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Downstream No.38-03 (日本語版) PDF: 928KB
Downstream 38 1981 年、マケドニアのスコピ エにある輸血研究所(Institute of Transfusion Medicine) は ア Olga Todorovska 助教授(左) と Kocho Dimitrovski 助教授 Olga Todorovska 氏はヘルシンキ のフィンランド赤十字在籍中に 血漿タンパク質をクロマトグラ フィーで精製する方法を初めて 知りました。彼女はイオン交換ク ロマトグラフィーとゲルろ過に より 5 % ヒトアルブミンを生産 するスコピエ工場の設立に貢献 しました。 ルブミン生産の目的でクロマト グラフィーを導入した 2 番目の 施設となりました。本誌はこの 研究所を訪ね、この方法による 経験と現在直面している問題に ついて伺いました。 マケドニア・スコピエでの クロマトグラフィーによるアルブミン製造 ─実績ある確実な製造方法 ク ロマトグラフィーを使ったアルブミンの製造は 1980 年に南アフリカで最初に導入されました。Curling、 Berglof、Lindquist、Eriksson が 1977 年に開発した クロマトグラフィー法でアルブミンを製造する 2 番目の施設 は、1981 年にマケドニアのスコピエに設立されました。現在 の標準的な施設に比べるとこの施設は小規模で、年間の生産量 は血漿約 10,000 リットル、アルブミン 250 kg です。先日、本 誌は当施設を訪問し、2004 年に直面した問題について伺いま した。マケドニアの首都スコピエの主要地域病院に属する輸血 研究所内に血漿分画施設があります。免疫学助教授の Kocho Dimitrovski 氏は当研究所の所長であり、輸血学助教授の Olga Todorovska 氏はアルブミン生産施設を管理しています。この アルブミン生産施設の立ち上げに携わった 4 名のうち、Olga Todorovska 氏はフィンランド赤十字(フィンランド、ヘルシ ンキ)で第 IX 因子の生産を目的としたヒト血漿のクロマトグラ 供給量が非常に少ないという意味ですか ? 「当研究所では 200 万人に献血の協力をお願いしています。赤 十字の協力により献血促進活動を開始し、献血の必要性につい ての情報を少数言語に翻訳したり、人々に教育を行ったりして きました。この地域では民族的な伝統が献血にも影響していま すが、われわれの取り組みが功を奏し、貯血量は 1990 年以前 のレベルに近づいています。」 どのような検査を行っていますか ? 「すべての血液に対して HIV、HBV、HCV、梅毒の ELISA 検査を 行っています。当研究所では最新の ELISA 検査をいち早く導入 し、2 週間から 1 ヶ月半程度の短期間で抗原や抗体の検査を行 います。検査後、血液を遠心分離で血漿と血小板に分離し、血 漿を冷凍保存します。」 フィー精製を研究していました。 当研究所は 1947 年に開設され、1980 年以降は国立輸血セン 血漿からその他のタンパク質を分離していますか ? ターとして国内の全輸血施設の監督とスタッフの指導を行って 「当施設ではアルブミンの精製のみ行っており、それ以外の成 います。本誌は Todorovska 助教授と Dimitrovski 助教授に会 分は廃棄物とみなしています。Curling らが開発した方法に従っ うために当研究所を訪問しました。 て、一貫して高純度のアルブミンを生産しています。当施設か ら臨床向けに出荷したアルブミンに関する副作用の報告は年 ここで供給している血液はどこで採取したものです か? 「血液はすべてマケドニア在住者から採取しています。ドナー 間 20 件未満と少なく、ウイルス感染疾患の報告は 1 件もあり ません。当施設ではきわめて安全性の高い原料を使用していま す。」 は完全にボランティアです。年間約 60,000 単位の全血を採取 しています。1991 年以前は工場労働者から定期的に採血し、 南セルビアの兵士から採取した血漿と引き換えにアルブミンを 入手していました。しかし、1990 年代の初めにそれがすべて 停止されました。現在は、工場の多くが閉鎖され、近隣国から の血液の供給はありません。」 