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平成 25 年度 個別外部監査報告書

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平成 25 年度 個別外部監査報告書
平成 25 年度
個別外部監査報告書
神奈川県内広域水道企業団個別外部監査人
目
次
第1 監査の概要 ........................................... 6
1.監査の種類............................................................. 6
2.監査の対象............................................................. 6
3.監査対象年度........................................................... 6
4.個別外部監査の方法..................................................... 6
(1) 監査の視点........................................................... 6
(2) 実施した主な監査手続................................................. 6
5.監査従事者............................................................. 7
(1) 個別外部監査人....................................................... 7
(2) 個別外部監査人補助者................................................. 7
6.監査実施期間........................................................... 7
7.利害関係............................................................... 7
第2 監査対象の事業概要 ................................... 8
1.事業の沿革............................................................. 8
(1) 神奈川県内の水源開発の経緯........................................... 8
(2) 企業団設立の経緯..................................................... 8
2.事業の概要............................................................. 8
(1) 事業の経緯........................................................... 8
(2) 創設事業............................................................. 8
(3) 相模川水系建設事業(第 1 期)......................................... 9
(4) 相模川水系寒川事業................................................... 9
3.組織 ................................................................. 12
(1) 議会................................................................ 12
(2) 執行機関............................................................ 12
(3) 機構................................................................ 13
第3 監査の結果及び意見 .................................. 16
1.組織、人事、労務管理等について........................................ 16
(1) 組織、人事、労務管理等の概要........................................ 16
① 経営改革の取組みの概要............................................. 16
2
② 職員数の状況....................................................... 17
③ 管理職の割合について............................................... 22
④ 給与の状況について................................................. 22
⑤ 手当の支給状況について............................................. 25
⑥ 研修について....................................................... 26
⑦ 議員報酬の状況..................................................... 28
(2) 結果及び意見........................................................ 30
① 5 か年事業計画における職員計画の見直しの必要性について ............. 30
② 交替制勤務手当について............................................. 31
③ 住居手当について................................................... 31
④ 研修体制について................................................... 31
⑤ 第 2 種電気主任技術者資格取得の支援について ......................... 32
⑥ 議員報酬について................................................... 32
2.契約事務について...................................................... 33
(1) 契約事務の概要...................................................... 33
① 契約検査課を経由する契約........................................... 33
② 契約検査課を経由しない契約......................................... 38
(2) 結果及び意見........................................................ 38
① 契約検査課を経由する契約........................................... 38
② 契約検査課を経由しない契約......................................... 39
3.会計処理について...................................................... 40
(1) 会計処理の概要...................................................... 40
(2) 結果及び意見........................................................ 43
① 新しい地方公営企業会計基準への対応................................. 43
② 修繕引当金......................................................... 45
③ 退職給与引当金..................................................... 47
④ 神奈川広域水道サービス株式会社の株式譲渡について ................... 50
⑤ その他引当金・PCB 処理費用について ................................. 52
4.財政状況について...................................................... 54
(1) 将来の財政収支計画の概要............................................ 54
(2) 平成 24 年度における財政状況の概要................................... 55
① 企業団の財政状況................................................... 55
② 企業団の損益状況................................................... 55
③ 企業団の財政収支状況............................................... 56
(3) 結果及び意見........................................................ 58
① 30~40 年の中長期における財政収支の検討 ............................ 58
3
② 更新需要等に備えた資金留保のあり方................................. 58
5.資産管理について...................................................... 60
(1) 資産の概要.......................................................... 60
(2) 資産管理の概要...................................................... 61
① 構築物及び施設の修繕、更新、耐震化計画............................. 61
② 管路の修繕、更新、耐震計画......................................... 66
(3) 結果及び意見........................................................ 67
① 情報の収集・整理・データベース化................................... 67
② 水道施設の診断と評価............................................... 69
③ 未利用・低利用資産................................................. 69
④ 公舎の利用について................................................. 70
⑤ 丹沢荘のあり方について............................................. 71
⑥ アセットマネジメントの導入に向けて................................. 75
6.危機管理体制について.................................................. 78
(1) 危機管理体制の概要.................................................. 78
① 危機管理対策計画について........................................... 78
② 原水・浄水の相互融通体制の構築について............................. 83
③ 地震、津波、液状化被害等に対する対策について ....................... 85
④ 火山灰の降灰について............................................... 88
⑤ 災害などに対応した保険の付保状況について ........................... 88
⑥ 施設耐震化事業基本計画について..................................... 88
⑦ 管路等保全対策..................................................... 90
(2) 結果及び意見........................................................ 93
① 危機管理対策計画について........................................... 93
② 原水・浄水の相互融通体制の構築について............................. 93
③ 地震、津波、液状化被害等に対する対策について ....................... 94
④ 火山灰の降灰について............................................... 95
⑤ 施設耐震化事業基本計画について..................................... 96
⑥ 管路等保全対策..................................................... 97
7.システム関係について................................................. 100
(1) 情報システムの概要................................................. 100
(2) 結果及び意見....................................................... 100
① 情報システムを統括する組織について................................ 100
② 情報セキュリティ実施手順について.................................. 101
③ 情報資産の分類について............................................ 102
8.神奈川広域水道サービス株式会社について............................... 104
4
(1) 神奈川広域水道サービス株式会社の概要............................... 104
① 会社の沿革........................................................ 104
② 事業の概要........................................................ 104
(2) 結果及び意見....................................................... 105
① 組織、人事について................................................ 105
② 契約事務について.................................................. 106
③ 出納管理・会計処理について........................................ 107
④ 資産管理について.................................................. 110
5
第1
監査の概要
1.監査の種類
地方自治法(以下「法」という。)第 252 条の 41 第 1 項に規定する長からの要求に係
る個別外部監査
2.監査の対象
神奈川県内広域水道企業団(以下「企業団」という。)及び出資団体における財務に
関する事務の執行及び経営に係る事業の管理について
3.監査対象年度
平成 24 年度(但し、必要に応じて過年度及び平成 25 年度についても対象とした。
)
4.個別外部監査の方法
(1) 監査の視点
企業団及び出資団体における財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理に
ついて、次の諸点に留意し、経済性、効率性及び有効性の観点を重視して監査を実施し
た。
①
関係法令に基づき適正に行われているかどうか。
②
法第 2 条第 14 項の趣旨に則り、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経
費で最大の効果を求めて行われているか。
③
法第 2 条第 15 項の趣旨に則り、
組織及び運営の合理化に努めて行われているか。
(2) 実施した主な監査手続
実施した主な監査手続は、次のとおりである。
①
関係帳簿及び証拠資料の閲覧及び照合
②
関係者からの状況聴取(前回の個別外部監査の指摘事項の改善状況含む)
③
現地視察
④
その他必要と認められた監査手続
6
5.監査従事者
(1) 個別外部監査人
川越
靖彦
公認会計士
(2) 個別外部監査人補助者
大和
哲夫
公認会計士
種村
隆
公認会計士
大坪
秀憲
公認会計士
田中
淳
公認会計士
小椋
健一
公認会計士
山口
裕司
公認会計士
谷越
隆秀
公認会計士
能登
景子
公認会計士
岡部
覚
公認情報システム監査人
6.監査実施期間
平成 25 年 7 月 25 日から平成 25 年 12 月 20 日まで
7.利害関係
神奈川県内広域水道企業団と個別外部監査人及び補助者との間には、法第 252 条の 29
に定める利害関係はない。
7
第2
監査対象の事業概要
1.事業の沿革
(1) 神奈川県内の水源開発の経緯
神奈川県内の水道事業は、
明治 20 年に日本で最初の近代水道が横浜に完成して以来、
大正時代までに横須賀市と川崎市で近代水道が完成し、昭和 8 年には日本で最初の広域
水道として神奈川県営(湘南)水道が給水を開始した。
当初は各水道事業体による水源の単独確保により事業が行われていたが、戦後の京浜
地帯の人口増加や工業用水の増大、高度経済成長期の急激な発展に対処すべく、相模川
水系における共同事業へとその形態を移行していった。
(2) 企業団設立の経緯
神奈川県、横浜市、川崎市及び横須賀市(以下「構成団体」という。)は、主要水源
として相模川水系を共同で開発し水道水を供給していたが、昭和 50 年代に予測された
県内の水不足に対処すべく、相模川水系とは別に、新たな水源として酒匂川を開発する
こととした。そして、水道用水の広域的な有効利用を図り、重複投資を避け、施設の効
率的配置並びに国の補助金の導入を図るため、構成団体はその経営主体として、地方自
治法に基づく一部事務組合としての神奈川県内広域水道企業団を昭和 44 年 5 月に設立
した。
2.事業の概要
(1) 事業の経緯
企業団は、酒匂川と相模川の 2 つの水系を水源として、構成団体の水道事業を通じて、
大規模水道用水供給事業者として神奈川県民の生活基盤を支える水道用水を供給して
いる。企業団はいわば、「水道水専門の卸メーカー」としての役割を果たしており、そ
の供給量は構成団体の総給水量の約 2 分の 1 を占める状況にある。
企業団が設立された当初は、高度経済成長により増大が見込まれる水需要に対処する
ために、いかに施設整備を実施していくのかということが喫緊の課題であった。その後
40 年近く経過した今日においては、企業団は、酒匂川を水源とした創設事業、その後に
行われた相模川を水源とする相模川水系建設事業(第 1 期)で整備した水道施設を利用
する直営事業、相模川水系寒川事業により水道用水の供給を行う暫定事業に係る施設整
備を終え、これらの事業を安定的に実施するための施設の維持管理及び更新に注力して
いる。
(2) 創設事業
「創設事業」は、神奈川県最後の水源ともいわれていた県西部を流れる「酒匂川」を
8
水源として、構成団体に 1 日最大 145 万 4,800 ㎥の水道用水を供給する体制を整えるた
めに行った建設事業である。昭和 44 年に厚生大臣(現厚生労働大臣)から水道用水供
給事業の認可を受け、昭和 53 年度までの継続事業(総事業費約 2,891 億円)として行
った。
この事業は、神奈川県が計画した酒匂川総合開発事業のうち、水道事業を企業団の「創
設事業」として実施し、酒匂川の支流である河内川の上流に水源となる三保ダムを築造
し、下流の小田原市飯泉地点に飯泉取水堰を設け、導水施設としてポンプ場、導水トン
ネル・導水管、水路橋、浄水施設として伊勢原浄水場、相模原浄水場、西長沢浄水場、
送水施設として 9 池の調整池、延長約 111 ㎞の送水管などを建設した。昭和 49 年に一
部給水を開始し、昭和 54 年に全量供給体制が整った。
(3) 相模川水系建設事業(第 1 期)
県内の水需要は、創設事業完了後も人口の増加、生活水準の向上などに伴って引き続
き増加するものと予想されたため、企業団と構成団体は、昭和 50 年 11 月、建設省(現
国土交通省)が相模川水系中津川に建設計画を進めていた宮ヶ瀬ダムに水源を求め、新
規に開発される日量 130 万㎥の利水者を企業団とすることで合意し、昭和 55 年 3 月、
「相
模川水系建設事業」に着手した。
「相模川水系建設事業」は、最終的には構成団体に 1 日最大 120 万 9,000 ㎥の水道用
水を供給する計画であったが、まずは第 1 期事業(総事業費約 7,329 億円)として、1
日最大 57 万 7,500 ㎥の供給体制を整えるための建設工事を、昭和 55 年度から平成 19
年度までの工期で実施した。新たな基幹施設として相模大堰、社家ポンプ場、綾瀬浄水
場を建設したほか、既存の相模原浄水場を増強した。送水施設としては、10 池の調整池
を築造し、延長約 94 ㎞の送水管を布設した。平成 10 年 7 月に一部給水を開始し、平成
18 年 4 月に全量供給体制が整った。
(4) 相模川水系寒川事業
相模川水系建設事業における宮ヶ瀬ダム開発水(1 日最大給水量 120 万 9,000 ㎥)の
うち、第 1 期事業分である 57 万 7,500 ㎥/日を除いた残りの開発水量のための施設整備
については、第 2 期事業で行うこととなっているが、構成団体との協議の結果、安全な
水の安定給水に支障がないと判断される間、第 2 期事業の計画は策定せず、企業団が構
成団体の既存の施設(寒川取水施設など)を暫定的に使用して、用水供給することとな
った。このため、平成 13 年 4 月から、神奈川県、横浜市及び横須賀市に浄水処理等を
委託し、それぞれの団体に合計 1 日最大 62 万 100 ㎥ の水道用水を供給する「相模川水
系寒川事業」を実施している。また、平成 15 年 4 月からは、水道法改正によって制度
化された第三者委託として、神奈川県及び横浜市との間に水道の管理に関する技術上の
業務の委託契約を締結し、同事業を行っている。
9
【資料 2-2-1】創設事業及び相模川水系建設事業(第 1 期)のイメージ
(出典:企業団作成資料)
10
【資料 2-2-2】創設事業及び相模川水系建設事業(第 1 期)の概要(出典:企業団作成資料)
創設事業
計画1日最大給水量:1,454,800m
3
工期:昭和44年度~昭和53年度、総事業費:約2,891億円
分 類
施 設
内
容
三保ダム
形式 土質遮水壁型ロックフィルダム 堤高 95m、多目的ダム(治水、水道、発電)
(丹沢湖)
総貯水容量 6,490万m3、有効貯水容量 5,450万m3、湛水面積 2.18km 2
飯泉取水堰
型式 可動堰、堰長 342.5m
取水口、沈砂池
取水位 TP+8.4m、有効容量34,000m3
導水ポンプ
飯泉ポンプ場(6,500kW×4台)、相模原ポンプ場(4,600kW×4台)、
伊勢原揚水ポンプ(690kW×4台)
導水管
内径3,100㎜~2,600㎜ 総延長約12,338m
導水トンネル
幅、高さ共3.8m 馬蹄型コンクリート造り他 延長29,867m
水路橋
幅3.4m×高さ3.8m 鋼製箱桁型 延長873m
伊勢原浄水場
施設能力 220,000m3/日、敷地面積 65,254m2
(貯水施設)
取水施設
導水施設
浄水施設
相模原浄水場
施設能力 406,600m3/日(527,600m3/日へ増強完了<H18.4>)、
敷地面積 229,516m2
西長沢浄水場
施設能力 937,700m3/日、敷地面積 125,906m2 (着水井は川崎市施設。)
送水管
内径2,800mm~内径700mm 総延長約111,100m
送水ポンプ
相模原送水ポンプ所(高架調整池揚水用900kW×4台)
調整池
9池 合計容量273,600m 3
給水地点
22か所
送水施設
相模川水系建設事業(第1期)
計画1日最大給水量:577,500m
3
工期:昭和55年度~平成19年度、総事業費:約7,329億円
分 類
施 設
内
容
宮ヶ瀬ダム
形式 重力式コンクリートダム 堤高 156m、多目的ダム(治水、水道、発電)
(宮ヶ瀬湖)
総貯水容量 1億9,300万m3、有効貯水容量 1億8,300万m3 、湛水面積 4.6km2
相模大堰
型式 可動堰、堰長 495m
取水口、沈砂池
取水位 TP+10.0m、有効容量19,110m3
導水ポンプ
社家ポンプ場(綾瀬浄水場系1,500kW×4台 、伊勢原浄水場系1,300kW×2台)
導水管
内径2,600mm~1,650mm 総延長約14,100m
綾瀬浄水場
施設能力 500,000m3/日、敷地面積 234,495m2
(貯水施設)
取水施設
導水施設
浄水施設
相模原浄水場(増強) 増強分施設能力 121,000m3/日
送水管
内径2,000mm~内径600mm 総延長約93,700m
送水ポンプ
綾瀬浄水場(横須賀方面1,130kW×4台、大和方面910kW×2台、上今泉方面420kW×3台)、
小雀ポンプ場(1,450kW×1台、1,100kW×2台)、港南台ポンプ場(290kW×3台)、
相模原送水ポンプ所(淵野辺方面200kW×2台、高架調整池揚水用900kW×1台)、
いぶき野ポンプ場(400kW×4台)
調整池
10池 合計容量243,000m3
給水地点
16か所
送水施設
11
3.組織
(1) 議会
企業団は、構成団体に水道用水を供給する一部事務組合であり、地方自治法上の特別
地方公共団体として、各構成団体の議会から選出された議員からなる独立の議会が置か
れている。
企業団の議会議員の定数は 11 人であり、構成団体の議会から選出された議員により
構成されている。議員の任期は構成団体の議会の議員としての任期である。
神奈川県
3人
横浜市
4人
川崎市
3人
横須賀市
1人
(2) 執行機関
「神奈川県内広域水道企業団規約」によれば、企業団の執行機関は、次の 4 つから構
成されている。
① 企業長
企業団に執行機関の長として企業長が置かれている。企業長は、構成団体の長から共
同任命され、その任期は 4 年で、特別地方公共団体の長として企業団を統轄し、これを
代表する。
② 副企業長
企業団に副企業長 1 人が置かれている。副企業長は、企業長が議会の同意を得て選任
し、その任期は 4 年で、企業長を補佐し、企業長に事故があるとき、又は企業長が欠け
たときは、その職務を代理する。
③ 補助職員
企業団に企業長の権限に属する事務の執行を補助する企業職員が置かれており、企業
長が任命し、その定数は条例で 450 人と定められている。
④ 監査委員
企業団に監査委員 2 人が置かれており、企業長が議会の同意を得て選任し、その任期
は 3 年となっている。
また、監査委員に事務局が設置され、事務局長のほか書記等が置かれているが、いず
れも企業職員の併任となっている。
12
(3) 機構
組織としては、総務部及び技術部が条例で置かれ、また各部に課(場・所・センター)
が置かれている。
企業団の機構図、所属別配置職員数及び事務分掌は、以下のとおりである。
【資料 2-2-3】機構図(出典:企業団作成資料)
【機 構 図】 (平成25年4月1日現在)
総 務 部
企業長
副企業長
総
務
課
財
務
課
契
約
検
査
課
浄
水
計
画
課
水 運 用 セ ン タ ー
西 長 沢 浄 水 場
相 模 原 浄 水 場
伊 勢 原 浄 水 場
技 術 部
綾
瀬
浄
水
場
飯泉取水管理事務所
社家取水管理事務所
水質管理センター
施 設 ・電 機 課
議 会
議会事務局
監査委員
監査事務局
13
【資料 2-2-4】所属別配置職員数(出典:企業団作成資料)
(平成 25 年4月1日現在)
区
分
事
務
総
務
課
26(3)
財
務
課
16(2)
術
4(1)
技
能
計(人)
1(1)
31(5)
務
総
技
部
契
約
検
査
課
7
浄
水
計
画
課
10
16(2)
7(1)
水 運 用 セ ン タ ー
14(1)
15
25
29(1)
29(1)
技
2(2)
