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供給側統計からみた個人消費の特徴

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供給側統計からみた個人消費の特徴
【供給側統計からみた個人消費の特徴】
供給側統計を最終需要項目別に再編加工した全産業供給指数から個人消費をみると、
17年は前年比 1.1%と3年連続の上昇となった。中でもサービス部門の個人消費は同
1.1%と12年基準で7年連続の上昇となり、昨年に引き続き1%を超える伸びとなった。ま
た、財部門の消費は同 1.2%と3年連続の上昇となった(第Ⅱ−1−11図)。
特徴的な動向としては、16年は対個人サービス業がけん引したが、17年は横ばいを含
め6年連続(12年基準)で低下していた卸売・小売業が、前年比 1.4%と上昇に転じ、サー
ビス部門の上昇に対する寄与率は約3割を占めた。
本稿では、一時期ほどの上昇力はみられないものの、依然高い水準にある情報通信業
と、17年のサービス部門の上昇をけん引した卸売・小売業について、現状及びその要因
を整理する(第Ⅱ−1−4図)。
第Ⅱ−1−11図 全産業供給指数及び国内総支出の個人消費の推移
①前年比
(%)
2.5
②推移(12年=100)
104
103
102
101
100
99
98
97
96
95
94
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
▲0.5
11
12
13
14
15
16 17年
全産業供給指数(個人消費)
GDP(家計最終消費支出(帰属家賃除く))
③前年比、伸び率寄与度
(%)
1.5
全産業
鉱工業
3次産業
3次産業
鉱工業
全産業
1.0
0.5
0.0
▲0.5
10
11
12
13
14
15
16 17年
11
12
13
14
15
16
17年
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「SNA(国民経済計算)」(内閣府)
(1) 情報通信業
情報通信業の個人消費向け供給についてみると、移動電気通信業が15年までほぼ
一貫した増加傾向にあったものの、それ以降は横ばい傾向で推移しており、ほぼ頭打
ち状態となっている。
固定電気通信業は、ADSLが普及し始めた11∼14年の平均前年比は 7.9%と大き
く増加したが、15年は前年比▲3.6%の減少、16年、17年はそれぞれ同 0.7%、同
0.9%とわずかではあるが回復してきている(第Ⅱ−1−12図)。
以下ではその要因などについてみることとする。
- 88 -
第Ⅱ−1−12図 情報通信業からの個人消費向け供給の推移
①指数水準(12年=100)
情報通信業
通信業
固定電気通信業
移動電気通信業
他の情報通信業
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
10
11
12
13
14
15
16
17年
②前年比、伸び率寄与度
(%)
10
移動電気通信業
固定電気通信業
他の情報通信業
情報通信業
8
6
4
2
0
▲2
11
12
13
14
15
16
17年
(注) 細分類は「第3次産業活動指数」と「国際収支統計」から推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「第3次産業活動指数」、「国際収支統計」(日本銀行)
携帯電話の利用状況を、加入者数やその利活用から詳しくみると、加入者数は一貫
した増加となっていたが、17年はほぼ横ばい、世帯保有率も9割を超え、ほぼ飽和状態
にある(第Ⅱ−1−13図)。
年齢階級別に16年の世帯保有率をみると、50 歳代までは9割を超える世帯が携帯
電話を保有しており、40 歳代、50 歳代は1世帯平均 2.4 台保有するなど、多くの世帯
で2台以上保有している。その一方で、60 歳代では世帯保有率 78.4%(うち1台のみ保
有は 36.6%)、70 歳代以上では同 48.5%(うち1台のみ保有は 31.9%)と世帯保有率
が低下する(第Ⅱ−1−14図)。
5年前と比較すると、すべての年齢階級で保有率、所有台数が拡大している。特に、
11年時点で保有率が低かった、60 歳代は 46.1%から 78.4%に、70 歳代以上は
