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海賊・海上テロに関する最近の情勢

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海賊・海上テロに関する最近の情勢
H16.10.19
海賊・海上テロに関する最近の情勢
志村
1
格
海賊事件の発生状況(IMB 報告による)
(1) 件数(未遂を含む)
・全世界
370 件(2002 年)→445 件(2003 年)
うち東南アジア海域
20%増
165 件(2002 年)→185 件(2003 年)
12%増、世界の 42%
うちインドネシア海域 103 件(2002 年)→121 件(2003 年)
17%増、世界の 27%
・2003 年に海賊事件が多数発生した港:
バングラデシュ・チッタゴン港(40 件),ナイジェリア・ラゴス港(21 件),
インド・チェンナイ港(10 件)等
(2)船員被害
・被害にあった船員数
・ 2003 年には人質
327 名(2002 年)→644 名(2003 年)
約2倍
359 名,負傷 88 名,死亡 21 名,行方不明 71 名等大幅増加
(3)2004 年上半期
・ 海賊事件 182 件のうち 92 件が東南アジア,うち 50 件がインドネシア海域で発生
・ 停泊中または錨泊中 92 件,航行中 90 件でほぼ同数
・ 人質 139 名,死亡 30 名,行方不明 21 名で凶悪化
・ 東南アジアにおいては,銃器を使用した事件の割合が高い(39%)
2
海賊対策の進展
(1)国際機関による取組み
・ IMO の決議・勧告(1983 年∼),国連決議(1998 年,2000 年)
・ 「海上航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約」及び「大陸棚に所在
する固定プラットフォームの安全に対する不法な行為の防止に関する議定書」
(1988 年)
・ アセアン(ASEAN)「 海賊行為及び海上保安への脅威に対する協力に関する地域フ
ォーラム(ARF)声明」(2003 年)
・ 国際海事局(IMB)海賊報告センターによる情報提供(1992 年∼)
(2) 沿岸国による取組み
・ マラッカ海峡沿岸国,インド,中国等で海賊対策の強化
・ マレーシア,インドネシアにおける海上における法執行機関の強化
(3) 日本からの協力
・ 「アジア海賊対策チャレンジ 2000」に基づく,海上保安庁の巡視船・航空機の
派遣,東南アジア諸国等の海上警備機関との海賊対策連携訓練,東南アジア諸国
の海上警備機関からの研修生の受入れ
・ アジア海上保安機関長官級会合「アジア海上セキュリティ・イニシアチブ 2004」
・ 「アジア海賊対策地域協力協定」の締結作業
・ 日本財団による会議開催,研修等の人材育成事業への支援を各国は評価
3
海上テロの脅威
(1)海上テロ関連事件
・ 「アキレ・ラウロ」ハイジャック事件(1985 年)→1988 年ローマ条約の締結
・ ソマリア内戦,スリランカ LTTE,インドネシア GAM 等の商船襲撃(1990 年代)
・ イエメン沖での米軍艦「コール」爆破(2000 年)←アルカイダが関与
・ 9.11 米国同時多発テロ事件(2001 年)→世界のテロに対する見方が一変
・ イエメン沖での仏タンカー「リンバーグ」爆破(2002 年)←アルカイダが関与
・ イラク・バスラの石油ターミナル爆破
(2)海上テロの概念
・ 「政治的目的のため」
「公衆に恐怖を与える」
「非国家主体ないし国家のエージェ
ントによる」暴力の使用
・ 海賊と海上テロは一応別の概念だが,境界線は不明確
・ アルカイダと直接・間接に関係を有する国際テログループやアルカイダの思想・
戦術を模倣して先鋭化した宗教的過激派による海上テロの脅威
(3) 東南アジアの状況
・ アルカイダの直属細胞や影響下にあるグループの存在(ジュマ・イスラミア(JI),
アブ・サヤフ・グループ(ASG))
・ JI によるバリ島繁華街爆破事件やジャカルタ JW マリオット・ホテル爆破事件,
ジャカルタ豪大使館前爆破事件,ASG がフィリピン南部で起こしている誘拐・
人質事件
・ より伝統的・土着的なインドネシアのパプア,マルク等の独立運動,マレーシア
のイスラム聖戦団(KMM),タイ南部のイスラム系武装集団(新 PULO,GMIP,BRN
等),フィリピン南部のモロ・イスラム解放戦線(MILF)
4
海上テロ対策
・ 海上人命安全条約(SOLAS)の改正及び ISPS コードは,世界的規模で,船舶,海
運会社,港湾が海上テロを抑止するための措置を講ずることを義務づけ(2004 年)
・ 船舶・港湾へのアクセス制限としては有効であるが,小型船舶や航行中の船舶,船
員等に関し不十分な点
・ 自動船舶識別装置(AIS)等の技術革新
・ ローマ(SUA)条約の見直し
・ 日本のイニシアチブによるアジア各国の海上保安機関間での情報共有,海上警備
能力向上のための連携訓練,人材育成のための研修員受入れといった国際協力
・ 米国によるコンテナ保安構想(CSI),大量破壊兵器拡散防止構想(PSI),地域海
上治安構想(RMSI)等テーマ別の枠組みづくり
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