...

Newsletter - ビューローベリタス

by user

on
Category: Documents
5

views

Report

Comments

Transcript

Newsletter - ビューローベリタス
建築認証事業本部
天井脱落対策に係る確認申請図書・書式の変更について
1.建築基準法施行令等の改正概要
天井の脱落対策に係る基準が新たに定められ、新築建築物等への適合を義務付けすることとする建築基準法
施行令及び関連省令の改正(平成25年7月12日公布)並びに関連告示の制定・改正(平成25年8月5日公布)が
行われ、平成26年4月1日より施行されます。
この天井脱落対策の概要としては、以下の通りです。

『建築物における天井脱落対策に係る技術基準』では、「脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天
井」が適合すべき「構造耐力上安全な天井の構造方法」を定めている。(令39条第3項)

「脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井」は、天井高さ6m超、水平投影面積200m2超、単位面
積質量2kg/m2超の吊り天井で、人が日常利用する場所に設置されているものと規定されている。

「構造耐力上安全な天井の構造方法」は、斜め部材等により地震力等による天井の振れを抑制し、天井面と
壁面等との間に一定の隙間を設けることにより、天井の損傷、脱落の防止を図ることを基本的な考え方とし
ている。
概念図
隙間
200 ㎡超
6m 超
6m 以下
6m 超の一続きの
天井が適用対象
2.確認申請図書の変更
今回の技術基準の制定に伴い、建築基準法施行規則第1条の3において、確認申請に添付すべき図書書類とし
て、特定天井で特に腐食、腐朽その他劣化のおそれのあるものを設置する場合にあっては、その措置を明示し
た使用構造材料一覧表を、施行令第39条第3項に規定する構造方法への適合性審査に必要な事項を明示した
図書を添付しなければなりません。
規則第1条の3 表二(抜粋)→下線部分が変更の部分です。
これにより、確認申請書、中間検査申請書及び完了検査申請書の様式において、特定天井に関する記載欄が
追加されています。
確認申請書 第5面
中間検査及び完了検査申請書 第4面(記入例)
なお、これらの書式は、平成26年4月1日以降に行われる各申請に適用されますので、ご注意下さい。
建築認証事業本部 品質管理部 大野敏資
【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン㈱ 建築認証事業本部 最寄りの事務所まで
お問い合わせフォームもご利用下さい
ビューローベリタスのサービス:確認検査業務
建築認証事業本部
住宅性能表示基準・評価方法基準の改正について
平成26年2月25日付で住宅性能表示基準・評価方法基準、及び関係法令が改正されました。概要は下記の通
りです。
1.液状化に関する参考情報の提供について<平成27年4月1日施行予定>
東日本大震災を踏まえ、専門家への相談や流通時の判断材料として活用できるよう、住宅性能評価を行った住
宅について、申請者からの申出があった場合に限り、その地盤の液状化に関し住宅性能評価の際に入手した事
項のうち参考となるものを評価書に記載することになりました。記載する事項の例については、今後解説書等で
取りまとめ周知が図られる予定です。
なお、住宅の地盤の液状化に関する参考情報は、表示基準及び評価方法基準に従って住宅性能評価書に表
示された性能ではないことから、法第6条第1項から第3項までに基づき建設工事又は引渡しを契約したものとみ
なされる対象にはならない旨、ご留意下さい。
2.必須/選択項目の範囲の見直しについて<平成27年4月1日施行予定>
住宅性能評価を受けなければならない性能表示事項(以下「必須項目」という。)の範囲について、4分野9項目
(構造の安定(1-1・3・6・7)、劣化の軽減(3-1)、維持管理・更新対策(4-1・2・3)温熱環境等(5-1もしくは5-2))に見直
されました。これに伴い、住宅性能評価書に性能表示事項ごとの住宅性能評価の有無を記載することになりま
すのでご留意下さい。
3.省エネルギー対策等級の改正について<平成27年4月1日施行予定>
先般の省エネルギー基準の見直し等に伴い、表示基準及び評価方法基準においても外皮性能の計算方法の
変更及び設備を含めた一次エネルギー消費量を評価する基準を導入することになりました。
従来の[5-1省エネルギー対策等級]は[5-1 断熱等性能等級]と名称変更の上、平成27年3月末日までは旧基
準・新基準のいずれでも評価が可とされました。また、[5-2 一次エネルギー消費量等級]を新設の上、[5-1]と
[5-2]のいずれかによる選択評価、もしくは両方の評価が可能となりました。