16 HIV= ヒト免疫不全ウイルス、HBV=B 型肝炎ウイルス、HCV=C 型肝炎ウイルス Downstream 38 アルブミンの精製プロセスについて簡単に教えてく ださい。 表 1. 輸血研究所(マケドニア・スコピエ)での 5 % ヒトアルブミン生 産量 年 「アルブミンの精製は 4 段階のクロマトグラフィープロセスで 1998 1999 2000 2001 2002 構成されています。原料は当研究所が供給している血漿です。 1 ロットは遠心分離による前処理済みの血漿 50 L で、適切な 緩衝系へ移した後、Sephadex G-25 Coarse カラムでゲルろ過 します。最初の精製段階は DEAE Sepharose CL-6B 陰イオン 交換カラムによるイオン交換クロマトグラフィーで、カラム にアルブミンを結合させます。その後、アルブミンを酢酸ナ トリウム緩衝液(pH 4.5)で溶出します。次の精製段階は CM Sepharose CL-6B 陽イオン交換カラムで行います。最終段階は Sephacryl 5-200 HR カラムでのゲルろ過です。最終精製物を 60℃で 10 時間低温殺菌し、室温で 1 ヶ月間隔離します。」 250mL 本数 2,743 1,784 2,270 1,644 1,739 HAS g/ 人口 1000 人 17.14 10.36 15.3 10.27 10.86 製品の純度が 98 % 以上、 タンパク質含量が 50.33 g/L、 5 年間の製品を分析した結果、 無菌性、HBC、抗 HIV、抗 HBC に関してウイルスフリーと確認されました。 タンパク質の純度 Total protein content Stability Biological safety > 98 % 50.33 ± 0.83 g/L Monomeric content 98.79 % Non-pyrogenic, sterile, virus-free 100 %: HBV, anti-HIV, anti-HBC 平均的な生産量は ? かったため、プラントの生産量はかなり低い状態でした。現在、 現在、この施設は岐路に立っていますが、今後の進 路は ? 当施設では年間 40 ∼ 50 ロット、週平均 1 ロットの処理を行っ 「当施設が直面している問題は、開設当初から同じ装置(KS370 「1980 年代の初めに生産を始めた頃は、血漿の供給量が少な ています。1 ロットから 5 % アルブミン 250 ml が約 100 本、 カラム、別名スタックカラム、初期の BioProcess システム) 約 1,250 g のアルブミンを生産しています。」 でアルブミンを生産しており、寿命を迎えた装置で最大限の生 産量を達成してきたことです。設備を新しくして生産能力を高 何かプロセスにまつわる問題を経験したことはあり ますか ? そのためにプロセスの変更を余儀なくされ たことはありますか ? め、生産量を向上する必要があります。骨髄移植や心臓手術が 「立ち上げ当初に問題がありました。水の精製に使っていた逆 クロマトグラフィー精製はきわめて効率的な方法で、良好な成 浸透フィルターがすぐに目詰まりを起こしたのです。当施設の 果が得られます。20 年の経験で多くの知識とノウハウを積み 水道水の質が原因でした。しかし、当施設では輸液用の蒸留水 重ねてきましたが、われわれの目標は当施設をバルカン諸国の を精製していたので、こちらの水に切り換えました。その後は 血漿分画センターにすることです。しかし、この夢を達成する 特に問題ありません。」 には、新たな設備を購入し、職員を訓練するための資金が必要 増えているため、血液や血漿、骨髄移植に使用する血小板など の成分の必要性が高まっています。 です。」 どのような品質管理方法を採用していますか ? 「ヨーロッパ薬局方に準じています。当研究所には研究所内の 運命を将来に託して 品質管理基準と対外的な品質管理基準があります。例えば、発 センターの閉鎖、ノウハウの損失、コストのかかるアルブミン 熱性試験としてウサギによる試験と LAL 試薬による試験を行 や他の血液製剤の輸入というように、当研究所の進むもうひと なっています。年 1 回、規制当局による査察があります。」 つの道は、決して喜ばしい道であるとはいえません。当研究所 はこれまで当局や関連機関に働きかけてきましたが、その運命 2003 年 4 月、キュラソー島で開催された Plasma Product Biotechnology 学会で公表されたデータの 意義は ? 