25.0%から 48.5%と大幅に拡大した。
- 89 -
第Ⅱ−1−13図 携帯電話加入数及び世帯保有率の推移
(千台)
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
17年
加入者数
世帯保有率(右目盛)
63 元 2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 年度
末
6
9
月末
資料:「移動電気通信事業加入数の現況」(総務省)、「通信利用動向調査」(総務省)
第Ⅱ−1−14図 年齢階級別携帯電話の世帯保有率及び所有台数(2人以上世帯)
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
(台)
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
30未満
30∼39
16年保有率(1台)
16年所有数量(右目盛)
40∼49
50∼59
16年保有率(2台以上)
11年所有数量(右目盛)
60∼69
0.0
70以上 (年齢)
11年保有率
資料:「全国消費実態調査」(総務省)
また、こうした普及に伴い、世帯における移動電話通信費の年間支出額は、伸びは
鈍化しているものの依然増加傾向にあり、17年は 77,644 円(前年比 4.1%)と、12年
(28,582 円)の 2.7 倍に増加し、消費支出全体に占める割合も、12年の 0.8%から17年
は 2.1%に拡大している(第Ⅱ−1−15図)。
- 90 -
第Ⅱ−1−15図 1世帯当たり移動電話通信費の推移(2人以上世帯)
(円)
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
(%)
2.5
移動電話通信
消費支出に占める割合(右目盛)
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
12
13
14
15
16
17年
資料:「家計調査」(総務省)
その利活用は音声を中心としているものの、メール、ウェブなどインターネット接続に
よるデータ通信が増加するなど多様化している。
データ伝送の売上高をみると、11年度まではほとんど売上がなく音声伝送が中心で
あったが、12年度、13年度に約 4,000 億円程度となり、14年度には 7,500 億円まで増
加している。なお、15年度は法改正により集計範囲が14年度以前とは異なるため直接
比較はできないが、データ伝送の売上が1兆円を超え、売上の2割を占めるに至った
(第Ⅱ−1−16図)。
また、モバイルコンテンツ関連の市場規模をみると増加を続けており、16年はゲーム
が 大 き く 増 加 し た ほ か 、 1 4 年か ら 登 場 し た 着 う た が 、 16 年 は 201 億 円 ( 前 年 比
617.9%)に増加している(第Ⅱ−1−17図)。
さらに、今後の利活用としては、骨伝導など身体的弱者も使いやすい機能、位置情
報システムなど携帯電話保有者の安全性を高める機能などを付加することにより、高齢
者や子供の利便性を高めることが考えられる。
第Ⅱ−1−16図 電気通信業(携帯電話及びPHS)の売上高
(億円)
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
携帯電話・PHS(データ)
携帯電話・PHS(音声)
10
11
12
(注)14年度までは第一種電気通信事業の結果
資料:「通信産業基本調査」(総務省)
- 91 -
13
14
15年度
第Ⅱ−1−17図 モバイルコンテンツ関連市場規模の推移
(億円)
3000
その他
ゲーム
着うた
着メロ
2500
2000
1500
1000
500
0
12
13
14
15
16年
資料:「モバイルコンテンツ関連市場規模」
((財)マルチメディア振興センター/モバイル・コンテンツ・フォーラム)
携帯電話の買い替えサイクルについて消費動向調査でみると、携帯電話の買い替え
時における平均使用年数は 2.4 年(おおむね10期)となっている。
また、鉱工業出荷指数の推移をみると、携帯電話の普及が近年であるため、十分な
時系列データが揃っているとはいえないものの、前々回のピーク(12年10∼12月期、
