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Akita University
Akita University
(
67)
原著 :秋田大学医短紀要 8 :67-7
3,2000.
車椅 子座庄分布 に及 ぼす背部脂肪量 と座位姿勢 ・ク ッシ ョンの影響
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正 治 ** 石
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日出樹 *
隆 志 **
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秋 田大学医療技術短期大学部
Ke
yWords :座 圧分 布
座 位 姿勢
*理学療法学科
ク ッシ ョン
**作業療法学科
腎 部 脂 肪量
- 67-
Akita University
(
6
8)
車椅子座庄分布に及ぼす腎部脂肪量と座位姿勢 ・クッションの影響
】 は じめに
座位や車椅子上 での座面圧測定 は,安楽姿勢
c
m,大 腿 長 は平均37.
4±1.
8c
m,腎 部周径 は平
0c
mであ る。大腿 長 を除い ていず れ も
均89±2.
保持 ・得癒予防 ・脊柱変形予防等 の 目的で行 わ
危険率 5%未満で有意 に男性群の値が高か った。
れ各種 の報告が なされてい る。特 に裾癒予防の
実験 に際 して本人 にその 目的 を説明 し了解 を得
た上 で実施 した。
研 究では車椅子用 ク ッシ ョンの除圧効果 の比較
2)測定機器
や特性評価が検討 され,平野等 4 は座圧 とい う
座 庄 分 布 測 定 装 置 は F SA (
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観点か ら車椅子 ク ッシ ョンの開発 を検討 してい
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3.
1(タカノ)を使用 した。 これ は,
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m四方,縦横 1
5×1
5の圧 セ ンサー (1個 1i
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る。筆者等 5、6.は,平成 9年度か ら車椅子及 び
車椅子用 ク ッシ ョンについて, これ らを利用す
中心 間隔 3c
m,厚 さ0
.
4
m
m
)の座庄計測 マ ッ ト,
る障害者 を対象 に座圧分布計測等 を行 い,障害
デ ー タ変換 用 イ ンター フェイスボ ックス及 び
による特徴 や傾 向 を把握 し車椅子 や ク ッシ ョン
パー ソナル コンピュー タ(
以後パ ソコンと略す)
の適応選択 のための評価法やデー タの蓄積 を同
で構 成 され てい る。統計 値 と して は感 覚 セ ン
様 に行 って きた。
サ ー数,平均圧力,最大圧力,標準偏差,重心
しか し, これ までの研 究 は主 として車椅子や
シー ト等ハ ー ドウェアの側か ら分析 が多 く, ソ
等 を表示 で き,
圧力値 は 0-300mmHgまで測定
可 能 で あ る。体 脂 肪 量 の 測 定 は 体 脂 肪 計
フ トウェアの側 か らの検討が少 ない ように見受
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TNESSANALYZER BET3
0
00(
ケ ッ ト科学研
け られる。す なわち,使用者 の体脂肪 と椅子上
究所 KK) を用 いた。 この装置 は近赤外線 を利
の接触面積 との関係 については,谷本等 2 は肥
用 し,その特定波長帯が体脂肪 によって,特徴
満度の大 きい被験者 ほ ど大 きく,椅子 の種類 に
的 に吸収 される性 質 を利用 した ものであ り,水
よて も異 なることを明 らか に しているが,腎部
中体重法 との間に高い相関 を得 てお り,その測
の脂肪量 との関係 については言及 していない。
定式 はは5
4.
91-28.