4.その他改正事項<平成26年2月25日施行>
(1) JIS規格改廃に伴う改正[3-1 劣化対策等級]
S造の防錆措置についてJIS改廃を反映した改正が実施されました。
(2) 杭状改良地盤の表示基準の追加[1-6 地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法]
杭状改良地盤の場合、許容支持力度(kN/㎡)又は許容支持力(kN/本)のいずれの表示も可とされました。
(3) 居室の天井に設置される自動火災報知設備について[2-1 感知警報装置設置等級]
等級4において、居室の天井に設置される自動火災報知設備について、天井高さ8mまで熱式も可とされました。
(4) 基礎の高さの取り扱い[3-1 劣化対策等級]
地面から基礎上端又は土台下端までのいずれか高い方の高さが400mm以上であることと定められました。
(5) RM造(鉄筋コンクリート組積造)の劣化対策等級の設定[3-1 劣化対策等級]
RM造について、鉄筋コンクリート造の一部として、評価基準が追加されました。
(6) 共用排水管の横主管の掃除口間隔の取り扱い[4-2 維持管理対策等級(共用配管)]
10m以内とされている掃除口間隔について、一定の条件下の場合にあっては、15m以内でも可とされました。
(7) 乾式二重床構造等のみなし仕様の追加[8-1 重量床衝撃音対策]
相当スラブ厚を算出する際の乾式二重床構造等のみなし仕様が追加されました。
(8) 回り階段の勾配と両側手すりの取扱い[9-1 高齢者等配慮][9-1 高齢者等配慮対策等級]
回り階段部の勾配と両側手すりの取り扱いが明確化されました。
5.その他関連する告示の改正等(設計住宅性能評価のために必要な図書)
平成26年2月25日以降、床面積求積図の添付が必須となりました。それ以外の追加図書は平成27年4月1日よ
り添付必須となります。
6.適用時期
下記(1)(2)の改正規定については平成26年2月25日より適用、それ以外については平成27年4月1日より適用
されます。
但し、(3)については、平成26年2月25日から平成27年3月31日までの間においては、改正前の省エネルギー対
策等級又は改正後の断熱等性能等級のいずれも適用が可能です。
(1)日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号。以下「表示基準」という。)における[1-6 地盤
又は杭の許容支持力等及びその設定方法]に係る杭状改良地盤の場合の表示の方法に係る改正規定等
(2)評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)における[3-1 劣化対策等級]に係る鉄骨造の防錆措置
のJIS規格改廃に伴う改正規定等
(3)表示基準及び評価方法基準における[5-1 省エネルギー対策等級]
建築認証事業本部 東京新宿事務所 辻本正寿
【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン㈱ 建築認証事業本部 住宅性能評価業務部 TEL:03-5325-1236
お問い合わせフォームもご利用下さい
ビューローベリタスのサービス:住宅性能評価業務
システム認証事業本部
予防原則に基づき発展する内分泌かく乱物質規制 - 企業に求められる対策とは?
2012年よりビューローベリタスとパートナーシップを結ぶEnhesa(エンヘサ)社が執筆する、「海外における
法規制」に関する記事を連載しています。
みなさんは内分泌かく乱物質というとどのようなものを想像するでしょうか?内分泌かく乱物質や内分泌かく乱
が懸念される物質を自社の工場や製品に使用していますか?今回は、内分泌かく乱物質の定義や分類に加え、
世界各国の最新の政策、調査、規制動向について、予防原則の考えを織り交ぜながら解説します。
1. 内分泌かく乱物質とは
経済協力開発機構 (OECD) では、内分泌かく乱物質について、1996年12月に英国で行われたOECDワーク
ショップ (欧州連合 (EU) 及び世界保健機関 (WHO) が主催) において合意された以下の定義を採用してい
ます:
・ 内分泌かく乱物質:内分泌系機能へ変化をもたらすことにより無傷生物やその子孫の健康に悪影響を起こす
外因性物質
・ 潜在的内分泌かく乱物質:無傷生物の内分泌かく乱の可能性が疑われる特性を持つ物質
このように国際的には明確な定義付けが行われていますが、具体的にどの物質がこの定義に該当するのかとい
う部分が不明瞭であったため、2013年2月には国連環境計画 (UNEP) 及び世界保健機関が内分泌かく乱物質
の分類を明確にすべく、「State of the science of endocrine disrupting chemicals - 2012」というレポートを発行し