指数水準 110.7)と前回のピーク(15年7∼9月期、指数水準 110.0)では11四半期の
間があり、同様の間隔で循環すると仮定すると、前回の出荷のピークから9四半期が経
過した現在、そろそろ買換時期にあるといえる(第Ⅱ−1−18図)。
前々回のピーク前には、携帯電話によるインターネット接続サービスの開始や画面の
カラー化などがあり、前回のピーク前にはカメラ付携帯電話の普及などがあった。18年
も番号ポータビリティの導入、携帯電話・移動体向け地上デジタルテレビジョン放送(ワ
ンセグ放送)の開始などがあり、今後の増加が期待できる。
第Ⅱ−1−18図 携帯電話の出荷水準の推移(12年=100、季節調整済)
115
105
95
85
75
11期
65
11期
55
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ
└ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘ └ 14 年 ┘ └ 15 年 ┘ └ 16 年 ┘ └ 17 年 ┘ └ 18 年 ┘
資料:「鉱工業出荷指数」
- 92 -
(2) 卸売・小売業
卸売・小売業からの個人消費向け供給は、12年基準で集計開始(10年)以降低下
又は、横ばいが続いていたが、17年は上昇に転じた。これは、15年に卸売業が上昇に
転じ、17年は前年比 1.1%と3年連続の上昇となったことに加え、17年は小売業が同
1.3%の上昇に転じたためである(第Ⅱ−1−19図)。
小売業は、家電製品などを販売する機械器具小売業が一貫して上昇、16年以降燃
料小売業(ガソリンスタンドなど)が上昇に転じたことに加え、17年はその他の小売業が
大きく上昇したほか、低下した業種が少なかったことが特徴として挙げられる(第Ⅱ−1
−20図)。
第Ⅱ−1−19図 卸売・小売業からの個人消費向け供給
①指数水準(12年=100)
②前年比、伸び率寄与度
110
(%)
2
1
0
▲1
▲2
▲3
▲4
▲5
▲6
▲7
卸売・小売業
卸売業
小売業
105
100
95
90
10
11
12
13
14
15
16
17年
小売業
卸売業
卸売・小売業
10
11
12
13
14
15
16
17年
(注) 細分類は「第3次産業活動指数」と「国際収支統計」から推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「第3次産業活動指数」、「国際収支統計」(日本銀行)
第Ⅱ−1−20図 小売業からの個人消費向け供給
①指数水準(12年=100)
115
150
110
140
105
130
120
100
110
95
100
90
90
85
80
80
70
10
11
12
13
14
15
16
- 93 -
17年
小売業
各種商品小売業
織物・衣服・身の回り品小売業
飲食料品小売業
自動車小売業
燃料小売業
その他の小売業
機械器具小売業(右目盛)
②前年比、伸び率寄与度
(%)
2
1
0
▲1
▲2
▲3
11
12
13
14
15
16
17年
その他の小売業
燃料小売業
機械器具小売業
自動車小売業
飲食料品小売業
織物・衣服・身の回り品小売業
各種商品小売業
小売業
(注) 細分類は「第3次産業活動指数」と「国際収支統計」から推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「第3次産業活動指数」、「国際収支統計」(日本銀行)
機械器具小売業と燃料小売業について、どのような商品(財)が上昇したのかをみる
ため、鉱工業の個人消費向け品目を財・用途別に寄与度をみた。
15年は教養・娯楽用耐久消費財、16年は乗用車・二輪車が上昇に大きく寄与した。
17年は突出して上昇に寄与した財は無く、様々な財が上昇に寄与した。そのような
中で、比較的寄与が大きかった教養・娯楽用耐久消費財、乗用車・二輪車、教養・娯楽
用非耐久消費財、家事用非耐久消費財の4財について、その動向をみる(第Ⅱ−1−2
1図)。
第Ⅱ−1−21図 個人消費向け(消費財)供給の伸び率と用途別寄与度
(%)
4
(非耐久財)飲食料品
(非耐久財)被服・履き物
(非耐久財)教養・娯楽用
(非耐久財)家事用
(耐久財)乗用車・二輪車
(耐久財)教養・娯楽用