26(11)
28(13)
相 模 原 浄 水 場
2(1)
31(4)
33(5)
伊 勢 原 浄 水 場
1(2)
23(7)
24(9)
綾
2(1)
26(6)
28(7)
飯泉取水管理事務所
1(2)
23(4)
24(6)
社家取水管理事務所
4
18(5)
術
西 長 沢 浄 水 場
瀬
浄
水
場
部
水質管理センター
20(1)
20(1)
施 設 ・ 電 機 課
31
31
合
計
71(13)
253(41)
注1
企業長、副企業長を除く
注2
( )内は、再任用短時間勤務職員で外数
14
1(1)
325(55)
【資料 2-2-5】事務分掌(出典:企業団作成資料)
(平成 25 年4月1日現在)
部
課
事
務
課
財
務
課
総
総
務
部
契
約
検
査
課
浄
水
計
画
課
水運用 センター
西 長 沢 浄 水 場
技
相 模 原 浄 水 場
術
伊 勢 原 浄 水 場
部
綾
瀬
浄
水
場
飯泉取水管理事務所
社家取水管理事務所
水質管理センター
施 設 ・ 電 機 課
務
分
掌
総務部所掌事務の企画及び調整 、車両の管理、広報、訴訟等の総括 、議会、神奈川広
域水道サービス株式会社、宿泊研修所 (ただし、維持管理については軽易なものに限る。)、
庁舎(場又は所に属する庁舎を除く。)の維持管理 (軽易なものに 限る。)及び取締り、宿泊
研修所及び公舎内の電気設備の維持管理並びに修繕工事の調査、設計及び施行(軽易なも
のに限る。)、人事、組織、権限の委任、給与、旅費、公務災害補償 、研修、福利厚生 、
安全衛生、労働条件、団体交渉 、労働協約、苦情処理、職員の賠償責任、地方職員共済
組合、公舎(ただし、維持管理については軽易なものに限る。)、情報公開、個人情報保護、
法令等の審査及び解釈、業務状況の公表、条例等の原本の整理保存及び公告等、公印、
業務改善、電子計算組織利用業務 (水運用及 び水処理に開するものを除く。 )の総合的企
画・調整及び指導、情報通信 ネットワークの総合的運営管理、財務課及び契約検査課の 庶
務(旅費の支給に開することに限る。)、その他
事業経営に係る基本計画及び重要施策の企画及び総合調整 、事業経営の効率化に係る
企画・調整及び実施、長期財政計画の策定、給水料金の改定、企業償・補助金・出資金
その他資金の調達 、事業経営資料の収集分析及び調査、予算の編成及び執行管理、経理の
指導及び調整、決算、一時借入金の借入れ、出納取扱金融機関、金銭及び有価証券の出
納保管、工事精算の総括、証書類の保管、その他財務事務 の総括・経営に係る調査・企
画及び調整、不動産の取得及び借入れ、不動産の登記、損失補償事務の総括、固定資産
事務の総括、物品(災害用貯蔵品を除く。) 事務の総括
工事・請負・物品調達 その他の契約、指名業者の選定、工事等の設計・監督 に係る指
導及び啓発、設計等の技術審査 、工事の安全点検 、工事及び計画調査業務委託の検査、
工事及び業務委託の設計及び施行に係る基準、その他工事に関する制度の調査及び検討
技術部所掌事務の企画及び調整 、水道技術管理者 の職務、給水料金 の収入調定、水道
用水供給事業 の基本計画の策定及び認可、水道施設の新設・改良及び修繕の計画調査 、
水道技術の調査研究、国及び他の地方公共団体との技術的協議及び連絡調整 、浄水技術
に係る懸案事項の検討、技術研修、ダム負担金及 びダム使用権、災害対策及 び危機管理、
災害貯蔵品事務の総括、水運用センター 及び施設・電機課の庶務一般、その他
取水・導水・浄水・送水量等水運用の計画及び調整、構成団体との 水道用水供給量の
連絡調整、所管する施設の維持管理並びに建設改良工事及 び修繕工事の調査・設計及び
施行(施設・電機課に係る修繕工事 の設計を除く。)並びに施設・電機課に係る建設改良
工事のうち簡易なものの施行、庁舎(場又は所に属する庁舎を除く。)内の電気設備の 維
持管理(軽易なものを 除く。)並びに修繕工事 の調査・設計及び施行、通信設備の保安に
係る運営及び連絡調整
浄水及び送水業務 、所管する施設の維持管理並びに建設改良工事及び修繕工事 の調査・
設計及び施行(施設・電機課に係る修繕工事 の設計を除く。)並びに施設・電機課に係る
建設改良工事 のうち簡易なものの施行、水質検査計画に基づく水質の検査
導水・浄水及 び送水業務、所管 する施設 の維持管理並びに 建設改良工事及び修繕工事
の調査・設計及び施行(施設・電機課に係る修繕工事の設計を除く。)並びに施設・電機課
に係る建設改良工事のうち簡易なものの 施行、水質検査計画に基づく水質の検査
導水・浄水及 び送水業務、所管 する施設 の維持管理並びに 建設改良工事及び修繕工事
の調査・設計及び施行(施設・電機課に係る修繕工事の設計を除く。)並びに施設・電機課
に係る建設改良工事のうち簡易なものの 施行、水質検査計画に基づく水質の検査
浄水及び送水業務 、所管する施設の維持管理並びに建設改良工事及び修繕工事 の調査・
設計及び施行(施設・電機課に係る修繕工事 の設計を除く。)並びに施設・電機課に係る
建設改良工事 のうち簡易なものの施行、水質検査計画に基づく水質の検査
取水及び導水業務 、所管する施設の維持管理並びに建設改良工事及び修繕工事 の調査・
設計及び施行(施設・電機課に係る修繕工事 の設計を除く。)並びに施設・電機課に係る
建設改良工事 のうち簡易なものの施行、水質検査計画に基づく水質の検査
取水及び導水業務、所管する施設の維持管理並びに建設改良工事及 び修繕工事の調
査・設計及び施行(施設・電機課に係る修繕工事の設計を除く。)並びに施設・電機課に
係る建設改良工事のうち簡易なものの施行、水質管理センターの庶務
水質に係る企画・調整 、水源水域の水質調査、水質検査計画に基づく水質の検査、水
処理に係る調査研究、構成団体等との水質に係る連絡調整 、社家取水管理事務所に係る
水質検査計画 に基づく水質管理
建設工事・建設改良工事に係る施設の調査・設計及び施行 (水運用 センター 、場又は
所に係るものを除く。)、修繕工事の調査・設計並びに建設工事・建設改良工事に係る連
絡調整、庁舎(場又は所に属する庁舎を除く 。)
・宿泊研修所及び公舎の維持管理並びに
これら施設その他の建築物の修繕工事の調査・設計及び施行(他課の主管に属するもの
を除く。)、電気工作物 の保安に係る運営及び連絡調整
15
第3
監査の結果及び意見
1.組織、人事、労務管理等について
(1) 組織、人事、労務管理等の概要
① 経営改革の取組みの概要
企業団は、平成 18 年度に策定した「かながわの水道用水供給ビジョン」に基づき事
業運営を行ってきたが、この間の事業運営の変化に対応するため、平成 22 年度に「か
ながわの水道用水供給ビジョン・フォローアップ版(以下「水道ビジョン」という。)」
を新たに策定した。
また、この水道ビジョンに掲げる施策群の実現に向け、当初 5 か年間の実施計画とし
て、「かながわの水道用水供給 5 か年事業計画(以下「5 か年事業計画」)」(計画期間:
平成 23 年度~27 年度)を策定している。
企業団の経営改革の取組みについては、平成 17 年に作成した「経営改革プラン」に
基づき実施されていたが、5 か年事業計画を策定したことに伴い、経営改革プランの目
標達成状況を踏まえ、平成 23 年度以降は、5 か年事業計画の中で経営改革の進捗管理は
実施されている。
5 か年事業計画では、事業運営に対応するための組織体制の確立のため、次の経営目
標を掲げている。
【資料 3-1-1】5 か年事業計画における経営改革(出典:5 か年事業計画より抜粋)
総務部・技術部の 2 部体制の堅持と課レベル組織の改革
総務部・技術部 2 部体制は、全国屈指の用水供給量を抱える企業団にあって、効率的
かつ機動的な事業運営を具現化したものであり、この基本的な組織体制は 5 か年事業計
画中においても維持する一方、水道事業を巡る情勢変化に対応するために、課レベル組
織については、統合あるいは改組を予定します。
職員数の到達目標
事業運営に対応する組織体制の確立と、効率的な事業運営を目指し、排水処理業務、
電算機をはじめとする機器類の保守点検業務、危機管理に対応する警備業務などに関し
ては、事業運営の担い手の一部を、可能な限り「民間」に委ねていきます。
技術の継承
いわゆる団塊の世代の大量退職により、事業運営に支障をきたすことのないように、
現在、次世代への速やかな技術力の移転を行っています。
再任用職員は中堅・若手職員に対する技術面の指導的立場にあって、技術継承を促進
しています。
16
机上演習・実技を中心とする技術研修を継続実施し、水道事業のノウハウを、次代を
担う職員に継承していきます。
② 職員数の状況
経営改革プランとそれに続く 5 か年事業計画では、平成 20 年代の「大量再任用時代」
における人的資源の最適活用と新規補充の抑制による組織スリム化による職員数の削
減(平成 16 年度比約 20%の削減)を目標としているが、組織の人員構成を考慮し、新
規採用を継続しながら組織改革に努めている。また、組織の維持を図るため、採用にあ
たり、経験者の採用年齢制限を 40 歳まで引き上げている。
再任用については、平成 26 年度において 67.2 名(実員数は 84 名)を計画している。
再任用とは、60 歳で定年退職した後、5 年間(年金が支給される 65 歳までの期間)を
上限に勤務する雇用形態であり、再任用短時間勤務職員は定数条例の適用外となる地方
公務員である。再任用短時間勤務職員の勤務時間は週 31 時間を上限としている。
なお、5 か年事業計画においては、常勤職員数の削減目標については見直しを実施せ
ず経営改革プランの目標値のまま進めている。
17
(ア)職員数の推移について
職員数の推移は下記の表のとおりである。
【資料 3-1-2】人員の推移表(出典:企業団作成資料より集計して作成)
常勤職員(人)
再任用(人)
計
経営改革プラン
常勤職員(人)
再任用(人)
計
5か年事業計画
常勤職員(人)
再任用(人)
計
(注)1
2
21年度
397
20.8
417.8
22年度
362
32
394
23年度
342
44
386
24年度
334
45.6
379.6
25年度
-
-
26年度
-
-
400
34.4
434.4
365
56
421
347
73.6
420.6
338
72.8
410.8
326
67.2
393.2
312
80
392
-
-
-
-
-
-
347
46.4
393.4
338
51.2
389.2
326
56.8
382.8
312
67.2
379.2
職員数実績値は全て決算値
再任用職員は短時間勤務職員であり、実員数に 5 分の 4 換算した値
経営改革プラン及び 5 か年事業計画に沿って、業務の効率化と集約化及び新規補充の
抑制を進めた結果、常勤職員数については、目標職員数を下回る状況が続いている。特
に、再任用職員数は計画した人数を下回っている。これは、定年退職者の 8 割程度が再
任用を希望するとした前提に基づいたものであったが、実際には 5 割から 6 割程度の実
績となったことによる。
この結果、常勤職員と再任用職員の合計では、平成 23 年度時点において、既に経営
改革プランにおける平成 26 年度の削減目標を達成している状況となっている。また、5
か年事業計画においても、常勤職員数の削減目標については経営改革プランの目標値の
まま進めているため、常勤職員と再任用職員の合計では、平成 24 年度時点において、5
か年事業計画における平成 26 年度の削減目標をほぼ達成している状況となっている。
18
(イ)年齢別職員数について
年齢別職員数の推移については下記の表のとおりである。
【資料 3-1-3】年齢別職員数(出典:企業団人事行政の運営等の状況)
職員数(人)
年齢(歳)
平成21年4月
時点
平成22年4月
時点
平成23年4月
時点
平成24年4月
時点
平成25年3月
時点
平成25年3月
構成比(%)
(26)
(42)
(56)
(57)
(57)
0
0
0
0
0
0
56~60
106
86
66
54
58
17.3
51~55
46
26
22
31
28
8.4
46~50
32
33
30
25
27
8.1
41~45
29
33
48
55
62
18.6
36~40
70
76
71
68
60
18.0
31~35
54
61
61
64
69
20.7
26~30
52
40
35
37
30
9.0
21~25
10
8
11
4
0
0
18~20
0
0
0
0
0
0
61~65
計
(26)
(42)
(56)
(57)
(57)
399
363
344
338
334
100
※ 括弧書きは再任用短時間勤務職員(実員数)で外数
56 歳から 60 歳が定年退職等により大きく減少した一方で、30 歳代から 40 歳代前半
に片寄りが生じている。また、20 歳代、40 歳代後半から 50 歳代にかけて職員数が少な
い状況となっている。企業団が目標としている年齢構成(各年齢の職員が満遍なく 5 名
から 10 名程度となる構成)とは、かなり相違が生じている状況となっている。
19
(ウ)各職別の人員の変遷
各職別の人員の変遷は下記の表のとおりである。
【資料 3-1-4】各職別の人員の変遷(出典:企業団作成資料)
(単位:人)
常勤
職員
再任用
職員
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H24÷H17
事務
125
119
116
109
102
88
78
74
59%
土木
62
58
56
56
51
51
50
49
79%
設備
215
214
209
210
203
181
174
172
80%
水質
42
41
41
39
41
42
40
39
93%
計
444
432
422
414
397
362
342
334
75%
事務
2
4
3
7
8
13
18
16
800%
土木
1
1
3
2
4
4
400%
設備
6
水質
合計
6
6
8
13
24
30
33
550%
1
2
3
2
1
3
4
-
計
9
11
11
19
26
40
55
57
633%
事務
127
123
119
116
110
101
96
90
71%
土木
63
58
56
57
54
53
54
53
84%
設備
221
220
215
218
216
205
204
205
93%
水質
42
42
43
42
43
43
43
43
102%
計
453
443
433
433
423
402
397
391
86%
(注)1 特別職を除く
2 事務には技能を、土木には建築を、設備には物理及び数学を含む
3 平成20年度の常勤再任用職員は、常勤職員に区分した
4 平成17年度から平成24年度まで、値は全て決算値
職員数の減少では、事務職員の携わる庶務業務の集約化(服務システムの導入等)を
積極的に進めた結果、事務職員の減少率が高くなっている。土木系職員については、企
業団が建設の時代から維持管理の時代に入ったことにより、退職者の補充を減少させて
いることにより減少している。設備職員については、交替制勤務体制の見直しを中心と
した業務執行体制の変更により、維持管理に支障が出ないように徐々に減少させている
としている。
計画的な職員数削減が進む中において、平成 25 年度には上鶴間給水地点の断減水事
故が発生している。この断減水事故は、作業状況を相互に確認できる職員配置又は経
験・技術力のある職員を各作業場に配置して実施すべきところ、これを怠ったことが一
因と考えられる。
20
東日本大震災の発生を機に、当初の 5 か年事業計画における老朽化対策等の重点施策
に加え、防災・危機管理に係る施策の確実な遂行がこれまで以上に重要性を増した環境
下で、重大な事故の発生を防止するリスク管理の観点から、職員のスキル向上とともに、
安全確実な業務の遂行が行えるような組織全体に関わる事項(人員計画・業務体制)の
検証が必要な状況となっていると想定される。
(エ)新規採用について
新規採用者数は下記の表のとおりである。
【資料 3-1-5】新規採用職員数(出典:企業団作成資料)
計画
実績
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
事務(人)
4
0
2
0
2
技術(人)
16
12
12
11
10
計(人)
20
12
14
11
12
事務(人)
3
0
2
0
2
技術(人)
15
12
11
10
9
計(人)
18
12
13
10
11
企業団の採用試験においては、事務系の応募に比べて、技術系の応募が少ない状況が
続いている。一概に、応募者が多ければいいというものではないが、多ければ選択の幅
が広がることも事実であり、最近の採用実績は、採用計画数と実際の採用人数はほぼ一
致している状況となっている。
企業団では、技術系の応募者を増やす方策として、高校・大学への求人活動やインタ
ーネット求人広告に加え、平成 25 年度からインターンシップ制度を導入(平成 25 年度
大学生 3 名、高校生 1 名)している。
21
③ 管理職の割合について
企業団の職員の推移及び管理職の割合は下記の表のとおりである。
【資料 3-1-6】企業団の職員数の推移及び管理職の割合(出典:企業団作成資料)
17年度
21年度
22年度
23年度
24年度
管理職数(A)(人)
121
102
94
86
84
(うち再任用)(人)
(0)
(0)
(0)
(0)
(0)
非管理職数(人)
332
321
308
311
307
(うち再任用)(人)
(9)
(26)
(40)
(55)
(57)
444
397
362
342
334
9
26
40
55
57
453
423
402
397
391
26.7
24.1
23.3
21.6
21.4
再任用以外(人)
合計
再任用(人)
計(B)(人)
管理職割合
(A)/(B)
管理職とは、給料表における 5 級以上の職員にあたり、係長・主幹級以上の職員が該
当する。組織のスリム化(平成 17 年度には 17 課 53 係が存在したが、平成 24 年度には
13 課 31 係となっている。
) に併せて、管理職の退職による減員を上回らないように昇
任を実施したことにより、管理職の人数も 121 人から 84 人に減少している。管理職割
合については、26.7% から 21.4%(経営改革プランにおける平成 26 年度の目標値 20%)
となっており、経営組織のスリム化は進んでいる状況にある。
なお、平成 25 年度においては、浄水場、取水管理事務所及び水質管理センターの多
岐にわたる各種業務を各職員が有機的に連携して遂行できるように縦割り感の強い係
制度を廃止し、グループ(班)制による運営を開始していることにより、組織の状況は
13 課 16 係となっている。
④ 給与の状況について
企業団の職員と構成団体の水道事業における職員の給与水準の比較表及びその推移
は、次の表のとおりである。なお、各団体は、平均年齢や勤続年数、給与体系、人員構
成などが異なることから、単純に数値をもって比較することは困難であり、一つの目安
であることに留意する必要がある。平均年齢や勤続年数は各団体で異なるが、平成 23
年度における企業団の状況を見ると、構成団体と比較して、1 人 1 月当たり職員給与の
水準及び基本給において低い状況となっており、過去の報告書において指摘を受けた基
本給については改善が図られたと考えられる。
22
【資料 3-1-7】構成団体との給与比較推移表(出典:企業団作成資料)
21年 度
企
業
団
神
奈
川
県
構
成
団
体
横
浜
市
川
崎
市
横
須
賀
市
22年 度
23年 度
24年 度
職員数
人
426
404
397
391
1人 1月 当 た り 職 員 給 与
円
595,080
551,158
529,733
525,272
うち基本給
円
391,890
371,568
358,226
354,829
平均年齢
歳
46
46
46
47
平均勤続年数
年
25
25
23
職員数
人
695
696
687
-
1人 1月 当 た り 職 員 給 与
円
619,017
595,130
593,746
-
うち基本給
円
404,218
394,154
397,285
-
平均年齢
歳
46
46
46
-
平均勤続年数
年
22
22
21
-
職員数
人
1,719
1,597
1,530
-
1人 1月 当 た り 職 員 給 与
円
613,521
585,274
563,153
-
うち基本給
円
403,877
391,939
381,851
-
平均年齢
歳
46
46
46
-
平均勤続年数
年
25
25
24
-
職員数
人
679
666
655
-
1人 1月 当 た り 職 員 給 与
円
605,439
591,581
594,180
-
うち基本給
円
396,684
392,284
395,623
-
平均年齢
歳
45
44
45
-
平均勤続年数
年
22
20
21
-
職員数
人
187
185
183
-
1人 1月 当 た り 職 員 給 与
円
589,745
568,920
567,973
-
うち基本給
円
392,056
387,270
386,531
-
平均年齢
歳
46
45
45
-
平均勤続年数
年
23
22
22
-
23
表中は、総務省の地方公営企業年鑑から抽出したデータであり、平成 24 年度のデー
タが現在公表されていないことから、平成 24 年度については構成団体との比較はでき
ないが、平成 24 年度の企業団のデータでは、職員数 391 人、1 人 1 月当たりの職員給与
は 525,272 円(うち基本給 354,829 円) となっている。
企業団は、平成 19 年度に給与構造改革を実施し、給料表や給与制度運用の見直しに
より人件費削減を進めた結果、構成団体を下回る給与水準を達成している。また、平成
23 年度から人事評価結果の給与への反映を管理職を対象に実施しており、平成 25 年度
からは、給与への反映を非管理職にも拡大している。
なお、
「神奈川県内広域水道企業団人事行政の運営等の状況の公表に関する条例( 平
成 17 年神奈川県内広域水道企業団条例 5 号)
」によって、毎年度、企業団の人事行政の
運営等に関わる職員の任免及び職員数、職員の給与、職員の勤務時間その他の勤務条件、
職員の分限及び懲戒処分、職員の服務の状況が公表されている。特に、職員の給与の状
況では、総費用に占める人件費の状況や職員給与、手当、期末・勤勉手当の支給状況、
平均給与月額の状況、初任給の状況などが明らかにされており、人件費の状況に関する
情報の透明性は高いと考えられる。
23
平成 24 年 12 月 25 日に公表された人事行政の運営等の状況によると、人件費の見直
しに関する取り組み状況として、平成 23 年度における人件費の見直しに関する取り組
みと平成 22 年度決算とを比較して、退職者の不補充等により 186 百万円の経費が節減
されたとしている。
【資料 3-1-8】企業団条例
○ 神奈川県内広域水道企業団人事行政の運営等の状況の公表に関する条例
平成 17 年 11 月 21 日
神奈川県内広域水道企業団条例 5 号
( 公表)
第2 条
企業長は、毎年 1 回、職員(臨時的に任用された職員及び非常勤職員(地方公務
員法第 28 条の 5 第 1 項に規定する短時間勤務の職を占める職員を除く) を除く。
以下同じ) に係る次に掲げる事項を公表しなければならない。
( 1 ) 職員の任免及び職員数に関する状況
( 2 ) 職員の給与の状況
( 3 ) 職員の勤務時間その他の勤務条件の状況
( 4 ) 職員の分限及び懲戒処分の状況
( 5 ) 職員の服務の状況
( 6 ) 職員の研修及び勤務成績の評定の状況
( 7 ) 職員の福祉及び利益の保護の状況
( 8 ) その他企業長が必要と認める事項
24
⑤ 手当の支給状況について
企業団の手当とその支給単価、平成 24 年度の支給実績は、次のとおりである。
【資料 3-1-9】手当一覧(退職手当除く)(出典:企業団作成資料)
手当名
平 成 24年 度 支 給 単 価 等
月額
配 偶 者 14, 800円
扶 養 親 族 7 ,000円
扶養手当
配 偶 者 が い な い 職 員 の 1人 目 12,4 00円
配 偶 者 の 手 当 を 支 給 し て い な い職 員 の 1人 目 7 ,40 0円
特 定 扶 養 親 族 ( 1 6歳 ~ 22歳 ) 5,9 00円
地域手当
月 額 ( 給 料 + 扶 養 手 当+ 管 理 職 手 当 ) × 12 %
月額
借 家 10 0円~ 2 2,90 0円
住居手当
公舎 非支給
上 記 以 外 8 ,500円
交 通 機 関 6 ヶ 月 ( 3 ヶ月 ) 定 期 券 相 当 額
通勤手当
交 通 用 具 ( 通 勤 距 離 に 応 じ て) 2, 000円 ~ 3 9,8 00円
平 成 21年 度 を も っ て廃 止
企業手当
特
日額
殊
危 険 手 当 A( 薬 品 取 扱) 250 円
危険手当
勤
危 険 手 当 B( 坑 内 作 業) 560 円
危 険 手 当 C( 高 所 作 業) 220 円
務
手
1 回 ( 正 規 の 勤 務 時 間 に よ る 勤 務 が 深 夜 ( 午 後 1 0時 か ら 翌 日 の 午 前 5
交替制
当
時まで)において行われる交替制勤務に従事した職員に支給)
勤務手当
95 0円
正 規 の 勤 務 以 外 の勤 務 に 対 し て 支 給
勤 務 日 125 /100 (深 夜 150 /100 )
時間外勤務手当
週 休 日 135 /100 (深 夜 160 /100 )
単 価 ( 休 日 勤 務 手 当 及 び夜 間 勤 務 手 当 と も 同 じ )
( 給 料 × 1.1 2× 1 2) ÷ 1,8 67( 年 労 働 時 間 )
休日(国民の祝日等)の勤務に対して支給
休日勤務手当
13 5/1 00
夜 間 ( 22 : 0 0~ 翌 05: 00) の 勤 務 に 対 し て 支 給
夜間勤務手当
25 /10 0
管 理 職 員 ( 5 級 ~ 8級 ) に 対 し て 支 給
管理職手当
宿日直手当
管理職員
特別勤務手当
期末手当
勤勉手当
児童手当
係 長 ・主 幹
課長補佐
副課長
課長
副部長
部長
常勤職員 再任用職員
5 1,90 0円
40,1 00円
6 2,30 0円
48,2 00円
6 6,40 0円
54,7 00円
7 7,40 0円
63,8 00円
9 4,00 0円
79,8 00円
10 4,20 0円
90,3 00円
1 回 ( 宿 直 又 は 日 直 勤 務 を 命ぜ ら れ た 職 員 に 対 し て 支 給 )
6, 000 円 ( 5 時 間 未 満の 場 合 は 、 3,0 00円 )
1 回 ( 管 理 職 員 が 週 休 日 又 は 休 日に 緊 急 の 勤 務 を し た 場 合 に 支 給 )
係 長 ・主 幹
副課長・課長補佐
課長
部長・副部長
6,0 00円
7,0 00円
8,0 00円
10,0 00円
6 月 及 び 12月 に 支 給
6 月 1.2 25月 12 月 1.37 5月
6 月 及 び 12月 に 支 給
6 月 0.6 75月 12 月 0.67 5月
中 学 生 一 律 10,0 00円
3 歳 以 上 小 学 校 終 了 前 1 0,00 0円 ( う ち 3 子 目 以 降 15, 000円 )
3 歳 未 満 1 5,00 0円
但 し 、 い ず れ も 所 得 制 限 超 過の 場 合 は 、 5 ,00 0円
25
平 成 24年 度
支給実績
49 ,84 5千 円
184 ,27 0千 円
43 ,96 7千 円
63 ,42 4千 円
-
464 千 円
4 ,995 千 円
70 ,38 5千 円
2 ,731 千 円
19 ,54 9千 円
61 ,65 5千 円
-
-
368 ,60 3千 円
178 ,25 5千 円
20 ,09 5千 円
(ア)住居手当について
前回の報告書において、自宅住居を所有するものに対する恒久的な手当廃止について
言及しているが、これに対しては、構成団体のうち、神奈川県と横浜市が廃止したこと
から、平成 25 年 8 月に労働組合に対して廃止提案を行い、交渉中という状況になってい
る。
(イ)勤勉手当について
平成 21 年度下期から係長級以上の職員に対する人事評価制度の試行を実施していた
が、平成 23 年度から係長級以上の職員に対し人事評価結果の給与への反映(昇給・勤勉
手当)を実施している。また、副主幹以下の職員に対する人事評価制度について平成 24
年度から試行を始め、平成 25 年度から人事評価結果の給与への反映を実施している。こ
の結果、管理職及び一般職員に対する勤勉手当は、人事評価結果を考慮した支給基準に
従って支給されることとなっている。
(ウ)交替制勤務手当について
特殊勤務手当のうち、交替制勤務手当については、深夜帯に勤務した場合に法定割増
分として支給される夜間勤務手当を考慮すると、その意義は小さいと考えられる。一方
で、国及び一部の構成団体においては、同様の手当が支給されていることから、企業団
においては、他の動向に注視しつつ運用するとしている。
(エ)給与振込について
現金支給から給与振込への移行については、取扱金融機関の拡充を図るなどの対応の
結果、平成 22 年 7 月において、全職員について完全給与振込を達成している。
⑥ 研修について
企業団においては、職員の人材育成を目的として、毎年度研修計画を作成し、階層別
研修、専門研修、派遣研修等を計画的に実施している。下記の 5 項目を研修方針として
定め、次代を担う職員の人材育成を行っている。
基本的な実務能力の確保
