋼(Baosteel)や高レベルの企業は、新日鐵や JFE のようなレベルです。でもトッ
プレベルの鉄鋼企業は、依然として研究や共同研究を必要としています。しかも高いレベルの研
究です。したがって、彼らはまさに、教授の一部を選びますが、それを企業への大学の協力とし
てみなしていません。その種の協力は、個人対個人、研究者対研究者の結びつきなのです。例え
ば、A 教授は、ある分野で非常に有能です。したがって企業はその教授を探し出し、その他いろ
いろの共同研究の依頼をします。したがってこの場合、大学はあまり関係していなくて、教授個
人が基本となっています。
〔中国語〕
王教授:まさに今、中国では、同じ問題を抱えています。申し上げたように、学生の考え方は変
化してきました。学生は高いレベルでスタートしますが、そうした学生は主に高いレベルの大学
を卒業しています。例えば、私の大学で鉄鋼や金属の専攻において、彼らが一生懸命勉強すれば、
優れた能力を身につけます。彼らにとって職を得ることは簡単でしょう。
しかし、申し上げたように、中国にはまだ相当多くの低いレベルの大学があります。したがっ
て、そのような大学において学生が卒業後に職を得ることは、かなり難しいでしょう。たぶん、
彼らが企業A、企業Bなどに就職するためには、おそらく半年か 1 年かかると思います。就職に
あたって、学習や知識は重要ですが、そのようなレベルの大学ではあまり重要視されません。
したがって、このような大学では、学生はあまり積極的ではありません。彼らは、たぶん、時々
学校へ行き、ただ教室に入るだけです。例えば、全員であれば 100 人となるべきですが、おそら
く 50 人とか、そのようなものです。学生は授業中、居眠りが好きです。我々は理解できません。
我々は、この種の問題にどのように対処したらよいかわかりません。このような点において、あ
なた方のほうがたくさんの優れた手法を見いだしています。でも我々は、そのような学生をどう
したらよいか何のアイデアももっていません。
中国で中心となる問題は、一家族に子供がたった一人ということです。そのため、それぞれの家
庭の子供は王様です。彼らは、現実にやりたいようにするという傾向があるので、他人のいうこ
とに耳を傾けさせることは極めて難しく、先輩の意見さえも聞こうとしません。
例えば、私は次のように子供に言います。「君は間違っている。あのようにしなさい。」すると
「いやだ、いやだ、いやだ。
」と答えます。これも問題です。したがって、このような学生は積極
的に勉強しないばかりか勉強嫌いです。これは極めて深刻な問題で、しかもこのような学生は少
数ではありません。多くの学生が問題を抱えています。しかも、それは非常に難しい。我々は、
あなたのように、まさにこれらの学生を変えさせる手段をもっていません。
殿村:我々もこの問題に、いつも直面しています、なぜならいつも、エリート教育、底上げ教育
あるいは平均教育のどれが必要かを議論しています。どこに重点化すべきか、本当に難しい。
王教授:そのとおりです。でも理屈としては、中国ではほとんどの人は、公務員か教授か学生で
す。しかし日本人の問題は基本教育に関するものです。つまり、最低レベルの教育が最も重要で
あり、大半の若い人達はそのレベルだからです。ご存知のように、中国では多くの社会問題、汚
職などたくさんのそのような問題を抱えています。そして教育に関連しても多くの問題がありま
す。それも問題なのです。
我々の制度は、日本とは違います。全ては国の体系です。国家が、政府が、小学校から中学校
まで、全てを管理しています。全てを政府が支援しています。つまり、政府が多くの基準を作っ
ています。例えば、私が小学校の管理者であるとします。5 年か 10 年その学校で奉職したあと、
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私は、高い地位への昇進を希望します。そこでは、誰が私を昇進させるかどうか判断を下すので
しょうか。まさに政府であり、まさに特定の個人であり、より大きな権限をもった人です。でも
彼には基準があります。小学校には極めて多くの管理者がおり、校長には誰が昇格するのでしょ
うか。その基準は、何人の優れた生徒を送り出したかです。
この問題は、例えば、この町には数百の小学校がありますが、おそらく、4 校くらいしか優秀
な中学校や高校がないと思われます。つまり、優秀な生徒が何人入学したか、何人の生徒が、優
秀な中学校や高校に入れたのか、何人の学生が精華大学に入学したかで評価が決まるのです。
このように、この基準、基本給与、昇進、全てが我々の業績にかかっているのです。つまり何
人の優秀な学生を養成したか、何人の優秀中の最優秀を、最悪の学生を、何人の犯罪者を輩出し
たかです。これも問題です。
このような社会全体の方向性が、
「良いことは何か」と「優秀な学生とは何か」を混乱させてい
ます。教師は少数の良い生徒にだけ注目し、劣った生徒は、
「いやだ、いやだ、いやだ」です。こ
れも問題です。
このように、まさに今、中国では極めて多くのこの種の社会問題があります。
殿村:この点に関して言えば、日本では、研究活動と教育活動の実態に関して多くの意見があり
ます。それらは分けなければならないと言われていますが、それもなかなか難しく、もし一人が
両方を受けもったならば、通常、研究活動に重点を置いてしまいます。
王教授:それは中国でも同じです。
私は、才能は双方に関係すると思います。したがって、良い研究ができる人は、良い教育もで
きると思います。でも問題は、時間です。彼らは一方では研究をし、一方では教育をするという
十分な時間がありません。
殿村:討議いただき大変ありがとうございました。
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