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光線空間理論
平成22年度 平成 年度 多次元情報処理 (Multidimensional information processing) 大学院理工学研究科 集積システム専攻 藤井 俊彰 1.導入 (3次元映像・自由視点映像への関心の高まり) 1 1. 導入 近年,3次元映像が注目を集めている? 大越孝敬:三次元画像工学,産業図書, 1972 3D元年 3D関連商品: 2010年、各社から製品化 各社ホームページより 2 情報通信研究機構(NICT)の ホームページより 3次元テレビシステム 3次元映像とは? 2次元映像 3次元映像 撮影:中京TV 3次元:次元が3 !? ex. 3次元画像処理(ボクセル) 3次元CG など • 人間に立体感 立体感を与えることのできる画像 立体感 3 人間の立体感の要因(1/3) 大きさ,遠近法,重なり,陰影,テクスチャ勾配 両眼視差,輻輳,目の焦点調節,運動視差 「3次元映像ハンドブック」 「立体視テクノロジー」:出澤(電気通信大) 人間の立体感の要因(2/3) 大きさ,遠近法,重なり,陰影,テクスチャ勾配 両眼視差,輻輳,目の焦点調節,運動視差 「3次元映像ハンドブック」 「立体視テクノロジー」:出澤(電気通信大) 4 人間の立体感の要因 ・大きさ,遠近法,重なり,陰影,テクスチャ勾配 ・両眼視差,輻輳,目の焦点調節,運動視差 これを満足するものが 3次元映像! 「立体視テクノロジー 」:畑田 様々な3次元映像方式 5 1838年:Wheatstoneの立体鏡 1903年:F.E.Ives パララックス ステレオグラム 6 1908年:M.G.Lippmann インテグラル・フォトグラフィ(IP) 3次元映像の種類 2眼ステレオ法 多眼ステレオ法 ホログラフィ,キノフォーム 体積走査法 レンチキュラ方式,インテグラルフォトグラフィ(IP) 光波面再生法 眼鏡あり:アナグリフ,偏光・液晶シャッタ眼鏡方式 眼鏡なし:パララックスバリア,レンチキュラ方式 移動スクリーン、バリフォーカルミラー,可変焦点法 その他 空間像形成,錯視を用いたもの(DFD) 7 2眼ステレオ法 左右眼に視差のある2つの平面画像を提示 左右像分離方式 要眼鏡 裸眼観察 可能 •アナグリフ(赤青眼鏡) • 偏光眼鏡 • 液晶シャッタ眼鏡 • レンチキュラー方式 偏光眼鏡 • パララックスバリア方式 3D映画の方式 XpanD (液晶シャッター) RealD (円偏光) ○3Dメガネが安い。 ○多少ルーズな姿勢で見てもゴーストが出にくい。 ×偏光板を通る分、少し映像が暗くなる。 Dolby 3D(多層カラーフィルタ) ○映画館は設備投資が安く済む(通常のホワイトスクリーン利用可) ○スクリーンが反射する光に偏りが無いので、席の場所を選ばない。 ×3Dメガネが重い(液晶シャッター機構+バッテリー)、画面が暗い。 ○他の方式に比べ色再現性が高い。色調が豊か。 ×大スクリーンが難しい。 IMAX3D (直線偏光) ○画面が明るい。 ○メガネが軽い ○IMAX3Dを名乗るシアターはそれ全体が3Dのために設計されている。 ×直線偏光のため、首を傾けるだけでゴーストがでる。姿勢をしっかり維持しなければいけない。 8 偏光方式マイクロポール(Xpol)の仕組み レンチキュラ方式の原理 三洋電機 山田(日本工業大) 9 パララックスバリア方式の原理 西田,山本(徳島大) 多眼ステレオ法 多視点画像を提示.運動視差に対応できる. • レンチキュラ方式 • 集束化光源列(FLA) •インテグラル・フォトグラフィー(IP) (蝿の目レンズ板方式) 10 高密度指向性表示 (High-Density Directional 表示、HDD 表示) 高木(東京農工大) ホログラフィーの原理 ホログラム記録 (フレネル・ホログラム) ホログラム再生 佐藤(湘南工科大) 11 電子ホログラフィ S.A.Benton(MIT), 吉川(日大) インテグラル・フォトグラフィー (Integral Photography; IP, 1908年) (NHK放送技術研究所,1997年) Depth control Lens GRIN lens array Real image Object image pickup device Viewer Reproduced image 12 インテグラル立体画像 (2009年5月,NHK放送技術研究所公開資料より) Upper viewpoint Lower viewpoint Left viewpoint Right viewpoint 再生像の例(NHK放送技術研究所) 13 Depth-Fused 3D (DFD), NTT 一般画像において、前後像の明るさの割合を変化させて、 任意の奥行き位置を表現 DepthCube 14 空中像描画法(産業技術総合研究所) 360度立体ディスプレイ(日立) 15 光線再現型 時分割ディスプレイ(円筒型) •立体像サイズ:直径200×高さ256[mm] •画素数:1254×256 •光線角度間隔:<1° •カラー動画像表示(約10秒間) •スリット円筒直径:430mm •回転数:1800rpm(スリット) 100rpm(LEDアレイ) 圓道,梶木,本田,佐藤, "全周型3次元ディスプレイ", 信学論, J84-D-II, 6, pp. 1003-1011(2001). 