外部環境変化への対応能力の養成
危機管理能力の向上
コスト意識の醸成
コミュニケーション能力の向上
平成 24 年度における研修実績は次表のとおりである。
26
【資料 3-1-10】研修実績(出典:企業団作成資料)
研修区分
主な研修
「新規採用職員研修」「主査職員研修」
企業団 階層別研修 「主任主査職員研修」「新任監督者研修」など
研修
専門研修 「企業団研究発表会」「技術研修」など
部課研修
「危険物取扱者保安講習会」「安全講話」
「 AED講 習 」 「 衛 生 講 話 」 「 メ ン タ ル ヘ ル ス 講 習 会 」 な ど
派遣研修
「マネジメント研修」「法制執務」「水道工学コース」
「国際協力機構能力強化研修」など
受講者数
(延べ人数)
107
718
2,061
76
(ア)研修に係る体制について
研修は、総務部長が研修総括者として規定されている。実務的には、総務部が事務系
の企画を担当し、技術部が技術系の企画を担当しており、研修を管轄する専任部署は設
置されてはいない。また、特に技術継承の観点から有効と考えられる、職員に対する専
任の教官によるOJT制度の設置はない。
(イ)技術承継について
技術部で行っている技術職員を対象にした研修では、団塊世代の大量退職により、事
業運営に支障をきたすことのないよう、座学中心の研修から座学では習得困難な技術の
継承を目的とした実技演習を開講するなどして、座学と実技のバランスを図っている。
しかしながら、平成 25 年度においては、上鶴間給水地点の断減水事故といった、企業
団の事業運営の信頼に関わる事故が発生している状況である。この事故は、経験値や技
術力が高いベテラン職員であれば、適切な作業が可能であったと思われる事故である。
また、技術継承の担い手と期待される再任用職員は、職員数削減の状況下で、現役時代
の業務の継続を優先すべき状況となっており、新人職員の教育・指導等期待される役割
を十分には果たせていない状況となっている。
確実な技術継承及び安定した事業運営の確立の観点から、現在実施している研修に係
る体制・施策が適切なのかどうかについて企業団全体として検討する必要がある状況と
なっている。
(ウ)第 2 種電気主任技術者の資格保有状況について
企業団では、電気事業法施行規則第 52 条で定めるところにより、電気主任技術者の選
任に統括制を採用している。また、企業団の規程においては、統括電気主任技術者の資
格要件を定めており、第 1 種電気主任技術者または第 2 種電気主任技術者の免状の交付
を受けている施設・電機課の課長補佐以上の職にある者をもって充てることとしている。
平成 25 年 10 月現在、第 2 種電気主任技術者の資格を取得している職員は複数名いる
が、課長補佐以上の職にある者は 2 名(うち 1 名は平成 25 年度で定年退職)しかいない
27
状況であり、管理職にあたる職員の資格取得が急務の課題といえる。
⑦ 議員報酬の状況
(ア)議員報酬について
全国水道企業団協議会に加入している団体における議員報酬の支給状況は次表のと
おりである。
【資料 3-1-11】議員報酬(出典:企業団作成資料より集計して作成)
報酬金額(月額)
議長
副議長
議員
10,000円以下
55件
55件
58件
10,001円~20,000円
7
8
6
20,001円~30,000円
5
4
3
30,001円~40,000円
2
2
2
40,001円~50,000円
3
3
3
50,001円~60,000円
1
1
1
60,001円~70,000円
0
0
0
70,001円~80,000円
0
0
0
80,001円~90,000円
0
0
0
90,001円~100,000円
0
0
0
100,001円~110,000円
0
0
1
110,001円~120,000円
0
1
0
120,001円~130,000円
0
0
0
130,001円 超
1
0
0
計
74
74
74
平均
11,898円
11,019円
10,268円
最低
0円
0円
0円
最高
131,000円
120,000円
108,000円
企業団報酬金額
131,000円
120,000円
108,000円
( 注)1 支給基準が「年」ま たは「月」の企業団のみ集計 している。
2 支給基準が「年」の 場合は、12カ月で割った金額 を月額報酬としている。
企業団の議員報酬の支給基準は月額を採用している。議員の期末手当については、平
成 19 年 2 月に全廃し、また、費用弁償については、平成 21 年 11 月に支給方法を定額
方式から実費弁償方式に改定を行っているが、
議員報酬については、平成 8 年 2 月以降、
改定は行われていない。一方で、各構成団体は、平成 19 年度から 25 年度にかけて減額
改定を実施している。
議員報酬(議長、副議長、議員)について、規模や議会の開催日数(活動時間)の相
違があることから一概には比較できないが、月額ベースで比較した場合、他の類似団体
よりも高い水準となっている。
一方、企業団の平成 24 年度における議会及び委員会の開催日数は次表のとおりであ
る。
28
【資料 3-1-12】議会及び委員会開催日(出典:企業団作成資料)
区分
開催月日
件名
6 月 22 日
議運予定者会
日数
1
議運予定者会
本会議
7 月臨時会
7 月 18 日
広域水道常任委員会
1
議会運営委員会
本会議
県内調査
8月6日
10 月 15 日
広域水道常任委員会県内調査
1
議会運営委員会
1
議会運営委員会
11 月 6 日
本会議
11 月定例会
1
広域水道常任委員会
11 月 8 日
広域水道常任委員会
11 月 22 日
議会運営委員会
本会議
1
1
10 月 29 日~31 日
県外調査
10 月 31 日~11 月 2 日
広域水道常任委員会県外調査
3
議会運営委員会
1
11 月 14 日~16 日
1 月 18 日
議会運営委員会
1 月 29 日
本会議
1 月定例会
1
広域水道常任委員会
2月7日
広域水道常任委員会
議会運営委員会
2 月 12 日
本会議
日数合計
1
1
14
本会議及び委員会の開催日数は、14 日であるが、これ以外に個別に行う議案説明、委
員会要求資料説明及び本会議・委員会の事前打ち合わせ等についても別途日数を費やし
ているが、それを加味しても月額報酬の前提となる常勤職員の勤務実態と同様の状態に
はないと思われる。
構成団体である神奈川県では、地方自治法の趣旨を踏まえ、平成 22 年 4 月より行政委
員の報酬を改定している。主な改定内容は、原則として月額支給から日額支給(37,600
円/日)へ変更している点で、これにより約 5,000 万円の財源を確保できたと議会に報告
29
されている。一部委員及び監査委員は、日額支給が原則の中、そのまま月額支給となっ
ているが、平均勤務日数が多く委員会等に一定の時間を要しており、常勤職員の勤務実
態と同様と認められるとの理由から、特別な事情があるとされ、月額支給のままとなっ
ている(神奈川県本会議録-平成 25 年第 2 回定例会)。
(イ)委員長等報酬について
企業団に設置されている広域水道常任委員会及び議会運営委員会の委員長及び副委員
長に対しては報酬の加給(委員長
月額 12,000 円、副委員長 月額 10,000 円)が定め
られている。
広域水道常任委員会の委員の定数は 11 名と規定され、全議員が委員に選出されている。
議会運営委員会の委員は 4 名と規定され、各構成団体別議員団から 1 名ずつ選出されて
いる。企業団においては、委員長及び副委員長に対して役職加給が支給されているが、
他の類似団体では支給されていない。
仮に企業団の議員報酬を全国平均月額報酬または神奈川県の行政委員の日額報酬
(37,600 円/日)で支給されたと仮定した場合には、下記の表のようになる。
【資料 3-1-13】日額で計算した議員報酬との比較(単位:円)
議長
条例の規定による金額
議長等(年間) A
委員長報酬・副委員長報酬(年間) B
計 C=A+B
副議長
議員
計
1,572,000
-
1,440,000
-
1,296,000
-
4,308,000
264,000
4,572,000
全国平均月額報酬で計算した場合
月額報酬 D
年 間 報 酬 額 E = D × 12カ 月
11,898
142,776
11,019
132,228
10,268
123,216
398,220
神奈川県 行政委員の日額で計算した場合
日額報酬額 F
議会・委員会開催日数 G
年間報酬額 H=F×G
37,600
14
526,400
37,600
14
526,400
37,600
14
526,400
1,579,200
(2) 結果及び意見
① 5 か年事業計画における職員計画の見直しの必要性について
【現状】
企業団は、平成 22 年 12 月に 5 か年事業計画を策定している。東日本大震災の発生を
機に、5 か年事業計画の策定時には想定されていなかった防災や危機管理が今後の重点
的な施策として位置づけられ、計画的な更新や修繕、県内水道システムの再構築への対
応等が新たな施策となったが、これを達成するために必要な体制の見直しはなされてい
ない。
【意見】
東日本大震災の発生後、企業団の事業環境が変化したことにより、重点施策も変化し
30
ており、安心安全な水を安定的に供給するという企業団の使命を達成し続けるべく、今
後の施策の実行のために各部門の人員計画について検討されたい。
② 交替制勤務手当について
【現状】
特殊勤務手当のうち、交替制勤務手当については、深夜帯に勤務した場合に法定割増
分として支給される夜間勤務手当を考慮すると、その意義は小さいと考えられる。一方
で、国及び一部の構成団体においては、同様の手当が支給されていることから、企業団
においては、他団体の動向に注視しつつ運用するとしている。
【意見】
交替制勤務手当の取扱いについては、引き続き国及び構成団体の動向を見て、そのあ
り方を検討されたい。
③ 住居手当について
【現状】
自宅住居を所有する者に対する恒久的な手当廃止について、構成団体のうち、神奈川
県と横浜市が廃止したことから、平成 25 年 8 月に労働組合に対して廃止提案を行い、
交渉中という状況になっている。
【意見】
労働組合との協議を進め、早期に結論を出されたい。
④ 研修体制について
【現状】
平成 25 年度において、知識及び技術力不足を遠因とする重大事故が発生している。
これは、これまでの研修の体制ないし方法では事故を防止できなかったという事実でも
ある。再任用職員の任務も、現役時代の業務の安定遂行が主となっており、現役世代職
員への技術の継承や若手職員の育成については、企業団が期待する役割を果たせていな
い状況となっている。
【意見】
経験豊富な職員が持つノウハウ及びリスク管理手法を現役世代職員に確実に継承す
ることは、安心安全な水を供給するという企業団の使命達成のためには欠かせないもの
である。そのため、実効性ある研修を提供するために、計画的に研修を一元管理する組
織の設置や経験豊富な職員が具体的な仕事を通じて若手職員を育成する職場研修(OJ
31
T)の推進を検討されたい。
⑤ 第 2 種電気主任技術者資格取得の支援について
【現状】
平成 25 年 10 月現在、第 2 種電気主任技術者の資格を取得している職員は複数名い
るが、課長補佐以上の職にある者は 2 名(うち 1 名は平成 25 年度で定年退職)しかい
ない状況である。
第 2 種電気主任技術者の資格取得については、試験によることのほか、電気事業法
の規定において第 3 種電気主任技術者の免状を取得してから、特別高圧で受電してい
る電気設備の維持管理に関して 5 年以上の実務経験があれば免状の申請ができること
となっている。
また、これまで第 3 種電気主任技術者の資格取得を進めるため、内部研修の一環と
して模擬試験を作成して実施してきているが、今後はより効果的に多くの職員が資格
取得できる取組みが必要となっている。
【意見】
課長補佐職以上の職にある第 2 種電気主任技術者を確保するために、内部研修のほか、
民間等の外部機関の講習会等も活用し、第 2 種及び第 3 種電気主任技術者の資格所得者
数の増加を図られたい。
⑥ 議員報酬について
【現状】
議長、副議長、議員、委員長及び副委員長の報酬は、月額報酬により支給されている。
その支給水準は、全国の水道企業団と比較して多額なものとなっている。構成団体のう
ち神奈川県では、行政委員の報酬を勤務実態に合致させる目的等から月額支給から日額
支給に変更している。この点、企業団における議会及び各委員会の開催日数は常勤職員
の日数と比較して、明らかに少ない状況にある。さらに、他の類似団体においては、委
員長等の役職加給は支給されていない。
【意見】
構成団体においては、議員報酬の減額改定や支給基準の見直しを行っているが、企業
団では、平成 8 年 2 月以降改定がなされていない。議長、副議長、議員、委員長及び副
委員長の報酬水準については、他の類似団体における議員等の活動実態を調査のうえ、
検討されたい。
32
2.契約事務について
(1) 契約事務の概要
① 契約検査課を経由する契約
企業団の業務において、安定的な水道用水を供給する観点から浄水場等の設備の修繕
工事や運転管理委託、保守委託など多岐にわたり外部業者と契約の締結を行っており、
その契約方式は概ね下表のとおりである。
【資料 3-2-1】企業団の契約方式(出典:企業団作成資料)
区分
対象案件
執行方法
条件付き一般
・設計金額 250 万円超の工事、製造の請負
電子入札
競争入札
・設計金額 100 万円超の計画調査委託、一般委
託、工事監理業務委託
・概算金額 160 万円超の物件の買入れ
・概算金額 80 万円超の物件の借入れ
随意契約(1 号) ・予定価格が契約の種類に応じ契約規程で定める
額を超えないもの(競争入札による金額以下)
見積合せ
(複数社)
随意契約(2 号) ・性質又は目的が競争入札に適さないもの(特名
随意契約)
見積合せ
随意契約(5 号) ・緊急の必要により競争入札に付すことができな
(1 社)
いもの
そして、平成 24 年度における各契約別の執行状況は下表のとおりである。
【資料3-2-2】各契約の全体の契約に占める割合(出典:企業団作成資料)
区分
予定価格(千円) 比率(%) 契約額(千円)
比率
(%)
一般競争入札
4,139,026
67.1
3,626,713
64.4
指名競争入札
5,607
0.1
5,323
0.1
随意契約(第1号)
58,629
0.9
49,550
0.9
随意契約(第2号)
1,678,891
27.2
1,658,913
29.5
随意契約(第5号)
263,705
4.3
262,529
4.7
24,675
0.4
24,570
0.4
6,170,533
100.0
5,627,598
100.0
プロポーザル
計
33
【資料 3-2-3】平成 24 年度契約執行一覧(出典:企業団作成資料)
契約方法
科目
一般建設
改良工事
修繕工事
撤去工事
修 繕
工事関係計
計画調査委託
造園整備委託
清掃管理委託
保守管理委託
工事監理
その他委託
物 件
委託・物件
関係計
合 計
設計額
契約額
一般競争
入札
件数
契約率
2,533,996,500
24
2,324,899,500
91.75%
指名競争
入札
件数
契約率
0
0
0
0
件数
随意契約
第1号
契約率
8,872,500
5
7,378,350
83.16%
(単位:円)
随意契約
第2号
件数
契約率
136,626,000
4
135,187,500 98.95%
設計額
契約額
設計額
契約額
565,530,000
505,145,130
81,438,000
65,467,500
29
89.32%
3
80.39%
0
0
0
0
0
0
0
0
12,484,500
11,906,737
0
0
6
95.37%
0
0
917,721,000
907,991,700
0
0
20
98.94%
0
0
設計額
契約額
設計額
契約額
0
0
3,180,964,500
2,895,512,130
0
0
56
91.03%
0
0
0
0
0
0
0
0
11,866,333
9,601,200
33,223,333
28,886,287
11
80.91%
22
86.95%
10,917,587
10,755,675
1,065,264,587
1,053,934,875
11
98.52%
35
98.94%
設計額
契約額
設計額
424,284,000
323,791,650
94,059,000
20
76.31%
16
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
43,008,000
42,945,000
0
2
99.85%
0
契約額
設計額
契約額
設計額
68,612,249
36,844,500
28,279,515
67,105,500
72.95%
7
76.75%
36
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7,224,000
0
0
0
10
0
0
0
158,193,000
0
0
0
62
契約額
設計額
契約額
設計額
36,841,349
0
0
253,648,500
54.90%
0
0
26
0
0
0
0
0
0
0
0
4,117,260
0
0
4,105,500
56.99%
0
0
5
152,813,141
0
0
354,238,500
96.60%
0
0
25
契約額
設計額
契約額
211,321,215
82,119,492
62,354,607
83.31%
12
75.93%
0
5,607,000
0
1
94.94%
3,402,021
14,077,055
13,145,328
82.86%
17
93.38%
352,477,650
58,187,081
56,742,040
99.50%
31
97.52%
設計額
契約額
設計額
契約額
958,060,992
731,200,585
4,139,025,492
3,626,712,715
117
76.32%
173
87.62%
1
94.94%
1
94.94%
25,406,555
20,664,609
58,629,888
49,550,896
32
81.34%
54
84.51%
613,626,581
604,977,831
1,678,891,168
1,658,912,706
120
98.59%
155
98.81%
5,323,500
5,607,000
5,323,500
5,607,000
5,323,500
件数
件数
件数
プロポーザル
合 計
契約率
契約率
契約率
設計額
0
0
0
0
2,679,495,000
33
一般建設
改良工事
契約額
0
0
0
0
2,467,465,350
92.09%
設計額
215,491,500
10
0
0
1,711,227,000
65
修繕工事
契約額
214,843,650
99.70%
0
0
1,639,887,217
95.83%
設計額
0
0
0
0
81,438,000
3
撤去工事
契約額
0
0
0
0
65,467,500
80.39%
設計額
19,275,921
19
0
0
42,059,841
41
修 繕
契約額
18,768,414
97.37%
0
0
39,125,289
93.02%
設計額
234,767,421
29
0
0
4,514,219,841
142
工事関係計
契約額
233,612,064
99.51%
0
0
4,211,945,356
93.30%
設計額
8,316,000
2
24,675,000
1
500,283,000
25
計画調査委託
契約額
8,295,000
99.75%
24,570,000
99.57%
399,601,650
79.88%
設計額
0
0
0
0
94,059,000
16
造園整備委託
契約額
0
0
0
0
68,612,249
72.95%
設計額
0
0
0
0
36,844,500
7
清掃管理委託
契約額
0
0
0
0
28,279,515
76.75%
設計額
0
0
0
0
232,522,500
108
保守管理委託
契約額
0
0
0
0
193,771,750
83.33%
設計額
0
0
0
0
0
0
工事監理
契約額
0
0
0
0
0
0
設計額
20,622,000
7
0
0
632,614,500
63
その他委託
契約額
20,622,000 100.00%
0
0
587,822,886
92.92%
設計額
0
0
0
0
159,990,628
61
物 件
契約額
0
0
0
0
137,565,475
85.98%
設計額
28,938,000
9
24,675,000
1
1,656,314,128
280
委託・物件
関係計
契約額
28,917,000
99.93%
24,570,000
99.57%
1,415,653,525
85.47%
設計額
263,705,421
38
24,675,000
1
6,170,533,969
422
合 計
契約額
262,529,064
99.55%
24,570,000
99.57%
5,627,598,881
91.20%
※ 設計変更があった場合は、変更後の金額を計上
※ 随意契約2・5号は、特名随意契約案件
※ 他に単価契約75 件(物件:43件、委託27 、その他5件)、賃貸借契約10件、計85 件
契約方法
科目
随意契約
第5号
さらに、企業団で締結する主な契約の流れは次図のとおりとなっている。
34
【資料 3-2-4】条件付き一般競争入札(出典:企業団作成資料)
条件付き一般競争入札(工事)
契約依頼から契約締結までの標準日数
約46日(土日を含む。)
1日
契
3日
入札参加資格の条件設定
契約伺いの作成
<委員会開催日>
公告伺いの作成
第1委員会 原則、第2・第4水曜日
入 札 及 び 契 約 審 査 委 員 会 第2委員会 原則、毎週金曜日
2日間
約
依
〆
切
(執行伺い決裁済み)
決裁期間(契約伺い・公告伺い)
3日間
6日
7日
頼
案
1日間
件
登
公
録
(電子入札システムに入力)
告
(電子入札システムに掲載)
公告日の翌日
8日
15日
16日
競争参加資格確認申請受付 開始
1週間
(電子入札システムにて申請)
入札参加申請の受付期間
競争参加資格確認申請 受付 期限
<事前審査>
1日間
入札参加資格要件の確認・決裁期間
(電子入札システムにて通知)
競 争 参 加 資 格 確 認 通 知 書 の発 行
建設業法に定め る見積算定期間(確認通知から入札まで)
5,000万円以上
15日以上
500万円以上5,000万円未満 10日以上
※やむを得ない事情があるときは、5日以内に限り短縮可
設計・積算に関する質問・回答期間
(電子入札にて質問・回答)
26日
28日
10日間以上
入 札
2日間
入札日の翌日
書
受
開
29日
付
期
札
間
(電子入札システムにて入札)
(電子入札システムにて開札)
開札直後
保留通知書の発行
(電子入札システムにて通知)
開札日の午後から翌日まで
30日
31日
37日
46 日
疑義等申立期間
疑義等申立期間の翌日
落札候補者の資格審査
(落札候補者にFAXにて依頼)
【工事の場合】
6日間程度
<事後審査(落札候補者の提出書類の審査)>
※落札候補者が要件を満たさない場合、
金額の低い候補者順に審査
落札者候補者の資格要件確認・落札決定決裁期間
【提出書類】
工事費内訳書、配置予定技術者届、雇用関係確認書類
同種工事実績届、経営事項審査書の写し他
落 札 者 決 定 通 知 書 の 発 行 (電子入札システムにて通知)
契
約
契約書の作成
契約保証(請負金額500万円以上)の手続
前払金保証(設計金額150万円以上)の手続
リサイクル法(請負金額500万円以上)確認の手続
締
結
原則、落札決定通知日から10日以内
35
【資料 3-2-5】随意契約(2 号)(出典:企業団作成資料)
特名随意契約
日
程
契約依頼から契約締結までの標準日数
契 約 依 頼
1日
〆
切
(執行伺い決裁済み)
契約伺いの作成
<委員会開催日>
第1委員会
原則、第2・第4水曜日
第2委員会 原則、毎週金曜日
2日間
3日
約22日(土日を含む。)
入札及び契約審査委員会
決裁期間(契約伺い)
6日
3日間
見
積
り
依
頼
(FAX又は窓口にて依頼)
特名業者との日程調整となるため、
業者側の都合により1週間以上日数
を要する場合があります。
1週間以上
見
13日
積
り
合
せ
(契約窓口にて見積り合せ)
見積り合せ日
落 札 者 の 決 定
【工事の場合】
契約書の作成
契約保証(請負金額500万円以上)の手続
前払金保証(設計金額150万円以上)の手続
リサイクル法(請負金額500万円以上)確認の手続
22日
契
約
原則、落札決定通知日から10日以内
36
【資料 3-2-6】随意契約(事前公募方式)(出典:企業団作成資料)
1日
契 約依 頼 〆 切
( 執 行 伺 い決 裁 済 み )
業務実施可能者の有無の確認についての作成
7日
入 札 等 参 加業 者 選 定 委 員会 ※ 事 前 公 募案 の 審 査 (業 務 実 施 要 件 等の 決 定 )
委 員 会 審査 書 類
※課長決裁
・ 業 務 実施 可 能 者 の 有 無 の確 認 に つ い て
(事 前公 募 伺 い ) ・ 特 名 理由 書
8日
案件 登 録
※ 電 子 入 札シ ス テ ム に 入 力
シ ス テ ム添 付 書 類
・ 業 務 実施 可 能 者 の 有 無 の確 認 に つ い て
・ 業 務 実施 可 能 申 立 書
・ 共 通 仕様 書 及 び 特 記 仕 様書 等
8日
事 前公 募 の 公 告
※ 電 子 入 札シ ス テ ム に 掲 載
掲載期間
・事 前 公 募日 か ら 契 約 締 結 希 望者 申 請 期 限 ま で
9日
契 約 締 結希 望 者 受 付 開 始
・ 原 則 、 契約 予 定 者 は 受 付 対象 で は な い !
16日
※ 契 約 検 査課 契 約 係 ま で 持 参
提 出 書 類: 業 務 実 施 可 能 申立 書
契 約 締 結希 望 者 申 請 期 限
契 約 予 定 者以 外 に 希 望 者 な し
契 約 予 定 者 以外 に 希 望 者 あ り
申 込 み 内 容 の 審査
※契約検査課から設計担当課へ業務
実施可能の有無の確認を依頼
(申立書・確認書類(契約書等写し)送付)
注)場合によってはヒアリングを実施
確認結果について内部決裁
※課長決裁
※設計担当課で業務実施可能の有無
を決定後、契約契約課へ回答
業務実施要件を満たさない
事前 公 募 結 果 の 内部 決 裁
業 務実 施 要 件 を 満 たす
事 前公 募 結 果 の 内 部決 裁 ※課長決裁
※課長決裁
※結果通知書の作成・決裁
20日
結果 通 知
結果通知
※申込み者に対し業務実施要件等確認通知書を送付
注)疑義申出期間 3日間
17日
契 約伺 い 起 案
競 争入 札 の 事 務 手続
23日
18日
契 約 伺 い決 裁 ・ 見 積 依 頼
34日
契約 締 結
※事前公募案を審査した次の委員会となります。
入札等参加業者選定委員会
24日 ・ 一般 (工事 )
・ ・ ・内 部 事 務 手 続
5,000万円 未満
約40日間
40日 ・ 指名
約25日間
21日
公 告
27日
開 札
(参 考 )現 行 の 随 意 契 約 にお け る 日 程 約 25 日 間 (契 約 依 頼 〆 切 ~ 契約 締 結 )
※ 急を要する場合は、事前公募期間を「3日間」に短縮することができる。
51日
契約締結
61日
37
② 契約検査課を経由しない契約
職務権限規程 別表 3.契約において、課長等専決事項に該当する契約の締結は契約検
査課を経由せず、各課の課長決裁で契約が締結されている。契約までの流れは、各課に
おいて見積書を入手し、伺書を作成して課長決裁を受けた後に、契約を締結する流れと
なっている。
契約検査課を経由せずに各課で締結している契約に関して契約金額 100 万円以上のリ
ストを入手したところ、すべて随意契約であった。
(2) 結果及び意見
① 契約検査課を経由する契約
【現状】
平成 24 年度の執行状況では、条件付き一般競争入札の比率が 64.4%、随意契約(2 号)
の比率が 29.5%、随意契約(5 号)の比率が 4.7%、その他の契約の比率が 1.4%となっ
ている。一方、各契約の落札率は、条件付き一般競争入札が 87.6%、随意契約(2 号)が
98.8%、随意契約(5 号)が 99.6%、その他の契約が 89.4%となっており、随意契約(2
号)及び随意契約(5 号)の落札率が高くなっている。
安定的な水道用水の供給を維持するという目的からいえば、関連設備や業務に精通し
た業者に継続的に業務を依頼することに一定の理解はできるが、他方で、構成団体繰入
金や構成団体出資金を受け入れているため、効率的な業務運営を図りつつコスト削減を
図ることが同時に求められる。
【意見】
安定的な水道用水の供給を行うと同時に、効率的な業務運営を図りつつコスト削減も
一方で図る必要がある中で、緊急を要する場合を除き業務に精通した業者を選定しつつ
競争原理を取り入れてコスト削減を図る必要があるが、そのための手段として今後、随
意契約(事前公募方式)の割合を増やしていくことが望まれる。
随意契約(事前公募方式)は、専門的知識や経験、特殊な技術等が不可欠な案件につ
いて、特定の者と随意契約により契約を締結する場合に、事前に案件に係る業務の実施
に必要な要件を公表して、契約締結を予定している者以外に当該業務を実施することが