「われわれが使える原料には限りがあり、旧式の装置で生産し ているにもかかわらず、当施設の生産方法の力強さと、優れた 信頼性と安全性を証明する記録を示したかったのです。プレゼ はまだ決まっていません。 関連文献 学会発表ポスター(2003 年 4 月キュラソー、Plasma Product Biotechnology 学会) ンテーションでは、5 年間(1998 ∼ 2002 年)の 5 % アルブ ミンの生産について説明しました。その 5 年間には、臨床向け に 94 ロット、1 ロットあたり平均 101.77 本(250 mL)を出 荷しました。」 臨床で何らかの副作用が生じたことはありますか ? 「副作用は報告されていますが、比較的軽度の副作用です。5 年間で約 1.8 % のロットに何らかの副作用が生じていました。 39℃を超える発熱が 9 例報告されています。」 17 Downstream 38 Meeting announcement 第 4 回 Plasma Product Biotechnology Meeting 2005 終 了 し ま し た (血漿製剤バイオテクノロジー学会)への招待 2005 年 5 月 9 日 ~12 日 ギリシャ・クレタ島、ポルト・エルンダホテル 過去 3 回の学会の伝統を引き継ぎ、PPB 2005 では、話し合いや議論、意見交換の機会が公平かつ十分に与えら れるこのアットホームな集まりに、経験の有無によらずみなさまにお集まり頂きたいと考えています。 過去の学会と同様、会長は、参加者が優先順位をつけたテーマにもとづいて各メインセッションを展開します。 以下のセッションでは、初期の回収段階から認可された血漿製剤の生産段階にいたる経路にまつわる主要なテー マを扱う予定です。 口頭発表の要約提出期限 ─ 2005 年 1 月 21 日 ポスター発表の要約提出期限 ─ 2005 年 4 月 10 日 プログラムの進行に関してはウェブサイトをご覧ください。 基調講演 Graham D. Sher 氏、Canadian Blood Services 社(カナダ・オタワ) 血漿タンパク質製剤の道程と今後 特別講演 プロトコールの比較可能性・FDA の観点と経験 特別講演 TSE と医薬品・EU の規制面 Andrew Chang 氏、FDA 生物製剤評価センター血液研究審査部 (米国・ロックヴィル) Sol Ruiz 氏、スペイン医薬品庁(スペイン・マドリッド) セッション 代表 製品開発と最新テクノロジー リコンビナント血漿タンパク質 製造 病原体にまつわる安全性の問題 超免疫技術と注射用 IgG 血漿製剤の応用と臨床開発 Jan Over、Sanquin and Blood Supply 社(オランダ) Joe Bertolini、CSL 社(オーストラリア) Johan Vandersande、Baxter 社(米国・ロサンゼルス) Bernard Horowitz、Bernard Horowitz Consulting 社(米国・ニューヨーク) Wytold Lebing、Bayer 社(米国・ノースキャロライナ) Hubert Heinrichs、ZLB Behring 社(ドイツ・マールブルク) 学会に関する詳細と最新情報については www.bo-conf.com/ppb05 をご覧ください。 18 Downstream 38 2004 年 11 月 8 日、 プロテインセパレーション事業部 (スウェーデン, ウプサラ) 研究開発部副社長兼プロダクトマネージャー Nigel Darby が 新しい BioProcess センターを公開しました。 BioProcess センターの新設 B ioProcess センターは、バイオ 建物の内部には 2,000 平方メートルの作 医薬品の臨床試験段階から製造 業区域があります。1 階の大ホールは有 に至るまでの開発や各種試験、 効高 7 m で床の耐重量は 1 平方メート 性能評価、使用製品の至適化といった支 ルあたり 12 トン、吊上荷重 10 トンま 援を目的としてつくられた施設です。ま でのオーバーヘッドクレーンが設置され た、顧客との共同作業、共同研究を行う ています。このホールでは、プロセスの ための最新設備が整えられています。 各段階、特にカラムの充填などの作業を 評価、最適化するために、製造プロセス を再現することができます。2 階にはパ イロットスケールのダウンストリームプ ロセス用ホールと発酵室があります。