16 円筒型ディスプレイの原理 1次元光源アレイ(LEDアレイ) (低速回転) • 回転によって光線の方向 を走査 • 時分割で視差画像を表示 スリット付円筒遮光板 (高速回転) 「デジタルコンテンツEXPO2009」出展 」出展, 「デジタルコンテンツ 」出展 2009.10 17 ニンテンドー 3DS 3D映像が楽しめるゲーム機「ニンテンドー3DS」を 発表する任天堂の岩田聡社長 (15日、ロサンゼルス)=AP ニンテンドー3DSでは、裸眼で立体的なゲーム映像を見ることができる。過去に任天堂から発売された ファミコン3Dシステムなどでは専用の3D眼鏡を装着する必要があったが、ニンテンドー3DSではその必要がない 視差バリア方式3D液晶ディスプレイを搭載するとみられている シャープの3D液晶 視差バリア方式 の概念図 薄型化 スイッチ液晶を用いた視差バリア方式 http://www.sharp.co.jp/3d-tech/ 18 4.光線空間法とは? 3次元統合画像通信の構想 (原島&藤井,1992) ( Integrated 3-D Visual Communications) Camera Array Multi-View Image Computer Generated Ray Space ?? Common Data Format Multi-View Imge Spatial Imaging Compression Hologram 入力-出力は1対1 Hologram 19 3次元統合画像通信の構想 (原島&藤井,1992) ( Integrated 3-D Visual Communications) Camera Array Multi-View Image Ray Space ?? Multi-View Imge Common Data 共通データ Computer Generated Format Spatial Imaging Compression Hologram Hologram 「3次元統合画像符号化の基礎検討」(1994) 藤井:「3次元統合画像符号化の基礎検討」, 東京大学工学系研究科 博士論文 (1994). http://hdl.handle.net/2261/1866 20 3次元空間情報の光線空間表現 Multi-view image: A1 , A2 , L , AN ⊆ U A'j ⊆ U Virtual view image: U AN A1 Ai A2 A2 A'j A'j A1 U : all ray data Ai AN 3次元空間情報の光線空間表現 21 3次元空間情報の光線空間表現 y 光強度 f 位置(x, y) 方向 (θ,φ) x 物体 基準面 z • 基準面の通過位置と方向で 光線をパラメータ化 • 光線のもつ属性として輝度値 f を導入 f(x,y,θ,φ)で空間情報を表現 光線空間表現と呼ぶ [1] 藤井:「3次元統合画像符号化の基礎検討」,東京大学,博士論文 (1994). [2] T. Fujii,T. Kimoto,M. Tanimoto,” Ray Space Coding for 3D Visual Communication ” , Picture Coding Symposium ’96, pp. 447-451, 1996.3. [3] 藤井,金子,原島:“光線群による3次元空間情報の表現とその応用 ”, テレビジョン学会誌, Vol.50, No.9, pp. 1312-1318, 1996.9. Light Field Rendering (Stanford大) M.Levoy, P.Hanrahan, “Light Field Rendering,“ Proc. ACM SIGGRAPH '96, pp. 31-42 (1996.8). 22 光線空間の例(x-u軸,y一定) u=tanθ x 23 実空間と光線パラメータ空間の関係(1) 縦方向視差(φ)を無視,y=const.の断面 u = tan θ P(X,Z) x X x z θ Ray 実空間 光線空間 実空間内の一本の光線 = 光線空間上の「点」 実空間と光線パラメータ空間の関係(2) 縦方向視差(φ)を無視,y=const.