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竜巻の多様性 -2006年9月17日台風13号に伴う竜巻を中心としてー 小林文明 (防衛大学校) 台風13号に伴う竜巻 大分市 15:30 ? 臼杵市 15:30 竜巻 F1 安芸市 20:30 竜巻 F0 延岡市 14:03 竜巻 F2 長島町 11:00 竜巻? 日向市 13:40 富高西川内 ? F0 日向市 13:30 幸脇遠見 竜巻F1 約10時間複数の 竜巻が各地で発生 宮崎市12:30 日南市12:08 油津港 竜巻 F1 跡江 ? F0 2006.9.17 14JST (気象庁) 2006.09.17 12:20JST 2006.09.17 12:40JST 宮崎市 12:30 日南市 12:08 宮崎市小松付近 12:30頃 3km弱 極軽微 強風? 地台は12:36に最大瞬間34.2m/秒(東南東)を観測 日南市油津 12:08 約350m F1 海上竜巻上陸 2006.09.17 13:40JST 2006.09.17 14:10JST 延岡市 14:03 日向市 13:30~40 延岡市 14:03~14:08 7.5km F2 海上竜巻 上陸 日向市幸脇~平岩 13:30頃 約3km F1 海上 竜巻上陸 日向市富高 14:00前 約1km (F0) 2006.12.18 日本風工学会報告会 「平成18年9月台風13号強風被害と11月佐呂間竜巻被害」 修正(2006.12.27) 宮城弘守(宮崎大)・菊川裕規・松井正宏・曹曙陽・田村幸雄(工芸大) 延岡竜巻2006年9月17日 山村善洋助教授 (宮崎大学農学部) 撮影・提供 延岡市 14:03-08 竜巻被害が発生 14:03海上竜巻が緑ヶ丘の海岸に上陸し、市街地を7.5kmにわたり直線状に北進して14:08に尾崎町で消滅した。 途中、JR日豊本線の485系特急「にちりん9号」の先頭2両を横転させ、3両目の前方台車を脱線させた。 延岡市の調べによると、人的被害は死亡3名、重傷3名、軽傷140名、家屋被害は1406棟にのぼった。(10月12日現在) 宮崎地方気象台9月27日発表による被害規模はF2。 N 延岡観測所 JR五ヶ瀬川橋梁 九州電力 愛宕山展望台 250m 祝子川 五ヶ瀬川 旭化成風向風速計② 旭化成風向風速計① 大瀬川 日向灘 線 本 豊 日 号 10 JR 道 国 F2 - P2 (7.5km) - P2 (100m) 大きな事故 ライフタイム=5min 移動速度=25m/s 気象データ 国際航業撮影 延岡市提供 最大瞬間風速 46m/s 浜町・別府町 延長 1.35km 死亡事故 2名(屋外、屋内) 建物の被害 全半壊 131棟 全壊 27棟 大規模半壊 26棟 半壊 78棟 その他 126棟 (住宅・併用住宅 217棟 非住宅 40棟) JR特急列車横転事故(軽傷7名) ⑤ ③を空撮 ⑤ ④ ④ ③ ② ① ③ ② ① 植生等拘束を受けていない被害方向 延岡市提供 Fa c.a. lg c.g. ha U >約50 m/s M=42 ton Fa ⋅ ha > Mg ⋅ l g 電柱等拘束を受けた被害方向 近傍の気象データと風速推定 被害域内における風速記録~ 46m/s 近傍の気圧降下~竜巻低気圧の存在 にちりん9号の横転 ・・・・ 50 m/s 墓石の転倒 ・・・・・ 56~66 m/s 延岡観測所の記録(気象庁) 台風13号に伴う竜巻 • “眼”と暴風域を伴った最盛期に近いステージ ・・・台風のどのステージで発生? • 中心コア領域外側のレインバンド北東~南東で発生 • 10時間にわたり複数の竜巻の連続発生 • 2重のレインバンド外側のセル状エコーに伴い発生 ・・・エコーセルの特徴は? • F0~F2の被害 ・・・エコーと被害強度の関係? • 早い移動速度(90km/h)・・・被害の増大 • 延岡竜巻のスケール(F2P2P2) 台風に伴う竜巻の予測 複数の竜巻・気圧降下(pressure dip)が観測 される中で竜巻を判別できるか? ドップラーレーダー観測の渦度に有意な違い がみられるか。 数値計算により再現できるか。 日本における竜巻の原因 停滞前線 (1996~2006) 熱雷 冬型 低気圧 台風 宮崎県における竜巻の60%が台風 台風に伴う竜巻の発生位置 1996~2006 T 500km 1000km F3 F - Scale F2 F1 F0 温帯低気圧に伴う竜巻の発生位置 1996~2006 100km 500km 1000km L Frontal 40% F3 F - Scale Pre-frontal 60% F2 F1 F0 主な竜巻の比較 竜巻 Life time (min) F scale 茂 原 豊 橋 佐 賀 延 岡 佐呂間 1990.12.11 1999.09.24 2004.06.27 2006.09.17 2006.11.07 7 25 7 5 3? F3 F3 F2 F2 F3? P scale (length) P2: 5~15km P2 6.5 km P3 19 km P2 8 km P2 7.5 km P1? 1.5 km P scale (width) P2:15~160m P3 500 m P3 550 m P2 200 m P2 250 m P2? 