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2007 年度 第 5 回 大学院雑誌会要旨
2007 年度 第 5 回 大学院雑誌会要旨 環境科学院地球圏科学専攻 惑星系物質科学コース,雪氷・寒冷圏科学コース 場所:低温科学研究所講堂(3F) 日時:2007 年 7 月 13 日(金) 司会:戸井田、西村、宮崎 発表者:阪口 絵理奈(陸圏環境科学コース M1) 著者名:Pavel Ya.Groisman, Richard W.Knight, Vyacheslav N. Razuvaew, Olga N.Bulygina, and Thomas R.Karl 論文題目:State of the Ground: Climatology and Changes during the Past 69 Years over Northern Eurasia for a Rarely Used Measure of Snow Cover and Frozen Land 雑誌名:Journal of Climate, 19, 4933-4955, 2006 要旨:20 世紀ユーラシア北部にわたる気候変化は、積雪深・期間などの現地観測に加え、前ソビエ ト観測所周辺の 1 日 1 回もしくは 2 回の地表状態の資料を含む記録書で明らかにされている。この 資料には土壌の凍結・乾燥・湿潤状態や水たまり・積雪地域、また積雪地域における雪の特徴が書 かれている。この研究では 1936〜04 年の積雪、凍結・不凍結状態、時間変化を気候学的に見積も るために NCDC と共同で作られたソビエト 2100 観測所の新データネットワーク(GSDN)やロシ ア水文気象情報機関(RIHMI)を用いた。また積雪地域の衛星データとの比較も行った。その結果 20 世紀後半ユーラシア北部の広範囲にわたって不凍結地域の増加がみられた。最も優位な変化はシ ベリアと極東北緯 55°地域での 4・5 月の 3〜5 日間の増加であった。また高緯度地域の地表面温度 の変化は単調ではないため線形トレンド分析は矛盾した結果であった。特に積雪地域の変化は温暖 化とは関係が見られなかった。 発表者:久野 友靖(水文気象グループ M1) 著者名:J. I. Lopez-Moreno and J. Latron 論文題目:Influence of canopy density on snow distribution in a temperate mountain range 雑誌名:Hydrological Processes, (in press), 2007 要旨:ピレネー山脈では降雪線上に森林地帯が広がっているにも関わらず、積雪量に対する森林樹 冠の影響については研究されていない。本論文では積雪量の空間的、時系列的変化に対する森林樹 冠の影響について分析することを目的とし、2004 年 12 月から 2005 年 4 月末の期間、ピレネー山 脈西部のブナ-モミ混交林内 42 点と、そこに隣接する開地で定期的なスノーサーベイを行った。 また、林内観測点毎で撮影した全天写真から開空率を計算して樹冠密度の指標とした。全期間を通 して、林内積雪水量の空間的なばらつきは非常に大きかった。求めた開空率と林内積雪水量を比較 したところ、空間的なばらつきは樹冠密度と良い相関があり、積雪分布予測に対する開空率の有効 性が示された。林内 42 観測点の積雪水量変化の時系列について主成分分析を行ったところ、2 つの 代表的なパターンを得ることができ、それぞれ樹冠密度の大小に起因していることが分かった。 発表者:大竹 秀明(雲科学分野 D3) 著者名:Joshua J. Schroeder, David A. R. Kristovich, and Mark. R. Hjelmfelt. 論文題目: Boundary Layer and Microphysical Influences of Natural cloud seeding on a Lake-Effect Snowstorm. 雑誌名:Monthly weather review, 134, 134 1842-1858, 2006 要旨:米国五大湖付近では、湖が存在することによって lake-effect snowstorm とよばれる降雪雲 が発達する現象が古くから知られており、数多くの研究が行われている。しかしながら、 lake-effect snowstorm の微物理過程に関する詳細な研究はほとんど行われていない。本論文では直 接観測を行い、微物理過程と convective boundary layer (CBL) の発達について報告している。観 測では航空機を用いた直接観測、航空機搭載のレーダー、及びゾンデなどが用いられた。1997 年 12 月に行われたミシガン湖における集中観測の事例では、海面熱フラックスは 100-200Wm^{2}程 度であり比較的弱い事例であった。しかし、CBL の発達率はこれまでに報告されている比較的海 面熱フラックスが大きい事例と比べて、2 倍程度強かった。航空機観測で得られた微物理量をもと に、粒径分布を求めた結果、雲上部からの降雪が natural seeding (種まき効果)の役割を担い、地 上の降水(雪)及び CBL の発達を強めていることが示唆された。