Comments
Description
Transcript
火山地域における泥流型土石流の危険区域設定手法
(中間評価) 火 山 地 域に お け る泥 流 型 土 石 流 の 危 険 区 域 設 定 手 法 に 関す る共 同 研 究 研究期間: 平成1 2年度 ∼平成 13年 度 研究代表者: 仲野 中野 寺田 公章( 建設省 ・国土交通省 土木研究所 ) 泰雄( 国土交通省 国土技術政策総合研究所) 秀樹( 国土交通省 国土技術政策総合研究所) 研究課題の概要 泥流型土石流 による土砂災害 の詳細なデータが少ないことや、氾濫実績を 十分な精度で 再現できる運動 モデルが開発されていないことから、 既往の泥流型土石流による災害の実 態を明らかにし 、さらにその実 態を再現できる運動モデルを開発することを 目的とする。 具体的には、 第1に泥流型土石流による災害の実態 を明らかにし、さらに 、その実態を 再 現 で き る 運 動 モ デ ル を 開 発 す る 。 第 2 に 泥 流 型 土 石 流の 運 動 を 流 動 ・ 停 止 と い っ た 一 連 の 運 動 過 程 を 考 慮 し た 運 動 モ デ ル に 基 づ い て 、ハ ザ ー ド マ ッ プ を 作 成 す る 手 法 を 開 発 す る 。 ( 1 )総 評 この種の研究 は生活に密着し た重要な研究である。 しかし、泥流型土石流 による土砂災 害のデ−タが少 ないというのは 誤りである。災害の実 態に関する報告も蓄積 されている。 米 国 の セ ン ト へ レ ン ズ 、 コ ロ ン ビ ア の ネ バ ド デ ル ル イ ス、 イ ン ド ネ シ ア や ニ ュ − ジ − ラ ン ドならびに日本 の火山で起きた 災害については詳細な 報告ならびに研究論文 が既にある。 イタリアのサ ル ノの土石流災害 は、多くある火 山 泥 流 災 害 の一つに過ぎ な い の で サルノ 1 件の泥流災害を捉えて泥流を代表 するとするのは論理的ではない。 研究成果としては、科学的・ 技術的価値は、固液混相流体の理論の一部を 援用して災害 現象の研究に応用した点で概ね高 いといえるが、以下の点が課題と し て残る。 氾 濫 実 績 を 数 値 シ ミ ュ レ − シ ョ ン で 説 明 す る 試 み も 事 例 が あ る の で 、「 運 動 モ デ ル が 開 発 されていない」 と断定する前に 過去の実績についてレヴュ−があるべきところそれがない のは論理的ではない。粒度分布 ・流量・流速を見積も り、シミュレーション を行ったが、 発生源の火山で 母材がいかなる 噴火現象で生産され堆 積したかという情報を 取り入れてい ない。単に火山ごとに比較すればよいというものではない。 ま た 、 科 学 的 ・ 技 術 的 波 及 効 果は 、 日 本 で は 行 政 に 利 用 さ れ つ つ あ る の で 概 ね 達 成 し て お り 、 情 報 発 信 も 概 ね 行 わ れ 、 国 際 共 同 研 究 と し て の 意 義 も 概 ね 認 め ら れ た が、 以 下 の 点 が 課 題 と し て 残 る 。 表 題 に も 現 れ て い る よ う に 火 山 噴 火に 関 連 し た 現 象 の 研 究 に も 関 わ ら ず 国 内 ・ 海 外 を 問 わ ず 火 山 研 究 者の コ ミ ュ ニ テ イ で 研 究 成 果 を 発 表 し た 形 跡 が 無 い 。 イ タ リ ア と の 共 同 研 究と な っ て は い る が 、 過 去 の 事 例 と 研 究 成 果 の 蓄 積 に 鑑 み 、 こ れ は 共 同 研 究 で は な く 技 術 移 転 と 考 え ら れ る。 研 究 成 果 が 当 事 者 で あ る 2 国 で 発 表 さ れ そ れ ぞ れ の 国 の防災行政に活 用されるべきところ、イタリアで発表 されイタリアの学会や 行政にしかる べきインパクトを与えた形跡が無 い。 この研究を今 後も進め、確か な成果を挙げる為には 土木の世界に閉じこもることなく、 火山学分野との研究交流が不可欠 である。<総合評価:b> ( 2 )各 テ ー マ に お け る 評 価 結 果 ①泥流型土石流の発生・運動・氾濫実態に関する研究 大 径 の 砂 礫 が 衝 突 し て エ ネ ル ギ− を 交 換 す る 石 礫 型 土 石 流 と 砂 礫 粒 子 が 流 体 か ら エ ネ ル ギ − の 供 給 を 受 け て 動 く 非 石 礫 型 土 石 流 と を 区 別 し た う え で 、 さ ら に 相 対 水 深と 流 速 係 数 で泥流型を新た に位置付けているが、本件で位置付けている泥流型は既にレオロジ−で説 明されている可 能 性 がある。既 存の理論を丁寧にレ ヴ ュ−して充足さ れ て い な い 部分を明 らかにしたうえで新たな論理を構 築するという手順を踏むことが望まれる。 ②泥流型土石流の統一的なモデル の作成と危険区域設定手法の開発に 関する研究 危 険 区 域 の 設 定 手 法 に 関 し て は水 理 実 験 や 各 種 の 数 値 モ デ ル に よ る シ ミ ュ レ− シ ョ ン 手 法 が 確 立 し て い る。 し か し 、 シ ュ ミ レ − シ ョ ン の 精 度 に 関 し て は 追 求 す る べ き真 値 が な い た め に 明 ら か に 限 度 が あ る 。「 過 去 の 個 別 の 現 象 を 4 次 元 で 説 明 で き た 」 こ と を も っ て 成 功 と し た 手 法 が 、「 将 来 の 現 象 を 同 じ 精 度 で 予 測 で き る 」 と い う こ と は同 値 で は な い 。 水理量・地 形 量・砂礫に関連 する量のいずれにもシ ミ ュ レ −ションで用い る量との間に 差が生じることは防ぎ得ないからである。 スリット構造 のダムが泥流型土石流対策でもつ機能 のいくつかは既に明らかにされてい る 。 し た が っ て 、 過 去 の 研 究 成 果を 丁 寧 に レ ヴ ュ − し て そ れ ら が 充 足 し て い な い 部 分 を 説 明したうえで研究の意義と成果を 正当化する手法が求められる。 ( 3 )評 価 結 果 総合評 1.目標 2.目標 価 達成度 設定 b a b 3.研究成果 4.研究体制 5.国際共同研究 (2)科学 ( 1)科学 (3)情報 ( 1)指導 (2)連携・ (1)受入 ( 2)海外 的波及効 (3)意義 価値 発信 性 整合性 体制 機関 果 b b b b b b b b