そ の他、逆相クロマトグラフィーやオリゴ ヌクレオチド合成を 行うための低温室や スについての知識を深めるためにウプサ 防爆室があります。 ラ工場を訪れた際、当センターにも足を 運びました。 完成前に、ゼネラル・ エレクトリックカの 会 長 兼 CEO で あ る Jeffery Immelt がタ ンパク質分離ビジネ 19 Downstream 38 遺伝子療法とは、何らかの望ましい治療効果を得るために、ヒト細胞へ DNA を導入する治療法です。細胞に DNA を導 入するには、直接接種する方法とウイルスベクターを利用する方法があります。ウイルス感染や有害な免疫反応の危険 性がきわめて小さいという理由で、プラスミド DNA が多く使われています。治療の目的で使用する場合、高純度のプ ラスミド DNA を使用する必要があります。 高純度 プラスミドDNA の プロセス・ プロトコールを スケールアップ 1 990 年代の初めから、DNA を治療薬として利用するた めの研究が進み、その方法や技術が改良されるにした がって、遺伝子療法に対する関心がますます高まりま した。血友病の一種や X 連鎖性重症複合免疫不全症(X-SCID) の治療での当初の成功は、世界中の研究者たちの励みになりま デスクトップからパイロットスケールへ デスクトップで 3 段階精製プロトコールを開発し、カラムの径 を大きくする方法でパイロットスケールへ移行しました(図 1)。 プロセスは以下のとおりです。 した。現在、ガンや HIV、血友病、嚢胞性線維症などさまざま 高コピー数プラスミド(pUC 19 由来、pNGVL-3-VEGF、4,583 な疾患の治療を対象として遺伝子による単独療法および従来の bp)を E. coli で培養しました。E. coli を回収してアルカリ溶解 治療法との併用療法の有効性を評価する臨床試験が 100 件以上 し、ライセートを遠心分離して上清を採取しました。 実施されています。 第 1 段階でグループ分画による混入 RNA の除去とバッファー 遺伝子療法とは、何らかの望ましい治療効果を得るために、ヒ 交換を行い、第 2 段階ではチオフィリック相互作用クロマトグ ト細胞へ DNA を導入する治療法です。DNA を導入するには、 ラフィーにより、共有結合で閉環した(ccc)スーパーコイル 標的細胞へ直接導入する方法と(DNA 接種)、ウイルスベクター プラスミド DNA を開環状プラスミド DNA と選択的に分離し、 を利用して導入する方法があります。現在、遺伝子伝達手段に 最終段階では陰イオン交換クロマトグラフィーによるエンドト 選ばれるのはウイルスベクターですが、ウイルスを直接導入す キシンの除去と最終精製を行いました。 る方法が選ばれないのには、それなりの理由があります。 ラボスケールでは、アルカリ溶解液上清を XK 50/30 にパッキ 2003 年初めに X-SCID の臨床試験に参加した小児 11 名のうち 2 名が白血病様疾患を発症し、うち 1 名は初期療法に使用した ングした Sepharose 6 FastFlow で分離し、RNA を除去しまし レトロウイルスベクターが原因であることが分かりました。レ ングした PlasmidSelect を使って粗精製しました。ccc プラス トロウイルスを使用する臨床試験はいずれも暫定的に中止さ ミド DNA を XK 16/20 にパッキングした SOURCE 30Q により れ、プラスミド DNA を利用する方法など、その他の導入方法 最終精製しました。いずれのクロマトグラフィーステップも による遺伝子療法が重視されるようになりました。 ÄKTApurifier 100 システムで行いました。 ウイルス感染や有害な免疫反応の危険性がきわめて小さいとい パイロットスケールでは、アルカリ溶解液上清をホローファイ う理由で、プラスミド DNA が多く使われています。しかし、 バー限外ろ過カートリッジ(分画分子量 100,000、1,400 cm2) 細胞への導入効果が低いので、治療に大量のプラスミドを使用 で流速 13 L/m2/h、膜間差圧(TMP)0.88 bar(13 psi)にて 5 する必要があります。プラスミド DNA による治療法の成功には、 倍に濃縮しました。溶解液(10 L 細胞ペースト 480 g を含む) 高純度プラスミド DNA の大量生産が不可欠です。 を 2 等分し、いずれも BPG 100 にパッキングした Sepharose た。