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シリアル・ポートを使った プログラミング

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シリアル・ポートを使った プログラミング
7
第 章
Hello World !を出力しよう
シリアル・ポートを使った
プログラミング
本稿では,付属マイコン基板に搭載されているシリアル・ポートを使って送受信プログラムを作成する.組み
込み機器にはディスプレイやキーボードなどといった入出力装置が付いていないことも多い.そのような機器の
開発においても,シリアル・ポートはほとんどのマイコンに標準で搭載されており,手軽に使える.単なる通信
手段としてだけでなく,プログラムの printf デバッグにも使えるという「最後の命綱」的な役割を持つインター
フェースでもある(編集部)
浅沼 重保
われています.このように RS-232-C は代表的なシリアル・
1
シリアル・ポートは
今でも使われている
インターフェースであることから,
「シリアル・ポート」
(ま
たは単に「シリアル」
)と言えば,多くの場合は RS-232-C の
ことを指します.
● シリアル・ポートとは何か
RS-232-C は EIA(米国電子工業会)で標準化された規格で,
シリアル・ポートは,マイコンをパソコンとつないで手
EIA-232 と呼ばれることもあります.RS-232-C で送受信す
軽にやりとりするのに適したインターフェースです.「シ
る回路のことを UART(Universal Asynchronous Receiver
リアル・ポート」とは,広義には 1 本の信号線で 1 ビット
Transmitter :汎用非同期送受信回路)といいます.
ずつ直列にデータを伝送するシリアル転送方式を採用した
● シリアル・ポートの規格
周辺機器との接続口のことをいいます.
RS-232-C のケーブルにはストレート・ケーブルとクロ
シリアル転送の規格の一つである RS-232-C は,最近で
ス・ケーブル(リバース・ケーブル)という 2 種類がありま
は USB などに取って代わられ,
「レガシ(遺物となった)イ
す.周辺機器との接続に使うのがストレート・ケーブル
ンターフェース」と呼ばれるようになってきています.し
で,パソコン同士の通信に使うのがクロス・ケーブルです.
かし,長い間パソコンとプリンタや,モデムなどの周辺機
実際のシリアル・ポートの形状は,写真 1 や写真 2 のよ
器の接続に使われてきた実績から,組み込み機器ではデ
うなものになります.最近は 9 ピンのシリアル・ポートが
バッグのための標準的なインターフェースとして今でも使
一般的です.
写真 1 RS-232-C ケーブル(メス)
写真 2 RS-232-C ケーブル(オス)
122 KEYWORD ―― シリアル・ポート,RS-232-C,送受信プログラム,ボー・レート,ハイパーターミナル
May 2007
第 7章
シリアル・ポートを使ったプログラミング
図1
シリアル通信のデータ形式
TXDAn
スタート・
ビット
D0
D1
D2
D3
D4
D5
D6
D7
パリティ・ ストップ・
ビット
ビット
内部バス
INTUAnT
INTUAn R
1
受信ユニット
UAn RX
送信ユニット
2
UAn RX
3
受信シフト・
レジスタ
フィルタ
送信シフト・
レジスタ
送信
コントロール回路
受信
コントロール回路
5
ボー・レート・
ジェネレータ
ボー・レート・
ジェネレータ
TXDAn
セレクタ
RXDAn
セレクタ
fxx-fxx/210
ASCKA0*1
*1
セク
レロ
クッ
タク
・
4
7
8
UAn CTL1
UAn CTL2
UAn CTL0
UAn STR
UAn OTP0
n=0∼2
UARTA0のみ
内部バス
図 2 V850ES/JG2 の UARTA のブロック図
● シリアル通信のデータ形式
RS-232-C で使う調歩同期式シリアル通信のデータ形式
を図 1 に示します.シリアル転送を行うには,下記のよう
なパラメータを設定する必要があります.
¡ボー・レート―― データの転送レート.通信を行うに
は,送受信機器のボー・レートを一致させておく必要
ます.
V850ES/JG2 が内蔵する UARTAn(n=0 ∼ 2)の特徴は
以下の通りです.
¡転送速度 300bps ∼ 312.5kbps
内部システム・クロック 20MHz,専用ボー・レー
ト・ジェネレータ使用
¡全二重通信 UARTAn 受信データ・レジスタ(UAnRX)
がある
¡キャラクタ長 ―― 送受信データ長.1 フレームで 7
ビットもしくは 8 ビットを送ることができる
¡パリティ ―― データの誤りを検出するためのビット
内蔵
¡UARTAn 送信データ・レジスタ(UAnTX)内蔵
¡2 端子構成
で,パリティなし,もしくは奇数パリティ,偶数パリ
TXDAn :送信データの出力端子
ティを選択できる
RXDAn :受信データの入力端子
¡ストップ・ビット―― フレームの終わりを示すビット
で,1 ビットか 2 ビットを選択する
¡フロー制御 ―― フロー制御を有効にすると,受信機器
側が処理能力を超えたときに,送信側へ送信を中断し
てほしいというような制御ができる
¡受信エラー検出機能
パリティ・エラー
フレーミング・エラー
オーバラン・エラー
¡キャラクタ長: 7,8 ビット
図 2 は,V850ES/JG2 内蔵の UARTA のブロック図で
¡パリティ機能:奇数,偶数,0,なし
す.V850ES/JG2 には UARTA が 3 チャネル内蔵されてい
¡送信ストップ・ビット: 1,2 ビット
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