(耐久財)家具・装備品用
(耐久財)冷暖房用
(耐久財)家事用
鉱工業
3
2
1
0
▲1
▲2
▲3
11
12
13
14
15
16
17年
(注) 細分類は「鉱工業指数」と「貿易統計」から推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「鉱工業指数」、「貿易統計」(財務省)
- 94 -
①
教養・娯楽用耐久消費財の動向
鉱工業から供給された、個人消費向けの教養・娯楽用耐久消費財 18 品目は下表
のとおり。このうち、10年以降の平均前年比が増加となった主要な品目についてみる
(第Ⅱ−1−5表)。
第Ⅱ−1−5表 個人消費向け教養・娯楽用耐久消費財供給の前年比
液晶テレビ
カーナビゲーション
ビデオカメラ
パーソナルコンピュータ
携帯電話
管楽器
DVD−ビデオ
デジタルカメラ
カメラ用交換レンズ
前年比
平均
25.4
23.3
26.6
5.0
4.2
6.2
72.7
46.5
23.2
17年
57.4
19.5
7.5
3.7
1.7
-2.5
-2.4
-18.1
-16.9
電池式ウオッチ(完成品)
電子応用玩具
PHS
電子ピアノ
ピアノ
ビデオテープレコーダ
ヘッドホンステレオ
カラーテレビ
35㎜カメラ
前年比
平均
17年
-1.1
72.4
-3.6
19.8
-15.4
63.0
-3.0
-3.3
-4.2
-1.4
-6.8
-41.8
-9.1
-7.2
-11.3
-9.4
-17.2
-56.2
(注)1.前年比の平均は10年以降の平均値。ただし、DVD−ビデオ(11年集計開始)、デジタルカメ
ラ(12年集計開始)、ヘッドホンステレオ(15年集計開始)は集計開始年以降の平均値
2.教養・娯楽用耐久消費財の平均前年増加率は 8.6%、17年の前年比は 1.6%
3.「鉱工業指数」と「貿易統計」(財務省)からの推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「鉱工業指数」、「貿易統計」(財務省)
携帯電話は、11年、12年と大きく増加したが、それ以降は、カメラ付携帯電話が普
及し始めた15年に増加したものの、16年は減少、17年は微増となっている。
パーソナルコンピュータは、ITバブルといわれた11年、12年に大きく増加したが、
その後の2年間は減少、15年以降再び増加が続いている。
新三種の神器といわれたデジタルカメラ、DVD−ビデオ、液晶テレビは、大きく増
加しており、13年から16年にデジタルカメラが増加、普及率も 46.2%(「消費動向調
査」(内閣府)17年3月)と約半数の世帯が保有するに至った。
しかし、好調であったデジタルカメラは17年には減少となり、代わって17年は液晶
テレビが増加した。液晶テレビの市場規模は小さいものであったが、12年以降上昇を
続け、15年以降は前年比 50%前後で増加を続けている。この要因には低価格化が
進み、購入しやすくなったことが挙げられる。また、今後、地上波デジタル放送地域が
順次拡大され、23年にはアナログ放送が停止すること、薄型テレビの世帯普及率が1
7年時点で 11.5%と低いことや、18年6月のサッカーワールドカップなどのイベントも
あり、引き続き増加する可能性があると思われる。
DVD−ビデオも、13年から16年に大きく増加したが、17年には減少となった。こ
れは、DVDの普及率が約5割とひととおり普及したこと、地上波デジタル放送の開始
- 95 -
や次世代DVDの発売が近いことから購入を控えているとも考えられる(第Ⅱ−1−22
図、第Ⅱ−1−23図)。
第Ⅱ−1−22図 教養・娯楽用耐久消費財の個人消費向け供給の推移
① 指数水準(12年=100)
350
900
300
800
教養・娯楽用耐久消費財
携帯電話
ビデオカメラ
カーナビゲーション
パーソナルコンピュータ
カメラ用交換レンズ
液晶テレビ(右目盛)
DVD−ビデオ(右目盛)
デジタルカメラ(右目盛)
700
250
600
200
500
150
400
300
100
200
50
100
0
0
10
11
12
13
14
15
16
17年
②前年比、伸び率寄与度
(%)
25
カメラ用交換レンズ
パーソナルコンピュータ
カーナビゲーション
デジタルカメラ
ビデオカメラ
DVD−ビデオ
液晶テレビ
携帯電話