の断面 u = tan θ P(X,Z) x X z θ Ray 実空間 x X = x + uZ 光線空間 実空間内の一点を通る光線群=光線空間内で直線上に並ぶ 24 光線空間の例(x-u軸,y一定) u = tan θ 物体 X x Z X = x + uZ 光線空間は直線構造からなる (∵ランベルト反射則) 光線空間の例(x-u軸,y一定) u=tanθ x 25 光線空間の性質 実空間の一点を通る光線群は光線空間で 直線をなす 光線空間は直線構造からなる(生成) (ピンホール)カメラでの撮影は直線上の データの観測である(取得) 撮影による光線群のサンプリング 水平視野 y 1 2 34 5 垂直視野 水平視野 位置 Y u (= tan θ ) ( x, y) 方向 X (θ , ϕ ) 垂 直視 野 x 5 4 視域 空間光線 f ( x, y, u) 3 2 カメ ラ 1 Z 26 撮影による光線群のサンプリング y y x z 5 4 u = tan θ 3 2 1 x 5 3 4 2 1 実空間 光線空間 f ( x , y , u) 光線群の切り出しによる 自由視点画像の合成 y 断 面1 断 面2 x u 断 面1 の 画像 空 間光 線 f ( x, y, u) 断 面2 の 画像 27 ステレオ画像・多視点画像生成 X = x + uZ X u = tan θ P(X,Z) x 多視点画像生成 のための仮想視点 ステレオ画像生成 のための仮想視点 Z 実空間 光線空間 視点 P(X,Z)を通る光線群を取り出す 光線空間を用いたカメラ操作の実現(1) ズーム X = x + uZ X u = tan θ x P(X,Z) 光線空間 Z 実空間 28 光線空間を用いたカメラ操作の実現(2) 可変焦点画像の生成 X = x + uZ X u = tan θ x レンズ P(X,Z) Z 実空間 画像面 光線空間 輝度値の平均をとる Refocus Imaging Refocus Imaging 社 http://www.refocusimaging.com/about/ Light Field Camera 29 Refocus Imaging:原理 4次元光線空間を IPの原理を利用して 2次元にして取得 後段の信号処理で フォーカスを制御 Ren Ng et al., “Light Field Photography with a Hand-held Plenoptic Camera,” Stanford Tech Report CTSR 2005-02 極座標による表現(球面光線空間) y η 光強度 f α 方向 (θ,φ) ξ x 位置 (ξ ,η ) x r ( X, Z ) z ξ = − r sin(θ − α ) ξ f (ξ , η , θ , ϕ ) z 基準面 θ -π π 極座標系 30 Background 120 mm 1300 mm Rotation per sample: 0.25° Turntable TV Camera 640x480 pixels (24 bits/pixel) Amount of data:640x480x3 x (360x4) = 1.3 (GB) 0° 90° 360 images 物体の実サイズ 撮影距離 180° 360 images : 12cm x 12cm : 130 cm 31 光線空間データの例(円形カメラ配列) ξ π 0 θ ξ π 0 θ 自由視点映像の生成 (a) (b) (c) (d) 50 cm Real camera positions 6 cm (c)(b)(a) (d) 32 光線空間ビューア(Ray-Space Viewer) object virtual camera virtual viewpoint area 光線空間の構成: 光線空間の構成 1度あたり4枚の視差画像 , 合計 1440 枚 3次元統合画像通信の構想 (原島&藤井,1992) ( Integrated 3-D Visual Communications) Camera Array Multi-View Image Ray Space ?? Multi-View Imge Common Data 共通データ Computer Generated Format Spatial Imaging Compression Hologram Hologram 33 3次元統合画像通信の構想 (藤井 & 原島,1993) ( Integrated 3-D Visual Communications) Camera Array 光線空間 Multi-View Image Computer Generated Ray Space Common Data Format Multi-View Imge Spatial Imaging Compression Hologram Hologram さまざまな3次元映像方式の中間記述フォー マットとして光線空間を導入 光線空間の入力・処理・出力として3次元映 像システムを定式化 「光線空間法に基づく3次元映像システム」へ 34 光線空間法に基づく3次元映像システム T. Fujii, M. Tanimoto, "Free-Viewpoint TV System Based on Ray-Space Representation", SPIE ITCom Vol. 4864-22, pp.175-189 (2002). 3-D シーン 光線空間 Ray-Space 表示 データ取得 光線空間 符号化 視点指定 35