35×N IR (
近赤外線 スペ
また,使用者 の姿勢 と圧力分散 の影響 について
ク トル値) となってい る呂。 そ して,体脂肪率
は,藤谷等 7′に よる圧力分散 と座位 の安定性 を
の測定個所 は右上腕二頭筋頂点 とした。 なお,
静 的,動 的バ ランスか ら比較 した研 究 はあ るが
最 大 座 圧 は裾 唐 を引 き起 こす 条 件 と され る
利用者 の姿勢 とランバーサポー トとの関係 につ
いて検討 した研 究 は見 られない。そ こで,今 回,
200
mmHgに設 定 した。 さ らに,生 体 角 度 ・関
節角度訓練装置 MA1
0
0(
アニマ KK)を用 い,
健常者 を対象 に①腎部 の脂肪量 の多 きが座庄分
体 幹 前 屈30度 で音 が 鳴 り出 す よ う なバ イ オ
布 に及 ぼす影響②使用者 の姿勢 の影響,特 にラ
フィー ドバ ック設定 をす ることで,同一姿勢条
ンバ ーサ ポー トを使用 した座位姿勢及 び体幹前
件 下 で の比 較 を行 った。
3)実験 に使用 した車椅子及 びク ッ
屈30度位 での座庄分布 の変化 を分析す ること,
以上 2点 を研 究の 目的 とし実験 を行い, ひ とつ
シ ョン, ランバ ーサポー ト
の知見 を得 たので報告す る。
車椅子 は標準型車椅子 の座面 と比 し
て,得癒予 防用 ク ッシ ョン等 の性 能 を最大 限引
1
1 対象 と方法
き出す とい われ る Whe
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y社 の プ レー ト車椅子
とした。 このプ レー ト車椅子 は座面が一般 的 に
1)対象
2
0才 か ら28才 までの男性 5名,女性 6名か ら
よ く用 い られている ビニル レザー製ではな くス
な る健康 成 人11
名 で平均年齢 は21.
8±3.
3才 で
チール製で座位時 にたわみが生 じない とい う特
4.
1±5.
6k
g,身
あ る。男性 5名 の体重 は平均6
68.
8±3.1
c
m,
大腿長 は平均39.
4±1.
3
長 は平均 1
徴 がある。 クッシ ョンは市販の厚 さ 3c
m程 の ウ
c
m,腎 部周 径 は平均95.
4±6.
8c
mで あ る。女性
ン,
厚 さ4c
mの車椅子 クッシ ョンラテ ックス (
ブ
の体重 は平均5
0±3.
8k
g,身長 は平均 1
57.
5±5.
5
リジス トン社 ),そ して, ロホ ク ッシ ョン (
ア
レタンの入 った布製 カバ ーのウ レタンク ッシ ョ
-6
8-
Akita University
工藤
俊輔 ・大洋論樹彦 .籾 山日出樹 ・若山 佐一 ・金城
ビリテ ィズ社) を用いた。 ロホクッシ ョンは,
正治 ・石川
(
69)
隆志
活動実習室で行 った。
セル式エアーク ッシ ョンで6
4
個の空気 セル連結
5)分析方法
mを使用 した。 ランバーサポー トは背
の高 さ10c
車椅子姿勢でシー ト用セ ンサーマ ッ トが接触
もたれ部が 9段階 に調節で きるバ ックマシー ン
している部分の座庄分布 (
感知セ ンサー数 を支
(シーテ ィーエス社) を用いた。背 もたれ部の
持面積 の指標 とした)
,
平均座圧 をク ッシ ョン無
調節 は被験者個 々の胸腰椎 の形状 に合 わせて行
しのプレー ト座位姿勢及び各 クッシ ョンで比較
い,脊柱 の自然 な前轡が生 じるように した。
した。 また,ランバーサポー ト利用時及び体幹
4)測定方法
3
0
度前屈位での座圧分布や重心移動等 について
測定 は,まず車椅子の座面マ ッ ト無 しの場合