ました。これまでは主に残留性有機汚染物質 (POPs) が内分泌かく乱物質として着目されることが多くありました
が、このレポートではその対象範囲を、現行農薬や可塑剤、医薬品、天然ホルモン、植物性ホルモンやなどの残
留性や蓄積性のより少ない有機化学品や金属にまで広げ、その物理化学的特性や化学起源、用途等に応じて11
種類に分類しています。例えば、「残留性有機汚染物質」には、ポリ塩化ジベンゾダイオキシン (PCDD)、ポリ塩化
ジベンゾフラン (PCDF) やポリ塩化ビフェニル (PCB)、「材料及び物品に用いる可塑剤及びその他の添加剤」に
は、フタル酸エステル (DEHP, BBP, DBP, DiNP)、トリクロカルバンなどが分類されています。
2.内分泌かく乱物質に関する各国の取り組みや規制
内分泌かく乱物質として一般的によく知られているビスフェノールAについては、各国が予防原則
(Precautionary Principle) に基づき、様々な規制を課しています。予防原則とは、一般公衆や環境に重大な悪
影響をもたらす可能性やリスクが疑われる化学物質等について、科学的な知見や根拠が不十分な場合でも、予
防的観点から規制や対策をとる概念です。ビスフェノールAは主に、ポリカーボネートプラスチックやエポキシ樹
脂製造に用いられています。さらにポリカーボネートは消費者製品 (繰り返し使用する容器など) 、医療機器、フ
ィルム、電子産業などで幅広く使用されており、エポキシ樹脂は保護コーティング、構造用複合材料、接着剤や
シーリング材に用いられています。
カナダでは、化学物質管理計画の分類及び評価プロセスにより、ビスフェノールAがカナダ環境保護法 (CEPA)
に規定される「有害」の基準に該当するとされ、2010年10月に有毒物質リストに追加されました。これにより、カ
ナダ消費者製品安全法に基づき、2011年6月20日以降、ビスフェノールAを含有するポリカーボネート製哺乳瓶
の製造、輸入、宣伝及び販売が禁止されています。加えて、年間100キロを超えるビスフェノールAを製造する事
業者、ビスフェノールAもしくはビスフェノールAを含有する混合物を使用する事業者、ビスフェノールAを含む排
水を出す事業者は、2012年4月から、汚染防止計画を作成、実施しなければならなくなりました。また、韓国でも、
カナダやEUに追従する形で、2012年7月1日以降、ビスフェノールAを含有する哺乳瓶の製造、輸入及び販売が
禁止されています。
米国では、連邦食品・医薬品・化粧品法 (FFDCA) のもと、内分泌かく乱物質スクリーニングプログラム
(EDSP) が立ち上げられ、環境保護庁 (EPA) に、適切な検証試験及びその他の情報を用いて特定の物質に
おけるホルモン効果の有無を決定することが求められています。このプログラムではTier 1とTier 2の2種類に分
かれたアプローチがとられており、Tier 1のスクリーニングでは内分泌系 (具体的には、エストロゲン、アンドロゲ
ン、もしくは甲状腺ホルモン) との相互作用が疑われる物質を特定します。前述の相互作用の可能性がない物
質についてはTier 2において、当該物質による内分泌に関連する悪影響の有無を判断します。2013年6月には
Tier 1に関する最終的な政策と手順がEPAにより発表され、EPAは、EDSPに基づく試験命令を特定の化学物
質製造者及び輸入者に対して発することができるようになりました。これにより、工業用化学品や農薬、医薬品
原料、パーソナルケア商品などの製造・輸入者は、様々な条件に基づきEPAによる試験命令の対象となる可能
性があります。
2007 年6 月 1 日 に欧 州 で 採 択さ れた 化学 物 質 の 登 録 、評 価 、 認 可及 び 制限 に 関す る規 則 (Regulation
concerning the Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals, 通称REACH) では、
発がん性、変異原性、生殖毒性を有する物質 (CMRs)、人体や環境に蓄積する物質 (すなわち、残留性・蓄積
性・毒性を有する物質、もしくは残留性及び蓄積性が高い物質)、及びその他の同等の懸念を有する物質は、高
懸念物質 (SVHC) とされます。これらの物質はCandidate Listに記載され、REACHに基づく特定の使用や用
途による認可の候補となり、中には欧州委員会の決定による認可を受けるためさらに厳しい条件を課される物
質もあります。また、今後の規制を決める上では、内分泌かく乱物質に対する公衆衛生の保護に関する2013年
3月14日付欧州議会決議や欧州委員会による審議文書「内分泌かく乱物質の特定基準に関する可能なエレメン
ト」がその土台となるといえるでしょう。特に欧州議会決議では、科学的根拠がなくとも、内分泌かく乱物質は人
体のホルモン関連障害増加の原因である可能性が考えられると述べられており、欧州議会は予防原則に基づく
