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テーマ「スポーツと心臓病」 - 岡山大学スポーツ教育センター
平成 26 年度 第 3 回スポーツ講座 テーマ「スポーツと心臓病」 講師:中川 晃志 先生 (岡山大学 医歯薬学総合研究科) 平成 26 年 6 月 4 日 報告者:岡山大学理学部1年 有元絵理佳 内容 心臓は体中の臓器に血液を送るポンプであるといわれており、 通常一日に約 10 万回拍動し、 約 7000 リットルの血液を拍出している。冠動脈から酸素を受け取り、電気刺激により動いている。心臓病に は、虚血性心疾患、不整脈、弁膜症、心筋梗塞、先天性心疾患など様々なものがあるが、複数の疾患 が関連して存在することが多い。 スポーツやトレーニングには、心・肺・抹消循環機能の向上を促し、競技力の向上だけでなく、健 康を増進させるという効果がある。大きく分けると、スポーツは、有酸素運動、無酸素運動、等張性 運動、等尺性運動の四種類に分類される。有酸素運動には、ジョギング、体操が含まれ、無酸素運動 には、短距離走、筋トレなどが含まれる。また、等張性運動には、マラソン、自転車などが含まれ、 心臓のポンプ機能の増大により、心拍出量の増加を促進させる効果がある。それに対し、等尺性運動 には、ハンマー投げ、重量上げなどが含まれ、末梢血管抵抗の向上により、血圧の上昇、心筋の肥大 をもたらす効果がある。 心肺機能、すなわちスタミナの指標は、最大酸素摂取量で示され、心拍出量と動静脈酸素較差をか けた値のことである。これは、ウエートトレーニングで筋肉を肥大させ、持久性トレーニングによる 毛細血管網の発達、ミオグロビンの増量、ミトコンドリア数の増加などで高めることができる。 スポーツを持続することにより、脈拍数の低下などの「スポーツ心臓症候群」になるといわれてい るが、これは正常な反応である。心臓に基礎疾患を有する人に対しては、潜在病態を顕在化させる誘 因になり得るが、正常な心臓をもつ人が将来心血管系の疾患にかかりやすくなるという証拠は、今の ところ示されていない。 119 番通報してから救急車が到着するまでの時間は、平均 7 分であるが、心臓が止まってから 3~4 分で脳障害が始まるため、AED や心臓マッサージを施すことは非常に重要である。また、スポーツ を本格的に始める際には、心臓に疾患があるかどうか事前にメディカルチェックを受けることも大切 である。 感想 今回の講義で、 「スポーツ心臓症候群」という言葉の存在を初めて知りました。スポーツをすること により、持久力や筋力、肺活量が向上するのだという曖昧な認識しか無かったため、これを具現化す る言葉があるということが、衝撃でした。また、心肺機能の指標が最大酸素摂取量であるということ や、男性 30 歳の最大酸素摂取量の平均値が体重あたりで 40ml/kg/min であるのに対し、エリート長 距離選手のそれが、90ml/kg/min と、約二倍以上の値であることも驚きでした。私は普段、運動を全 くしておらず、運動不足も甚だしいのですが、この比較を見て、運動の大切さを再認識するとともに、 危機感を感じました。 また、スポーツが心臓に異常をもつ人に対して、 潜在病態を顕在化させることになり得るということ も初めて学びました。このことを知らない人は、意 外にも多いのではないかと思うので、メディカルチ ェックなどで診断を受けることを、アスリートに限 らず、家族や友人に伝えたいです。そして、AED や心臓マッサージにより救命率が大幅に上昇するこ とも、データを通して再認識したので、AED の使 い方や、心臓マッサージの施術方法を確認しておこ 写真 中川晃志先生の講演風景 うと思います。