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獨協大学の国際交流を促進させるための 10 の提言

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獨協大学の国際交流を促進させるための 10 の提言
獨協大学の国際交流を促進させるための 10 の提言
――内なる国際化に向けた6つのアクションリサーチ――
獨協大学外国語学部英語学科
工藤和宏ゼミ 2009 年度 調査報告書
2010 年 5 月 20 日
ごあいさつ
本報告書は、2009 年 4 月から 2010 年 3 月にかけて私のゼミの学生が行った共同研究の活動報
告である。私のゼミでは、2006 年度よりゼミ生全員が協力して一つの研究課題に半年から1年か
けて取り組み、その成果を報告書にまとめることを重要な教育活動の一つにしている。2006 年度
と 2008 年度は香港城市大学、2007 年度は静岡県浜松市にてフィールドリサーチを行い、それぞ
れの報告書を作成してきたので、これで4冊目になる。
さて、今回のテーマは「獨協大学の国際交流」である。
「語学の獨協」を謳う本学にとって、
「国
際交流」は重要な特色の一つとして大学案内やホームページ等に記載されている。実際、本学は
約 180 名の留学生を受け入れ、毎年 200 名以上の学生を留学やインターンシップ等の制度で海外
へ送り出している。しかしながら、今回のプロジェクトを始める際に明らかになったのは、ゼミ
生の多くが本学で学ぶ留学生との友情はおろか接触の機会すらないことであった。外国の言語や
文化に関心を持ち本学に入学したのにもかかわらず、一人の留学生とも知り合うことがないとい
う現状を変えられないだろうか。学生が海外に行くだけではなく、足元である自分達のキャンパ
スの「内なる国際化1」に役立つ研究ができないだろうか。これらの問題意識から、近年、異文化
間教育で注目されている現場生成型のアクションリサーチ2を実施した。
本報告書は6つの研究班による活動報告と、これらに基づいてプロジェクトリーダーが中心と
なってまとめた第 7 章「獨協大学の国際交流を促進させるための 10 の提言」からなる。プロジェ
クトの遂行においては、学生自らが研究班の編成、研究課題の設定、研究計画の立案と検討、研
究の実施とデータ分析(研究の評価)を行った。授業での関連文献の精読やディスカッション、
継続的調査活動に加えて、2泊3日の夏合宿、他大学での聞き取り調査なども実施した。報告書
の作成においては、誤字脱字や表現の不統一、不明箇所の指摘や修正は私が行ったが、展開され
た論考は学生達のものである。とりわけ第 7 章では、本学の留学生受入れ戦略に関する具体的提
言をしているので、プロジェクト全体の成果をすぐに知りたい方には、この章から読んでいただ
きたい。
「一見するとどれも理想主義的なものと捉えられてしまうかもしれないが、どの提言も他
大学では既に実践されていることばかりである」
(本報告書、54 頁)
。学生達の意見は荒削りかも
しれないが、このメッセージに込められた思いが一人でも多くの方々に届けば、彼らの活動に関
わった者としては大きな喜びである。
(なお、年間授業計画ならびに授業で使用された文献のリス
トを巻末に載せたので、ご興味のある方はご参照頂きたい。
)
最後に、本プロジェクトの実施においては、明治学院大学国際センターをはじめとする他大学
1
自国の学生や教育・研究プログラムを外国に送り出す「外への国際化」(internationalization abroad)
に対し、キャンパスでの異文化間教育の実施や学生交流の促進、カリキュラムの国際性を高めるため
の制度改革等を「内なる国際化」
(internationalization at home)と呼ぶ。本プロジェクトでは、とりわけ
海外経験をしない国内学生に国際性を経験させるための制度作りや行動計画が重要であるとの認識か
ら、この言葉を本報告書の副題として用いることにした。参考: Knight, J. (2003). Internationalization:
Developing an institutional self-portrait. Readings for EOTU project.
http://www.eotu.uiuc.edu/events/Illinoisnovfinal.pdf.
2
佐藤郡衛、横田雅弘、吉谷武志(2006)
「異文化間教育学における実践性――『現場生成型研究』の
可能性」
『異文化間教育』23 号、20-36 頁。
1
の方々、本学の国際交流センターや ICZ(International Communication Zone)等多くの関係部
署や学部学科の教職員や学生の方々のご理解とご協力を仰いだ。ご協力頂いた方々の延べ人数は
優に 300 人を超える。本学での調査では、ゼミ生の自主性を尊重する立場から、指導教員として
個々の方々への協力依頼を敢えてしなかったために、彼らとのやり取りに困惑や不快な思いをさ
れた方もおられるかもしれない。本プロジェクトの不備については、全て指導教員の不徳の致す
ところであり、この場をお借りしてお許しを願うと共に、ご協力頂いた方々に心より感謝申し上
げたい。
2010 年 5 月 20 日
外国語学部英語学科専任講師 工藤和宏
2
目次
ごあいさつ ........................................................................................................................................ 1
第1章
留学生と現地学生の友人関係構築に向けて――バディ制度の事例研究................................ 4
第2章
留学生へのサークル・部活普及活動 ...................................................................................10
第3章
ICZ の更なる可能性を求めて..............................................................................................21
第4章
ICZ における日本語チャットルーム開設の可能性 ..............................................................28
第5章
交換留学生の授業カリキュラムを探る――授業を通じた異文化交流の提案........................38
第6章
留学体験記プロジェクト ....................................................................................................43
第7章
獨協大学の国際交流を促進させるための 10 の提言 ............................................................50
付録 ..................................................................................................................................................55
3
第1章
留学生と現地学生の友人関係構築に向けて
―バディ制度の事例研究―
秋山雪菜、伊藤彩里、宇原卓也、大沼由紀子、白井麻里、
高橋由佳、矢島祐作、大塚彩里、坂田朋子、梶原結奈
はじめに
海外から日本への留学生・就学生は 2003 年の時点で 10 万人を超えており(井上、2004)
、2008
年には「日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒト・モノ・カネ・情報の流
れを拡大する『グローバル戦略』展開の一環として位置付け、2020 年を目途に 30 万人を目指す」
計画(文部科学省 他、2008)が策定された。いわゆる「留学生 30 万人計画」である。
現在、獨協大学には海外からの留学生が約 200 人いる。大学ホームページでは、留学生と日本
人学生の交流パーティや交流バスツアー、留学生のためのチューター制度などが紹介されている
が、留学生と交流を持っている日本人学生は一部にすぎない。日本人は、留学生は祖国の発展に
貢献したいという志を持ち、絶えず勉学に励み、学業を終えて帰国するものだと考える傾向が強
い(横田・白土、2004)
。一方、日本人の外国人に対する認識として、
「欧米人が『上位』に、日
本人以外のアジア人が『下位』に、そして日本人が中間に位置づけられる」(浅野、2008)こと
が指摘されている。留学生は日本人学生の偏見・差別によるコミュニケーションの問題で悩んで
おり、友人関係構築の困難を経験している。
このように、日本政府や大学が留学生を積極的に迎える姿勢を示していても、日本人学生と留
学生の直接の交流が積極的に行われていない場合がある。一方、後述する明治学院大学のように、
国際交流センターが日本人学生と留学生をつなげる「きっかけづくり」としてバディ制度3を導入
し、学内の国際交流4の向上だけでなく、個人の留学生との交流のチャンスを創り出している事例
も見られる。
さ て 、 獨 協 大 学 の 国 際 交 流 の 現 状 は ど う で あ ろ う か 。 例 え ば 、 ICZ ( International
Communication Zone)という言語ごとに分かれた学習情報室が 2007 年春に開設されたが、それ
は学生の国際交流の幅を広げているのだろうか。本研究は、学生の国際交流が盛んだと思われる
明治学院大学のバディ制度について概観し、バディ制度が本学に適用しうるかどうかの検討を試
みる。そのうえで、本学の日本人学生と留学生の交流を発展させるための提言を行いたい。
研究の重要性
本学で新たに「バディ制度」を実施することで、留学生と日本人学生における友人関係構築の
「きっかけ」を提供し、両者の国際交流を活性化したい。これによって、国際交流に関心を持つ
3
現地校の学生が学友(バディ)として、留学生の日常生活をボランティアでサポートする制度。学習面での手助
けや、悩み事・ホームシックの相談に乗る等、精神的な面でのサポート、また道案内や、病院に付き添う、書類
手続きを一緒に行なう等、様々な場面における援助が期待される(明治学院大学国際交流センターホームページ)
。
4 二国間または多国間の政治的・文化的コミュニケーションの促進、拡大を目的に政府および民間組織・団体など
によって実施される文化・教育活動・事業・政策およびその効果・影響のことを指す(国際教育辞典、1991)
。
4
学生には交流の場が設けられ、留学生と日本人学生の共同活動の機会が与えられる。日本人学生
の国際交流への意欲向上、そして参加・企画といった行動の具体例を提示し、また、本研究に留
まらず今後、両者による活発な共同活動が期待できる。さらに今後バディ制度を引き継いでいく
学生やより多くの人がバディ制度についての理解や知識を向上させ、よりよい活動内容を期待で
きる。更に、留学生が実際にどのようなサポートを必要としているのかを示すことにより、本学
における今後の留学生受け入れ施策の参考になることが期待される。もちろん、遠山(2005)が
指摘しているように、与えられた「可能性の場」つまり「大学」で留学生と現地学生との友人関
係構築の可能性を切り開くのは学生本人である。
研究設問
横田と白土(2005)が述べているように、留学生は学業の成就を目的に留学しているため、現
地学生との交流は補足的なものであるという考え方が日本の大学の間にあるようである。本学へ
の交換留学生の在学期間は通常2学期間であるため、4年間在学し卒業する外国人学生とは異な
り、出身国のネットワークや日本人学生の友人を作るには十分でない可能性もある。果たして留
学生にとって、留学先における現地学生との交流の重要性は、留学をする上でどの程度の意義を
持ち、また彼らとの友人関係構築は留学価値5を高めるものになるのであろうか。留学生は現地学
生との交流に何を、どの程度期待しているのであろうか。
本研究でのバディ制度は、留学生と日本人学生との交流の「きっかけ」になることが期待され
る。留学生側だけでなく、彼らをサポートする側の日本人学生にとってのバディ制度の利点、そ
して留学生との友人関係構築にはどのような意義があるのか。バディ制度は留学生をサポートす
ることが本来の目的であるため、彼らがどのようなサポートをどのくらい必要としているのかを
知ることができれば、今後の彼らの留学生活のサポートの参考になるだろう。
調査方法
まず、バディ制度をすでに実施している明治学院大学の国際センター職員にインタビューを行
った。その結果を参考に、本年度秋学期にバディ制度を実際に行い、日本人学生と留学生の友人
関係構築と留学生の留学価値について観察し、またバディ参加者にインタビューを実施した。バ
ディ制度は日本人学生と留学生の友人関係構築にどう働くのか、また本調査での試みによる学内
での国際交流の促進、そしてこれをきっかけに今後このような活動が普及していく可能性につい
て報告する。
本研究では、バディ制度を対象とする留学生を交換留学生に限定した。これは、明治学院大学
での調査においてバディを必要とするのは大半が交換留学生であり、正規留学生はほとんどバデ
ィを必要としていないことが分かったためである。そして、留学生1名に対し日本人学生のバデ
ィを2、3名付けた。この人数は日本人学生のスケジュールなどにより、1 人では十分なサポー
トをすることができない可能性があるためである。また、登録者全員が必ずしもサポートを行わ
ない例も明治学院へのインタビューにより明らかになった。全ての交換留学生はバディ制度を利
用することができるが、拒否することや途中で中止することもできる。
バディとなる日本人学生に関しては学科、性別は問わないが、キャンパスを案内・説明できる
ことや学校に慣れていることが必要とされるため、今回は在学年数が2年以上の学生を募集した。
また、本調査では言語学習を目的としていないため、バディを希望する日本人学生は留学生の出
5
留学生が留学先で現地の学生や周辺住民と交流することなど学業以外に留学に付帯する価値をさす。
5
身国や母語・使用言語を限定して希望することはできないが、両者間の使用言語は自由とした。
本制度では、問題発生時などの特別な場合を除き、原則として観察者を通さず両者が直接連絡を
取り合い接触することとした。
調査結果
1.明治学院大学へのインタビュー調査
秋学期から本学で実際に行うバディ制度の参考にするため、現在この制度を実施している明治
学院大学の国際交流センター(白金キャンパス)の職員にインタビューを実施した。
明治学院大学にバディ制度が導入されたのは 18 年前で、元々ボランティアセンターがあり比較
的ボランティア活動に力を入れていたので、国際交流センター主催のボランティアという形はこ
の大学にとって受け入れやすいものであった。このように歴史ある制度であるのだが、バディ制
度の内容はニーズに合わせて常に試行錯誤を繰り返している。語学面のバディから始まり、徐々
に広範囲に渡っていき、学生たちの能動的活動によっていくらでも変えることができる柔軟な制
度であるのが特徴である。
バディの正式な募集は年に1回、年明けに行い、白金・横浜校舎を合わせて 300∼400 人の応募
がある。応募は白金校舎、横浜校舎で別々に受け付けている。留学生1名につきバディが2、3
名つくので、バディの学生数は来る留学生の数によって左右されるが、毎学期、白金と横浜校舎
それぞれで 70 名前後を採用する。また、登録できるのは2年次以降であり、その理由として1年
生は必修科目が多く忙しいこと、そしてまだ大学に慣れていないため留学生に学内を案内できな
いことが挙げられる。バディの登録者は明治学院全体(2キャンパス)で圧倒的に女性が多く、
学年についてはまちまちであるが3年生の後期になると就職活動が理由で一度抜ける学生が多い。
学部については、英文学科・国際学部といった英語に関心のある学生が多い。
バディ学生と留学生間の関わりで重要となってくる「適性」については、常に能動的であるこ
とや未知なるものに対して興味が持てるかどうかを期待しており、申請書を通して判断する。適
していないと判断される例としては、特定の国の留学生の担当を希望することや、文化摩擦を闇
雲に拒否する可能性が申請書から読み取れることが挙げられており、語学力については参考程度
である。相性が合わないという理由でのバディ変更は、その対処が必要になるため原則として認
められない。また、国際交流センター側はバディの活動をそれほど把握しておらず、助言・相談
には応じる以外には、バディとして最低限して欲しいことを伝えるのみで、細かい部分はバディ
が能動的に動く形になっている。
バディには2種類あり、行事企画担当バディは企画実行毎に報告書を作成し、国際交流センタ
ー側が作ったアンケートに答えることになっている。また、個人担当バディにおいては、1学期
に1度報告も兼ねたアンケートを実施している。バディ制度に関する報告書は記録として残して
おくものであり、翌年のプログラム全体に意見を反映させる。
最後に、バディ制度による効果は、異文化交流に興味があるものの自分から踏み出せない学生
がいるという点で多いにあり、バディ制度は「制度」という大きな言葉を使っているが、実際は
国際交流センターが交流の「きっかけ」を学生に与えるものである。さらに具体的な効果として
挙げられるのは、バディ制度を通して自分自身の留学に興味を持つ学生がいることで、例えば協
定校の留学制度を活用し、お世話をした留学生の大学先に一年間留学する学生もいる。
留学生たちにとっても日本の学生と知り合える良いきっかけとなり、必然的に日本の国民性、
日本人の価値観を学ぶとても良い機会になっていると考えられる。性質的には「ボランティア」
であるバディ制度だが、
「制度」という言葉ゆえに登録しておけば留学生と友達になれるといった
6
受動的な姿勢の学生も見受けられる点が問題点として挙げられる。その他、学年・学期によって
活動の活発具合がまちまちであり、またバディは自分の担当の留学生以外とも関わることは構わ
ないため、
「バディと留学生」といった大まかなものとして動いてほしいと期待されている。明治
学院大学の「バディ制度」に関するインタビューから多くの情報を得ることができ、秋学期に本
学で同制度を実施する際に大いに参考となった。
2.バディ制度参加者の事前調査
10 月に留学生5名と日本人学生 10 名にバディ制度への参加依頼を行ったところ、留学生1名
と日本人学生2名がバディ制度への参加を希望した。留学生はフランソワさん(仮名:男性)で、
フランスから交換留学生として来日しており、日本語習得を目的としている。過去にインドネシ
アでインドネシア語習得のため留学した経験があった。母国フランスでは大学院に籍を置いてい
る。また、今年フランスからの留学生は彼のみである。履修している科目は日本語のみで、本制
度には、友達を作りたいとの理由で参加を決めた。日本人バディは本学の外国語学部英語学科2
年生の伊藤さんと山田さん(仮名:共に女性)である。彼女らは過去に外国人との間に友好関係
を築いた経験があり、また海外において現地の人より援助を受けた経験を持つ。これらの経験が
今回のバディ制度参加を決断する決め手となった。
本制度に参加する留学生と日本人バディが決定したあと、それぞれ別に短いインタビューを行
い、その後顔合わせをして連絡先を交換した。
3.バディ制度後参加者へのインタビュー調査
バディ制度実施後の 2010 年1月下旬に、留学生と日本人バディそれぞれにメールでインタビュ
ーを行った。留学生のフランソワさんからは、
「日本人の友人ができた」という回答が得られ、バ
ディ制は日本人が留学生を援助するという役割がある一方で、バディ制は「助ける人」と「助け
られる人」という関係を提供するのではなく、留学生と日本人学生が友人関係を構築する場とし
て使われていることがわかる。
プロジェクトメンバーの中には学内でフランソワさんを見かけた者がいるが、ひとりで行動し
ていることが多いとの報告があり、また本人がバディ制度開始前に話していたように、昼食は寮
へ戻って取っているようだった。フランスからの留学生がひとりであることや大学院生であるこ
とが、彼と他の留学生との友人関係構築に少なからず影響を及ぼしていた可能性が考えられる。
一方、バディの2人、伊藤さん・山田さんからは回答を得ることができた。彼女らにおいては、
「今回の経験を自分の自信につなげたい」と考え参加を決めた点、そして「留学生にとって少し
でも助けになれば」と大きく身構えることなくバディ制に取り組んだ点において共通していた。
しかし、本制度の結果には大きな違いがみられた。まず伊藤さんに関しては、バディ制開始後す
ぐに留学生と学生食堂で食事をしたとのことだが、それ以降の交流はなかった。そのため若干の
申し訳なさを我々プロジェクト班に対して憶えているようだった。一方の山田さんは、まず今回
のバディ制において留学生フランソワさんのことを「バディ制度を通して助けてあげる人」では
なく、
「友達」と認識し、終始行動していた。これは、フランソワさんを「友達」ととらえること
により気構えることなく行動できるようになり、またより深く信頼関係を築くことが出来るので
はと考えたためである。また、相手にとっても、その方がなにか問題に遭遇した際に頼ってもら
えるのではと考えたようである。実際に、山田さんがフランソワさんに頼まれ、彼の彼女へのプ
レゼント選びを手伝った経験もあり、伊藤さんとは対照的に、ふたりの関係が学外まで広がって
いたことがわかる。
7
また、バディの2人に共通していたのは、
「バディ制度らしいこと」はしていないと報告してい
た点である。彼女らにとってみればバディ制度は、「助ける」ではなく「友達として付き合う」、
つまり留学生と同じ視点で考え行動していくことであった。バディ制度を通して出会ったという
点を除けば、留学生と彼女らの関係は他の友達との関係と変わらなかったのである。そのことか
ら、フランソワさんと会った頻度に差が見られたのは、相手が留学生であることやバディ制度を
通した関係であることが原因ではなく、彼女らの友達に対する接し方の違いではないだろうか。
現に彼女らは、
「新しい友達が出来た、それがたまたま留学生で、友達だから困った時は助けてあ
げたい。楽しみます」と話していた。
考察
今回の調査結果から、本制度が留学生と日本人学生との交流の「きっかけ」となったと言える。
バディとなった2名は、本学で催されている国際交流イベントに1度も参加したことがないため
留学生と接する機会がなかった。今回バディ制度に参加することにより、彼女たちは留学生と知
り合うことができ、また2名のうち1名は学外での接触にまで広がる関係を築くことができた。
これは留学生にも言えることで、バディ制度を通して友人を得たいという希望に近い結果になっ
たのは、本制度が、両者が知り合う「きっかけ」となったからであると考えられる。
そして、山田さんはフランソワさんのプレゼント選びを手伝ったことから、バディ制度本来の
目的である留学生のサポートについても貢献できたと考えられる。このサポートは学外でのサポ
ートであり、留学生の日常生活において、バディ制度は留学生が日本への適応にするためにも貢
献できることがわかる。
また、留学生のフランソワさんの留学の目的が日本語の習得のためであり、日本人の友人を作
ることによって日本語能力の上達も期待できる。日本人側としても留学生の友人を持つことによ
って、国際交流に対する意識を増幅させることに貢献できると考える。
結論
本研究を通して、獨協大学においてバディ制度は日本人学生と留学生の交流の場を提供し、両
者の友人関係の構築に活用できると考えられる。今後バディ制度を獨協大学に根付かせることに
よって、さらに両者の交流が活発化されることを期待したい。
獨協大学においてバディ制度の導入は我々が知る限りでは本研究が初めての試みであったため、
制度に対する学生の認知度が低く、我々の普及活動の場も限られていた。その結果、バディ制へ
の参加希望者の募集が難航したものと考えられる。
獨協大学の国際交流センターは本学に留学に来る外国人学生への情報提供や、本学から海外に
留学する日本人学生に対するサポートを行っているが、留学に関するサポートを必要としない日
本人学生に対しての活動には消極的である。学内で部活動を行う「国際親善クラブ」と日本語で
話そうパーティのほか、ハロウィンやクリスマスなど、季節ごとのイベントは共催しているが、
それらが個人レベルでの継続的な接触に直接つながるとは限らない。また、本学の特徴として国
際交流が挙げられているものの、ホームページ上で紹介しているチューター制度は実際には行わ
れていないことが今回の調査で明らかになった。今後バディ制度を獨協大学に確立していくには、
学内の日本人学生に対して国際交流をサポートするという視点に立ち、国際交流センターがより
主体的に学生交流に関わること、具体的には、バディ制度実施のための下位組織の設立や広報・
普及活動の促進が必要と考える。
今回の調査ではバディは1組のみの実施であったため、複数の事例での比較ができなかった。
8
両者の性別や年齢が関係構築に及ぼす影響を明らかにするために、複数組に同時に観察し比較す
る必要がある。バディ制度の開始時期に関しても、留学生の本学での履修開始と同時、または学
期前のオリエンテーション期間から始められるような体制をとることが望ましい。今回は実施期
間が2ヶ月と短く、1学期(4ヶ月)にも満たなかったが、少なくとも1学期から交換留学期間
である2学期実施することにより、更なる観察が可能になるはずである。
今後本学においてバディ制度を実施する場合は、以上に挙げた反省点、改善点を含めた上での
更なる調査、そして大学側と学生間の連携を深めることが重要である。
参考文献
阿部清司(2004)『大学と日本の国際化――知的国際貢献の試み』ジアース教育新社
池上摩希子、井上孝代、岩坂(大見)泰子、工藤和宏、倉地曉美、栗原真弓、倞住忠久、小島勝、
白土 悟、鈴木有香、田中ネリ、徳井厚子、西尾亜希子(2004)
「これからの社会に求められ
る異文化間カウンセリング−「マクロ・カウンセリング」の視点から」
『異文化間教育』第 20
号、アカデミア出版会
サウクエン・ファン、遠山千佳、徳永あかね、村上律子、堀内みね子(2005) 『外語大における
多文化共生:留学生支援の実践研究』神田外語大学異文化コミュニケーション研究所
http://www.kuis.ac.jp/icci/publications/pj_results/ssp.htm(2009/9/1 アクセス)
『獨協大学の特色――国際交流』http://www.dokkyo.ac.jp/daigaku/tokushoku/national.htm
(2009/7/30 アクセス)
北海道大学言語文化部(1995)
『大学生と異文化接触――国立五大学(北海道大・東北大・名古屋
大・大阪大・九州大)大学生の異文化接触(文化摩擦と国際理解)の実態および意識調査−』
北海道大学言語文化部
『明治学院大学国際交流センター2008年度バディ募集要項』
http://www.meijigakuin.ac.jp/office/cice/buddy_apply.html(2009/7/28 アクセス)
横田雅弘・白土悟(2004)
『留学生アドバイジング――学習・生活・心理をいかに支援するか』ナ
カニシヤ出版
9
第2章
留学生へのサークル・部活普及活動
山本絵美、石津修子、高崎千尋、髙梨諒、田村あゆ美
はじめに
留学生に関するプロジェクトを進めていくにつれて、日本人学生は留学生と交流する機会や、
友だちになりたいと考える者が多いのにもかかわらず、必ずしもそういった環境が本学にあると
はいえないことがわかった。遠藤(2008)や花見(2006)が指摘しているように、本学においても留
学生と日本人学生が別行動をとっている傾向は顕著である。本学では日本人学生が留学生と知り
合う機会として、
「日本語で話そうパーティー」が年に2回ほど開かれている。しかし、花見(2006)
も明らかにしているように、パーティー等のイベントの後の友人関係の持続性は難しい。
以上から、日本人学生にとっては留学生と知り合う機会が少ない、機会があったとしても、持
続的な関係構築の場がないという問題点を指摘できるだろう。そこで、本研究班はサークルや部
活がこのような関係構築に効果的ではないかと考えた。趣味やスポーツを通じてある程度決まっ
た周期で会うことによって、
「日本語で話そうパーティー」のような一過性のイベントとは異なり、
交友関係の持続性が期待できる。さらに、サークルや部について考えていく中で、これらの活動
への留学生の参加があまり見られないという問題が明らかにされた。そこで、本研究では、留学
生、部・サークル、大学側へのインタビューを通して、以下を検討したい。
1.
留学生がサークルや部活に所属しない理由は何か。留学生にサークル・部活について知
ってもらう機会を作ることによって、サークル・部活に所属する留学生が増えるのか。
2.
本研究によって留学生とサークル・部活の両者に交流の促進から得られたものは何か。
3.
留学生を受け入れるサークルや部が実際に留学生を受け入れ、長期に渡り交流を持続さ
せることは可能か。
研究方法
本研究では、現場生成型研究6(Participatory action research7)を採用した。まずは、表 2.1.