できる者の有無を確認し、もって随意契約の透明性を図るために平成 23 年度より試行
導入されているが、平成 24 年度の試行実績は 12 件と同制度が有効に活用されていない
状況である。今後、試行件数・試行範囲を拡大して当該方式による随意契約の割合を増
やしていくことが望まれる。
38
② 契約検査課を経由しない契約
(ア) 特名理由書の作成について
【現状】
随意契約の締結にあたり、契約規程及び契約規程の運用基準に準拠して各課で決裁を
行ったうえで契約締結が実施されているが、その際に、課によっては随意契約に該当す
るため特名理由書を作成している部署と、契約規程及び契約規程の運用基準に準拠して
特名理由書を作成していない部署が混在していた。
【意見】
見積合せ(複数社)を実施しない随意契約については、随意契約の性質上、契約の透
明性を担保するために特名理由書を作成することが望まれる。また、当該趣旨から契約
規程の運用基準第 33 条で特名理由の付記は(1)~(3)に限定されているが、(9)について
も特名理由を付記するように運用基準を改正することが望まれる。
<参考>
契約規程の運用基準第 33 条
随意契約を締結しようとするときは、価格の公正と適正を期すため、原則として
2 人(社)以上の者から見積書を徴収するものであるが、次に掲げる場合は 1 人(社)
からの見積書の徴収をもって足りるものとする。
なお、(1)から(3)に該当するものは、その理由を伺等に付記することによって明
らかにしておくものとする。
(1)1 人(社)の専有する物品の購入又は修繕
(2)急施を要し他の営業者から見積書を徴収する暇のないとき
(3)見積書の提出を依頼しても他に提出者のないとき
(4)~(8) 省略
(9)その他契約権者が 1 人(社)からの見積書の徴収をもって足りると認めたとき
39
3.会計処理について
(1) 会計処理の概要
地方公営企業の会計は、地方公営企業法、地方公営企業法施行令、地方公営企業法施
行規則で定められており、特に企業としての経済性を発揮する必要性から、一般の官庁
会計とは異なる企業会計の経理方式を採用していることが特徴である。
【資料 3-3-1】地方公営企業の経理の主な特徴
1.現金主義ではなく発生主義の適用
2.複式簿記の採用
3.損益取引と資本取引の区別
4.資産、負債及び資本の概念(貸借対照表の作成)
5.予算及び決算の双方を重視
企業団は上記法令に基づき、会計規程等を定め、これに基づき予算編成及び決算を調
製し、その結果として毎年度決算関係書類を作成している。
【資料 3-3-2】決算関係書類(平成 24 年度
決算書類
水道用水供給事業決算書より)
決算附属書類
水道用水供給事業決算報告書
水道用水供給事業報告書
水道用水供給事業損益計算書
付属明細書
水道用水供給事業剰余金計算書
収益費用明細書
水道用水供給事業欠損金処理計算書
固定資産明細書
水道用水供給事業貸借対照表
企業債明細書
一方、総務省において地方公営企業の会計基準の見直しが進められており、平成 26
年度より新しい地方公営企業会計制度(以下「新基準」という。
)が導入されることが
予定されている。企業団では平成 25 年度までは従来の会計基準に沿った会計処理を行
いつつも、26 年度以降に適用される新基準を見据えた準備・対応のための検討を続けて
いる状況にある。
地方公営企業会計制度の見直しを行う背景としては、総務省から以下のとおり示され
ており、企業会計基準の見直しの進展、地方独立行政法人の会計制度の導入及び地方公
会計改革の推進、地域主権の確立に向けた改革推進、公営企業の抜本改革の推進が挙げ
られている。
40
【資料 3-3-3】地方公営企業会計制度等の見直しの背景
出典 総務省 地方公営企業会計制度の見直しについて
見直しの基本的な考え方についても総務省から示されており、現行の企業会計原則の
考え方を最大限取り入れたものとすること、地方公営企業の特性等を適切に勘案すべき
こと、地域主権の確立に沿ったものとすることなどが挙げられている。見直しに当たっ
ての基本的な考え方及び具体的な見直しのポイントは以下のとおりである。
【資料 3-3-4】見直しに当たっての基本的考え方
出典 総務省 地方公営企業会計制度の見直しについて
41
【資料 3-3-5】新しい地方公営企業会計制度のポイント
(出典
地方公営企業会計制度等研究会報告書より)
改正内容
1.借入資本金制度の廃止
2.みなし償却の廃止
3.引当金の計上義務化
影
響
借入資本金は負債として整理
資本(純資産)が減少する可能性がある
補助金等に相当する金額についても減価償却を強制
資産取得のための補助金等は減価償却に応じて収益化
退職給付引当金、貸倒引当金、賞与引当金、修繕引当金
等の計上義務化
4.繰延資産の否認
原則として新たな繰延資産の計上は不可
5.たな卸資産の評価
たな卸資産について低価法を義務付け
6.減損会計の導入
遊休資産について減損損失を計上する可能性
7.リース会計の導入
基準に該当するリース契約については固定資産として計
上
8.セグメント情報
セグメント情報の開示を導入
9.キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書の作成を義務付け
これを受けて企業団では新基準の適用に向けたスケジュール(工程表)を作成し、改
正項目ごとに対応作業を進めている段階にある。具体的な対応状況は以下のとおりであ
る。
【資料 3-3-6】新基準への対応状況
内
容
会計システム改修
状
況
平成 24 年度委託事業により新基準への対応が済んでいる。
平成 25 年 8 月に改正作業は終了している。
会計規程及び運用基準の改正
引当金、減損会計、リース会計、たな卸資産等個別の事務
取扱要領、マニュアル作成の作業中であり平成 25 年 12 月
までに終了予定である。
新基準に基づく
平成 23 年度決算数値をもとに改正項目ごとのシミュレー
決算シミュレーション
ションを実施した。
新年度予算編成
経理体制
情報収集
予定貸借対照表、予定損益計算書、予定キャッシュフロー
計算書、注記表を作成する予定である。
財務課全体で取り組むとともに、改正内容に応じて分担し
て対応作業を進めている状況である。
外部研修等の参加や各構成団体との情報交換等を実施して
いる。
42
(2) 結果及び意見
① 新しい地方公営企業会計基準への対応
【現状】
平成 26 年度以降に適用される新基準への対応状況は、上記会計処理の概要に記載の
とおりである。特に減損会計、リース、引当金は新たに導入される会計基準ないし今
回大幅に変更が加えられる項目であり、企業団においても順次対応を図っている。
(ア) リース取引について
リース契約については長期継続契約として以下のとおり管理している。新基準では
一定の条件を満たすリース取引について固定資産として計上するなど、従来の処理と
は異なる会計処理が求められるため、今後はこれに基づき新基準に従った会計処理が
行えるよう管理していくこととなる。
【資料 3-3-7】長期継続契約一覧(抜粋)
(出典 企業団作成資料)
平成 23 年度契約
契約
件
名
番号
履行期限
契約総額
(工期)
(税込)
契
約
者
25004
複写機賃貸借 11 台
H23.4.1~H28.3.31
1,028,160
日通商事(株)
25001
公用自動車賃貸借 1 台
H23.4.1~H28.3.31
1,997,100
(株)トヨタレンタ
リース神奈川
25002
公用自動車賃貸借 1 台
H23.4.1~H28.3.31
1,474,200
(株)トヨタレンタ
リース神奈川
25003
公用自動車賃貸借 1 台
H23.4.1~H28.3.31
1,291,500
(株)トヨタレンタ
リース神奈川
25009
プロキシアプライアン
H23.9.20~H28.9.19
2,217,600
スサーバ 1 式
合
日立キャピタル
(株)
計
8,008,560
43
平成 24 年度契約
契約
件
名
番号
25001
複写機賃貸借 3 台
履行期限
契約総額
(工期)
(税込)
H24.4.1~H29.3.31
185,220
契
約
者
コ ニ カ ミノ ル タビ
ジ ネ ス ソリ ュ ーシ
ョンズ(株)
25002
供用自動車( バンタイ
プ)賃貸借
25003
1,794,240
4台
スタイプ)賃貸借
H24.4.3~H31.3.31
9,754,920
4台
カラープリンター43 台
グループウェア用サー
(株)トヨタレンタ
リース神奈川
H24.6.1~H29.5.31
2,444,400
(賃貸借)
25008
日 本 カ ーソ リ ュー
ションズ(株)
供用自動車(ワンボック
25007
H24.4.2~H31.3.31
日立キャピタル
(株)
H24.7.1~H29.6.30
1,058,400
リコーリース(株)
H25.2.12~H32.3.31
4,530,330
日 本 カ ーソ リ ュー
バ 1 式(賃貸借)
25010
所属用原動機付自転車
賃貸借(12 台)
合
ションズ(株)
計
19,767,510
(イ) 減損会計について
新基準で導入される減損会計では、固定資産又は固定資産グループの収益性の低下に
より投資額の回収が見込めない状態やその他固定資産の将来の経済的便益の著しい減
少が発生していると認められる場合に、固定資産の額を回収可能価額まで減額するとと
もに、減損損失を計上することとなる。
減損の兆候の判定や減損損失を認識するかどうかの判定、減損損失額の測定等、減損
会計にかかる一連の手続は固定資産又は固定資産グループごとに行われる。企業団にお
いては用水供給事業に使用する固定資産全体を1つの固定資産グループとし、それ以外
の賃貸用資産と遊休資産については、個々の固定資産ごとにそれぞれで減損の判定を行
うこととしている。
企業団の平成 24 年度末時点の遊休資産は以下のとおりである。
44
【資料 3-3-8】遊休資産一覧(出典 企業団作成資料より)
資産名称
松田職員公舎用地
地目
田
相模原管理公舎跡地
独身寮跡地
相模原浄水場用地
(工事事務所用地)
水道用地
綾瀬浄水場用地
(外周道路隣接地)
水道用地
社家ポンプ場用地
(外周道路隣接地)
水道用地
地積(㎡)
1683.17
簿価(円)
経過等
23,625,098 ・住宅用地として売買交渉中
・相模原市排水管及び2800mm導水管等
埋設施設あり
93,545,214 ・市街化調整区域により用途規制あり
・近郊緑地保全区域のため制限事項あり
(調査検討中)
・環境アセス保存緑地(既存植物)
7373.58 317,702,535 ・処分には、補助金返還が必要
・市街化調整区域により用途規制あり
・1350mm送水管あり
3687.95 318,270,948 ・環境アセス修景緑地(樹木)
・処分には、補助金返還が必要
1,438.50
2,241.95
3,900.00
計7,580.45
※地積は実測値(相模原浄水場用地 3,900.00 ㎡は計算値)による。
遊休資産は資産としての利活用が認められない資産であり、新基準では減損の兆候が
ある資産として減損損失を計上するかどうかの判断が求められることになる。具体的に
は、用地については帳簿価額より時価(公示地価、固定資産評価額、路線価等に基づい
て算定した額)が低い場合に、その差額を減損損失として計上することとなる。
企業団の資料に基づき公示地価等に基づく時価と簿価を比較した結果、現時点におい
ては時価が簿価を下回るような遊休資産はない。これらの遊休資産については売却等に
よる処分や賃貸など、今後の利活用について順次検討を進めている状況にある。
(ウ) 引当金について
②修繕引当金、③退職給与引当金、⑤その他引当金・PCB 処理費用について を参照
されたい。
【意見】
企業団では、平成 26 年度より適用される新しい地方公営企業会計基準に対応すべく
準備を進めている状況にあるが、今回の改正は企業団の経営・財務に大きな影響を及ぼ
すものであると考えられる。特に減損会計、リース、引当金は新たな会計基準として導
入されるものであり、適切な会計処理を行うため、規程類等の整備も含め漏れのないよ
う慎重な対応が望まれる。
② 修繕引当金
【現状】
修繕引当金については、
「修繕引当金取扱要領」
(昭和 59 年 10 月 1 日施行)に基づき、
毎事業年度当初予算の修繕費総額に対し修繕費の執行総額が満たない場合に、その差額
を限度として 100 万円単位で繰り入れることとし、予算を超過する修繕費執行や当初か
ら引当金取り崩しを予定している大規模修繕工事を行う場合に、修繕引当金を取り崩す
45
こととしている。平成 24 年度末では 1,338 百万円が修繕引当金として計上されている。
【資料 3-3-9】修繕引当金の推移(出典
企業団作成資料)
(単位:千円)
平成 21 年度
修繕引当金
残高
平成 22 年度
1,215,364
平成 23 年度
1,380,364
平成 24 年度
1,338,096
1,338,096
また、企業団の修繕費に係る予算の推移は次のとおりである。
企業団は効率的な修繕費予算執行と平準化を目的として、計画期間を平成 23 年度か
ら平成 32 年度までの 10 年間と設定し、総額 151 億円とする修繕計画を策定するととも
に、計画期間中の単年度平均額 15 億円を突発的な大規模修繕にも対応できる水準と捉
え、この水準を踏まえた引当金計上を行うとする運用を行っている。
【資料 3-3-10】修繕費予算の推移(出典
企業団作成資料)
(単位:千円)
対象資産
建物
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
39,279
18,936
1,508,964
22,712
構築物
394,091
194,496
312,964
378,754
機械及び装置
729,178
941,072
1,094,402
1,161,292
1,066
946
1,154
1,181
13,375
22,305
11,775
15,575
消耗品
216
205
293
293
その他
26,169
26,303
38,894
25,197
1,203,374
1,204,263
1,508,964
1,605,004
車両
工具器具備品
合計
これに対し、修繕の実績推移は次のとおりである。実績には修繕引当金繰入額は含め
ていない。機械及び装置に対するものが約 7 割を占めており、この傾向は平成 20 年度
以前から続いている。平成 21 年度から平成 24 年度における修繕費の実績は増加傾向で
あり、平成 24 年度においては単年度平均額 15 億を大きく上回る 17 億円である。一方
で修繕引当金は繰り入れや取り崩しを行わず、平成 23 年度と同額を計上している。
46
【資料 3-3-11】修繕費実績の推移(出典
企業団作成資料)
(単位:千円)
対象資産
建物
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
42,400
19,836
61,844
46,344
構築物
364,746
208,087
389,865
497,134
機械及び装置
766,501
787,535
1,022,648
1,182,404
814
754
1,353
1,512
10,203
20,176
12,247
13,063
消耗品
1,192
512
429
904
その他
0
74
0
0
17,000
165,000
18,000
0
1,202,856
1,201,972
1,506,387
1,741,362
車両
工具器具備品
修繕引当金繰入
合計
修繕費予算と実績を比較すると、平成 24 年度において実績が予算を上回っている。
これは主に相模川水路橋さがみ縦貫道相模原愛川 IC 交差部修繕工事(149 百万円)につ
いて予算外工事の執行によるものである。なお、平成 24 年度の予算執行状況から、か
かる修繕費の予算超過分については他の予算流用で対応が可能であったことから、修繕
引当金の取り崩しは行われていない。
【意見】
現行の会計処理は企業団の「修繕引当金取扱要領」に基づき処理されているが、今後
は地方公営企業会計制度の見直しに伴い、新基準においては従来の考え方に基づく修繕
引当金の計上が原則として認められてない。
企業団では従前の修繕引当金について、新基準の趣旨を踏まえ新基準適用時に全額取
り崩す予定である。したがって、平成 26 年度以降は、予算を超過するような突発的な
修繕工事等が必要となる場合に、引当金の取り崩しによる対応はできない。
このことが、企業団の資金面と損益面の双方に対し影響を及ぼすことがあることを念
頭においた上で、予算設定や資金面における安全性の維持についての検討が望まれる。
③ 退職給与引当金
【現状】
退職給与引当金については、団塊の世代の大量退職に備え昭和 54 年度から積立を開
始し、昭和 59 年には退職給与引当金取扱要領を定め、当該要領に従い予算上の給料年
額の 10%を限度として引当金計上を行い、退職手当予算を超える執行を限度に引当金を
取り崩すこととしている。
47
【資料 3-3-12】退職給与引当金推移(出典
企業団作成資料)
(単位:千円)
年度
引当金繰入額
引当金取崩額
引当金累計額
20 年度
―
△ 601,771
1,715,307
21 年度
―
△ 850,000
865,308
22 年度
―
△ 450,000
415,308
23 年度
―
―
415,308
24 年度
―
△ 150,000
265,308
上記の退職給与引当金推移によると、いわゆる団塊の世代の大量退職に伴い、平成 23
年度以外は引当金の取り崩しが行われており、団塊の世代の退職がほぼ終了する平成 22
年度末以降の引当金残高としては過年度と比較して小さいものとなっている。
しかし、
平成 25 年度・平成 26 年度の 2 年間での退職金見込額がそれぞれ 631 百万円、
252 百万円とされており、現状の引当金額 265 百万円では、今後 2 年間の退職者の支給
額に対して不足していると考えられる。
【資料 3-3-13】退職金額推移及び退職給与引当金見込(出典 企業団作成資料)
(単位:人、千円)
年度
退職者数
退職手当額
引当金
退職手当額
引当金
取崩額
(取崩差引後)
累計額
21 年度
47
1,294,868
△850,000
444,868
865,308
22 年度
33
894,654
△450,000
444,654
415,308
23 年度
16
434,791
0
434,791
415,308
24 年度
26
587,242
△150,000
437,242
265,308
24
631,356
△250,000
381,356
15,308
10
252,831
0
252,831
15,308
25 年度
(見込)
26 年度
(見込)
また、各年度末の在職者全員が退職したと仮定した場合の退職給与要支給額を全額引
当金として計上した場合における、退職給与引当金残高とのかい離の状況は以下のとお
りである。各年度とも要支給額が引当金額を上回ることから、職員の提供した労働の対
価として料金に負担させるべき費用が後年度の負担となっていると考えられる。
48
【資料 3-3-14】各年度の退職給与引当金残高と退職金要支給額との乖離
(出典
企業団作成資料)
(単位:千円)
年度
引当金残高
要支給額
不足額
21 年度
865,308
6,200,317
5,335,009
22 年度
415,308
5,067,468
4,652,160
23 年度
415,308
4,264,808
3,849,500
24 年度
265,308
3,978,030
3,712,722
15,308
2,848,279
2,832,971
15,308
2,584,891
2,569,583
25 年度
(見込)
26 年度
(見込)
退職金は賃金の後払い的性格を有しており、料金が資金ベースで算定されていたとし
ても、その費用は後年度に負担させることは望ましくないことから、今後退職給与引当
を計画的規則的に積み立てることが必要であるという点については平成 21 年度の個別
外部監査における指摘のとおりである。
これについて企業団では、できうる限り在職者の退職給与の後年次負担を少なくさせ
るためにも、取扱要領に則り、毎年度の予算に一定額を計上し、計画的に引当金として
計上していきたいと考えているが、多額の累積欠損金を抱える厳しい財政状況のもと、
国、構成団体と協議調整を密にしたうえで遺漏のないように努めるとし、地方公営企業
会計制度の見直しにより、平成 26 年度以降は退職給付引当金が義務化されることに伴
い、それまでに退職給付引当金取扱要領を定め、当該引当金に関する事務処理に遺漏の
ないよう対応するとしている。
【意見】
退職金は賃金の後払い的な性格を有しており、その費用を将来年度に負担させること
は望ましくないと考えられるが、平成 24 年度末における在籍者全員が退職したと仮定
した場合の要支給額は 3,978 百万円であり、これに対する退職給与引当金計上額は 265
百万円と大幅に不足している状況にある。
新基準では退職給付引当金の計上が義務化されることから、新基準が適用される平成
26 年度以降においてかかる計上不足額は解消されると考えられる。ただし、平成 26 年
度以降は新基準に基づく退職給付引当金の計上のため、自己都合要支給額の個人別計算
など適切に退職給付引当金を計上するための体制整備が望まれる。
49
④ 神奈川広域水道サービス株式会社の株式譲渡について
【現状】
企業団は神奈川広域水道サービス株式会社(以下「水道サービス㈱」という。)の株
式を保有している。当該株式のうち 300 株を平成 24 年 6 月 20 日に民間会社 2 社に譲渡
した。水道サービス㈱の自立化と水道サービス㈱が有する知識、経験等に民間企業が有
する技術、ノウハウ等の集約化を図り、経営基盤の強化を促進することが目的である。
【資料 3-3-15】水道サービス㈱の概要(出典 企業団の資料抜粋)
① 設立年月日 平成 9 年 4 月 16 日
② 設立の目的 企業団に関連する付帯事業の経営を行い、その事業活動を通じて企
業団の経営基盤の強化に寄与する。
③ 資本金
5,000 万円
④ 主な事業 企業団の送水施設等の維持管理業務、宿泊研修所の管理運営業務ほか
【資料 3-3-16】株式譲渡の目的~今後の事業展開を見据えた体制強化
(出典
企業団の資料抜粋)
○企業団では、
「かながわの水道用水供給ビジョン」とその具体的な事業実施計画を
示した「かながわの水道用水供給 5 か年事業計画」において今後さらに水道サービス
㈱と連携することとしております。
○水道サービス㈱が新たな事業展開を図るには民間企業からの人材供給と経営参画
を行うなど経営基盤の強化を図る必要があります。
○企業団が保有する株を、民間企業に株式譲渡することで、水道サービス㈱の持続性
が促進され、また企業団施設の維持管理のため、水道サービス㈱が有する高い技術力、
経験等と民間企業が有する技術、ノウハウ等を水道サービス㈱に集約することで今後
の広域水道事業の支援業務の強化が可能となるものであり、企業団が目指す「安全で
良質な水道水を送り続けるトップレベルの広域水道」が実現されるものであります。
50
【資料 3-3-17】譲渡の内容(出典
・株式譲渡先
・選定方法
・譲渡契約日
企業団の資料抜粋)
「水 ing 株式会社」「月島テクノメンテサービス株式会社」
平成 24 年 3 月に実施した公募により選定
平成 24 年 6 月 1 日
・譲渡内容
項目
株式譲渡前
発行済株式数
株
主
株式譲渡後
1,000 株
変更なし
(1 株 5 万円)
企業団
1,000 株
企業団
700 株
水 ing㈱
150 株
月島テクノメンテサービス㈱ 150 株
資本金
5,000 万円
変更なし
・譲渡金額
5 万円/株×150 株×2 社=1,500 万円
・株式譲渡日
平成 24 年 6 月 20 日
譲渡相手先の選定については公募型プロポーザル方式を採用し、譲渡金額(1 株当た
り単価)については企業団顧問弁護士への相談を踏まえ、プロポーザルにより決定した
譲渡相手先との協議に基づき決定している。株式譲渡後、譲渡相手先の企業から数名の
技術者が水道サービス㈱に派遣されており、その意味では水道サービス㈱が有する高い
技術力、経験等と民間企業が有する技術、ノウハウ等を水道サービス㈱に集約すること
で今後の広域水道事業の支援業務を強化し、水道サービス㈱の自立化を促すという譲渡
目的の一部を果たしているといえる。
一方で、平成 23 年度末の水道サービス㈱の純資産は 91,427 千円であり、純資産をベ
ースにした水道サービス㈱の株式の価値は 1 株あたり 91,427 円である。300 株では
27,428 千円であり、実際の譲渡金額 15,000 千円(1 株 50,000 円)とかい離している。
これは水道サービス㈱の自立化を図るという目的のもと、ある程度価格を抑えることに
より募集条件を緩和し、公募に対する民間企業の参加意欲を引き出すとともに、譲渡先
2 社がとるべきリスクも加味したうえでの価格として、企業団、水道サービス㈱及び譲
渡先 2 社の合意による譲渡金額である。
【意見】
純資産をベースとして試算した水道サービス(株)の株式 300 株の価値 27,428 千円に
対し、実際の譲渡金額は 2 社で計 15,000 千円と差がある。企業団顧問弁護士の見解を
踏まえ、ある程度価格を抑えることにより公募に対する民間企業の参加意欲を引き出す
とともに、株式の譲受人がとるべきリスクも加味したうえでの合意された価格として譲
渡が行われているが、企業団にとって株式は重要な財産の 1 つであり、企業団の事業運
51
営にも影響を与えると考えられる。水道サービス㈱の株式評価をより厳密に行い、それ
でもなお株式評価額に基づかない価格で処分する場合において、その価格によることと
した算定根拠を明確にすることが望まれる。
【意見】
水道サービス(株)の株式譲渡に関して補正予算が行われたが、実際の譲渡が平成 24
年 6 月であったことから、平成 24 年 7 月の議会に対しては結果的に事後報告となった。
株式は企業団の重要な財産の 1 つであり、企業団の事業運営にも影響を与えることから、
株式の取得や処分にあたっては議会への事前の報告が望まれる。
⑤ その他引当金・PCB 処理費用について
【現状】
PCB(ポリ塩化ビフェニル)について、企業団は処分が可能となる年度まで管理し
毎年の保管状況の報告を実施している。将来企業団の責任において処分することになり、
その際一定の処分費用が発生することが見込まれている。
【資料 3-3-18】企業団が保管する PCB 廃棄物及び概算処理費用
(出典:企業団作成資料)
PCB 廃棄物種類
保管管理場所
トランス類
重量等
金額(千円)
三ツ境庁舎
コンデンサ類
重量等
450kg
金額(千円)
6,696
西長沢浄水場
相模原浄水場
伊勢原浄水場
47,538kg
115,574
261kg
4,242
89kg
3,426
水質管理センター
合計
PCB 汚染物質等(※1)
重量等
金額(千円)
合計
1,745kg
52,754
59,450
51 台
6,296
6,296
6ℓ他
323
4,565
119,000
802mℓ
-
115,574
-
14,364
-
31
31
59,404 189,342
概算処理費用は平成 24 年度末のデータをもとに日本環境安全事業㈱の算定基準に基づき算出
※1
PCB を使用した安定器、10kg未満の小型電気機器、感圧複写紙及び PCB に汚染されたウエス、汚泥、
その他汚染物
※2
金額については、千円未満切り上げ
一方で、平成 26 年度以降に適用が予定されている新基準では「引当金の要件」を満
たすものについては引当金として計上することが義務化される。
52
【資料 3-3-19】引当金の要件
①
将来の特定の費用または損失であること
②
その発生が当期以前の事象に起因すること
③
その発生の可能性が高いこと
④
金額が合理的に見積可能であること
【意見】
PCB処理費用については、新基準の適用を踏まえ、今後引当金として計上すべきか
どうか検討する必要があると考えられる。またそれ以外にも、現時点で支出がなくとも、
引当金の要件を満たすような項目・事象がないかどうか、網羅的な把握・調査の実施に
ついて検討が必要である。
53
4.財政状況について
(1) 将来の財政収支計画の概要
企業団の財政収支計画である「財政計画」は、企業団のあるべき姿(将来像)とその
実現に向けた 6 つの目標を掲げた水道ビジョン(平成 23 年度から平成 32 年度まで)に
掲げた施策群の実現へ向け当初 5 カ年間の事業実施計画である「5 か年事業計画」
(平成
23 年度から平成 27 年度まで)を財政的に裏付けるものとして策定され、平成 23 年度か
ら平成 27 年度までの事業資金の確保と料金水準の見極めが行われている。
【資料 3-4-1】平成 23 年度から平成 27 年度までの財政計画(出典:企業団作成資料)
54
(2) 平成 24 年度における財政状況の概要
① 企業団の財政状況
企業団の財政状況(消費税等については税抜で記載)について、平成 24 年度末の貸
借対照表をもとに見てみると、資産については、総資産 673,039 百万円に対して、主に
施設から構成される有形固定資産が 357,098 百万円と 53.0%、主にダム施設利用権や水
利権から構成される無形固定資産が 298,130 百万円と 44.2%を占めており、装置型産業
の典型的な傾向を示していることが大きな特徴として挙げられる。
一方、負債及び資本については、施設整備に当たって発行された企業債(借入資本金)