プラスミド DNA 含有分画を採取し、XK 16/20 にパッキ 6 FastFlow で分離し、RNA を除去しました。 20 Downstream 38 Sepharose 6 FastFlow で群分離後の plasmid DNA プラスミド DNAafter group separation on Sepharose 6 Fast Flow カラム: PlasmidSelect 担体、FineLINE 70 カラム、 Column: Plasmid Select, FineLINE 70, ベッド高 14 cm(カラム容量 =566 mL) 14 cm bed height (CV = 566 ml) バッファー A:2M(NH4) SO4、10 mM EDTA、 Buffer A: 2 M (NH24) 2 SO 4, 10 mM EDTA, 、 100 mM Tris-HCl 100 mM Tris-HCI,pH pH 7.0 7.0 バッファー 、2M MM NaCl NH4)) 2SO4、 Buffer B: B:1.41.4 NaCl, 2 M((NH 4 2 SO 4, 、100 1010 mM EDTA pH7.0 7.0 mM EDTA, 100mM mM Tris-HCl Tris-HCI,、pH 線流速: 120 cm/h Flow velocity: 120 cm/h サンプル: アルカリ溶解液上清 カラム: Sepharose 6 FastFlow 担体、 Sample: clarified alkaline lysate 33 cm BPG 100 カラム、ベッド高 Column: (カラム容量 Sepharose =2,592mL 6 Fast Flow, ) BPG 100, 33 cm bed height (CV = 2592 ml) バッファー: 2M(NH4) 2SO4、10 mM EDTA、 Buffer: 2 M (NH 4) 2 SO 4, 10 mM EDTA, 、pH 7.0 100 mM Tris-HCl 100 mM Tris-HCI, pH 7.0 線流速: 30 cm/h Flow velocity: 30 cm/h A260 (mAU) サンプル: Sample: mS/cm 6,000 5,000 RNA 4,000 3,000 A260 (mAU) 2,000 100 1,500 0 500 ccc pDNA 150 100 50 oc pDNA 0 0 0 200 1,000 50 1,000 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 mS/cm 4,000 2,500 pDNA 2,000 A260 (mAU) mS/cm 200 150 PlasmidSelect で粗精製後のスーパー supercoiled plasmid DNA after コイルプラスミド DNA Plasmid Select カラム: SOURCE 30Q 担体、FineLINE 35 カラム、 Column: SOURCE 30Q, FineLINE 35, ベッド高 12 cm(カラム容量 =137 mL) 12 cm bed height (CV = 137 ml) バッファー 、10 M NaCl Buffer A:A:0.4 0.4M NaCl, 10mM mMEDTA EDTA,、 、pH 100100 mMmM Tris-HCl Tris-HCI, pH7.0 7.0 バッファー 、1010mM 、 NaCl Buffer B:B:1.0M 1.0M NaCl, mMEDTA EDTA, 、pH 100100 mMmM Tris-HCl Tris-HCI, pH7.0 7.0 線流速: 120120 cm/h Flow velocity: cm/h サンプル: Sample: 0 0 2,000 4,000 6,000 200 3,000 150 2,000 100 1,000 50 0 8,000 ml 0 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 ml 図 1. プラスミド DNA のパイロットスケール精製。(A)Sepharose 6 FastFlow による群分離。(B)PlasmidSelect による粗精製。(C)SOURCE 30Q による最終精製。 プラスミド DNA 含有分画をプールします。プールした分画の 表 2. パイロットスケールでの純度データ 半分は後で使用するために保存しておきました。