に示されているような事前調査を計画した。
①インフォーマルインタビュー
・ 学友会、国際交流センター、留学生、サークル・部活を対象にして、留学生のサークル・
部活動に関する現状を把握するためにインタビューを実施する。
②Participatory Action Research
・ 協力してくれる留学生、サークル・部活、当グループで9月上旬に集まり普及活動案を
作成する。
6
現場生成型研究:実践に内在的に参画し、そこで実践者と協働で「場」を構築する。参画、活
動、場の変容という一連の過程を組み込んだものである。(佐藤ほか,2006)
7 “Action research is an approach in which researchers use intervention in a problem
situation and then evaluate the impact of intervention. …Action research which involves
researchers and practitioners on the basis of equality is called participatory action research
(PAR)” (Reason & Rowan, 1981; Reason, 1994 in Holloway, 1997)
10
上旬∼中旬
6月
中旬∼下旬
・本学国際交流センターでのインフォーマ
・A 大学訪問
ルインタビュー
7月
・プロジェクト協力サークル・部活の募集
・プロジェクト協力留学生の募集
8月
・協力サークル・部活とミーティング
・協力サークル・部活、留学生と共に、
・協力留学生とミーティング
前半のミーティング内容をふまえた
具体的な広報活動を計画/作成
9月
・引き続き、協力サークル・部活、留学生
・広報活動を実施(留学生オリエンテ
と共に、前半のミーティング内容をふまえ
ーション期間などに)
た具体的な広報活動を計画/作成
10 月以降
協力サークル・部活の広報活動の結果を経
過観察
表 2.1.2009 年 7 月時点での研究計画
・ 留学生への広報活動実施後、留学生とサークル・部活の学生の交流の変化を記録する8。
しかし結果としては、2009 年夏期休業開始時点で「留学生へのサークル・部活普及活動」に参
加協力をしてくれる留学生を募集出来なかったことから、計画を大幅に変更した。表 2.2.に示さ
れているように、現場生成型研究の理念を踏襲する形で、まずは留学生と研究者が友人関係を構
築し、次に部活・サークルに参加している留学生に対してインフォーマルインタビュー9を実施す
ることで、本研究の課題に答えることとした。
11 月と 12 月には、サークルに所属する 3 名の留学生に対して、インフォーマルインタビュー
を実施した(資料①を参照)。研究参加者は、1年間の交換留学生として本学に在籍していること、
部活またはサークルに部員として所属していること、1時間前後のインタビューに応じてくれる
ことの3点を条件として募集した。留学生の国籍、年齢、性別、日本語の習熟度は考慮しなかっ
た。
留学生へのインタビューは当初は1名ずつ、研究者1名での実施を予定していたが、A氏のイ
ンタビューは研究者2名に対してインフォーマント1名と言う形で実施した。B・C氏の場合は、
研究者3名に対してインフォーマント2名という形で実施した。インタビューは研究参加者であ
る留学生がリラックスでき騒音の少ない場所で約一時間程度行い、留学生の許可を得た上でIC
レコーダーで録音した。インタビュー時間はいずれも 40 分程度で使用言語は英語もしくは日本語
であった。
8
①と②は 2009 年 4 月現在獨協大学に在学中の留学生の協力により行ったが、②に含まれるオリエンテーション
は 2009 年後期から本校に在学する留学生が対象となった。
9
インフォーマルインタビューとは、
「インフォーマルなインタビューは、インタビューする相手やその場の状況
に応じて質問や順番を変え、インフォーマントの経験・意見・感情をできるだけ自然に引き出して答えのなかに
表現させようとする方法」(石井・久米,2005)である。この方法を用いた理由は、
「フィールドワーカーとインフ
ォーマントの関係が友人同士のような関係に近いことから、フォーマルなインタビューでは出てこない事柄(ホ
ンネ)が話題になることが頻繁にあり、インタビューのダイナミックな側面を享受できる」(石井・久米,2005)
からである。しかし、インフォーマルインタビューは、
「記述が主観的になり易いこと、結果を一般化し難いこと、
追試による再現が難しい」
(豊田,1998)という負の面を伴う。
11
上旬∼中旬
中旬∼下旬
9月
・国際交流センターによる留学生対象
夏期休業
健康診断の補助(研究者1名参加)
期間
・国際交流センター主催「日光・鬼怒川
10 月
バスツアー」参加(協力部活の1団体の
代表者、研究者1名参加)
・国際親善クラブ主催「日本語で話そ
うパーティー」参加(研究者4名、協
力団体へも参加を呼びかけたが参加
出来なかった)
・留学生アパートで研究者と留学生で
11 月
パーティーを企画、実施(研究者3名
参加、協力団体へも参加を呼びかけた
が参加出来なかった)
・サークル に所属する留学生1名に
対しインフォーマルインタビュー実
施
12 月
・サークル に所属する留学生2名に対
しインフォーマルインタビューを実施
表 2.2.2009 年 9 月以降の活動経過
インタビュー内容の分析は、留学生の部活・サークル活動について改善の余地があると考えら
れる部分や評価されるべき部分を抽出することに主眼をおいた。研究方法の限界としては、研究
計画の再構成により協力団体の要望などをインタビュー結果として残せなかったことと、サーク
ルや部活に所属していない留学生へのインタビューが実施出来なかったため、部活動に留学生が
参加しない理由を調査することができなかったことが挙げられる。
結果
国際交流センター職員へのインタビュー
留学生向けオリエンテーション、部活・サークルに関する国際交流センターの対応につ
いての現状を把握するために、2009 年6月 25 日にインタビューを実施した。インフォー
マントは国際交流センターの外国人留学生受け入れ担当者1名で、それに対しインタビュ
アー2名の計3名で行った。また、インタビュー内容はインフォーマントに許可を貰い IC
レコーダーで録音した。
このインタビューからは、以下のことが分かった。まず、留学生向けオリエンテーショ
ンは、4年間在籍する私費留学生は4月の年1回、1年間在籍する交換留学生は4月また
は9月の年2回それぞれ入学する時期に合わせ実施される。その際の使用言語は日本語だ
が、交換留学生向けオリエンテーションでは英語で表記された冊子を個々に渡している。
また、オリエンテーションでは部活・サークルに関する紹介は無く、交換留学生に渡され
る冊子内で部活・サークルが存在するという内容が掲載されているが、個々の団体につい
12
ての紹介はされていない。次に国際交流センターは、留学生が部活・サークルに所属して
いるかの把握はしておらず、それに関しては学友会が把握している。過去に柔道部に入部
希望の留学生から、柔道着の入手法や時間・金銭に関する相談があり対応したが、基本的
に部活・サークルの活動内容についてなどの質問や要望は、学友会やそれぞれの部活・サ
ークルに直接聞くようにと対応している。なお、留学生が部活・サークルに参加したこと
で何か問題が生じたという事例はないという。
また、本学には、韓国人留学生会、中国人留学生会という団体が存在し、韓国人留学生、
中国人留学生に対して勧誘を行っている。
他大学の訪問
他大学の留学生の部・サークル活動について情報を収集するため、6月に A 大学を訪問した。
留学生交流についての話を伺うために、本研究班内で共通のメールアドレスを取得し、そのアド
レスを書いたメモを A 大学国際フェスタ(仮名)10メンバーに手渡した。また、同大学内の国際地
域センター(仮名)を訪問し、15 の部やサークルが留学生向けのメンバー募集ポスターを掲示し
ていたのを見つけた。また、留学生を受け入れる態勢や現状を聞きたいと思い、ポスターを掲示
している部活の中から体育会系と文化系を1つずつ選び、それぞれ依頼メールを送信したが、ど
の団体からも返信を得られなかった。
国際地域センターの部活勧誘のポスターには、団体内での使用可能言語が記載されており、入
部を考える者に対して利用し易くなっていることが分かった。また、A 大学では留学生が盛んに
部やサークル活動に参加している事を確認でき、本プロジェクトを進行する励みになった。
本学学友会へのインタビュー
学友会では、新入生に部・サークル活動を知ってもらうきっかけ作りとして、毎年入学式で各
部・サークル団体を紹介するための時間を設けている。また、各団体の詳しい情報が載った冊子
を作り、新入生に配布している。まず、学友会委員長に留学生の部・サークル活動に対してはど
のような取り組みをしているのかについてのインタビューをした。また、学友会に対して今回の
留学生プロジェクトの趣旨を説明したところ、我々のプロジェクトに協力してくれることになっ
た。
インタビューの結果、まず、学友会では通常入学式に行っているような部・サークル紹介を留
学生のオリエンテーションでは行っておらず、留学生への特別な冊子等も用意していないことが
分かった。サークルや部活動に参加している留学生の人数も把握していない状況であり、過去に
相談や、要望も受けたこともないという。従って、留学生に向けた特別な取り組みはほとんど行
われていないといえる。
協力団体の募集と留学生の参加を希望する団体の声
本研究の目標は、①留学生の参加を希望する部活・サークル、②部活・サークルへの参加を希
望する留学生、③本研究班の三者の話し合いを通して、留学生がサークルや部活に参加しない理
由を把握すると共に、部活・サークルに関する留学生への普及・広報活動の効果を明らかにする
ことである。
10
日本人学生と留学生が協力し、様々な国の文化をパフォーマンスやブース展示という形で表現する場を作る A
大学の部活動。
13
この目的を果たすため、プロジェクトへの参加希望サークル・部活(以下団体とする)の募集
では、以下の項目を盛り込み団体の募集を行った。
① 我々研究班は留学生へのサークル・部活動の広報活動を計画し、留学生と日本人学生の
交流を促進したい。
② 留学生、サークル・部活、工藤ゼミ生が一体となり、どんな広報活動が可能で、効果的
であるのかを交流しながら探りつつ一緒に作り上げていきたい。
③ サークル・部活に留学生にも参加を希望する団体の参加が必要である。
協力団体の代表者との話合いでは、部活を通じた留学生との交流が第一希望として挙げられ、
そのために交流を目的としたパーティーをしたいなどの声が挙がっていた。同時に、留学生の試
合参加の可否、とりわけ傷害保険への加入等も不安材料として挙がった。
プロジェクトへの協力団体を募集するにあたっては、以下を実施した。
① 前述の学友会の協力のもと、愛好会、文化会、体育会、各会の部長会議にて、本プロジ
ェクトの趣旨説明と参加団体の募集を呼びかけた。
② ポスターでも協力団体の募集を呼びかけた。本研究班作成の「参加団体募集ポスター」
(山本)と「参加留学生募集ポスター」
(田村)に学友会で、ポスター添付の許可印をも
らい、学友会、愛好会、文化会、体育会を訪問し、プロジェクトの活動趣旨を説明し、
ポスターを貼る許可をもらい、学友会以外で事前に会長の許可を得られた会、もしくは
当日に許可が得られた会の掲示板(計4カ所)に掲示した。
③ 協力が見込めるサークルへ協力を呼びかけるメールを送信した。
これらの結果、以下の4団体から参加の返信があった。
韓国語研究会
7 月 7 日、学友会発行の部活紹介パンフレットを参照し、既に韓国人留学生と交流をしている
という韓国語研究会部長に、プロジェクトの説明をし、参加を検討してほしいとメールを送信し
たところ副部長から返信があり、プロジェクトの詳細を知りたいとのことで、説明文を返信した。
本会は韓国人留学生の参加が減っているようで、本プロジェクトに興味を持ってくれている様
子であった。留学生部員が少ないという会の抱える不安も話してくれたが、プロジェクトへの意
欲も笑顔で語ってくれた。
茶華道部
7 月9日の文化会部長会議でプロジェクトの広報活動を実施。これにより茶華道部から連絡が
あり、今後の活動内容と茶華道部部長の夏休みの予定の確認する面談を行った。
ヨット部
7月 15 日の体育会主務会での参加団体募集をきっかけに、7月 15 日午後にヨット部よりプロ
ジェクト詳細の連絡をもらった。実際の話し合いではプロジェクトの説明、ヨット部の抱える不
安、問題、希望(他部活、留学生との交流)、要望(今夏より留学生に参加してほしいなど)を聞
くことができた。ヨット部は部員を増やしたいと考えているため、プロジェクトには興味を持っ
てくれているようであった。今後どのような形でプロジェクトを進めていくかというところでは、
プロジェクト参加者(サークル・部活、留学生、工藤ゼミ生)が親しくなることがこれから必要
となってくることであり、そのためのイベントを企画してみてはどうかという提案を受けた。
14
バレーボール部
7月 15 日の体育会主務会での参加団体募集をきっかけに、7月 19 日バレーボール部女子キャ
プテンからメールを受信した。参加に際しては、部員との協議の結果、連絡をするに至ったとの
ことであった。選手登録の問題、どこまで参加をすることになるのかという質問を受けたが、今
回のプロジェクト趣旨をメールにて説明したうえで、選手登録についてはプロジェクトを通し調
べながら進行し、留学生の参加がどこまで可能なのかを探っていくことを提案した。
健康診断への引率
2009 年9月に獨協大学に入学した留学生のための健康診断の引率をした。留学生はドイツ人と
アメリカ人、カナダ人、中国人、韓国人で約 15 人ほどであった。日本語がある程度話せる留学生
もいれば、ほぼ話せない留学生もいたので、日本語と英語で案内をした。そのどちらもわからな
い留学生もいたので、他の留学生に通訳を頼み、またジェスチャーを使ってコミュニケーション
をとった。
待ち時間に話をしたり、健康診断後に秋葉原を案内したりしたので、顔見知りになる、関係づ
くりをするという主な目的を達成することができた。
「日光・鬼怒川バスツアー」への参加
留学生に部活勧誘をすることが主な理由で、10 月3日に催された国際交流センター主催の日帰
り「日光・鬼怒川バスツアー」に参加した。2台のバスに自由に別れて乗車したが、1台目に西
洋人留学生、2台目にアジア人留学生が固まるような形になった。本研究班は他の研究班と共に
2台目に乗車した。参加者は留学生 15 人程に対し日本人学生が 50 人程で、あまり留学生と話す
機会が得られない日本人学生が多く見受けられた。本研究班は日光江戸村で案内をするなどして
留学生・日本人学生と多く話す機会を作ることができ、親密度を上げる良いチャンスになったと
思う。バスツアーが終了して獨協大学に再び帰着したところで、参加団体から預かったパンフレ
ットを配布した。後に、サークル参加希望で声をかけてくれる留学生が2人いた。
韓国パーティー
10 月 23 日に韓国人留学生4人と本研究班が企画した「韓国パーティー」を開いた。韓国料理
を作って食べるという、留学生と交流する機会を設けるためのパーティーである。開催日の2週
間ほど前から計画を開始し、日付が決まるとともに本研究班が所属するゼミの学生全員に参加を
呼び掛けた。パーティー前日には買い出しを5時間かけて行い、当日は留学生の授業が少ない日
だったため調理はほぼ任せきりになってしまった。予想していたよりも多くの学生が参加を希望
し、留学生の住むマンションの一室を借りての開催となった。留学生が作ってくれた料理はとて
も美味しく、会話もより弾んだ。普段留学生と話す機会がないゼミ生にとっても話しかけやすい
場を提供することができたと思う。また、留学生も「たくさん友人ができてとても楽しかった。
また開きたい」と言っていた。
留学生へのインタビュー
留学生向けのオリエンテーションに、部やサークルの紹介の時間が設けられていない。そのた
め、留学生にとっては、何の説明もなしに部活動・サークルの仕組みを理解すること、または実
際に参加することが求められる構造になっている。あくまで部やサークルに参加することは強制
しないが、留学生が日本で生活するに当たり、これらの活動を通して少しでも日本人学生との交
15
流が生まれ、趣味やスポーツを通してお互いに学び、楽しむことができる機会を逃してしまうか
もしれないので、今後は新入学生だけではなく、留学生にも幅広く知ってもらえるようにサポー
ト体制を整える必要があると我々は考えた。
プロジェクトの進行が当初の計画から大幅に遅れたため、参加団体との普及促進活動を具現化
するのが困難になった。そのため後期からは、既に部活に参加している留学生へのインタビュー
によって、所属の部活・サークルに入った経緯、そこでの人間関係、活動内容などについて把握
することを試みた。
〈留学生 A、女性、英語圏出身、○○研究会所属〉
彼女は 2009 年の秋学期から本学に在学している交換留学生である。インタビューは本人の希望
もあり、ほぼ英語で行われた。現在は○○研究会に所属している。彼女は日本と日本語に興味を
持った理由、そして留学の目的が○○であったため、○○研究会で友人を作り、新しい事を吸収
するのによいのではと考え入会を決め、満足もしているという。所属する研究会の存在自体は、
来日するまでは知らなかったが、国際交流センターへ問い合わせたところ、紹介してもらい、そ
の後は全て部員と共に入会の手続きを進めた。部内の英語に堪能な学生が説明をしてくれたとい
うことである。
現在、彼女は自身の日本語能力に不安は感じているようだが、以下のように話している。
I11:…so, you now really enjoying your club? being member of your club?
A:Yes, good chance to meet other people who also enjoy ○○,we introduce each other to our
favorite series…〔インタビューより抜粋〕
彼女の母国では○○を共有出来る相手がいなかったというが、上記で述べられているように、
この研究会に参加し、部員と○○を共有することは彼女にとってプラスであることが分かる。
しかし既成の人間関係が存在が疎外感を抱かせ、彼女にとっては既に部員同士の関係がかなり
深いように見え、会話に入っていくことを難しいと感じることもあるという。時間外で部員と
過ごすことは殆どないということであったが、研究会に入ったことで人間関係も行動範囲も広
がったと話している。
一方、改善点としては、ミーティング時間に明確な議題がないといった、研究会の運営につ
いての問題と、オリエンテーションにおいて部活やサークルについての情報提供があればよい
ことが語られた。
〈留学生 B、C、女性、非英語圏出身、△△サークル所属〉
BとCは現在、同じ部活に所属しており、今回はBがインタビュー中にCを呼び出してくれた
ので後半からは2人にインタビューすることとなった。
Bはサークルへの入部の理由は、地域の事を知りたいという気持ちや日本人と交流したい、友
達を作りたいという思いから入部することにしたという。一年間の所属でも、現在のサークルな
らば面倒をかけないで済むだろうと考え、入部を決めたという。
I:・・・それはどうやって知ったの?部活とかサークルって・・・
B:・・・最初、この学校に来たとき、部活があるから聞いた方がいいよってスタッフ(=国際交流セ
ンターの職員)達が、ああいう言葉だけ教えてくれて、サークルについては全部友達が探してくれ
て・・・〔インタビューより抜粋〕
留学生用のオリエンテーションの手伝いをしていた学生から、入部の方法は教えてもらわなかっ
11
I=研究者
16
たが、部やサークルへの参加を勧められたという。
現在所属しているサークルは、インタビュー実施時点では入部から一ヶ月しか経過しておらず、
会議などに参加しているだけという状態だった。入部に際しては、友人と一緒に入部したことも
あり不安は無かったというが、部員から匿名の電話がかかってきたことがあり、不快な思いをし
たと語っていた。入部期間が浅かったこと、また既にサークルのコミュニティーが出来上がって
いるため、B、C、友人の日本人学生の三人で固まることも多いと少し不安そうだった。インタ
ビュー時点では活動時間以外では同時に入部した日本人学生以外の部員とは、交流する機会がな
いと話していた。
周りの留学生については、部活の拘束時間が長いために断念する留学生や、希望の団体の探し
方が分からず断念した留学生もいたという話をしてくれた。春学期に来日した留学生はチラシな
どをもらったので入部が出来、親しい友達も出来ているが、秋学期に来日した留学生は希望のサ
ークル・部活を見つけることが難しいと話していた。
最後に、Bは学外サークルへ参加した話をしてくれ、Cは学内であると日本人のコミュニティ
ーが出来上がってしまっているが、学外サークルでは人種や言語を含め、共有するものがほとん
どない人達が集まって構成されていることが多いため、交流がより活発になったのではないかと
指摘した。
日本語で話そうパーティー
国際親善倶楽部が主催する日本語で話そうパーティーに参加した。このパーティーは日本人学
生と留学生の交流を深めるためのイベントとして年に2回、春と秋に開催されている。立食形式
のパーティーで、参加者は各テーブルに振り分けられる。一つのテーブルには留学生が1∼2人、
日本人学生が 10 人ほどいた。
まず、最初に感じたことは日本人学生が多すぎて、留学生と話すチャンスが少ないということ
だ。テーブル越しに留学生と話す場合、声を大きく張り上げなければならず、コミュニケーショ
ンがとりにくいこともあった。また、一つのテーブルのメンバー全員で話すことより、留学生の
周りにいる数人で話すことの方が多く、留学生からテーブルをはさんで反対の位置にいる学生は
会話に参加しづらそうにしていた。
日本人学生が多すぎたとも考えられるが、留学生の参加者が少なかったようにも感じた。近く
で話していたドイツ人留学生に、他のドイツ人留学生があまり参加していない理由を尋ねてみた
ところ、勉強や宿題が忙しいからと話していた。
また、時間が経つごとに参加者はそれぞれのテーブルから離れて、他のテーブルの留学生と話
すなど自由に行動するようになった。その結果、余った日本人だけで話している参加者も多く見
受けられた。
以上の点からアイスブレイクの導入を提案する。アイスブレイクとは、短い時間のなかで不要
な緊張を解き、他の参加者を受け入れる素地をつくるゲームやアクティビティーのことである。
見ず知らずの人と話すのは難しいだろう。このパーティーの目的は日本語で話すことなので、ゲ
ームで多くの時間を割かれることは問題かもしれない。しかし、時間をかけずに会話をしやすい
雰囲気を作ることができ、参加者の緊張を解くことができるような「名前覚えゲーム」などのア
イスブレイクは効果的であると考える。また、日本人の参加者数を減らし、パーティーの規模を
小さくして、留学生と日本人学生が交流できるチャンスを増やすことも必要であると思う。今は
春と秋の2回だけであるがさらに頻繁にこのパーティーを開催してみてはどうだろうか。
17
考察
ここでは、本研究の3つの設問ついて順に考察したい。
1. 留学生がサークルや部活に所属しない理由は何か、また、留学生にサークル・部活につい
て知ってもらう機会を与えることによって、サークル・部活に所属する留学生が増えるの
か。
留学生がサークルや部活に所属しない理由としては、
「留学生へのインタビュー」の中であった
ように、部活の拘束時間が長いこと、希望の団体の探し方が分からないことが挙げられる。イン
タビュー以外で留学生に話を聞いたことでは「ドイツ人留学生はインターンシップのための勉学
として4ヶ月程度しか在学できなかったため、サークル・部活に入るのは難しいと考えていたの
だと思う」ということであった。留学生にサークル・部活の存在を知らせることによってサーク
ル・部活に参加する留学生が増えるかという点については、留学生から「サークルに入りたいと
思っていたけど、何があるか分からなかったから教えてくれてよかった」というコメントを得た。
春学期に来校する留学生は新入生とともにサークルや部の誘を受けることができるが、秋学期に
来校する留学生はそれが受けられないため、サークル・部活を通した交流の促進のためにまずは
何らかの形でサークル・部活の存在を知らせることが必要であると考える。
2.
本研究によって留学生とサークル・部活の両者に交流の促進から得られたものは何か。
留学生が本研究による交流の促進から得られたものは、サークル・部活に入る機会であると考
える。
「獨協大学にサークル・部活がある」ということを知らせることにより留学生は、各部の入
部条件は異なるが、入学時に部活紹介を受けた後の日本人学生と同様に参加したいサークル・部
活を選択し、参加を試みる機会を得ることができる。
一方、サークル・部活にとっては、新たな交流の可能性を得ることができるだろう。学友会の
協力のもと、愛好会、文化会、体育会、各会の部長会議にて、本プロジェクトの趣旨説明と参加
団体の募集を呼びかけたことによって、留学生を勧誘するきっかけを作れたのではないかと考え
る。
3.
留学生を受け入れるサークルや部が実際に留学生を受け入れ、長期に渡り交流を持続させ
ることは可能か。
留学生の受け入れは、インタビューした留学生が所属する団体では可能であったが、全団体が
可能であるかどうかは未調査である。特に大会出場を目指す体育会では留学生の大会への参加の
可否が不確定なため、団体ごとの調査が必要である。長期に渡り交流を持続させることが可能か
どうかについては、インフォーマントのサークル・部活への参加期間がまだ半年にも満たないた
め、明確な結果を示すことができない。
しかしながら本研究班の一人が留学生と一緒にサークルの参加を試みた中では、留学生の本国
や言語に興味を持つ学生が話しかけてくるなど、いくらかの交流ができたと思う。だがその団体
ではミーティングを催すのみでそれ以上の活動がほとんどなかったため、両者ともあまり親しく
なることはできなかったようである。少なからず交流する場を設けることができたので、どのよ
うな関係を築くことができるのか、今後の活動に注目したい。
研究設問に対する考察は以上であるが、調査方法が現場生成型研究であることと未調査な問題
が多いため、新たな研究設問をここに立てる。
a. 留学生のサークル・部活参加をより促進するためにどのような広報活動が有効か。
18
b. 交流を増やすためにサークル・部活内ではどのような活動ができるか。
c. 長期に渡りサークル・部活と留学生の交流を持続することが可能か。
新たな研究設問に対する提案として、以下のことが挙げられる。
a. 留学生のサークル・部活参加をより促進するためにどのような広報活動が有効か。
現時点で最も効果的だと考えられる広報活動は、留学生用のオリエンテーションで各団体の紹
介を行うことである。留学生自身が部やサークルの存在自体を知らない、または知っていてもど
のような活動をしているのか分からないという現状があることから、まずは存在や活動内容を知
ってもらう必要があると考える。また、広報活動は個々の団体で行うことも可能であるが、あま
り効率が良いとは言えない。その理由として、留学生がいつ、どこで授業を受け、放課後はどの
ようにして過ごしているのか、サークル・部活に所属している学生が把握することが難しく、そ
のため彼らが留学生と個々に接触を計ることが難しいということが挙げられる。ポスターなどを
掲示する方法もあるが、実際に留学生が掲示物を目にするかは現時点で不明である。したがって、
留学生用オリエンテーションなど留学生が一堂に集まる場での広報活動が最も効果的である。ま
た広報活動を実施する際には、留学生が日本語を使用できない可能性を考え、日本語以外の言語
も使用するなどの配慮が必要であると考える。
b. 交流を増やすためにサークルや部内ではどのような活動ができるのか。
「日本語で話そうパーティー」のような、学内で行われる留学生との交流会に参加することは、
サークル・部活に所属する学生にとっては留学生と接触が出来る効果的な方法であると考えられ
る。本稿の冒頭で述べたように、交流会後の友人関係の維持は難しいという問題があるが、この
ような交流会を「きっかけ」と捉え、その後積極的に交流を持つことにより友人関係を維持させ
ることが出来るのではないだろうか。実際、本研究班は交流会に参加し、その後も積極的に交流
を図ることで友人関係を維持できている。また、部やサークルの体験入部ができる期間を設ける
ことで、交流を増やすことが可能ではないだろうか。既に述べたように、部やサークルに入りた
いけれどもどのような活動をしているか分からないという留学生には、実際に活動してみること
で入部意欲が高まり、体験入部をきっかけに交流することが出来ると考えられる。ただし、この
活動に対しては、どの団体が体験入部期間を設けているのかに関する情報提供が必要であり、こ
の広報活動もまたオリエンテーションのような場で行われることが適当であると考えられる。
長期に渡りサークル・部活と留学生の交流を持続することが可能か。
これ関しては、それぞれの部やサークルが留学生を受け入れる用意ができているのかが重要で
ある。留学生の日本語の運用レベルが高くない場合は、英語もしくは留学生の使用言語をある程
度話せる人が部やサークル内に必要になるだろう。常に特定の言語で会話をする必要はないが、
活動する上で重要な説明をする上では、双方が意志疎通できることが必要であるからである。し
かし、英語やその他の言語を話せる人がいない場合でも、あらかじめ重要事項を平易な日本語や
留学生の使用言語で文章化しておくなど、言語的問題を緩和することができるかもしれない。
次に、これは先にも述べたが、選手登録や保険加入などが活動する上で必要な部やサークルに
関しては、リスクへの対応を図るために個々の団体で調べることが要求される。もし、留学生の
選手登録や保険加入が不可能である場合は、活動が制限される可能性がある。留学生の活動の制
限によってチーム全体のモチベーションが低下するといった問題が生じる可能性が考えられるが、
一方では、活動が制限されたとしても、活動外での飲み会や、プライベートで連絡を取り合う、
19
同じ講義を取るなど活動時間外での交流を持つことは可能である。
最後にこの活動を通しての、本研究に関する限界を述べたい。
まず、最も効率的な広報活動は、オリエンテーションなどの留学生が一堂に集まる場での部活・
サークルの紹介であると述べたが、この場合、大学教職員の協力が必要になる。特に、オリエン
テーションを主催する国際交流センターや、部やサークルが所属する體育會、文化会、愛好会、
更にその3団体を統括する学友会本部の協力が不可欠である。
次に、部活・サークルに参加していない留学生へのインタビューを行えなかったため、部活・
サークルの存在や活動内容を知らないという理由以外に、何故部活・サークルに参加しないのか
を把握できなかった。
次に、研究計画の再構成により協力団体の要望などをインタビュー結果として残せなかった。
また、この研究活動は 2009 年度で終了してしまうため、本研究を通してサークルに参加するこ
とになった留学生が、今後サークルのメンバーと交流を持続していくことが可能であるのか、ま
た、新たな研究設問に対する提案が効果的であるかの判断は難しい。
以上の限界はあるものの、本研究が留学生と日本人学生の長期的な友人関係構築に少しでも役
立つことを望みたい。
参考文献
石井敏、久米昭元編(2005)『異文化コミュニケーション研究法』有斐閣。
遠藤克弥(2008)『教育の挑戦 多文化化・国際化』勉誠出版株式会社。
佐藤郡衛、横田雅弘、吉谷武志(2006)
「異文化間教育学における実践性――『現場生成型研究』
の可能性」
『異文化間教育』23 号、20-21 頁。
豊田秀樹(1998)
『調査法講義』朝倉書店。
花見槇子(2006)『大学生と国際交流――四人のライフ・ストーリー』ナカニシヤ出版。
Holloway, I. (1997). Basic concepts for qualitative research. Oxford, UK: Blackwell.
