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2016/03/25「インド:2015年賞与支払(改正)法」
BTMU Global Business Insight Asia & Oceania March 25, 2016 Ⅰ.インドの労働法規-2015 年賞与支払(改正)法 … 2 … 4 … 8 … 10 Corporate Catalyst (India) Pvt Ltd Ⅱ.ミャンマー:会社法改正と新投資法制定などに関する最新状況 森・濱田松本法律事務所 弁護士 武川丈士/弁護士 眞鍋佳奈/弁護士 井上淳 Ⅲ.各国トピックス 【ミャンマー】新政権発足=大統領にティン・チョー氏、スー・チー氏も入閣 【インドネシア】3 カ月連続政策金利引き下げ、6.75%に 【インドネシア】未通関貨物の一時保管が実現、物流コスト削減に期待 【マレーシア】メイド以外の外国人労働者の新規受け入れを停止、違反時の罰則も強化 【シンガポール】 「パイオニア・インセンティブ」の優遇対象を改正 【ベトナム】2015 年財政赤字 256 兆ドン、原油価格下落など背景に最低水準 Ⅳ.主要各国の経済指標 (インドネシア・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナム・インド) ・本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。 本資料の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実 行を推奨することを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。 ・本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。 ・本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではあり ません。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、その他 全ての行為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の適用に つきましては、別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。 ・本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部 について、第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。 ・本資料の内容は予告なく変更される場合があります。 1 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania Ⅰ.インドの労働法規-2015 年賞与支払(改正)法 概要 2015 年 12 月 31 日にインド大統領によって承認された、2015 年賞与支払法(改正法)の概要について解 説する。 はじめに インド労働雇用相は 2015 年 9 月、さまざまな労働組合が提出した 12 項目の要望を受け取り、少なく ともそのうちの 9 項目については中央政府が積極的に解決に向けて取り組むことを約束した。 労働組合は数ある要望の中でも、賞与の支払い対象者の賃金の上限額と支払い計算上の上限額を見直 し、現在の経済情勢に見合ったものとすることを要求した。労働組合側は、支払い対象者の賃金の上限 額を月額 1 万ルピーから月額 2 万 1,000 ルピーに引き上げ、支払い計算上の上限額を現行の 3,500 ルピー から、7,000 ルピー、または政府が通知した当該雇用種類の最低賃金のうちいずれか高い方に変更するこ とを提案した。 1965 年賞与支払法(以下、基本法)の改正を求める労働組合の要求を考慮し、賞与支払(改正)法案 ( 「改正法案」 )の審議が 2015 年 12 月 7 日にインド議会下院で開始され、2015 年 12 月 22 日に可決され た。これに続き同法案は 2015 年 12 月 23 日には上院で可決された。 この 2015 年賞与支払(改正)法(以下、改正法)は、2015 年 12 月 31 日にインド大統領によって承認 された。 背景 基本法では、20 人以上を雇用する事業所に対し当該被雇用者に毎年賞与を支払うことを義務付けてい る。同法の規定では、1 会計年度に 30 日以上勤務し、月額給与が 1 万ルピーを超えない被雇用者は全て、 賞与(計算方法は基本法で定められている)の支払い対象となり、被雇用者の給与の 8.33%を賞与の下 限、法律上支払い可能な最高額(給与の 20%)を上限と定めている。 