が 210,477 百万円、施設整備の財源とされた補助金等を原資とする資本剰余金が
221,556 百万円、構成団体の一般会計からの出資金(繰入資本金)が 187,449 百万円と
なっていることが特徴として挙げられる。また、過年度における企業債利息負担等を要
因とする欠損金が 4,844 百万円ある。
【資料 3-4-2】平成 24 年度貸借対照表(出典:企業団作成資料)
貸 借 対 照 表
(平成25年3月31日)
(単位:円)
借 方
貸 方
科 目
科 目
金 額
金 額
(資産の部)
(負債の部)
固 定 資 産
655,663,952,441 固 定 負 債
1,603,404,174
有 形 固 定 資 産
引
当
金
357,098,095,464
1,603,404,174
無 形 固 定 資 産
298,130,856,977
投
資
435,000,000
流
動 資 産
現 金 ・ 預
未
収
貯
蔵
前
払
そ の 他 流 動 資
金
金
品
金
産
17,375,691,509 流 動 負 債
13,254,130,903
未
払
金
3,883,975,606
預
り
金
89,170,000
預り有価証券
48,415,000
(資本の部)
100,000,000
資
本
金
自 己 資 本 金
借 入 資 本 金
剰
資
欠
計
673,039,643,950
余
金
本 剰 余
損
計
5,456,934,144
5,319,354,601
37,579,543
100,000,000
448,147,172,493
237,670,006,691
210,477,165,802
金
金
217,832,133,139
222,676,834,417
4,844,701,278
673,039,643,950
② 企業団の損益状況
企業団の損益状況(消費税等については税抜で記載)について見てみると、総収益
43,723 百万円に対し、総費用 40,758 百万円となっており、2,964 百万円の黒字の状態
にある。
さらに、収益と費用を事業の管理・運営に関する営業損益、事業の管理・運営に附帯
する営業外損益、特殊要因による特別損益に分けて見てみると、以下のとおりである。
55
営業損益のうち、営業収益は給水収益を中心に 43,104 百万円となっており、営業費
用は減価償却費や原水費、浄水費を中心に 34,273 百万円となっている。その結果、営
業損益は 8,831 百万円の黒字となっている。
営業外損益のうち、営業外収益は構成団体の一般会計からの繰入金を中心に 433 百万
円となっており、営業外費用は借入金や企業債に係る支払利息を中心に 6,485 百万円と
なっている。その結果、営業外損益は 6,052 百万円の赤字となっている。
特別損益のうち、特別損失は平成 24 年度においては生じておらず、特別利益は東京
電力㈱からの賠償金が 185 百万円となっている。
これらの結果、当年度純損益は 2,964 百万円の黒字となっている。
【資料 3-4-3】平成 24 年度損益計算書(出典:企業団作成資料)
損 益 計 算 書
(平成24年4月1日から平成25年3月31日まで)
(単位:円)
営
1
⑴
⑵
⑴
⑵
⑶
⑷
⑸
⑹
⑺
⑻
業
費
用
原
水
浄
水
送
水
業
務
総
係
議 会 及 び 監 査
減 価 償 却
資 産 減 耗
営
業
利
益
43,038,779,964
65,932,516
43,104,712,480
7,432,572,576
6,389,376,839
931,964,474
538,557,007
1,320,853,729
20,504,557
17,202,324,855
437,136,247
34,273,290,284
営
2
営
3
⑴
⑵
⑶
4
業
収
益
給
水
収
益
そ の 他 営 業 収 益
費
費
費
費
費
費
費
費
業 外 収 益
受取利息及び配当金
繰
入
金
雑
収
益
業 外 費 用
支 払 利 息 及 び
⑴
企 業 債 取 扱 諸 費
雑
支
出
⑵
経
常
利
益
8,831,422,196
17,662,731
309,000,000
106,690,832
433,353,563
6,484,725,625
676,100
6,485,401,725
△6,052,048,162
2,779,374,034
185,273,873
185,273,873
185,273,873
2,964,647,907
7,809,349,185
4,844,701,278
営
特
5
⑴
別
利
益
そ の 他 特 別 利 益
当 年 度 純 利 益
前年度繰越欠損金
当年度未処理欠損金
③ 企業団の財政収支状況
企業団の財政収支状況(消費税等については税込で記載)について見てみると、総収
入 50,396 百万円に対し、総支出 67,340 百万円となっており、16,944 百万円の支出超過
56
の状態にある。
さらに、収入と支出を事業の管理・運営に関する収益的収支と、施設の建設・改良に
関する収支である資本的収支に分けてみてみると、以下のとおりである。
収益的収支のうち、収益的収入は給水料金収入を中心に 45,875 百万円となっており、
収益的支出は減価償却費や施設維持管理費等を中心に 42,677 百万円となっている。そ
の結果、収益的収支は 3,198 百万円の収入超過となっている。
資本的収支のうち、資本的収入は構成団体の一般会計からの出資金や企業債の発行額
等を中心に 4,521 百万円となっており、資本的支出は企業債償還金を中心に 24,663 百
万円となっている。その結果、資本的収支は 20,142 百万円の大幅な支出超過となって
いる。
なお、当該収支不足額は、資金流出を伴わない減価償却費等の損益勘定留保資金
(17,529 百万円)、収益的収支差額(3,198 百万円)等で補てんされ、補てん後の当年
度収支超過額は 583 百万円となる。当該収支超過額は、当年度の貸借対照表の流動資産
から流動負債と固定負債を控除した 10,315 百万円と、前年度の貸借対照表の流動資産
から流動負債と固定負債を控除した 9,731 百万円との差額 583 百万円と一致する。
【資料 3-4-4】平成 24 年度収益的収支及び資本的収支の状況(出典:企業団作成資料)
収益的収支(事業の管理・運営に関する収入支出:税込み)
(単位:千円)
給水料金
45,190,719
その他収入, 498,721
特別利益 185,274
収入
45,874,714
支出
42,677,136
収益的収支差額
3,197,578
(純利益)
2,964,648
施設維持管理費等
15,397,970
人件費等 3,265,861
支払利息等
6,484,726
減価償却費等
17,528,579
57
資本的収支(施設の建設・改良に関する収入支出:税込み)
(単位:千円)
収支不足額
△20,141,675
減価償却費等の
損益勘定留保資金
等で補てん
その他収入 140,756
出資金 1,674,000
補助金 359,226
企業債 2,347,000
国庫補助金返還金
19,603
収入
4,520,982
支出
24,662,657
一般建設改良費
5,233,326
企業債償還金
19,409,728
(3) 結果及び意見
① 30~40 年の中長期における財政収支の検討
【現状】
企業団の収支の検討は、「かながわの水道用水供給 5 か年事業計画」や、企業団のあ
るべき姿(将来像)を検討したうえで、目標の実現化方策を示した 10 年単位の「かな
がわの水道用水供給ビジョン」が作成され行われているが、将来の目標を数値として可
視化させた 30~40 年の中長期の財政収支計画は作成されていない。
【意見】
30~40 年の財政収支計画を目標数値として可視化させるためには、設備の更新需要見
通しを可視化させ、当該更新需要に見合った財政収支を検討することが望ましい。
なお、これら一連の検討にあたっては、長期的な視点から水道施設のライフサイクル
全体にわたって、効率的、効果的かつ組織的に水道施設を管理運営しようとする活動で
ある、アセットマネジメントの実践が有効である。
② 更新需要等に備えた資金留保のあり方
【現状】
現状では、5 年間の財政収支計画に基づいて、資金収支ベースでの料金算定が行われ
ており、財政計画期間内におけるコストを回収するに足る水準の料金設定を行っている。
58
収益的収支は、収益的収入である料金収入、構成団体の一般会計からの繰入金と収益
的支出である人件費、動力費、薬品費、支払利息、減価償却費等との差額として算出さ
れる。
資本的収支は、資本的収入である企業債、構成団体からの出資金、国庫補助金と、資
本的支出である一般建設改良費及び企業債の元金償還金との差額として算出される。
【資料 3-4-5】現行の料金算定の考え方(企業団作成資料を参考に作成)
収
益
的
収
支
収益的
収入
資
本
的
収
支
資本的
収入
収益的
支出
資本的
支出
構成団体
繰入金
料金収入
現金支出を伴う支出
(人件費、動力費、薬品費、支払利息等)
企業債
構成団体
出資金
現金支出を伴わない支出(A)
(減価償却費等)
国庫補助金
一般建設改良費
資本的収支不足額(B)
企業債元金償還金
※ (A)と(B)の差額が累積資金過不足額に加減算される。
【意見】
現状では、5 年間の財政収支計画に基づいて、資金収支ベースにより財政計画期間内
の料金算定が行われているため、本来、将来の更新需要等に備えて内部留保すべき減価
償却費相当額の資金が企業債の償還等に充当されており、将来の更新需要等に備えた資
金留保が十分に行われていない。現状、施設の中には法定耐用年数に達しているものも
あり、今後、施設の更新や維持管理を重点的に進めていくことが課題となっている企業
団にとって、将来の更新需要等に備えた資金留保を行うことは、将来にわたり水道水の
安定的な供給を継続していく上からも重要な検討事項である。
将来の更新需要等に備えた資金留保を行うためには、将来の更新需要等を正確に把握
することがまず必要となるが、更新需要等の正確な把握は、長期的な視点から水道施設
のライフサイクル全体にわたって、効率的、効果的かつ組織的に水道施設を管理運営し
ようとする活動である、アセットマネジメントの実践により行うことが有効である。
59
5.資産管理について
(1) 資産の概要
企業団は、取水・導水施設(取水堰、取水口、沈砂池、導水ポンプ、導水管等)、浄
水施設(沈でん池、ろ過池、排水処理施設等)、送水施設(送水管、調整池等)を保有
するほか、水利権、貯水施設(ダム)の使用権を有している。
これらの施設の種類別の概要は以下のとおりである。
【資料 3-5-1】有形・無形固定資産(帳簿価額)の概要(企業団提供資料をもとに作成)
施設等の種類
施設等の概要
金額(百万円)
有形・無形固定資産
622,150
有形固定資産
333,179
土地
施設の用地
32,258
取水施設
川から水を取り込む施設
19,989
導水施設
原水を浄水施設に送る施設
42,903
浄水施設
水道用水を作る施設
36,728
送水施設
水道用水を構成団体に送る施設
その他
施設の建物等
128,872
72,427
無形固定資産
288,970
水利権
川から水を取り込む権利
ダム使用権
水を貯める施設を使用する権利
その他
施設利用権等
25,985
262,905
79
60
【資料 3-5-2】施設の概要(出典:企業団作成資料)
これらの施設は、昭和 44 年から順次建設されてきたが、それらの施設の中には法定
耐用年数に達しているものもあり、今後は施設の更新や維持管理を重点的に進めていく
ことが課題となっている。
(2) 資産管理の概要
資産については、そのライフサイクルの中で、整備、修繕、更新の各ステップがある
が、企業団においては構成団体の水需要に応じた整備が一段落した段階にある。
今後は修繕、更新、更には安全性を高め水道水の安定供給に資するための耐震補強に
重点が置かれることとなる。今後実施される修繕、更新、耐震補強の計画の概要につい
て、企業団における資産管理の単位である構築物及び施設、管路の別に見ていくと以下
のとおりである。
① 構築物及び施設の修繕、更新、耐震化計画
企業団における構築物及び施設の修繕、更新、耐震補強に当たっては、それぞれ以下
61
の計画が定められている。
(ア) 施設更新計画
現行の施設更新計画は平成 23 年 1 月に策定されているが、これは平成 17 年度におい
て策定された平成 26 年度までの 10 ヶ年の前「施設更新計画」をベースに、平成 20 年
度に策定された「水道ビジョン関連整備事業計画」や、施設の耐用年数及び経過年数を
加味して策定されている。
【資料 3-5-3】「施設更新計画」の概要(「施設更新計画」より抜粋)
<基本方針>
・各種劣化診断結果を反映し、更に延命化した更新周期とする。
・施設の老朽化に係る施設整備を対象とする。
<計画期間>平成 23 年度から平成 32 年度まで
<総事業費>285 億円(平成 25 年 3 月現在)
<主な内容>
・前「施設更新計画」からの継続実施(95 億円)
・新たに更新時期を迎えるもの(190 億円)
※
施設更新の周期については、設備の劣化診断の結果や実状に合わせて適宜延長
している。
平成 23 年度から平成 32 年度までの施設区分別年次施設更新計画(実績及び予算を含
む)は以下のとおりである。
【資料 3-5-4】施設区分別年次施設更新計画(企業団提供資料をもとに作成)
(百万円)
取水・導水施設
浄水施設
送水施設
合計
平成23年度実績
293
285
121
701
平成24年度予算
151
204
1,353
1,710
平成25年度予算
655
1,221
307
2,184
平成26年度計画
1,156
3,786
1,345
6,289
平成27年度計画
381
3,052
1,171
4,605
平成28年度計画
761
2,067
38
2,867
平成29年度計画
917
1,642
273
2,833
平成30年度計画
22
3,460
0
3,483
平成31年度計画
493
976
569
2,039
平成32年度計画
0
1,101
662
1,763
合計
4,834
17,800
5,844
28,479
※ 平成23年度実績の浄水施設更新事業費には、耐震補強関連事業費64百万円を含む。
また、平成 21 年度から平成 24 年度までの施設更新計画の予算化及び予算執行の状況
は以下のとおりとなっており、東日本大震災が発生した平成 23 年度を除いては、概ね
計画が予定どおり実行されているものと考えられる。
62
【資料 3-5-5】施設更新計画の予算化及び予算執行の状況(企業団提供資料をもとに作成)
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
金額
対計画
金額
対計画
金額
対計画
金額
対計画
(百万円)
計画値 予算計上 予算執行
1,896
2,237
1,888
100.0%
117.9%
99.5%
2,069
2,070
2,490
100.0%
100.0%
120.3%
1,093
985
701
100.0%
90.1%
64.1%
1,569
1,710
1,588
100.0%
108.9%
101.2%
(イ) 修繕工事計画
現行の修繕工事計画は、平成 18 年度において策定された平成 22 年度までの 5 ヶ年の
前「修繕工事計画」の計画期間が完了したため、平成 23 年 1 月に策定されている。
【資料 3-5-6】「修繕工事計画」の概要(「修繕工事計画」より抜粋)
<基本方針>
・「企業団水道設備点検整備指針」に基づく修繕工事周期を原則とするが、各種劣化
診断の結果を反映し、修繕工事周期を延長する。
・計画的かつ合理的な修繕を計画するため、費用の平準化を図る。
<計画期間>平成 23 年度から平成 32 年度まで
<総事業費>181 億円(平成 25 年 3 月現在)
<主な内容>
・前「修繕工事計画」から平成 23 年度以降に先送りしたもの(12 億円)
・新たに修繕時期を迎えるもの等(169 億円)
※
修繕工事の実施周期については、設備の劣化診断の結果や実状に合わせて適宜
延長している。
平成 23 年度から平成 32 年度までの施設区分別年次修繕工事計画(実績及び予算を含
む)は以下のとおりである。
【資料 3-5-7】施設区分別年次修繕工事計画(企業団提供資料をもとに作成)
施設区分別年次修繕工事計画
取水・導水施設
平成23年度実績
414
平成24年度実績
541
平成25年度予算
321
平成26年度計画
404
平成27年度計画
471
平成28年度計画
541
平成29年度計画
546
平成30年度計画
514
平成31年度計画
469
平成32年度計画
217
合計
4,444
浄水施設
819
1,009
1,231
1,172
1,288
1,337
967
1,050
1,203
1,345
11,425
63
送水施設
191
122
165
163
141
213
309
400
194
279
2,182
その他
14
0
0
0
6
90
6
42
0
0
160
(百万円)
合計
1,440
1,673
1,719
1,740
1,907
2,183
1,829
2,007
1,867
1,842
18,212
また、平成 21 年度から平成 24 年度までの修繕工事計画の予算化及び予算執行の状況
は以下のとおりとなっており、概ね計画が予定どおり実行されているものと考えられる。
【資料 3-5-8】修繕工事計画の予算化及び予算執行の状況(企業団提供資料をもとに作成)
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
金額
対計画
金額
対計画
金額
対計画
金額
対計画
(百万円)
計画値 予算計上 予算執行
1,256
1,200
1,183
100.0%
95.5%
94.1%
1,292
1,200
1,033
100.0%
92.8%
79.9%
1,445
1,443
1,440
100.0%
99.8%
99.6%
1,646
1,554
1,525
100.0%
94.4%
92.6%
(ウ) 耐震化計画
現行の耐震化計画は、「施設耐震化事業基本計画」及び「施設耐震化事業実施計画」
として、平成 21 年度から平成 35 年度までの計画が策定されている。
施設の耐震性調査は、平成 17 年 1 月に厚生労働省により制定された「水道事業ガイ
ドライン(PⅠ)」を機に行われた。「レベル 2 地震動」に対して耐震性が明確でなかっ
た土木構造物を対象に、科学的根拠を持った耐震診断を平成 19 年度から実施している。
耐震性が不足すると判定された施設は、平成 35 年度までに以下の 5 段階の実施期間を
設けて耐震補強工事が行われている。
【資料 3-5-9】「施設耐震化事業基本計画」及び「施設耐震化事業実施計画」の概要
(「施設耐震化事業基本計画」及び「施設耐震化事業実施計画」より抜粋)
<計画期間>平成 21 年度から平成 35 年度まで
・第 1 段階(平成 24 年度まで)
酒匂川系統導水管における総合的地震対策の完了
・第 2 段階(平成 27 年度まで)
東海地震防災対策強化区域内の施設耐震化率 100%
・第 3 段階(平成 29 年度まで)
応急給水拠点調整池の耐震化率 100%
・第 4 段階(平成 32 年度まで)
用水供給システム(取水、導水、浄水及び送水に関連する施設)としての
耐震化率 100%
・第 5 段階(平成 35 年度まで)
施設耐震化率 100%
<総事業費>約 200 億円(平成 25 年 3 月現在)
64
<主な内容>
・水道施設の耐震性強化
・バックアップルートの強化
・備蓄資材の確保
なお、平成 24 年度末における施設の耐震化率は、浄水場 53.0%、ポンプ場 87.4%、
調整池 37.1%となっている。
また、平成 21 年度から平成 35 年度までの耐震化事業計画(実績及び予算を含む)は
以下のとおりである。
【資料 3-5-10】施設区分別年次耐震化事業計画(企業団提供資料より作成)
施設区分別年次耐震化事業計画
取水・導水施設
平成21年度実績
平成22年度実績
34
平成23年度実績
8
平成24年度実績
1,083
平成25年度予算
7
平成26年度計画
120
平成27年度計画
320
平成28年度計画
平成29年度計画
220
平成30年度計画
平成31年度計画
平成32年度計画
平成33年度計画
平成34年度計画
平成35年度計画
合計
1,794
浄水施設
送水施設
31
248
190
377
394
230
550
1,100
400
200
180
180
300
300
4,682
521
927
894
875
819
2,030
2,169
30
1,130
1,250
1,210
340
540
611
13,350
(百万円)
合計
31
805
1,126
2,354
1,278
939
2,580
2,719
1,350
1,530
1,450
1,390
520
840
911
19,827
また、平成 21 年度から平成 24 年度までの耐震化事業計画の予算化及び予算執行の状
況は以下のとおりとなっており、概ね計画が予定どおり実行されているものと考えられ
る。
【資料 3-5-11】耐震化事業計画の予算化及び予算執行の状況(企業団提供資料より作成)
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
金額
対計画
金額
対計画
金額
対計画
金額
対計画
計画値
31
100.0%
805
100.0%
1,733
100.0%
2,490
100.0%
(百万円)
予算計上
予算執行
33
31
108.2%
100.0%
1,063
805
132.1%
100.0%
1,732
1,126
99.9%
64.9%
2,697
2,354
108.3%
94.5%
前述の(ア)から(ウ)までの各計画は別個に策定されているが、事業の予算化の段階にお
65
いて事前にすり合わせが行われ、修繕工事、更新、耐震補強が最も効率的かつ効果的に
行われるように調整されている。
② 管路の修繕、更新、耐震計画
企業団における管路の修繕、更新、耐震補強に当たっては、平成 23 年 1 月に「管路
の老朽度調査及び保全計画」が策定されている。
当該計画では、平成 22 年度までに実施された管路保全策を展開させ、管路の老朽度
調査及び保全計画が以下のように定められている。
【資料 3-5-12】「管路の老朽度調査及び保全計画」の概要
(「管路の老朽度調査及び保全計画」より抜粋)
<方針>老朽化及び腐食による導・送水管路の漏水、破損事故等を未然に防ぎ、県・
市民への安定供給体制を維持する。
<取組み>
・老朽度調査…管路更新の方針決定のために実施
・腐食防止策…管路の延命化を図るために実施
・早期復旧策…漏水等が確認された場合の復旧期間短縮のため補修資材を備蓄
・更新を視野に入れたバックアップの整備計画策定
<計画期間>平成 22 年度から平成 32 年度
<事業費>約 43 億円(平成 25 年 3 月見直し後)
平成 22 年度から平成 32 年度までの管路保全計画(実績及び予算を含む)は以下のと
おりである。
【資料 3-5-13】管路保全計画(企業団提供資料より作成)
年次管路保全計画
(百万円)
合計
平成22年度実績
平成23年度実績
平成24年度実績
平成25年度予算
平成26年度計画
平成27年度計画
平成28年度計画
平成29年度計画
平成30年度計画
平成31年度計画
平成32年度計画
合計
166
125
128
154
93
71
113
88
615
1,398
1,340
4,293
また、平成 22 年度から平成 24 年度までの管路保全計画の予算化及び予算執行の状況
は以下のとおりとなっており、概ね計画が予定どおり実行されているものと考えられる。
66
【資料 3-5-14】管路保全計画の予算化及び予算執行の状況(企業団提供資料より作成)
平成22年度
平成23年度
平成24年度
金額
対計画
金額
対計画
金額
対計画
計画値
167
100.0%
136
100.0%
122
100.0%
(百万円)
予算計上
予算執行
171
166
102.5%
99.8%
135
125
99.1%
91.6%
144
128
118.1%
104.6%
なお、取り組みのひとつである「更新を視野に入れたバックアップの整備計画策定」
では、管路の更新時期を迎える前に、バックアップ管路整備のための方針をあらかじめ
決定するとしている。このため、長期にわたる管路整備の実施に備えるべく、平成 27
年度を目標に「管路整備基本構想」を策定するための検討を行っている。
(3) 結果及び意見
① 情報の収集・整理・データベース化
【現状】
企業団の資産管理データには、技術系のデータと会計系のデータがある。技術系のデ
ータは、浄水計画課や浄水場・取水管理事務所において記録・管理されている各修繕補
修記録と更新記録であり、会計系のデータは、財務課で記録・管理されている固定資産
台帳である。これらのデータについては、それぞれ別個に記録・管理されている。
(ア) 修繕補修記録
資産の修繕補修記録については、平成 19 年度より維持管理業務の効率化高度化を図
るため、全浄水場・取水管理事務所において統一した様式で修繕補修記録を作成し保存
している。当該修繕補修記録は、以下の要領で作成・記録されている。
【資料 3-5-15】修繕補修記録の記載内容等(企業団提供資料より作成)
<記録の単位>
・点検や修繕の行為を記録の単位としている。
<保持しているデータ>
・件名
・期間
・概要
・故障原因
・対処した内容
・その他
67
<保存媒体>
・記録紙
・電子ファイル
(イ) 更新記録
資産の更新記録については、各所属において保管されている完成図書に工事単位で詳
細に記載され、当該工事の中に含まれている個々の資産に関する情報は、適宜固定資産
台帳に転記される。
(ウ) 固定資産台帳
固定資産台帳については、固定資産 1 点ごとに記載が行われ、財務課において一元的
に作成・保存されている。固定資産台帳には、以下の情報が作成・記録されている。
【資料 3-5-16】固定資産台帳の記載内容等(企業団提供資料より作成)
<記録の単位>
・一点ごとの設備を記録の単位としている。
<保持しているデータ>
・取得時期
・取得目的
・種別・面積・延長
・取得価額
・耐用年数
・利用年数
<保存媒体>
・電子ファイル(明細(内訳)について、手書台帳で管理している部分がある)
【意見】
企業団の資産管理データである修繕補修記録、更新記録、固定資産台帳は、それぞれ
別個に記録・管理されており、必要に応じて相互に参照されてはいるものの、有機的に
紐付けされず一体運用されている状況にはない。
修繕補修記録、更新記録には、水道施設の運転管理や点検調査の結果や水道施設の診
断結果が記録されており、また、固定資産台帳には、個別名称、取得価額等が記載され
ており、それらの調査結果等は水道施設の更新需要見通しの検討のための基礎資料とな
るだけでなく、財政収支見通しの検討のための基礎資料ともなる。
上述のように、企業団の資産管理データである修繕補修記録、更新記録、固定資産台
帳は、企業団の技術部門、会計部門において共通して活用されるべきデータであること
から、今後はこれらのデータを有機的に紐付けし一体運用を検討していくことが望まれ
68
る。
② 水道施設の診断と評価
【現状】
従来、構造物及び設備の機能診断(※)は個々の施設で実施され、経験豊富な職員が有
する施設の状態に応じた対応策に関するノウハウについて、日常業務を通じて若手職員
に直接的に伝えられていた。更に、課題を伴う事項については、それらを技術的見地か
ら審査する技術検討会議で検討されているが、機能診断に関する全ての情報が企業団全
体で一元管理されていない。
※
機能診断とは、日々の点検等で得られる電流や圧力等のデータを集計・分析した
上で補修時期を見極めることである。
【意見】
従来のように、経験豊富な職員から若手職員に対し、施設の状態に応じた対応策に関
するノウハウについて、日常業務を通じて直接的に伝え、現場において技術継承が円滑
に行われていた状況下においては、個々の施設において実施される機能診断は有効に機
能していたものと思われる。
しかしながら、経験豊富ないわゆる団塊世代の職員の退職や、経営改革に伴う人員削
減が進んでいる現在の状況下においては、経験豊富な職員と若手職員との接点が少なく
なり、経験豊富な職員が持つノウハウが、若手職員に十分に伝わっていない可能性があ
る。したがって、現在の状況下においては、ノウハウを人から人へ属人的に伝えるだけ
ではなく、客観的かつ体系的なデータとして収集し整理していくことが望まれる。
具体的には、機能診断の結果を企業団で一元管理できるように情報管理データベース
を構築し、企業団全体で情報共有していくことや、更には、近年開発されている、ビッ
グデータを活用した水道インフラの維持管理手法の導入についても検討を進めること
が望まれる。
③ 未利用・低利用資産
【現状】
平成 25 年 3 月末において、企業団には次表のとおり未利用地
(20,325.15 ㎡)
が 753,143
千円(帳簿価額)ある。なお、土地以外の未利用資産はない。
69
【資料 3-5-17】平成 25 年 3 月末における未利用資産の一覧(企業団提供資料より作成)
名称
面積(㎡)
帳簿価額(千円)
松田職員公舎用地
1,683.17
23,625
相模原管理公舎跡地
7,580.45
93,545
綾瀬浄水場用地
