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喉頭乳頭腫に対するシドフォビル治療の有用性と安全性
様式第3号 2011年11月改訂 平成 年 月 日 様 試験研究の参加と協力のお願い 【 試験研究名:喉頭乳頭腫に対するシドフォビル治療 】 1 試験研究の目的 喉頭乳頭腫は良性の腫瘍ですが、しばしば再発をくり返す腫瘍です。今までに数回、全身麻酔下にレーザー手術を 受けたにも関わらず短期に再発を繰り返している喉頭乳頭腫です。これに対していろいろの薬による治療の報告はあ るものの効果は定かではなく、現在のところ確実に効果のある治療法はないと考えられます。 シドフォビル(商品名ビスタイド)は国内では発売されていない抗ウイルス薬です。欧米では、後天性免疫不全症 候群(AIDS・エイズ)の患者さんがしばしばかかるサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎の治療薬として用いられて います。シドフォビルはCMV以外にも同じヘルペスウイルス族のウイルス(単純ヘルペスウイルス、エプスタイン-バ ール ウイルス、帯状疱疹ウイルスなど)に加え、パピローマウイルスやアデノウイルスといったDNA型のウイルスが 体内で増えることも抑えることが知られています。そのため欧米では、パピローマウイルスが原因と考えられている 喉頭乳頭腫への治療に使用することも進んできています。 今回提案する治療は、国内では使用することが認められていない薬を使用します。また海外でも、エイズ患者さ んのサイトメガロウイルス網膜症に対して点滴で使用する方法のみが認められています。海外の報告とこれまでに行 った国内での実績からは効果が期待できますが、再発性喉頭乳頭腫患者に対するシドフォビルはあくまで試験的な治 療であり、実際に行う場合は患者さまの同意を得て行うことになります。 2 試験研究の方法及び期間(本研究の特徴) いくつかの欧米の施設から報告されている喉頭乳頭腫の治療法から、良好な成績を報告しているEdouard Herriot Hospital (フランス)の方法に準じて行います。 1) 音声評価および腎機能を含めた全身状態の評価をします。 2) 全身麻酔下に病変部位にシドフォビルを注入します。 3) 注入は、シドフォビル(ビスタイド® 75mg/ml)注射液を用いて37.5mg(0.5ml)を生理食塩水4.5mlで希釈し て7.5mg/mlとし、広がりに応じて3~5mlを腫瘍周辺に局所注射により行います。 4) 基本的には2週毎に合計3回、全身麻酔下に同様の量のシドフォビルを喉頭に注射します。初回手術の手術 所見により可能と判断される場合には、局所麻酔下に経皮的に注入することもあります。 腫瘍の残存・再発があれば治療の追加を行います。 5) 1~3か月に一度、ファイバースコープで喉頭を観察します。 本研究は、平成25年3月7日の研究倫理委員会にて承認を得ています。 (承認No. B130509004 ) 研究期間は、平成25年4月1日~平成30年3月31日となります。 3 予期される効果及び危険性(先行研究の有無及びその内容) これまで報告されている17の臨床研究に参加した158人の再発性喉頭乳頭腫について検討した結果、90人(57%) は乳頭腫が1年以上完全消失しましたが、13人(8%)は効き目がありませんでした。したがって、局注部位周囲の 腫瘍については再発しないこともしくは再発までの期間が延長することを期待しています。しかし、各報告を参考に しても10%くらいの再発があります。 様式第3号 2011年11月改訂 CMV網膜炎ではシドフォビルを点滴で静脈内に注射しますが、この場合最も深刻な副作用としては腎不全があげら れます。喉頭乳頭腫では局所注入であるうえ、その量はCMV網膜炎に使用するよりはるかに少量であり、今のところ 腎障害の報告はありません。しかし、腎臓に負担がかかるようなお薬は併用できません。また、腎機能が低下してい る人にもお勧めできません。局所注入では、皮膚の発赤や頭痛の報告があります。 【シドフォビルの静脈内投与により報告された主な副作用1】 自覚症状,所見:発熱、咽頭痛、悪寒などの感冒様症状、乏尿や多尿、のどの渇き,下痢、頭痛、食欲低下、悪心、 嘔吐,倦怠感、脱力感(いずれも頻度不明) 検査の異常:腎障害(59%) ,好中球減少(24%) ,眼圧低下(24%) ,ぶどう膜炎・虹彩炎(11%) ,代謝性アシ ドーシス(1%) (1厚生労働省健康局結核感染課天然痘対応指針より抜粋.5~10mg/kg(体重)のシドフォビルを100mLの生理食 塩水に溶解して1時間以上かけて1週間に1回,2週間行う. なお、シドフォビルの添付文書には、静脈内投与により、ごく軽微なものも含めて15%以上の例でおこりえるもの として、蛋白尿(88%) 、吐き気(69%) 、発熱(58%) 、好中球減少(43%) 、無力(43%) 、頭痛(30%) 、発赤(30%) 、感 染(28%) 、脱毛(27%) 、下痢(26%) 、痛み(25%) 、クレアチニン上昇(採血) (24%) 、貧血(24%) 、食欲低下(23%) 、 呼吸困難(23%) 、悪寒(22%) 、咳(19%) 、口腔カンジダ症(18%)が記載されています。 ) 動物実験(ラット)では発がん性の問題が指摘されています。これまでのところ、動物実験(サル)やヒトでシ ドフォビルが原因と考えられるがんは発生していません。 4 試験研究への参加に同意しない場合の治療法について この試験研究に協力して頂くかどうかはあなたの自由です。たとえ参加を断った場合でも不利益になるようなこと は一切ありません。 この試験研究に参加を断った場合でも、従来からいっている腫瘍切除およびレーザー手術を行うことができます。 5 試験研究への参加に同意した場合でも随時これを撤回できること この研究に協力して頂くことに同意された後、または、参加途中であっても、いつでも辞退することができます。 6 試験研究に関わる費用について 本研究は原則的には保険診療および研究費等で行われますので、参加協力者に追加の費用負担はありません。 合併症、再手術の際の医療費に関しましても保険診療内で行われます。 7 その他、人権保護に関し必要な事項 試験研究に参加して頂くことは自発的なものですから、あなたの気持ちが大切にされます。あなたの氏名やプライ バシーが外部に漏れる心配は全くありません。研究や薬について何か質問や心配事がありましたら、いつでも遠慮な く申し出て下さい。 また、あなたの名前や病気のことなどの個人のプライバシーに関する秘密は固く守られることを保証します。 8 試験研究成果の発表について 試験研究成果については、今後の治療に役立てるため、学術集会や論文などで発表・公表させていただくことがご ざいます。しかし、あなたのお名前等の個人の秘密は堅く守られることを再度お約束させていただきます。 9 関係者が適正な実施のために診療に関する記録を閲覧すること 様式第3号 2011年11月改訂 研究の適正な実施のために、関係者(※)が閲覧させていただく可能性があります。 ※「関係者」とは守秘義務を負う本研究の関係者全てを指します。 10 研究から知的財産権が生じた場合、その権利が協力者に属さないこと この研究の成果により、特許権等の知的財産権が生じる可能性がありますが、その権利は全て研究者およびその研 究機関に帰属し、患者さんには生じません。 説明を行った医師等 耳鼻咽喉科 ㊞ 横浜市立大学附属病院 耳鼻咽喉科 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 ℡:045-787-2800