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世界遺産とツーリズム――世界遺産と旅の理想的関係を探る

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世界遺産とツーリズム――世界遺産と旅の理想的関係を探る
世界遺産とツーリズム
―世界遺産と旅の理想的関係を探る―
【指導教員】
内藤久子
【学
東寛章
生】
長柄裕美
河野久美
多田玲於奈
下木梨佐
中山安希子
田口貴大
樋口尚也
竹中哲行
權アヨン
【はじめに】
周艶梅
質、絶滅危惧種や固有種を含む生態系などが含まれる。
(担当:樋口尚也)
最後に「複合遺産」と称されるグループで、これは文化
私たちは、「世界遺産とツーリズム」と題する調査実
遺産と自然遺産の両要素を満たすものである。
習を通して、厳島神社・石見銀山・白川郷・武陵源(中
次に世界遺産の登録条件を示しておこう。
国)
・京都の五つの事例を対象に「世界遺産」と「旅」
人間の創造的才能を表す傑作である。
の理想的関係を調査し、今後の「世界遺産観光」の在り
建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発
方について考察した。各事例調査では、文献調査の他、
展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の
資料館での調査やインタビューを含む「現地調査」を実
交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すもので
施した。とりわけ資料館では、世界遺産の文化的かつ歴
ある。
史的価値について丹念に調べ、またインタビューでは、
現存するか消滅しているにかかわらず、ある文化的
地域住民の方々に世界遺産登録前後の日常生活にみる変
伝統又は文化の存在を伝承する物証として無二の存在
化や、地域への誇り、地域の魅力の再認識等について尋
(少なくとも稀有な存在)である。
ねる一方、観光客の方々にも、当地を再訪する意志の有
歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、
無や現地訪問後の満足・不満足度といった点について調
科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見
査した。
本である。
また今回、調査を行う際に留意した点は、各事例ごと
あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけ
に「主要な観点」を設けて実施したことである。例えば
るような伝統的居住形態、若しくは陸上・海上の土地
中世から「もてなしの文化」が継承されている「厳島神
利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と
社」では、歴史的・文化的遺産と観光の関係性を、また
環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に
「石見銀山」では「世界遺産」の名声と地域の保存にお
不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているも
ける兼ね合いの様態、「白川郷」では地域に伝わる「伝
の)
。
統」の保護・保全の問題、さらに自然遺産を誇る「武陵
顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)
、生きた
源」では自然に対する危険性の認識と地元民との関わり
伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品
を、最後に京都では「インバウンド観光」といったよう
と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準
に、
調査対象の視座を、
ある程度明確化して進めて行った。
とあわせて用いられることが望ましい)
。
【世界遺産とは】
値を有する地域を包含する。
最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価
(担当:下木梨佐)
生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中
本調査を実施した「2012年」は、世界遺産締結条約40
の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地
年の節目にあたる記念すべき年とされる。そもそも世界
理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表
遺産とは「普遍的な価値を有するものとして、世界遺産
する顕著な見本である。
リストに登録された有形の不動産のこと」である。
陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の
世界遺産は大きく三種に分類される。一つ目が「文化
進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又
遺産」で、いわゆる記念物、建造物群、遺跡等が挙げら
は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