改正法では、賞与支払い対象者における賃金の上限額が(基本法で定める 1 万ルピーから)引き上げ られただけでなく、支払い計算上の上限額も引き上げられた。また、当該被雇用者に対する賞与の支払 いは 2014 年 4 月 1 日にさかのぼって適用し、雇用主に負担を課すものとなる。 2 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania 改正点の詳細と分析 改正法が基本法と異なる点は以下の通りである。 支払い対象者の賃金の上限 改正法では賞与の支払い対象者の範囲が拡大し、月額給与が 1 万ルピーの被雇用者から、同 2 万 1,000 ルピーの被雇用者までとなった。 賞与の支払い対象者の上限賃金の引き上げは、中央政府の労働者寄りの政策の一環とみられる。興味 深いことに、上限賃金が前回引き上げられたのは 2007 年で、この 10 年間にインド経済には大きな改革 が見られた。これらの経済改革によって給与水準が急激に上昇し、月額給与が 1 万ルピーから 2 万 1,000 ルピーに該当する多数の労働者にとって、基本法の改正がきわめて重要な問題となった。 賞与の計算 労働組合の要求に正面から取り組んだ結果、改正法では、被雇用者の給与または賃金が月額 7,000 ルピ ーまたは有期雇用(scheduled employment)の最低賃金を超える場合には、給与または賃金が月額 7,000 ルピーまたは指定雇用の最低賃金のうちいずれか高い方であるものとして賞与を計算するように変更さ れた。 基本法では、被雇用者に支払われる賞与は被雇用者の給与に比例すると規定されていたが、被雇用者 の給与が月額 3,500 ルピーを超える場合は、給与が月額 3,500 ルピーであるものとして賞与を計算するこ ととされていた。改正法では、賞与収入を増やすために計算上の上限額が 7,000 ルピーに引き上げられ、 さらに最低賃金が 7,000 ルピーを超える場合も考慮された。これにより、被雇用者はどちらか高い方の金 額を賞与として受け取ることができる。 遡及(そきゅう)適用 改正法は 2014 年 4 月 1 日にさかのぼって適用される。 ********************************************* 留意事項 1. 本レポートは公知の情報に基づいており、入手可能な限られた証拠資料を分析対象としています。 2. 弊社は十分な注意を払って多様な情報元から情報を収集していますが、情報元の業務にとって重要な情報が留保ま たは隠ぺいされた、または弊社に不正確に伝達された場合でも、弊社はいかなる損失、損害、費用またはその他の影 響についても責任を負わないものとします。 記事提供:Corporate Catalyst (India) Pvt Ltd (2016 年 1 月 20 日作成) 3 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania Ⅱ.ミャンマー:会社法改正と新投資法制定などに関する最新状況 1. 外国投資法制の改正状況~改正会社法および新投資法のドラフトを踏まえて (1)会社法の改正について (a)法案の状況 2015 年 12 月、投資企業管理局(DICA)はウェブサイトにおいて、ミャンマー会社法(The Myanmar Companies Act)の改正に関して、ミャンマー連邦法務長官府(Union Attorney General's Office)に よるコメントを踏まえた修正後のドラフト(以下、改正会社法ドラフト)を公表しました。上記修正 がなされる前のファースト・ドラフトは 2015 年 6 月に公表されていたものですが、その後、実質的 な追加や変更はほとんどなく、主に定義規定の整理などの形式的な修正にとどまっています。 (b)現行法からの主な変更点 改正会社法ドラフト上、現行法からの変更点のうち特に重要と考えられるものは、以下の通りです。 ①「外国会社」の定義の変更 現行法においては「外国会社」は、その株式の 1 株でも外国人または外国会社が保有する会社 を指すと規定されています。改正会社法ドラフトでは別途、Notification などで指定される割合 を超えて外国人または外国会社がその株式を保有する会社を「外国会社」とする旨、定義されて います。外国会社に該当するメルクマールとなる具体的な持ち分比率は未定ですが、現時点では 35%となる可能性が高いとの情報もあります。改正会社法ドラフトにおいては、外国会社である か国内会社であるかによる会社法適用の区別はほとんどありません。しかし、外国会社の定義は 後述する新投資法における外国投資家の定義に影響を与える他、外国人による不動産の保有・長 期賃借を禁止する不動産譲渡制限法の解釈に影響を与える可能性があります。