も分析 した。 さらに,体脂肪量 の違い による座
とマ ッ ト有 りの場合で比較 し,有 りの場合 は,
圧分布の比較 も行い分析 した。平均座圧 をマ ッ
ウレタンクッシ ョン,車椅子 クッシ ョン,ロホ
ト無 し座位姿勢及び各 クッシ ョンの群間比較で
クッシ ョンの順で各被験者 に車椅子座位姿勢 を
は一元配置分散分析 を用い,有意水準 5%で有
とらせ座庄分布 を比較 した。前述 した座庄計測
意差 を認めた ものには最小有意差法 を用いて比
マ ッ 吊 まマ ッ ト無 しの場合,直接車椅子 プレー
較 した。
ト座 面 に置 いて計測 し,マ ッ ト有 りの場 合 は
I
l
l結
マ ッ トの上 に乗せて計測 した。また各姿勢でラ
0
度体
ンバーサポー トを利用 した座位姿勢及び3
果
1) クッシ ョンの有無及び種類間 に関す る座
幹前屈位 を設定 し同様 に座庄分布 を比較 した。
圧分布,平均座圧,最高座圧の比較
① クッシ ョンがある場合 と無い場合及び種類
被験者 は短パ ンと半袖 のシャツを着用 し,服の
シワが座庄分布 に影響 しない ように した。そ し
間の座庄分布比較
て,背 もたれ部 に軽 く触れる程度 に座 り,前方
クッシ ョンがある場合 と無い場合 の差違 は先
をまっす ぐ見て,両手 は大腿の上 に置 き,大腿
行研究 5 と同様,明 らかにある場合が感知セ ン
は床 に平行 な状態で測定 した。座圧分布の記録
サ ー数 (
支持面積 の指標)が有 意 に多 か った
は先行研究 5
)に倣い 測定開始後 2分以内でパ
(
図 1 ) 。 しか し, ウレタンク ッシ ョンを含 め
ソコンモニター上の座庄分布が安定 した時点 と
ク ッシ ョン間の差 は見 られ なか った。先行研
した。 なお,測定 は全て当短期大学部 日常生活
究 5 ではウレタンクッシ ョンとロホ クッシ ョン
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図 2 各座面での平均座圧比較
図 1 各座面 での座圧分布の比較
-6
9-
Akita University
(
7
0)
車椅子座庄分布に及ぼす背部脂肪量と座位姿勢 ・クッションの影響
ではウレタンク ッシ ョンの方が有意 に感知セ ン
た。
4)体幹前屈3
0
度姿勢での各座位姿勢 におけ
サー数が多かったが今 回の実験 は有意 な変化 は
見 られなかった。
② クッシ ョンがある場合 と無い場合及び種類
る座圧分布,平均座圧,最高座圧の比較
体幹前屈3
0
度姿勢で座庄分布が有意 に小 さ く
なったのはロホクッシ ョンのみであった(
図 9)。
間の平均座庄比較
クッションがある場合 と無い場合の比較 は先
平均座圧 ではクッシ ョン間に有意差 は見 られな
行研究 5′と同様 にクッシ ョンのあった方が平均
かった。最高座圧 ではクッシ ョン無 しの座席で
座圧 は有意 に高かったが,ク ッシ ョン間の差 は
0
度姿勢が有意 に低い傾向があ り, ウ
体幹前屈3
見 られなかった (
図 2)。
レタンクッシ ョン座席では有意差が認め られた
(
図10)。 しか し,
車椅子 クッシ ョンやロホクッ
③ クッシ ョンがある場合 と無い場合及び種類
シ ョンでは有意差 は認め られなかった。
間の最高座庄比較
クッシ ョンがある場合 と無い場合の比較では,
Ⅳ考察
ク ッシ ョンの無いプレー ト座面では最高座圧が
上限値 を越 えたため, ウレタンクッシ ョンと車
1) ク ッシ ョンの有無 に関す る座圧分布の比
戟
椅子 クッシ ョン,ロホク ッシ ョンの 3種類比較
クッシ ョンな しと 3種類のクッシ ョンの座庄