7,373.58
317,702
社家ポンプ場用地
3,687.95
318,270
20,325.15
753,143
独身寮跡地
相模原浄水場用地
計
【意見】
上表の未利用地のうち、松田職員公舎用地については、住宅用地として売買交渉中で
ある。
一方、相模原管理公舎跡地、独身寮跡地、相模原浄水場用地、綾瀬浄水場用地、社家
ポンプ場用地については、地下に導・送水管が埋設されていること、市街化調整区域で
あることによる用途規制、環境アセスメント保存緑地であること等の理由により、売買
等が困難な状況にある。
しかしながら、過去に企業団において、同様な土地を地元自治体に行政資産使用許可
を行いテニスコートとして利用している実績もあることから、水道水の供給に支障が生
じない範囲での有効活用を検討することが望ましい。
④ 公舎の利用について
【現状】
平成 25 年 3 月末において、企業団には職員向けに西長沢公舎と矢指公舎がある。
【資料 3-5-18】平成 25 年 3 月末における企業団が所有している公舎
(企業団提供資料より作成)
名称
所在地
建築年度
構造等
入居可能数
入居数
入居率
備考
西長沢公舎
川崎市宮前区潮見台
昭和50年
鉄筋コンクリート造4階建
16戸・1棟
16
6
37.5%
平成26年度末廃止予定
矢指公舎
横浜市旭区矢指町
昭和53年
鉄筋コンクリート造4階建
16戸・1棟
16
7
43.7%
上表のとおり、西長沢公舎の入居率が 37.5%、矢指公舎の入居率が 43.7%であり、2
70
か所の合計入居率が 40.6%と 50%を下回る状況にある。なお、西長沢公舎については
平成 26 年度末で廃止を予定している。
【意見】
上表の 2 か所の公舎はともに入居率が 50%を下回っており、有効活用されているとは
言い難い状況にあるが、西長沢公舎については平成 26 年度末で廃止が予定されている。
一方、矢指公舎については、継続使用をするか廃止をするかの選択を含めて、今後の
有効活用策を検討することが望ましい。
⑤ 丹沢荘のあり方について
【現状】
丹沢荘は、酒匂川上流に位置する三保ダム建設に伴い、水没する地区住民の里帰り施
設として、また、企業団とその構成団体の職員研修や福利厚生のための施設として昭和
55 年に建設された。
(ア) 丹沢荘の宿泊利用者の推移
前述のような位置づけのもとで建設された丹沢荘であるが、平成 24 年度の宿泊利用
者数 8,266 人のうち、
水没関係者が 381 人(4.6%)
、企業団・構成団体が 1,520 人(18.4%)
となっており、残りの 6,365 人(77.0%)が水没関係者や企業団・構成団体とは関連の
ない一般利用者である。この傾向は近年において変動がなく、水没関係者が宿泊利用者
の 5%前後、企業団・構成団体が 15%前後、一般利用者が 80%前後で推移している。
【資料 3-5-19】丹沢荘の宿泊者推移(企業団提供資料より作成)
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
宿 泊 者 数( 人)
構 成 比( %)
宿 泊 者 数( 人)
構 成 比( %)
宿 泊 者 数( 人)
構 成 比( %)
宿 泊 者 数( 人)
構 成 比( %)
企業団・
水没関係者
構成団体
1,417
265
14.0%
2.6%
1,217
441
13.1%
4.8%
1,355
409
16.9%
5.1%
1,520
381
18.4%
4.6%
一般
8,423
83.4%
7,625
82.1%
6,240
78.0%
6,365
77.0%
合計
10,105
100.0%
9,283
100.0%
8,004
100.0%
8,266
100.0%
(イ) 丹沢荘の利用料金
丹沢荘の利用料金は次表のとおりであり、周辺にある宿泊施設と比較して割安な料金
設定となっている。
71
【資料 3-5-20】丹沢荘及び丹沢荘周辺の宿泊施設の利用料金比較(企業団調べ)
インターネット・山北町観光協会情報(平成25年11月13日調べ)
区分
温泉旅館
公営施設
旅 館
施設名
客室数
料金(税込)
収容人員
平日・休日
休前日
休憩
食事付6,300円~
A
22室
108名
9,800円~
9,800円~
B
12室
50名
16,650円~
16,650円~
-
C
15室
83名
7,500円~
9,390円~
食事付3,020円~
D
10室
50名
13,335円~
13,335円~
食事付4,000円~
E
21室
120名
12,800円~
14,800円~
丹沢荘
11室
56名
5,700円~
6,000円~
(10名様以上3,500円~)
-
28室
116名
コテージ12室
54名
G
6室
30名
7,350円~
8,450円~
食事付2,000円~
H
7室
30名
8,400円~
8,400円~
食事付4,000円~
F
★H18.2.28閉館
(ウ) 丹沢荘の業績推移
丹沢荘は、その施設を企業団が保有し、施設の運営を外部の業者に委託している。
丹沢荘の運営管理は、平成 9 年 7 月から平成 24 年 3 月まで、宿泊部門の運営につい
ては、企業団から水道サービス(株)に対し、特名による随意契約による業務委託が行わ
れ、飲食部門の運営については、水道サービス(株)による自主運営が行われていた。
平成 24 年度からは、競争性のある契約方法に変更することとし、企画提案による管
理運営受託者募集の結果、平成 24 年度以降 3 ヶ年の丹沢荘の業務運営全般について、
水道サービス(株)による業務運営が行われることとなった。
当該契約形態の変更に伴い、丹沢荘に関連した企業団の収支は改善されることとなっ
た。
丹沢荘の業績の推移は次表のとおりである。
72
【資料 3-5-21】丹沢荘の業績推移(企業団及び水道サービス(株)提供資料より作成)
丹沢荘の業績推移
【企業団】
営業収益
宿泊研修所利用料
営業収益合計
営業費用
宿泊研修所
運営管理委託料
負担金及び交付金
減価償却費
営業費用合計
営業損益
営業外収益
施設賃貸料
営業外収益合計
経常損益
丹沢荘の業績推移
【水道サービス(株)】
営業収益
宿泊研修所
管理受託料
宿泊研修所利用料
飲食売上
営業収益合計
営業費用
宿泊原価
飲食原価
宿泊一般管理費
飲食一般管理費
営業費用合計
営業損益
営業外収益
宿泊
飲食
営業外収益合計
経常損益
共通費配賦
宿泊
飲食
共通費合計
共通費配賦後
経常損益
(千円)
平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
42,522
42,522
38,182
38,182
33,544
33,544
-
49,089
48,132
46,872
-
6,919
29,425
85,433
△ 42,911
6,428
28,820
83,380
△ 45,198
5,991
28,391
81,254
△ 47,710
5,593
26,954
32,547
△ 32,547
△ 42,911
△ 45,198
△ 47,710
1,506
1,506
△ 31,041
(千円)
平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
49,089
48,132
46,872
-
61,132
110,221
56,904
105,036
52,130
99,002
35,089
52,240
87,329
24,679
36,874
30,924
92,477
17,744
24,185
42,695
27,897
94,777
10,259
22,156
40,127
29,237
91,520
7,482
21,406
35,302
24,699
81,407
5,922
15
264
279
18,023
22
158
180
10,439
1,301
97
1,398
8,880
4
221
225
6,147
3,565
3,154
6,719
2,331
1,756
4,087
1,952
1,567
3,519
1,276
1,035
2,311
11,304
6,352
5,361
3,836
73
丹沢荘の業績推移
【企業団+水道サービス(株)合算・内部取引消去後】
(千円)
平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
営業収益
宿泊研修所利用料
42,522
38,182
33,544
35,089
飲食売上
61,132
56,904
52,130
52,240
営業収益合計
103,654
95,086
85,674
87,329
営業費用
宿泊原価
飲食原価
24,679
24,185
22,156
21,406
宿泊一般管理費
36,874
42,695
40,127
33,796
飲食一般管理費
30,924
27,897
29,237
24,699
負担金及び交付金
6,919
6,428
5,991
5,593
減価償却費
29,425
28,820
28,391
26,954
営業費用合計
128,821
130,025
125,902
112,448
営業損益
△ 25,167
△ 34,939
△ 40,228
△ 25,119
営業外収益
宿泊
15
22
1,301
4
飲食
264
158
97
221
営業外収益合計
279
180
1,398
225
経常損益
△ 24,888
△ 34,759
△ 38,830
△ 24,894
共通費配賦
宿泊
3,565
2,331
1,952
1,276
飲食
3,154
1,756
1,567
1,035
共通費合計
6,719
4,087
3,519
2,311
共通費配賦後
△ 31,607
△ 38,846
△ 42,349
△ 27,205
経常損益
【意見】
丹沢荘は水没する地区住民の里帰り施設として、また、企業団とその構成団体の職員
研修や福利厚生のための施設として建設されたが、近年の利用状況を見てみると、一般
利用者が 80%前後を占めており、建設当初に意図されていた役割とは異なる状況にある。
水道サービス(株)による集客強化やコスト削減等の営業努力の結果、水道サービス
(株)における宿泊施設運営事業は黒字化しているが、企業団における丹沢荘に係る減価
償却費及び国有資産等所在市町村交付金などの費用と、水道サービス(株)における丹沢
荘に係る費用を一体として考えた場合には、収支は依然として赤字となっている。
また、料金設定について、水没する地区住民の里帰り、企業団とその構成団体の職員
研修や福利厚生のために、周辺の宿泊施設よりも割安な設定となっていることは理解で
きる。しかしながら、利用客の大部分を占める一般利用者に対して、前述の里帰り住民
等に対する料金よりは高いとはいえ、周辺の宿泊施設よりも割安な料金設定を行ってい
ることについては、再考の余地があると思われる。
企業団としては、水源地域振興への役割及び建設時の趣旨を踏まえながら、丹沢荘に
係る収支の状況を注視するとともに、一般利用者に対する料金設定について水道サービ
ス(株)を交えて検討することが望まれる。
74
⑥ アセットマネジメントの導入に向けて
【現状】
企業団の「管路の老朽度調査及び保全計画」では、管路整備は多額の事業費を要する
ことが想定されるため、アセットマネジメントの導入が今後の課題であるとされている。
平成 21 年に厚生労働省により公表された「水道事業におけるアセットマネジメント
(資産管理)に関する手引き~中長期的な視点に立った水道施設の更新と資金確保~」
(以下「ガイドライン」という。)によれば、アセットマネジメントは、①必要情報の
整備、②ミクロマネジメントの実施、③マクロマネジメントの実施及び④更新需要・財
政収支見通しの活用の 4 つの要素で構成される。実践にあたっては、適宜進捗管理を行
いながら、これら各構成要素が有機的に連結した仕組みを構築していくことが必要であ
るとされている。
【資料 3-5-22】「ガイドライン」に基づくアセットマネジメントの 4 つの要素
(「ガイドライン」より抜粋)
1.必要情報の整備
1-1
必要情報の収集・整理
1-2
データベース化
2.ミクロマネジメントの実施
2-1
水道施設の運転管理・点検調査
2-2
水道施設の診断と評価
3.マクロマネジメントの実施
3-1
検討手法の選定
3-2
更新需要見通しの検討
3-3
財政収支見通しの検討
3-4
妥当性の確認と検討結果のとりまとめ
3-5
マクロマネジメントのレベルアップに向けた改善方策の抽出
4.更新需要・財政収支見通しの活用
4-1
地域水道ビジョン等の計画作成における活用
4-2
情報提供における活用
4-3
水道の運営基盤強化に向けた包括的検討
具体的に見ていくと、まず「必要情報の整備」では、後述するミクロマネジメントや
マクロマネジメントの実施に必要な基本情報を収集・蓄積・整理し、両要素間を有機的
に連結させることとされている。
第 2 に「ミクロマネジメントの実施」では、個別の水道施設ごとに「運転管理・点検
調査」などの日常的な維持管理や「施設の診断と評価」を実施し、マクロマネジメント
の実施に必要なデータの収集や整備等を行うこととされている。
75
第 3 に「マクロマネジメントの実施」では、水道施設全体の視点から各施設の重要度・
優先度を考慮した上で、中長期的な観点から「更新需要見通し」及び「財政収支見通し」
について検討することとされている。
第 4 に「更新需要・財政収支見通しの活用」では、地域水道ビジョン等の計画作成や、
水道利用者等に対して事業の必要性・効果を説明するための情報提供に、マクロマネジ
メントの実施を通じて得られた「更新需要見通し」及び「財政収支見通し」に関する検
討成果を活用することとされている。
【意見】
企業団においては、アセットマネジメントの 4 つの要素の中で、以下の事項について
検討すべき課題が散見される。
(ア) 「必要情報の整備」における必要情報の収集・整理について
「必要情報の整備」における必要情報の収集・整理について、「ガイドライン」では
以下の留意事項が示されている。
【資料 3-5-23】必要情報の収集・整理についての留意事項 (「ガイドライン」より抜粋)
◆ アセットマネジメント(資産管理)を実践するに当たっては、以下のような情報
を日常の管理業務等において収集・整理する必要がある。
・対象施設の台帳と諸元
・点検調査に関する情報
・施設の診断と評価に必要となる情報
・更新需要見通しの作成に必要となる情報
・財政収支見通しの作成に必要となる情報
◆ 必要となる情報が不足している場合には、施設の点検マニュアルの見直し、図面・
台帳の整備等、データ収集・整理のための管理方法の改善を検討する。
企業団の資産管理データである修繕補修記録、更新記録、固定資産台帳は、それぞれ
別個に記録・管理されており、必要に応じて相互に参照されてはいるものの、有機的に
紐付けされず一体運用されている状況にはないことから、データ収集・整理のための管
理方法の改善を検討することが望まれる。さらに、将来的にはデータの有効性を高める
ため、資産の再取得価額に関する情報についても入手することが望ましい。
(イ) 「必要情報の整備」におけるデータベース化について
「必要情報の整備」におけるデータベース化について、「ガイドライン」では以下の
留意事項が示されている。
76
【資料 3-5-24】データベース化についての留意事項(「ガイドライン」より抜粋)
◆日常的活動において収集・整理された各種情報をデータベース化しておくと、デー
タの管理作業負担が軽減され、利用の効率化・高度化が可能となる。
◆データベースシステムについては、長期的な視点からの将来像を見据えて、段階的
に構築する。
企業団においては、日常的活動において収集・整理された機能診断に関する全ての情
報が企業団全体で一元管理出来ていないことから、情報管理データベースを構築し、機
能診断に関する全ての情報を企業団全体で一元管理することが望ましい。
(ウ) 「マクロマネジメントの実施」における財政収支見通しの検討について
「マクロマネジメントの実施」における財政収支見通しの検討について、「ガイドラ
イン」では以下の留意事項が示されている。
【資料 3-5-25】財政収支見通しの検討についての留意事項 (「ガイドライン」より抜粋)
◆当該事業の財政状態を把握した上で、検討期間を少なくとも 30~40 年程度として、
更新需要見通しに対する財政面への影響を検討する。
◆財政収支の見通しにより、損益勘定留保資金等(内部留保資金)の推移、料金水準
の妥当性等を検証し、中長期的な観点から更新財源としての資金確保方策を検討する。
企業団においては、将来の目標を数値として可視化させた 30~40 年の中長期の財政
収支計画が作成されていない。財政収支計画を目標数値として可視化させるためには、
今後 30~40 年の設備の更新需要見通しを可視化させ、事業の財政状態を把握した上で
当該更新需要に見合った財政収支を検討することが望ましい。
今後、アセットマネジメントを導入する際には、上記の課題を中心に検討を進められ
たい。
77
6.危機管理体制について
(1) 危機管理体制の概要
企業団では、5 か年事業計画の中で、老朽化対策、管路等保全対策、耐震化対策、危
機管理対策の各施策を設け、水道用水の安定供給と災害や事故に強い広域水道を目標と
して対策を図っている。
各施策は以下のような内容となっている。
【資料 3-6-1】老朽化対策、管路等保全対策、耐震化対策、危機管理対策の各施策
(「5 か年事業計画」より抜粋)
施策
老朽化対策
管路等保全対策
耐震化対策
具体的な取組み
内容
老朽施設の修繕
修繕計画の策定・実施
老朽施設の改良・改善
施設更新計画の策定・実施
老朽度調査の実施並びに更新
老朽度調査の実施並びに更新の
の必要性及び耐震性の評価
必要性及び耐震性の評価
腐食対策による延命化
電食及びマクロセル腐食対策
漏水復旧期間の短縮
管補修資材(接合バンド)の備蓄
震災直後でも可能な限り供給
導水施設その他の耐震補強工事
を継続できるシステムの構築
浄水場の耐震補強工事
送水ポンプ棟の耐震補強工事
調整池の耐震補強工事
水系間の相互融通機能の強化
社家ポンプ場
伊勢原系導水ポンプの増設
危機管理対策
導水系統及び浄水場の汚染物
着水井、沈でん池及びろ過池の一
質混入防止対策
部覆蓋化ほか
災害に強い非常用予備電源設
ディーゼル非常用予備電源設備
備の構築
のガスタービン化ほか
なお、上記計画には織り込まれていないが、火山灰の降灰による企業団施設への影響
度調査を平成 25 年度下半期から開始している。
また、地震・津波・液状化被害等の緊急時の行動マニュアルとして、「神奈川県内広
域水道企業団事業継続計画(地震編)」
(以下「企業団 BCP」という。)を平成 25 年 6 月
に策定し、想定される被害時における業務の優先度、業務対応着手時期、対応手順等を
定めている。
① 危機管理対策計画について
企業団では、5 か年事業計画の下に設定された個別計画「危機管理対策計画」に基づ
き危機管理対策を進めている。この計画では、安全な水道用水の供給を維持していくた
78
めに、
「導水系統及び浄水場における毒物などの汚染物質混入防止対策を強化すること」
や「災害発生時に安定的に稼動する非常用予備電源設備を構築すること」が目標とされ
ている。具体的には以下のような計画となっている。
(ア) 導水系統及び浄水場の汚染物質混入防止対策
汚染物質の混入防止を図るため、浄水場の外周道路に近接する着水井、沈でん池及び
ろ過池に対して、一部覆蓋化を実施すること、及び導水系統の一部について、部外者侵
入防止対策を強化することを対策として掲げている。
なお、浄水場内の上部が開放されている着水井等については、外周道路に隣接する危
険箇所は、平成 25 年度をもってすべて覆蓋化が完了する。しかし、取水管理事務所内
の沈砂池等については、技術的に覆蓋化が可能かどうか調査、検討を行っている段階で
あり、現段階では計画には織り込まれていない。
〔対象施設と対策〕
・ 相模原、西長沢及び綾瀬浄水場の沈でん池、ろ過池などの一部覆蓋化
・ 導水系統の部外者侵入防止対策強化
・ 飯泉取水管理事務所及び社家取水管理事務所の汚染物質監視位置の変更
(イ) 災害に強い非常用予備電源設備の構築
非常用予備電源設備の構築のため、(1)既存設備の更新時期に合わせ、ディーゼル非
常用予備電源設備のガスタービン化を図ること、(2)災害発生時に安定的に稼動する非
常用予備電源設備を構築するため、横須賀方面への送水拠点である小雀ポンプ場につい
ては、発電機容量を増量し、停電時にも送水ポンプ 1 台運転ができるようにすること、
(3)水運用の中枢である水運用センターについては、バックアップ電源として用いる蓄
電池容量を増量することを対策として掲げている。
なお、4 浄水場、社家取水管理事務所及び給水地点は、停電時に運転を継続する電力
のバックアップ電源として、自家用発電設備、あるいは無停電電源装置(バッテリー内
蔵)を既に設置済みである。
〔対象施設と対策〕
・ 伊勢原、相模原及び西長沢浄水場の非常用予備電源設備のガスタービン化
・ 小雀ポンプ場の非常用予備電源容量の増量
・ 水運用センターのバックアップ電源容量の増量
79
【資料 3-6-2】企業団の自家発電設備について(出典:企業団作成資料)
場所
施設能力・
主な
自家発電
換算運転
導送水能力
ポンプ設備
機 種別
可能時間
備考
(タンク最大
容量/燃料
消費量)
三ツ境本庁舎
-
-
ガスター
36.9
庁内電源
31.3
場内・取水堰電源
ビン
飯泉取水施設
1,564,300 ㎥/日
(飯泉ポンプ場)
導水ポンプ
ガスター
6,500kW/台×4 台
ビン
( 自 家発 電 に よる
ポンプ運転不可)
社家取水施設
621,000 ㎥/日
(社家ポンプ場)
導水ポンプ
ガスター
1,500kW/台×4 台
ビン
28.7
場内・取水堰・ポ
ンプ電源
1,400kW/台×2 台
1,300kW/台×2 台
相模原ポンプ場
1,465,300 ㎥/日
導水ポンプ
ガスター
4,600kW/台×4 台
ビン
37.6
場内電源
( 自 家発 電 に よる
ポンプ運転不可)
伊勢原浄水場
220,000 ㎥/日
原水揚水ポンプ
ディーゼ
690kW/台×4 台
ル
24.0
場内・ポンプ電源
燃料小出槽 1,000L
( ガ スタ ービ ンへ
H26 年度更新予定)
相模原浄水場
527,600 ㎥/日
送水ポンプ
ディーゼ
900kW/台×5 台
ル
21.5
( ガ スタ ービ ンへ
200kW/台×2 台
西長沢浄水場
937,700 ㎥/日
場内・ポンプ電源
H28 更新予定)
-
ディーゼ
39.3
ル
場内電源
( ガ スタ ービ ンへ
H27 更新予定)
綾瀬浄水場
500,000 ㎥/日
送水ポンプ
ガスター
1,130kW/台×4 台
ビン
23.8
場内・ポンプ電源
26.0
H25 年度更新
910kW/台×2 台
420kW/台×3 台
小雀ポンプ場
295,000 ㎥/日
送水ポンプ
ガスター
1,450kW/台×1 台
ビン
1,100kW/台×2 台
所内・1100kW ポン
プ 1 台電源
燃料小出槽 950L
80
なお、危機管理対策計画にかかる予算の執行計画額と平成 23 年度、平成 24 年度の実
際額は以下のとおりとなっている。平成 23 年度、平成 24 年度については、概ね計画ど
おりに事業が遂行されているといえる。
【資料 3-6-3】危機管理対策に係る計画・決算額一覧(出典:企業団作成資料)
1.計画額(単位:百万円)
項目
H23
H24
H25
H26
H27
H28
合計
取水事務所
社家
-
5
91
-
-
-
汚染物質混入
飯泉
-
-
-
-
-
40
対策
小計
-
5
91
-
-
40
導水系統
中井監視坑
-
2
-
-
-
汚染物質混入
中津川
-
-
3
-
-
-
対策
サイフォン
-
-
1
-
-
-
-
2
4
-
-
-
西長沢
相模原
-
-
-
164
59
129
-
-
-
相模原
136
6
調圧水槽
小計
浄水場の覆蓋化
綾瀬
非常用電源設
設計委託
-
49
20
-
-
-
備のガスター
伊勢原
-
-
-
667
-
-
ビン化等
相模原
-
-
-
-
1,000
310
西長沢
-
-
-
315
258
-
282
266
-
-
-
-
21
-
-
-
-
-
352
286
982
1,258
310
14
-
-
-
-
-
小雀ポンプ場
水運用
353
3,192
センター
小計
横浜市相模湖
設計委託
系導水管との
管設置
-
33
68
-
-
-
連絡
ポンプ増強
-
55
132
-
-
-
14
88
200
-
-
-
179
509
714
982
1,258
350
小計
合計
81
305
3,994
2.決算額(単位:百万円)
項目
H23
H24
H25
H26
H27
H28
合計
取水事務所
社家
20
5
-
-
-
-
汚染物質混入
飯泉
-
-
-
-
-
-
対策
小計
20
5
-
-
-
-
導水系統
中井監視坑
-
2
-
-
-
-
汚染物質混入
中津川
-
-
-
-
-
-
対策
サイフォン
-
-
-
-
-
-
-
2
-
-
-
-
西長沢
相模原
-
-
-
-
164
59
-
-
-
-
223
357
相模原
25
2
調圧水槽
小計
浄水場の覆蓋化
非常用電源設
設計委託
-
53
-
-
-
-
備のガスター
伊勢原
-
-
-
-
-
-
ビン化等
相模原
-
-
-
-
-
-
西長沢
-
-
-
-
-
-
小雀ポンプ場
-
282
-
-
-
-
水運用
-
21
-
-
-
-
-
357
-
-
-
-
14
-
-
-
-
-
-
33
-
-
-
-
54
-
-
-
-
14
88
-
-
-
-
9
-
-
-
-
-
9
209
512
-
-
-
-
721
センター
小計
横浜市相模湖
設計委託
系導水管との
管設置
連絡
ポンプ増強
小計
その他(計画外)
合計
82
102
② 原水・浄水の相互融通体制の構築について
企業団では、災害時の減・断水被害の軽減や回避のため、各構成団体とも連携し、原
水・浄水の融通体制の構築について検討を行っている。具体的には以下の対策が行われ
ている。
(ア) 相模川水系と酒匂川水系の水系間の融通機能の強化について
神縄・国府津-松田断層帯を震源とする地震等によって酒匂川系統の導水管が損傷し
た場合に備え、酒匂川系統と相模川系統を結ぶ原水連絡管が整備され、水系間の融通が
可能である。企業団では、水系間融通による水道用水の供給継続を可能とするため、社
家ポンプ場の伊勢原系導水ポンプ設備を増設して、日量 40 万 5,000 立方メートルをバ
ックアップできる体制をとっているほか、酒匂川系統から相模川系統にも日量 31 万
2,000 立方メートルをバックアップできる体制をとっている。
(イ) 構成団体施設との連携について
企業団では、原水をポンプアップして導水しているため、これらの施設が被害を受け
た場合、導水に支障が生じる。特に相模原ポンプ場が停止した場合については、相模原
浄水場及び西長沢浄水場に企業団の原水を導水することが不可能となる。
これに対し、平成 25 年度には、相模原浄水場への新たな原水供給ルートを確保する
ため、横浜市水道局の相模湖系導水管と企業団の相模原浄水場の間に緊急時用連絡管等
の設置を行った。この連絡管を活用することにより、緊急時において一日最大 12 万立
方メートルの導水を相互協力により相模原浄水場に行うことができるとされている。し
かし、相模原ポンプ場が停止した場合、構成団体の自己水源への振替と、相模湖系導水
連絡管からの原水の相互協力を考慮しても、相模原浄水場での原水不足が見込まれてい
る。
西長沢浄水場については、構成団体の相模湖系導水ルートから、相互協力によりバッ
クアップを受けることが可能となっている。
なお、水質事故や台風、震災等による施設事故等により、平成 21 年 12 月から平成 24
年 2 月にかけて、川崎市及び横浜市の原水を相模川の沼本ダムで取水し、相互協力によ
り西長沢浄水場に緊急的に導水する緊急的水運用が 8 件実施されている。
また、平成 23 年 9 月には、構成団体と企業団との間で「緊急時における水道用水の
安定供給のための相互協力に関する協定書」が結ばれるに至った。
83
【資料 3-6-4】川崎市及び横浜市の原水の西長沢浄水場への緊急的導水について
(出典:企業団作成資料)
沼本ダム
通常時
津久井分水池
西 長 沢 浄水場(企業団)
淵野辺接合井
宮ヶ瀬ダム
4
P
伊 勢 原 浄水場(企業団)
相 模 原 浄水場(企業団)
相模大ぜき
綾瀬浄水場(企業団)
順導水
三保ダム
寒川浄水場
寒川取水せき
P
小雀浄水場
飯 泉 取 水ぜき(企業団)
沼 本 地 点か ら西長沢浄水場へ導水
沼本ダム
緊急時
津久井分水池
西 長 沢 浄水場(企業団)
淵野辺接合井
宮ヶ瀬ダム
4
相 模 原 浄水場(企業団)
P
伊 勢 原 浄水場(企業団)
相模大ぜき
綾瀬浄水場(企業団)
順導水
三保ダム
寒川浄水場
寒川取水せ き
小雀浄水場
P
飯 泉 取 水ぜき(企業団)
取 水 停 止・減量
凡例
ダム及び取水せき
神奈川県営水道
浄水場
横浜市営水道
分水池及び取水口
川崎市営水道
導水管及び導水路(原水)
84
横須賀市営水道
【資料 3-6-5】川崎市及び横浜市からの緊急的水運用について(出典:企業団作成資料)
期間
1
2
3
4
5
6
7
8
平成 21 年 12 月 1 日
~同年 12 月 2 日
平成 22 年 9 月 8 日
~同年 9 月 9 日
平成 22 年 10 月 27 日
~同年 12 月 15 日
