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命を助ける救命の輪―BLS(一次救命処置)のご紹介 副院長(心臓血管
命を助ける救命の輪―BLS(一次救命処置)のご紹介 副院長(心臓血管外科) 齊藤 寛文 エーイーディー はじめに:読者の中には、AED(自動体外式除細動器)という言葉を聞いたり読んだりしたことがある 人がいると思います。停止した心臓に電気ショックを与えて、心臓を再び動かすための医療機器ですが、 緊急時には一般の人も使用することが認められています。新潟医療センターでは各階に設置されていま す(写真) 。 当院では、医師や看護師だけでなく、職員全員が AED を使用した救命処置を行えるようになることを目 標にして、10 月 27 日に、世界標準の救命処置講習会である BLS コースを開催したのでご紹介します。 BLS とは何か:BLS とは、Basic Life Support(ベーシック・ライフ・サポート)という英語の頭文字 を取ってつけられた、命(ライフ)を助ける(サポート)ための、基本的な(ベーシック)処置のこと で、 「一次救命処置」と訳されています。BLS コースは、アメリカ心臓協会(AHA)が 1960 年から提供し ている講習会で、2000 年以降、世界中で開催されるようになり、日本では 2003 年 10 月から行われてい ます。今回、当院では、日本循環器学会の AHA-BLS インストラクター(講師)により、院外からの参加 者 6 名を含めて、午前 24 名、午後 24 名の計 48 名が受講しました。 何を学ぶか:BLS コースで学ぶことは 2 つだけです。第 1 に「迅速に質の高い心肺蘇生」を開始し、第 2 に「迅速に AED を使用する」ことです。講習会では、インストラクター1 名と受講者 3 名で 1 チーム になり、人形と AED を使用して、この 2 つの手技を習得しました(写真:全景とブース) 。成人と乳児 の心肺停止に対する実技試験があり、筆記試験も行われます。合格者には世界共通の証明書(有効期間 2 年)が交付され、アメリカでは、この証明書がないと、医療関係の仕事にはつけません。当院では、 今回の講習会で、職員 41 名が有資格者になりました。 今後の展望―あなたにもできます。ワンプッシュが命を救う!:当院職員全員が BLS 講習会を受講・資 格更新し、さらに、上級コースの二次救命処置講習会(ACLS コース)の受講者を増やすことを目標とし ていますが、それだけでは心停止した人の救命率は向上しません。急変の現場に居合わせた、医療従事 者でない一般の人に、蘇生行為をためらわずに行ってもらえるようになることが、今後の最大の目標で す。 停止した心臓の拍動を再開させるのに、専門的知識は不要です。その場に居合わせたあなたが手を差し 伸べなければ、後からどんな名医が来ても、どんな有名病院に運ばれても、その人の命は助かりません。 AED が使えることは必須ではありません。一般の人は、倒れて反応がない人をみたら、すぐに 119 番通 報を頼み、AED を持ってきてもらい、救急車が到着し、救命の輪が医療関係者に引き継がれるまで、胸 の真ん中をひたすら強く 5cm 以上の深さで、ひたすれ速く、毎分 100 回以上の速さで押し続けていてく ださい。1 秒間に 2 回が目安です。周りに人がいれば、2 分ごとに、または疲れたら、2 分以内でも交代 してください。人工呼吸は不要です。胸を押す(プッシュする)勇気が、倒れた人を助けるのです。ま ず、あなたの勇気を一押し、ワンプッシュして、救命の輪に加わってください。