20
第3章
ICZ の更なる可能性を求めて
尾河文、木賊法子、森日香里、高山翔吾、上嶋祐美
はじめに
現在、獨協大学は約200人の留学生を受け入れている。大学ホームページによると、大学の特長
として、
「国際交流」、
「外国語教育」、
「オールインキャンパス」を掲げている。しかし、私たち学
生の感覚では、留学生と日本人学生の交流を見かけることは少ないといえる。そこで、このプロ
ジェクトではその現状の要因を交流の場の不足と捉え、
「語学学習」と「交流の場」と定義づけら
れているICZ(International Communication Zone)12に焦点を当てた。
研究目的としては3つが挙げられる。1つ目は ICZ についての現状把握である。そのために利
用者、職員など ICZ に関わる人達からの意見を得た。2つ目は、他大学との比較である。他大学
での学生間での交流を促進しようとしている組織でのインタビュー調査を通して、ICZ と比較し、
ICZ の改善点を探る。最後に、ICZ の改善案の提示である。研究を通して得た改善点を提案し、
学生の語学と異文化を学ぶ機会を促進させるための ICZ の環境改善に貢献することが最大の目的
である。
研究設問と研究方法
私たちの調査は、ICZ とは何か、という疑問から始まった。「学生・留学生が授業時間外でも、
外国語や外国文化に触れることができ、学部・学科・学年を越え、日本人学生も留学生も外国人
学生も気楽に交流できる場」
(獨協大学ホームページ)という、定義上の意味だけではない。ICZ
とは何かという疑問は、すなわち ICZ に関わる人々はどのような考えを持ち、利用また運営して
いるのか・しようとしているのかを研究することから始まる。
そこで、まず初めに、私たちは ICZ とは一体どのような施設であるかを探るため、ICZ の職員
の方へのインタビューを行った。ICZ の掲げている指標や役割、ICZ の利用法等を知ることが目
的であった。その後、学生全体への ICZ の認知度や学内にいる留学生に関するアンケート調査を
行い、本学全体の ICZ への認識を調査した。ICZ は獨協大学という組織の一部であるので、大学
全体からの ICZ の立ち位置を見ようとした。
次に、ICZ を利用する学生へのインタビュー調査及び ICZ の職員の人へのメール調査を複数回
行い、ICZ の現状について更に詳細に理解しようと試みた。学生の視点から、現在の ICZ を見つ
め、その役割と学生の ICZ に対する印象、学生が望んでいる ICZ への要望を探った。また、ICZ
の職員へは、インタビュー、メール調査だけではなく、話し合いという形で、ICZ の今後の展望
を聞き、今後 ICZ にはどのような発展または未来があるのか、ICZ の将来も視野に入れ調査した。
加えて、ICZ そのものの調査と同時進行で、他大学へのインタビュー調査、それを通した ICZ
12
獨協大学天野貞祐記念館3・4階中央にある。
「international」をキーワードに学部・学科・学年、また日本人
学生と留学生の枠を超えた気楽な交流の場、外国語を勉強する学生が授業時間外でも外国語に触れることができ
よう配慮された場である。つまり、ICZ は他の国の文化・歴史・経済等、言葉の奥にある文化背景を学習してい
く場である。言語学習のみならず、BBC ニュース、洋画 DVD、バイリンガル漫画、チャットルーム等を通じて、
世界の文化を学べる空間でもある。
21
の良い点、改善すべき点を発見することも行った。他大学と比較し、学外から ICZ を見ようと試
みた。他大学の取り組みを参考にし、ICZ へ還元できる要素があるかどうかを調査し、そしてそ
れを、ICZ 職員に提案、及び話し合いを行い、ICZ のさらなる発展の可能性を探った。
調査結果
私たちが行った調査、及びその結果は以下の A)∼E)の5つである。
A) ICZ の職員の方にインタビュー調査
獨協大学外国語教育係の職員の方に協力を得て、インタビューを行った。このインタビューの
目的は ICZ の大学における役割、またその現状を把握することであった。協力者は ICZ の獨協大
学への導入に携わった経験を持つ。
インタビューでは主に①ICZ が開設された意図、②ICZ の機能、③ICZ の利用者について伺っ
た。インタビューで得られた主な情報は以下の通りである。
ICZ は学生に 1 つの言語に限定せず、様々な言語に触れさせ、新たな発見や出会いを得るチ
①
ャンスを与えることを目的とする施設である。また職員の方々は国籍、学年を気にせず、人
と交流できる場所として ICZ が機能するよう心がけているという。更に図書館とは差別化
され、コミックやティーン雑誌等の「仕掛け」を用意することで、学生にとってより気軽で
身近で居心地の良い空間になるようにデザインされた。
ICZ は授業時間以外に学生がどれだけ外国語に浸れるか、その点をカバーするための機能を
②
備えている(AV 機器、チャットルーム、外国語の書籍等)。ここではイベントも行われるが、
チャットルームに限らず、他学年の学生との交流を図ることを目的としたプレゼンテーショ
ン等も含まれている(大学OBを招待し、在学生と進路に関する質疑応答を行う等)。また、
学生が友人と気軽にコミュニケーションをとれる場所としても機能している(昼食、プレゼ
ンテーションの準備等)。
③
利用者は学部学科を問わず様々であり、留学生も空き時間に利用している。咋年末には利用
者に ICZ の設備、そしてイベントの満足度についてのアンケートを行ったが、ほとんどの
利用者が現状に満足していた。
B) 日本人学生へのアンケート調査
本学の日本人学生に対してアンケートを行った。この目的は、本学の日本人学生における ICZ
の認知度、国際交流への意欲がどの程度あるのかを計るためのアンケートである。
アンケートの主な内容は、①これまでの ICZ の利用の有無、②利用したことのある人は利用回
数とその目的、③利用したことのない人はその理由、である。アンケートは、本学の全学科の各
2つのゼミの学生に行った。その理由は、学科による偏りが出るのを防ぎ、全学生からの意見を
満遍なく得ることと、アンケートを確実に回収できる方法だと考えたためでる。他の調査班と合
同で実施し、私たちは問5(ここでは ICZ の認知度を図るための質問が中心となった)を担当し
た。計 215 人からの有効回答を得ることができた。アンケート調査の主な結果は以下の通りであ
る。
①
ICZ を利用したことのある人とない人は、それぞれ 96 人と 115 人とほぼ半々であるが、持
続的(ほぼ毎日、または週1∼3回)に ICZ を利用するという人は 25 人と、非常に少ない
ことがわかった。
②
利用目的では、多い順に、友人等との交流 52 人、語学試験・講座等の申し込み 42 人、語
22
学勉強 23 人、chat room22 人(複数回答可)であった。その他には、パソコンの利用や、
ゼミ、食事などが挙げられる。
③
ICZ を利用したことのない人回答からは、ICZ の明確な利用目的が十分に伝わっていないこ
と、特に英語を学ぶことを主としてはいないと考えられる経済学部や法学部を中心に、行き
づらい 35 人、存在自体を知らない 25 人という人が多く見られた。
以上の結果から、ICZ は存在こそ知られているものの、実際に利用する学生はおよそ半数しか
おらず、ICZ という施設の機能、利用目的に関する情報が学内全体に伝わりきれてないように思
われた。従って、最初に ICZ を学生によく知ってもらうよう改善できることがあるのでは、とい
う印象を持った。
C) ICZ を利用する学生に対するインタビュー調査
ICZ を週に一度以上利用するという学生にランダムに ICZ に関するインタビューを行った。こ
こでは ICZ を週に一度以上利用している学生を利用頻度が高い者と仮定し、協力者の基準として
いる。インタビューの協力者 14 名の内訳は英語学科5人、フランス語学科3人、ドイツ語学科3
人、交流文化学科1人、言語文化学科1人、そして留学生1人である。このインタビューの目的
は、ICZ の利用頻度が高い学生の目線から現在の ICZ の姿を見つめ、提供される環境に対する満
足度、また改善できる点を発見することであった。
インタビューは学生の①ICZ の利用目的、②最も利用する Zone、③ICZ の内装、雰囲気に対す
る印象、④ICZ にある機材やインテリアに対する要望、そして⑤変化を希望しない点の5点を中
心に進められた。インタビュー調査の主な結果は以下の通りである。
①
学生の ICZ の利用目的は主に次の2つであった。1つ目は勉強をするためであり、ICZ の
機材を利用して BBC・CNN の視聴をしたり、授業のプレゼンテーションの準備やミーティ
ングを行うために利用されている。2つ目は友達とのたまり場として利用するためであり、
学生達は ICZ で食事をしたり、コミュニケーションを図ることができる。
②
ICZ の中で、学生達がよく利用している場所は自分の学科の部屋であることが分った。例え
ば、英語学科に所属する学生は主に“WE ARE”という英語の教室を利用する。また、交流
文化学科のように自分の学科の部屋が無い学生はロビーを利用することが多いそうだ。これ
は、ICZ にあるどの部屋も自由に出入りができるにも関わらず、自分の所属する学科以外の
言語の教室には入りづらいという理由からであるという。
③
多くの学生は ICZ の内装、雰囲気に対してリラックスできるという印象を持っていた。ICZ
という空間に入ることで、自分が勉強している言語に対するモチベーションが上がる、とい
う意見もあった。しかし、昼は昼食を摂る学生で混雑していて狭い、自分の所属学科以外の
言語の部屋には入りにくいという問題点もあるようだ。
④
学生達の中で圧倒的に多かった要望はパソコンの増設とプラグを増やす等の利用環境の改
善であった。更に、留学に関する書籍、難易度の高い語学書の設置、グループで利用できる
テーブル、ソファの増設等があった。
⑤
ICZ について、学生達が変わってほしくないと考えた点は ICZ の持つ、飲食ができ、話せ
るといった気楽な雰囲気であった。また椅子、テーブルを自由に動かせる点も ICZ にとっ
ての大きな魅力の1つであるそうだ。
以上のインタビューの結果から、現在の ICZ の体制、サービス、雰囲気に対する協力者達の満
足度は高く、ICZ を居心地の良い空間として意識していた。これは ICZ の職員の方がインタビュ
ーで明らかにした ICZ の機能の1つである「気軽で身近で居心地の良い空間」に一致しているも
23
のと思われた。しかしながら、居心地の良い空間に対する認識は人によって異なるため、全員が
ICZ に対する多少の要望を持っていたようである。
D) 他大学への訪問
① A 大学自習センター(仮名)の観察
A 大学自習センター(以下、自習センター)の職員の方に許可を得たうえで同施設を訪問した。
訪問目的は、外国語を学ぶ施設としての獨協大学の ICZ と比較することであった13。同センター
のホームページには英語を学ぶための AV 機器、サービスの充実が紹介されていたので、比較の
対象として訪問するに至った。
自習センターはあくまで英語を学ぶ場であり、他の外国語と離れて独立した施設である。フロ
ントには有給の学生スタッフが待機している。施設内では海外の書籍、コミック、DVD 等が閲覧
できる。学生が気軽に利用できるように、家具もファッショナブルな仕様になっている。また、
普段授業を持つ語学教師が常に待機し、コミュニケーションをとることができる。留学生も利用
している。
以上の点から、自習センターは英語学習の場として充実した機能を兼ね備えているが、国際交
流の場としての機能があるかどうかは今回の訪問だけでは判断しかねた。しかしながら、自習セ
ンターが導入する学生スタッフ、およびここで盛んに行われている Language Exchange は獨協
大学の ICZ が持たない制度であり、今後の導入を検討すべきものではないだろうか。
② B 大学地域センター(仮名)学生スタッフへのインタビュー
2009 年 7 月に B 大学地域センター(以下、地域センター)の学生スタッフ2名に本人の許可
を得てインタビューを実施した14。目的は、国際交流の場としての獨協大学の ICZ と比較するこ
と、また学生スタッフを ICZ に今度導入する可能性を視野に入れ、学生スタッフはどのような国
際交流の発展への目的意識、問題意識を持っているのかを調査することである。地域センターは
国際交流のイベントを積極的に発信している施設であり、比較の対象としてその実態を調査する
に至った。
最初に地域センターの大学での役割を聞いた。役目は次の2つある。1つはイベントの発信で
あり、留学生や在学生が知り合うきっかけになりうるイベントを企画、宣伝し、実行することで
あった。2つ目は日本語が母語ではない留学生が言語に関する問題を抱えた時に手助けをするこ
とであった。現状として、イベントの参加者は留学生、在学生共に多いそうだ。また、宣伝には
気を配り、広告では日本語と英語を両方表記している。特に有効なのは、メーリングリストによ
る情報交換であった。
次に、地域センター学生スタッフの役割を聞いた。第一に、学生スタッフの役割とは、主に大
学の異文化交流を深める場を提供することであり、地域センター職員やボランティアスタッフと
協力してイベントの企画を行うことである。職員側と学生側の意見を調整する立場でもあり、学
生ならではの斬新なスタイルの企画によって、より多く人々に異文化交流・理解を深めるという
効果を生んでいる。また、学生の声が反映しやすくなり、学生スタッフは学生のニーズを知り国
際交流のイベントに寄与することができる。
学生インタビューを通して、彼ら自身も活動を通して、どのようなことをしたらより多くの人
13
他の施設の見学、自習センター内の学生へのインタビュー、利用者の統計資料の閲覧については、更なる手続
きが必要であるとの説明を受けたため、今回は施設内の観察に留めた。
14 インタビューは、地域センター内で行われた。
24
に国際交流に参加してもらい、そこで生まれた交流の輪を更に広げていくことができるのかを模
索していることが分かった。その中で、彼ら自身が考えたアイディアを企画に盛り込み国際交流
活動を行うことで、その実情を学び問題意識をもつことができ、それを国際交流の更なる発展へ
向けて活かすことができる。このように、国際交流における目的と問題意識を持ち、それが国際
交流イベント等で活かされることが、彼らの活動の原動力であることが分かった。
このインタビューを通して、地域センターは ICZ とは根本的に異なった役割を持つ組織である
ことが分ったが、地域センターの学生スタッフが持つ国際交流に対する意識は ICZ の掲げる
「International」と通じており、学生スタッフが一般学生の国際交流の意識に大きく貢献できる
点から、獨協大学においても ICZ において学生スタッフの制度導入を検討する必要性が強く感じ
られた。
E)私たちの ICZ 改善の試み
① 学生スタッフ制度導入の模索
ICZ のより良いかたちとは何か。先ほど紹介した職員とのインタビュー調査で分かったように、
ICZ は学生自身が主体となり今後作り上げていくべきものである。当り前ではあるがそこには学
生の存在が欠かせない。学生が今以上に積極的に ICZ に携わることができれば、学生主体の ICZ
の発展が可能なのではないか。そこで、私たちは他大学へのインタビュー調査から、学生スタッ
フ制度の導入の可能性を探っていく。
学生スタッフとは、おもに職員と同じような仕事を行うスタッフのことで、学生スタッフを取
り入れている大学の話によると、在学生と留学生という枠組みを超えた友好関係を築くことを目
標とし、イベントの企画、運営を行う等、主に大学の異文化交流を深める場を提供している。
そこで、私たちはこの学生スタッフ制度を本学に導入し、学生と ICZ の関わりをより密接なも
のにすることができないかを検討した。今回訪問した他大学の学生スタッフの主な役割は、①留
学生の生活サポート、②国際交流イベントの主催、③大学の国際交流課の事務作業であった。学
生スタッフは、職員と利用者である学生との中間的な立場であり、ICZ 職員と ICZ 利用者の学生
の意見を反映し、ICZ の環境を学生主体で発展させていく中心的な役割を果たす。しかし、実際
に導入する際には、様々な問題点や考えるべき点が露わになった。
まず、インタビュー調査を行った大学と本学での留学生の数に差があったことが挙げられる。
例えば、B 大学は現在 2000 人の留学生を受け入れているが、本学の留学生数はその 10 分の1で
ある 200 人ほどである。ゆえに、本学では、学生スタッフを導入せずとも、ICZ 職員や国際交流
センター職員でそれらの作業が遂行可能な状態になっている。そのため、私たち研究班では、今
すぐにスタッフを導入するという結論には至らなかった。
しかしながら、ICZ の職員のインタビューからは、全く学生スタッフ制度の導入を考えてこな
かった訳ではないこともわかった。学生スタッフ制度に関しては、今後の導入への可能性に期待
したい。
② ICZ におけるアンケートボックスの設置
学生スタッフの導入に代わって、私たちのグループでは目安箱を提案した。ICZ における学生
の意見を反映させる機会を設けるのが目的である。ICZ 職員の協力のもと 2009 年 8 月から「ア
ンケートボックス」の名での設置が始まり、投稿された意見・質問の回答は隣接した掲示板に掲
示される。
2009 年度の秋学期(9 月~1 月)には、5 件の投稿があった。ICZ は 2008 年度から学期末の 1
25
月頃に、年間を通じての ICZ 利用に関するアンケートを行っているが、今回設置されたアンケー
トボックスは常時設置されているので、利用者がいつでも意見や要望を投稿できる。また、アン
ケートボックス用の掲示板も同時に設置することで、回答内容が他の利用者にもわかるようにな
っている。つまり、利用者の意見を共有できるようになった。利用学生の意見、要望、質問等が
投稿されることで、ICZ が活性化することを期待したい。
限界と考察
私たちはこのグループ研究を通して、ICZ 利用者の意見がより反映されやすくなるための改善
を試みた。耳を傾けられる機会の少なかった ICZ 利用者の意見をインタビュー調査とアンケート
調査を通して ICZ 職員に報告することによって、これまでの ICZ 運営方法に多少なりとも改善を
もたらすことができたと考えている。実際、ICZ でのアンケートボックスと専用ボードの設置が
実現し、利用者の声の収集とそれを反映させるための仕組みを作ることができた。
しかし、私たち単独では実現が難しい課題もあった。私たち学生はあくまでも「一学生」であ
り、本プロジェクトに永続的に関わることは出来ない。実際、ICZ で何らかの企画を提案したと
しても、学生である私たちだけでは十分なサポートが出来るとは言えない。そのため、ICZ 職員
との信頼関係をうまく結ぶことが出来ず、学生と職員との立場の差を改めて強く認識することも
あった。
また、他大学が採用している学生スタッフの制度を ICZ に導入しようと試みたところ、セキュ
リティー面並びに人間関係の面で問題が生じる恐れがあると ICZ の職員の方にアドバイスを受け、
現時点での導入は難しいという見解になった。
しかしながら、上述したように、私たちの活動は ICZ に何らかの影響を与え、今までは職員主
体で築きあげられてきた ICZ という場所が、現在は学生の意見が反映されやすい環境へと創りか
えられようとしている。今後 ICZ がどのように変化していくかは、他でもない私たち学生がどの
ように ICZ に関わり、変化させていくかによることになる。
おわりに
ICZ という場を調査し変化させていこうとする今回の試みは、ICZ を深く理解することを助け
るとともに、今後の発展への可能性を秘めているように思われる。つまり、ICZ は利用者が多い
にも関わらず、その実態は不明確で、実際はあまり多くの学生達に知られていなかった。これま
で ICZ を利用してきた人達の中で、ICZ が一体どのような考えを基に存在しているのか理解して
いなかった人も少なくなかったほどだ。これを考慮に入れると、私たちの調査が、いままで不確
かであった ICZ の形を少しでも明らかにできたのかもしれない。また、この調査を行うことによ
って何が ICZ に足りないのか、何を必要としているのかがより明確になったと思われる。今後、
私たちの調査をベースに、更に新しい変化を加えることによって、ICZ が今までより更に良い場
所になる可能性は大いにあると言えるだろう。この研究が「International」な交流に適した場所
作り、また国際交流それ自体に将来何らかの形で繋がっていくことを願っている。
参考文献
大森和夫(1991)
『留学生 110 人が提言する日本の国際化――日本語作文』日本教育新聞出版局。
佐々木隆(2008)「『国際コミュニケーション』とは何か――その定義を巡って」『武蔵野学院大
学大学院研究紀要』1 号、69-90 頁。
花見槇子(2006)
『大学生と国際交流――四人のライフ・ストーリー』京都ナカニシヤ出版。
26
「 ICZ
(International
Communication
Zone) 」 獨 協 大 学 ホ ー ム ペ ー ジ
http://www.dokkyo.ac.jp/goken/icz/icz.htm(2009/06/01)
「獨協大学の特色」獨協大学ホームページ
http://www.dokkyo.ac.jp/daigaku/tokushoku/index.html(2009/06/01)
27
第4章
ICZ における日本語チャットルーム開設の可能性
山田祐典、浅見菜穂子、岡田有加里、松原由佳
1.背景と問題意識
獨協大学は国際交流15が盛んな大学だと謳われている。大学案内(『Wissenschaft』)やホーム
ページなどでこのようにアピールされているが、果たして本当にそうだろうか。確かに獨協大学
から海外への留学という面では、多くの日本人学生16が海外に留学し、国際交流が盛んであると言
えるかもしれない。しかし、国外から獨協大学へ留学に来た学生と日本人学生の交流はどうだろ
うか。実際、私達グループの班員は大学入学時からこれまで留学生17と関わった経験がなく、私達
だけでなく多くの日本人学生は留学生と関わることが少ないのではないだろうかと考えた。
獨協大学には、短期留学生や私費留学生など約 200 名の留学生が在学している(2009 年 6 月現
在)。このプロジェクトを行うにあたり、数人の留学生にゼミナールの授業に来てもらい、獨協大
学での生活について話を聞いた。その後、より多くの留学生の声を聞くため、9 人の留学生を対
象に獨協大学での生活や国際交流についてのアンケートを行った。この結果、彼らは日本人学生
と交流はあるものの、さらに日本人学生との交流を望んでおり、また日本語や日本文化を学び、
話す機会を望んでいることが分かった。(詳細は4.調査結果を参照のこと。)留学生同様、日本
人学生 214 人にも国際交流に関するアンケートを実施したが、その中でも留学生との交流を望む
声が全体の 80%を占めるという結果が出た。
(詳細は4.調査結果を参照のこと。
)
では、獨協大学内には留学生と日本人学生が日常的に交流できるような機会や場や留学生が日本
語を話すような機会が存在するのだろうか。天野貞祐記念館の 3、4 階には異文化コミュニケーシ
ョンの機会の創造を目的とした ICZ(International Communication Zone)18が存在する。ICZ
では英語・ドイツ語をはじめとする 6 ヶ国語のチャットルームが開かれている。だが、それらチ
ャットルームは主に日本人学生が他言語や多文化を学ぶために開かれており、留学生を対象にし
たチャットルームはなく、これらの施設を利用する留学生も限られている。また獨協大学には国
際親善倶楽部という留学生との交流を目的にボランティアやパーティーを開いている部活もある
が、このような部活に所属する日本人学生は留学生と交流する機会がある一方、そうでない日本
人学生にとって留学生と交流する機会は皆無に等しい。
そこで私達は留学生と日本人学生の両者が交流でき、なおかつ留学生の日本語学習に役立つこと
15
国と国の外交レベルを越えた草の根的な個人・団体レベルの交流。従来の国と国というレベルが、個々人のレ
ベルにまで下りて、人そのものの交流となる(高橋、1997)。
16 本稿では、獨協大学に在学しており、外国語学部・国際教養学部・経済学部・法学部のいずれかに在籍する日
本人学部生を指す。
17
本稿では、獨協大学に留学している短期留学生、交換留学生、私費留学生全ての外国人学生を意味する。
18
外国語学習支援を目的として設置された施設。獨協大学外国語教育研究所が運営しており、世界各国のテレビ
放送、新聞、雑誌など最新の外国文化に触れられ、同施設が主催するチャットルームを通して留学生とも交流で
きる。同研究所が発行しているパンフレットには、
「外国語を勉強する学生が授業時間外にあっても外国語に触れ
ることによって外国語への学習意欲を増進させる機会を提供するだけではなく、その言語圏の文化や人びと、環
境への関心を高め、異文化コミュニケーションの機会を創造する場となることを目的としている」と記されてい
る。
28
を目的とした日本語チャットルームの開設を考え付いた。さまざまな試行錯誤を経て、結局は実
施に至らなかったが、本稿ではその結論にいたるまでの過程を時系列に追ってゆく。
2.日本語チャットルーム開設にあたり
当初、私達は日本語チャットルームの主な目的として、留学生を対象とした日本語学習のサポ
ート、留学生・日本人学生両者の交流・相互理解の促進を考えていた。また日本語チャットルー
ムの内容としては、留学生の日本語授業の宿題の手伝いや、留学生の要望に沿って日本文化につ
いて学ぶ機会を設けようとしていた。だが、そこで 3 つの不安要素が浮かび上がった。
まず 1 点目は福岡ら(2005)も指摘しているように、留学生にとって日本語学習サポートは、
基本的に日本人学生に日本語について「教えてもらう」システムであるということだった。また、
横田(1999)も「援助をする側とされる側の関係が一方的に固定されることは両者間の関係にと
って好ましいことではない。」としている。このように、私たちが当初考えていた日本語チャッ
トルームの形式は日本人学生が留学生に教えてあげるという一方的なシステムが出来上がって
しまう可能性が高くなることが危惧された。また、こうような状態になってしまった場合、私た
ちが目的としていた留学生・日本人学生両者の相互理解は促進されにくいのではないかと考えた。
2 つ目の不安要素は、果たして日本人学生が日本語教育をできるかどうかという点である。参
加してくれる日本人学生は日本語教育課程を履修している学生だけではない可能性があり、日本
語教育の基本的知識がない学生には教える日本語のレベルや教え方にも限界が出てくることが
考えられた。日本語教育の基本的知識がない学生が誤った日本語を教えることで留学生の日本語
上達を妨げることにもつながりかねない。
3 つ目は、日本語チャットルームが継続性に欠けるのではという点である。詳しくは後述する
が、以前、本学で行われたことがある日本語チャットルームは継続性の問題を抱えた。
そこで私たちはいくつかの変更を加えることでこれらの問題を解決しようとした。大きな変更
点は、日本語チャットルームを 2 つに分けるということである。まず 1 つ目の日本語チャットル
ーム(以後、日本語チャットルーム1と記載)は日本語能力初級の留学生と日本人学生を対象に
し、昼休みにご飯を食べながら、日本語会話や宿題の手伝いなどを行う。この変更だけではすべ
ての不安要素が解消されないため、使用言語を日本語だけでなく、その他の言語にも広げること
とする。この理由は、日本語能力初級の留学生にとって、日本語だけの会話は難しいことが予想
されるからである。使用言語を広げることで日本語だけでなく、他言語が入り混じり、相互に教
えあう関係を作ることで留学生と日本人学生の間に一方的な関係が出来上がることはなくなり、
1つ目の不安要素である「教えてもらう」
・
「教えてあげる」システムが解消されると予想される。
留学生にとっても不慣れな日本語だけでなく母国語を使うことができ、他言語を学ぶ日本人学生
にとっても自身の語学を磨く機会が出来ると考えた。また ICZ にある他言語のチャットルームに
参加する学生などにも参加を呼びかけることができ、メンバーを固定化することなく運営できる
可能性が高い。これにより、3 つ目の不安要素であるメンバーの固定化も避けられる。2 つ目の
不安要素についても、日本語チャットルーム 1 で行う内容を宿題の手伝いや会話など比較的簡単
なものに限定することで解消できると考える。
2 つ目の日本語チャットルーム(以後、日本語チャットルーム 2 と記載)は、日本語能力中級
∼上級の留学生と日本人学生を対象にし、使用言語は日本語のみとする。このチャットルームは
日本語を教えるのではなく、日本語を用いながら、互いの文化や慣習などについて紹介し、学び
あうことを目的とする。具体的な内容は未定だが、他大学で多く行われている「異文化理解入門」
や「異文化間教育論」の授業を参考に考えていく。このチャットルームによって、望める効果は
以下の 2 点である。まず 1 点目は、日本人学生の参加が増えることである。日本語チャットルー
29
ム 2 は日本語チャットルーム1と違い日本語教育や他言語での会話を目的としていないため、日
本語を教えることに抵抗があったり、他言語を不得意とする日本人学生も参加しやすくなると考
えられる。2 点目は、日本人学生は日本の文化や慣習を教え、留学生は母国の文化や慣習を教え
あうことで、一方的な理解でなく、相互理解や異文化理解につながると考えられる。このことが
先述の 1 つ目の不安を解消することにもつながると考える。また、事前の留学生へのアンケート
で、留学生が日本語だけでなく日本文化を理解することに積極的な考えを持つことが分かってい
る。日本語チャットルーム 2 によって、言語習得に限らず留学先である日本の文化・伝統を理解
することに積極的な留学生の希望を叶える、ひとつの機会を与えることが可能になる。
日本語チャットルーム1、2を通しての目的は、留学生の日本語上達と留学生・日本人学生両
者の相互理解の促進である。また、この日本語チャットルームを運営していくにあたって、私た
ちが考える研究設問は以下の 3 点である。
1) 日本語チャットルームが留学生の日本語上達にどのように関与できるのか。
2) 日本語チャットルームが留学生・日本人学生双方の異文化理解にどのような影響を与え
るのか。
3) 継続的な日本語チャットルームの運営が獨協大学内の国際交流にどのような影響を与え
るのか。
これら 3 点の研究設問を掲げ、活動していく。
3.研究方法
まず事前調査として、留学生、日本人学生、国際交流センター19職員に調査を行った。事前調
査の方法はアンケートやインタビュー、Eメールでの聞き取り調査である。留学生へのアンケー
トについては、日本語授業を履修している留学生 9 名を対象に実施した。また、日本人学生への
アンケートは新設されたばかりの交流文化学科と総合政策学科を除く獨協大学学部生を対象とし、