規制措置を求めています。
中国で2013年2月20日に公表された化学環境リスク防止及び管理に関する第12次5ヵ年計画によると、先進国
ではすでに使用が廃止されたり、禁止されたりしている有害化学物質が中国国内では依然として大量に製造、
使用されている現状があり、地域によっては、国際的な水準を超える残留性有機汚染物質及び内分泌かく乱物
質が確認されていると示されています。現在、58種類の化学物質が優先リスク防止・管理物質として指定されて
おり、その中にはビスフェノールAを含む内分泌かく乱物質が複数含まれています。中国では今後、これらの化
学物質による環境リスクを管理するための措置が取られる予定で、具体的には環境汚染物質排出報告の義務、
緊急時対応策の強化、より厳格な監視・監督規制が挙げられます。
3.ビジネスへの影響と予防原則の適用
このように内分泌かく乱物質については、科学的に不確実な点がありながら、業務や製品への使用を厳しく制限
する規制や施策が継続して実施されているのが現状です。一般消費者から上げられる懸念の声も関連業界を
動かす要因となっている一方で、前述の通り、予防原則を積極的に採用している国もあります。
内分泌かく乱物質について新たな制限や規制が導入されることにより、企業は事務的な負担及び経済的な負担
を被る可能性があります。事務的な負担としては、カナダの化学物質管理計画における報告義務やEU REACH
規則における認可取得があります。経済的な負担については、内分泌かく乱物質を防止、削減するために行う
関連業務や製品の変更 (原材料や製造工程、製品設計の変更) や廃止などが考えられ、企業への影響はさら
に大きくなり得ます。では、これらの事務的、経済的負担を回避するために企業はどのような対策をとればよい
のでしょうか?優先的に行うべきことは、内分泌かく乱作用が懸念される物質に関する情報や動向をいち早く察
知し、それらが自社の製品や業務に使用されているかを確認、把握することです。その上で、関連する情報を記
録・保管し、内分泌かく乱物質を伴う活動 (当該物質を取り扱い・排出する業務) に対する管理計画を立てます。
また、製品については、リスクの懸念される製品を特定し、内分泌かく乱物質の代替となる物質を可能な限り採
用していくことが得策といえます。
政府による内分泌かく乱物質の政策や法的制限、規制を待つことなく、予防原則に基づき、自主的かつ積極的
に対策を取ることが、企業に今、求められています。
Enhesaでは、内分泌かく乱物質に関する各国の政策や規制情報だけでなく、化学品規制の国際的な動向や新
たな知見に関する報告、企業の自主的な取り組みに関する情報を様々な形で提供しています。内分泌かく乱物
質規制やその他の化学品規制に関するお問い合わせは、下記までお寄せください。
【お問い合わせ】
Enhesa (日本語対応窓口) TEL:050-5534-9789
[email protected] もご利用下さい
http://www.enhesa.com/ja/
Enhesaは、ベルギーのブリュッセル及びアメリカのワシントンDCに本社を置くグローバルコンサルティング会社であり、企業のEHS (環境、
労働安全衛生)法令遵守を支援しています。日本にもサテライトオフィスを開設しており、日本時間に日本語での対応が可能です。ビューロ
ーベリタスジャパン株式会社との緊密な連携により、法規制動向のモニタリング、コンプライアンス監査ツールの提供、コンプライアンス監査
代行、製品規制調査等、日本企業の国内及びグローバル市場における事業展開・事業運営、輸出に関する法令遵守を支援しています。
ビューローベリタスジャパン㈱ システム認証事業本部 営業部 TEL:045-651-4785
お問い合わせフォームもご利用下さい
ビューローベリタスのサービス:遵法監査(Legal Compliance audit)
システム認証事業本部
Case Study:株式会社 大村製作所
次代を見据えて航空機分野の拡大を目指し、
業界必須の規格 JIS Q 9100 を取得。
株式会社 大村製作所(埼玉県東松山市)
http://www.ohmurasei.co.jp/
海外進出しない道を探る
東武東上線で池袋駅から約 1 時間の森林公園駅にある大村製作所は、自動車部品の製造を中心とする部品加
工メーカーだ。創業は昭和 5 年と古く、はじまりは煙草の葉を刻む機械を、東京・板橋で作っていたという。
昭和 18 年に戦火を逃れて東松山市に疎開し、いったんは
廃業したが、戦後、東松山市に自動車パーツのグローバ
ル企業である「ボッシュ」の主要工場が置かれたことから、
その協力工場として事業を再開した。
こうした経緯から、その後長く、高度経済成長の波に乗っ
た自動車部品メーカーとして発展してきた同社だが、その
一方である懸念が日増しに大きくなっていた。
それは、国内の自動車メーカーが次々と生産拠点を海外