を行 った。先行研究 と同様 クッシ ョンがある方
分布 の一元配置分散分析結果ではクッシ ョンが
が最高座圧 は低い ことが示 された。 クッシ ョン
無い場合,平均座圧,最大圧 は有意 に高かった。
間ではウレタンクッシ ョンと車椅子 クッシ ョン,
座庄 分布 は有意 にク ッシ ョンの有 る方が大 き
ロホクッシ ョンの間には有意差 はあったが車椅
か った。 この こ とは除圧機 能 を持 った適切 な
子 クッシ ョンとロホクッシ ョンの問には有意差
ク ッシ ョンの処方が長時間の座位時 に必要だ と
は見 られなかった (
図 3)。
い うこれ までの先行研究の結果 を支持 している。
2)腎部の平均座圧,重圧分布,最高座圧 と
の関係
しか し, クッシ ョン間の比較ではウレタンクッ
シ ョンと車椅子 クッシ ョン,ロホクッシ ョンの
被験者の体脂肪量 を測定 した ところ男女比較
問で最高座圧 に有意 な差が認め られた ものの車
で有意 に女性群の体脂肪が多かった (
図 4)
椅子 クッシ ョンとロホク ッシ ョンの間では有意
そ こで男女 2群 に分 け,クッシ ョン無 しで平均
な差が認め られていない。 この結果 は市販のウ
座圧 を比較 した ところ有意 に男性群が高い値 を
レタンク ッシ ョンで も素材 の弾性 に よるク ッ
。
示 していた (
図 5)
。 また,座圧分布 は女性群
シ ョン効果があ り,その使用の仕方 によっては
が有意 に小 さい値 を示 していた (
図 6)。 そ こ
有効 に使用可能なことを示 している。ただ,今
で,座庄分布 に占める体重の割合 を男女別 に比
回は 2分間 とい う時間設定であ り,長時間使用
較 した ところ有意 に女性群が大 きな値 を占めて
した場合のクッシ ョン機能の検討が必要であろ
いた (
図 7)
。
う。
最高座圧 については,両群の値が全て測定上
限値 を越 えたためたため比較で きなかった。
2)体脂肪量 と平均座圧,座庄分布,最高座
圧 との関係
3) ランバーサポー トによる重心移動の変化
結果 2)で示 した様 に,クッシ ョン無 しのプ
ク ッシ ョン無 しのプ レー ト座席,ウレタンクッ
レー ト座席では有意 に体重 も重 く,腎部周径の
シ ョン座席,車椅子 クッシ ョン座席,ロホクッ
シ ョン座席でランバーサポー ト装着前 と装着後
大 きい男性群が平均座圧 も座庄分布の値が大 き
による重心移動の前後方向移動距離 を測定 し比
k
gあた りの座圧分布 (
セ ンサー数)は有意 に,
女性群が大 きかった。 この ことは座面 と接触 し
較 した ところ有意 に装着前 より前方 に移動 して
か ったの に対 し,座庄/体重の値,すなわち 1
いた (
図 8)。 また,ロホク ッシ ョン座位が他
た部分が伸 びて広がった可能性 を示 し腎部の生
のクッシ ョン座位の重心 より前方 に移動 してい
体組織である男女の背部脂肪量 との違いが関係
-7
0-
Akita University
工藤
俊輔 ・大洋諭樹彦 .籾山 日出樹 ・若山 佐一 ・金城
正治 ・石川
(
71
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図 4 体脂肪率 の男女比較
図 3 各座面 での最高座圧比較
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図 5 クッションな し時の男女平均座圧
図 6
クッションな し時の男女平均座圧分布
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クッションな し時の 「