全学部・全学科のゼミナールを履修している3.4年生あわせて 214 名に実施した。その理由と
して、在学期間が長いほうが、獨協大学の国際交流の現状を把握しているのではないかと考えた
ためである。また、獨協大学に来る留学生を統括している国際交流センターへも、留学生を対象
にしたオリエンテーションの内容に関するインタビューを行った。このほかに、国際親善倶楽部、
ICZ へ過去に留学生と日本人学生を対象とした日本語チャットルームが存在したかの事実確認を
行った。
今後は、日本語教育についての文献研究、日本語チャットルーム開設にむけての準備・手続き、
広報活動が中心となる。開設が決まり次第、ICZ や国際交流センターでの宣伝活動を行うととも
に、各棟掲示板への広報の張り出しをする。
日本語チャットルームの運営開始後の評価・研究方法であるが、参加者の意見を募るためのア
ンケートや活動日誌の作成を実施する。活動状況の観察やアンケートなどから改善点を見つけ、
よりよいチャットルームの運営を行う。また、他大学での同じような先行例を参考にしながら、
効果的な評価方法を検討していく必要がある。
なお、この日本語チャットルームは試行期間を半期とし、半期終了後、日本人学生・留学生そ
れぞれの参加者による体験談を作成し、本調査結果とともに国際交流センター、外国語研究所な
どに寄贈、学内の国際交流促進のための資料として役立ててもらう。
19
獨協大学内の天野貞祐記念館 1 階にある施設。学生の留学支援のほか、海外大学との学術交流や国際シンポジ
ウムの開催等も積極的に推進している (獨協大学、2009) 。
30
4.調査結果
(1) 春学期の調査結果
私たちグループでは、春学期を秋学期からのチャットルーム開設に向けての準備期間とし、5 つ
の事前調査と先行研究を行った。
① 留学生へのアンケート調査(付録 4.1.参照)
アンケートは「留学体験記プロジェクト」班と共同で作成、実施した。日本語中級課程で学ぶ
留学生 9 人に国際交流についての簡単なアンケートに答えてもらった。使用言語は英語と日本語
を使用した。このアンケートの分析を通して、以下のことが分かった。9 人中 8 人が現在日本人
学生との交流があると答えているにもかかわらず、9 人中 9 人が日本人学生との交流を望んでい
ると答えた。この結果から、留学生がさらなる日本人学生との交流を望んでいることが分かる。
また、授業時間以外で日本語や日本文化について学ぶことが必要であるかという質問に対しては、
9 人全員が「はい」と答えている。調査対象者が 9 人というわずかな人数ではあるが、留学生が
日本語学習、日本文化の知識の理解に積極的な考えを持っていることが伺える。またアンケート
では日本語チャットルームについての質問も設けた。その質問では 9 人全員が参加したいと答え
た。
② 日本人学生へのアンケート調査(付録 4.2.参照)
まず英語学科の工藤和宏先生の授業の時間を少しお借りして、英語学科在籍の学生 75 人に国際
交流についての簡単なアンケートに答えてもらった。このアンケートを通じて、英語学科に限ら
ず、全学科の日本人学生へ対象を拡大することで学科別の傾向を知ることができるのではないか
と考え、全学科の日本人学生へのアンケートを実施することにした。このアンケートを実施する
にあたり、ICZ の研究班(「ICZ の更なる可能性を求めて」)と共同で新たなアンケートを作成し
た。
この調査では外国語学部(ドイツ語学科・英語学科・フランス語学科)
、国際教養学部(言語文
化学科)、経済学部(経済学科・経営学科)
、法学部(法律学科・国際関係法学科)の計 3 学部、8
学科に在籍する学生 214 人にアンケートを実施した。調査を効率的に行うため、各学科の 1 つも
しくは 2 つのゼミを対象に行った。なお交流文化学科、総合政策学科は新設されたばかりの学科
のため、調査対象から外した。
私達のグループでは以下の 4 点の質問をした。
1) 現在、留学生と日常的に接触する機会がある。
2) (さらに)留学生の友達を作りたい。
3) 大学案内(Wissenshaft)で「国際交流が盛んな獨協大学」と謳われているが、その通り
だと思う。
4) もし留学生と日本語で会話する「日本語チャットルーム(仮)」ができたら、参加もしく
は遊びに行きたいと思う。
まず(1)の質問で日常的に接触する機会があると答えた日本人学生は全体の約 26%であった。
また(2)の質問で(さらに)留学生の友達を作りたいと答えた日本人学生は全体の約 81%であ
った。
(1)と(2)の質問をクロス集計したところ、
(1)で接触機会がない(
「いいえ」
)と答えた
人のうち(2)で友達を作りたい(「はい」
)と答えた人は 122 人(78%)であった。また(1)で
31
問(1)
問(2)
更に友達を作りたい
174(81%)
更に友達を作りたくない 40(19%)
接触機会がある
接触機会がない
56(26%)
158(74%)
52
122
4
36
回答数:214
「はい」
(接触する機会がある)と答えた人のうち(2)で「はい」
(さらに友達を作りたい)と答
えた人は 52 人(93%)とこちらも高い数字が出た。この結果から、多くの日本人学生が留学生
との更なる交流を望んでいることが分かる。
また(4)の質問では、58%の日本人学生が日本語チャットルームに興味をよせている。さらに
法学部の学生の意見で、
「英語や他言語だと参加できないので、あったらよいと思います。結構こ
ういう人多いと思います」というものがあった。外国語学部に比べて、英語や他言語を敬遠しが
ちな法学部・経済学部の学生も日本語でチャットルームを行うことでこういった場に参加しやす
くなることが分かった。また自由記述の欄への意見で多くの学生が留学生との交流の場や機会を
望んでいることが分かった。
③ 国際交流センターへのインタビュー
秋学期の日本語チャットルーム開設・運営にあたり、留学生向けの広報活動をするための予備
調査として、国際交流センターのスタッフにインタビューを行った。このインタビューは「留学
生へのサークル・部活普及活動」班と共同で行い、特に留学生向けのオリエンテーションについ
て尋ねた。留学生に日本語チャットルームの存在について知ってもらう必要があるため、オリエ
ンテーションの時間を借りて、広報活動を行うことが可能かどうか、またオリエンテーションの
概要についても尋ねた。このインタビューの結果、オリエンテーションは時間が限られているた
め、私たちから口頭で日本語チャットルームの広報はできないことがわかった。しかし、チラシ
など紙媒体を使っての広報活動は可能であるということであった。
④ 国際親善倶楽部への E メールでの聞き取り調査
事前調査を行う過程で、国際親善倶楽部が昨年 ICZ にて日本語チャットルームを行っていたと
いうことを耳にした。現在はそのチャットルームは行われていないため、実際に以前行われてい
たのかどうか E メールで国際親善倶楽部の部員に聞き取りを行った。聞き取りの結果、日本語チ
ャットルームは行われていないが、年 2 回 4 月と 10 月に「日本語で話そうパーティー20」を行っ
ているということだった。
⑤ ICZ へのインタビュー
④国際親善倶楽部への聞き取り調査に関連して、ICZ のスタッフにも日本語チャットルーム開
催の有無についてインタビューを実施した。スタッフによると、当時の活動は獨協大学外国語教
育研究所が開設したチャットルームという形式をとったものではなかったようである。数名の留
学生からの日本語を教えてほしいという声から、ICZ を通じて日本人学生を募集し、集まった日
20
獨協大学国際親善倶楽部と国際交流センター共同開催のイベント。4 月と 10 月の年 2 回開催され、新留学生
と日本人学生の交流を目的とし、お菓子などを食べながら談笑する。部に所属していない日本人学生も参加費を
払って参加することができる。
32
本人学生と留学生により出来たものであった。学生が集まった後は、活動内容などに対して同研
究所が介入することはなく、完全に学生が自主的に留学生に対して日本語を教えるというもので
あった。活動開始当初は ICZ 内での活動も見られたが、当初の目的が活動を継続させることでな
かったことや、日本人学生と留学生の間での親交がすぐに深まってしまったことから、次第に ICZ
内での活動も見られなくなり、活動開始後約 1 カ月で、自然消滅してしまったということだった。
⑥先行事例の検討
日本語チャットルーム 2 の内容などを考えるにあたって、いくつかの他大学の実施例を参考に
した。中でも静岡大学、宮城教育大学の例は、背景に獨協大学との共通点が見受けられ、今後参
考にできると考える。ここでは、それらの具体的な記述は省き、付録 4.1.に掲載する。
春学期を終えての本研究の限界と将来の方向性
ここでは、春学期の活動を終えた時点で私達が感じた本研究に関するいくつかの限界について
記したい。
まず、以前アンケートに答えてくれた留学生と同じように9月から学ぶ新留学生が国際交流に
関して積極的な考えをもっているかどうかは分からない。例えば、アンケートに答えたくれた留
学生と比べて、9月からの留学生は自身の日本語の能力に自信がない可能性がある。日本語チャ
ットルームへの参加を躊躇することも考えられるため、日本語チャットルーム1、2を行ううえ
で、留学生の参加者の日本語レベルに合わせた内容を検討する必要がある。
また、アンケートで約 58%の日本人学生が日本語チャットルームに参加すると答えたが、実際
に参加する学生はこの一部にしか過ぎないのではないかという懸念もある。今までにも国際親善
倶楽部が日本語で話そうパーティーのような日本人学生と留学生の交流を目的としたイベントを
開催してきた。だが、こういったイベントに参加する日本人学生はほんの一部である。私たちの
プロジェクトは日本語チャットルームという国際交流の場を提供することはできる。だが、チャ
ットルームに参加しない学生や国際交流に消極的な考えを持つ学生の意識を変えていくことは難
しい。日本語チャットルームを通して、国際交流の流れが獨協大学全体に広まり、消極的な考え
を持つ学生の意識を変化させることができるかもしれないが、すぐに変化を起こすことはできな
いであろう。これについては、私たちの日本語チャットルームと、その他の研究班の試みよって
相乗効果が生まれ、学内の意識変化を起こすことにつながることを期待したい。
次に秋学期の方向性を記したい。秋学期から実際に日本語チャットルームの開設・運営になる
が、未だ具体的な内容が未決定であることやコーディネーターとしての私たちの立場が未確定で
あるため、これらの部分についてさらに考えていく必要がある。また、実施後の留学生の日本語
上達や留学生・日本人学生の異文化理解の度合いをどのように測っていくかが問題となる。他大
学の先行例などを参考にしながら、この点についても、効果的な評価方法を考えていきたい。以
下が秋学期のプランである。
33
活動計画
9月
先行研究
国際交流センター・ICZ との調整
内容・評価方法検討
広報作成・掲示・配布
10 月∼12 月
日本語チャットルームの実施、アンケートの実施
(2)秋学期の調査結果
秋学期では、春学期に立てた計画を大きく変更しての活動を行った。夏休みに行われた中間報
告会以前は、上記予定で秋学期の活動を行う予定であったが、報告会後、私達班員の中に一つの
懸念が浮かび上がったからである。
・春学期からの変更点
他大学の先行例(付録 4.3.を参照)などは授業の一貫として行われ、異文化間コミュニケーシ
ョンや異文化間教育に従事する大学教員が指導しているものであるが、私達が行おうとしている
チャットルームはそうではない。一学生である私達が先行例を参考に一定のカリキュラムを作成
し、教員と同じ立場でチャットルームを企画・運営することとなる。また、本年度は私達が企画・
運営するというシステムをとっているが、来年度も継続してチャットルームを続けていくことを
想定した場合、3年生と4年生で構成される班員の私達だけでは継続した運営を続けることは難
しいと判断した。そこで私達グループメンバーだけではなく、私達と共同で日本語チャットルー
ムの開設を目指し活動する学生を募集するという形に変更した。これにより来年度以降の運営も
実現する可能性が生まれ、またこのチャットルームに対する意見を参加者から集めることにより、
運営側の私達だけでは気づけない視点からこのプロジェクトを見渡し、改善を重ねることが可能
になると考えたからである。
秋学期に私達が目指したものは、留学生・日本人学生双方の募集を行い集まった学生と、運営
者である私達4名で、チャットルームの内容・計画などすべてをゼロから決定し、来年度以降の
日本語チャットルームの運営への橋渡しをすることであった。
私達メンバー4名の役割は、各2名ずつチャットルームへの参加者・調査者として活動し、参
加者は他の参加学生と同様、調査者はチャットルームのコーディネート、また参加者の観察・研
究を行うこととした。調査者は日本語チャットルームを通じて留学生・日本人学生双方から得ら
れた感想や、話し合いで決まった事柄を分析し、その後の日本語チャットルームの開設・継続に
つなげることに重点を置いて観察・調査を行うこととした。
・参加者の募集
―ポスター作成―
留学生・日本人学生の募集人数はそれぞれ5名ずつとした。留学生・日本人学生の双方を募集
する理由は、留学生には留学生の日本語チャットルームに対するニーズがあり、日本人学生には
日本人学生の、それぞれ別のニーズがあると考えたためである。また、全員参加型の効率的なチ
ャットルームを運営しやすく、私達班員4名が参加者各々の心情や意見について一人一人詳しく
研究できる人数は 10 名が限度であると判断したからである。参加者の募集方法は、主に学内に貼
るポスターで募集を行った。これは、学内に広く周知するためにはポスターが最適であると考え
34
たためである。活動を行う場所や期間は指定せず、ゼロから全て参加者とともに作り上げていく
ことに重点をおいて募集ポスターを作成した。(付録 4.4.を参照。) このポスター掲示に際し、
募集用Eメールアドレスを作成し、募集ポスター内に掲載した。参加希望者や興味のある学生は
このEメールを通して参加の意志を表示してもらうこととした。
―募集の結果―
11月4日から約1ヶ月間学内の1・3・5棟の3つの教室棟、国際交流センター、ICZの
3箇所約10の掲示板に1ヶ月間参加者募集ポスターの掲示を行った。しかしポスターの効果は
ほとんどなく、参加を希望した学生は日本人学生1名のみであった。募集以前から参加者が10
名集まるかどうかは不安視していた点ではあったが、予想を大きく下回る結果となった。
参加者の不足を受け、急遽日本語チャットルームに関する意見交換の場を設けた。日本人学生
だけでなく、留学生の意見も聞くためメンバー自身の友人や知人を通して参加を呼びかけ、留学
生1名の参加を得ることができた。
なお、秋学期の活動は以下の表の通りである。
日付(2009 年)
具体的な活動内容
備考
10 月 20 日(火) グループミーティング。
日本語チャットルームの参加者募集
参加者募集のメールアドレスを作成。
方法についての話し合い。メール、
ポスター掲示という結果になる。
10 月 22 日(木) 日本語チャットルーム参加者募集のた
ポスターは日本人学生、留学生どち
∼ 11 月 3 日
らも募集するため、日本語版と英語
めのポスター作成期間。
(火)
版両方で作成。
11 月 3 日(火) 日本語版、英語版の両方のポスターが
完成する。
11 月 4 日(水) 1、3、5 棟の 3 つの教室棟、国際交流セ
付録 4.3.を参照。
ンター、ICZの掲示板に日本語版、
約1ヶ月間掲示。
英語版の両方のポスター掲示。
12 月 1 日(火) 掲示したポスターをきっかけに、1 名の
日本人学生からメールでの応募があ
る。メンバーの知人の留学生も参加を
希望する。
12 月 17 日(木) ミーティングの召集のための連絡をす
る。日本人学生1名、留学生4名にメ
ールで呼びかける。
12 月 18 日(金) 1 名の韓国人留学生とミーティングを
行った。
話し合いの内容についてはインタビ
ュー結果を参照。
留学生とのミーティング
韓国人女性の留学生と、約1時間話し合いをもった。彼女は4月から獨協大学に私費留学して
いる。獨協大学で学習している多くの留学生は、日本語授業を履修しているが、彼女は韓国で日
35
本語をあらかじめ学習しており、来日前から日本語能力が高かったため、その他のほとんどの留
学生が履修する日本語コースの授業を履修していない。彼女は現在、学部生と同じ授業を履修し
ているため、日本人の友人も多く、学内や学外でおこなわれている国際交流イベントにも積極的
に参加をしている。
―インタビュー結果―
まずインタビューの結果についてである。この話し合いから、我々は日本語チャットルーム開
設・継続には様々な問題がつきものであり、特に継続の可能性は非常に低いことに気づかされた。
理由として、留学生は必ずしも「日本語」や日本の文化を学ぶことに一番の興味があるわけでは
ないことが明らかになったからである。彼女の話によると、来日当初は誰もが日本語習得など、
勉学を目的として来日するが、時間の経過とともに非日常感が失われ、「慣れ」が生まれると言
う。そうなってしまった留学生は、勉学に励むどころか大学にすら行かず、毎日家で怠惰な生活
を送っている者もいるという。また、獨協大学に在籍する留学生は日本語の能力別に選択できる
科目も限られてしまうため日本語に自信がない留学生は、たとえ日本語が話せなくても参加可能
な日本語チャットルームが存在したとしても、積極的に参加する者は少ないであろうという話だ
った。
また彼女の話から、留学生の新たな一面を垣間見ることが出来た。私達が学校内で見ている留
学生は一握りにしか過ぎず、留学生のイベントなどに参加している学生はさらにそのほんの一部
であることが分かった。前述のとおり、大学にすら来ない留学生もいる現状で、日本語チャット
ルームへの多くの留学生の参加を求めることは難しいと感じられた。また日本語チャットルーム
の存在以前に、大学にすら来ない留学生がいるという現状を変えることが必要なのではないかと
いう思いも生まれた。彼女とのミーティングを通して、新たな留学生の一面を知ったことで、日
本語チャットルームの開設への問題が再び浮かび上がった。
5.考察
私達は日本語チャットルームの開設を目標として掲げ、約1年間活動を行ってきた。秋学期に
は春学期に立てた計画を変更するという大きな転換を行なったが、この際にも秋学期の日本語チ
ャットルームの開設が不可能でも、将来開設ができるような体制づくりをしたいという思いは変
わらなかった。だが、実際にはその体制作りもままならず、本研究を終えることとなってしまっ
たことを非常に残念に思う。ではなぜこういった結果に終わってしまったのか、その原因を考え
てみたい。まず、私達グループの秋学期の活動の遅れが原因に挙げられる。上記の秋学期の活動
内容にあるように、春学期の計画からの変更後、参加者募集のポスター掲示が11月となってし
まったため、その後の対応にも遅れが生じた。万一参加希望者が少なかった場合にも、ポスター
掲示が早くできていれば、より対応を検討できたと考えられる。一つの遅れがさらなる遅れや不
測の事態への対応の遅れを生むことを、今回知ることができた。次に挙げられるのが、日本人学
生・留学生が参加に消極的であるということである。私達が行なった調査によると、アンケート
に答えた留学生・日本人学生の多くが相互交流や日本語チャットルームへの参加を望んでいるも
のの、参加者募集にはそれが反映されていなかった。相互の交流は望むが、実際にそれを行動に
起こすとなると消極的になるという傾向は今後の獨協大学の国際交流の活発化においても障害と
なるであろう。
だが、活動の遅れが招いてくれた発見もある。それは新たな留学生の存在である。留学生との
ミーティングによって、留学生の中には学校や授業にも行かず、家で怠惰な生活を送る者もいる
36
という現実を知ることができた。この現実は私達も想像していなかったことであり、留学生の新
たな一面を知ることになった。
おわりに
約1年間、日本語チャットルームの開設に向けて活動を行ってきた。実際に日本語チャットル
ームの開設には至らず、私達の活動の意義というものがどれだけあったのかと言われれば、自信
を持てる部分はあまり多くない。しかし、私達の1年間の活動が無駄であったかというと、そう
ではないとも思う。留学生、日本人学生、あるいは大学にある様々な機関へと、実際に足を運び、
私達の考えを伝えることができた。私達のその活動の一つ一つが現在確固たる結果として残って
いるわけではないが、来年度日本語チャットルームの開設に興味を示す学生が現れたということ
を聞き、非常に嬉しく思っている。そういった意味では、私達のこの1年間の活動は、日本語チ
ャットルーム開設の「可能性」を広げたという点で大いに意味のあることであったのではないだ
ろうか。
最後に、私達のこの1年間の活動が、獨協大学の「国際交流」の今後のさらなる発展へ少しで
も何かの影響を与えられるものになっていれば、幸いである。
参考文献
鎌田修・山内博之編(1996)
『日本語教育・異文化間コミュニケーション:教室・ホームステイ・
地域を結ぶもの』凡人社。
高橋亜紀子(2005)「日本人学生と留学生とが共に学ぶ意義−『異文化間教育論』受講者のコメ
ント分析から−」『宮城教育大学紀要』第 20 巻 宮城教育大学。
高橋直子(1997)
『国際交流の理論−交流から協力へ−』勁草書房。
獨協大学(2009)
『Wissenschaft』獨協大学。
獨協大学外国語教育研究所(2007)『International Communication Zone パンフレット』
花見槇子(2000)
「日本人学生と留学生との交流:対等な関係の模索(その 1)」
『三重大学留学生
センター紀要』第 2 号 三重大学留学生センター。
原沢伊都夫(2009)「留学生と日本人学生との混成授業における実践報告−異文化コミュニケー
ション能力育成に向けて−」
『静岡大学国際交流センター紀要』第3号 静岡大学国際交流セン
ター。
横田雅弘(1999)
「留学生支援システムの最前線」
『異文化間教育』第 13 号 アカデミア出版会。
横田雅弘・白土悟(2004)『留学生アドバイジング−学習・生活・心理をいかに支援するか−』
ナカニシヤ出版。
37
第5章
交換留学生の授業カリキュラムを探る
−授業を通じた異文化交流の提案−
松井蓉子・河野妃香利・染矢麻衣・吉田達也
はじめに
獨協生21は4年間獨協大学に通うが、その間に何人の留学生22と知り合いになることができるの
だろうか。何人かの留学生と知り合いになれる人もいれば、一人も知り合いになれないという人
もいるだろう。実際に、留学生と友達になりたいが機会がないという声を聞いたことがある。獨
協生の数に対して留学生の数は少ない。その中でも交換留学生は更に少ない。国際交流センター
によると、現在、獨協大学に通う交換留学生は 23 人だという。そんな彼らと知り合える機会が少
しでも多ければいいと思う。また、日頃あまり話すことのない他の学部・学科の学生は留学生と
の交流についてどう考えているのだろうか。それを明らかにし、もし両者の要望があるなら、新
たな交流の場として留学生と獨協生が一緒に受けられるような授業を提案したい。
私たちの所属する英語学科には「異文化間コミュニケーション」という科目があるが、教えて
いる教員は日本人であり、それを受けている学生も殆どが日本人である。日本人同士でもそれぞ
れ持っている文化は違うのでお互いに学びあえることはある。しかし、他の国から来た学生と意
見交換をしたり、何かを共同で行ったりする方が互いから学ぶことが多いのではないだろうか。
確かに理論を学ぶことも大切であるとは思うが、学んだ理論を実践する場が少ないように思う。
実際、
「異文化に対する知識だけでは異文化への適応、異文化への対応を正常に行う能力が身につ
かない」(八代、2005、p.99)という指摘もある。
今回のプロジェクトで私たちは本学で学ぶ1年間の交換留学生に焦点を当てることにした。彼
らの授業カリキュラムを調べた結果、1週間(週5日)の授業全てが留学生用の日本語授業であ
った。この結果から、私たちは、交換留学生が獨協生との交流を得る機会は少ないと考えた。そ
して交流の機会は少ないが、「交換留学生は獨協生とのさらなる交流を望んでいるのではないか」
という仮定のもと、交換留学生(以下、
「留学生」と略記)に焦点を当てることにした。
研究設問
一体留学生がどのような授業を受けているのかを全く知らない。そこで、まずは留学生がどん
なカリキュラムで、どんな授業を受けているのかを明らかにしようと試みた。留学生用カリキュ
ラムを知ることで、今後の留学生と獨協生の新しい交流の場を提案する時に役に立つのではない
かと考えたからである。また、留学生はそのカリキュラムについて、獨協生との交流の面で満足
しているのかを調査する必要があるだろうと考えた。
さらに、授業を通じた留学生と獨協生の交流に両者が興味を持っているのかどうかも調査範囲
21
所属学科を問わず、交換留学生用カリキュラムを受けていない獨協大学在学生を意味する。
獨協大学に通う「留学生」の留学期間や留学形態は様々であるが、大きく2つのグループが存在する。4年間
学部生として獨協大学に通う留学生と、1年間の交換留学生である。通例、交換留学生は1年間、留学生だけで
構成されたクラスで日本語を学ぶ。
22
38
とした。もし両者が授業を通した交流を求めていないのであれば、新しい授業の提案の必要性は
なくなり、反対に、交流を望んでいる場合、どのような方法で交流することを望んでいるのか意
見を収集し、授業の提案をする際の参考にしたいと考えていた。
研究の重要性
今回の研究の重要性は、大きく分けて3点である。
1点目は、留学生が現状のカリキュラムについてどのように思っているのかを明らかに出来る
点である。獨協生に行われている「授業評価アンケート」のようなものが留学生にはないように
思われるので、この調査が留学生のカリキュラムに対する意見を収集する有効な手段となり得る
可能性がある。留学生にとっては、カリキュラムに関する改善点等を言い伝える適当な機会がな
いなかで、この研究がその役割を担うことが出来る。
2点目は、留学生および獨協生が双方の交流についてどのように思っているのかを知り得るこ
とが出来ることである。これは特に私たちが提案しようと考えている授業を通じた交流につなが
るものである。班員自身の体験から、留学生と友達になりたくても何だか踏み出せないという状
況を、双方の交流に関する意見を聞き集め、報告書にまとめる形で1つの架け橋を構築すること
を含んでいる。双方の交流に対する積極的な姿勢が見受けられれば、より気兼ねなく友情の一歩
を踏み出すことが出来るであろう。
3点目は、もしインタビューの結果、授業内での交流に対する積極的な反応が得られた場合、
獨協大学に新たな異文化交流の場を設けることを提案できることである。学生の声を通して、現
状のカリキュラムの改善点を提案することができる。留学生のカリキュラムに関する留学生自身
の意見を聞く機会が制度化されていない中では、本研究が重要な役割を果たすものになりうるで
あろう。
研究方法
今回は研究方法として結果的に個人インタビューと集団インタビューの両方を用いた。個人イ
ンタビューのインタビュー協力者は、留学生プロジェクトを通じて班員が知り得た交換留学生3
名であった。3名ともドイツ出身の男性の留学生で、日本語授業は中級に所属していた。インタ
ビュー協力者3人のうち1人と2人に分かれ、インタビューは45分程度、1回ずつ行われた。
このインタビューは学内のICZのドイツ語ルームで行われた。使用言語はほぼ日本語で、必要
がある際に英語を交えて行われた。インタビューの流れと質問事項は以下記載の集団インタビュ
ーに同様である。
集団インタビューの協力者の募集は学内の掲示と、知人への声掛けを通じて行われた23。留学
生と獨協生の各3名、計6名にインタビュー調査を行った。留学生の協力者は、アメリカからの
留学生1名と、韓国からの留学生2名である。日本語レベルは日本語中級、上級、学部受講がそ
れぞれ1名ずつであった。獨協生に関しては、ドイツ語学科の2年生が2名と、英語学科の3年
生が1名協力してくれた。インタビュー協力者は全員女性であった。
インタビューは図書館の共同学習室の部屋で、約1時間 30 分ほど行われた。インタビュー協力
者の承諾を得たうえでインタビューは IC レコーダーに録音された。使用言語は9割方日本語で、
会話の内容がつかみづらい時に必要に応じて英語が用いられた。インタビュー協力者は、班員も
含めて、初対面同士であった。しかし、インタビュー進行の意図として和やかな雰囲気のもと自
23
1∼5棟までの各階段の踊り場と、ICZ と国際交流センター前の掲示板に掲示した。
39
由に発言できる環境づくりに努めたいという願望があったので、インタビュー開始前に簡単な自
己紹介と、アイスブレイキングを兼ねてネームプレート作りを行った。
インタビューの質問項目は、授業カリキュラムに満足しているか、改善を希望する点はあるか、
今までに獨協生と知り合う機会はあったか、授業を通じた獨協生との交流に興味があるかから成
る。このインタビューにより、留学生が獨協大学の留学生用カリキュラムについてどのように感
じているのか、また、不満に思っていることや改善して欲しい点があるのかを明らかにすること
ができる。さらに、授業内、授業外での留学生と獨協生との交流の有無についても明らかにする
ことができた。
インタビューは事前に班員間の話し合いの上作成された質問項目に沿って進められた。しかし
ながら、質問項目の順序に固執することなく、その時々に交わされた意見の流れに合わせて臨機
応変に進められた。大まかにまず現状としての留学生と獨協生間の交流の現状について質問し、
さらに出てきた解答を掘り下げて現状把握に努めた。さらに現状以上の相互交流を望むかどうか
についての意見を求めた。最後に当班が当初から案じていた授業内での交流について留学生、獨
協生から発せられる意見に耳を傾けた。
調査結果
私たちは今回の研究を通じて計9人にインタビューを行った(そのうち3人は個別インタビュ
ー、6人は集団インタビュー)
。
ここでは主に留学生と獨協生の交流の現状、留学生と獨協生の新しい交流の場としての授業内
での交流に対する反応と可能性について言及していきたい。
まず、留学生と獨協生の交流の現状については、今回の研究のサンプル数の少なさから一般化
には気をつけなければならないが、概してあまり交流が盛んではないとまとめることが出来るだ
ろう。その理由として、互いの存在は認知していて、交流をしたいと望んでいるにもかかわらず、
そのための一歩を両者が踏み出せないでいることが明らかになったからである。これは私たちが
当初予測していたことでもあった。それは言わずとも私たち研究者も獨協生の一員であるからで
ある。
一歩を踏み出せない理由として一番多く挙げられたのは、交流の場がないということであった。
しかしながら、私たちが研究を行ってきたなかで自ら参加した幾つかの交流イベントがあった。
それらについて言及し、意見を求めると興味深い意見を聴くことが出来た。つまり現状として ICZ
や「日本語で話そうパーティー」、国際交流センターが主催しているイベント、サークルなどが交