このように「外国 会社」の定義の変更は、会社法以外の法令との関係で特に注目される改正内容です。 ② 営業許可(Permit to Trade)の撤廃 現行法においては、外国会社の設立に際して、DICA より営業許可を取得する必要があるとさ れています。従前ミャンマーでは、trading を事業内容とする外国会社には営業許可が下りない など、営業許可の制度は事実上の外資規制となっていました。改正会社法ドラフトにおいては、 営業許可の制度は規定されておらず、外国会社の設立に関する営業許可取得のプロセスは廃止さ れることになります。 ③ 外国会社による子会社設立の解禁 現行法においては、外国会社による子会社の設立は実務上認められないと解釈されてきました。 この点について、改正会社法ドラフトにおいては、外国会社による他の会社の株式保有が認めら れることが明文化されています。これにより、外国会社による子会社の設立が認められることに なります。 4 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania ④ 一人会社の許容 現行法上、株主の人数について、最低 2 人必要であるとされていますが、改正会社法ドラフト では最低 1 人と定められています。これにより、いわゆる一人会社の設立も認められることにな ります。 ⑤ 現物出資に関する規制の新設 現行法上、現物出資の実施に関して特段の規制はなかったものの、不公正な実施については取 締役の善管注意義務の問題となり得ると解釈されていました。改正会社法ドラフトにおいては、 現物出資財産の価値および評価根拠の記録が取締役会の義務として規定されており、その合理性 の確保に関して取締役会が一定の責任を負う旨が明文化されています。 (2)新投資法の制定について (a)法案の状況について ミャンマーにおいては現在、投資活動に関する規制について、国内会社に関しては国内投資法 (Myanmar Citizens Investment Law)、外国会社に関しては外国投資法(Foreign Investment Law) がそれぞれ適用されています。この二つの法律を統合し、国内会社か外国会社であるかを問わずミャ ンマーで行われる投資活動に関して適用される法律として、新投資法の制定に向けた検討が進められ ています。 (b)現行法からの主な変更点 新投資法ドラフトによると、外国会社によるミャンマー投資委員会(MIC)からの投資許可の取得 に関する考え方について、現在の外国投資法の下での運用に関して以下のような変更が生じるものと 考えられます。 現在の外国投資法では、外国会社のミャンマーへの進出に際して MIC による投資許可を受けるか どうかは原則として当該会社の自由であり、外国投資法に定める租税優遇措置や一定の規制の適用免 除を受けるためには MIC から投資許可を受ける必要がある、という規制体系となっています。外国 会社に適用される規制のうち特に重要な点として、不動産譲渡制限法に基づく外国会社による不動産 の所有および 1 年間を超えるリースの禁止があります。係る規制については、MIC の投資許可を受 けた場合にのみ、例外として、外国会社であっても 1 年間を超える(具体的には最長 50 年間で、10 年 間の延長が 2 回まで認められます)の不動産リースを受けることができます。従って、製造業などミ ャンマーでの事業実施の大前提として不動産の長期利用権を確保することが求められる投資案件にお いては、MIC の投資許可を受けることが事実上、不可欠となっているのが現状です。 これに対し、新投資法ドラフトの規定では、MIC による投資許可を受けたか否かにかかわらず、投 資家(外国投資家も含む)による不動産の長期リースが権利として明記されており、外国投資家によ る当初の長期リース期間についても 50 年間可能とされています。また、投資の際の手続きについて は、規定では明確でない部分もあるものの、従前の規定や解釈を総合して考えると、以下の通りとな ると考えられます。 5 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania ①国にとって戦略的かつ重要性がある事業など一 MIC の投資許可を取得することが必要(国内会 定の事業への投資 社・外国会社ともに) ②上記①以外の事業への投資 MIC の確認を得ることが必要(優遇措置を得たい 場合、外国会社が長期の不動産リースを行いたい 場合*) MIC の手続き不要(*以外の場合) 上記②の場合に、MIC の「確認」を得る手続きは明確ではありませんが、「許可」と「確認」を使 い分けていることからすると、申請をすれば基本的には確認が得られる手続きを想定しているように 思われます。 なお、新投資法ドラフトでは、従前の外国投資法で義務付けられていた熟練労働者に関するミャン マー人の雇用義務も設けられていないなど、投資手続き以外にも着目すべき点が存在します。 (3)今後の見通しについて 2016 年 1 月 25 日現在、DICA のウェブサイトにおいては、改正会社法ドラフトおよび新投資法ド ラフトが現時点での法案として公表されているのみであり、その具体的な審議のスケジュールや制定 のタイミングについては現地の報道などでも明らかにされていませんが、一般的な見方として、いず れも 2016 年半ばから後半にかけての成立が見込まれています。 上記に指摘した事項は、外国会社によるミャンマーへの投資実施の前提となる関連規制の改正であ り、従前の取り扱いに大きな影響を及ぼすものが含まれていることから、今後も引き続きその動向を 注視していく必要があります。 2. 印紙税の罰則金免除の決定~2016 年 3 月 31 日までの期間限定 2016 年 1 月 15 日、財務歳入省内国歳入局(Internal Revenue Department)は、印紙税法(Stamp Duty Act)に基づく正当な印紙税額を納付しなかった場合に課される罰則金について、2016 年 3 月 31 日ま での期間、その支払いを免除する旨を発表しました。 印紙税法上、合弁契約やリース契約などの契約書や株式譲渡書面(Share Transfer Form)など一定の 書面の作成に当たっては、原則として、その締結までに同法の定めに従って算出される税額に相当する 印紙を貼付しなければならないとされています。印紙が正しく貼付されていない書面に関しては、証拠 として用いることができず、登録や登記の手続きにおいて当局が受理しないこととされています。そし て、事後的に印紙税の支払いを行う場合には、本来支払うべき印紙税額の他、その 10 倍の金額の罰則金 も支払うことが必要と定められています。 上記の発表においては、正しい印紙税の納付がなされていない全ての書面(印紙が全く貼付されてい ない場合に限らず、貼付されている印紙の金額が不足している場合も含みます)については、その不足 額の支払いに関して所轄の税務署に確認しなければならない旨を通知するとともに、このような支払い を行う場合に印紙税法上求められる上記罰則金の支払いについて、2016 年 3 月 31 日までの期間免除す ることが明記されています。 6 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania 上記の通り、印紙税法上は、納税期限を徒過した場合や納税額が不足していた場合などについて、本 来納付すべき金額の 10 倍という高額な罰則金の支払いを求めていることから、印紙税未納付の書面につ いても、罰則金の支払いを避けるために事後的な納付は行わず未納付のままとしておく対応が取られて いる場合もあると推測されます。2016 年 3 月 31 日までの期間であれば、罰則金を支払うことなく印紙 税の事後納付も可能であることから、過去の課税文書において印紙貼付がなされていない場合には、こ の期間内に対応すべく、印紙税が未納付となっている文書がないか確認することが望ましいと思われま す。 3. コンドミニアム法のミャンマー連邦議会通過 2016 年 1 月 22 日、コンドミニアム法がミャンマー連邦議会を通過しました。この後、大統領の署名 を経て法律として正式に施行されることとなります。ミャンマー法では建物は土地の一部と見なされる ため、建物の一室を所有権や取引の対象とすることは厳密には不可能でしたが、コンドミニアム法の適 用を受ける建物については、建物の一室が独立した所有権・取引の客体となることが認められました。 また、前述の通り、ミャンマーでは不動産譲渡制限法に基づき、外国人による不動産の所有は禁止され ていますが、コンドミニアム法はこの例外として、外国人にも一定の限度で不動産所有を認める画期的 な法律といえます。ただし、無制限な適用が認められているわけではなく、適用地域がネピドー、ヤン ゴン、マンダレーの開発領域に限定されること、外国人が所有できる部屋はコンドミニアムの 6 階以上 の部屋で、全体の 40%を超えない範囲に限られるなど、さまざまな制限が付されています。法律の全体 像や運用については、今後も注視する必要がありますが、同法がミャンマーの不動産市場に大きな影響 を与えることは間違いないと思われます。 記事提供:森・濱田松本法律事務所 弁護士 武川丈士 弁護士 眞鍋佳奈 弁護士 井上淳 (2016 年 1 月作成) ※本稿は法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、弁護士の適切な助言 を求めて頂く必要があります。 7 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania Ⅲ.