残る半分の分 最終産物の純度 画から FineLine 70 にパッキングした PlasmidSelect を使って ccc plasmid DNA (%), CGE * 2 ccc plasmid DNA (%), AGE * 3 Plasmid concentration (mg/ml) Endotoxins (E.U./mg plasmid DNA) RNA (µg/mg plasmid DNA) Amount of DNA (µg/mg plasmid DNA) Protein content (µg/ml) スーパーコイルプラスミド DNA を精製しました。DNA の最終 精製には FineLine 35 にパッキングした SOURCE 30Q を使用 しました。上記と同様の限外ろ過法でプラスミドの最終濃縮と バッファー交換を行いました。いずれのクロマトグラフィース テップも ÄKTApurifier 100 システムで行いました。 cGMP 基準を上回る精製 95 99 3.9 0.05 0.02 0.97 <5 *4 * 2 キャピラリーゲル電気泳動 * 3 アガロースゲル電気泳動 * 4 検出限界以下 精製したプラスミド DNA の品質を Plasmid Factory 社(ドイツ・ 結論 ビーレフェルト、www.plasmidfactory.com)にて複数の分析 遺伝子療法や DNA 導入に用いる精製プラスミド DNA の生産は 方法で評価しました。パイロットスケールでの各精製段階後に 測定した収率は表 1 に示したとおりです。最終産物の純度を表 2 に示しました。このデータから、このプロセスで治療用プラ スミドの cGMP 対応生産に求められる基準をいずれも上回る望 ましい収率と純度を得られることが分かります。 比較的容易で、プラスミド DNA 以外の遺伝子療法による健康 上の問題が未解決であることから、高純度プラスミドを大量生 産する必要性が増してくると思われます。上記の精製プロセス はスケールアップやスケールダウンができるロバストなプロセ スで、ベンチトップで開発し、スモールスケールでの高純度プ ラスミド生産に移行できます。 表 1. パイロットスケールでの収率データ 収率 Sepharose 6 Fast Flow * 1 PlasmidSelect (%) SOURCE 30 Q (%) Ultrafi ltration (%) 92 72 98 81 収率は UV 吸光度(A260)にもとづいて求めました。 * 1 限 外 ろ 過 後 の ア ル カ リ 溶 解 液 に お け る プ ラ ス ミ ド DNA の 濃 度 は PicoGreenTM 蛍光アッセイ(Molecular Probes 社)を用いて測定しました。 謝辞 本研究は、スウェーデンのウプサラ大学にて注射用医薬品およ びワクチンの製造認可を取得した cGMP 受託製造施設である GIN Laboratories にて実施しました。 本 稿 は 既 刊 の Life Science News 16 号(Amersham Biosciences 11-0003-48)にも収載されています。 PlasmidSelect に 関 す る 詳 細 な 情 報 は デ ー タ フ ァ イ ル 18-1161-73 を参照してください。 21 Downstream 38 Fast Trak 2005 年度新規セミナー FastTrak セミナーを通じて、GE Healthcare は研究、開発、生産に携わる皆様に学びの場を提供し、 ダウンストリームプロセスのマネジメントをお手伝いします。 Fast Trak のサポートの延長として新規セミナーを開催します。 Introdu Introdu cing cing 膜分離を利用したダウンスト リームプロセス MEM1 抗体分子のダウンストリーム プロセス MAB 1 プラスミド DNA とウイルスベ クターのプロセス開発 GT1 生体分子の精製に利用される膜分離 技術を中心に紹介します。 クロマトグラフィーを利用した抗体 分子のダウンストリームプロセスを 中心に紹介します。 ウイルスベクターやプラスミド DNA を生産スケールで精製するのに適し たクロマトグラフィー技術を紹介し ます。 