平成 22 年 12 月 24 日
~平成 23 年 3 月 14 日
平成 23 年 1 月 19 日
~同年 1 月 20 日
平成 23 年 3 月 14 日
~同年 3 月 31 日
平成 23 年 4 月 1 日
~同年 4 月 28 日
平成 24 年 2 月 14 日
~同年 2 月 15 日
川崎市
導水量(㎥)
件名
鮎沢川油流出事故
台風 9 号による
飯泉取水堰除塵機故障
台風 9 号の影響による
酒匂川の原水高濁度
台風 9 号の影響による
飯泉取水堰への土砂堆積
山北町尺里川油浮遊事故
東京電力㈱の計画停電
東京電力㈱の計画停電(4/1~4/28)
導水管の破損・漏水(4/5~4/28)
プラスチック工場火災による
南足柄市泉川消火剤流入事故
横浜市
導水量(㎥)
261,000
142,800
108,800
7,058,000
14,010,500
215,900
83,300
5,096,500
2,624,700
10,111,500
4,642,500
80,500
113,300
(ウ) 他系統からのバックアップができない地点について
相模原浄水場及び伊勢原浄水場から供給している給水地点の一部は、標高が高いこと
と、構成団体の送配水管路に直接供給している管渡し給水地点が多いため、現在でも他
系統からのバックアップができない状況にある。したがって、浄水場の処理が停止して
しまうと、断減水のリスクが高まるという課題を抱えている。また、バックアップがで
きないことにより、今後予定している老朽化した管路の更新が行えないことが大きな課
題となっている。
③ 地震、津波、液状化被害等に対する対策について
地震、津波、液状化被害に対応する行動マニュアルは、企業団 BCP で定められている。
企業団 BCP において想定する地震は、「神奈川県地震被害想定調査報告書」の想定す
る地震の中で、最も影響の大きいものとしており、地震動及び液状化の被害については
「南関東地震と神縄・国府津-松田断層帯連動地震」
、津波については「慶長型地震」に
基づき被害を想定している。企業団 BCP で想定する主な施設被害は以下となっている。
(ア) 土木構造物
耐震化の済んでいない施設では被害が想定されるが、耐震化の済んでいる施設につい
ては、ひび割れや破損等による軽微な漏水等にとどまり、水運用・水処理に大きな支障
を与えるような破損や倒壊等は想定されていない。
(イ) 建築物
職員が常駐しない一部の建屋躯体に大きな損傷が予想されるが、本庁舎や各浄水場・
85
取水管理事務所の管理本館は 100%の耐震化が図られている。
(ウ) 水道設備
一部の薬注配管の破損が想定されている。また、沈でん池の傾斜板の落下及び排水処
理設備の破損など水処理設備の軽微な被害(水処理の継続に大きな支障を与えない被害)
が想定されている。
また、自家発電設備、電気計装・受変電設備の主要な電気設備については、事業継続
に大きな影響を与える物理的な被害は想定されていない。
(エ) 管路
管路については、神縄・国府津-松田断層帯を横断する内径 3,100 ミリメートル導水
管が、断層変位量を許容出来ずに一部破損し、漏水が想定されている。また、一部、液
状化地盤に埋設された送水管と構造物(空気弁室等)隣接部に設置された伸縮可撓管で、
ベローズ溶接部の破損により、漏水が想定されている。
平成 23 年の東北地方太平洋沖地震以降、導水管と構造物隣接部に設置された伸縮可
撓管の 3 箇所で漏水が発見された。これを受けて、企業団では「内径 3,100 ミリメート
ル導水管漏水事故調査委員会」を設置し、漏水事故原因の解明と今後の対策について検
討を行った。その結果、伸縮可撓管の 3 箇所での漏水箇所以外に本導水路線には、構造
物隣接部に設置された伸縮可撓管が 21 箇所埋設されており、今後大規模な地震が発生
した場合に、この伸縮可撓管部から漏水することが懸念されるとされている。
(オ) 津波による被害想定について
飯泉取水管理事務所(飯泉取水堰)は、相模湾河口より 2.3km の地点に位置するが、
想定地震による津波の到達範囲ではない。
また、川崎市臨海部の給水地点は、津波の浸水区域に該当し、各給水地点の津波浸水
深は 1.2~2.0m 以下の浸水が予測されているが、水運用への影響はないものと企業団で
は想定している。
従って、現在の想定では津波による企業団施設への被害は想定していない。
(カ) 他団体との協力体制について
企業団では災害時には他団体からの応援を受けることとしており、全国水道企業団協
議会、日本水道協会、静岡県大井川広域水道企業団及び阪神水道企業団と相互応援に関
する協定や覚書を締結し、連絡先の確認並びに給水車など応援可能な資機材のリストの
交換を行っている。
また、「災害時における相互応援に関する協定」の実行性を高めるため、阪神水道企
業団と平成 24 年 4 月に、静岡県大井川広域水道企業団とは平成 25 年 4 月に、それぞれ
86
「相互応援実行計画書(応急給水編)」を締結し、応急給水における具体的な行動を取
り決めている。なお、応急復旧についても「相互応援実行計画書」に具体的な行動の取
決めを取り込むため、両団体との協議を継続している。
(キ) 民間業者との協力体制について
地震災害時等の復旧工事の協力を担保するため、民間業者との間で、「災害時におけ
る資材等の供給に関する協定書」を 31 社、
「災害時における復旧工事の協力に関する協
定書」を 37 社と締結している。
現状としては、民間業者との作業に関連した緊急時のマニュアルはないが、緊急時に
おける優先的な実施事項について、民間業者ごとに整理し、提示することを検討してい
る段階である。
(ク) 緊急時に備えて企業団で行っている訓練について
企業団では、地震発生時に迅速な対応ができるように、全職員を対象とした総合的な
地震防災訓練を毎年実施している。
具体的には、配備場所への参集・初期対応訓練、被害状況等情報収集のための通信連
絡訓練、対策本部設備立上げ訓練及び地震災害時の判断能力向上のための図上型ロール
プレイ訓練などを実施している。
平成 24 年度の課題抽出型訓練で生じた反省・課題事項については自由討議を行い、
問題意識の情報共有を図り、課題解決に向けての整理を行っている。この訓練では既存
通信設備のバックアップが脆弱であること、道路の渋滞時には通常の公用車では早急に
現地の被災状況を確認することが困難であること等の課題が抽出された。これに対し、
水運用センター、取水管理事務所、浄水場等の拠点施設に衛星携帯電話を導入したほか、
渋滞時の対策として、緊急自動車や原動機付き自転車の導入を行うなどの対策を講じて
いる。
(ケ) 各構成団体との緊急時合同訓練について
「災害時における応急給水の実施に関する協定書」に基づき、原則として構成団体ご
とに隔年で、応急給水訓練を主とした合同訓練を実施している。
(コ) 応援団体との緊急時合同訓練について
全国水道企業団協議会、日本水道協会からの緊急時の協力は、それぞれを構成する事
業体が複数であること、各事業体の事業規模に差異があること等から調整が困難である
ため、合同の緊急時訓練は実施していない。ただし、提供可能な資機材の確認を毎年行
っている。
また、阪神水道企業団とは、
「相互応援実行計画書(応急給水編)
」に基づき、合同の
87
応急給水訓練を平成 25 年 1 月に矢指調整池で実施したが、静岡県大井川広域水道企業
団とは現状では合同訓練の実績はない。平成 25 年 4 月に締結した「相互応援実行計画
書(応急給水編)」に基づいた訓練を、平成 25 年度に実施する予定である。
(サ) 民間業者との緊急時合同訓練について
災害時等において、資機材等の供給や復旧工事の協力を受ける協定を締結している民
間業者とは、合同の緊急時訓練は実施されていない。
④ 火山灰の降灰について
企業団では、平成 25 年度下半期に、降灰による企業団施設への影響調査を始めたと
ころであり、現時点では具体的な被害想定や対応策などは定められていない。
⑤ 災害などに対応した保険の付保状況について
建物及び建物附属設備については、財団法人都道府県会館の建物共済契約に加入して
いる。地震若しくは噴火、又は津波による損害が災害見舞金の対象とされている。
導水管及び送水管については、公益社団法人日本水道協会水道賠償責任保険に加入し
ているが、これは地震若しくは噴火、又は津波などの天災に起因する損害賠償責任は損
害保険の対象外となっている。
現在のところ、水道事業体が保有する導・送水管については、天災による損害に対応
する損害保険がないため、加入ができないのが実情である。従って、天災による損害に
ついては、基本的には修繕費、あるいは修繕引当金を取り崩して対応することとなる。
また、国の補助制度として、異常な天然現象により被害を受けた水道施設の復旧に関
して、給水人口等において一定の基準を満たしている場合に、水道施設災害復旧費国庫
補助金が交付されることとなっている。
⑥ 施設耐震化事業基本計画について
水道施設の耐震化については、阪神・淡路大震災以降の新たな耐震基準に基づき、必
要な耐震診断調査を実施してきている。その耐震診断の結果を基に、施設の重要度、二
次災害の危険性、対策をとる際の難易度等を総合的に判断して、耐震補強の優先順位な
どを定めた「施設耐震化事業基本計画」を平成 22 年度に策定し、この計画に基づき、
補強工事等を実施している。当面は、東海地震の地震防災対策強化地域内の施設耐震化
率 100%を目指すほか、調整池については、送水系統の拠点や、応急給水の拠点となる
調整池から耐震補強工事を進め、平成 35 年度までには、大規模地震時でも構成団体へ
の供給を維持できるよう、取水から送水までの水道システムとしての施設耐震化率
100%を目指している。
88
【資料 3-6-6】施設耐震化事業の実施状況(出典:企業団作成資料)
段階
目標
対象施設
実施(予定)時期
第 1 段階
(~H24)
酒匂川系統導水管におけ
る総合的地震対策の完了
第 2 段階
(~H27)
東海地震防災対策強化区
域内の施設耐震化率
100%
φ3100 ㎜導水管備蓄
社家-伊勢原導水ポンプ増設
伊勢原浄水場
飯泉調圧水槽
社家取水施設沈砂池
社家調圧水槽
綾瀬給水塔
平成 22 年度
平成 23・24 年度
平成 21・22 度
平成 27 年度
平成 26・27 年度
平成 26 年度
平成 22・23 年度
綾瀬調整池(1)
平成 22~24 年度
補助
採択
無
無
無
無
無
無
有
有
矢指調整池
保木調整池
淵野辺調整池
朝比奈調整池
相模原浄水池、調整池(1)
相模原ポンプ場吸水井
淵野辺接合井
相模原浄水場
西長沢浄水場
綾瀬浄水場
藤沢調整池
小雀調整池
相模原調整池(2)
西長沢調整池
いぶき野ポンプ場
相模原送水ポンプ所
小雀無線鉄塔
浅間山無線局舎
薬品注入設備
伊勢原調整池(1)
西長沢浄水池
綾瀬調整池(2)
港北調整池
田浦調整池
有馬給水井
平成 23~25 年度
平成 23~25 年度
平成 25~27 年度
平成 26~28 年度
平成 26~29 年度
平成 29 年度
耐震性あり
平成 23~30 年度
平成 29~32 年度
平成 23~25 年度
平成 21・22 年度
平成 26~28 年度
平成 31・32 年度
平成 30~32 年度
平成 26 年度
平成 30~32 年度
平成 26・27 年度
平成 24 年度
平成 24~35 年度
平成 33~35 年度
平成 33~35 年度
平成 33~35 年度
平成 30 年度
平成 32 年度
平成 35 年度
有
有
有
有
有
無
無
有
無
有
無
有
有
有
有
無
無
無
無
無
無
無
有
無
有
第 3 段階
(~H29)
応急給水拠点調整池の
耐震化率 100%
第 4 段階
(~H32)
用水供給システムとして
の耐震化率 100%
第 5 段階
(~H35)
施設耐震化率 100%
(ア) 施設耐震化事業基本計画の現状について
施設耐震化事業基本計画の原案では、計画期間は平成 23 年度から平成 32 年度までと
されていたが、平成 22 年 9 月に、原案の変更が行われ、計画期間が平成 23 年度から平
成 35 年度までに変更となった。これは、耐震設計における動的解析の検討、施工上の
施設停止に伴う水運用の調整、平成 23 年度から平成 27 年度における事業費の抑制や平
準化などによるものである。この計画変更に伴い、施設耐震化事業の目標別工程におい
て、第 5 段階とされた事業の一部が、平成 33 年度以降の実施とされた。
(イ) 耐震化率について
平成 24 年度末における施設の耐震化率は、浄水場 53.0%、ポンプ場 87.4%、調整池
89
37.1%であり、浄水場と調整池の耐震化率が低くなっている。浄水場については現在実
施している綾瀬浄水場と相模原浄水場の耐震補強工事が完了し次第、耐震化率は 100%
となる見込みであるが、調整池については平成 27 年度の目標値も 53.8%にとどまって
いる。
調整池は、平成 19 年度以降計画的に耐震診断を実施したが、耐震性が不足するとの
判定がほとんどであったため、耐震化率が他の指標と比較して低くなっている。現在、
耐震補強工事を順次実施しているが、調整池の耐震工事を行うには、構成団体の自己施
設の更新等を踏まえた受水計画や事業費の調整を考慮にいれる必要があり、進捗が遅く
なっている状況にある。
【資料 3-6-7】耐震化率の目標(水道事業ガイドラインに基づく数値)
(出典:企業団作成資料)
平成 24 年度実績値
平成 27 年度目標値
浄水場の耐震化率
53.0%
75.9%
ポンプ場の耐震化率
87.4%
90.9%
調整池の耐震化率
37.1%
53.8%
⑦ 管路等保全対策
企業団では、埋設管路などの現在の健全度を評価した上で、更新の必要性について判
断し、適切な保全計画に基づく計画的な管理と延命化を図ることとしている。主な施策
としては以下がある。
(ア)老朽度調査の実施と管路更新の必要性に関する検討
埋設管路の老朽度調査の結果に基づき、耐用年数の評価を行い、管路更新の必要性に
ついて判断している。また、耐震性の評価が定まっていない一部送水管については、老
朽度調査結果などを加味した耐震性の評価を行い、更新の必要性について判断している。
(イ) 導水トンネルの老朽度調査の実施と耐震性の評価
導水トンネルについては、水中カメラ調査及び劣化状況調査を行い、耐用年数及び耐
震性について評価している。
(ウ) 腐食対策による管路の延命化
電食及びマクロセル腐食対策を計画的に実施し、管路の延命化を図っている。
(エ) 導水管及び管補修資材等の備蓄について
酒匂川系統の内径 3,100 ミリメートル導水管は、活断層(神縄・国府津-松田断層帯)
90
を横断している。この活断層を震源とする地震が発生した場合、導水管に被害が発生し、
復旧に相当の日数を要することを想定している。
企業団では、復旧日数を大幅に短縮することを目的に、導水管をあらかじめ製作し、
飯泉取水管理事務所内の防災倉庫脇に備蓄している。導水管を備蓄することで、導水管
の製作日数 130 日分の復旧日数を短縮できるものと見込んでいる。
導水管の備蓄数量は以下のとおりである。
・補剛付き直管(L=4m)
:9 本
・補剛付き人孔管(L=3m):1 本
また、漏水が確認された場合の復旧期間を大幅に短縮するため、管補修資材(カバー
ジョイント)や、内径 3,100mm 導水管を対象とした内面バンド(6 組)とカバージョイ
ント(継手用 2 組、直管用 2 組)などを備蓄し、減・断水のリスクを軽減している。
なお、備蓄資材の保管状況及び数量については、災害用貯蔵品管理要領の規定に基づ
き、毎事業年度末に実地照合を行い、確認している。
【資料 3-6-8】管補修資材(カバージョイント)の備蓄数量・保管場所について
(出典:企業団作成資料)
鋼管継手用
内径(mm)
対象とする導・送水路線
数量(組) 購入年度
保管場所
2,800
内径2,800mm導水管
1
H22
相模原浄水場
西長沢系内径2,800mm送水管
2,600
内径2,600mm導水管(社家・綾瀬間)
1
H23
相模原浄水場
2,300
西長沢系内径2,300mm送水管
1
H23
相模原浄水場
2,000
相模原系内径2,000mm送水管
1
H24
相模原浄水場
1,800
相模原系内径1,800mm送水管
1
H23
相模原浄水場
1,500
伊勢原系内径1,500mm送水管(藤沢方面)
1
H22
伊勢原浄水場
1,000
伊勢原系内径1,000mm送水管(藤沢方面)
1
H22
相模原浄水場
伊勢原系内径1,000mm送水管(平塚方面)
ダクタイル鋳鉄管直管用
内径(mm)
対象とする導・送水路線
数量(組) 購入年度
保管場所
2,000
相模原系内径2,000mm送水管
1
H24
相模原浄水場
1,800
相模原系内径1,800mm送水管
1
H24
相模原浄水場
1,650
伊勢原系内径1,650mm送水管
1
H22
伊勢原浄水場
内径1,650mm導水管(社家・伊勢原間)
91
【資料 3-6-9】備蓄資材の数量・保管場所等について(出典:企業団作成資料)
受入月日
H23.2.25
品
名
内径3100ミリメートル鋼管補剛付き直管
備蓄数量
保管場所等
9本
飯泉取水管理事務所
所内空地 屋外
H23.2.25
内径3100ミリメートル鋼管
補剛付き人孔 (600A) 管
1本
人孔蓋、
〃
接合部品付
H23.2.25
内径3100ミリメートル鋼管用裏当金
11組
飯泉取水管理事務所
倉庫 屋内
H23.3.29
内径1650ミリメートルダクタイル鋳鉄管直管用バンド
1組
伊勢原浄水場
倉庫 屋内
H23.3.29
内径1500ミリメートル鋼管継手用バンド
1組
H23.3.30
内径2800ミリメートル鋼管継手用バンド
1組
〃
相模原浄水場
高架調整池屋外
(シート養生)
H23.3.30
内径1000ミリメートル鋼管継手用バンド
1組
H23.7.7
内径3100ミリメートル導水管継手用内面バンド
6組
〃
飯泉取水管理事務所
倉庫 屋内
H23.7.7
内径3100ミリメートル導水管補修用ボルトナット
5組
〃
H23.7.7
内径3100ミリメートル導水管補修用ボルトナット
20組
〃
H23.7.7
内径3100ミリメートル導水管補修用シートパッキン
5枚
〃
H23.7.7
内径3100ミリメートル導水管補修用シートパッキン
10枚
〃
H23.7.7
内径3100ミリメートル導水管補修用GFガスケット1号
10枚
〃
H24.2.28
内径2600ミリメートル鋼管継手用バンド
1組
相模原浄水場
高架調整池
屋外(シート養生)
H24.2.28
内径2300ミリメートル鋼管継手用バンド
1組
〃
H24.2.28
内径1800ミリメートル鋼管継手用バンド
1組
〃
H25.1.31
内径2000ミリメートル鋼管継手用バンド
1組
〃
H25.1.31
内径2000ミリメートルダクタイル鋳鉄管直管用バンド
1組
〃
H25.1.31
内径1800ミリメートルダクタイル鋳鉄管直管用バンド
1組
〃
92
(2) 結果及び意見
① 危機管理対策計画について
(ア) 災害に強い非常用予備電源設備の構築
【現状】
酒匂川系の導水施設である飯泉取水管理事務所(ポンプ場)や相模原ポンプ場につい
ては、停電時にポンプを運転するために十分な自家用発電容量を保有していないが、危
機管理対策計画の対象とはなっていない。これは、飯泉取水管理事務所及び相模原ポン
プ場の導水ポンプは出力が非常に大きいことから、停電時にポンプを稼働できる非常用
発電機を設置することが困難な状況であるためである。
そのため、停電により、飯泉取水管理事務所及び相模原ポンプ場からの導水が不可能
となった場合は、平成 24 年度に増設した社家取水管理事務所の伊勢原系導水ポンプ、
平成 25 年度に完成した相模湖系導水連絡管等を活用し、必要な原水を確保することと
している。
しかし、相模原ポンプ場が停止した場合には、上記のような水系間の融通を行ったと
しても相模原浄水場での原水の不足が見込まれている。これに対応するため、企業団で
は既設よりも小規模な導水ポンプ、及びこれに係る非常用発電設備を相模原ポンプ場に
設置することを、次期 5 か年(平成 28 年度~平成 32 年度)事業計画以降に反映するこ
とを検討しているが、現時点では具体的な計画は定められていない。
【意見】
停電時等における原水の不足は、水道利用者に及ぼす影響が大きいことから、相模原
ポンプ場の非常用予備電源設備の設置については、早急に検討を行うことが望まれる。
② 原水・浄水の相互融通体制の構築について
(ア) 構成団体施設との連携について
【現状】
構成団体との間で行われる緊急的水運用に伴う費用負担の考え方については、「緊急
時における水道用水の安定供給のための相互協力に関する協定書」では明示されていな
い。現在、関係事業者間で協議・調整を進めており、平成 25 年度内を目標に調整を図
る予定である。
【意見】
構成団体との間で行われる緊急的水運用に伴う費用負担については、今後の円滑な運
用のため、費用負担方法を明確化することが望ましい。
93
(イ) 他系統からのバックアップができない地点について
【現状】
現在、企業団では外部の有識者も交えて「管路整備基本構想」の策定に向けて検討を
行っている。検討の中でバックアップができない地点の洗い出しを行い、必要とされる
バックアップルートの構築を計画していくこととしている。しかしながら、「管路整備
基本構想」の策定は平成 27 年度の予定とされている。
【意見】
他系統からのバックアップができないことは、浄水場の処理が停止した場合に水道利
用者に多大な影響を及ぼすこととなる。また、老朽化した管路の更新が行えないなどの
深刻な問題を生じさせている。将来にわたり安定供給可能となる「管路整備基本構想」
を十分な検討を踏まえて可能な限り早期に策定し、当該基本構想に沿った着実な実行を
図られたい。
③ 地震、津波、液状化被害等に対する対策について
(ア) 管路
【現状】
現在、企業団では、大規模な地震の際に漏水が懸念される 21 箇所の伸縮可撓管に対
して内面バンドを設置することを検討している。しかし、内面バンドの設置を行うには、
飯泉地点からの取水・導水を停止する必要があるため、構成団体や関係機関との協議を
行い、実施時期を調整している段階である。
【意見】
漏水が起きた場合には、用水供給の継続に深刻な影響を与えることから、大規模な地
震の際に漏水が懸念される 21 箇所の伸縮可撓管については、関係団体と調整を行いな
がら、早期に漏水防止対策を図られたい。
(イ) 他団体との協力体制について
【現状】
災害時の協力団体である阪神水道企業団及び静岡県大井川広域水道企業団とは、「相
互応援実行計画書(応急給水編)」を締結し、応急給水における具体的な行動を取り決
めている。しかし、応急復旧については「相互応援実行計画書」に具体的な行動の取決
めを取り込むための協議を継続している状況である。
【意見】
災害時の協力団体である阪神水道企業団及び静岡県大井川広域水道企業団とは、応急
復旧時の具体的な行動の取決めを早急に行うことが望まれる。
94
(ウ) 民間業者との協力体制について
【現状】
緊急時において、資材供給や復旧工事の協力を得る予定をしている民間業者と、企業
団が連携して行う作業については、現状では行動指針となるマニュアル等が作成されて
いない。
【意見】
緊急時において、資材供給や復旧工事の迅速な協力を得ることができるように、協力
を得る予定をしている民間業者とは、緊急時における具体的な行動の取決めを行うこと
を検討されたい。
(エ) 応援団体との緊急時合同訓練について
【現状】
災害時の協力団体である阪神水道企業団及び静岡県大井川広域水道企業団とは、応急
復旧にかかる訓練は現在のところ計画されていない。
【意見】
緊急時において、応援団体から応急復旧の協力を迅速に得るため、応急復旧にかかる
訓練を実施することを検討されたい。
(オ) 民間業者との緊急時合同訓練について
【現状】
緊急時において資材等の供給や復旧工事の協力を得ることについて、協定を締結して
いる民間業者との緊急時合同訓練は実施されていない。
【意見】
緊急時において資材供給や復旧工事の協力を迅速に得ることができるように、協定を
締結している民間業者との緊急時合同訓練を実施することを検討されたい。
④ 火山灰の降灰について
【現状】
平成 25 年度下半期に、降灰による企業団施設への影響調査を始めた段階であり、現
時点では火山灰の降灰に対する具体的な対応策や、予算計上等は検討されていない。
95
【意見】
火山灰の降灰は、用水供給に影響を与える可能性があると考えられることから、必要
な対策や、予算の計上などを早期に検討していくべきである。
⑤ 施設耐震化事業基本計画について
(ア) 施設耐震化事業基本計画の現状について
【現状】
国庫補助金の補助採択期間は、施設耐震化事業基本計画の原案に基づき、平成 21 年
度から平成 32 年度とされていた。しかし、原案の修正により、耐震化の実施が平成 34
年度及び平成 35 年度とされた有馬給水井の耐震化事業については、実施時期が補助採
択期間外となっている。
【意見】
事業計画の見直しを行う場合には、補助金の採択期間も考慮に入れて検討を行うべき
である。
(イ) 耐震化率について
【現状】
平成 24 年度末における施設の耐震化率は、浄水場 53.0%、ポンプ場 87.4%、調整池
37.1%であり、浄水場と調整池の耐震化率が低くなっている。浄水場については現在実
施している綾瀬浄水場と相模原浄水場の耐震補強工事が完了し次第、耐震化率は 100%
となる見込みであるが、調整池については平成 27 年度の目標値も 53.8%にとどまって
いる。
【意見】
災害時等に構成団体が給水停止した場合の応急給水は調整池において行われる。調整
池は、およそ 3 日分程度(1 人 1 日あたり 3 リットルを要すると仮定した場合)の応急
給水量を備えており、地震災害時に送水施設の拠点となるほか、応急給水の拠点となる
ため、早期に耐震補強を完了させる必要があるといえる。
企業団では、平成 32 年度に計画していた西長沢浄水場沈でん池・ろ過池及び浄水池
と、伊勢原浄水場調整池(1)の耐震性能の再評価を今年度に前倒しして実施するなど
して対応を図っているが、構成団体とも協議の上、さらなる計画の前倒しを検討された
い。
96
⑥ 管路等保全対策
(ア)老朽度調査の実施と管路更新の必要性に関する検討
【現状】
平成 20 年度から平成 24 年度までに、管路の老朽化が原因と考えられる漏水が 4 件発
生している。このうち 3 件は、竣工後 30 年以上が経過している酒匂川系統の送水管路
において発生している。なお、4 件ともに送水停止には至っていない。
平成 25 年 4 月現在、管路総延長 263km のうち、法定耐用年数 40 年を超過した管路は
約 8.6km あり、経年化率は 3.3%である。しかし、平成 26 年度以降急速に経年化率が増
加し、経年化率は平成 26 年に 10%を超え、平成 28 年には 20%、平成 29 年には 30%を
超えるとの試算がなされている。
企業団では、現在、学識経験者並びに(公財)水道技術研究センターとともに実質耐
用年数(老朽度)と耐震性の評価手法や事業費の確保を踏まえ、管路更新をいかにすす
めるべきかといった検討を行っている。
【資料 3-6-10】導送水管路の経年化率(出典:企業団資料)
97
【資料 3-6-11】企業団の管路における漏水事例(平成 20 年度~24 年度)
(出典:企業団作成資料)
発生箇所
発生日時
備考
空気弁用の仕切弁に亀裂が入り漏水した。原因は、
西長沢系鷺沼系
送水管
概要と原因
H21.10.27
(AVS6)漏水
道路からの振動と加重が天井コンクリートに接触し
S41(1966)
ている空気弁を介して作用し金属疲労を起こしたと
竣工
推定。
住民からの通報により、一色川の水管橋台設置の空
綾瀬系送水管空
気弁漏水
気弁配管根元付近から漏水が確認された。原因は、
H23.10.19
-
コンクリート中の鉄筋と空気弁立上り管(鋼管)の
接触による電食と判明した。その後、業者による修
繕工事により復旧した。
送水管漏水調査業務委託における現地下見の際、空
伊勢原系送水路
線南金目付近
送水管
気弁(AV-H37)付近で漏水音がしたため、追跡調査
H23.10.25
(AVH37)漏水
を行ったところ企業団送水管からの漏水であること
S51(1976)
を確認した。緊急修繕によりカバージョイントを設
竣工
置し、復旧した。原因は、3.11 震災又は経年劣化に
よると考えられる。
西長沢系送水路
線
新横浜付近送水
管(AVM5)漏水
企業団マンホールから漏水があるとの連絡を受け、
H25.2.8
現地を確認したところ、新横浜付近にある空気弁の
S53(1978)
フランジから漏水していた。原因はパッキンの経年
竣工
劣化と推定。仕切弁等の交換を行った。
【意見】
今後の急速な老朽化に備え、中長期的な管路更新計画を早期に策定することが望まれ
る。
(イ) 導水管及び管補修資材等の備蓄について
【現状】
企業団では、神縄・国府津-松田断層帯を震源とする地震に備えて、導水管をあらか
じめ製作し、飯泉取水管理事務所内の防災倉庫脇に備蓄している。また、開削で施工さ
れ、かつ構成団体からの応援が困難な路線を対象として、相模原浄水場及び伊勢原浄水
場に管補修資材(カバージョイント)の備蓄を行っている。
しかし、大規模地震などにより複数箇所で漏水が起きるような不測の事態に対する補
修資材の備蓄については、今後の課題とされており、現在のところ対策や計画が策定さ
れていない。
98
【意見】
大規模地震時における漏水は、長時間の断減水を生じさせ、水道利用者に多大な影響
