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第62回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集 (2015 東海大学 湘南キャンパス)
逆構造型バルクヘテロ接合太陽電池のための塗布型極薄電子取り出し層
と電極界面の電位障壁制御に関する検討
Energy alignment control of ultra-thin electron selective layer/electrode interface for the
inverted bulk-heterojunction solar cells
○
伊東 栄次 1、後藤 慶紀 1、福田 勝利 2 (信州大 1、京大 2)
○
Eiji Itoh1, Yoshinori Goto1 , and Katsutoshi Fukuda2 (1.Shinshu Univ. , 2.Kyoto Univ.)
E-mail: [email protected]
【はじめに】バルクヘテロ接合型(BHJ)太陽電池において、電子と正孔を選択的に取り出すキャリ
ア選択層の役割は大きい。電子選択層(ESL)はアミン系の高分子や炭酸セシウム、酸化チタン、酸
化亜鉛といった薄膜材料の開発が進められているが、酸化チタン等の酸化物の多くは欠陥を形成
し易く Light soaking effect 等の原因となるため、結晶化が一つの課題となる。
酸化チタンナノシート(TN)は 2 次元結晶構造を有しており、水等の極性溶媒に分散可能である
ため低温で高品位な極薄膜を形成できる。これまでに TN を ESL 層に用いた BHJ セルを評価した
ところ 1,2)、特に逆構造型セルは ITO/TN 間の電位障壁が S 字曲線の原因となった。本研究ではダ
イポール層や電気泳動法(ESD)を用いて電位障壁を制御して性能への影響を調べた。
【実験】
2mm 幅にエッチングした ITO 電極上に TN 極薄膜(<5nm)を交互吸着法や電極間距離を 100
μm 程度に小さくして電気泳動法を用いて製膜した。電気泳動法では TN と Tetrabuthylammonium
(TBA)イオンと TN を 1:1 のモル比で水に分散(1~10mmol/l)させて製膜した。交互吸着法では
poly(ethyleneimine) (PEI)や Poly(diallyldimethylammonium chloride) (PDDA) と TN を 1 または 2 分子
層ずつ吸着させて製膜した。TN 上に P3HT と PCBM のクロロベンゼン溶液をスピンコートした
後、窒素中で熱処理を行い、酸化モリブデンと Ag を積層して素子とした。また、ITO と TN 界面
の電位障壁を検討するため Au, ITO, Cr, 及び ITO/PEI 膜上に TN 層を製膜した後、Kelvin 法によ
り界面電位を評価した。測定は全て Ar 雰囲気中にて行った。
【結果】Fig. 1 に各種電極上に ESD により製膜した TN(水分散)層の電極に対する電位と電極の仕
事関数の関係を示す。水分散液から ESD で堆積した TN 極薄膜の電位は電極の仕事関数は直線関
係(傾き 0.9)にあり、TN 極薄膜と電極との間でフェルミ準位が一致するようにバンドベンディン
グが起こっていると考えられる。ITO と TN 間には本来約 0.7eV の障壁があるが、薄い一種の界面
ダイポールにより電子移動がスムーズになると期待される。Fig.2 は ITO 電極上に形成する ESL
用 polymer や TN 層の組み合わせを変えた場合の、電位と太陽電池パラメータの関係を示す。界面
で大きな正の電位を形成するほど性能が向上していることがわかる。詳細は当日報告する。
0.2
Small WF
Large WF
0
+0.55eV
Positively
Charged
(band-bending)
-0.2
TN
Polymer-layer +- +- +- +- +- +- +- +Indium-tin-oxide (ITO)
0.2
4
4.5
4
5
Fig. 1 Relationship between the work-function (WF)
of electrodes and the Surface potential of ESD-TN.
Larger positive dipole
Without ESL
Negatively
Charged
(band-bending)
0
0.2
0.4
1nm
0.6
2
0
Surface potential [V]
Work function [eV]
© 2015年 応用物理学会
6
0.4
-0.05~ -0.1eV
ITO
8
0.6
2
VOC [V], FF
TN
10
JSC [mA/cm ]
Surface potential [V]
1) E. Itoh, Y. Maruyama, and K. Fukuda: Jpn. J. Appl. Phys. 51 (2012) 02BK13.
2) E. Itoh, Y. Maruyama, and K. Fukuda: Jpn. J. Appl. Phys. 52 (2013) 04CK05.
0.6
CB
0.8
4.0 eV
ITO/PEI 3.95 eV
VOC
Cr 4.4 eV
FF
ITO 4.7 eV
Au 4.75 eV
JSC
0.4
Fig. 2 Relationship between the surface potential of the ESL
and the photovoltaic parameters in the inverted devices.
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