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労務関連ニュースレター
www.pwc.com/jp/tax/outsourcing
Workforce Management Newsletter
労務関連ニュースレター
Vol.8, December 2012
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1. 改正高年齢者雇用安定法の施行に伴う留意点
Workforce Management Newsletterは、
人事・労務管理に関する重要トピック
2. 法改正の動向
を中心に隔月でお届けしています。
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3. 改正労働契約法施行に伴う問題と事前対策
Workforce Management Newsletter
1.改正高年齢者雇用安定法の施行に伴う留意点
改正高年齢者雇用安定法の施行に伴い、厚生労働省より Q&A が公表されています。今回はこの Q&A に記載があるも
のについて、参考になると思われるものについてピックアップしてまとめています。
(1)継続雇用制度の導入について
i.
定年退職者を嘱託やパートなど従来の労働条件を変更して再雇用する場合の留意点
A. 労働基準法その他、労働関係各法の条件を下回らない範囲であれば、労働条件については、会社
と従業員の間で決定することができます。特に賃金については、最低賃金を下回らないようご注意く
ださい。
B. 雇用契約を 1 年ごとに更新する形態は、年齢のみを理由として 65 歳前に雇用を終了させるような制
度は適当ではないとされていますが、有期労働契約のルールに則って、年齢以外を理由として契約
を更新しないことは認められる場合があります(個別の事情に応じて具体的に判断)。
ii.
本人と会社との間で賃金と労働時間の合意ができない場合、会社は継続雇用を拒否できるのか
継続雇用制度は、会社に定年退職者の希望した労働条件での雇用を義務付けているものではなく、合
理的な労働条件を提示しいていれば、従業員との合意が得られず、結果的に従業員が継続雇用される
ことを拒否したとしても、違反にはなりません。
iii.
定年後の就労形態をワークシェアリングで、たとえば、それぞれ週 3 日勤務で、概ね 2 人で 1 人分の業務
を担当させるような制度は可能か
会社の合理的な裁量の範囲であれば、ワークシェアリングで勤務日数や勤務時間を弾力的に設定する
ことは差し支えないと考えられています。
iv.
有期雇用契約者に関して、60 歳に達した日以後は契約の更新をしない旨の定めをしている場合、有期雇
用契約者を対象とした継続雇用制度の導入等を行わなければならないのか
継続雇用制度は主として期間の定めのない労働者を想定しており、有期雇用契約のように一定の期間
の経過により契約が終了となるものについては、別問題と考えられています。ただし、有期雇用契約が
反復更新されているときなど、期間の定めのない雇用とみなされることがあり、この場合には 65 歳を下
回る年齢に達した日以後は契約しない旨の定めは、高年齢者雇用安定法違反となりますので、ご留意
ください。
(2)就業規則の変更について
i.
就業規則ですでに 60 歳の定年後に継続雇用する基準を定めており、経過措置により基準を利用する場
合でも就業規則を変更する必要があるか。
継続雇用制度の対象者を限定する基準は、改正高年齢者雇用安定法では、年金支給開始年齢以上の者
に対する経過措置として認められていますが、基準の対象年齢は 3 年ごとに 1 歳ずつ引き上げられますの
で、基準の対象年齢を明確化するために就業規則の変更が必要になります。
(3)継続雇用制度の対象基準の経過措置について
i.
経過措置として定める継続雇用制度の対象者を限定する基準は、すべての会社が定めることができるのか
経過措置により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることができるのは、改正高年齢者雇用安
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定法が施行されるまで(2013 年 3 月 31 日)に労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定
めていた会社に限られます。
ii.
年金の支給開始年齢の引上げスケジュールは男女で異なっているが(女性は男性の 5 年遅れ)、経過措
置の対象年齢も男女異なっているのか
経過措置の対象年齢は、「男性」の年金(報酬比例部分)の支給開始年齢に合わせており、男女で異なる
ものではなく、同一となっています。
iii.
継続雇用の基準該当性の判断はどの時点で行う必要があるか
基準の具体的な内容で左右されるものであり、労使協定により定められるものであることから、基準該当性
の判断時点をいつにするのか(たとえば、基準対象年齢の直前とするか、あるいは定年時点などとするか)
については、労使の判断に委ねられています。
iv.
継続雇用制度の対象者を限定する基準についての労使協定の変更は可能か
改正高年齢者雇用安定法が施行になる 2013 年 3 月 31 日までの間であれば、内容を変更して新たな労
使協定を締結して、新たな基準を定めることができます。
v.