を与える可能性がある。現在行われている神縄・国府津-松田断層帯を震源とする地震
対策等にとどまらず、大規模地震時における早期復旧対策についても、早期に検討を行
うことが望まれる。
99
7.システム関係について
(1) 情報システムの概要
企業団では、業務に利用している情報システムを大別して制御系ネットワーク、情報
系ネットワーク、事務系ネットワークの 3 つのネットワークからなる情報ネットワーク
を構築しており、各ネットワークにおいて業務の基幹となる情報システムを利用してい
る。また、各情報ネットワークは基本的に相互に分離されており、情報システムの利用
における職務分離及び情報ネットワーク外部からのサイバー攻撃のリスク低減に寄与
している。
各ネットワーク及び主な情報システムは以下のとおりである。
【資料 3-7-1】情報システムの概要(企業団提供資料より作成)
区分
制御系
情報系
システム名称
概要
監視・制御システ
浄水処理等を適切に行うために、各種機器の働きを制御するシ
ム
ステム
水運用データ管理
複数の浄水場等からの水量・水質情報を事務系 PC において閲
システム
覧又は二次利用するためのシステム
水質データ管理シ
水質情報を把握するためのシステム
ステム
事務系
技術データ管理シ
各施設の動力費関連情報、薬品費関連情報等を管理するための
ステム
システム
財務会計システム
予算、決算等について管理するシステム
人事システム
職員の人事に関する情報などを管理するシステム
給与・服務システ
職員の給与及び服務に関する情報を管理するシステム
ム
契約管理システム
業者等との契約情報を管理するシステム
設計・積算システ
適用基準、適用単価、数量等の入力情報に基づき、工事及び委
ム
託の設計積算を行うシステム
(2) 結果及び意見
① 情報システムを統括する組織について
【現状】
企業団では、制御系ネットワーク、情報系ネットワーク及び事務系ネットワークのそ
れぞれにおいて業務主管部門が情報システムの管理・運用を行っており、長期的な情報
システムの更新計画・費用の見積り等も各主管部門で作成され、情報化推進委員会の承
認を経て計画が実行されている。また、事務系システムはおよそ 5~6 年、制御系シス
テムはおよそ 15 年周期で情報システムの大規模な更新が行われ、制御系システムにお
100
いては毎回 15 億円程度の更新費用を要すると見込まれている。
【意見】
企業団全体として最適かつ効率的な情報システムを構築し、各情報システムの更新の
平準化等を検討するための全組織的な情報システム統轄部門等を設置し、全体計画及び
情報システム管理・運用の維持・向上を図ることが望まれる。
なお、厚生労働省健康局水道課より公表されている水道分野における情報セキュリテ
ィガイドライン(第 3 版 2013 年 6 月。以下「ガイドライン」という。)において以下
の組織・体制が想定されている。
【資料 3-7-2】情報システムを統括する組織・体制
(出典:水道分野における情報セキュリティガイドライン(第 3 版)
)
② 情報セキュリティ実施手順について
【現状】
企業団では、神奈川県内広域水道企業団情報セキュリティポリシー(平成 22 年 4 月 1
日改正。以下「情報セキュリティポリシー」という。
)において、
「企業団が保有する情
報資産並びに情報資産を取扱う職員及び外部委託業者を対象とした情報資産保護のた
めの基本方針」を掲げている。また、情報セキュリティポリシーに基づき、情報資産の
管理手順及び業務遂行に係る手順等を明記した情報セキュリティ実施手順を定めるこ
101
とと明記されている。企業団では、情報セキュリティ実施手順を情報システムごとに策
定しているが、人事システムなど一部の情報システムにつき当該手順が策定されていな
い。
【意見】
情報セキュリティ実施手順を作成すべき情報システムを再確認のうえ、実施手順を整
備されたい。
③ 情報資産の分類について
【現状】
情報セキュリティポリシーにおいて、「情報資産は、情報の機密性、完全性及び可用
性を踏まえ、その重要度に応じて分類するとともに、的確に管理する。」旨が明記され
ている。企業団では、情報システムごとに策定された情報セキュリティ実施手順におい
て、当該情報システムに係る資産分類を定義している。
【意見】
企業団の情報セキュリティポリシーにおいて、情報資産は「ネットワーク及び情報シ
ステムの開発と運用にかかる全ての情報並びにネットワーク及び情報システムで取扱
う全ての情報をいう」と定義されている。また、ガイドラインにおいても以下の情報セ
キュリティ対策を講じる旨明記されている。
(ガイドライン)
3. 情報セキュリティ対策
3.1 情報についての対策
3.1.1 情報の格付け
(趣旨)
水道事業において取り扱う情報は様々であり、そのセキュリティの程度は目的や用途
により異なると考えられることから、情報の格付けを行い情報セキュリティの実施を確
実なものとする必要がある。
(実施内容)
(1) 情報セキュリティを実施する組織(情報セキュリティ委員会)は、水道事業で取
り扱う情報について格付け(重要度による分類:A~D)を行うとともに、それに応
じた取扱制限の基準、期限を明示するための手順を用意すること。
(2) 電磁的記録については機密性、完全性及び可用性の観点から要機密情報、要保全
情報、要安定情報に分類し、書面については機密性の観点から分類すること。
上記企業団の情報セキュリティポリシー及び厚生労働省健康局水道課より公表され
ている水道分野における情報セキュリティガイドライン(第 3 版
102
2013 年 6 月)におい
て、情報資産は情報システムに格納された情報のみならず、情報システム外の電磁的記
録、書面もその対象に含まれることから、企業団で管理する情報資産を整理し、機密性、
完全性及び可用性の観点から分類することが望まれる。
103
8.神奈川広域水道サービス株式会社について
(1) 神奈川広域水道サービス株式会社の概要
① 会社の沿革
水道サービス(株)は、企業団に関連する付帯事業を行うとともに、企業団施設に関し
専門的知識を要する業務を受託し、企業団の経営基盤の強化に寄与することを目的とし
て、平成 9 年 4 月 16 日に、企業団の全額出資により設立された。
平成 24 年 6 月 20 日には、
水 ing 株式会社及び月島テクノメンテサービス株式会社が、
企業団から 15%ずつ株式を取得し、企業団の出資比率は 70%となった。
② 事業の概要
水道サービス(株)の主要な業務は、企業団の給水地点、ポンプ場、調整池及び送水管
等の外部施設の施設点検業務、企業団が保有する丹沢荘の管理運営業務、企業団の本庁
舎外来者への対応及び庁舎内外における巡視点検等の警備業務等の受託のほか、企業団
の保有する未利用地における月極駐車場の管理運営業務である。
(ア) 外部施設等維持管理業務受託事業
平成 21 年度から企業団施設に関し専門知識を要する業務として、給水地点、ポンプ
場、調整池及び送水管等の外部施設の施設点検業務を受注し、企業団 OB を中心とした
技術者により事業が遂行されている。
(イ) 伊勢原浄水場運転管理等支援受託事業
企業団の伊勢原浄水場内の既存設備及び運転管理業務に関する調査と分析を行い、運
転管理業務のノウハウや緊急時対応を文書化することを目的とし、平成 24 年 6 月 29 日
に受注している。当該事業の遂行にあたっては、水道サービス(株)に所属する伊勢原浄
水場勤務経験者の他、水 ing 株式会社及び月島テクノメンテサービス株式会社から 1 名
ずつの派遣を受け、事業が遂行されている。
(ウ) 丹沢荘管理運営事業
企業団が保有する丹沢荘の宿泊、飲食提供、売店業務等の運営全般に係る業務を、水
道サービス(株)の創業以来継続して行っている。なお、平成 24 年度からは契約形態が
随意契約から公募による企画提案方式に変更されている。
(エ) 企業団本庁舎施設保全管理等業務受託事業
企業団の本庁舎の日中、夜間、休日等における外来者への対応及び庁舎内外における
巡視点検等の警備業務を受託している。
104
(オ) 駐車場管理運営事業
企業団の未利用地を利用し、平成 9 年 10 月 1 日に室町駐車場を開業して以来、順次
駐車場を開業しており、現在 11 ヶ所の駐車場運営と 4 ヶ所の企業団運営駐車場の管理
を行っている。
なお、11 ヶ所の運営駐車場のうち、西長沢調整池及び淵野辺接合井用地を利用した駐
車場については、平成 24 年度より土地を保有している企業団における資産区分が行政
財産から普通財産に切り替えられたことから、一般競争入札により業務を獲得している。
(カ) その他の事業
その他の事業は、企業団の水道施設見学案内業務、企業団の社家分室運営管理等の業
務である。
水道サービス(株)の平成 24 年度事業報告書によれば、業務部門別の売上高及び営業
利益は以下のとおりである。
【資料 3-8-1】水道サービス(株)の平成 24 年度業務部門別の売上高及び営業利益
(平成 24 年度事業報告書より抜粋)
(百万円)
部
門
売上高
外部施設等維持管理業務受託事業
営業利益
83
21
8
0
企業団本庁舎施設保全管理等業務受託事業
27
7
丹沢荘管理運営受託事業
87
5
駐車場管理運営事業
17
4
その他の事業
16
△13
241
25
伊勢原浄水場運転管理等支援受託事業
合
計
※各部門の売上高、営業利益は百万円未満切捨て
(2) 結果及び意見
① 組織、人事について
(ア)住居手当の見直しについて
【現状】
自宅住居を所有する者に対して住居手当が一律 5,300 円支給されている。企業団では、
構成団体のうち、神奈川県と横浜市が廃止したことから、平成 25 年 8 月に労働組合に
対して廃止提案を行い、交渉中という状況になっている。
105
【意見】
水道サービス(株)は、独立した 1 企業であるため、企業団に合わせる必要性は認めら
れない。しかし、自宅住居を所有する者に対して支給することについて、その存在意義
については検討されたい。
(イ)監査役の監査について
【現状】
業務監査及び会計監査については、手続一覧に基づいて実施(実施日 平成 24 年 5
月 21 日)されていたが、監査役による監査計画は作成されていなかった。また、平成
24 年 4 月から平成 25 年 3 月までに開催された取締役会(全 12 回)への監査役の出席状
況は、8 回という状況であった。
【意見】
監査役監査における一つの重要な役割として、予防監査という考えがある。これは、
いかにして会社の不祥事を未然に予防するかということである。監査役に監査が求めら
れるのは不正や違法行為等の不祥事を発見するためでもあるが、より重要なのは、いか
にしてその発生を防ぐかである。そのために、監査役には法的に強力な権限が与えられ
ているのであり、会社法で出席が義務付けられている会社経営の重要な意思決定機関で
ある取締役会には必ず出席すべきである(会社法第 383 条)。
また、一般的に小規模企業においては高度な内部統制の構築が難しい環境にあるため、
不正リスクの高い項目に対しては、計画的に監査することが強く求められる。このため、
実効性のある監査とするため、監査計画書の作成について検討されたい。
② 契約事務について
(ア) 契約規程の整備について
契約規程がないため、回議書を作成して金額に応じて上司の決裁をもらって契約の締
結を行っているが、回議書作成の判断は過去からの作成の継続性や担当者の判断に依存
しているのが現状であり、また駐車場の賃貸契約の締結については回議書などを通じた
決裁が特に行われないまま契約が締結されている状況である。
【意見】
契約規程を作成し、規程に基づく決裁権者の承認を得た上で、契約を締結する業務体
制を構築することが望まれる。
(イ) 契約台帳の作成について
契約書については、本社と丹沢荘のそれぞれで保管されているが、契約台帳が作成さ
106
れていないため、会社全体でどのような契約が締結されているのか一元的に管理できて
いない状況にある。
【意見】
契約台帳を作成して会社全体で締結している契約を一元的に管理する体制を構築す
ることが望まれる。
③ 出納管理・会計処理について
(ア) 預金管理について
【現状】
出納管理については、本社で行うこととしており、通帳等は基本的には本社で保管す
ることとしている。しかし、かながわ西湘農協の定期預金口座(残高 10,000,000 円)
の通帳は丹沢荘で保管されていた。
【意見】
かながわ西湘農協の定期預金口座(残高 10,000,000 円)の資金残高の管理は本社で
行っているが、通帳は本社では保管されておらず、丹沢荘で保管されていた。
不正防止のため、定期預金は本社の管理部門以外では持たず、各部署には必要な運転
資金を定期的に補充することが一般的であり、上記口座の通帳は本社保管とするべきで
ある。
(イ) 部門別損益表について
【現状】
部門別損益表は、部門ごとの業績を管理し、事業の意思決定を行うための内部管理資
料として作成されている。
部門は以下のように区分されており、主として場所別に区分されている。
・第一事業部(小雀・相模原・西長沢・伊勢原の 4 部門)
・第二事業部(本社・駐車場・当直・宿泊管理・飲食売店の 5 部門)
・全社共通
107
【資料 3-8-2】平成 24 年度部門別損益(出典:水道サービス(株)作成資料)
科 目
営
業
収
益
本 社販売
社家分 室受託
社 家見学
西長 沢見学
精算業 務委託
駐車 場収益
本庁舎施設保全
放射性物質測定
小雀施 設点検
相模原 沢点検
西長 沢点検
伊勢 原支援
丹沢荘宿泊管理
丹沢 荘飲食
純売上高
期首 棚卸高
売
上
原
価
本社販売仕入高
料理材料仕入高
飲物等 仕入高
売 店仕入
期末 棚卸高
売 上原価計
売上総利益金額
役 員報酬
給 与手当
雑給
賞与
退職金
法定 福利費
福利 厚生費
共 済掛金
人件 費
販
人材 派遣費
宿 泊経費
売
旅費 交通費
通信費
費
交際費
会議費
及
減価 償却費
賃借料
施設管理維持保守
び
施設維持管理修理
一
水道 光熱費
保険料
般
消 耗品費
租 税公課
管
印 刷製本
修繕費
理
事務 用品費
広告 宣伝費
費
支払 手数料
諸会費
新聞 図書費
車両費
支 払報酬
研修費
保守料
雑費
物件 費
計
営業利益金額
営業外収益
受取利息
雑収益
営業外費用
経常利益金額
共通費配賦
配賦後経常利益金額
税 引前 当期 純利 益 金額
法人税等
当期純利益金額
合計
47,950
1,575,000
202,860
8,372,700
1,823,850
17,857,849
27,027,000
4,727,520
37,341,000
37,264,800
8,944,800
8,967,000
35,089,020
52,240,255
241,481,604
1,286,944
14,230
10,452,788
2,613,938
8,406,068
1,353,527
21,420,441
220,061,163
4,632,000
71,902,862
30,211,573
12,059,618
470,970
13,205,459
2,728,105
850,700
136,061,287
3,780,000
2,277,296
253,150
1,124,061
197,819
0
1,385,596
15,109,420
2,996,989
910,420
8,592,818
584,580
3,789,000
10,199,480
121,525
55,125
737,960
132,000
560,922
485,762
149,110
2,066,862
1,374,000
283,086
94,500
1,199,681
58,461,162
194,522,449
25,538,714
705,764
368,197
337,567
27,200
26,217,278
26,217,278
26,217,278
9,657,165
16,560,113
全 社共通
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4,632,000
0
0
0
470,970
948,156
6,300
0
6,057,426
0
0
193,960
122,294
81,788
0
0
522,250
0
0
220,832
5,740
6,158
△ 124,000
0
0
110,221
0
13,860
7,362
37,712
137,567
1,014,000
30,000
94,500
24,595
2,498,839
8,556,265
△ 8,556,265
73,964
73,964
0
0
△ 8,482,301
8,482,301
計
0
0
0
0
0
0
0
0
37,341,000
37,264,800
8,944,800
8,967,000
0
0
92,517,600
0
0
0
0
0
0
0
92,517,600
0
36,345,098
7,816,800
5,364,839
0
5,862,371
1,484,460
0
56,873,568
3,780,000
0
0
532,434
23,150
0
1,089,570
371,910
0
45,000
0
304,314
2,221,296
4,091,000
0
0
267,683
0
34,350
0
5,040
1,057,841
0
59,276
0
371,941
14,254,805
71,128,373
21,389,227
0
0
0
0
21,389,227
3,507,112
17,882,115
17,882,115
小雀
0
0
0
0
0
0
0
0
37,341,000
0
0
0
0
0
37,341,000
0
0
0
0
0
0
0
37,341,000
0
16,296,721
0
2,713,482
0
2,658,045
275,373
0
21,943,621
0
0
0
167,870
15,950
0
1,089,570
124,320
0
0
0
146,928
716,196
1,738,000
0
0
90,010
0
16,710
0
2,415
613,658
0
6,926
0
122,662
4,851,215
26,794,836
10,546,164
0
0
0
0
10,546,164
1,082,323
9,463,841
9,463,841
108
第一事業 部
相模原
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37,264,800
0
0
0
0
37,264,800
0
0
0
0
0
0
0
37,264,800
0
14,402,436
6,344,773
2,035,604
0
2,345,685
180,143
0
25,308,641
0
0
0
107,209
0
0
0
0
0
0
0
100,730
91,339
1,793,600
0
0
48,860
0
7,560
0
0
163,533
0
0
0
59,358
2,372,189
27,680,830
9,583,970
0
0
0
0
9,583,970
1,102,529
8,481,441
8,481,441
西長沢
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8,944,800
0
0
0
8,944,800
0
0
0
0
0
0
0
8,944,800
0
3,566,028
1,472,027
378,369
0
529,140
472,148
0
6,417,712
0
0
0
143,588
0
0
0
247,590
0
0
0
21,266
203,776
360,000
0
0
27,760
0
10,080
0
0
257,201
0
0
0
15,820
1,287,081
7,704,793
1,240,007
0
0
0
0
1,240,007
646,955
593,052
593,052
伊勢 原
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8,967,000
0
0
8,967,000
0
0
0
0
0
0
0
8,967,000
0
2,079,913
0
237,384
0
329,501
556,796
0
3,203,594
3,780,000
0
0
113,767
7,200
0
0
0
0
45,000
0
35,390
1,209,985
199,400
0
0
101,053
0
0
0
2,625
23,449
0
52,350
0
174,101
5,744,320
8,947,914
19,086
0
0
0
0
19,086
675,305
△ 656,219
△ 656,219
計
47,950
1,575,000
202,860
8,372,700
1,823,850
17,857,849
27,027,000
4,727,520
0
0
0
0
35,089,020
52,240,255
148,964,004
1,286,944
14,230
10,452,788
2,613,938
8,406,068
1,353,527
21,420,441
127,543,563
0
35,557,764
22,394,773
6,694,779
0
6,394,932
1,237,345
850,700
73,130,293
0
2,277,296
59,190
469,333
92,881
0
296,026
14,215,260
2,996,989
865,420
8,371,986
274,526
1,561,546
6,232,480
121,525
55,125
360,056
132,000
512,712
478,400
106,358
871,454
360,000
193,810
0
803,145
41,707,518
114,837,811
12,705,752
631,800
294,233
337,567
27,200
13,310,352
4,975,189
8,335,163
8,335,163
本社
47,950
1,575,000
202,860
8,372,700
1,823,850
0
0
4,727,520
0
0
0
0
0
0
16,749,880
0
14,230
0
0
0
0
14,230
16,735,650
0
12,555,873
3,448,814
1,473,244
0
1,668,468
629,408
111,300
19,887,107
0
0
36,250
122,862
66,831
0
0
0
94,449
0
237,947
71,719
186,846
745,200
0
11,025
146,244
0
0
0
8,188
140,585
0
0
0
61,120
1,929,266
21,816,373
△ 5,080,723
406,014
291,710
114,304
0
△ 4,674,709
968,784
△ 5,643,493
△ 5,643,493
駐 車場
0
0
0
0
0
17,857,849
0
0
0
0
0
0
0
0
17,857,849
0
0
0
0
0
0
0
17,857,849
0
468,463
342,630
0
0
100,879
0
0
911,972
0
0
0
3,380
1,050
0
195,736
12,272,770
0
0
42,225
23,462
43,081
255,000
0
0
0
0
0
0
0
16,986
0
0
0
1,245
12,854,935
13,766,907
4,090,942
12
12
0
27,200
4,063,754
785,207
3,278,547
3,278,547
第二事業 部
当直
0
0
0
0
0
0
27,027,000
0
0
0
0
0
0
0
27,027,000
0
0
0
0
0
0
0
27,027,000
0
2,160,000
14,448,080
0
0
581,485
190,920
0
17,380,485
0
0
22,940
390
0
0
0
0
0
0
0
0
3,377
1,262,000
0
0
18,523
0
0
372,000
2,720
0
0
92,250
0
97,939
1,872,139
19,252,624
7,774,376
0
0
0
0
7,774,376
910,315
6,864,061
6,864,061
宿泊管理
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
35,089,020
0
35,089,020
0
0
0
0
0
0
0
35,089,020
0
8,551,126
2,225,227
2,461,375
0
1,792,357
151,549
392,600
15,574,234
0
2,277,296
0
342,701
25,000
0
100,290
1,942,490
2,902,540
865,420
6,296,678
171,205
672,994
1,697,280
121,525
15,750
195,289
100,400
424,962
106,400
95,450
713,883
360,000
50,780
0
250,018
19,728,351
35,302,585
△ 213,565
4,478
2,511
1,967
0
△ 209,087
1,276,351
△ 1,485,438
△ 1,485,438
109
飲 食売店
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
52,240,255
52,240,255
1,286,944
0
10,452,788
2,613,938
8,406,068
1,353,527
21,406,211
30,834,044
0
11,822,302
1,930,022
2,760,160
0
2,251,743
265,468
346,800
19,376,495
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1,795,136
8,140
655,248
2,273,000
0
28,350
0
31,600
87,750
0
0
0
0
50,780
0
392,823
5,322,827
24,699,322
6,134,722
221,296
0
221,296
0
6,356,018
1,034,532
5,321,486
5,321,486
【意見】
第二事業部の「本社」部門の中に、収益事業である「施設見学案内事業」、
「放射性物
質測定事業」の収益が計上されている一方で、本社の管理的業務をしている人の人件費
等の本来は共通費として扱うべき費用が計上されている。このため、「本社」部門の損
益が意味をなさないものとなっており、「本社」部門の損益は意思決定上考慮されない
ものとなっている。また、本来は共通費として各部門が応分の負担をすべきものが、
「本
社」部門に計上されているため、「本社」部門以外の各部門の損益が実際を上回るもの
となっている。
さらに、共通費のうち固定分が 50%、変動分を 50%と仮定し、固定分については 9
部門に均等で計上し、変動分については販売費及び一般管理費の計上割合で負担させて
いる。この方法によると共通費の計上割合が実際の負担割合とは異なり、適切な部門別
損益が把握できない。共通費については、費目ごとに適切な負担割合を検討することが
望まれる。
④ 資産管理について
【現状】
固定資産管理は、経理事務取扱規程第 41 条に基づき、台帳(固定資産台帳、少額減
価償却資産明細書、備品整理簿)の整備と保管を実施しているほか、決算事務及び税務
事務処理細則第 4 条に基づき、実地棚卸を決算時に行っている。
実地棚卸の結果は、業務課の社員により業務課で保管している台帳と照合されるのが
原則であるが、遠隔地である丹沢荘については、丹沢荘の社員により台帳との照合が行
われる。
平成 24 年度においては、平成 25 年 3 月 29 日に実地棚卸が実施され、台帳との照合
が行われている。また、平成 25 年度においては、平成 25 年 8 月 15 日から 8 月 29 日に
かけて施設ごとに実地棚卸が行われている。
【意見】
台帳のうち備品整理簿(3 万円以上 10 万円未満の資産を記載)について、平成 25 年
3 月 29 日に作成されたものと、
平成 25 年 8 月 15 日に作成されたものを閲覧したところ、
平成 22 年 11 月 6 日に取得され小雀技術課に配置されている液晶テレビ 1 台が、過年度
において備品整理簿への記載が漏れており、平成 25 年 8 月 15 日の実地棚卸時に是正さ
れていたことが判明した。
110
【資料 3-8-3】過年度において備品整理簿への記載が漏れていたもの
(備品整理簿より抜粋)
<コード>51
<名
称>液晶テレビ(シャープ LC-32E78)
<取
得>平成 22 年 11 月 6 日
<金
額>43,800 円
<台
数>1 台
<配
置>小雀技術課
本件の場合、備品整理簿の記載誤りに気付き、備品整理簿が実態に合わせて正しく是
正された点は評価できるが、正しく是正された事実、つまり、備品整理簿の記載内容に
変更が加えられた事実が、現物を管理している現場から、台帳を管理している業務課に
報告されていなかった点については、改善が望まれる。
以
111
上
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