各国トピックス 【ミャンマー】新政権発足=大統領にティン・チョー氏、スー・チー氏も入閣 3 月 15 日、ミャンマーの次期大統領選出のため上下両院の全議員による投票が行われた。大統領には、 与党、国民民主連盟(NLD)党首アウン・サン・スー・チー氏の側近で元経済官僚のティン・チョー氏が 選出された。民間人が国家元首を務めるのは 1962 年のクーデター以降初めて。 また、後日ティン・チョー次期大統領は閣僚名簿を議会に提出、スー・チー氏の入閣が明らかになった。 スー・チー氏には外国籍を持つ二人の息子がいることから憲法上大統領にはなれない。その為側近である ティン・チョー氏を大統領に据え、実質的にスー・チー氏が実権を握り、国を統率すると見られる。 30 日の大統領就任式を経て、4 月 1 日に新政権発足の予定。 【インドネシア】3 カ月連続政策金利引き下げ、6.75%に インドネシア中央銀行は 3 月 16 日、17 日に行われた月例会合で、政策金利を 0.25%引き下げ 6.75%と した。低迷する景気を下支えする。政策金利の引き下げは 3 カ月連続で、6%台は 2013 年 8 月以来の低水 準となった。 その他、翌日物預金ファシリティー金利を 4.75%、翌日物貸出ファシリティー金利を 7.25%とそれぞれ 0.25%引き下げることも発表した。 【インドネシア】未通関貨物の一時保管が実現、物流コスト削減に期待 3 月 10 日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、 「保税物流センター(PLB) 」の導入を発表した。 PLB は輸入原材料や輸出製品を通関せずに保管できる物流施設であることから、関税などの輸入税が免除 になることや、製造拠点の近隣で商材を保管することによる物流コスト削減が期待されている。 インドネシアの投資調整庁(BKPM)のフランキー長官は 14 日、企業名や場所についての明言は避けた ものの、これまでに 12 社が PLB の運営に名乗りをあげていることを明言。今後、同庁と財務省が計画の 実現に向けて協力していくとした。 【マレーシア】メイド以外の外国人労働者の新規受け入れを停止、違反時の罰則も強化 マレーシア政府は 3 月 11 日の閣議で、メイド以外の外国人労働者の新規受け入れ停止を発表し、即実施 した。ザヒド副首相兼内相は、 「新規に外国人を雇用したい場合、国内にいる既存の外国人労働者を雇うべ き」と述べ、国内の不法外国人労働者の合法化を促進する考えを強調した。 政府は、先月から、国内の不法外国人労働者に対して正規労働ビザを交付する「再雇用プログラム」を 実施していたが、各業界の反応が鈍く、手続期限を当初の 12 月末から 6 月末へ短縮することもあわせて発 表した。同副首相は、これまでの不法就労外国人を雇った企業に対する軽微な罰則も改善し、今後違反し た際は人身売買罪や密入国罪として厳しく取り締まる方針も明らかにした。外国人労働者の新規受け入れ 停止は、国内での労働力確保と、不法外国人労働者の合法化が完了するまで継続する見込み。 8 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania 【シンガポール】「パイオニア・インセンティブ」の優遇対象を改正 3 月 14 日、シンガポール議会は経済拡大支援法の改正を承認した。今回改正されたのは、シンガポール に経済的利益をもたらす高付加価値事業を営む企業に対して最大 15 年間法人税を免除する優遇税制「パイ オニア・インセンティブ」の対象範囲。優遇対象をこれまでの「企業全体」から「個別事業」に拡大し、 外国直接投資の促進を狙う。また、 「最長 20 年間」の軽減税率が適用される「開発・拡張優遇インセンテ ィブ(DEI) 」についても、優遇対象をこれまでの「企業全体」から「個別事業」に拡大する。 【ベトナム】2015 年財政赤字 256 兆ドン、原油価格下落など背景に最低水準 ベトナムの計画投資省は 2015 年の財政赤字額が 256 兆ドン(約 1 兆 3,035 億円)になったと発表した。 対国内総生産(GDP)比 6.1%を記録し、政府の当初目標の 5%を超過した。 2015 年の財政赤字額拡大の主な要因は原油価格の下落。ベトナムの法人納税額 1 位・2 位は国営の石油 会社である為、原油価格が税収に大きく影響する。ベトナム政府は原油価格の国際価格を 1 バレルあたり 100 米ドルを想定して 2015 年の予算編成を行っていたが、2015 年 12 月には 1 バレルあたり 40 米ドルを切 る水準まで下落。その結果、法人税収の減少につながった。 原油価格が引続き低迷基調にあることや、ベトナム政府が税収・手数料収入を年 10%のペースで拡大さ せる方針を打ち出していることなどから、今後税務当局の法人税や個人所得税の徴税がより厳密なものと なる可能性があると報じられている。 (各国トピックスの出所)各国政府・業界団体発表、各種報道 9 BTMU Global Business Insight Asia & Oceania Ⅳ.主要各国の経済指標 インドネシア 単位 2013 2014 2015 2015/2Q 2015/3Q 2015/4Q 実質GDP成長率 % 5.6 5.0 4.8 4.7 4.7 5.0 インフレ率 % 6.4 6.4 6.4 7.1 7.1 4.8 貿易収支 百万米ドル -4,077 -2,199 6,613 2,082 2,741 444 経常収支 百万米ドル -29,109 -27,499 -17,761 -4,296 -4,190 -5,115 政策金利 % 7.50 7.75 7.50 7.50 7.50 7.50 外国為替相場 対米ドル 10,438 11,881 13,398 13,127 13,863 13,766 (出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、インドネシア中央銀行など) Dec-15 マレーシア 単位 2013 2014 2015 2015/2Q 2015/3Q 2015/4Q 実質GDP成長率 % 4.7 6.0 5.0 4.9 4.7 4.5 インフレ率 % 2.1 3.1 2.1 2.2 3.0 2.6 貿易収支 百万米ドル 22,437 25,078 23,914 5,553 5,373 7,097 経常収支 百万米ドル 11,205 14,473 8,738 2,072 1,247 2,665 市場金利 % 3.32 3.86 3.84 3.69 3.74 3.84 外国為替相場 対米ドル 3.150 3.273 3.907 3.659 4.058 4.283 (出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、マレーシア中銀など) Dec-15 フィリピン 単位 2013 2014 実質GDP成長率 % 7.1 6.1 インフレ率 % 2.9 4.2 貿易収支 百万米ドル -5,713 -3,296 経常収支 百万米ドル 11,384 10,917 市場金利 % 0.00 1.42 外国為替相場 対米ドル 42.45 44.40 (出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、IMFなど) 2015 2015/2Q 2015/3Q 2015/4Q 5.8 5.8 6.1 6.3 1.4 1.7 0.6 1.0 -8,037 -384 -3,882 -2,318 2,994 658 1.84 2.14 1.51 1.84 45.50 44.67 46.05 46.87 Dec-15 タイ 単位 2013 2014 2015 2015/2Q 2015/3Q 2015/4Q 実質GDP成長率 % 2.7 0.8 2.8 2.7 2.9 2.8 インフレ率 % 2.2 1.9 -0.9 -1.1 -1.1 -0.9 貿易収支 百万米ドル 6,661 24,583 34,593 7,860 9,616 9,637 経常収支 百万米ドル -5,169 15,418 34,839 6,119 7,225 13,055 政策金利 % 2.25 2.00 1.50 1.50 1.50 1.50 外国為替相場 対米ドル 30.72 32.48 34.26 33.25 35.25 35.83 (出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、タイ中央銀行、国家経済社会開発委員会など) Dec-15 ベトナム 単位 2013 2014 2015 2015/2Q 2015/3Q 2015/4Q 実質GDP成長率 % 5.4 6.0 6.7 6.5 6.8 7.0 インフレ率 % 6.6 4.1 0.6 1.0 0.5 0.3 貿易収支 百万米ドル 0 2,368 -4,111 -1,230 -361 199 経常収支 百万米ドル 7,745 9,359 691 655 金利 % 7.00 6.50 6.50 6.50 6.50 6.50 外国為替相場 対米ドル 21,030 21,199 21,923 21,713 22,150 22,429 (出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、ベトナム統計局、中央銀行、IMFなど) Dec-15 インド 単位 2012年度 2013年度 2014年度 2015/2Q 2015/3Q 2015/4Q 実質GDP成長率* % 5.6 6.6 7.2 7.6 7.7 7.3 インフレ率 % 7.4 6.0 2.0 -2.3 -4.6 -2.2 貿易収支 百万米ドル -190,336 -135,798 -137,484 -32,194 -35,059 -31,730 経常収支 百万米ドル -87,843 -32,358 -26,731 -6,128 -8,214 政策金利 % 7.50 8.00 7.50 7.25 6.75 6.75 外国為替相場 対米ドル 54.41 60.47 61.15 63.46 64.98 65.92 *『実質GDP成長率』は新(2011年)基準且つ、市場価格ベース。 (出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、RBI、中央統計局など) Dec-15 10 Jan-16 3.4 -161 4.1 51 7.50 13,845 7.25 13,887 Jan-16 2.7 1,866 3.5 3.84 4.280 3.79 4.340 Jan-16 1.5 603 1.3 1.84 47.23 1.68 47.51 -0.9 3,220 4,879 1.50 36.01 Jan-16 -0.5 2,636 4,066 1.50 36.14 Jan-16 0.6 -563 0.8 765 6.50 22,503 6.50 22,407 Jan-16 -0.7 -11,664 -0.9 -7,639 6.75 66.58 6.75 67.30 Feb-16 備考 前年(同期)比 4.4 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比 7.00 BI金利、期末値 13,510 期中平均 Feb-16 備考 前年(同期)比 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比 3.74 銀行間(3カ月物)、期末値 4.181 期中平均 Feb-16 備考 前年(同期)比 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比 1.51 TB、期末値 47.64 期中平均 Feb-16 備考 前年(同期)比 -0.5 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比 1.50 翌日物レポ金利、期末値 35.61 期中平均 Feb-16 備考 前年(同期)比 1.3 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比 100 6.50 リファイナンスレート、期末値 22,326 期中平均 Feb-16 備考 前年(同期)比 卸売物価指数(WPI)、前年(同期)比 6.75 レポレート、期末値 68.21 期中平均 (作成日:2016年3月23日) BTMU Global Business Insight Asia & Oceania (編集・発行) 三菱東京 UFJ 銀行 国際業務部 (照会先)橋本 昌太郎 北村 広明 (e-mail): [email protected] 本レポートのバックナンバーは、以下の URL からご覧いただけます。 http://www.bk.mufg.jp/houjin/kokusai_gaitame/report/index.html ・本資料は情報提供を唯一の目的としたものであり、金融商品の売買や投資などの勧誘を目的としたものではありません。 本資料の中に銀行取引や同取引に関連する記載がある場合、弊行がそれらの取引を応諾したこと、またそれらの取引の実 行を推奨することを意味するものではなく、それらの取引の妥当性や、適法性等について保証するものでもありません。 ・本資料の記述は弊行内で作成したものを含め弊行の統一された考えを表明したものではありません。 ・本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、その正確性、信頼性、完全性を保証するものではあ りません。最終判断はご自身で行っていただきますようお願いいたします。本資料に基づく投資決定、経営上の判断、そ の他全ての行為によって如何なる損害を受けた場合にも、弊行ならびに原資料提供者は一切の責任を負いません。実際の 適用につきましては、別途、公認会計士、税理士、弁護士にご確認いただきますようお願いいたします。 ・本資料の知的財産権は全て原資料提供者または株式会社三菱東京 UFJ 銀行に帰属します。本資料の本文の一部または全部 について、第三者への開示および、複製、販売、その他如何なる方法においても、第三者への提供を禁じます。 ・本資料の内容は予告なく変更される場合があります。 ~アンケート実施中~ (回答時間:10 秒。回答期限:2016 年 4 月 25 日) https://s.bk.mufg.jp/cgi-bin/5/5.pl?uri=PG26FV 11