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最近の世界株式市場の動向について

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最近の世界株式市場の動向について
【ご参考資料】
2008 年 11 月 6 日
野村アセットマネジメント株式会社
最近の世界株式市場の動向について
11 月 5 日の米国株式市場は大幅下落し、主要株価指数の NY ダウ工業株 30 種平均指数は前日比
486.01 ドル安(▲5.05%)の 9,139.27 ドルとなりました。S&P500 種指数は同 52.98 ポイント安(▲5.27%)、
ナスダック総合指数は 98.48 ポイント安(▲5.53%)となりました。
11 月 5 日の欧州株式市場も下落し、英 FTSE100 種総合株価指数が前日比 2.34%安、ドイツ株式指
数(DAX)が同 2.11%安となっています。前日の欧米株式市場の下落を受け、11 月 6 日の日本株式市
場は日経平均株価が前日比 5.68%安(前場引け時点)と下落しています。
ただし NY ダウ工業株 30 種平均指数は 10 月 27 日に 8,175.77 ドルをつけて以降、日米欧の金融当
局による政策協調などもあり、11 月 4 日までで+17.7%高と大幅上昇していました。
欧州株式市場や日本株式市場でも同様の動きが見られ、10 月 27 日から 11 月 4 日までで英 FTSE100
種総合株価指数が 20.4%上昇、ドイツ株式指数(DAX)が 21.8%上昇、日経平均株価が 27.2%上昇し
ました。
次に世界株式市場の動向の背景についてご説明いたします。
世界株式市場の推移
期間:2008年9月1日~2008年11月5日
(2008年1月4日=100)
100
90
80
70
日経平均株価
60
50
40
08/9/1
NYダウ工業株
英FTSE100種
ドイツ株式指数
08/9/8
08/9/15
08/9/22
08/9/29
08/10/6
08/10/13 08/10/20 08/10/27
08/11/3
(年/月/日)
(出所)ブルームバーグデータより野村アセットマネジメント作成
当資料は、世界株式市場に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したものです。投資勧誘を目的とした資料ではありま
せん。当資料は市場全般の推奨や為替市場等の動向の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づい
て作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料中の記載事項は、全て当資料作成時以前のものであり、事前の
連絡なしに変更されることがあります。当資料中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。
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【ご参考資料】
<株式市場の動向の背景>
10 月 27 日までの世界的な株価下落と、その後の反発に関しては、金融危機の拡がりとそれに対する
世界各国の政策対応、ヘッジ・ファンドなどの投資家の売買動向などによって生じたと考えられます。
9 月中旬の米大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、金融機関がお互いの信用力に
不安を感じ、銀行間短期金融市場(金融機関同士が主に数日から数ヶ月の期間で資金の貸借を行う市
場)の取引が極端に縮小したことから銀行間金利が急騰しました。
それを受けて、株式市場では 10 月初めから下落に一気に拍車がかかりました。これは金融機関同士
の資金の貸借が滞る中、金融機関がヘッジ・ファンドなどの投資家に対する投融資を絞ったことが影響し
た模様です。
ヘッジ・ファンドはいわゆるレバレッジ(借り入れによって投資金額を拡大して収益率を高めようとする
行動)を活用して投資を行っているため、金融機関からの借り入れが絞られると保有資産を売らなけれ
ばなりません。
またヘッジ・ファンドに投資している年金基金などの投資家も、景気後退下でファンドの運用パフォー
マンスの悪化が予想されることから解約に動いたようです。ヘッジ・ファンドの解約には1、2 ヶ月の猶予
期間が置かれているケースが多く、年内に資金を回収するために 10 月頃から解約を申し出ていたと考
えられます。そこで 10 月にヘッジ・ファンドが株式やその他の資産を投げ売る状況になったようです。
先進国の株式だけでなく新興国の株式や債券、商品、不動産投信など様々な市場で価格が一斉に
下落したこと、株式市場の中では流動性が高く、売りやすい大型株の方が下がりやすかったこと、企業
業績、株式のバリュエーションなどのいわゆるファンダメンタルズでは説明が困難な動きであったことなど
は、上記の見方を裏付けるものではないかと思われます。
金融危機に対する各国政府、中央銀行の対応策としては、政策金利の引き下げ、公的資金による金
融機関への資本注入や不良債権の買い取り、預金や金融機関のその他債務の保証など、様々なもの
が打ち出されてきました。特に公的資金による金融機関への資本注入は、金融機関の破綻のリスクを低
下させる効果があると考えられます。
これらの対策を受けて、銀行間金利は 10 月半ばをピークに下がり始めました。ロンドンのドル建て銀
行間 3 ヶ月物金利はリーマン・ブラザーズ破綻前の 2.8%前後から 10 月 10 日には 4.8%台まで上昇し
ましたが、その後低下し、11 月 5 日には 2.5%台となりました。優良企業などが発行するコマーシャル・ペ
ーパーの金利も同様に低下しています。ヘッジ・ファンドなどへの投融資の絞り込みも緩和しつつあるの
ではないかと思われます。
昨日の米国株式の下落に関しては、追加的な金融危機対応策や景気対策が新大統領のもとで打ち
出される期待感から株式を売り控えていた投資家が、大統領選挙が終わったことで再び売りに転じたの
ではないかと思われます。その意味ではヘッジ・ファンドの解約に対応した資産売却はまだ終わってい
ない可能性があります。しかし、年内の資金回収を目指したファンドの解約の申し入れが一巡したタイミ
当資料は、世界株式市場に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したものです。投資勧誘を目的とした資料ではありま
せん。当資料は市場全般の推奨や為替市場等の動向の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づい
て作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料中の記載事項は、全て当資料作成時以前のものであり、事前の
連絡なしに変更されることがあります。当資料中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。
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【ご参考資料】
ングであることから、資産売却のピークは越えつつあるのではないかと思われます。
<今後の見通し>
金融機関同士の取引縮小、ヘッジ・ファンドの資産処分といった狭い意味の金融危機は峠を越しつ
つあるように思われます。
しかし、金融機関から企業、家計への融資に関しては、容易には回復しない見込みです。10 月に行
われた米連邦準備制度理事会による銀行の融資担当者に対するアンケート調査では、銀行が融資基
準を厳しくしている上、借り手の企業、家計からの借り入れ需要も減少している様子が示されています。
景気が悪化している中では銀行は借り手の返済能力に不安を感じるでしょうし、借り手側も投資や消費
を控えるため借り入れを減らす方向にあると考えられます。
したがって米国景気に関してはさらなる鈍化が懸念される状況です。そのため米国および世界景気の
悪化を示す経済指標や企業業績の大幅下方修正などの発表によって、世界の株式市場が下落するリス
クはまだ残っていると思われます。
当面の注目点としては、オバマ新大統領のもとで米国の景気回復が期待できるのに十分な規模の対
策が早期に打ち出されるかどうかにあると思われます。
以上
当資料は、世界株式市場に関する参考情報の提供を目的として野村アセットマネジメントが作成したものです。投資勧誘を目的とした資料ではありま
せん。当資料は市場全般の推奨や為替市場等の動向の上昇または下落を示唆するものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づい
て作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料中の記載事項は、全て当資料作成時以前のものであり、事前の
連絡なしに変更されることがあります。当資料中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。
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