座圧分布/体重 」
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重 心 に 対す る ラ ン バ ー サ ポ ー
トの影 響
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図1
0 姿勢 による最高座圧変化 (
ロホ クッショ
ン)
ション)
- 71-
Akita University
(
7
2)
車椅子座圧分布に及ぼす腎部脂肪量と座位姿勢 ・クッションの影響
していることが考え られた。すなわち成人女性
た もの と考 え られる。 しか し, どの程度前方 に
では男性 に比 して腎部大腿部 に脂肪が着 く傾向
座圧が分散 したかは今 回の実験では不明であ り,
がある と言 われてお り9
1
, この ことが影響 した
また,背 もたれ部の圧力変化 を測定 してお らず,
もの と考 えた。先行研究 1
0
.では,袴癖 の原因 と
ランバーサポー ト使用時の圧力分散 とそのメカ
して腎部接触面生体組織 の硬 さについて言及 し
ニズムについて, さらに,検討する必要がある
Bo
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s
sI
n
de
x,
た ものがあ り,体容量指数 (
と思 われる。
4)体幹前屈30度姿勢での各座位姿勢 にお け
BMI
)の値が小 さい者 は高い とい う報告がある。
今 回 体 脂 肪 測 定 に 使 用 し た FI
TNESS
る支持面積,平均座圧,最高座圧 の比較
ケ ッ ト科 学 研 究所 K
ANALYZER BET3
000 (
一般 に樽癒予防のために座圧 の軽減 につなが
K)は上腕二頭筋筋腹の脂肪量 を測定すること
るプッシュア ップや体幹 を前屈 した り左右 に体
により全体の脂肪量及びその割合 を推定 してい
幹 を倒す ことが励行 されている。先行研究 ⊥
o
J
で
る ものであるが,腎部,特 に坐骨部脂肪の厚 さ
は体幹前屈位では坐骨部への圧力が軽減 される
を示す より直接 的なデー タの検討 は極 めて重要
ことが示 されているが今 回の実験では体幹前屈
であると考 える。すなわち,脊髄損傷 に代表 さ
30度姿勢で支持面積が有意 に小 さ くなったのは
れる肥満度は高値で も坐骨部の筋萎縮が著明で
ロホクッシ ョンのみであ り, このクッシ ョンの
脂肪量が少 な く樽痕 を生 じるケース もあ り,今
もつ座庄分散能の有効性 を示 した もの と考 えた。
級,障害の程度や状況 も含め坐骨部の脂肪量 と
平均座圧 ではクッシ ョン間に有意差 は見 られな
座庄分布 に焦点 をあてた検討 をす ることが必要
かった。最高座圧ではクッシ ョン無 しの座席 で
であろ う。
体幹前屈30度姿勢が有意 に低い傾向があ り, ウ
3) ランバーサポー トによる重心移動の変化
レタンクッシ ョン座席では有意差が認め られて
について
いる。 このことは姿勢変化 による座圧 の調整が
可能であるとい う先行研究の結果 を支持 してい
先行研究 9-では得癖 を引 き起 こす原因 として
多 くの危険国子があげ られているが姿勢 に関連
る。 しか し,最高座圧や平均座圧の面か らは一
した危険因子 として特 に骨盤の後方傾斜 (
仙骨
般 によく用い られている車椅子 クッシ ョンや ロ
座 り) と脊柱前轡の減少の二つが指摘 されてい
ホクッシ ョンでは明確 に示 されなかった。 この
る。そ して,対麻痔者では脊柱 の前轡が減少 し
ことは前述 したように 2分間 とい う測定時間や
健常者 1
.