300 m Moving speed (m/s) 16 13 18 25 20 Number of damage 260 2500 500 1500 100 Other tornadoes ○ ○ ○ ○ ○ 竜巻のFスケール 日本 (10年) 米国 (1年) 400 350 FREQURNCY FREQUENCY 300 250 200 150 100 50 0 F0 F1 F2 F3 F4 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 F0 F1 F2以上の割合は 両国とも20% F2 F3 F4 竜巻渦の把握 親雲(渦) 漏斗雲 地上被害 竜巻渦のマルチ スケール構造 Kobayashi et al. (1996) 地上から雲内まで の同時観測が必要 Kobayashi et al. (1996) 観測事例1 三国竜巻2001年1月18日 • • • • • Life time : 7 min (10:48~10:55) Funnel diameter : 20m (surface), 100m (cloud base) Rotation : cyclonic Cloud base : 300 m Cloud top : 3 km -36℃の寒気場 エコー頂3kmの雪雲 に伴い発生 Kobayashi (2003) 0 10 0 -10 0 -2 -12 -10 0 0 -12 -7 -11 0 -9 -2 0 -12 -13 -11 0 -5 -3 -13 -13 -3 -8 -6 -13 -11 -4 -13 -9 -3 -3 -14 -10 -13 -7 -6 -11 -2 -13 -7 -12 -4 -11 -13 -9 -5 -12 -3 -11 -7 -13 -7 -12 -4 -12 -9 -11 0 -11 -6 -12 -9 -12 -3 -7 -11 -11 -10 -12 -11 -5 -10 -9 -4 -11 -6 -10 -12 -8 -11 -10 -10 -7 -10 -11 -7 -11 -8 -10 -11 -14 -8 -11 -11 -7 -11 -13 -11 -11 -7 -15 -15 -11 -13 -9 -12 11 -11 -11 -11 -13 -16 -11 -14 -16 0 -12 7 -12 -12 -12 -15 -13 -13 -13 -13 -11 -16 -13 -13 0 -12 -13 -15 -13 -14 -13 -14 -13 -15 0 -13 -15 -14 -14 -14 -14 -13 -13 -14 -15 -13 -14 -10 -12 -15 -14 -15 -13 -14 -14 -14 -15 -15 -15 -7 -14 -14 -15 -14 -15 -15 -14 -16 -14 -14 -15 -14 -7 -14 -13 -15 -14 -16 -14 -14 -13 -14 -13 -15 -13 -14 -16 15 -13 -14 -13 -14 -14 -13 -14 -14 -10 -15 16 16 -14 -14 -12 -13 -13 -13 -13 -14 -12 -15 15 15 -15 -14 -12 -12 -13 -13 -13 -14 -13 -15 15 15 16 -14 -14 -16 -16 -15 -15 -14 -15 -14 -13 -12 -12 -12 -14 -15 -14 -16 -15 -14 -13 -14 -12 -12 -12 -11 -14 -13 -14 -15 -15 -14 -13 -14 -12 -12 -12 -14 -11 -13 -14 -15 -16 -14 -13 -14 -14 -13 -15 -12 -12 -15 -12 -15 -16 -14 -12 -13 -15 -14 -13 -15 -12 -16 -12 -15 -12 -12 -15 -15 -13 -14 -15 -13 -16 -13 -12 -16 -13 -15 -15 -13 -14 -15 -14 -15 -13 -13 -16 -13 -14 -16 -13 -14 -14 -13 -13 -15 -13 -15 -13 -14 -13 -15 -15 -13 -13 -14 -15 -13 -13 -14 -14 -13 -14 -14 -13 -13 -14 -13 -13 -15 -13 -14 -13 -15 -13 -13 -15 -13 -13 -15 -14 -13 0.80至近距離で観測 Distance North of Radar (km) すれば竜巻渦も 0.60 観える! 0.40 0.20 0.00 -0.20 -0.40 竜巻渦 直径 100m マイソサイクロン 直径 800m -4.40 -4.20 -4.00 -3.80 -3.60 Distance East of Radar (km) -3.40 -3.20 -3 冬季北陸で観測された竜巻 (1998-2002) 観測事例2 藤沢竜巻2006年4月20日 Narrow Cold Frontal Rainband で発生 Kobayashi et al. (2007) Narrow Cold Frontal Rainband (NCFR) 内で 形成された竜巻 Kobayashi et al. (2007) CAPPI 1km(1212JST~1218JST) Doppler Velocity (PPI=0.5°1212JST) 直径2kmの マイソサイクロン 観測事例3 土佐湾竜巻1994年10月4日 5本の漏斗雲が 発生した waterspout 小林ほか (1997) 「waterspout」 の形成過程 小林ほか (1997) 竜巻の相互作用 小林ほか (1997) 観測事例4 東京湾竜巻2000年8月7日 Waterspout ? 産経新聞 2000年8月8日夕刊 低気圧性渦と高気圧性渦が 共存 Distance North of Radar (km) 38 00/08/07 17:52JST Elevation = 5.5 36 34 32 H 30 28 L 26 24 22 16 18 20 22 24 26 28 30 32 Distance East of Radar (km) 小林ほか (2001) 34 わが国における竜巻の多様性 • 発生原因の多様性 ~様々な大気擾乱に伴う • 竜巻をもたらす積乱雲の多様性 • 同時多発的な発生 • 竜巻構造の多様性 観測事例の蓄積 竜巻渦の把握~地上から雲内までの観測 詳細な被害調査~FPPスケール F0クラスの弱い竜巻の把握 上空の渦度と地上被害の対応 ~メソサイクロンとマイソサイクロン • 陸上竜巻と海上竜巻 • 台風・寒冷前線・冬季日本海における竜巻 発生の実態、メカニズム、発生環境 • ダウンバーストの観測事例 • • • •