流が生まれる場所として挙げられた。しかしながらこれらはあくまでも一時的な交流である面が
否めないというのである。たとえパーティーに参加したとしてもパーティーが一回限りの開催で
あれば、そこに生まれる交流も一時的なものになってしまうというのである。交流を望む一方で
その機会がない。あったとしてもそれは一時的なもので、望ましい交流を育むための定期的な交
流の場は現状として存在しないというのである。これは後述する授業内での交流という提案に光
を射す意見であった。
次に留学生と獨協生の新しい交流の場としての授業内での交流に対する反応について述べたい。
私たちがどうして授業という場所を新たな交流の場として注目しているのかは先述の通りである。
各インタビューでは交流の現状を聞いた後、授業内での交流において私たちが考える利点につい
て説明し、まずは両者の反応をうかがった。どのインタビューでも、この提案は留学生と獨協生
の相互交流の現状、更には留学生の授業編成やアルバイトなどの生活全般の点から的を射ている
という反応が得られた。今回のインタビューの目的の一つは仮定で語るのではなく、インタビュ
40
ーを通じて事実を知り得ることであった。全ての留学生に該当するわけではないが、学費を稼ぐ
ために毎日授業後はアルバイトに勤しむ留学生がいるということであった。そういった背景で各
種のパーティーやイベントに参加出来ない学生でも、授業内での交流であれば参加し、交流の輪
の中に定期的に身を置くことも大いに可能であると思う。そうした経緯も含めて、この提案は留
学生、獨協生に両者からポジティヴな反応をうかがうことが出来た。
最後に、今回の主題でもある授業内での交流の追求という提案に対して留学生、獨協生両者か
ら様々な意見を得ることが出来たのでここにまとめたい。まず授業という場の利点としては、特
に日本語教師養成課程を履修している学生や、日本語教師、日本語を教えることに関心がある学
生にとっても、授業内での交流はよい機会になることである。インタビューを実施するまでは、
日本語授業の現状や、留学生の授業外での交流の模索の現実可能性という観点から、主にこの授
業内での交流という新しい交流の場を望む主体とその受益者は留学生であろうというスタンスの
もと提案を考えていた。しかしながら今回の調査は、獨協生側にも留学生との授業内での交流を
望んでいる人がいるという事実を明らかにしたのである。
その他に、獨協生が過多で留学生が過少では心地よい交流は生まれないという、人数について
の指摘もあった。留学生と獨協生の人数のバランスは必要だけれど、グループワークは交流を生
む上で望ましい形態だという意見も実体験に基づく話とともに挙げられた。授業内容についての
言及では、留学生側から文化交流の要素を含む授業内容支持が集まった。具体的には、例えば自
国のある祝日を紹介し、その過ごし方やその時に食べられる特別な食べ物を紹介する。加えてレ
シピを教えたり、実際にその料理をクラスで試してみたりする。この授業に日本人(獨協生)も
参加することで、留学生にとっては日本の文化を知る良い機会となり、獨協生にとってはクラス
の一員となるきっかけになるという。一方で、こういった内容ばかりではなく、日本語のテキス
トを用いて会話練習を共に行ったり、日本語でディスカッションをしたりするといった授業内容
も受け入れられた。結果的にプレゼンテーションスタイルばかりでなく、現状のテキストに沿っ
て行う授業内容も取り入れることが望ましいという声が挙がった。
おわりに
今回の研究は試行錯誤の繰り返しだったと思う。研究方法や目的、その方向性に至っても左右
に大きく揺さぶられながら直面する問いにその時々応える形で歩んできたように思う。
しかしそんな中でも収穫はたくさんあった。今回の研究は私たちを安堵させるものであった。
というのは、研究開始当初、留学生と交流を持ちたいけれど一歩踏み出せないと思っていたのは
まぎれもなく私たちであったからである。研究テーマを決める際にそれぞれが打ち明けたこの事
実にきっとそれぞれが程度こそ違えど、
「一歩を踏み出せないのは自分だけではないのだ」という
一種の安堵を覚えたのは事実であろう。そしてインタビューを通じて獨協生の意見を聞きながら、
その安堵は驚きとともに増大していった。得られたインタビューの解答がまた私たちのそれと類
似していたからである。さらに驚くことに、それは留学生にも似たようなことが言えた。交流し
たいのに、友達になりたいのに、その一歩がなかなか踏み出せない。きっと一つの橋の向こうで
調査者である私たちを含む獨協生と留学生が同じようなことを思いながら足を上げては下げてい
たのだろう。今回の研究の一つの課題であった、仮定で物語るのではなく事実を探求すること。
これに基づき多くの留学生と獨協生が自分たちと同じことを思っているのだと知り得た安堵感を
今度は行動の糧にする時が来たのではないかと思う。これだけ多くの人が感じているのならばそ
の一歩を踏み出す価値は大いにあるだろう。安堵はプロジェクトが進行するにつれて使命感へと
変貌を遂げた。
41
現に非常に嬉しかったことがある。それはまず私たちがポスター掲示、声掛け、インタビュー
の実施などの活動を通じて実際に留学生と交流を持つことが出来たことである。更にそれだけに
とどまらず、集団インタビューをきっかけに留学生と獨協生が知り合いになり、交流を望む両者
はインタビューの終了後に学校近くのカフェへ向かったそうだ。これは非常に嬉しかった。上げ
た足を実際に橋の上に下ろして橋を渡ったのはそれぞれの留学生や獨協生ではあるけれど、どん
なに短く小さい橋であったとしても、その建設に多少なりとも携われたことをとても嬉しく思う。
参考文献
八代京子(2005)「異文化理解の教育とトレーニング」秋山高二他編『異文化理解とコミュニケー
ション2』三修社。
42
第6章
留学体験記プロジェクト
大杉恵美佳、大場友美香、白鳥愛澄、館林瑛司
はじめに
埼玉県にある獨協大学は、創立以来 120 年余り長きにわたり外国語教育と国際交流に力を入れ
てきた。ホームページや大学案内では「語学の獨協」として外国語を重視し、国際色の豊かさを
特色として示している(http://www.dokkyo.ac.jp)。大学のデータによると 2009 年 5 月1日現在、
獨協大学に在籍する学生の数は 9026 人(http://www.dokkyo.ac.jp)おり、それに対して留学生の数
は 200 人程だと言われている。
一方、日本学生支援機構(JASSO)が提供しているデータによると、日本の大学で外国人留学
生を最も多く受け入れているのは東京大学で 2197 人、次いで早稲田大学の 2190 人である
(http://www.jasso.go.jp/index.html)。日本人学生数との割合を考えると一概に判断できないが、
26 位 の 桜 美 林 大 学 は 学 生 数 8465 人 に 対 し て 外 国 人 留 学 生 は 639 人 在 籍 し て い る
(http://www.obirin.ac.jp)。このデータから、獨協大学における留学生数は他大学と比べ少ない
ことがわかる。
この少ない留学生数が学内での日本人学生と留学生の関係性に影響を与えている。我々メンバ
ーも含めて、留学生の友達がいるという日本人学生は少ない。学生に話を聞くと、留学生との交
流がなく、留学生がどのような学生生活を獨協大学で送っているのか、その実態を知る機会がな
いのだという。また、大学ホームページや大学が毎月発行する獨協大学ニュースでも、留学生に
関する記事がほとんど取り上げられていない。これについては、後の調査で国際交流センターの
担当者もこの事を問題視していることが判明した。
獨協大学では、海外の大学へ留学する日本人学生、海外から獨協大学へ留学に来る留学生に対
して国際交流センターが支援を行っている。そこには留学を目指す日本人学生向けの留学体験記
というものがある。これは留学から帰ってきた日本人学生が現地での授業や住居といった大学生
活、また留学費用などを自分の体験をもとに記入したものであり、留学地域ごとにファイリング
され公開されている。留学へ行く日本人学生はこれらの体験記を参照し、留学生活のイメージを
膨らませるのである。しかし、同センターにある留学体験記は、日本人留学生向けのものだけで
あり、獨協大学が受け入れている留学生に向けたものはない。そのため、留学生が何らかの問題
を抱えたときや、授業やアルバイト、学内イベントなど大学生活についての情報を得たい時に、
1人で手軽に参考に出来るような情報源がないのである。実際に獨協大学に在学中の留学生もこ
の問題に悩まされているようである。
プロジェクトの目的と意義
「海外から来る留学生向けの留学体験記がない」という点から、今回我々は外国人留学生の留
学体験記作成プロジェクトを立ち上げた。活動は 2009 年 4 月から 2010 年 3 月まで実施した。
まず、ここで言う留学生とは、文部科学省による「出入国管理及び難民認定法」が定める「留
学」の在留資格により、我が国の高等教育機関(大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専門
学校)に在籍する外国人学生を指す。
(文部科学省、2008)
。また「在留資格『留学』を有さない
43
3 ヶ月未満の短期間の外国人学生」
(文部科学省、2008)も含む。本学では短期の交換留学生を「交
換留学生」と呼び、4年間の留学に来ている学生を「外国人留学生」と呼んで区別しているため、
我々もそれに従い両者を区別する。
また、留学体験記とは、日本人留学生向けのものとは異なり、実際に留学生が獨協大学に留学
に来てから読むことを意識して作られる。彼らが本学での大学生活を送るうえで、同じような経
験や背景といった何らかの共通点をもつ者の経験やアドバイスを参考にできる。留学体験記作成
より、現在獨協大学に留学中の留学生、またのちに本学に来る留学生が、獨協大学内での学生生
活、特に授業やイベント、部活•サークルなどへの参加の有無に焦点を当てたデータベースとして、
気軽に体験記を活用することが出来る。留学生が何らかの障害に直面した時や、これからの留学
生活に不安を覚えた時に活用することを目的としている。
基本的にこの体験記は留学生にそれぞれの母国語で書いてもらうが、我々がそれを翻訳し、日
本語版も用意する。これより日本語能力を問わず、日本語初級・中級者にも体験記作成に協力し
てもらえる。それを日本語に翻訳することで、日本人学生が留学生の大学生活を知る情報源とな
り、今まで情報が少なかった留学生についての実態をまとめ現状を把握することに貢献する。さ
らに、留学生にとっても他国からの留学生についての知識を増やすことにも貢献することが見込
めるのである。また、体験記を広く公開することで多様な人のアクセスが可能になり、現状把握、
留学生にとっての情報源にとどまらず、発展した留学生への支援、留学生と日本人学生の関わり
合いのかたち、例えば、授業システムの改善、友人関係の構築、部活・サークル、イベントへの
参加などにつながる可能性を秘めていると言える。
体験記の内容は、主に①授業、②学内でのイベント、③部活•サークル、④アクティビティへの
参加の有無からなる。このなかでもとりわけ、日本語授業と学部での授業で留学生は何を感じて
いるのか、また授業への取り組み方や、勉強方法、授業で話される日本語や専門知識への理解度
に焦点を絞る。その理由は、留学生が留学中に日本語学習の成果が思ったほど上がらず、その結
果、日本語学習以前に自分が考えていた自己の学習能力に対する評価が動揺し、不安や葛藤を体
験することがある(鈴木 他、1994)からである。また、アクティビティの参加に関しては、大
学内イベントへの参加度や、参加したものの内容、またそこで何を感じたのか、参加することへ
のメリットなどに注目する。この回答によって今後の日本人学生と留学生の国際交流活動の発展
に役立つ情報を提供することが期待される。更に、どの質問項目においても、回答理由を書き込
む欄を設けることで、個々のさまざまな意見を得られるようにした。
活動方法
方法については大きく分けて 3 つの段階に分けて行った。①グループメンバー以外との協力体
制作り、②体験記用紙の作成、③体験記用紙の配布と回収である。なお、これらの詳細について
は、付録 6.1.に記した。
①については、ポスターを学内に張り出し、本プロジェクトに協力してくれる日本人学生と留
学生の募集を行った。これは留学生のニーズをよく理解するため、幅広いネットワークを構築し、
体験記の配布と回収をスムーズに進めるためである。また、留学生の支援を主に行っている国際
交流センターに体験記用紙、回収箱の設置、留学生への配布を依頼した。
次の②においては、グループメンバーのみの日本人学生への視点に偏りを防ぎ、留学生の意見、
視点を加えるため、留学生に対して留学体験記の必要性と作成の意思確認、更には、体験記に盛
り込むべきトピックをアンケートを通して抽出した。次に、回答の多いトピックをもとに体験記
の内容を決め、日本語版の試作品を作製した。試験的に 5、6 人の留学生に試してもらい、更なる
44
改良を重ねた。そして、完成した日本語版を中国語、韓国語、ドイツ語、英語、フランス語も翻
訳し、文法などの間違いがないかそれぞれの母語話者に確認を行った。
最後の③は、グループメンバーが中心となって行った。私費留学生については、ゼミや講義で
配布し、交換留学生の場合は、日本語授業や国際交流センター職員を通して配布した。配布の際
は留学生の母語の体験記を手渡し、それぞれの言語で記入してもらった。日本語に比べて記入時
間の短縮、自由記述の負担軽減を図り、来日初期の日本語が未熟な留学生が読みやすいように配
慮した。回収は出来る限りその場での受け取りを優先し、時間がかかる場合は、交流センターに
ある回収箱に提出することとした。回収された体験記は随時まとめ、日本語に翻訳、最終的には、
交流センターと ICZ にオリジナル版と日本語翻訳版のファイルを設置される。
回収した体験記の内容検証
この報告書では回収した 11 部の体験記のうち、ファイル化して班員全員に共有されている7部
の体験記をもとに留学生の生活実態を紹介する。回収した 11 部の体験記は全て、中国からの私費
留学生によるものである。獨協大学で最も多いとされているグループである。しかし、国際交流
センターでも把握しきれていないという私費留学生の彼らの生活実態は不明瞭な点が多い。日本
語授業を中国からの私費留学生とともに受講している留学生の話によれば、彼らはアルバイトが
忙しく、授業が終わると即座に教室から飛び出してアルバイト先へ向かう者もいるという。欧米
や中東からの留学生とは違い、見た目だけでは我々日本人とさほど変わらない中国人留学生であ
るが、彼らは日々どのような生活を送っているのだろうか。以下では実際の体験記の設問を取り
上げて、項目ごとの回答例を挙げて中国人私費留学生たちの実態を浮き彫りにしていく。なお、
未回答が多い設問は割愛する。
授業について
ここでは回答者の所属学部や、日本語クラスのレベル、また、授業で使用される日本語の理解
度や、日本語の勉強法など、授業と日本語運営能力について報告したい。
7 名の回答者の本学における学部と専攻は、4 名が経済学部の経営専攻、残りの 3 名は国際教養
学部の言語文化を専攻である。
次に、学部の授業の進め方や内容について「満足」、「まあまあ」、「やや不満」、「不満」、「どち
らともいえない」の 5 段階で評価したもらったところ、
「満足」と答えたのが 3 名、
「まあまあ」
が 3 名、「どちらともいえない」が 1 名であった。そのうち「満足」と答えた学生と「まあまあ」
と答えた学生の 2 名が、それぞれ「教室がうるさかった」、「授業が進む速度が速い」を回答理由
に挙げている。さらに、授業中の日本語と専門用語についての理解度を「ほとんど理解できた」、
「半分くらい理解できた」
、「少ししか理解できなかった」、
「全く理解できなかった」の 4 段階で
回答してもらったところ、日本語については 4 名が「ほとんど理解できた」
、3 名が「半分くらい
理解できた」としているが、専門用語に関しては、
「ほとんど理解できた」と答えた学生はおらず、
「半分くらい理解できた」が 4 名、
「少ししか理解できなかった」が 3 名という結果になった。専
門用語は日本人学生であっても初めて耳にするものも多い。彼らにとっては一段と苦労を強いら
れることであろう。授業以外では主にどのように日本語を勉強しているかを尋ねる質問では、
「外
来語を勉強する」と答えた学生もいた。
また、おすすめの授業を聞いたところ、全学共通カリキュラムの授業が4つと、経済学部の授
業が4つ挙がり、おすすめの理由は「内容がおもしろかった」からと回答した生徒が 5 名、
「日本
語が聞き取りやすかった」からが 2 名、
「留学生がたくさん出席していた」、
「出席を取らない授業
45
だった」、「わかりやすい」からがそれぞれ 1 名ずつであった。全学共通カリキュラムと学部の授
業はどちらも日本人学生と共に受講するので、それらを履修する場合はかなり高いレベルの日本
語能力が要求される。そのような授業に対して、
「内容がおもしろかった」という回答からは、彼
らの日本語能力の高さが窺がえる。
次に、多くの留学生が履修している日本語授業に関する設問を設けた。本学の日本語クラスは
「初級」、「中級」、「上級①」、「上級②」の4段階でレベル別に編成されており、回答者 7 名のう
ち 6 名が「上級①」のクラスに所属していた。残りの 1 名は、日本語クラスを「履修していない」
と回答した。こちらも学部の授業同様、
「満足」
、
「まあまあ」、
「やや不満」、
「不満」、
「どちらとも
いえない」の 5 段階で評価してもらったところ、
「満足」と答えたのが4名、
「まあまあ」が1名、
無回答が 1 名となった。6 名のうち回答理由を示したのは 4 名で、そのうち 3 名が「内容がおも
しろかった」、1 名は「日本語が聞き取りやすかった」ことを理由に挙げている。授業の日本語の
理解度については、
「ほとんど理解できた」と答えたのが 4 名で、残りの 2 名は「半分くらい理解
できた」としており、日本人学生を交えた学部の授業と、留学生のみの日本語授業で使用される
日本語については、どちらも半分以上は理解できているようである。
また、日本語の、
「聞く」、
「書く」、
「読む」
、
「話す」を得意順に並べてもらったところ、
「話す」
と「読む」を最も得意としている学生はそれぞれ 3 名で、
「聞く」を 2 番に挙げたのは 4 名、
「書
く」を 3 番目に挙げたのは 3 名、
「話す」と「書く」を最も苦手としているのが2名ずつ、という
結果となった。どの学生も「書く」を3番ないし4番に挙げており、日本語を書くことには苦戦
を強いられているようだ。
イベント、部活・サークルについて
ここでは学内イベントの参加頻度や、部活・サークルへの所属の有無を問う。
「日本語で話そう
パーティー」など、留学生のためのイベントに参加する留学生は多いものの、それ以外のイベン
トや、部活・サークルに参加する留学生は残念ながら稀である。この回答者7名も例外ではなく、
「獨協大学で行われているイベントに参加したことがありますか?」という質問の回答は、
「ほと
んど参加しなかった」が3名、「全く参加しなかった」が4名で、「けっこう参加した」あるいは
「時々参加した」と答えた学生は居なかった。
イベントに参加しない理由としては、
「参加する時間がなかった」と答えたのが5名で圧倒的に
多く、その他には「イベントの存在を知らなかった」、「参加したいと思わなかった」というのも
理由に挙がっている。ここで本来ならば、なぜ参加したいと思わないのかを問う設問を設けるべ
きであったが、そのような問いは設置していないため、なぜ参加したいと思わないのかについて
は知ることができなかった。
部活・サークルも同様で、7名中6名がそのような団体には所属しておらず、また、過去に所
属していたという学生もいなかった。所属しない理由に関しては、回答者がいなかった。しかし、
回答者のうち1名は「先輩のすすめ」でサッカーサークルに所属していると答えた。部活・サー
クルに参加してよかったこと、あるいはわるかったことを問う設問を設けたが、こちらも回答は
得られなかった。イベントに参加しない理由として時間のなさを挙げた彼らにとって、部活やサ
ークルというのはさらに程遠い存在なのかもしれない。また、部活やサークルに参加すれば、交
際費等で出費は必然的に増えるが、アルバイトをする時間は削られる。これも留学生が部活やサ
ークルに参加しない理由のひとつであるかもしれない。
奨学金、アルバイトについて
46
回答者の負担を軽減することで回収率を挙げる意図のもと、このセクションに関しては、奨学
金、アルバイト、住居に関するいずれかの項目から最低1つを選んで回答してもらう選択形式に
した。ここでは回答の多かった奨学金とアルバイトについてより詳しくみていく。
1)奨学金について
ここでは奨学金の受給の有無や、その金額に満足しているかなどを尋ねた。回答者7名のうち
6名が奨学金を受給しており、その理由については、
「家族に負担をかけたくないから」と回答し
たのが3名、
「勉強に集中したいから」が2名であった。奨学金の金額に満足しているかに関して
は、「はい」(満足している)と答えたのは2名で、3名は「いいえ」(満足してない)であった。
質問に答えた留学生の半分以上が奨学金の受給金額に満足していないという回答から、留学生の
隠れていた声を少なからず汲み取ることができるだろう。収入と支出の内訳や、現在の奨学金の
受給金額、理想の金額などを問うことも考えたが、本体験記を作成する際にアドバイザーとして
協力してくれた韓国人留学生から、それはあまりにプライベートに立ち入りすぎているとの反対
意見が出たので、そのような質問はあえて設けないことにした。
2)アルバイトについて
ここでは主にアルバイトの有無や、アルバイトと勉強の両立の是非を問う質問をした。
この項目に回答してくれたのは6名で、その全員がアルバイトをしていると答えた。それぞれ
の勤務先はスーパー、コンビニの小売り系や飲食系と、日本人学生と同じようなところでアルバ
イトをしていることが分かった。アルバイトの頻度については、1週間に3回が3名、5回、4
回、2回がそれぞれ1名ずつとなった。勤務時間は1回8時間と6時間が2名ずつで、その他は
7時間、5時間となった。6名の1週間の平均勤務日数は 3.3 日で、1 回の平均勤務時間は 6.6 時
間であった。人材サービス会社インテリジェンスが 2006 年に行った大学生に行ったアルバイト
実態調査によると日本の大学生の 1 週間の平均勤務日数は 2.9 日であり、1 回の平均勤務時間は
5.1 時間であった(http://www.inte.co.jp/corporate/library/survey/index.html)。この2つのデータ
を比較する限り、両者に勤務日数の点では大きな差はみられないが、勤務時間では1時間以上の
差があることが明らかとなった。概して私費留学生はアルバイトに時間を多く割く傾向があると
いう結果となった。
また、
「アルバイトと勉強の両立はできていますか?」という質問に対して「はい」と答えた
のが5名、「いいえ」と答えたのが1名で、両立ができていないと答えた学生の理由は、「時間が
少し足りない」ということであった。これに関しては、アルバイトが多すぎて勉強の時間が足り
ないのか、それとも勉強に時間を取られてアルバイトがあまりできないのかは分からないが、こ
の学生は1週間に3日、1回8時間働いているので、おそらくアルバイトが忙しく、勉強の時間
が「少し足りない」のではないかと考えられる。アルバイトとなれば要求される日本語のレベル
も高い。6名中5名の学生が勉強とアルバイトは両立できていると回答したが、留学先で現地学
生と同じくらいアルバイトをするということは、かなりの日本語能力がなければ難しいと思われ
る。
3)自由記述
ここでは4つのトピックを設けて、その中から最低2つを選んで自由に記述してもらうことに
した。それぞれのトピックは、
「1.印象に残ったこと」、
「2.満足したことあるいは苦労したこ
と」、「3.留学後の自分の将来について」、「4.これから来る留学生へのアドバイス」とした。
47
この設問に回答してくれたのは7名中5名で、それぞれ1から4まで回答が出揃ったので、ト
ピックごとにまとめて、全コメントを以下に抜粋する。
1.印象に残ったこと
・ まだ日本に来たばかりの頃、日本の小さな子供たちが冬なのに半ズボン一枚でいたのを見た
とき。中国ではけっして目にすることの出来ないことだった。
・ アルバイトを探していたとき、外国人です言ったら断られたときは辛かった。
2.満足したことあるいは苦労したこと
・ 勉強とアルバイトを両立すること。
・ 通学に往復 5、6 時間かかること。満員電車でほとんど席に座ることも出来ない。
・ 友達が中国語の課題の答えを聞いてきたとき、たまに本当に答えがわからなかったこと。
3.留学後の自分の将来について
・ 日本の会社に勤めたい。
・ 在学中は日本語を勉強したので、将来は学んだ言語をいかせるような仕事に就きたいです。
・ 日本で働くこと。
・ 出来る限り日本で就職したい
4.これから来る留学生へのアドバイス
・ バイトするとき、勉強するときは出来るだけ別の人、いろんな人と交流してすること。何事
も閉じこもっていてはいけない。
・ 現実から逃げる留学は簡単だけど、夢を追う留学は大変だ。
自由記述の質問項目を含め、体験記全体の言語は留学生の母国語であったにもかかわらず、日
本語を使った回答が幾つもあり、中国人私費留学生の日本語能力の高さが明らかとなった。今後
の活動においては日本語の体験記でも対応が可能であるという、当初の予想とは異なる面白い結
果となった。プロジェクト活動前に我々が抱いていた中国人留学生に対する「忙しさ」のステレ
オタイプは、得られた結果のなかで実証され、忙しい学生生活を送る留学生が多いようである。
今回の結果では、各質問項目において回答が共通する部分があり、今まであまり知られていなか
った獨協大学での私費留学生の現状や今後の留学サポートに少なからず貢献できるのではないか
と考えている。
回答を設問ずつ見ていくと、1 の印象に残ったことで、
「アルバイトを探していたとき、外国人
ですと言ったら断られたときは辛かった。」という回答から、日本の外国人の雇用問題を浮き彫り
にしていると言えないだろうか。『留学生 30 万人計画』が始まってから大学の留学生の受け入れ
数は増加したが、アルバイト先ではどうか。住まいの近辺はどうか。未だに彼らの日常生活の些
細なところに、「日本人」の壁は存在し、それが彼らを苦しめているのではないだろうか。今後、
外国人受け入れについて日本は様々なこうした問題を解決していく必要があると強く感じる。
3 の留学後の自分の将来についての回答では、回答したほとんどが日本での就職を希望してい
る。なぜ日本で就職したいかについて回答を求めることはできないが、この先留学生の就職、特
に中国人の雇用が良くなれば日本人学生にとってそれは脅威となり得るかもしれない。
最後の、「現実から逃げる留学は簡単だけど、夢を追う留学は大変だ。」という言葉は全ての留
48
学に言えることだろう。留学という名を借りて、そこで学ぶことは決して楽ではない、様々な困
難が待ち受けているし、それに耐えられなくなることもあるだろう。しかし、この回答者はその
辛さを受け止め、それを受け入れる術を知っているのだろう。こうして、留学生の現在の生の声
を聞くことができるのは非常に貴重なことであり、体験記という媒体を通してそれを少ないデー
タであるがこうして形にできたことを嬉しく思う。
おわりに
この留学体験記プロジェクトは 2009 年 4 月から 2010 年 2 月まで約 1 年間継続された。当初の
目標や予想とは違うことも多々あったが、最終的に学体験記初版を作成することができ、満足し
ている。今後、この体験記をどこの機関で継続して行ってもらうかが課題となってしまったが、
今回の成果を踏まえて、体験記の需要が認められ、継続する必要性があると感じてもらえれば幸
いである。
このプロジェクトは到底、我々4 人では達成し得ないものあり、多くの人の協力により成り立
っていたと感じている。好意的にこの活動を支えてくれた。国際交流センターの職員の方、日本
語授業の職員の方、留学生、国際教養、経済学部のゼミの先生方にはこの場を借りて感謝の意を
表したい。
参考資料
大橋敏子(2008)
『外国人留学生のメンタルヘルスと危機介入』京都大学学術出版会。
株 式 会 社 Intelligence(2006) 『 高 校 生 ・ 大 学 生 ア ル バ イ ト 実 態 調 査 2006 』
http://www.inte.co.jp/corporate/library/survey/index.html、2010 年 3 月 9 日参照。
鈴木康明・井上考代(1994)「留学生とカウンセリング(2):言葉の問題を契機に自己評価が下
がった男子留学生の事例」『東京外語大学留学生日本語教育センター論集』20 号、 113-126
頁。
獨協大学ホームページ http://www.dokkyo.ac.jp 2009 年 7 月 26 日参照。
獨協大学「学部在籍学生数」 http://www.dokkyo.ac.jp/daigaku/hito/index.htm
2009 年 7 月
26 日参照。
文 部 科 学 省 ( 2008 )「『 留 学 生 30 万 人 計 画 』 の 骨 子 と り ま と め の 考 え 方 」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/attach/1249711.htm
2009 年 7 月 26 日参照。
文部科学省中央教育審議会大学分科会留学生特別委員会(2008)「『留学生 30 万人計画』の骨子
と り ま と め の 考 え 方 に 基 づ く 具 体 的 方 策 の 検 討 ( と り ま と め )」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/1249702.htm
2009 年 7
月 26 日参照。
横田雅弘・白土悟(2004)『留学生アドバイジング
学習・生活・心理をいかに支援するか』ナ
カニシヤ出版。
リクルート進学ネット http://shingakunet.com 2009 年 7 月 26 日参照。
Furnham, A., & Bochner, S. (1986). Culture Shock: Psychological Reactions to Unfamiliar
Environment. London: Methuen.
Volet, S. E., & Tan-Quigley, A. (1999). Interactions of Southeast Asian students and
administrative staff at university in Australia: The significance of reciprocal
understanding. Journal of Higher Education Policy and Management, 21, 95-115.