に移しはじめ、このままでは会社を維持できるだけの受注
がおぼつかなくなるのではないかという懸念だった。
その解決策として同社でも海外工場をもつことも検討され
埼玉県東松山市にある本社・唐子工場
たが、大村隆夫社長は海外進出はしないと決断した。その理由は、資金面での体力が足りないことと、もうひと
つ、人材を分散させなくてはならないことのリスクが同社にとっては大きすぎたからだった。
「海外に工場を構えようとすれば、ナンバー1、ナンバー2 レベルの優秀な社員を派遣しなくてはなりません。そん
なことをしたら日本の現場はガタガタになります。しかも海外工場が成功するという保証はどこにもありません。
こういうことを考え詰めていくと、うちのような会社が海外進出することには無理があると判断したのです」と大村
社長は言う。
となれば、どういう次の一手を打つか。そこで大村隆夫社長が目を付けたのが航空機部品分野への進出だった。
実は同社は昭和 42 年に、石川島播磨重工業の下請け工場としてすでに航空機部品づくりを始めていた。と言っ
ても、航空機部品は自動車部品のようにコンスタントに大量の発注があるわけではない。また既存のパートナー
企業との絆が強く、新たにそこに入り込んでビジネスを拡大することはかなり難しい。
そこで大村社長は、「まずは弊社の技術力を広く知ってもらうところから始めよう」と、国内国外のさまざまな見本
市に出展することにした。
しかし結果として、この試みはあまりうまくいかなかった。その理由は、同社が宇宙航空分野の品質マネジメント
システム認証をもっていなかったからだ。「ブースで足を止めてくれた企業も、こちらからアプローチした企業も、
必ず規格をもっているかと聞いてくる。NO と答えると、それじゃダメだと話も聞いてもらえない。これが現実でし
た」(大村社長)。
JIS Q9100 未取得の厚い壁
ここで同社の特徴について話しておこう。
同社が、取引先の自動車各メーカーに高く評価されている理由に、金型
による鋳造で部品を大量生産するだけでなく、鍛造や削りだしの手法で
カスタムメイドの部品をつくれる貴重な部品メーカーだということがある。
これは航空機用などの小ロット部品をつくるのには欠かせないノウハウ
で、同社の一番の個性なのだが、これを培うためには高い能力を持つ
従業員と、時間と手間のかかる仕事を根気よくやることを良しとする企
業風土の両方が必要となる。
「採算を度外視してもいいから、ときには面白いことをやれ!」と社内を叱
咤する大村社長に率いられる同社では自然にこの両方が培われてきた。
天災や火事で操業を停止した工場の代役を引き受けて、不眠不休の努
力の末、期日にも品質的にも問題のない納品を成功させたといった実
績が積み重なり、いつしか「ハードルが高くてもやり遂げてくれるメーカ
同社のカスタム部品製造技術を
結晶させたデモ用ロボット
ー」として知られるようになった。
こうした実績や評価にも自信を得て、「我が社の技術力と対応
力が欲しいクライアントがきっとあるはず」と国際航空宇宙展や
ものづくりパートナーフォーラムなどに積極的に参加しはじめた
同社なのだが、いかんせん、前述のように JIS Q9100 の規格
を取得していないことで、思うような成果を得られなかった。
この体験から、会社の次代を託す航空機分野にしっかりと踏
み出すためには、どうしても JIS Q9100 が必要だと実感した
大村社長は、すでに取得している QMS(品質マネジメントシス
テム)と EMS(環境マネジメントシステム)の認証機関であるビ
技術者が削りだしで作った航空機部品。
実用されている。
ューローベリタスを選択の上、JIS Q9100 を取得することを決
断したのだった。
多彩な取得メリットに気づく
同社の JIS Q9100 取得はタイミングにも恵まれた。というのは、ちょうどこのとき、ビューローベリタスが JAB(公
益財団法人日本適合性認定協会)から JIS Q9100 認証機関の認定を受けたからだ。
JIS Q9100 の一番のメリットは、米国の AS9100、ヨーロッパの EN9100 と技術的に同等の国際相互認証であり
欧米の企業に対しても有効であることだが、その文書づくりややりとりが日本語でできることも見逃せない。日本
語が使えることで取得時のストレスや手間は大幅に軽減される。言うまでもなくこれはただでさえ忙しい現場にと
って、非常に大きなメリットである。
これを追い風に、すでに QMS を取得しているこ
ともあり、キックオフから半年ほどで同社念願の
JIS Q9100 取得は達成された。
JIS Q9100 取得後のクライアント側の反応はどう
だろうか?「残念ながらまだ新たな引き合いは来
ていませんが、既存のクライアントの仕事の獲得
は格段にやりやすくなりました。特に大企業の仕
事が獲得しやすくなりました」と大村社長。今後
は世界中から受注を取りたいと意欲に燃える。
