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輸入粗飼料の情勢
平成22年 4月10日 輸 入 粗 飼 料 の 情 勢 全 酪 連 購 買部 購 買 推 進 課 北米コンテナ船情勢 4月1日からGRI(General Rate Increase:基礎レート)の一律$300と、 BAF(Bunker Adjustment Factor 燃料費調整係数:燃料価格変動に対して調整 される割増運賃)の$22値上げが決行されました。また、カナダ航路についても、 4月1日からGRIの$200とBAFの$22値上げが決行されました。各船会 社とも収益回復を第一命題としていますが、この値上げをもってしても経営が厳し い状況は十分に改善されないため、今後もフレートの値上げ基調は続く見込みです。 5月1日付けの輸入(アジア→米国)向けフレート改定が各船会社とも満足いくも のになれば、輸出(米国→アジア)向けフレートの値上げ基調にも多少の抑制がか かるとの予測もありますが、すぐに好転するのは難しそうです。 米国から日本向けのコンテナ船はほぼ満船状態で、さらに他品目に比べてフレー トが安く設定されている乾牧草向けのスペースは限定的となっており、予約が取れ ている分でも出港直前に船会社側からの一方的なキャンセルや、次船以降への振替 が行われるケースも散見されます。空コンテナについても、LA/LB以外での港 では慢性的な不足が続いており、船積みの困難さに拍車をかけています。米国への 輸出量が今後回復基調で、大型船の導入を検討している船会社もあり、厳しい状況 が若干落ち着く見通しもありますが早くても夏以降の話しで、導入された場合はさ らなるコンテナ不足に陥る可能性も示唆されています。 メキシコ北西部地震 4月4日午後(日本時間5日午前)に、メキシコ北西部でマグニチュード7.2 の地震が発生しました。震源地近くのインペリアルバレー・エルセントロ地区では、 サプライヤーによっては半日から一日はプレス作業ができなかったようですが、そ の後再開し、遅延等の大きな影響には発展していない模様です。事務所・工場の損 壊や従業員の怪我はないようですが、余震が続き、地方道路や灌漑用水路、圃場で 一部被害がみられるので、今後もしばらく注意が必要です。 -1- ビートパルプ <米国産> 10年産ビート大根の作付けは、4月下旬から5月下旬にかけて行われます。作 付面積はほぼ前年並みと予想されています。09年産は降雨続きと寒波到来が早く 予定よりも収量が多くなかったため、10年産はその反動でビートパルプの生産量 は前年対比で増加が見込まれています。09年産ビートパルプについては、中国産 の減産と価格高を背景に、日本や韓国、台湾からの引合いは非常に強いようですが、 追加需要に対しては供給制限をせざるを得ないほど、在庫は少なくなっている模様 です。 <中国産> 中国産ビートパルプの09年産については、作付面積が減少し、悪天候続きによ り収量も減少しているため、一部では前年対比で収量が50-60%減少している、 との情報もあります。 韓国の輸入統計によると、2月のビートパルプ総輸入量は14,499トンで、 -2- そのうち中国産は4,316トンと全体の3割程度に留まり、引続き減少が続いて います。その他は米国やEU各国から輸入されており、中国産からの移行が進んで いると推測されます。 日本の輸入統計によると、1月の中国産ビートパルプ輸入量は4,849トンで、 前年の9,964トンから5割減となっており、日本においても輸入量減が顕著と なっています。 <その他> 現在の世界のビートパルプペレット生産量は、以下の通りとなっています。 (国内 向けも含まれるので、「地域ごとの生産量=輸出余力」ではありません。 ) EU27カ国 それ以外の欧州周辺国 米国・カナダ 450万トン 95万トン 100万トン 中国 25万トン 日本 20万トン チリ 8万トン その他 2万トン 合計 700万トン EU27カ国の450万トンのうち、約半分はドイツとフランスの2カ国での生 産となっています。また、それ以外の欧州周辺国にはロシア、ウクライナ、エジプ トなどが含まれています。 アルファルファヘイ <ワシントン産> 10年産のアルファルファ作付面積については、チモシーなどの作物への転作を 検討する生産農家もいるため、また米国内からの引合いはまだ強くないことから、 5%程度の減少が予想されています。今後の穀類の相場価格によっては転作が進み、 アルファルファの作付面積はさらに減ることも考えられます。既に小麦の作付けは 終了しましたが、早生種のトウモロコシはアルファルファの1番刈終了後に転作さ れる場合もあるようです。 また、例年の傾向ではありますが、作業効率の良いBIGベールでの収穫を望む 生産農家が引続き増えています。10年産もさらに3タイでの収穫が減少すること が予想されています。 <オレゴン産> -3- クラマスフォールズでは、これまで思ったよりも降雨量と積雪量が少ないため、 水不足の懸念がささやかれています。今後の天候次第ですが、3番刈以降の作柄に 影響があるかもしれない、という見方も出てきています。 <PSW産> カリフォルニア州インペリアルバレーでは、1番刈の収穫が終了しました。天候 不順により、刈取り作業も遅れ、良品の生産量は僅かだった模様です。2番刈の生 育は順調ですが、冷涼な気候が続き、例年より遅い進捗となっています。良品不足 のため、産地価格は前年と比べて若干高めで推移しているようです。 PSWの各産地では、生産効率だけではなく、UAEや中国向け需要も考えてB IGベールでの収穫が進んでおり、3タイでの収穫はますます減少することが予想 されています。 チモシー <米国産> ハイグレード品からスタンダード品まで引合いは総じて強く、現時点で09年産 は完売で、追加での買付けは厳しい状況です。例年では荷動きの悪いブルーグラス 混じりのチモシーでも、09年産は順調に出荷されているようです。 順調な需要と船積みを受けて、他の農産物と比較して生産農家が満足できる価格 で推移していることから、10年産のチモシー作付面積については10%程度の増 加が予想されています。各サプライヤーとも、09年産の繰越在庫がほとんどない まま10年産を迎えることになるので、いつ需給バランスが落ち着くかにもよりま すが、10年産の産地価格は09年産以上に高く推移すると予想されています。 <カナダ産> 09年産は生産量が少なすぎたため、特にハイグレード品は完売の状況です。一 部の需要が米国産チモシーや、豪州産オーツヘイに移行している模様です。 カナダ国内からの引合いや、小麦の相場価格が低迷しているため、10年産のチ モシー作付面積については今のところ5%程度の増加が予想されています。ドライ ランド(中央アルバータ)では現在乾燥気味の気候となっていますが、例年4-5 月に降雨があるため、産地ではさほど心配はしていない模様です。 スーダン インペリアルバレー産は、10年産のスーダン作付面積については3/15時点 でのエーカレージレポートによると、前年対比71%の2,578エーカーと過去 -4- 10年で最低となっています。これは3月上旬の降雨の影響で、播種が遅れている ことが要因と思われ、相場価格が低迷していて前年対比55%程度で推移している 小麦の作付け動向を考えれば、スーダンの作付面積は例年に近い50,000-5 5,000トン(09年産は32,000エーカー)までになるのでは、と予想さ れています。 スーダン圃場 3/25現在 北カリフォルニア産は、小麦など他の農産物の相場価格が不安定なことから、1 0年産のスーダン作付面積については、インペリアルバレー産と同様に増加するこ とが予想されています。 クレイングラス(クレインは全酪連の登録商標です) インペリアルバレーでは、10年産のクレイングラス作付面積については3/1 5時点でのエーカレージレポートによると、前年対比86%の11,970エーカ ーとなっています。産地価格が低調に推移しているため、生産農家の作付け意欲が 減退し、更なる作付面積の減少が懸念されます。一部の圃場で1番刈の準備が始ま りましたが、ここ数ヶ月の降雨の影響で雑草が多くみられるようになったので、輸 出向け(特に日本向け)に問題ない品質か、買付け時にはどの1番刈も注意が必要 です。 クレイングラス圃場 -5- 3/25現在 バミューダ 米国内の景気低迷および住宅事情の悪化で、ゴルフ場・家庭・リゾート向けの芝 の需要が引続き落ち込んでおり、種子の相場価格は依然として悪いままとなってい ます。また、牧草の産地価格も低調に推移しているため、10年産のバミューダヘ イとバミューダストローについて、スーダンやアルファルファに比べると生産農家 の作付け意欲は低い模様です。 ストロー類 種子の相場価格が依然として悪いため、10年産のストロー類は大幅な減産が予 想されています。現時点ではライグラスは20-25%、フェスキューは25-3 0%の生産量減が見込まれています。各サプライヤーとも、09年産の繰越在庫が ほとんどないまま10年産を迎えることになるので、早くも供給不足が懸念されま す。 豪州産オーツヘイ 3月に各地域でまとまった降雨があり、4-5月の播種時期を良い環境で迎えら れそうです。しかしながら、播種にはもう少し降雨が必要とみられており、今後の 天候に注意が必要です。播種は早ければ4月下旬から始まる地域もあるようです。 09年産は、各サプライヤーともハイグレード品の引合いは強く、現時点では価 格も堅調となっています。一方でローグレード品は荷動きが悪く、また中間グレー ド品は発生量が多かったために、ともに数量に余裕があり、コスト面では厳しいも のの徐々に価格対応がされ始めています。小麦の相場価格が低迷していることと今 年豊作だったカノーラの影響から、10年産のオーツ作付けは増えるとの見方が大 勢なので、各サプライヤーとも在庫が多いグレードについては、今後ますます早め の販売へと動くことが予想されます。 また、豪州コンテナ船の船積みについても、各船会社ともスペースを減少させて いるため、北米航路ほどではありませんが、徐々にタイト感が出始めてきました。 東豪州を中心にこれから夏穀物の収穫が開始されますが、コンテナ積みの穀類輸出 が本格化されると、スペース確保がさらに難しくなる恐れもあります。 以 -6- 上