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世界のためにできること
世界のためにできること 「何かをしてあげる」 ことが、 援助だと思っていませんか?でも、 いつの間にか気づくのです。 「何かをもらっている」のは、 実は私たち自身だということに。 北澤豪さんが肌で感じた バングラデシュの人々の パワー 元サッカー日本代表であり、JICA オフィシャルサポーターを務める 北澤豪 さ ん が 2 0 0 9 年 3 月 バ ン グラデシ ュを 訪問 しJICA事業 の 視察とサッカー教室を開催しまし た。サポーター就任後の海外視察 は、シリア、パラグアイ、エクアドル、 パレスチナ、そして 2 0 0 8 年のイ ンドネシアを経て今回が 6 カ国目。 北澤さんが見たバングラデシュの 現状とJICAの活動、現地の子ども たちとのサッカー教室についてご 紹介します。 76 北澤さんから贈られた絵本をベンガル語に訳して読む隊員の声に真剣に耳を傾ける子どもたち。 KTP 人口の急増と急速な経済発展で年々 北澤さんは感銘していました。 しかし、試合が始まれば国籍の違いも 深刻化 す る 首都 ダ ッカ の 廃棄物問題。 スポーツエリートを育成する国立ス 靴の有無も関係ありません。どの子も JICAで は「 ダ ッカ 市廃棄物管理強化 ポーツ学院では、水泳やテニスの指導 真剣で白熱した勝負になりました。 プロジェクト」を実施し、住民参加に に当たる 3 人の青年海外協力隊員の活 閉会式 で 北澤 さ ん は 自作 の 絵本 よる廃棄物収集の改善に向けた取り 動を視察し、奮闘する彼らへエールを 「Lunaと魔法のスパイク」を子どもた 組みを行っています。北澤さんは商業 送りました。 ちにプレゼント。ベンガル語に訳して の中心地・オールドダッカを訪れ、市 視察を終え、北澤さんは「バングラ 読む隊員の声に聞き入っていた子ども 街のゴミ問題が改善されつつある様子 デシュのすごいところは人の多様性と たちは、絵本に込められた“チームワー を視察しました。 生命力。 長期的 な 展望 に 立っ て 人材 クの大切さ”に共鳴したのか、記念撮 また、グラミン銀行※ の融資を受け を育成することが必要だし、その一翼 影になると自然と肩を抱き合い笑顔を る女性たちが住む農村を訪問。毎週 を日本が担えるのなら、とても素晴ら 浮かべていました。 行われている女性グループの返済式に しい貢献だと思う。あとは施設面を 「バングラデシュの子どもたちは一 参加後、メンバーの女性宅を訪れまし 整備していければベストですね」と話 度教えられたことを 2 度目のチャレン た。「グラミン銀行がなかったら今の してくれました。 ジに必ず活かしている。チャンスを逃 生活はなかったわ」と話す彼女の家は、 恒例 の サ ッカ ー 教室 に は 日本人学 さないという気持ちがあれば、バング いまだ乾燥させた家畜の糞を調理の 校に通う日本人の子ども、近くの村の ラデシュはきっと良くなるはず」と北 燃料にしているものの、居間には立派 子ども、NGOの施設で生活する元スト 澤さん。今回の滞在でこの国の大きな なテレビや扇風機がありました。グラ リートチルドレンなど約 5 0 人が参加 可能性を感じたようです。 ミン銀行から教育ローンを受け、息子 しました。靴を履いた子と裸足の子が を大学まで通わせた女性もいます。地 ボールをパスし合うなど、これまで開 方の小さな村で、それも女性たちが自 発途上国で開いてきた数々のサッカー らの力で成功を生み出していることに 教室とはかなり趣が異なっていました。 ※ 主にバングラデシュ農村部において、貧困層を対象に、 マイクロクレジットと呼ばれる低金利・無担保融資を 行っている。1 9 9 0 年代に日本は同銀行に対する円 借款を供与。2 0 0 1 年の事後評価によれば、同銀行の マイクロクレジットを利用した多くの住民の生活が向 上したといわれている。 世界のためにできること MISIAさんが出会った マラウイでたくましく 生きる孤児たち 2 0 0 7 年にケニアのキベラスラム を訪れ、厳しい現実のなかでも力強 く笑顔で生きている子どもたちと 接し、子どもたちの教育支援を行う 任意団体「Child AFRICA」を 立 ち 上 げ た ア ーテ ィスト のMISIAさ ん。 そんなMISIAさんが新たな出会い を求めて、マラウイの孤児施設を訪 問しました。多くの孤児たちとの 触れ合いから、彼女は何を感じ取っ たのでしょうか。 孤児施設「コンソルホームズ・オルファン・ケア」の支部にて。 アフリカ大陸南東部に位置する内陸 院は、当初はカロロ村を中心に約 6 3 国のマラウイは、国家としての紛争を 人の孤児を対象に活動していました 「 以前は毎日、両親のことを考えて寂 あまり経験していないにもかかわらず、 が、今や多くの国際機関やNGOの協力 しかったけれど、コンソルホームズへ 世界最貧国の一つであり、食糧危機や を得て、1 0 1 の村で 1 万 9,6 8 1 人の孤 行くようになってから友だちがたくさ HIV/エイズの蔓延などさまざまな問 児とその家族への支援を行っています。 んできて楽しい。最近は両親のことも 題を抱えています。しかし、こうした JICAも 2 0 0 4 年から青年海外協力隊 あまり思い出さなくなった」と語る姿 過酷な状況でもマラウイにはたくまし 員の派遣を開始し、現在は 4 人が幼児 に、改めて地域が孤児を支えることの く生きる人々の笑顔であふれています。 教育・青少年活動・村落活動・野菜栽培 重要性を感じたそうです。 JICAはMISIAさんの「 学校のこと、教 の分野でそれぞれの技能を活かし、連 MISIAさんは「2 日間でしたが、皆さ 育のこと、子どもたちを取り巻く環境 携・活動しています。 んからたくさんのことを教えてもらい のこと、それらをもっとたくさんの方 コンソルホームズでは物質的な支援 ました。本当にどうもありがとう」と と学び合い、考え合い、そして行動し ではなく心理ケアを中心に展開して 笑顔で話し、次の目的地ケニアへ向か 合い、つながり合っていけたら」という おり、一人ひとりの子どもと向き合う いました。今回の訪問がきっかけとな 活動コンセプトに共感し、MISIAさん 姿勢や多くの地域住民が活動に関わっ り、 「Child AFRICA」 は 2 0 0 9 年 7 月に にマラウイのたくさんの子どもたちと ていることに、MISIAさんは興味を持っ マラリア予防の重要性などを訴え、コ の出会いの場を用意しました。 た様子。村対抗障害物競走の視察では、 ンソル・ホームズの子どもたちをサポー 2 0 0 8 年 1 1 月 3 日、MISIAさ ん は 子どもたちのあふれるエネルギーに驚 トするキャンペーンを立ち上げていま 首都リロングウェに程近いナミテテの くとともに、レクリエーションには彼 す。本キャンペーンに関する最新情報 孤児院「コンソルホームズ・オルファン・ らの心の傷を癒す高い効果があること はこちらから。 ケア」を訪れました。2 0 0 0 年に元神 を実感したようです。 →http://www.child-africa.org/ 父夫婦によって設立されたこの孤児 翌日は両親を相次いで失い、足の不 campaign/ 子どもたちにサッカーボールをプレゼント。 自由な祖母と暮らす少女エリナを訪問。 「コンソルホームズ・オルファン・ケア」の活動について話を聞く。 77