ここで面白いのは、大村社長の言う新規受注と
代表取締役社長
大村隆夫氏(右)
取締役製造・品質保証統括部長
長田陽臣氏
は、必ずしも時代の先端を行く新製品の受注だ
けではないというところ。たとえば修理のために必要な古い型番の部品の復刻も同社が新しく狙っている分野。
「難しくて儲からないから誰も手を出さない分野ほど、売り手市場にできる可能性が大きい。またそれは作り手に
とって刺激が強く、勉強にもモチベーションアップにもつながる。リペア部品の
製造は、実はとてもいい商材なのではないかと考えはじめています」。このリ
ペア事業の拡大にとっても、信頼性を担保する JIS Q9100 の有効性を感じて
いるようだ。
さらにもうひとつ、JIS Q9100 を取得して良かったことがあるという。それは、
認証に関わるメンバーが若い世代に引き継がれたことだ。JIS Q9100 取得に
当たって、長田陽臣取締役製造・品質保証統括部長は、担当者を QMS と
EMS のメンバーからぐっと若返りさせた。これによって品質保証における一部
の主導権が若手に移り、懸案だった世代の継承の端緒が見えた。
さらに「これからは、JIS Q9100 を間接部門と管理部門の改善にも活用したい」
と長田部長は言う。「製造現場の改革改善は、我が社においては実はもうでき
3 つの国際規格の認証を取得。
埼玉県指定「彩の国工場」でもある。
ていると思う。今後、改革が必要なのは、むしろ間接部門と管理部門いわゆる
ホワイトカラーたちの意識と行動。彼らが、自分たちの 5S(「整理」「整頓」「清
掃」「清潔」「しつけ」)を進化させながら遵守するための舵取りに、JIS Q9100 を使いたいと思っています」とも。
「ニッポンのものづくり」を地で行く大村製作所。「これ以上大きくなる必要はない。売り上げも規模もこのままでい
いから利益率をあげて、いつまでも小粒ながらぴりりと辛い山椒のような企業であり続けることを目指す」と大村
社長のビジョンは明確だ。そのために次に狙う分野ももう決まっている。その起爆剤にも、また国際基準の認証
が活用される予定だ。戦略化された認証取得が、このものづくり企業の次世代を開く鍵となっている。
(2014 年 2 月 20 日取材)
ビューローベリタスのサービス
航空宇宙産業品質マネジメントシステム認証(AS / JIS Q9100)
産業事業本部
コンテナ検査のエキスパート
Transport & Logistics Services - サービスラインナップ
現在、国際複合(海上・鉄道・道路)輸送に使用されるISO規格のコンテナの95%以上は中国で製造されていま
すが、中国のコンテナ製造工場の殆どはビューローベリタスの工場認定を受けています。
中国においては、新造コンテナに関する法定検査(プロトタイプ試験の立会い、プロダクション検査、初期検査)及
び運用後のインサービス検査(CSC検査、危険品輸送用ポータブルタンクの定期検査・洗浄証明検査、各種コン
テナのオン・オフハイヤーサーベイ等)を行っていますが、中国以外の殆どの国では、運用後のインサービス検
査を中心に各種コンテナに対する検査サービスを提供しています。
日本においても主にインサービス検査をお届けしています。本稿ではビューローベリタスが国内で展開するコン
テナ検査サービスを詳しくご紹介します。
1. 法定検査(Statutory Inspection)
a) CSC検査
International Convention for Safe Containers, 1972 (CSC、安全なコンテナに関する国際条約)により、全ての
国際輸送用コンテナ(航空輸送専用コンテナを除く)は、プロトタイプ試験に合格後、CSC Plate(安全承認板)が
取り付けられますが、運用後にもコンテナのフレームワーク(トップレール、ボトムレール、ヘッダー、シル、コーナ
ーポスト、コーナーキャスティング、アンダーストラクチャー、ロッキングロッド等)及びコンテナ内部の状態に対し
て定期的な検査が義務付けられています。タンクコンテナにおいてはタンクサポート部分、折畳み式フラットラッ
クコンテナについては、端枠のロック機能、ヒンジピンについても検査されます。検査に合格したコンテナについ
ては、検査証書が発行されCSC Plateに次回検査期限(MM/YY)が刻印
されます。
検査期限は以下の通りです。
新造後最初の検査
:製造日から5年(60ヶ月)
2回目以降の検査
:2.5年(30ヶ月)
* ACEP(Approved Continuous Examination Program)承認コンテナについては、少なくとも2.5年毎に1回の検
査が義務付けられていますが、基本的にコンテナ所有者の責任で実施されますので、第三者検査機関等の立
ち会いは必要ありません。
b) IMO/UN Portable Tankの定期検査(Periodic Inspection for IMO/UN Portable Tank)