継続雇用制度の対象者を限定する基準についての労使協定は、事業所ごとに結ぶ必要はあるのか。企業
単位で結ぶことは可能か
原則として事業所ごとに締結する必要がありますが、ただし以下のいずれにも該当する場合には企業単位
での締結も可能です。
A. 企業単位で継続雇用制度を運用している
B. 各事業所ごとの過半数労働組合等のすべてが内容に同意している(または、すべてが労使協定の
労働者側当事者として加わっている等)
(4)継続雇用先の範囲の拡大について
i.
継続雇用先の範囲をグループ会社にまで拡大する特例を利用するために、グループ会社とどのような契約
を締結すればよいのか
グループ会社との間で「継続雇用制度の対象となる高年齢者を定年後に特殊関係事業主が引き続いて雇
用することを約する契約」を締結することが要件とされております(詳細は、この項の末尾にある Q&A の
URL をご参照ください)。
ii.
継続雇用先の範囲をグループ会社にまで拡大する場合、当該グループ会社はどのような労働条件を提示
しなければならないのか
最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、当該グループ会社と対象従業員との間で継続雇用後
の労働条件を決めることができます。なお、当該グループ会社が合理的な裁量の範囲で労働条件を提示し
ていれば、結果的に対象従業員が継続雇用されることを拒否したとしても、当該グループ会社、定年前に
雇用している会社双方とも高年齢者雇用安定法違反に問われることはありません。
iii.
継続雇用先をグループ会社にする場合、例えば海外子会社など、遠隔地にある会社であっても差し支えな
いか
グループ会社(特殊関係事業主)は、今回の法改正で定めるグループ会社の範囲であれば、海外子会社
など遠隔地にある会社であったとしても違反ではありませんが、労働条件は法の趣旨を踏まえた合理的な
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裁量の範囲内であることが必要です。
iv.
定年前に雇用されている会社と継続雇用先のグループ会社で就業規則の退職・解雇事由に差異がある場
合、グループ会社で継続雇用をする際に、どちらの解雇基準を適用するのか
継続雇用するか否かの判断は、継続雇用する主体に関わらず、定年前に雇用されている会社の就業規則
に定める退職・解雇事由に基づき判断することになります。
v.
定年到達者をグループ会社で雇用する場合、この定年到達者が厚生年金の受給開始年齢に達したときに
適用される継続雇用の基準は、グループ会社のものか、それとも定年前に雇用されている会社のものか。
原則として適用される継続雇用の基準は、継続雇用先のものとなりますが、前述の「継続雇用制度の特例
措置に関する契約書」に、定年前に雇用されている会社の基準を適用する旨が定められている場合には、
定年前に雇用されている会社の基準を適用することになります。
詳細については下記 URL をご参照下さい。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/
2.法改正の動向
(1)「契約更新の基準」、書面による明示が法律上義務化
i. 内容
労働基準法施行規則の改正により、労働契約締結時に、契約期間とともに「期間の定めのある労働契約を更
新する場合の基準」も書面の交付により明示しなければならない事項となります。
根拠
義務の内容
罰則
改正前
厚生労働省告示(ガイドライン)
契約更新の基準を明示
なし
改正後
法律
契約更新の基準を「書面」により明示
あり(30 万円以下の罰金)
ii. 施行期日
2013 年 4 月 1 日
詳細については下記 URL をご参照下さい。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/dl/h241026-2.pdf
(2)現物給与の価額の適用に関する改正動向
i. 内容
A. 社会保険
従業員へ現物給与については、支店等も含め一つの適用事業所としている場合、その価額は本社
が所在する都道府県の価額が適用されていましたが、今後は従業員が実際に勤務している事業所
が所在する都道府県の価額が適用されます。
B. 労働保険
出張所等、上部組織からの独立性がないものについては、上部組織と一体として 1 つの適用事業と
して扱われるため、出張所等で現物給与を支払う場合には、出張所等の上部組織が所在する都道
府県の価額が適用されていましたが、今後は出張所等が所在する都道府県の価額が適用されます。
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ii. 進捗状況
現在、2013 年 1 月下旬交付に向けた準備が進められており、2013 年 4 月 1 日から適用予定です。
詳細については下記 URL をご参照下さい。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495120263&Mode=0
(3)改正労働安全衛生法は審議未了で廃案に
メンタルヘルス対策や受動喫煙防止対策の充実・強化等を定めた労働安全衛生法改正案は、2012 年 11 月 16 日の衆
議院解散に伴い、審議未了で廃案となりました。