コースの内容 コースの内容 ・ 膜分離入門、特性と用途 ・ クロスフローろ過の紹介、ホロー ファイバーメンブレンとカセット について ・ 細胞の濃縮/洗浄、細胞不溶分画 の除去、タンパク質の濃縮/ダイ アフィルトレーションなどの用途 に不可欠なプロセス条件 ・ プロセスの最適化、洗浄バリデー ション、スケールアップ ・ 実地演習─ろ過システムのテスト とメンテナンス ・ 抗体入門、構造分類と生産プロセ ス ・ 抗体精製プロセスに汎用される 3 段階精製プロトコールについて ・ 各クロマトグラフィー段階の最適 化 ・ 精製した抗体の純度と機能性を確 認するための分析方法 ・ 抗体精製にまつわるバリデーショ ンと規制関連の問題点について コースの内容 ・ 十分な純度と収率が得られるベク ター生産系の開発 ・ アデノウイルス、アデノ関連ウイ ルス、レトロウイルス、ヘルペス ウイルス、自然に存在する殺腫瘍 ウイルスの精製方法 ・ 遺伝子療法用新規ウイルスのプロ セスデザインに関するガイドライ ン ・ 利用しているプラスミドの精製/ 分析技術の実用性を調べる方法 詳しい情報については www.bioprocess.amershambiosdences.com の Fast Trak ページをご覧ください。 セミナーのお申し込み、お問合せににつきましては、弊社へ直接ご連絡ください。 22 Downstream 38 Fast Trak 2005 年度エキスパートセミナー 変化する環境への対応 ─バイオ製造施設のバリデーション─ 2005 年 2 月 15 日 ペンシルバニア州フィラデルフィア、マリオット・ウェストホテル 2005 年 2 月 17 日 メリーランド州ベセズダ、マリオットホテル はじめに 終 了 し ま し た プログラム ・ PAT など、バリデーションに役立つ最新ツール ■ 新たに浮上しつつある規制関連の問題と最近の解釈 ─ Sandy Weinberg ─ ・ コンプライアンスコストを軽減するためのリスクに もとづいた戦略 ・ 21 CFR Part11 の改訂 ・ バリデーションを段階的に行うための戦略 ・ リスク解析 ・ 費用対効果の高いシステムバリデーション バイオ医薬品分野の新規参入企業も既存企業も、規制当局から の要求に応えるべく奮闘しています。医薬品の安全性を保証す るため、規制当局の勧告は日々改訂され、FDA は最新の技術を 取り入れながらも業界への重圧を考慮すべく、方向や視点を変 えつつあります。これがバイオ製薬企業に混乱と犠牲を招いて います。セミナーでは、変化する環境に効率的に対応するため のツールや知識を紹介します。 ・ CDISC ・ P. A. T. ■ プロセスバリデーションに対するバイオ企業の取り組 みと規制当局の観点(第 1 部) ― Gail Sofer ─ ■ システムバリデーション ― Sandy Weinberg ─ ・ 開発ドキュメンテーション 講師 ・ 試験の実施 GE Healthcare Gail Sofer ・ SOP ・ 変更管理 Sandy Weinberg いずれもバリデーションに関して 40 年以上の経験があります。 目標 ・ システムバリデーションとプロセスバリデーション の知識を習得する ・ バイオ製薬企業に求められる条件を知る ・ 最新の規制解釈と傾向を理解する ・ 監査チェックリスト、SOP、トレースマトリクスツー ルなど、知識の応用に役立つツールについて学ぶ ・ グループセッションで、典型的な企業シナリオを使っ てバリデーションの新たなアプローチを模索する ■ プロセスバリデーションに対するバイオ企業の取り組 みと規制当局の観点(第 2 部) ― Gail Sofer ─ セミナーの対象者 ・ バイオ製薬企業のプロダクション・マネージャー ・ 以下の業務に携わっている方 - 開発プロジェクトの管理 - 規制の遵守 - バリデーション(プロセスバリデーション、洗浄バリデー ション、コンピュータバリデーション) ・ 業界専門家との 1 対 1 の質疑応答で専門的なアドバ イスを得る 詳細な情報とオンライン申し込みに関しては www.expertiseseminar.com をご覧ください。 23 www.jp.amershambiosciences.com e-mail で最新情報をお届けしています。お申込みは上記 URL の ボタンから 取扱店 掲載されている製品は試験研究用以外には使用しないでください。 掲載されている内容は、 予告なく変更される場合がありますのであらかじめご了承ください。 掲載されている社名や製品名は、各社の商標または登録商標です。 この印刷物は、再生紙を使用し大豆インキにて印刷しています。