危険物の海上・道路・鉄道による国際輸送規程(IMDG/ADR/RID)により2.5年検査及び
5年検査が義務付けられています。
フレームワーク・外装の外観検査、タンクシェル内部の検査、安全弁の作動試験、各サ
ービス機器・In/Outletバルブ類の検査、水圧試験、気密試験、ヒーターの耐圧試験を行
います。検査に合格後、Data Plateに検査実施日及びCSC Plateに次回検査期限(何
れもMM/YY)が刻印され、検査証書が発行されます。
各検査内容の詳細につきましては、バックナンバー2010年6月10日号をご覧下さい。
2.任意検査(Voluntary Inspection)
a) オンハイヤーサーベイ(On-Hire Survey)
コンテナがリース ( 賃貸借) 契約よ って使用される場 合に、当該 コンテナが IICL(Institute of International
Container Lessor = ドライ、リーファーコンテナの場合)やITCO(International Tank Container Organization =
タンクコンテナの場合)の基準を充たしているか、又は、リース開始前のコンテナの状態(修理跡、ダメージの状態
等)を細かく確認し記録を残します。後者の目的は、コンテナがオーナーに返却された際にデポでダメージの状
態がチェックされ修理見積書が作成されますが、リース前に存在していたダメージとリース中に発生したダメージ
を判断する為のものであり、修理費用の貸主・借主負担を区別する根拠になります。
b) オフハイヤーサーベイ(Off-Hire Survey)
上記a)に関連しますが、コンテナがオーナーに返却された際にデポでダメージの状
態がチェックされIICLやITCO等の基準に従い修理見積書が作成されます。修理見
積書の内容が正しいかどうか、又は修理費用(Materialの寸法・数量、Man-Hour
等)が正当かどう
かを第三者の立場で検査します。
c) ポストリペアサーベイ(Post Repair Survey)
上記b)に関連しますが、コンテナがIICLやITCO等の基準を充たし、又修理見積書
通りに修理が完了し、不完全な修理が行われていないか確認を行います。
d) コンディションサーベイ(Condition Survey)
輸送中や荷役中に発生した事故等によりコンテナが損傷した場合に、コンテナのダメージの状態をCSC、IICL、
ITCOの基準により検査します。
e) 洗浄証明検査(Cleanliness Certification Survey)
危険物輸送用のタンクコンテナ(IMO/UN Portable Tank)については、タンクデポでの洗浄作業終了後に、外装・
フレームワーク・歩板、マンホール・各バルブ類、データプレート・マーキング、タンクシェル内部の腐食・ピッティ
ングの有無を目視検査によりチェックします。特にタンクシェル内部、各バルブ類、サイフォン管、マンリッドガス
ケットにつては前荷のステインや汚れがないか入念に確認します。又、タンクシェル内部の臭気も確認します。検
査に合格後、マンホール及び各In/Outletバルブ類には弊社BVマークのPlastic Sealが付けられます。
f) 新造コンテナのオーナー代行検査
バックナンバー2012年12月10日号でご紹介していますが、コンテナの発注者・オーナーに代わってビューロー
ベリタス・中国のコンテナエキスパートが現地工場でRaw Materialから各製造工程での検査、オフライン後の最
終検査までお客様の要望に応じて検査します。
産業事業本部 椎葉拓二郎
【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン㈱ 産業事業本部
トランスポート&ロジスティクスサービス 椎葉
TEL:045-641-4061 FAX:045-641-7992
[email protected] もご利用下さい
ビューローベリタスのサービス:輸送システム検査
政府指定検査・国際貿易部門
ザンビア共和国向け適合性検査サービス
2011 年 4 月よりザンビア PVoC(Pre-shipment Verification of Conformity:適合性検査)に基づく船積前検査制
度が始まりました。ビューローベリタスは、ザンビア当局(Zambia Bureau of Standards)より認可を受けザンビア
PVoC に基づく船積前検査サービスを提供しています。
船積前検査の目的としては、競争の公平性の維持、国内産業の保護、さらに規格外製品・安全性欠陥品の国内
市場への流入阻止を通じたザンビア国民の健康・安全、環境の保護が挙げられます。
ザンビア当局指定の対象製品をザンビアへ出荷する前には、ザンビア PVoC に基づく船積前検査の受検、及び
認証書の取得が必要となります。万が一、取得せずに出荷した場合、通関時にザンビアで試験などの評価が実