3.改正労働契約法施行に伴う問題と事前対策
今回は、改正労働契約法施行に伴う問題および事前対策についてご説明していきます。
(1)法改正の概要
i. 契約を 1 回以上更新し、かつ契約期間が通算 5 年を超える場合、通算 5 年超となる契約の開始日において、
有期雇用契約から無期雇用契約への転換を請求できる権利(無期契約転換権)が発生します(無期雇用契
約への転換、2013 年 4 月 1 日より施行)。
ii. また、有期雇用契約が反復継続され実質的に無期雇用契約と同視し得る場合、または労働者において契約
更新に係る合理的な期待が認められる場合で、かつ労働者から契約更新につき申込みがあった場合には、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めが認められません(雇
止めの法理、2012 年 8 月 10 日より既に施行済み)。
iii. さらに、有期雇用契約期間中も、無期契約社員と同様の職務内容・権限・配転可能性等があるならば、期間
の定めがあることによる不合理な差別が禁止され、賃金・労働時間・福利厚生等一切の労働条件について無
期契約社員と同様の処遇をしなければならなくなります(期間の定めがあることによる不合理な差別の禁止、
2012 年 4 月 1 日より施行)。
(2)法改正により懸念される問題
i. 雇用調整の困難化
A. 無期雇用契約社員へ転換すると、雇止めという概念がなくなり、雇止め自体ができなくなるため、景
気や経営状況に応じた雇用調整が非常に難しくなります。
B. また、有期雇用契約社員についても、雇止めの法理が適用される場合には、厳格な要件を充たさな
い限り雇止めができなくなるため、雇用調整が難しくなります。
ii. 人件費の増大
期間の定めがあることによる不合理な差別が禁止され、職務内容・権限・配転可能性等が有期契約社
員と正社員で同じ場合には、同じ処遇をしなければならないことから、人件費の増大が懸念されます。ま
た無期雇用契約転換社員の労働条件は必ずしも正社員と同じにする必要はありませんが、有期雇用契
約社員の労働条件が上記により見直された場合、実務上、無期雇用契約転換社員の処遇の見直しが
必要になる場合もあります。
(3)事前対策
事前対策としてはⅰ.無期雇用契約に転換する前に雇止めをする、ⅱ.5 年超でも有期雇用契約を選択させ続けるような
仕組みを作る、という方法が考えられます。
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i. 無期雇用契約に転換する前に雇止めをする
無期雇用契約に転換する前に雇止める方法としては、A.契約の更新に際し契約期間が通算 5 年超とならな
いようにする、B.雇止めの法理が適用されないようにする、という 2 つの方法が考えられます。
A. 契約の更新に際し契約期間が通算 5 年超とならないようにする
新規契約の場合には、契約期間および更新回数を予め明示しておく等、の配慮をすることで対処可
能です。ただし、雇止め法理の有効性について、下記 B の表に掲げられた要素を総合考慮して判
断されるため、全てのケースで有効となるわけではないことにご留意下さい。
B. 雇止めの法理が適用されないようにする
契約更新の場合も同様に通算期間が 5 年超とならないよう契約期間や更新回数に上限を設けると
いう方法が考えられます。
ただし、雇用契約を更新している場合、「実質的に無期雇用契約労働者と同視し得る場合、または
労働者において契約更新に係る合理的な期待が認められる場合」には雇止め法理が適用され、契
約年数の上限を設定することができなくなる可能性がありますので留意が必要です。ここでは雇い止
め法理が適用される判断要素毎の留意点をご紹介いたします。
判断要素
業務の客観的内容
留意点(無期雇用契約とみなされる判断基準)
従事する仕事の種類・内容・勤務形態が無期契約社員との同一性
契約上の地位の性格
地位の重要性、労働条件の無期契約社員との同一性
当事者の主観的態様
更新の見込みを説明していた等、継続雇用を期待させるような使用者の
言動や労働者の認識があったかどうか
更新の手続・実態
他の労働者の
更新状況
更新手続きの形式的であるか否か、更新回数の多さ
同様の地位にある他の労働者について、過去に雇止めが行われている
か(ほとんど行われていない場合には、実質的な無期雇用契約と判断さ
れやすくなります)
なお、合理的期待の有無は全契約期間中における諸事情を基礎に判断されるため、会社が契約期
間満了前に契約期間および更新回数につき、上限がある旨を一方的に告げたことのみをもって、合
理的期待の存在が否定されるわけではありません(2012 年 8 月 10 日付け基発 0810 第 2 号)。
ii. 5 年超でも有期雇用契約を選択させ続けるような仕組みを作る
無期雇用契約社員にしたい者とそうでない者とを分類し、特に後者については、無期転換権を行使せず、有
期雇用契約の継続にインセンティブが働くような労働条件を設定します。
なお、その他の留意点として、無期雇用契約社員への転換にあたっては、正社員の就業規則がそのまま無期転
換契約社員に適用されないよう、適用除外規定を設定して下さい。
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