教養・娯楽用耐久消費財
20
15
10
5
0
▲5
▲10
11
12
13
14
15
16
17年
(注) 細分類は「鉱工業指数」と「貿易統計」から推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「鉱工業指数」、「貿易統計」(財務省)
第Ⅱ−1−23図 液晶テレビ及びDVD−ビデオの出荷の推移
(12年=100、季節調整済)
800
80
700
9/16 オリンピック
8/13 オリンピック
60
600
5/31 サッカーW杯
40
500
400
20
300
0
200
▲20
100
▲40
0
Ⅰ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ ⅣⅠ ⅡⅢ Ⅳ
└ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘ └ 14 年 ┘ └ 15 年 ┘ └ 16 年 ┘ └ 17 年 ┘
液晶テレビ
資料:「鉱工業指数」
- 96 -
ⅠⅡ Ⅲ ⅣⅠ ⅡⅢ Ⅳ ⅠⅡ ⅢⅣ Ⅰ ⅡⅢ Ⅳ ⅠⅡ ⅢⅣ Ⅰ ⅡⅢ ⅣⅠ Ⅱ ⅢⅣ
└ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘ └ 14 年 ┘ └ 15 年 ┘ └ 16 年 ┘ └ 17 年 ┘
DVD−ビデオ
②
乗用車・二輪車の動向
10年以降の動向をみると、普通乗用車はおおむね増加傾向、小型乗用車は減少
傾向にあるが、17年は普通、小型とも乗用車はほぼ横ばいとなり、代わって二輪自動
車、特に 125cc 以下の小型のものが増加している(第Ⅱ−1−24図)。
これは、17年4月1日から高速道路での二輪車二人乗りが可能になったことや、17
年6月1日からオートマチック限定二輪免許が導入され、二輪免許が取りやすくなった
ことなどが影響しているものと思われる。
第Ⅱ−1−24図 乗用車・二輪車の個人消費向け供給の推移
①指数水準(12年=100)
二輪自動車
高速道路2人乗り解禁
AT限定免許導入
140
130
180
170
160
150
140
130
120
110
100
90
80
120
110
100
90
80
70
10
11
12
13
14
15
16
乗用車・二輪車
軽乗用車
小型乗用車
普通乗用車
二輪自動車(125ml超)
二輪自動車(125ml以下)
(右目盛)
17年
②前年比、伸び率寄与度
(%)
二輪自動車(125ml超)
5
4
3
2
1
0
▲1
▲2
▲3
▲4
▲5
二輪自動車(125ml以下)
普通乗用車
小型乗用車
軽乗用車
乗用車・二輪車
11
12
13
14
15
16
17年
(注) 細分類は「鉱工業指数」と「貿易統計」から推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「鉱工業指数」、「貿易統計」(財務省)
- 97 -
③
教養・娯楽用非耐久消費財の動向
17年の教養・娯楽用非耐久消費財は、ガソリン、電子応用玩具が上昇に大きく寄
与した(第Ⅱ−1−25図)。
電子応用玩具は、16年に携帯用ゲーム機が2機種発売され、17年からインター
ネット接続機能や動画配信も開始され、それらの影響もあって17年に大きく増加した
ものと思われる。
第Ⅱ−1−25図 教養・娯楽用非耐久消費財の個人消費向け供給の推移
①指数水準(12年=100)
180
120
160
110
140
120
100
100
90
80
60
80
40
70
20
60
教養・娯楽用非耐久消費財
カラーロールフィルム
ガソリン
シャープペンシル
ボールペン
マーキングペン
電子応用玩具
磁気テープ(右目盛)
0
10
11
12
13
14
15
16
17年
②前年比、伸び率寄与度
(%)
3
電子応用玩具
マーキングペン
ボールペン
シャープペンシル
ガソリン
カラーロールフィルム
磁気テープ
教養・娯楽用非耐久消費財
2
1
0
▲1
▲2
▲3
▲4
11
12
13
14
15
16
17年
(注)1.細分類は「鉱工業指数」と「貿易統計」から推計
2.教養・娯楽用非耐久消費財はたばこを除いた値
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「鉱工業指数」、「貿易統計」(財務省)
