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1 神奈川県有機農業推進計画 1 計画改定の趣旨 県では、平成 21 年4

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1 神奈川県有機農業推進計画 1 計画改定の趣旨 県では、平成 21 年4
神奈川県有機農業推進計画
1 計画改定の趣旨
県では、平成 21 年4月に平成 23 年度までを計画期間とする「神奈川県有機農業
推進計画」を策定し、有機農業に適用可能な技術の開発、有機農業者の取組支援、
有機農業への参入支援、県民の理解促進などの取組を進めてきた。この間、新規参
入者を中心に有機農業の取組の広がりがみられた。
有機農業は、農業の自然循環機能を増進し、農業生産に由来する環境への負荷を
できる限り低減し、生物多様性の保全に資するものであり、今後、有機農業の一層
の推進を図るため、本県の栽培環境に適した栽培技術の検証や改善、普及指導員の
有機農業に対する技術・知識の向上及び消費者の理解促進などの取組を進めていく
必要がある。
また、平成 23 年度に行った神奈川県県民ニーズ調査において、有機農業で生産
された農産物を購入したいとの回答が8割台となり、こうした消費者のニーズに応
えるためにも有機農業の取組を広げていく必要がある。
このような状況を踏まえ、平成 24 年度からおおむね5年間の有機農業の推進施
策などを盛り込み計画を改定する。
2 計画の位置付け
(1) 「有機農業の推進に関する法律」(平成 18 年法律第 112 号)第7条第1項
に基づいて都道府県が策定する有機農業推進計画として、本県の実情に合わせ
た計画とする。
(2) 「神奈川県都市農業推進条例」に基づいて策定する「かながわ農業活性化指
針」における、基本的施策「県民の求める食の提供」の関連施策「環境に調和
する農業生産の推進」の一環として推進するための計画とする。
(3) 有機農業は、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生
産の方法であることから、環境保全型農業の一環として位置付ける。
(4) 市町村等が有機農業を推進する際の参考となるものとする。
3 有機農業の取組
(1) 国の動き
「食料・農業・農村基本計画(平成 22 年3月策定)」では、有機農業につい
て、その取組の一層の拡大を図るため、有機農業技術の確立・普及、産地規模
の拡大や産地間の連携による安定供給の確保、有機農業に対する消費者理解の
促進に向けた施策などを推進することとしている。
有機農業の総合的な支援策として、有機農業への参入促進、栽培技術の体系
化、有機農産物の理解促進等に取り組んでおり、栽培技術の体系化については、
1
「有機栽培技術の手引 平成 23 年3月〔葉菜類等編〕」を取りまとめ、引き
続き、水稲及び大豆の有機栽培に係る技術指導書の作成も進められている。
また、地域への支援策として、販売企画力強化、生産技術力強化、人材育成
力強化等の取組を支援する産地収益力向上支援対策事業を進めており、本県で
は、「小田原有機の里づくり協議会」が、当該事業を活用して、生産者と地域
の飲食業者が一体となった販売促進の活動や実証ほでの作物別の除草管理の検
証等を行っている。
(2) 県のこれまでの取組と成果
有機農業の課題を踏まえた推進施策として次のアからオについて取り組んだ。
また、遺伝子組換え作物の栽培に関し必要な事項を定めた「神奈川県遺伝子
組換え作物交雑等防止条例」を制定し、平成 23 年1月1日から施行した。
ア 有機農業に関する栽培技術の開発・情報収集
・ 農業技術センターで、天敵や有用微生物の活用による生物的防除など有
機農業に適用可能な技術開発を進めるとともに、天敵を利用したアブラム
シ類の抑制技術の普及展示ほの設置、検証等を行い、生産現場で活用でき
る結果が得られた。
また、経営事例調査を行い、県内の有機農業の経営・栽培状況の把握に
努めるとともに「有機農業経営の類型化」として取りまとめて公表した。
・ 国、関係団体から有機農業の栽培技術に関する資料などを収集し、今後
の推進に活用するとともに、県が作成した「環境保全型農業栽培の手引」
などから有機農業に適用可能な技術を抽出して「有機農業に活用できる基
礎技術資料集」として取りまとめた。
イ 有機農業に関する普及指導の強化
・ 国の「有機農業普及支援研修」(平成 21 年度:野菜、平成 22 年度:水
稲、平成 23 年度:野菜)に普及指導員を派遣し、普及指導のための技術
習得に努めた。
・ 農業技術センター本所及び各地区事務所に担当者を配置し、有機農業の
技術支援を行った。
ウ 有機農業者等への支援
※1
・ 平成 23 年度に国が創設した「環境保全型農業直接支援対策事業」を市
町と連携して推進し、37 件、約 27ha の申請があった。
・ 有機農業技術研修会を開催し、有機農業者による実践事例発表や大学教
2
授による講演を実施した。
・ 有機農産物表示の知識習得のための講演を開催した。
・ 有機農業団体に対して、小麦及び大豆の栽培講習会を行った。その際さ
らなる技術向上につながる研修の要望があった。
・ 平成 21 年度及び 23 年度に有機農業者の実態把握をするためアンケート
調査を実施した。
エ 新たに有機農業に取り組もうとする者への支援
・ 農業技術センターかながわ農業アカデミーの就農支援ワンストップサー
※2