49
第7章
獨協大学の国際交流を促進させるための 10 の提言
館林瑛司、大沼由紀子、松原由佳
本章では、前章までに報告された6つの研究活動を基に、獨協大学における国際交流の更なる
発展に向けた 10 の提言を行いたい。提言は①環境、②組織、③活動の 3 つの観点からなる。10
の提言は相互に関係しており、それぞれが別個体として独立しているわけではない。それらのう
ちの1つが満たされても大きな効果はなく、各提言が達成されることによって、本学全体の国際
交流が促進されるのである。
1.環境面に関する提言
学内での国際交流を促進するにあたり、国際交流に必要な「場」を作り出す必要があると考え
る。そのために大学の体制整備に関して 4 つの提言を挙げたい。環境面に関する提言は全ての提
言の基盤となるため、大変重要である。
提言 1
留学生の生活現状を把握する
まず、獨協大学に過去留学に来ていた、あるいは現在留学中の留学生に対して調査を行い、彼
らの現状を大学側が把握しておく必要があると考える。留学生数に関しては現在 200 人程在籍し
ていると言われているが正確な数字は公表されていない。交換留学生については国際交流センタ
ーでその人数や連絡先を把握しているが、外国人留学生に関してはどれくらいの数がどの学部で
学んでいるのか分からないという。本学には特別入試という外国人枠があり、2009 年度と 2010
年度で合格しているのは、それぞれ 34 人と 36 人である。平均 35 人だとすると、35×4 学年=
140 人になる。それに交換留学生を足すと、全体では 160 人程度しか獨協に留学生は在籍してい
ないことになる。
数や国籍等の基本データのみならず、留学生の学習や生活状況についても調査すべきである。
我々が行った聞き取り調査やアンケート調査では、日本語授業に対する高い満足度や、学部の授
業で日常的な日本語は理解できるが専門用語になると理解度が下がること、自宅に引きこもり授
業や大学にすら行かなくなってしまう交換留学生の存在、時間がなくサークル•部活動、学内イベ
ントに参加できない外国人留学生の存在などが判明した。
このように提言2以降のすべての提言に対する前提として、まずは留学生の数、学生生活を調
査し、彼らの現状を明らかにすることが必要である。そして、得られた結果をもとに具体的な対
策などを実践すべきではないだろうか。例えば、第 6 章で紹介した交換•外国人留学生向けの「留
学体験記」は、留学生自身に母語や日本語で彼らの学生生活をアンケート形式でまとめている。
これは、今後獨協大学に学びに来る留学生に対しての情報源としてだけでなく、本学関係者が留
学生の生活の現状を把握するうえでも有効な手段になるであろう。
提言 2
大学ホームページの「国際交流」コーナー(情報公開)を充実させる
提言 1 で述べた現状把握の次の段階として、情報公開という点を指摘したい。留学生の生活状
況に関する調査の結果を大学側だけが知るのではなく、留学生、日本人学生や学外の人々などに
50
対して情報を開示することにより、本学での国際交流に関する様々なフィードバックが得られ、
実際の国際交流活動が促進されると考える。
具体例としては、大学ホームページの「国際交流」コーナーの充実を挙げたい。ホームページ
のトップページを開き、右上にある「国際交流」をクリックするとそのコーナーにつながる。し
かし、中身を見てみると事務的な情報ばかりで、コンテンツの数も少なく、決して魅力的なもの
とは言いがたい。在学生向けの情報が殆どである。このページは、例えばこれから獨協大学を受
験しようと考えている高校生が見て価値のあるものになっているのであろうか。他大学のホーム
ページと比較してみると、国際交流に関するイベント情報や活動結果、種々のデータがあり、ブ
ログなどを通して定期的に最新情報が更新されている。見た目という点からだけでも、活発的な
印象や情報が流動的に動いている印象を受ける。今後は獨協大学でも他大学を参考にしながら、
固定化された現在の内容からコンテンツの充実を図り、新しい情報を定期的に更新し、
「獨協大学
の国際交流」をホームページから学内•学外に発信していくことが重要ではないだろうか。
提言 3
獨協大学オリジナルの国際交流の特色をつくる
「獨協大学の国際交流」を進めるためには、何か他の大学にはない特色をつくり、学内での活
動活性化や学外からの関心を喚起する必要がある。そうすることで、有能な学生を呼び込むこと
に繋げられるのではないだろうか。留学生をなぜ獨協大学に受け入れるのかという受け入れの意
義、受け入れた後にどう関わっていくのかという目的、そして最後に長期的視点に立ち「国際交
流」をどう押し進めてくのかという将来的なヴィジョンを念頭に考える必要がある。留学生を「お
客様」として扱う単なる文化交流イベントを定期的に行うのではなく、本学初代学長天野貞祐の
ことば「大学は学問を通じての人間形成の場である」を生かすのであれば、留学生と日本人学生
が同じ環境で学問を通じて共に学び合う、国際交流の日常化(normalization)を目指すのが有意
義であると考える。
提言 4
留学生を 300 人に増やす
学内の「国際交流」促進を図る上で重要になるのは、やはり留学生の存在である。環境面から
の提言の最後としてかつ大切な点として挙げたいのが留学生数の増員である。提言 1 でも少し触
れたが、現在獨協大学に在籍している留学生約 200 人という学生数を 300 人に増員することを提
案したい。この数字は他大学と比べると決して多い数字ではない。学生数が約 8,500 人と本学に
近い桜美林大学と比較してみると、その留学生数は約 500 人弱にものぼり、獨協大学の 2 倍以上
である。
ではこの「300 人」は何を意味するのか。この数字は獨協大学(学部学生数約 9,000)の留学生
比率を考えた時に約 30 人に 1 人が留学生という計算になる。
(留学生が 200 人だと 45 人に 1 人、
160 人だと 56 人に 1 人となる。
)そして、この 1/30 という数字は現在日本一留学生を受け入れて
いる早稲田大学(学部学生数約 45,000、学部留学生数約 1,500)と並ぶことになる。我々のプロ
ジェクト活動や大学が開催する日本語で話そうパーティなどのイベントでも言えることであるが、
日本人学生と留学生の比率を見た時に圧倒的に留学生の数が少ない場合が多い。この人数のアン
バランスにより日本人学生同士や留学生同士で固まってしまうという傾向が国際交流イベントで
は生み出されている。我々の研究プロジェクトにおいても、数名の限られた留学生のみとの関わ
りが多く、多様な留学生の視点や意見を得ることが十分ではなかった。
51
2.
組織面に関する提言
ここでは、国際交流の「場」のアクターである大学の教職員と学生に焦点を当てて 2 つの提言
を挙げる。重要なのは、大学と学生という垣根を越えて双方がお互いに協力しながら「国際交流」
を作り上げていくという視点である。
提言 5
教職員と学生の積極的な協力体制を作る
我々がプロジェクト活動を進めるにあたり、大学の各部署や教職員に協力の要請や要望を伝え、
それに応じて活動をサポートしてくれるなど、何度も助けられる場面があった。
しかし、中には協力を依頼しても消極的であった場合や要望通りに行かない場合もあり、大学
という組織に対して不満を覚える場面も少なくなかった。
「特定の学生やゼミだけを優遇するのは
他の学生からすれば不公平になる。」と言われることもあり、教職員と学生の間に「壁」があるこ
とが浮き彫りになった。そうではなく、たとえ学生であっても教職員側が学生の提案に対して良
いものだと判断したら全力でサポートし、改善が必要ならば可能な限りアドバイスするような関
係が本来求められるべき姿ではないだろうか。例えば、マンネリ化している感のある学内での国
際交流イベントを大学自らが改善すると共に学生の意見も取り入れつつ協同で作り上げていく。
アイディアを出し合うという場面においては学生・教職員という立場の違いから離れて考えるこ
とがもっと必要であるように思われた。
提言 6
学生を中心とした学生交流組織を作る
上述した大学側が学生の声をより多く聞くため、学生と教職員をより近い関係にするためのよ
り具体的な案として、学生を中心とした組織を立ち上げるのはどうであろうか。この背景のひと
つとして我々のプロジェクトで国際交流センターに何度も足を運ぶことが多かったが、職員はみ
なそれぞれに忙しそうで新たに何かを始めるというクリエティブなことを考える時間がないので
はないかという印象を持った。また、学生に対応する職員の数も少なく、人員が足りていないの
ではないかとの印象も受けた。獨協大学には国際親善倶楽部という団体があるが、レクリエーシ
ョン的要素が強く、大学側との関係もさほど密ではないようである。ここで我々が提案する学生
交流組織とは、より大学スタッフに近い立場でオフィスワークのような業務からキャンパスでの
イベント企画•運営を大学側と協力しながら行う点で異なる。
この学生交流組織には留学生、日本人学生の両方が含まれる。十数人ほどの中心メンバーを大
学管轄で組織し、プロジェクトごとの必要に応じて広くボランティアスタッフを募集する。身分
についてや給料が発生するのか、あるいは完全なボランティアなのか細かい決定事項はあると思
うが、例えば国際交流センターの非常勤スタッフとして学生を雇うことも可能なはずである。
有給の場合を考えるならば、早稲田大学国際コミュニティセンター(ICC)という学生スタッフリ
ーダー制度を例として挙げたい。早稲田大学のホームページによると「『学生スタッフリーダー
(SSL)』は、ICC の活動を牽引するドライビング・フォースです。学生自身の視点と発想、企画
力、機動力を生かすことにより、在学生のニーズに合った交流機会を提供するとともに、将来グ
ローバル社会で活躍できるリーダー育成を目指します。」とあり、アルバイトやインターンの一環
としてもセンターの業務に携わっている。
一方 、ボラ ンテ ィアと して ならば 獨協 大学の 協定 校であ る韓 国の建 国大 学の Office of
International Administration が管轄している国際チューターが良いと思われる。担当言語ごと
に学生を数名ずつ採用し、学内で行われる国際的なイベントやプログラムのサポートや留学生へ
支援活動を行っている。
52
獨協大学においてもやる気のある学生や有能な学生がいるはずであり、彼らを集め、活躍でき
る場を与えることは学生本人にとっても大学側にとっても大変有益なことだと考える。
3.
活動面からの提言
さて、これまでの環境面、組織面からの提言を踏まえ、最後はどのようにして「国際交流」を
実践していくかという活動面から 4 つの提言をしたい。
提言 7
学生中心のイベントや活動を企画•実行する
これは提言 6 の延長であるが、日本人学生と留学生同士が協同で目標を設定し、達成を目指し
て時間を共有することで、
「親善」を目的としたような単発的なイベントに参加するよりも、その
後の関係の継続性や異文化理解という点からも効果的であると考える。また、国際交流以外にも
リーダーシップやグループワークなど社会で役立つスキルや経験を積むことにも貢献できるので
はないだろうか。
提言 8
多様な国際交流のきっかけを作る
今回我々が行ったプロジェクトのうち、多くのグループに共通していた活動目標は、獨協大学
において日本人学生と留学生をつなぐ交流の場が少ないという現状把握から如何にして交流のき
っかけ作りを進めていくことができるのかという点であった。そのきっかけを作り出すためにそ
れぞれのグループが色々なアプローチを用いて、学生に国際交流の最初の一歩を踏み出せるよう
実践を重ねた。
学生たちに多様な「国際交流」への選択肢を提供することは自分の特技や好みに合った活動を
選択できるだけでなく、これまでの特定イベントでの特定メンバーだけによる閉鎖的で固定的な
ものから様々な学生が国際交流の「場」に入ることでそれ自体が活性化され、学生の移動が流動
的なものへの変化することに繋がる。昨年実施した各プロジェクトの具体的な例を挙げると、チ
ューター制度導入、授業を活用した交流、部活•サークルを通した活動、日本語チャットルームの
開設であった。
「場」が変わることで、そこの「場」に関わる人も変わり、色々な学生にきっかけ
を提供することが出来たのではないかといえる。今後は提言 6 で組織された学生を中心に多様な
きっかけの「場」を学生たちに提供し、国際交流が日常化することに期待したい。
提言 9
学生寮で留学生と日本人学生が共に生活する
次に留学生と日本人学生の共住を提案したい。現在、交換留学生の多くは大学側が紹介してい
る「清水マンション」と呼ばれる留学生ばかりが住む所で生活している。わざわざ留学生を1つ
の場所に集める理由一体何なのであろうか。確かに一カ所に集めることで管理はしやすくなり、
留学生同士の親好が深まることには貢献しているといえる。
しかし、日本人学生とはどうであろうか。やはり日本に留学に来ている以上、学生寮のような
日本人学生が多く住む環境で生活を共にすることの方が留学本来の目的と合致しているのではな
いだろうか。様々なバックグラウンドを持つ人と暮らすことで、よくも悪くも日本人として、異
なる文化を持つ外国人として、あるいは一個人として、相手に対していろいろな発見を自らにも
たらしてくれるはずである。新たに建設された女子寮においても交換留学生の居住は認めてられ
てないようだが、様々なバックグラウンドを持つ人の共住化を進めることは、交流の場を作り出
すこと、さらには獨協大学の特色にも繋がるはずである。
53
提言 10
外国人留学生への就職をサポートする
我々が行ったアンケート調査では「留学後について」の問いを選択した学生のうち 6 人中 4 人
が日本での就職を希望していた。このような日本での就職を希望する獨協大学の外国人留学生が
どれほど職を得られているかというところまでは明らかにすることは出来なかったが、学生の就
職をサポートしているキャリアセンターに電話で問い合わせたところ、現在外国人留学生向けの
就職サポートやセミナー、企業説明会は行っておらず、情報提供も行っていないという返答があ
った。今後についてもそれぞれ実施する予定はないという。個別に相談に来る場合には対応する
が、基本的には日本人学生と同じ扱いをするというスタンスだという。
しかし、他大学を見てみると、日本学生支援機構調査による外国人留学生の受入れ数上位 10
大学中、8 つの大学で外国人留学生就職活動向けの web ページや日本人学生とは別の就職支援講
座、セミナー、企業合同説明会を設けるなど何らかのかたちで留学生が日本で職を得るためのサ
ポートを行っている。企業活動のグローバル化が進む中で国籍を問わず人材を集める企業が増え、
留学生の採用は少しずつ増加しているようである。その一方で、日本の新卒就職活動事情をよく
知らず、スタートに出遅れ、準備が不十分のまま選考に挑み、良い成果をあげられない事態を未
然に防ぐためにも、獨協大学においても今後はそのような外国人留学生向けのガイダンスなどを
設け、きめの細かい対応をしていく必要があるのではないかと考える。
以上の 10 の提言は我々が行ったプロジェクトの活動結果をもとに作成され、獨協大学の「国際
交流」をより発展させるという目的で考えられた。一見するとどれも理想主義的なものと捉えら
れてしまうかもしれないが、どの提言も他大学では既に実践されていることばかりである。決し
て獨協大学だから不可能であるということではない。重要なことは、実現させるだけの行動力や
意志があるかどうかである。まずは、本章でも多くのスペースを費やした環境面に関する 4 つ提
言から取り組み、しっかりとした土台を作り上げてから、次の組織面と活動面への段階へと進ん
でくれることを、我々研究班一同は期待したい。
参考資料
桜美林大学 http://www.obirin.ac.jp/
2010 年 3 月 29 日参照。
建国大学 http://www.konkuk.ac.kr/do/Eng/Index.do
2010 年 3 月 29 日参照。
獨協大学 http://www.dokkyo.ac.jp/ 2010 年 3 月 29 日参照。
日本学生支援機構 http://www.jasso.go.jp/ 2010 年 3 月 29 日参照。
早稲田大学 http://www.waseda.jp/top/index-j.html
54
2010 年 3 月 29 日参照。
【付録 4.1.】留学生へのアンケート
Country (
)
Japanese class (
)
Q1. Do you have any opportunities to communicate with Japanese students?
YES / NO
Q2. Do you NEED the opportunity to communicate with Japanese students?
YES / NO
Q3. Do you need to learn Japanese or Japanese culture outside of Japanese classes?
YES / NO
Q4. Are you interested in Japanese chat room conducted by Japanese students?
YES / NO
Q5. If you answered “YES” at 4, what do you want to do at the chat room?
・studying Japanese like Japanese classes
・chatting in Japanese
・chatting in various language
・following up of homework
・learning Japanese culture
・games using Japanese
・others (
)
Q6. Any comments or questions
(
)
55
【付録 4.2.】日本人学生へのアンケート
獨協大学での国際交流についてのアンケート
英語学科工藤ゼミ 研究代表者 松原由佳(4年)
こんにちは。私達は、現在、英語学科の工藤ゼミで獨協大学での国際交流について研究しています。このア
ンケートは、皆さんの学内での国際交流や学内施設の利用状況について知ることを目的としています。ここで
収集された情報は、今後の研究活動や獨協大学での国際交流の現状の改善に役立てたいと考えています。
つきましては、アンケート記入へのご協力をお願いいたします。
(
)学科 (
)年
( 男 / 女 )
◎以下の5つの質問に、ご回答ください。
まずは、獨協大学内での留学生との交流についてお尋ねします。はい、いいえのどちらかに○を付けて
ください。
問 1. 現在、留学生と日常的に接触する機会がある。
( はい/いい
え )
問 2. (さらに)留学生の友達を作りたい。
( はい/いいえ )
問 3. 大学案内(Wissenshaft)で「国際交流が盛んな獨協大学」と謳われているが、その通りだ
と思う。
( はい/いい
え )
問 4. もし留学生と日本語で会話する「日本語チャットルーム(仮)」ができたら、参加もしくは遊びに行きた
いと思う。
( はい/いいえ )
問1∼4 について、何かご意見やご質問等がありましたら、ご自由にお書きください。
56
【付録 4.3.】他大学の先行事例
1.静岡大学(原沢、2009)
静岡大学は、留学生の異文化適応と留学生活の充実度の関係性に注目し、留学生への異文化能
力開発の支援を行うために、留学生と日本人学生双方が参加できる体験型の授業を開設した。
・授業の概要
留学生が履修している日本語授業の中で行われ、その内容を「異文化理解入門」として 2008
年前学期(4~7 月)に行われた。留学生の日本語のレベルとしては主に上級(日本語能力試験 1
級程度)であり、また、より多くの異なる国籍の留学生が参加する意義があることから、中級後
半レベル(日本語能力試験 2 級程度)の学生も受け入れた。留学生には単位が 2 単位認められる
ものであったが、日本人学生は正式な授業でないため、単位は出ず、完全にボランティアとして
の参加であった。
・内容
留学生と日本人学生が文化の違いを話し合い、お互いを刺激し合うことで、よりよい異文化コ
ミュニケーション能力の向上を目指したものであり、参加手法型(シミュレーション、ロールプ
レイ、ブレーンストーミング、カルチャーアシミレーター、自己診断チェック、ディスカッショ
ンなど)によって、グループワークを中心に授業を展開した。さらに、学生の学びが深まるよう
に、3 回に 1 回の割合で小論文を課し、どのような学びや気づきがあったかを教師がチェックし
コメントを記入して返却するという形式をとった。
・効果
多くの学生が体験型の授業を通し、異文化というものを見つめる視点が養われ、お互いの考え
を尊重する重要性に気が付き、よりよい人間関係を築いていく足掛かりを得ることができたと考
えられる。
・問題と改善点
授業の進め方や学習者主体の気づきや学びのありかたについて、戸惑いのある留学生もいるこ
とが判明した。この授業は一般的な教師主導の授業形式と異なることから、授業の狙いや目的を
含め、授業内容をしっかりと学習者に伝えておく必要がある。
2.宮城教育大学(高橋、2005)
宮城教育大学内での留学生と日本人学生双方のさらなる交流を望む声があるにもかかわらず実
際にはそれが達成されていない現状から、その交流のきっかけとして、宮城教育大学では日本人
学生と留学生が共に学べる「異文化間教育論」という講義が開設された。
・講義の概要
「異文化間教育論」は 2003 年度から学部学生を対象として前期に開講される自由選択科目(2
単位)で、主に国際文化専攻の学生の受講が多くみられた。またできるだけ多くの留学生に声を
かけ、多様な国籍の留学生に参加を求めた。
・講義の内容
この講義では、教師からの一方的な講義形式ではなく日本人と留学生とで構成するグループで、
さまざまなトピックについて討論し合いながら相互理解することを目的とした。また、各授業後
に受講者にコメントを書いてもらい、受講者の考えや感想を得た。具体的な内容については以下
57
のシラバスを参照してほしい。
回
月/日
学習項目
教室活動
1
4/8
オリエンテーション
① 仲間探し(ジェスチャーだけで仲間を探す)
クラスの雰囲気作り①
② 自己開示(自己開示の度合いを知る)
③ 初対面の話題(外国人と日本人の会話例から特
徴を考える)
2
4/15
クラスの雰囲気作り②
① 部屋の四隅(同じ嗜好を持つ人と知り合う)
ステレオタイプ①
② ステレオタイプ(各自のイメージをグループの
中で話し合う)
3
4/22
ステレオタイプ②
① ステレオタイプのまとめ(前回の活動を振り返
常識
る)
② 常識とは何か
4
5/13
文化①
① 文化の定義(各自が定義を考え、グループて話
し合う)
② 学校文化「給食」(留学生に日本の学校文化を
紹介する)
・効果
留学生と日本人学生が共に学ぶことによって、交流が生まれ、相互の理解が進み、異文化をさ
まざまな側面から理解しようとする態度を育てることができた。日本人学生にとっては、異文化
を理解する上で、留学生という存在が何にも変えがたい存在であるということが分かった。また、
留学生にとっても日本人学生と共に学ぶことが日本や日本文化を理解することや日本語をさらに
学ぼうという意欲にもつながっていたと言える。
・問題点と改善点
ディスカッションスタイルのため、受講者のグループによって話し合いの進み具合や積極性に
違いが見られた。話し合いが効果的に進むように、教師が介入するなど、何らかの工夫を考えて
くことが必要である。
58
【付録 4.4.】日本語チャットルーム開設のための参加者募集
a)日本語版ポスター
さ ん か し ゃ ぼしゅう
参加者募集
いっしょ
あらた
こ く さ い こうりゅう
ば し ょ
つ く り ま せ ん
一緒に新たな国際交流の場所を作りませんか?
え い ご が っか
く ど う ぜ み
みなさん、こんにちは。英語学科の工藤ゼミです。
わたしたち
4がつ
どっきょう だ い が く な い
こ く さ い こうりゅう
けんきゅう
私たちは4月から獨協大学内での国際交流について研究 しています。
わたしたち
ぐ る ー ぷ
に ほ ん じ ん がくせい
りゅうがくせい
私たちのグループでは、日本人学生と留学生が
き が る
た の し く こうりゅう
ば し ょ
かいせつ
め ざ し て かつどう
気軽に楽しく交流できる場所の開設を目指して活動しています。
ば し ょ
お も っ た
かた
りゅうがくせい
こうりゅう
かた
そんな場所があったらいいなと思ったことがある方。 留学生と交流したい方。
せかい
し
る
さ が し て
かた
ぜ ろ
なに
つ く り あ げ た い かた
世界を知るきっかけを探している方。 ゼロから何かを作り上げたい方。
ど う き
どんな動機でもかまいません。
いっしょ
あらた
こ く さ い こうりゅう
ば し ょ
つ く っ て
一緒に新たな国際交流の場所を作っていきませんか?
きょうみ
かた
さ ん か
かた
か
き
あ ど れ す
興味のある方、参加してみたい方は、下記のアドレスまで!!
さ ん か
お ま ち
参加をお待ちしています!
[email protected]
え い ご が っか く ど う ぜ み
英語学科工藤ゼミ
や ま だ ゆ う すけ
あ さ み な
お
こ
おかだ ゆ
か
り
まつばら ゆ か
山田祐典・浅見菜穂子・岡田有加里・松原由佳
59
b)英語版ポスター
Are you interested in creating
new space for international exchange?
Hello, my friends! how are you doing?
We are the members of Mr.KUDO’s seminar in English Department.
We are doing research on international exchange, particularly on
personal relationships between international and local Japanese
students.
We would like creating some places that will be free entrance.
In these places you could talk or teach whatever you want. And we need
your help to make this project a reality.
If you got interested in it, contact us. And join us!!!!!
[email protected]
Thank you.