5
倍 の荷重が坐骨 と仙骨部 に負荷 され
静的姿勢 とい う条件 を考 えたよ り長時間での検
ていた と報告 してい る。今 回の実験 で は ラン
討 と動的姿勢での検討が必要であることを示 し
バーサポー トを使用 した場合, しない場合 と比
ている。
較 して前方-移動 していた (
図 9)。そ して興
∨ 結
味 あ る ことは座圧 分布 の比較 で ウ レタンク ッ
論
シ ョンと比較 して有意 にロホク ッシ ョンの座庄
1)健常人 を対象 に した本研究ではク ッシ ョ
0
)
。 この こ とは 1)
分布が拡大 していた (
図1
ンが無 い場 合,平均座圧,最 高圧 は有 意 に高
で述べ たクッシ ョンの有無 に関す る座庄分布の
かった。座圧分布 は有意 にクッシ ョンの有 る方
比較では見 られなかったクッシ ョン間の差が ラ
が広 く,各種 クッシ ョンの有用性が確 かめ られ
ンバーサポー トを組み合 わせたことにより生 じ
た。
2)体脂肪 の男女比較の結果 と座圧/休重 の
た もの と考える。す なわち,ロホクッシ ョンの
場合,エアーマ ッ トのため座圧の分散能が高 く,
値か ら,特 に腎部の脂肪量 は座圧や座庄分布 に
垂心が前方 に有意 に移動 したことか らランバー
影響 を与 えていることが示唆 された。
サポー トによる腰部の支持性が高 ま り,脊柱の
3) ランバーサポー トを使用す ると使用前 と
前轡が 自然 に近い状態 とな りその結果他のク ッ
比較 して重心 は前方 に移動 していることが明 ら
シ ョンに比 して大腿前方部 に圧力分散 を拡大 し
かになった。 さらに,座庄分布でクッシ ョン間
7
2-
Akita University
工藤 俊輔 ・大津諭樹彦 ・籾山日出樹 ・若山 佐一 ・金城 正治 ・石川 隆志
(
7
3
)
の差違が ロホク ッシ ョンの場合有意 に生 じてい
圧力分散性 を高めたモール ド型 ク ッシ ョン
た。 これはランバーサ ポー トを使用 した結果脊
4回 リハ ビリテーシ ョン工学 カ
の開発,第 1
柱 の 自然 な前轡が促 され,腰部の支持性 が高 ま
ンファレンス ,p
p5
09-51
2,1
9
99・
5)若 山佐 一,工 藤俊 輔 ,籾 山 日出樹 そ の ほ
か :車椅子 とク ッシ ョンの座庄分布分析 一
り,重心が前方 に移動 した ことで大腿部 に も座
圧 が分散 された ことで生 じた もの と考 えた。
4)体幹前屈 3
0度姿勢 で座庄分布 が有 意 に小
障 害者 を対 象 と して -,平 成 9年 度秋 田
さ くなったのはロホ クッシ ョンのみであ り,他
ウェル フェアテクノハ ウス研 究会調査研究
の ク ッシ ョンと比較 して この ク ッシ ョンの もつ
報告書 ,p
p65-91,1
9
98.
庄分散能の有効 さを示 した もの と考 えた。最高
0度
座圧 ではク ッシ ョン無 しの座席 で体幹前屈3
6)工藤俊輔 ,大津論樹彦,籾 山 日出樹 そのほ
か :車椅子 と座庄分布 の特性 一体脂肪 と座
姿勢 が有 意 に低 い傾 向が あ り, ウ レタ ンク ッ
位姿勢 の影響 一平成1
0年度秋 田 ウェル フェ
シ ョン座席では有意差が認 め られていた。 この
アテ ク ノハ ウス研 究 会 調査研 究報 告書 ,
ことは体幹前屈位 では坐骨部へ の圧力が軽減 さ
れる とい う先行研 究の結果 を支持 してい た。
pp28-31,1
999.
7)藤津ふみ,池 田恭敏 ,森谷茂雄 :圧力分散
5)今後 の課題 として,車椅子上 での実験条
と座位安定性 か らみた脊髄損傷者 における
件 の検討,背部,特 に坐骨部脂肪量 の計測 に関
車 いす用 ク ッシ ョンの比較 ,障害者体育 ・
す る基礎 デー タの蓄積 , ランバ ーサポー トと各
ス ポ ー ツ 医 科 学 合 同 大 会 プ ロ グ ラ ム,
種 クッシ ョンの組 み合 わせ に よる座庄分布の特
性 についての検討等 を行 う必要がある と考 えた。
p
p5
2,1
99
9.
8)沢井史穂 ,白山正人,武藤芳照 そのほか :
なお,本研究 は平成1
0年度新エ ネルギー ・産
業技術総合 開発機構 (
略称 NEDO) か らの委
託事業 の一環 として行 われた ものである。
近赤外分光法 による体脂肪測定,体力科学,
p
p1
5
5-1
63,1
99
0.
9)下方浩史 :体脂肪分布 :腹部型肥満 の基礎
と臨床,杏林書 院.
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