- 98 -
④
家事用非耐久消費財の動向
家事用非耐久消費財は、化粧品が上昇をけん引することが多く、17年は化粧品に
加え、灯油が家事用非耐久消費財の上昇に寄与している(第Ⅱ−1−26図)。
これは、16年は平年より気温が高かったことから、世帯における年間消費量は 280
リットルと平年注1)(311 リットル)より少なかったことに加え、17年は2月から3月及び12
月に平年より気温が低く、暖房用に灯油の消費量(318 リットル)が増えたためと推測
される(第Ⅱ−1−27図)。
なお、灯油は気温と逆相関の関係にあり、特に寒冷期 注2)に強い相関がみられる。
一方、教養・娯楽用非耐久消費財であるガソリンは気温との相関はみられない(第Ⅱ
−1−6表)。
第Ⅱ−1−26図 家事用非耐久消費財の個人消費向け供給の推移
①指数水準(12年=100)
125
120
115
110
105
100
95
90
85
80
75
70
家事用非耐久財(除く医薬品)
合成洗剤・柔軟仕上剤
灯油
日用品・雑貨プラスチック製品
衛生用紙
食器等
化粧品
電池
浴用石鹸等
10
11
12
13
14
15
16
17年
②前年比、伸び率寄与度
(%)
5
4
3
2
1
0
▲1
▲2
▲3
浴用石鹸等
電池
化粧品
食器等
衛生用紙
日用品・雑貨プラスチック製品
灯油
合成洗剤・柔軟仕上剤
家事用非耐久財(除く医薬品)
11
12
13
14
15
16
17年
(注)細分類は「鉱工業指数」と「貿易統計」から推計
資料:「全産業供給指数」(試算値)、「鉱工業指数」、「貿易統計」(財務省)
注1) 灯油、ガソリンの平年値は10年から17年の平均。気温の平年値は昭和46年から平成12年の
平均。
注2) 温暖期は5月から10月、寒冷期は11月から4月と定義。
- 99 -
第Ⅱ−1−27図 灯油、ガソリンの世帯消費と気温の推移(平年差)
(ℓ)
8
6
4
2
0
▲2
▲4
▲6
▲8
▲10
▲12
灯油消費
ガソリン消費
気温(右目盛)
(℃)
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
▲0.5
▲1.0
▲1.5
▲2.0
▲2.5
▲3.0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
16年
17年
資料:「家計調査」(総務省)、「日本の年平均地上気温の平年差」(気象庁)
第Ⅱ−1−6表 気温と灯油、ガソリン消費量(平年差)の相関係数
全期間
灯油
ガソリン
-0.610
-0.131
温暖期
-0.239
0.070
寒冷期
-0.801
-0.133
(注)10年∼17年のデータで相関係数を計算
以上のことから、17年は液晶テレビなどのデジタル家電が機械器具小売業を、冬季
の気温が低めであったことから灯油の販売が燃料小売業の上昇に寄与したと思われる。
今後の消費の先行きを消費動向調査でみると、消費者が耐久消費財を購入しようと
する意識は、10年以降最も高くなっている(第Ⅱ−1−28図)。
携帯電話も前回の出荷のピーク(15年7∼9月期)から9四半期が経過していることや、
18年から番号ポータビリティの導入が予定されていこと、また、4月からは携帯電話等向
けデジタルテレビ放送(ワンセグ放送)が開始されることから、これと連動したサービスも
開始されると予想され、ワンセグ放送受信機能付携帯電話など高機能な機種への買い
替えに期待したい。
第Ⅱ−1−28図 耐久消費財の買い時判断指標と耐久消費財出荷(季節調整済)
52
50
耐久消費財の買い時判断
鉱工業出荷(耐久消費財)(右目盛)
48
46
44
42
40
38
ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ
└ 10 年 ┘ └ 11 年 ┘ └ 12 年 ┘ └ 13 年 ┘ └ 14 年 ┘ └ 15 年 ┘ └ 16 年 ┘ └ 17 年 ┘
(注) 鉱工業出荷は12年を 100 とした指数
資料:「消費動向調査」(内閣府)、「鉱工業指数」
- 100 -
110
108
106
104
102
100
98
96
94
92
90
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