Yusuke Yamada, Naoko Asami,
Yuka Matsubara, Yukari Okada
60
【付録 6.1.】活動方法の詳細
ここまでは本プロジェクトの活動結果に基づき、その内容を明らかにし、考察を加えるとい
うプロジェクト結果に対する検証を行ってきた。以下ではそのような結果を得るまでの活動
過程に焦点を当て、どのようなプロセスを踏んだのか、限界点•改善点はなかったのかという
プロジェクト活動過程に対する検証をしていくこととする。また、【付録 6.2.〜6.7.】では
実際に使用した体験記用紙 6 言語を載せているので参照してほしい。
協力体制作り
体験記を配布し回収するにあたって我々メンバーの他に大学側の協力体制を作ることに力を入
れた。大学側の協力が整うことで、体験記の回収率を上げ、今後の体験記活動を円滑に進められ
るようにするためである。ここでは、活動別に協力体制を作る過程を説明する。
1)ポスター
今後のプロジェクトで調査者メンバー4 人のみでは負担が大きすぎる可能性があること、また
日本人学生の視点だけに偏ることなどを回避するために新しく学校全体に協力者を募集した。そ
の方法として、2009 年 6 月 15 日に学校内の様々な場所にポスターを貼付した。ポスターの内容
は、「留学生と日本人学生とが一緒になって 1 つのことにチャレンジしてみたい人」、「フランス
語・ドイツ語・英語・韓国語・中国語のうちどれかに自信がある人」を募集基準とした。ポスタ
ーは日本語と英語の 2 言語で表記し、国際交流センター、ICZ、日本語教室、国際親善クラブな
ど、大学内に掲示した。その結果、6 月 29 日に英語学科の 2 年生 1 名から参加したいというメー
ルを貰い、後日調査者メンバーの 2 人とその学生でプロジェクトの概要説明や協力内容を説明し
た。
だが、夏休み後に活動を再開してから体験記の翻訳作業を通して、その学生に声をかけないま
ま活動を進めてしまい、メンバーから活動の話し合いをするため 10 月のある週のゼミ活動に時間
があれば参加してほしいという内容のメールを送ったものの返信が来ず、その学生との活動はで
きなかった。共に活動できなかった原因として、英語学科の学生から参加したいと連絡があり後
日話し合った時に、何を協力してもらうのかが不明確だったこと、夏休み後に翻訳の作業でメン
バーが忙しく学生との連絡が滞ってしまったことが挙げられる。
2)国際交流センター
最初の訪問
活動目標の今後のプロジェクトを継続するために国際交流センターの協力が必要不可欠である
と考えた。センター側に頼む内容として、①体験記を置くスペースを作り配布する時にセンター
の方から留学生に書いてもらうように促してもらうこと、そして②今後の体験記活動をセンター
側に一任してもらうことが大きな理由である。体験記を作成後、センター側に急な申し出をし混
乱することを防ぐため、予め体験記を完成させる前にセンターを訪問した。6 月 4 日に訪問した
際、メンバー側から活動目的・内容・趣旨を説明し、センター側が把握している留学生について
情報を得た。また、この時に体験記が完成した場合に体験記をセンターの空きスペースに置き、
訪問した留学生に体験記を薦めてもらうよう頼んだところ、快く引き受けてくれた。ただ、
「目的
61
が不明確」ということ、まだ体験記が準備段階で原稿もなかったことから、今後も定期的にセン
ターに赴き活動の進行程度を報告するという約束を双方で交わした。
2 度目の訪問
センターを訪問する前に、協力内容を考えまとめる必要があった。①体験記の回収率を上げる
ために体験記にセンターの名前を記載することでセンターの公認を得ること、②留学生に対して
メールで呼びけ、③体験記用紙を常設し回収場所を設置すること、④回収した体験記を公開する
こと、また⑤プロジェクトが持続可能になった場合に体験記の実施をセンター側が継続すること
を主に提案内容と考えた。同時に協力の提案をするだけでなく、このプロジェクトに協力するこ
とでセンター側にもメリットがあることも明確にした。そのメリットとして、①今後より留学生
の声を把握することが可能になること、②獨協大学の国際化に対する宣伝材料になることをあげ
た。
体験記の 2 度目の訪問は夏休み後の 10 月 16 日にメンバー2 名がセンターに行き、前回と同じ
担当者と話した。資料として渡したのは、体験記は翻訳作業が途中だったため既に完成していた
中国版と日本語版、体験記回収箱、協力提案書である。
結果的に、センター側の了承を得られたのは、体験記の常設・回収箱の設置・体験記を公開す
ること、センターに来た留学生に体験記の記入を薦めることのみであった。体験記にセンターの
名前を載せられない理由として、
「ひとつのゼミに対して国際交流の名前をいれること」はセンタ
ー側としては受け入れられないということだった。また、このプロジェクト自体がまだ持続可能
なのか分からないため、来年度もセンター側が自主的にプロジェクトを薦めるかについては言及
できないということだった。全体的に「協力はする」が、体験記のプロジェクトを一任すること
は「仕事」が増えることになり、センターの方の負担になるため引き継ぐ可能性は低いというこ
とだった。
3 度目の訪問
3 度目の訪問の目的は翻訳が仕上がった 5 言語全ての体験記の原稿をセンターに設置し、同時
に回収箱も設置するためである。センターの余ったスペースに設置し、公開する場合の閲覧場所
の確認も行った。今後、体験記配布の際にセンター側に全面的に任せるのではなく、メンバーも
定期的にセンターに赴き配布を手伝うこと、またセンター以外でもメンバーが自主的に体験記を
配布することを約束した。
ここで、半年間、国際交流センターという組織と関わったことで新たに分かったことを述べて
みる。センター側は新たな「仕事」が増えることを危惧していることは上述したが、その背景と
して現在のセンターで働く職員の数が不足していることが考えられる。新たな仕事を引き受ける
には全体の話し合いをもって決定しないといけないとセンターの担当者が話していた。
また、センターの担当者が「工藤ゼミだけに名を挙げて協力はできない」、「担当者の一存でセ
ンターの名を行使できない」と言っていたことも国際交流センターの存在意義を考える上で重要
だと感じる。この発言から組織が持つ権限の弱さ、不自由さが伺えないか。学生という立場から
できることは全て実行できたと思うし、形になったと思うが、学生が出来ることの限界を痛感し
た。だが、同時に同じ学生である多くの留学生の協力や、英語学科の学生の協力によってこのプ
ロジェクトは成り立っているということも同時に痛感し、協力してくれたセンターの方々や先生
62
方、そして学生たちに感謝を表したい。
体験記作成
体験記の作成は 2009 年 7 月から同年の 11 月まで行った。作成の手順としては、まずは日本語
で体験記を完成させ、その後 5 か国語(ドイツ語、英語、フランス語、中国語、韓国語)に翻訳
するという形をとった。体験記完成までの具体的な活動方法は以下の通りである。
1)国際交流センター
留学体験記を自分たちで1から考えるのは骨折りだと考えたため、既存の留学体験記を参考に
することにした。そこで、国際交流センターにある、日本人留学生を対象とした留学体験記を参
考に作成した。その際、考慮した点は、日本人留学生向け体験記は、読み手をこれから留学する
日本人学生としているのに対して、今回作成するのは、獨協大学に留学中の学生を読み手とする
体験記であるということである。つまり、在学中の留学生に対する留学ガイドブックというのが
体験記作成の趣旨である。この目的の違いを明確にしたうえで、オリジナル体験記の作成に着手
した。
2)アンケート実施
体験記作成を進める中で、我々日本人学生だけでは体験記に何を盛り込めばいいのか不明確で
あった。そのため留学生にアンケートを行い、トピックの決定に役立てた。方法としては、まず、
国際交流センターにある日本人向けの留学体験記を参考にして、体験記に必要と思われるトピッ
クを列挙し、アンケートとしてまとめ、その項目が体験記に必要か否かを留学生に記入してもら
う形をとった。また、アンケートの冒頭部分には、アンケートの趣旨の簡単な説明と、体験記作
成に賛成かどうかを問う記入欄を設けた。また、アンケートは英語・中国語・韓国語にそれぞれ
翻訳し、留学生が容易に回答できるよう工夫した。
アンケートの実施に際しては、班員だけでは留学生とのネットワークが不十分であったため、
日本語授業の時間を利用し、留学生にアンケートを行った。2009 年 6 月 12 日に日本語授業の研
究室に許可をもらいに行ったところ、直接日本語授業の担当教員に許可をもらいに行く必要があ
るということだったので、6 月 17 日にアンケートを行う予定であった日本語クラスの教員のとこ
ろへ赴いた。その結果、快く許可をもらい、翌週の 6 月 24 日に授業の最初の 5 分で、アンケー
トを行った。
実施したアンケートは全部で 20 部回収でき、結果は、17 人が体験記作成に好意的であること
が判明した。また国際交流センターに公開することに対しての反対は半数以下であった。集計結
果として、回答者である体験記に 20 人が必要だと思うトピックの上位 10 項目は、順位を追って
記すと、出身国、印象に残ったこと、これから来る留学生へのアドバイス、満足していること、
苦労したこと、旅行・アクティビティ、留学後の将来、周辺環境、専攻、私費留学もしくは交換
留学となった。逆に必要でないとされた項目は、病院、少人数授業、職員の対応、ゼミ、遊び、
健康であった(順不同)
。
アンケート実施は当初の予定より一週間遅れたものの、今後の方向性を決める重要なデータと
なった。
63
3)体験記の内容
アンケートの結果をもとに、回答者である 20 人の留学生が体験記に必要だと考えるトピックに
加えて、我々が重要だと思うトピックを盛り込んだ体験記を作成した。工藤先生による添削の結
果、「留学生と一緒に作成したほうが質のよいものができるかもしれない」、というアドバイスを
受け、留学生1名に協力を要請した。
7 月 8 日に班員の1人が協力者である留学生と会い、体験記の問題点や改善点などのアドバイ
スを受けた。それをグループ内で共有し、体験記を改良したうえで 7 月 17 日に再び同人物と会談
した。その後、再度先生に添削を依頼し、メンバーによる修正が何度か行われ、体験記は格段に
改良された。さらにそれをもとに班員で改善し、また添削してもらう、このようなやり取りを 4
回ほど繰り返し、私たち 4 人の日本人学生と、1 人の留学生の意見を包括した満足のいく体験記
が完成した。
4)言語の問題
留学生に日本語と母国語のどちらで回答してもらうかということが大きな問題となった。協議
の結果、体験記の趣旨が、今後留学に来る留学生の手助けになるものであるということと、渡日
まもない留学生のことを考慮し、母国語で書いてもらうこととした。また、協力者のアドバイス
から、日本語・母国語、両方の体験記を作成した。
ここでいう母国語とはドイツ語、英語、フランス語、中国語、韓国語の 5 つの言語であり、そ
れぞれに翻訳した。これらの言語は、国際交流センターに調査しに行った際、獨協大学に在学し
ている留学生は上記の 5 か国の出身がほとんどだという情報を得たためである。この多様な言語
を踏まえて体験記を作成する場合、共通言語を設けず、日本語での記入が可能な程度の日本語能
力を持っている人以外は、基本的にそれぞれの母国語を用いて書いてもらうこととした。その理
由としては、まず留学中、特にこれから来る留学生を読み手として意識しているため、最も利用
頻度が高いであろう留学開始時に、日本語や英語で書かれた体験記を読んでも、言語的な理由で
理解できず、留学生の役に立たない可能性があるからである。そのため、彼らの母国語で書いて
もらったほうが、理解しやすいだけでなく、共通の母語をもつ人同士の方が似通った問題やアド
バイスを求めているのではないかと考えたからである。また、日本に留学に来ているとはいえ、
約 5 ページにもわたる体験記を、自由記述も何項目かある中、全編日本語で書いてもらうには留
学生にとってかなりの負担になるという意見を留学生からアドバイスとして受けたため、体験記
の回収率を上げるためにも母国語での記入を選んだ。
しかし、母国語での体験記の場合、各々の留学生にとって他言語は日本語以上に理解度が低い
であろうと思われるため、母国語以外の言語で書かれた体験記へのアクセスが制限される可能性
がある。それにより得られる情報が母国語からのものに限定され、情報量が少なくなるという問
題もある。
5)体験記の配布•回収
私費留学生への配布活動は 2009 年 11 下旬から継続的に 2010 年 1 月中旬まで行った。ここで
は各言語に翻訳し、完成した体験記用紙をどのような方法で配布をし、回収までのプロセスを踏
んだのかを明らかにし、そのプロセスに対して検証を行いたいと思う。
配布の方法は国際教養学部、経済学部で演習(ゼミ)を担当してる先生 71 名のうち、34 名に
64
「ゼミに留学生が所属していれば体験記の用紙を配布させて欲しい」という趣旨の協力依頼メー
ルを送った。そのうち 20 名から返信があり、
「留学生が在籍しており、協力可能である」と答え
たのは 6 名であった。さらにメールアドレスを公開していない先生に関してはの手紙を作成し、
研究室のポストに入れ協力を依頼した。14 名に手紙を送り、2 名から反応があり、どちらも協力
を了承した。最終的には、71 名のうち 48 名に協力を依頼し、留学生がおり協力したのは 8 名で
あり、全体の 11%であった。
依頼する先生を選んだ基準として、国際教養学部では演習授業をもち、留学生が専攻しないと
思われるスペイン語や英語を専門としていない先生で、経済学部では演習 1、演習Ⅱa、b を担当
している先生とした。法学部、外国語学部は一般的に留学生が専攻しないのではないかという考
えから除外した。
6)穏やかな強制力
では、配布のプロセスについてより詳しくみていくことにする。今回このゼミを利用した配布
方法を採用した背景には「私費留学生の実体のなさ」がポイントとなった。まず、交換留学生の
場合、殆どの学生が日本語授業という日本語の授業を毎日履修しており、その教室に行けば彼ら
とコンタクトをとることは可能である。また、国際交流センターは交換留学生の連絡先を把握し
ているため彼らに情報を発信することも出来る。つまり、交換留学生に関しては体験記用紙を配
布することは決して難しいことではない。
しかし、私費留学生の場合は各学部に所属し日本人学生と同じような学生生活を送っている。
交流センターも私費留学生に関しては連絡先を把握できてはいないという。そのため、彼らの居
場所を特定し、どのようにコンタクトを取り、用紙を配布するか非常に頭を悩ませた。そこで考
えた方法が①信頼性の重視と②強制力の重視である。信頼性重視では留学生と友好関係を築くこ
とで信頼性を高めることで協力を引き受けてもらうという方法である。配布の方法をある中国人
私費留学生に相談したところ、
「中国人はバイトなどで忙しいから自分のメリットにならないと感
じたり、いきなり見ず知らずの人から協力して欲しいと言われても簡単には了承しないと思う。
」
という回答が返ってきた。確かに既に友達関係になっていた交換留学生に対しての協力依頼はこ
ちらの事情も知っているのでスムーズに進み、手応えを感じてはいた。しかし、会って話しをす
ることもままならないのにも関わらず、100 名以上も在籍しているとされる私費留学生一人ひと
りと仲良くなり、信頼関係を築くことは不可能であった。
そして最終的に採用した方法が「穏やかな強制力」である。これは誰が留学生に強制力を行使
するのかという点が重要であり、それは彼らが所属するゼミの先生である。体験記の回収率を上
げるためには、ある程度の強制力が必要であるという結論に至った。ただ、獨協大学や国際交流
センターのような留学生に対し力を持った大きな組織からの強制力では緊張理論のように逆に反
発を招く可能性がある。また一方で、工藤ゼミのような留学生と面識のない組織ではお互いの関
係が確立されておらず、強制力は効力を持たない。しかし、ゼミの先生の場合は留学生にとって
身近な存在であり、結果的に訪問したゼミにおいて留学生と先生との関係性は良好であるという
印象を受けた。つまり、まずはゼミの先生に我々のプロジェクトの趣旨を理解してもらい、協力
関係を築き、先生からの程よい強制力によって「先生の頼みなら・・・」と留学生と我々との関係性
を築くことを可能にした。このように私費留学生の 2 年次以降のゼミの履修率の低さ、あるいは
私費留学生自体の在籍数の少なさには驚いたが、このゼミと強制力を利用した方法は有効である
65
ということが明らかとなった。
7)体験記回収 BOX
また、回収方法に関しては国際交流センターに体験記回収 BOX を設置したことがポイントで
あったと考えている。体験記は自由記述を含み全部で 5 ページに及んだ。授業の合間に配ること
が多く、その場で記入•回収することは時間的に難しかった。多くの場合、体験記が完成したら国
際交流センターにある体験記回収 BOX に提出するように指示した。この回収 BOX の存在がその
場で体験記を記入する必要性を無くし配布時間の短縮につながった。また、留学生にとっても「そ
の場」というプロジェクト側からの一方的な押しつけではなく、時間がある時に記入し、提出す
れば良いという時間的余裕を与えることで協力することへのハードルを下げることに貢献したと
言える。
一方で配布の効率性には貢献したものの、回収率向上にはあまり貢献しなかったと言える。配
布したその場で記入時間を取り、回収する場合と比べどうしても回収率が悪い。配布から時間が
経つことで強制力が薄れ、提出されず配ったままというケースが多かった。留学生 35 名程に配布
したが結局 11 部しか回収することが出来なかった。もちろん、「配布→その場で回収」という手
順が理想的だが、回収方法、時期を含め今後は如何にして回収率を上げるのかということが課題
となる。
このように配布と回収については、工藤ゼミの全体プロジェクト立ち上げ当初、忙しい中国人
私費留学生と関わることは困難であるという意見が多かったが、結果的に回収した体験記の多く
は中国人からのものが占め、予想を良い意味で裏切った。これを実現させたのがゼミを活用した
「穏やかな強制力」と「体験記回収 BOX」であった。回収方法については今後も改善が求められ、
確実性を向上させることがポイントであると言える。
66
【付録 6.2.】日本語版留学体験記用紙
留学体験記
く どう
英語学科工藤ゼミ 白鳥愛澄、大杉恵美佳、館林瑛司、大場友美香
みなさん、こんにちは。
く どう
こくさいこうりゅう
現在、英語学科の工藤ゼミで獨協大学での国際交流について研究しています。研究のひとつとし
て獨協大学に来ている留学生を対象に留学体験記を作成しています。獨協大学での学生生活する
て がる
じょうほうしゅだん
上でのガイドブックとして、留学生が手軽に情報を得られる情報手段としてこれから来る留学生
に役立ててもらいたいと思っています。
みなさんの獨協大学での生活、経験を記録に残させてください。ご協力をお願いします。
とくめい
体験記の内容の一部を匿名で獨協ニュースに載せても構いませんか?
□はい/□いいえ
とくめいせい
氏名と連絡先は匿名性を守るため体験記には載せませんが、こちらからご連絡する可能性があり
ます。ご記入お願いします。
氏
名:
P C ア ド レ ス:
67
地域
□国費留学
性別:□男/□女
□交換留学
留学期間
年
留学開始時の日本語や
□私費留学
他言語のレベル
留学の種類
出身国
作成日:
年
月
□日本語検定
日
級
□ TOEFL/□TOEIC
/
点
□その他(
)
月〜
年
*ある場合のみ記入
月
せんこうぶんや
留学前の主な専攻分野または日本語学校での学習内容
次の質問にお答えください。
Ⅰ.授業について
1.学部の授業
せんこう
①獨協大学での学部と専攻は何ですか?
学部:
せんこう
/専攻:
②全体的に見て、授業の進め方や内容はどうですか?
□満足/□まあまあ/□やや不満/□不満/□どちらともいえない
理由:□板書用のスライド展開が早かった/□授業の進む速度が早い/□教室がうるさかった
/□レジュメがちゃんと配られた/□レジュメが配られなかった/
□その他
③授業はどのくらい理解できていますか?
日 本 語:□ほとんど理解できた/□半分ぐらい理解できた/□少ししか理解できなかった/
□全く理解できなかった
専 門 用 語:□ほとんど理解できた/□半分ぐらい理解できた/□少ししか理解できなかった/
□全く理解できなかった
④おすすめの授業は何ですか?
先生/科目名:
理由:□内容が面白かった/□留学生がたくさん出席していた/□テストが簡単だった/
□日本語が聞き取りやすかった/□出席をとらない授業だった/
□その他
68
⑤授業中に努力したことは何ですか?(例:わからないところはすぐに質問する)
⑥授業外では何に重点を置いて勉強をしていますか?(例:予習•復習、単語を覚える)
2.日本語授業
①どの日本語クラスに所属していますか?(体験記記入時現在)
りしゅう
□初級/□中級/□上級①/□上級②/□履修していない
②授業の進め方や内容はどうですか?
□満足/□まあまあ/□やや不満/□不満/□どちらともいえない
理由:□内容が面白かった/□留学生がたくさん出席していた/□テストが簡単だった/
□日本語が聞き取りやすかった/□出席をとらない授業だった/
□その他
③授業の日本語はどのくらい理解できますか?
□ほとんど理解できた/□半分くらい理解できた/□少ししか理解できなかった/
□全く理解できなかった
と くい
に がて
④日本語について最も得意なものを1、最も苦手なものを4として順に番号をふってください。
(例:③聞く/①書く④読む/②話す)
○聞く/○書く/○読む/○話す
と くい
に がて
上記の得意なもの(①)を伸ばす方法と苦手なもの(④)を克服する勉強方法をそれぞれ教え
てください。
①
④
⑤日本での日本語学習(学習方法、教材)で、役に立ったと思うものがあれば記入してくださ
い。
Ⅱ.イベント、部活•サークルについて
1. 獨協大学でのイベント
こくさいこうりゅう
①獨協大学で行われるイベントに参加したことがありますか?(国際交流パーティ、学園祭
など)
69
□けっこう参加した/□時々参加した
→ ★1 へ進んで下さい
□ほとんど参加しなかった/□全く参加しなかった → ★2 へ進んで下さい
★1 上記で「けっこう参加した」、「時々参加した」と答えた方にお聞きします。
にゅうしゅ
⑴イベントの情報はどのように入 手 しましたか?
□ポスターを見た/□獨協大学のホームページを見た/□友人から聞いた/□国際交流センタ
ーで知った/
□その他
⑵参加した目的、理由は何ですか?
⑶おもしろかったイベントは何ですか?
イベント名:
理由:
⑷つまらなかったイベントは何ですか?
イベント名:
理由:
★2 上記で「ほとんど参加しなかった」、
「全く参加しなかった」と答えた方にお聞きします。
⑴参加しなかった理由は何ですか?
□イベントの存在を知らなかった/□参加したいと思わなかった/□参加する時間がなかっ
た/□イベントには参加しないと決めている/
□その他
2. 部活・サークル
① 部活•サークルには入っていますか、あるいは入っていましたか?
●□はい/部活•サークル名:
理由:
⑴参加してよかったこと・わるかったこと
●□いいえ
理由:
70
⑴参加しなくてよかったこと・わるかったこと
しょうがくきん
Ⅲ.*次の「1.奨 学 金 について」、「2.アルバイトについて」、「3.住居について」はどれか少なく
とも1つ選択して記入してください。
しょうがくきん
1.奨 学 金 について
しょうがくきん
①奨 学 金 はもらっていますか?
●□はい
ふ たん
理由:□勉強に集中したいから/□アルバイトだけでは不十分だから/□家族に負担をかけた
くないから/
□その他
⑴その金額に満足していますか?
□はい/□いいえ
●□いいえ
理由:□経済的に余裕があるから/□アルバイトだけで十分だから/
□その他
2.アルバイトについて
① アルバイトはしていますか、あるいはしていましたか?
ひ んど
●□はい/アルバイトの種類:
/頻度:1 週間
日/1日
理由
●□いいえ
理由
りょうりつ
② アルバイトと勉強は両 立 できていますか?
□はい/□いいえ
理由
3. 住居について
①住居の種類:
りょう
□大学の 寮 (清水マンション)/□アパート,マンション/□ホームステイ
□その他
②住居での生活、部屋を選ぶポイントなどについて自由に書いてください。
71
時間
Ⅳ.留学して感じたことなど
下記の4つのトピックの中から少なくとも2つ選んで自由に記述してください。
1.印象に残ったこと
2.満足したことあるいは苦労したこと
3.留学後の自分の将来について
4.これから来る留学生へのアドバイス
Ⅶ.日本の生活で役立つ情報サイト

在住外国人のための他言語生活ガイド
http://www.hyogo-ip.or.jp/livingguide/index.html

他言語生活情報
http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html
ご協力ありがとうございました!!
72
【付録 6.3.】中国語留学体験記用紙
留学体验记
英语专业工藤讨论发表会 白鸟爱澄、大杉惠美佳、馆林瑛司、大场友美香
诸位,你们好。
现在,作为英语专业工藤讨论发表会的研究之一,在独协大学的把留学生作为对象制作着留学体验记。
我们想作为在在独协大学发送学生生活上旅
游指南,供请留学生作为简单
得信息的一种手段为今后来的留学生们使用。请无许让我记录诸位在独协大学里面的生活和经验。
完成了的体验记为国际交流中心和 ICZ 设置。
拜托您和我合作。
对体验记的内容的一部分用匿名在独协新闻上刊登也不介意吗?
□是/□不
姓名和联络处是为了保持匿名性作为体验记不登载,不过,有从这边联络的可能性。请记入一下。
姓
名
PC 地 址
作成日:
73
年
月
日
地域
□公费留学
性别:□男/□女
□交换留学
留学期间
年
月〜
年
留学开始的时候的日语和
□私费留学
其他语言的水平
留学的种类
出身国
□日语审定
级
□ TOEFL/□TOEIC
/
点
□其他(
)
*只记入有的
月
留学前主要的专业领域或在日语学校的学习内容
请对下面的问题回答。
Ⅰ.授课
1.系的授课
①在独协大学的系和专业是什么?
系:
/专业:
②全部性地授课的步骤和内容怎样?
□满足/□大致满足/□稍稍不满/□不满/□哪一ケ都不能说
理由:□板书用的幻灯片展开快/□授课前进的速度快/□教室吵闹/□摘要好好地分配/□摘要
没分配/
□其他
③授课多少能理解?
日
语:□几乎能理解/□一半左右能理解/□稍稍不能理解/□完全不能理解
专 业 术 语:□几乎能理解/□一半左右能理解□稍稍不能理解/□完全不能理解
④有什么可推荐的课?
老师/科目名
理由:□内容有趣/□留学生出席者很多/□试验简单/□日语容易听见/□是不取出席的授课/
□其他
⑤为了授课正在努力做的事是什么?(例子:不明白的地方马上质询)
74
⑥除了课堂以外的学习重点是什么?(例子:预习、复习、记单词)
2.日语授课
①从属于哪个日语级?(体验记记入的时候现在)
□初级/□中级/□上级①/□上级②/□没学完
②授课的步骤和内容怎样?
□满足/□大致满足/□稍稍不满/□不满/□哪一ケ都不能说
理由:□内容有趣/□留学生出席着很多/□试验简单/□日语容易听见/□是不取出席的授课/
□其他
③授课的日语多少能理解?
□几乎能理解/□一半左右能理解/□稍微以外不能理解/□完全不能理解
④1 关于日语最擅长的东西、请按照难易的顺序填写号码。
(例子:③听/①写④读/②说)
○ 听/○写/○读/○说
⑤请告诉如何克服困难提高日语能力水平的方法。
①
④
⑥从国内带来的对日语学习有帮助的东西(学习方法,教材),如果有请记上。
Ⅱ.活动,俱乐部活动•小组
1.
在独协大学的活动
①在独协大学进行的活动中是不是参加过?(国际交流聚会、学园祭等)
□都参加/□経常参加
→
□几乎没参加/□完全没参加
请进入★1
→ 请进入★2
★1 对只在上述回答了「相当参加了」,「时常参加了」质询。
⑴从哪里得到活动信息?
75
□看了海报 □看了独协大学的主页 □从朋友那里听说了 □在国际交流中心知道了
□其他
⑵参加了的目的,理由是什么?
⑶有趣的活动是什么?
活动名:
理
由:
⑷无聊的活动是什么?
活动名:
理
由:
★2 在只在上述回答了「几乎没参加」,「完全没参加」质询。
⑴没参加的理由是什么?
□不知道活动的存在/□我没想参加/□没有参加的时间□决定不参加任何活动/
□其他
4. 俱乐部活动・小组
①俱乐部活动・小组参加着,还是参加着?
●□是/俱乐部活动・小组名:
理由:
⑴可以参加的事・坏的事
●□不
理由
⑴不参加好的事・坏的事
Ⅲ.*以下「奖学金」
,「打工」,「住所」请哪个至少选择 1 个记上。
1. 奖学金
76
①是不是得到奖学金?
●□是
理由 □想集中在学习/□仅仅打工不足/□不想在家庭上挂上负担/
□其他
⑴对现在的金额是不是满足?
□是/□不
●□不
理由 □经济上面有富余/□只是打工就好/
□其他
2.打工
③ 做着打工,还是没做?
●□是/打工的种类:
/频度:1 周
理由
●□不
理由
④ 打工和学习是不是能两立?
□是/□不
理由
5. 住所
①住所的种类
□大学的宿舍(清水高级公寓)/□公寓,高级公寓/□Homestay/
□其他
⑤ 住所的生活,请关于选择房间的重点等等自由写。
Ⅳ.留学中得到的经验和觉得有意思的事
请从正在下列的 4 个话题至少选 2 个自由记述。
1.记忆中的事
2.满足的事或者辛苦的事
3.关于留学后的自己的将来
4.对今后来的留学生的劝告
77
日/1日
时间
Ⅶ.对在日本的生活的外国人的有用的信息网站

在住外国人のための他言語生活ガイド
http://www.hyogo-ip.or.jp/livingguide/index.html

他言語生活情報
http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html
多谢合作!!
78
【付録 6.4.】英語版留学体験記用紙
Report of Your Own Experience in
Dokkyo
-Information Book for Upcoming StudentsEnglish Course, Kudo-seminar:
Azumi Shiratori, Emika Osugi, Eiji Tatebayashi, Yumika Ohba
We are currently studying about international exchange of students here in Dokkyo, and
are trying to get the data based on your experience of being a transfer student so we can
make an information book for the upcoming students. We appreciate your cooperation.
Is it ok if the questionnaire you filled out is on the school paper? We promise that it will
be anonymous.
□Yes/□No
We will not provide your name and the email address on the book, but could you share
your information below so that the students can contact you if needed?
Your name:
Email address:
Date:
79
.
.
City
Sex:□M/□F
Terms of studying
∼
□Privately
financed
□
Government-fin
anced
Qualifications
Type of studying abroad
Home country
□日本語検定
級
□ TOEFL/□TOEIC
/
□other(
□Exchange
)
*If you have any
Major before studying in Dokkyo
Please fill in the blank below.
Ⅰ. Class
1. Classes of your major
①
What is your major in Dokkyo?
Department:
/Major:
② how do you like the classes you’re in? What is your impression?
③ how well do you understand what the professor say?
Japanese:□Most of them/□OK/□Few/□Not at all
Technical terms:□Most of them/□OK/□Not at all
④ The best class you have ever taken!
Sensei/Class:
Because:
⑤ Did you work hard so that you can get a good grade? If so what did you do?
80
⑥ What did you especially work on after school?
1. Japanese Class
① Level of your class
□Primary/□Intermediate/□Honors/□N/A
②
How do you like the classes you’re in? What is your impression?
③ How well do you understand what the professor say?
□Most of them/□OK/□Few/□Not at all
●Your language skill
Listening/Writing/Reading/Speaking
Please place them in order.
1.
2.
3.
4.
●How do you study on each one? Please answer only in case 1 and 4.
1.:
4.:
③ Books you recommend to learn Japanese
Ⅱ. School activities/Communities
6. Activities in Dokkyo
①
Have you attend any activities here in Dokkyo?
Ex) International parties, school festival
□Yes
→
go to ★1
□No
→
go to ★2
★1
⑴How did you get the information?
81
⑵Purpose:
⑶ The best activity you have attended
Because:
The worst one (if any)
Because:
★2
⑴ What is the reason of not participating in those activities?
7. Clubs/Sports
Do /did you belong to any sports club or communities?
●□Yes
The name of the club:
The reason you attended:
⑴Good/Bad thing about the club
●□No
I didn’t get involved in any of them because:
⑴Good/Bad thing about not being in a club
82
Ⅲ.* Please answer at least one of the following categories.
1. Scholarship 2.Part-time jobs 3.Housing
1. Scholarship
①Are you on a scholarship?
●□Yes
If so, why is that?
⑴Are you satisfied with the amount?
□Yes/□No
●□No
Because:
2 Part-time jobs
Do/Did you have any part-time job?
●□Yes/ What do you do?
/
days in a week/
hours a day
The main reason of working:
●□No
I don’t have a job because:
⑥ Do you keep up both schoolwork and a part-time job?
□Yes/□No
How do you manage that?
8. Housing
□dorm room (清水マンション)/□apartment/□home stay
□other
⑦ What is the most important factor you think when you choose a house?
Ⅳ.Small Essay
Please choose at least 2 of the following topics and write small essays.
83
1. What impressed you most here in Dokkyo?
2. What you are satisfied. / What put you to trouble?
3. Your future plan after studying here in Dokkyo.
4. Advices for upcoming students from your country.
Ⅶ. The good information sources

在住外国人のための他言語生活ガイド
http://www.hyogo-ip.or.jp/livingguide/index.html

他言語生活情報
http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html
Thank you for your corporation.
84
【付録 6.5.】フランス語版留学体験記用紙
Un dossier de l'expérience etudier à l'étranger
Le seminaire Kudo a anglais section: Azumi Shiratori, Emika Osugi,
Eiji Tatebayashi, Yumika Oba
Bonjour.
Nous voulons faire une brochure pour un etudiant etranger qui vient a partir de maintenant.
Par consequent je veux que vous repondiez a un questionnaire au sujet de l'experience au Japon.
Est-ce que je peux utiliser ce questionnaire pour un livre de l’informations de Dokkyo
universite?
□oui/□non
Je n'ecris pas votre nom et adresse de courrier electronique dans le livre.
Mais, s'il vous plait ecrivez l'adresse de courrier electronique comme votre nom afin qu'un
etudiant etranger puisse envoyer un email a vous
Un nom plein:
Une adresse PC:
_______________________
La date de faisant :
85
Un pays de place natif:
Le genre des etudes
Le niveau de japonais et
a l'etranger
autres langues
Une region :
de temps
apres etudier commencant a
□etudiant a
l'etranger
Sexe:□homme /□femme
l’etranger
□examen probatoire de
La periode lorsque j'ai etudie a
non-boursier
japonais :classe
l'etranger
□ etudiant a
la depenses de
□ TOEFL/□TOEIC
Note:
l’etat
/
□ etudiant venu
dans le cadre
□ Autres
( l'ecris s'il y a
d’un e nchange
l’autres.)
Ayant etudie a une universite avant de venir pour etudier a l'etranger :
Ayant etudie a une universite japonaise :
Veuillez repondre a la prochaine question.
Ⅰ. Au sujet d'une classe
1. La classe du departement
①Quelles sont votre departement et specialite dans Universite Dokkyo?
Un departement:
/ Specialite:
②Comment au sujet du chemin et le contenu de la classe?
□satisfait/□comme ci comme ca/□quelque mecontentement /□mecontentement/□ne le
comprends pas
La raison:□Le changement de la diapositive est trop tot /□Comment mener des classes
est rapide /□Une classe est bruyante/□L'etudiant obtient un resume /□n'obtiens pas
de resume□Autres
③Combien est-ce que vous compreniez la classe?
Japonais:□capable de comprendre presque tout a fait/□Generalement j'etais capable
de comprendre/□J'etais capable de comprendre demi /□J'etais capable de
comprendre un peu /□Je n'etais pas capable de comprendre a tout
86
Terme technique: □capable de comprendre presque tout a fait/□Generalement j'etais
capable de comprendre/□J'etais capable de comprendre demi /□J'etais capable
de comprendre un peu /□Je n'etais pas capable de comprendre a tout
④Quelle est la classe recommandee?
Professeur:
/titre de la classe:
La raison: □ Le contenu de l'histoire etait interessant/ □ Il y avait beaucoup
d'etudiants etrangers dans la classe /□Une epreuve est simple/
□C'etait facile d'entendre japonais/□Il n'y a pas la confirmation du presence/
□Autres
⑤Quel genre d'efforts est-ce que vous avez fait pendant classe?
[exemple : Lorsque je ne le comprenais pas, je pose une question a un professeur ou
un ami]
⑥Quand n'est pas de classe, quel genre d'etude est-ce que vous faites?
[exemple :preparation, revision, apprends les mot]
2.La classe de japonais
①Quel niveau est-ce que vous appartenez?
□niveau elementaire/□moyen/□niveau superieur①/□niveau superieur②/□ne suivre
la classe de japonais
②Comment au sujet du chemin et le contenu de la classe?
□satisfait/□comme ci comme ca/□quelque mecontentement /□mecontentement/□ne le
comprends pas
La raison: □C'etait contenu interessant/□Il y avait beaucoup d'etudiants etrangers
dans la classe/□□Une epreuve est simple/□C'etait facile d'entendre japonais/
□Il n'y a pas la confirmation du presence/
□Autres
③Combien comprendre le japonais a utiliser par une classe?
87
□capable de comprendre presque tout a fait/□Generalement j'etais capable
de comprendre/□J'etais capable de comprendre demi /□J'etais capable de
comprendre un peu /□Je n'etais pas capable de comprendre a tout
④Veuillez mettre un nombre sur une chose fiere en japonais
(exemple:③ecouter/①ecrire④lire/②parler)
○ecouter/○ecrire/○lire/○parler
Ce domain vous choisi mentionne, Enseignez-le un chemin de l'etude de ① et ④.
