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ミナミアオカメムシの生態と防除について 形態 生態

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ミナミアオカメムシの生態と防除について 形態 生態
ミナミアオカメムシの生態と防除について
ミナミアオカメムシの発生は、四国では高
知県に限られていましたが、平成 17 年頃か
ら分布域の北上が確認され、平成 20 年には
本県でも発生していることが確認されまし
た。これは地球温暖化により最寒月の平均気
温が上昇したことが一因(大野,2007 など)
と考えられています。
水稲では、成虫とその後に発生する幼虫が、
稲の開花直後から収穫時までの登熟期間を
通じて加害します。穂を吸汁して斑点米を産
水稲での発生状況(10 月上旬)
出する能力は、従来から生息するカメムシの
2倍以上と言われています。本県でも県内全
域で発生が予想され、特に東かがわ市~三木
町及び観音寺市~三豊市のヒノヒカリなど
普通期水稲を中心に斑点米が発生する可能
性があります。
また、大豆では着莢部に寄生し莢内の子実
を吸汁するため、莢は落ちるか肥大せずに緑
色のまま残ることがあります。
大豆での発生状況(10 月下旬)
形態
1)卵、幼虫:卵は80卵ほどの卵塊で、寄主植物の葉裏などに生み付けられます。また、幼虫
は4回脱皮し5齢を経過します。
2)成虫:体長 12~16mmでツヤのない緑色をしています。従来から見られる「アオクサカメ
ムシ」によく似ています。
3)アオクサカメムシとの区別点
ミナミアオカメムシ
項目
アオクサカメムシ
色
ツヤのない緑色
ツヤのない緑色
体型
アオクサカメムシよりやや縦長
側角の先端部がやや尖っている
触角
第3~5節に褐色部がある
第3~5節に黒色部がある
腹部背面
腹部背面(羽の下)が緑色
腹部背面(羽の下)が黒~黒褐色
生態
1)発生生態
越冬成虫は4月上旬から活動を始め、麦、アブラナ科植物、タデ科やイネ科の雑草に飛来して
産卵します。宮崎農試報告によると卵及び幼虫の期間は、25℃で飼育した場合約 33 日で、アオ
クサカメムシの約 39 日(24℃)より早くなっています。成虫の寿命は越冬期で約7ヶ月、夏期
は約 50 日です。また、雌は2~3卵塊で合計 170 個くらい産卵します。
本県で発生量が増加するのは9月下旬~10 月と予想され、これは早期水稲で生まれた第2世
代の成虫が普通期水稲に移動して増殖するためと考えています。
2)寄主植物について
寄主植物はアオクサ
4月
上 下
5月
上 下
6月
上 下
7月
上 下
8月
上 下
9月
上 下
10月
上 下
11月
上 下
越冬世代
カメムシと共通するも
第1世代
のも多いですが、嗜好性
第2世代
には差があり、アオクサ
第3世代
カメムシはマメ科をミ
・・・
第4世代
ナミアオカメムシはイ
・・・
注)
ネ科を好むとされてい
卵、幼虫の期間
成虫の期間
ミナミアオカメムシの世代回数と発生時期(宮崎農試報告から作成)
ます。
また、成虫はイチジク
やビワなどの果実にも
寄生します。
3)越冬について
ミナミアオカメムシ
ミナミアオカメムシの主な寄主植物(桐谷,1970から作成)
作 物 名
分類
イネ科
稲、麦類、アワ、サトウキビ、トウモロコシ
マメ科
大豆、ソラマメ、エンドウ、ササゲ
野菜
ダイコン、オクラ、パセリ、ニンジン、サツマイモ、ナス、トマト、ジャガイモ、スイカ
果樹
イチジク、ビワ、モモ、ミカン、ブドウ、カキ、ウメ、ナシ
花き
ヒマワリ、グラジオラス、ヒオウギ
その他
タバコ、アルファルファ、ソバ、ワタ、ケナフ、ゴマ
は、9月下旬~1月上旬に越冬場所へ
移動し、成虫で越冬します。越冬場所
は枯れたイネ科植物で覆われた地表付
近や落ち葉の間、ハクサイなどの葉の
間、シュロなど常緑樹の葉鞘の内側な
どで、風当たりや温度差が少なく、体
水分の消失を防ぐかその補給ができる
場所です。
シュロでの越冬状況(2月上旬)
防除対策
発生が予想される場合は、水稲の出穂期防除を必ず行いましょう!
出穂期の前後にほ場でミナミアオカメムシの発生を確認した場合は、直ちに防除を実施しまし
ょう。防除薬剤は、ネオニコチノイド系の薬剤(スタークル剤、ダントツ剤等)と有機リン剤(ス
ミチオン剤、バイジット剤等)は有効ですが、合成ピレスロイド剤のMR.ジョーカーは、防除
効果が低いので注意して下さい。また、粒剤はミナミアオカメムシに対して防除効果が低い場合
があります。
なお、収穫後に「ひこばえ」が発生したほ場では、その稲穂で増殖し越冬個体が増えるので、
早めにすき込みましょう。
主な防除薬剤について
薬剤名
平成21年2月13日現在
水 稲
希釈倍数
使用時期/回数
21/3
1000
30/1
1000
スミチオン乳剤
バイジット乳剤
アグロスリン乳剤
2000
トレボン乳剤
2000
Mr.ジョーカーEW
1000
スタークル液剤10
スタークル顆粒水溶剤
3(kg)
スタークル粒剤
5000
ダントツフロアブル
ダントツ水溶剤
1000~2000
キラップフロアブル
注)防除指針に採用の薬剤。
21/3
14/2
7/3
大 豆
希釈倍数
使用時期/回数
21/4
1000
2000
1000
7/3
14/2
2000
7/2
2000~4000
7/3
7/3
14/3
14/2
効果
○
○
○
○
△
○
○
○
○
○
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