ビスで、平成 21 年度4名、平成 22 年度8名、平成 23 年度4名を有機農
業の新規就農へ支援したが、研修先が限定されていた。
オ 有機農業に対する消費者の理解促進・有機農業による生産物の販路の確保
・ 食育に関するイベントへの参加を募り、参加団体は農産物販売を通じて、
消費者に有機農産物のPR及び販売促進を図った。
・ 県ホームページに有機農業者の紹介ページを設け、有機農業者のホーム
ページとリンクさせるとともに「神奈川県有機農業実態調査結果報告書」
を掲載した。
・ 「神奈川県産品プレゼンテーション・商談会」(県内の農林水産物の生
産者と加工業者、流通・小売業者、飲食店等との交流・商談の場)を実施
し1団体が参加した。
・ 法に基づく有機農業による農産物の表示が可能となり、また消費者にと
ってわかりやすい制度となるよう、JAS 法などを含めた農産物の表示制度
の見直しについて国に提案を行った。
※1 化学合成農薬及び化学肥料を原則5割以上低減した上で、地球温暖化防止や生
物多様性保全に効果の高い営農活動に取り組んだ場合、あるいは有機農業に取り
組んだ場合に、取組面積に応じて交付金を支払う事業
※2
新規参入希望者に対して、就農相談・情報提供から農地確保まで総合的に支援
する仕組み
(3) 県民ニーズ調査について
平成 23 年度の県民ニーズ調査において有機農業について尋ねたところ、結
果は次のとおりであった。
・ 有機農業という言葉については、「言葉も内容も知っていた」は7割
(70.2%)で、「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らなかった」
3
(26.1%)を合わせると9割台(96.4%)であった。
・ 有機農業で生産された農産物を「購入したい」(43.2%)、「どちらか
と言えば購入したい」(38.7%)を合わせると8割台(81.9%)であった。
・ 有機農業で生産された農産物にどのようなイメージを持っているか複数回
答で尋ねたところ、「価格が高い」が 71.4%、「安全性が高い」が 68.5%
であった。
4 本県における有機農業推進上の課題
・ 有機農業の栽培技術の安定化と現地への普及のため、本県の栽培環境における
技術開発と検証及び改善、普及指導員の有機農業に対する技術・知識の向上
・ 有機農業者の技術向上につながる研修の実施
・ 有機農業者への支援策である「環境保全型農業直接支援対策事業」等の活用促
進
・ 新規に有機農業へ参入する者の研修先の確保
・ 消費者ニーズに応えるとともに有機農業者の販路拡大を図るため、県内有機農
業の取組状況や購入場所などきめ細かい情報提供の推進
5 有機農業の推進施策
(1) 有機農業に関する栽培技術の開発・情報の収集
・ 農業技術センター本所及び各地区事務所において、本県の有機農業の先進
的な取組の検証を進めるとともに、国の有機農業に関する研究成果の活用な
どにより本県の気象条件や立地条件に適した栽培技術の確立を目指す。
・ 推進にあたっては、県内の農業系大学等との連携を強化するとともに、有
機農業の全国団体、試験研究機関、先進地等の情報収集に努める。
(2) 有機農業に関する普及指導の強化
・ 国等が実施する研修に普及指導員を派遣し、有機農業を先導できる栽培技
術の習得に努め、相談・指導体制を強化する。
・ 有機農業に適用可能な技術及び普及展示ほにより実証された技術について
普及を図る。
・ 先進的有機農業者・有機農業団体と連携して技術の普及を図る。
(3) 有機農業者等の取組支援
・ 先進的有機農業者のほ場見学会や有機農業者同士の交流、優良取組事例の
発表を行う研修会などを開催し、有機農業者の技術改善のための技術習得を
支援する。
4
・ 国、市町村と連携を図り環境保全型農業直接支援対策事業の一層の推進に
努める。
・ 有機農業者が有機農業に関する情報を得やすくするため、全国の有機農業
団体、国や関係機関のリンクを張るなど、県ホームページの充実を図る。
・ 定期的に県内有機農業者の実態把握に努める。
・ 有機農業に係る国の支援事業を活用する取組に対して、必要な助言や協力
を行う。
(4) 新たに有機農業に取り組もうとする者への支援
・ 就農支援ワンストップサービスによる新規参入支援に努める。
・ 有機農業団体や先進的有機農業者との連携を強化し、新たに有機農業に取
り組もうとする者の研修場所の確保に努めるとともに就農後も情報の提供及
び技術的支援を行う。
・ 有機農業へ転換する者に対して相談や技術支援を行う。
(5) 有機農業に対する消費者の理解促進と生産物の販路の拡大
・ 県ホームページで紹介する有機農業者を増やし、掲載内容の充実を図ると
ともに食育に関するイベントなどを活用した販路拡大や消費者へのPRに努
める。
・ 県内の農林水産物の生産者と加工業者、流通・小売業者、飲食店等との交
流・商談の場を設け販路の拡大を促進する。
・ 消費者と有機農業者との交流を深める取組などを実施し、消費者の理解促
進に努める。
6 有機農業の推進体制の整備
(1) 県の推進体制
有機農業関係団体、消費者団体、農協等で構成する「神奈川県有機農業推進
会議」を開催し、有機農業の推進に努める。
(2) 県内各地域の推進体制
横浜川崎、横須賀三浦、県央、湘南、県西の各地域においては、横浜川崎地
区農政事務所及び地域県政総合センターが開催する「環境保全型農業地区推進
会議」等を活用し、当該地域における有機農業の推進に努める。
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