①
④
⑤Veuillez enseigner une chose utile par etude japonaise(moyen de etudier ou materiel
pedagogique).
Ⅱ.manifestation ou festival, activite recreative,club
9. Manifestation a Dokkyo universite
①Est-ce que vous avez participe a un evenement execute dans Universite Dokkyo?
(reunion de echanges internationaux,fete de l’universite,etc. )
□participer bien/□participer parfois
→ reponds a question ★1
□ne participer presque jamais/□n’ai jamais participer →reponds a question★2
★1
Une personne repondre a ce question ‘participer bien’ou‘participer parfois’
(1) Comment est-ce que l'information de l'evenement a fait l'acquisition?
□J'ai regarde un poster/□J'ai regarde l'homepage d'Universite Dokkyo/□J'en ai eu
des nouvelles de d'un ami/□Je le savais dans centre de l'echange international/
□Autres
(2) Pourquoi est-ce que vous avez participe dedans?
(3) Quel est l'evenement interessant?
Le nom de l'evenement:
La raison:
88
(4) Lequel est l'evenement emousse?
Le nom de l'evenement:
La raison:
★2
Une personne repondre a ce question ‘ne participer presque jamais’ ‘n’ai jamais
participer’ ‘
(1) Pourquoi est-ce que vous n'avez pas participe?
□Je ne savais pas qu'il y avait un evenement/□Je n'ai pas ete interesse/□Je n'avais
pas de temps de participer/□C'est une coutume pour ne pas participer a un evenement
□Autres
10. activite recreative,club
①Est-ce que vous appartenez au activite recreative ou club? Ou est-ce que vous avez
appartenu?
11. ●□oui/ Le nom de activite recreative ou club :________________
_
La raison:
(1) Une bonne chose, une mauvaise chose ayant appartenu a la
●□non
La raison:
⑴ Une bonne chose ou une mauvaise chose ayant n’appartenu
Ⅲ.*Vous en choisissez au moins un de ceci, et s'il vous plait reponse
1.bourse d’etudes
①Vous-avez toucher une bourse?
●□oui
La raison:□je veux concentrer sur etude/□Je manque seulement d'argent par un travail
a mi-temps/□Je ne veux pas mettre un fardeau sur une famille
□Autres
89
⑴Est-ce que vous êtes satisfaits avec le montant d'argent?
□oui/□non
●□non
La raison:□Je l'ai a epargner economiquement/□J'attrape seulement assez d'argent
par un travail a mi-temps/
□Autres
2. mi-temps
⑧ Est-ce que vous travaillez a mi-temps au Japon?
●□oui/Le genre du travail a mi-temps:
semaine
/frequence: per une
/per jour
La raison:
●□non
La raison
⑨ Est-ce que l'etude peut etre compatible avec un travail a mi-temps?
□oui/□non
La raison:
12. logement
①Le genre de la maison:
□pension (shimizu apartement)/□apartment/□Homestay
□Autres:
⑩ Veuillez l'ecrire au sujet de points pour choisir la piece.
Ⅳ. L'impression des etudes a l'etranger
Vous choisissez le minimum deux d'un ou deux, trois ou quatre, et s'il vous plait l'ecrivez.
1. Ayant gagne a travers jusqu'a une impression
2. Eu ete satisfait ou ayant eu un temps dur
3. Approximativement un futur apres les etudes a l'etranger
4. Le conseil a un etudiant etranger qui vient a partir de maintenant
90
Ⅶ. Le site de l'information qui est utile par la vie japonaise

Un guide pour etrangers qui habitent au Japon
http://www.hyogo-ip.or.jp/livingguide/index.html

Information vivante
http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html
Merci
beaucoup pour votre cooperation!!
91
【付録 6.6.】ドイツ語版留学体験記用紙
Ein Studieren im Ausland
erfährt Notiz
Englisch unterwerfen/ Kudo-Seminar
Azumi Shiratori, Emika Osugi, Eiji Tatebayasi, Yumika Oba
Guten Tag, alle.
Ich studiere jetzt einen internationalen Tausch in Dokkyo-Universität neben dem
Kudo-Seminar des englischen Themas.Ich mache Notiz für einen fremden Studenten, der zu
Dokkyo-Universität als eins der Studien kommt, ein Studieren im Ausland.Ich denke, daß ich
Sie wollen kann, zog dem fremden Studenten zu helfen, zu dem ein fremder Student als
Informationsmittel kommt, jetzt Informationen leicht von von als ein Führer über machendes
Studentenleben in Dokkyo-Universität an. Lassen Sie mich Leben in Dokkyo-Universität von
allem von Ihnen lassen, Erfahrung für eine Aufzeichnung.Ich bitte um Zusammenarbeit.
Könnte ich den Teil des Inhaltes der Erfahrung-basierten Notiz über die Dokkyo-Nachrichten
durch Anonymität setzen?
□Ja/□Nein
Ein voller Name:
Das Machen von Tag:
92
.
.
.
Ein Gebiet
Geschlecht:
□Ein Mann / □Frau
Ein Studieren von Periode im
Ausland
∼
□ Das Studieren in
privaten Kosten im
Ausland
□ Das Studieren in
öffentlichen
Geldmitteln im
Ausland
□ Das Studieren
im Ausland für
Tausch
Das Niveau von Japanisch zur Zeit vom
Stellenland
Studieren von Anfang und der anderen
einheimisches
Die Art vom Studieren im Ausland
Ein
□ Japanische
offizielle
Zustimmung
□ TOEFL/□TOEIC
Spielergebnis/
□Ander (
)
*Ich fülle es nur aus,
wenn es es gibt
Der lernende Inhalt in einem Haupt specialism vor das das Studieren im Ausland oder das
Japanische bildet aus
Beantworten Sie die nächst Frage bitte.
Ⅰ. Über einer Klasse
1. Die Klasse der Abteilung
①Was sind eine Abteilung und die Spezialität in Dokkyo-Universität?
Eine Abteilung:
/Spezialität:
②Wie mogen Sie die Klassen, in denen Sie sind? Was ist Ihr Eindruck?
□Zufriedenstellung /□Ich bin ganz Gute/□Ich werde leicht unbefriedigt
gelassen /□Unzufriedenheit /□Ich kann keines sagen
Ein Grund:□Eine Rutschbahn ist zu früh/□Japanisch ist zu früh/□es war
laut/□Eine
Zusammenfassung
wurde
richtig
verteilt/□Eine
Zusammenfassung wurde nicht verteilt/
□Ander
③Wieviel kann die Klasse verstehen?
Japanisch:□Ich war fähig, fast zu verstehen/□Ich war fähig, Hälfte zu
verstehen/□Ich war fähig, nur ein kleines zu verstehen/□Ich war
nicht fähig, überhaupt zu verstehen
Ein Fachausdruck:□Ich war fähig, fast zu verstehen/□Ich war fähig, Hälfte zu
verstehen/□Ich war fähig, nur ein kleines zu verstehen/□Ich war
93
nicht fähig, überhaupt zu verstehen
④Was ist die empfehlen Klasse?
Ein Lehrer/ Themaname:
Ein Grund:□Inhalt war interessant/□Viel fremde Studenten besuchten/□Eine
Prüfung war einfach/□Es war leicht, Japanisch zu hören/□Es war die Klasse,
die die Rolle nicht rief/
□Ander
⑤Was ist es, während der Klasse eine Anstrengung gemacht zu haben?(ein
Beispiel):), daß die Stelle, die ich nicht weiß, Ihnen sofort eine Frage stellt
⑥Setzte ich einen wichtigen Punkt und das, was in aus der Klasse
studiert?(ein Beispiel:)) welcher lernt Vorbereitungen auf Lehrenüberblick,
einem Wort,
2. Ein Japaner stuft ein
①Zu welcher japanischen Klasse gehören Sie?(Wie von Erfahrung-basierte
Notizeintrittszeit)
□Die Klasse des Anfängers /□Dazwischenliegend /□Der obere Grad①/□Der
obere Grad②/□Ich studiere es nicht
②Wie über wie zu führen und der Inhalt der Klasse?
□Zufriedenstellung /□Ich bin ganz Gute/□Ich werde leicht unbefriedigt
gelassen /□Unzufriedenheit /□Ich kann keines sagen
Ein Grund:□Schieben Sie Entwicklung, denn Tafeldemonstrationen waren
früh/□Die Geschwindigkeit zu Fortschritt der Klasse ist früh/□Eine Lehre
war
laut/□Eine
Zusammenfassung
wurde
richtig
verteilt/□Eine
Zusammenfassung wurde nicht verteilt/
□Ander
③Wieviel können die Japaner der Klasse verstehen?
□Ich war fähig, fast zu verstehen/□Ich war fähig, Hälfte zu verstehen/□Ich
war fähig, nur ein kleines zu verstehen/□Ich war nicht fähig,
überhaupt zu verstehen
94
④Ihre Sprachfahigkeit
Das Zuhören / Das schreibe / Lektüre / Das Sprechen
Bringen Sie sie bitte in Reihenfolge unter
①
②
③
④
Wie studieren Sie? Bitte antworten Sie nur falls ① und ④.
①
④
⑤Bucher, die Sie empfehlen, Japanisch zu lernen
Ⅱ. Über einem Ereignis kreisen Klubaktivitäten
13. Ein Ereignis in Dokkyo-Universität
①Lassen Sie Sie hier irgendwelche Aktivitaten in Dokkyo besuchen?(Eine
internationale Tauschpartei, ein Schulfest)
□Ja
→ ★Schreiten Sie bitte zu 1 fort
□Nein →★Schreiten Sie bitte zu 2 fort
★1
⑴Wie bekamen Sie die Informationen?
□Ich sah ein Plakat an/□Ich schaute den homepage der Dokkyo-Universität
an/□Ich hörte es von einem Freund/□Ich wußte es in internationalem
Tauschzentrum/
□Ander
⑵Was ist ein Zweck, der Grund, warum ich darin teilnahm?
⑶Was ist das interessante Ereignis?
Ein Ereignisname:
Ein Grund:
⑷Was ist das stumpfe Ereignis?
95
Ein Ereignisname:
Ein Grund:
★2
⑴Wovon ist der Grund das nicht Teilnehmen an jenen Aktivitaten?
□Ich wußte die Existenz vom Ereignis nicht/□Ich wollte nicht
teilnehmen/□Ich hatte keine Zeit teilzunehmen/□Ich entscheide mich, nicht
an einem Ereignis teilzunehmen/
□Ander
14. Klubaktivitäten / ein Kreis
①Machen Sie / Sie gehorten zu irgendeinem Sportverein oder Gemeinden?
●□Ja/ Klubaktivitäten umkreisen Namen:
Ein Grund:
⑴Es, der gut gewesen ist, teilzunehmen/ Hat vielleicht nicht teilgenommen
●□Nein
Ein Grund:
⑴Das müssend teilgenommen haben
Ⅲ.*Beantworten Sie wenigstens eine der folgenden Arten bitte.
1. Stipendium 2. Halbtags Arbeitsplätze 3. Unterbringung
1. Über einem Stipendium
①Bekommen Sie das Stipendium?
●□Ja
Ein Grund:□Weil ich mich auf Studium konzentrieren will/□Weil ich nur
neben einer Teilzeitarbeit ungenügend bin/□Weil ich keine Last auf einer
Familie setzen will/
□Ander
⑴Werden Sie mit der Menge von Geld zufriedengestellt?
□Ja/□Nein
●□Nein
96
Ein Grund:□Weil ich es habe, wirtschaftlich zu ersparen/□Weil nur eine
Teilzeitarbeit genügt/
□Ander
2. Über einer Teilzeitarbeit
⑪ Arbeitete ich halbtags oder machte es?
●□Ja/ Die Art von der Teilzeitarbeit:
/
Häufigkeit:
Tage/Eine Woche /
Zeit/ Der ganze Tag lange
Ein Grund
●□Nein
Ein Grund
⑫ Kann das Studium mit einer Teilzeitarbeit vereinbar sein?
□Ja/□Nein
Ein Grund
15. Über einem Haus
①Die Art vom Haus:
□Der Schlafsaal der Universität (Eine Frühlingswasserwohnung)/□Eine Wohnung/
□homestay/□Ander
⑬ Schreiben Sie es bitte über Punkte, um das Leben beim Haus zu wählen,
das Zimmer frei.
Ⅳ. Kleiner Aufsatz
Wählen Sie wenigstens 2 der folgenden Themen bitte und schreiben Sie kleine
Aufsätze
1. Was imponierte Ihnen meist hier in Dokkyo?
2. Das, was Sie zufriedengestellt werden. / Das, was Sie zu Schwierigkeiten
setzte?
3. Ihr künftiger Plan für das Studieren in Dokkyo hier.
4. Die Mitteilung für nächste Studenten von Ihrem Land.
97
Ⅶ. Die guten Informationsquellen

在住外国人のための他言語生活ガイド
http://www.hyogo-ip.or.jp/livingguide/index.html

他言語生活情報
http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html
Danke für Zusammenarbeit!
98
【付録 6.7.】韓国語版体験記用紙
유학 체험기
영어학과 쿠도 세미나 白鳥愛澄、大杉恵美佳、館林瑛司、大場友美香
여러분, 안녕하세요.
지금, 영어학과의 쿠도 세미나에서는 독협대학에의 국제 교류에 관해 연구하고 있습니다.
그 연구의 일부분으로 독협대학에 와 계신 유학생을 대상으로 유학 체험기를 작성하고
있습니다.독협대학에서 유학생활을 지속적으로 할 수 있도록 하는 가이드북으로,손 쉽게
정보를 얻을 수 있는 정보수단으로서 지금 재학중인 유학생과 앞으로 올 유학생에게 도움이
될 수 있도록 하고 싶습니다.
여러분의 독협대학의 생활, 경험을 기록으로 남겨주세요. 도와주시면 감사하겠습니다.
체험기 내용의 일부분을 익명으로 독협뉴스에 올려도 되겠습니까?
예/아니오
이름과 연락처는 익명성을 위해 체험기에는 적지 않지만, 쿠도 세미나에서 연락을 할 경우
여러분이 귀국한 뒤, 독협대학에 재학중인 유학생으로부터 상담 메일을 보낼 때를 대비해서
이름과 메일을 적어주세요.
이름:
메일 주소:
작성일:
99
년
월
일
생
지역
□국비유학
성별
생
유학 기간
년
월〜
년
유학 시작시의 일본어나
□사비유학
타언어의 수준
유학의 종류
출신국
□일본어능력시험 _급
□ TOEFL/□TOEIC
/
点
□그 외의 어학능력
*있는 경우 기입
□
월
교환유학생
유학 전의 전공, 또는 일본어 학교에서의 학습 내용
다음의 질문에 대답해 주세요.
Ⅰ.수업에 관해
1.학부의 수업
①독협대학에서의 학부와 전공은 무엇입니까?
/전공:
학부:
②구체적으로 볼 때, 수업의 진행방법과 내용은 어떻습니까?
□만족/□그럭저럭/□다소 불만/□불만/□어느 쪽으로도 말할 수 없음
이유:□필기용
슬라이드
전개가
빨랐다/□수업의
진행
속도가
빠르다/□교실이
시끄러웠다/□수업용 프린트를 제대로 받았다/□수업용 프린트를 받지 못했다/
□그 외
③수업은 어느 정도 이해하고 있습니까?
일본어:□거의 이해할 수 있다/□절반 정도 이해하고 있다 /□조금 밖에 이해할 수
없다/□전혀 이해할 수 없다
전문 용어:□거의 이해할 수 있다/□절반 정도 이해하고 있다/□조금 밖에 이해할 수
없다/□전혀 이해할 수 없다
④추천하는 수업은 무엇입니까?
선생/과목명:
이유:□내용이 재밌다/□많은 유학생들과 함께 듣는다/□시험이 간단했다/
□일본어를 알아듣기 쉬웠다/□출석을 하지 않아도 되었다/
□그 외
⑤수업 중에 이해를 위해 노력한 것은 무엇입니까?(예시:모르는 부분이 있으면 즉시
질문을 했다)
100
⑥수업 외에 무엇을 중점적으로 공부하고 있습니까?(예시:예습복습、단어 암기)
2.일본어 수업
①무슨 일본어클래스에 소속되어 있습니까?(지금 체험기를 적는 이 시점에서)
□초급/□중급/□①상급①/□②상급 2/□듣고 있지 않다
②수업의 진행방법과 내용은 어떻습니까?
□만족/□그럭저럭/□다소 불만/□불만/□어느 쪽이라고 말하기 어렵다
이유:□내용이 재밌다/□다른 유학생들과 함께 듣는다/□시험이 간단했다/
□일본어를 알아 듣기 쉬웠다/□출석 체크를 하지 않았다/
□그 외
③수업 중의 일본어는 어느 정도 이해하고 있습니까?
□거의 이해할 수 있다/□절반 정도 이해하고 있다/□조금 밖에 이해하지 못한다/
□전혀 이해하지 못한다
④일본어 중 가장 자신이 있는 것 하나와 、자신 없는 것을 4 개의 순서로 번호를
매겨주세요。(例:③듣기/①쓰기④읽기/②회화)
○듣기/○쓰기/○읽기/○회화
자신이 있는 일본어 능력의 향상을 위해 실시하는 공부방법과(①)을자신 없는 부분을
극복하기 위한 공부 방법을 적어주세요. (④)
①
④
⑤일본에서의 일본어학습(학습방법 및 교재)는,도움이 되었다고 생각하는 것이 있다면
적어 주세요.
Ⅱ.행사、클럽 및 서클활동에 관해
16. 독협 대학의 행사
①독협대학에서 진행된 행사에참가한 적이 있습니까?(국제교류 파티 및 축제 등)
□꽤 참가한다/□때때로 참가한다
→ ★1 별 1 로 넘어가 주세요
□거의 참가하지 않는다/□전혀 참가하지 않는다 → ★2 별 2 로 넘어가 주세요
101
★1 ’꽤참가한다’와‘때때로참가한다’를선택한 사람
⑴행사의 정보는 어디서 얻습니까?
□포스터를 보고/□독협대학의 홈페이지를 보고/□친구한테 듣고/□국제교류센터에서
알게되서/□그 외
⑵참가한 목적 및 이유는 무엇입니까?
⑶즐거웠던 행사는 무엇입니까?
행사 명:
이유:
⑷즐겁지 않았던 행사는 무엇입니까?
イ행사 명:
이유:
★2’거의 참가하지 않는다’와‘전혀참가하지 않는다’를선택한 사람
⑴참가하지 않은 이유는 무엇입니까?
□행사 자체를 몰랐다/□참가하고 싶었다/□참가할 시간이 없었다/□행사는 참가하지
않겠다고 결심했다/
□그 외
17. 동아리 및 서클 활동
② 동아리 및 서클에 가입해 있습니까? 혹은 가입한 적이 있습니까?
●□예/동아리 및 서클 이름:
이유:
⑴참가한 것에 만족한 점, 만족 하지 못한 점
●□아니오
이유:
⑴참가하지 않아서 만족한 점, 만족하지 못한 점
Ⅲ.*다음의 ‘장학금관련’
, ‘아르바이트관련’
, ‘주거관련’중 최소 하나 이상을 선택해서
기입해 주세요.
1.장학금 관련
①장학금은 받고 있습니까?
●□예
102
이유:□공부에
집중하고
싶어서/□아르바이트만으로는
불충분해서/□가족에
부담을
지우고 싶지 않아서/
□그 외
⑴장학금의 금액에 만족하고 있습니까?
예/아니오
●□아니오
이유:□경제적 여유가 있으니까/□아르바이트만으로도 충분하니까/
□그 외
2.아르바이트 관련
⑭ 아르바이트는 하고 있습니까? 혹은 한 적이 있습니까?
●□예/아르바이트의 직종:
/빈도: 1 주일간
이유
●□아니오
이유
⑮ 아르바이트와 학업은 병행되고 있습니까?
예/아니오
이유
18. 주거 관련
①주거의 종류:
□대학 기숙사(시미즈 맨션)/□아파트 혹은 맨션/□홈 스테이
□그 외
②생활 및 방의 선택포인트에 관해 자유롭게 적어주세요
Ⅳ.유학을 통해 느낀 점
밑에 적힌 4 가지의 테마 중 최소 2 개를 골라 자유롭게 적어주세요.
1.인상에 남은 일
2.만족한 일 혹은 힘들었던 일
3.유학 후의 장래에 관해
4.앞으로 올 유학생을 위한 조언
103
/일
시간
Ⅶ.일본생활에 도움이 되는 정보 사이트

재주외국인을 위한 외국어생활가이드
http://www.hyogo-ip.or.jp/livingguide/index.html

외국어생활정보
http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html
Ⅷ.독협대학을 졸업한 유학생으로부터 직접 상담이 가능합니다.
자세한 내용은 국제교류센터 직원을 방문해 주세요.
도와 주셔서 감사합니다!!
104
【付録 ゼミ年間授業計画】
2009 年度 演習
担当者 工藤和宏
学習テーマ(課題) 獨協大学の国際交流
基本教材
・ コピーを配布。
学習目的
・ 学習目的を自ら設定し、様々な実践を通して学習の過程を自ら理解できるようになる。
学習内容
・ グローバル化時代の大学生――社会、国家、組織、個人の行く先
・ 異文化交流活動の意味
・ アクションリサーチの思想的背景と手法
・ 文献精読とプレゼンテーションの手法
・ 研究論文の読解と執筆方法
授業内容と形式
・ 担当教員による導入(15 分)、グループ発表(50 分)、担当教員によるまとめ(25 分)によ
り構成される。
 グループ発表は、
(1)プレゼンテーション(20 分)、
(2)意見交換(30 分)
(目安)か
らなる。発表担当のグループは、指定個所についての疑問点を明らかにし、発表用資
料(または PowerPoint スライド)を作成することが求められる。参考資料を引用する
際は、必ず出典を明らかにすること。
 発表担当者以外も毎回テクストに関する疑問点を2つ以上授業に持ってくること。
・ 使用言語は英語、日本語どちらでもよい。
評価
春学期
20%
40%
40%
Reflective Journal*
グループ発表
プロジェクトの中間報告書
ゼミ論文(3,000∼4,500 語程度)
・3分の1以上の欠席は不可とする。
秋学期
20%
40%
40%
*授業(5時限の内容も含む)を通して、自分は何を学び、何を考えたのかについて、毎週英語で
記録をつける。
(語数制限なし。
)授業後4日以内に担当教員に提出すること。
(〆切は毎週火曜日。)
春学期授業予定
1. 導入
・ 時間の使い方
105
・ ビデオ視聴+ディスカッション 「@キャンパス 獨協大学――2009年2月 11 日放送
NHK」
2. アクションリサーチへの誘い
佐藤郡衛、横田雅弘、吉谷武志(2006)
「異文化間教育学における実践性――『現場生成型研究』
の可能性」
『異文化間教育』23 号、20-36 頁。
<参考>
横田雅弘、白土悟(2004)
『留学生アドバイジング――学習・生活・心理をいかに支援するか』ナ
カニシヤ出版。
(「第12章 日本における留学交流に関する研究動向」339-352 頁。
)
3. 日本の大学生の海外留学とアイデンティティ変容
工藤和宏(2003)
「友人ネットワークの機能モデル再考――在豪日本人留学生の事例研究から」
『異
文化間教育』18 号、95-108 頁。
<参考>
Ichimoto, T. (2004). Ambivalent ‘selves’ in transition: A case study of Japanese women studying in
Australian universities. Journal of Intercultural Studies, 25 (3), 247-269.
工藤和宏(2009)
「日本の大学生に対する短期海外語学研修の教育的効果――グラウンデッド・セ
オリー・アプローチに基づく一考察」
『スピーチ・コミュニケーション教育』22 号 117-139 頁。
花木亨(2008)
「物語が織り成すアイデンティティと文化――アメリカ中西部の大学院における異
文化体験についての民族誌的省察」
『ヒューマン・コミュニケーション研究』36 号、51-72 頁。
4. 留学生の適応「問題」――心理学の落とし穴
Marginson, S. (2009). Sojourning students and creative cosmopolitans. In M. A. Peters, S. Marginson, & P.
Murphy, Creativity and the global knowledge economy (pp. 217-232). New York: Peter Lang.
<参考>
Gill, S. (2007). Overseas students’ intercultural adaptation as intercultural learning: A transformative
framework. Compare, 37 (2), 167-183.
Tanaka, T., Takai, J., Kohyama, T., & Fujihara, T. (1994). Adjustment patterns of international students in
Japan. International Journal of Intercultural Relations, 18, 55-75.
Ward, C., Bochner, S., & Furnham, A. (2001). The psychology of culture shock (2nd ed.). Hove, East
Sussex, UK: Routledge.
5. 国際人とコスモポリタニズム――「留学生」の捉え方
Marginson, S. (2009). Sojourning students and creative cosmopolitans. In M. A. Peters, S. Marginson, & P.
Murphy, Creativity and the global knowledge economy (pp. 232-247). New York: Peter Lang.
<参考>
Devos, A. (2003). Academic standards, internationalisation, and the discursive construction of ‘the
international student’. Higher Education Research and Development, 22, (2), 155-166.
Kettle, M. (2005). Agency as discursive practice: From “nobody” to “somebody” as an international student
in Australia. Asia Pacific Journal of Education, 25 (1), 45-60.
有川友子(2006)
「留学生教育研究について考える――留学生として、教員として、研究者として」
『異文化間教育』24 号、41-48 頁。
6. ステレオタイプ、偏見、差別
Lee, J. J., & Rice, C. (2007). Welcome to America? International student perceptions of discrimination.
106
Higher Education, 53, 381-409.
<参考>
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9.グローバル化と創造性
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10.国際教育と多文化関係
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11. 日本の大学の国際化――世界の中の獨協大学
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横田雅弘、服部誠、太田浩、新田功、白石克己、坪井健、工藤和宏、白土悟(2007)
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の将来予測に関する調査研究』平成 18 年度文部科学省先導的大学改革推進経費による委託研
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12. 特別授業
13. プロジェクトの方向性・方針についての会議
14. まとめ
108
秋学期授業予定
1.導入
・夏合宿を振り返る
・今学期にすべきことを確認する
2. アクションリサーチの理論的・思想的背景
パーカー・I (八ッ塚一郎 訳)
(2008)
『ラディカル質的心理学――アクションリサーチ入門』ナ
カニシヤ出版。 第 9 章「アクションリサーチ」173-188 頁。
3. アクションリサーチの評価方法
パーカー・I (八ッ塚一郎 訳)
(2008)
『ラディカル質的心理学――アクションリサーチ入門』ナ
カニシヤ出版。 第 10 章「評価基準」189-205 頁。
4. 10 年前のアクションリサーチを評価する
近藤孝弘、箕浦康子(1998)「共育ワークショップの試み」平成7-9年度科学研究費補助金
(基盤研究(B)(1))研究成果報告書『日本人学生と留学生――相互理解のためのアクション
リサーチ』
(研究代表者 箕浦康子)
、東京大学大学院教育学研究科、81-91頁。
5. アクションリサーチに基づく論文執筆
パーカー・I (八ッ塚一郎 訳)
(2008)
『ラディカル質的心理学――アクションリサーチ入門』ナ
カニシヤ出版。 第 11 章「論文執筆」207-221 頁。
6. 近年のアクションリサーチを評価する
末松和子、阿栄娜(2008)「異文化間協働プロジェクトにみられる教育効果」『異文化間教育』28
号、114-121 頁。
<参考>
末松和子「全学教育基礎ゼミ実施報告――キャンパス国際化への貢献:異文化間協働プロジェク
ト」『東北大学高等教育開発推進センター紀要』4号、111-116 頁。
7. 異文化接触理論(1)――接触仮説
Kenworthy, J.B., Turner, R. N., Hewstone, M. & Voci, A. (2005). Intergroup contact: When does it work,
and why? In J. F. Dovidio, P. Glick & L. A. Rudman (Eds.), On the nature of prejudice: Fifty years
after Allport (pp. 278-292). Malden, MA: Blackwell.
8. 異文化対人接触理論(2)――アイデンティティ調整理論(+類型論的アプローチ)
Lee, P.-W. (2008). Stages and transitions of relational identity formation in intercultural friendship:
Implications for identity management theory. Journal of International and Intercultural
Communication, 1 (1), 51-69.
<参考>
Sias, P. M., Drzewiecka, J. A., Meares, M., Bent, R., Konomi, Y., Ortega, M., & White, C. (2008)
Intercultural friendship development. Communication Reports, 21 (1), 1–13.
9. Formal curriculum & informal curriculum
Leask, B. (2009). Using formal and informal curricula to improve interactions between home and
109
international students. Journal of Studies in International Education, 13 (2), 205-221.
10. 大学における異文化主義と多文化主義
Jiang, X. (2005). Interculturalisation for New Zealand universities in a global context. Policy Futures in
Education, 3 (2), 223-233.
11. 「留学生」とは、結局/とりあえず一体誰なのか?――言説、権力、エイジェンシー
Koehne, N. (2006). (Be)Coming, (Be)Longing: Ways in which international students talk about themselves.
Discourse: studies in the cultural politics of education, 27, (2), 241-257.
12. 室井佑月氏が問いかけたもの――「@キャンパス」を見直す
・ビデオ視聴+ディスカッション「@キャンパス 獨協大学――2009年2月 11 日放送 NHK」
13. 今年度のまとめ――獨協大学の国際交流の行く先
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