施され、これが完了するまで通関は認められませんのでご注意下さい。
主な対象製品
玩具、運動機器、電化製品、自動車部品、化学品、機械、建設資材、家具、生地、紙類、食品、中古製品 など
申請に必要な書類
・ビューローベリタス所定の申請書
・国際安全技術規格への適合証明書(IEC, ISO, EC 等)
・Profoma Invoice
・Packing List 他
検査終了後、認証書を発行のため、Bill of Lading、Final Invoice, Packing List のご提出をお願いします。
ビューローベリタスは各国当局より認可を受けた船積前検査機関として、長年にわたり実績を積み重ねてきまし
た。その経験をベースに質の高い検査サービスを提供し、現地での円滑な通関手続きをサポートします。
ビューローベリタスの検査サービスをぜひご活用下さい。
政府指定検査・国際貿易部門 細谷知孝
【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン㈱ 政府指定検査・国際貿易部門
Verification of Conformity担当 TEL:06-6205-5558/045-641-4202
お問い合わせフォームもご利用下さい
ビューローベリタスのサービス:政府指定検査・国際貿易検査
消費財検査部門(日本認証サービス株式会社 試験・分析事業部)
微生物(一般生菌数/大腸菌群/大腸菌)の特徴
ビューローベリタスグループは、食品業界における「フードセーフティ」をトータルにサポートできる体制を整え
ております。第三者認証機関として食品の品質や製造工程の安全性を証明するサービスを、そして、グルー
プ企業の日本認証サービスでは、より定量的な品質安全検査サービスの拡充を図っています。
日本認証サービスでは、一般生菌数や大腸菌群等の衛生指標菌や、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌等の食中
毒菌の検査、クレーム品検査に対応した異物検査・異臭検査を数多く受託しています。取引先に対する製品の
安全性証明や、食品の腐敗・変敗等の苦情発生時の原因調査にお役立て下さい。食中毒対策は万全ですか?
■一般生菌数
一般生菌数(生菌数)とは食品の衛生学的品質を評価する衛生指標菌(汚染指標菌)の一つです。
一般に、食中毒菌がいなければ生菌数が多くとも食中毒事故は起こりませんが、多量の菌が存在するということ
は、当然その中に食中毒菌も存在するリスクがあるということになります。一方で、生菌数が少ないからといって
安全であるとは限りません。生菌数は標準寒天培地という限られた栄養条件で好気的に培養するため、低温細
菌やいわゆる嫌気性菌、腸炎ビブリオの様な好塩細菌は発育しないからです。
我が国では、様々な食品に含まれる生菌数に関して、食品衛生法に基づき「食品、添加物等の規格基準」や「乳
及び乳製品の成分規格等に関する省令」などが定められています。
■大腸菌群
大腸菌群とは、グラム陰性の無芽胞桿菌で、乳糖を分解して酸とガスを生産する好気性または通性嫌気性の細
菌の一群をいいます。大腸菌群は、ヒトや動物の糞便だけではなく、土壌、水、空気中など幅広く分布し、これら
の環境からの汚染指標菌とされています。我が国では、食品衛生法に基づき、乳・乳製品、清涼飲料水、食肉
製品、魚肉ねり製品及び冷凍食品等に規格基準が定められています。
大腸菌
大腸菌群の中で 44.5±0.2℃で発育して、乳糖を分解しガスを生産する菌群を糞便系大腸菌群といい、食品衛
生法では E.coli と表現しています。
食品衛生法では、乾燥食肉製品、生食用かき、加熱後摂取冷凍食品(冷凍直前加熱以外)等に E.coli が陰性ま
たは○○以下という成分規格が定められています。E.coli は、ヒトおよび動物の糞便に存在する確率が高く、自
然界で死滅しやすいなどの理由から、食品中の存在は直接または間接的に比較的新しい糞便汚染を示すもの
と考えられています。食品が衛生的に取り扱われたか、病原性汚染の可能性があるか否かを示し、安全性を評
価する衛生指標菌と考えられており、通常、自然界からの汚染がそのまま反映される生肉、魚介類、生野菜など
の未加熱食品で適用されます。
引用・参考文献
厚生労働省監修「食品衛生検査指針 微生物編」(日本食品衛生協会/2004 年)
森地敏樹監修「食品微生物検査マニュアル《改訂第 2 版》」(栄研化学/2009 年)
日本認証サービス株式会社 分析事業部 小川俊彦
【お問い合わせ】
日本認証サービス株式会社 営業部 TEL:045-949-4664 FAX:045-949-4621
お問い合わせフォームもご利用下さい
日本認証サービスのサービス:微生物検査
食品ごとに推奨される検査項目や各微生物の性状等について、概要を掲載しています。ご参照下さい。
Fly UP