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参加体験型学習を応用したシミュレーションゲーム制作

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参加体験型学習を応用したシミュレーションゲーム制作
Eスクエア・プロジェクト成果発表会
人権意識を高めるためのソフト開発
― 参加体験型学習を応用したシミュレーションゲーム制作 ―
松山市立南中学校
星川良紀
プロジェクトの意図
人権・同和教育のための実践的な活動として,参加体験型学習が脚光を浴びている。これを子どもにとってより身近な
活動とするため,パソコンを使ってシミュレーションできるゲームソフトを開発し,学習に利用することによって,課題
解決能力や創造力,思考・判断力,表現力等の資質を養わせながら,人権意識を高める実践を試みた。この実践はまた,
子どもの情報リテラシーの育成にもつながると考えられる。
1.実践内容
人権問題の一つである南北問題を理解するため,参加体験型学習「貿易ゲーム」をもとに,現実社会に見られる複雑多
岐にわたる多くの状況を,コンピュータを使ってシミュレートできるゲームソフトを開発した。このゲームで体験できる
ロールプレイングを通して,相手の立場になって物事を考えさせることにより人権意識の向上を図った。また,自ら進ん
で学習し,真剣な論議の中でお互いの考えを練りあうことを通して,課題解決能力も養わせるようにした。制作に関して
は,企画担当者,共同開発者,企画推進アドバイザー,調査協力者等の間の連携を図るため,ネットワークを有効利用し
た。
(1)
ソフト開発
ソフト開発のためにいくつかの留意点を考え,企画の対象や実施体制,実施スケジュール,実施環境について計画
した。次に参加体験型学習の中から,人権意識を向上させるための効果的なものとして貿易ゲームを選び,活動内容
をゲーム化した。
まず,このゲームについてのシミュレーションに必要な条件設定を行った。ソフト設計について,企画推進アドバ
イザーなどとも充分協議した結果,その青写真をもとに開発者にプログラミングを依頼した。
ネットワークを活用しながら,できあがったソフトをさまざまな場面で試用し,評価を得た。そこで貿易ゲームを
従来の手作業で行った時に比べ,ソフトを使ったときのメリット,デメリットが浮き出てきた。また設定のしかた等,
効果的な利用法も見つけることができた。そして,改善点をもとに改良版を制作することができた。
※貿易ゲームとは
資本(労働力,機械,材料,製品,お金等)を不平等に与えられた国家間で,より多くの資
本を増やすことを競い合うシミュレーションである。
貿易ゲームのシミュレーションイメージ
生産活動
材料
(量)
物々交換
労働力
(人数)
売却
製品
(量、質)
販売による収入
機械
( 量 、 質 ) 売却
購入
お金
(量)
給料(各ターンごとに必要)
(2)
教材活用
開発段階で得たことをもとに,以下のように指導計画や指導案を作成し,できあがったソフトを実践に役立ててい
くことに教育効果があると考えた。その中でソフトは,実体験のためのきっかけとして扱うよう留意した。実践を通
して,ソフト活用の利点,留意点,教育効果,反省点,これからの方向性等の結果を得た。
1
実践例(公民科)
松山東雲高等学校 國原 幸一朗
教材活用例
教材活用例
1 導入
2 ワークショップ
( シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ゲ ー ム )
3 課題の明確化
( 問 題 の 原 因 )
振り返りを行う
(興味を持つ)
(問題の原因を把握する)
・問題を抱えている人にとって
必要なもの、重要なことを考える
世界にはどんな問題が起こっているか
(国際紛争,食糧問題,環境問題,
難民問題,南北問題)
・問題の原因はどこにあるのだろうか。
・問題を解決するためには?
資料(VTR等)閲覧
6 発表・交流
5 活動のまとめを行う。
グ ル ー プ ご と に
クラスでグループごとに意見を
発表する。
また、インターネット上で意見を
述べあう。
北
北
問
問
問
題
を
題
の
学
習
に
つ
い
て
題
際
環
必
国
北
調べてみよう(校外の調査も
含む)
(インターネット,本,VTRなど)
・図にまとめる(トリノコ・画用紙、
コンピュータなど)
・提案書(地域の人々、国連関係に)
国
南
4 調べ学習
南 北 問 題 に つ い て く わ し く
(南北問題を解決する
ためには?具体的な方法)
南
南
紛
境
要
際
解
争
問
と
理
さ
解
決
難
題
れ
,
食
る
情
す
知
報
る
識
,
(
環
た
○
分
境
め
糧
野
,
)
生
に
民
問
問
活
題
題
・
必
福
要
祉
な
こ
と
・
課
支 援 を 行 う 食 糧 ・お 金 ・設 備 ・ 技 術 エ ネ ル ギ ー ・情 報 ・教 育
○ い っ し ょ に 生 き る
(共 生 ) 互 い の 気 持 ち を
理 解 す る ○
生
き
方
を
学
ぶ
1.目
標
(a)ゲームの事物や出来事と,現実社会とを対比し,
貿易のしくみを理解できる。
(b)南北問題が深刻化する過程を推測し,国
際協力のあり方を理解し実践力を養う。
自 然 と 共 に 生 き る
困 難 に 耐 え る 力
生 活 習 慣 な ど
術
題
2.指
導
内
容
(a)パソコンの貿易ゲームの操作方法を説明する。
(b)貿易の操作を行わないで画面の流れを確認させ
る。(2 分)
(c)短時間(8 分)で貿易を行わせ,別紙に初期値と
最終値,貿易の記録,会計の記録などを書かせ,
振り返りをさせる。
(d)16 分でゲームを行い,結果と工夫点を発表させ
る。
(e)ゲーム後に,手作業のゲームとパソコンゲーム
のちがい,現実の世界とのちがい,ゲームを使
って分かったことと改善点を書かせる。(予定 10
分→実際 5 分)
2.成果と課題
(1) 成果
・ 人権教育のための効果的な教材の開発,教育用ゲームの可能性
・ 担当者の経験の蓄積,総合的な学習への応用等,教育活動への波及効果
・ さまざまな必要性や重要性の認識
・ さらなるソフト開発の継続,発展の可能性
・ 子どもの人権意識の向上
・ 指導計画,指導案,指導方法等の蓄積(人権教育,総合的な学習,社会科など)
・ 新しいスタイルの人権教育の可能性
・ 人権教育のみならず,総合的な学習等で広範囲に利用できる可能性
(2) 課題
・ 効果的な活用法の蓄積,広い範囲での教材の配布
・ さまざまな評価による,さらなる改良,新しい要素を入れた発展
(インターネット上での利用,発達段階に応じた教材への改良など)
・評価法の工夫(具体的な内容にし,開発につなげる必要性がある)
・企画担当者としての留意点
(調査協力者への調査の具体的な説明,開発者のための具体的な青写真つくり)
2
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