れる。二つ目が「自然遺産」であり、これには地形や地
学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅の
1
2012年度
地域文化調査成果報告書
おそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内
の内、現在世界遺産に登録されているのは厳島神社のみ
保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。
で、更に日本三舞台(四天王寺の石舞台、住吉大社の石
更に世界遺産登録の前提条件は、以下の通りである。
舞台、厳島神社の板舞台)の一つにも選定されている。
⑴
世界遺産条約を締結していること。
⑵
登録をめざす物件につき「暫定リスト」を作成し、
厳島神社は、世界遺産の選考基準の中でも、以下の四
点を満たすことにより、世界遺産に登録された。
ユネスコ世界遺産センターに提出してあること。
⑶
平清盛の造営による壮麗な社殿群が形成された。
登録をめざす物件は「土地と土地と一体になった物
周囲の景観と一体の建造物群が、日本人の精神文化
件(不動産)
」であること。
⑷
の象徴である。
登録をめざす物件は、国の法律で確実に保護されて
平安時代創建当初の面影を残す稀有な例である。
いること。
⑸
仏教との混交と分離を表す、日本の宗教空間を理解
登録をめざす物件は登録基準の一つ以上にあてはま
する上での重要な根拠となる。
り、完全性、真実性を満たしていること。
とりわけ平清盛による周囲の景観と調和した社殿群は、
また日本における世界遺産登録までの流れは次の通り。
度重なる修復を経てもなお現在に残る、宗教的にも歴史
初めに登録を目指す物件の選定であるが、文化遺産の場
的にも価値の高い建造物であるということが証明され、
合は文化庁が、自然遺産の場合は環境省か林野庁が選定
世界遺産として認定されるに至ったのである。
を行う。続いて登録を目指す物件に付き「暫定リスト」
このような厳島神社に関する基本情報や、登録の経緯
を作成、ユネスコ世界遺産センターに提出する。この暫
をよく理解した上で、私たちは8月9日に厳島神社を訪
定リストの中から条件の整った物件を推薦するが、この
れ、調査を実施した。この現地調査を経て、厳島神社の
推薦は一国あたり年二件まで認められている。さらに推
魅力ともいえる三つのポイントを以下にまとめてみた。
薦後、ユネスコ世界遺産センターが実際に現地を視察、
まず厳島神社は、重要な歴史的存在として今も篤く信
このとき文化遺産についてはICOMOSが、また自然遺産
仰されているということ。平家納経による地方の貴族や
についてはIUCNが調査にあたる。最後に年1回開催さ
豪族の訪問に始まり、戦国大名である豊臣秀吉や、初代
れるユネスコ世界遺産委員会が登録の可否を決定する。
総理大臣の伊藤博文なども度々訪れていたことから、厳
島への信仰が古くから大切にされてきたことがわかる。
【厳島神社】
(担当:田口貴大、竹中哲行)
8月9日に実施した厳島神社の調査では、主に「厳島
神社の基本的な情報」
、「世界遺産登録の経緯」
、「現地調
査の結果」
、「もてなしの文化」の四点を中心に考察した。
厳島神社内部
二つ目は厳島神社をより身近に感じる施設等の設備面
の充実である。現地の平清盛資料館では、かつて宮島に
住む人々が使用していた道具や家の構造の展示、寝殿造
や海上に建設する際の創意工夫が紹介されているシア
厳島神社の大鳥居
ターが設けられており、現地に行けば初めて訪れる人で
ユネスコの世界文化遺産に登録された厳島神社は、広
も詳しい内容が分かるようになっている。また、宮島前
島県廿日市にある宮島に建立された神社で、世界遺産の
駅から出発するフェリーは10分に1本のペースで往来し、
他、日本三景の一つと称されるほどの壮麗な景色を誇る
スムーズな人の流れを促すことを可能としている。無論、
ことで知られる。因みに日本三景(松島、厳島、天橋立)
こうした取り組みは、実に観光客に配慮したものとなっ
2
世界遺産とツーリズム
―世界遺産と旅の理想的関係を探る―
ている。
最後に、世界遺産登録後に頻繁に生じるとされる、観
光客の増加に伴うゴミ捨てやマナー違反等の問題に関し
ても調査したが、環境への美意識が地域住民にも根付い
ており、整然と整備されている様子を窺うことができた。
門前町の様子
世界遺産に登録されたことを契機に、宮島の特殊な歴
厳島神社周辺の様子
史や風土が見直され、その魅力も再発見された。また観
では、なぜ宮島には多くの旅人が訪れるのだろうか?
光面では、以前にも増して外国人観光客が増加したとの
『高倉院厳島御幸記』によれば、平安末期には高倉上
ことである。だが既述のように、宮島は平安末期から現
皇が厳島神社を参詣しており、既に一行の移動も宿泊も
在に至るまで、多種多様な観光客をもてなしてきた所で
円滑に進められていたという(花岡 2010:94より再引
あり、つまり世界遺産に登録されて初めて観光地として
用)
。しかし、当時はまだ遠方から訪れる者は限られて
注目されたのではない。換言すれば、「宮島」という遺産
いたと推される。平安末期以降、宮島では神職や文化人、
は、観光地としての振る舞いを熟知しているようだ。例
役人や商人、職人や漁民といった様々な人々の暮らしが
えば、日本の他の世界遺産で問題視されている駐車場も、
混在し合い、宮島特有の生活様式が築かれたという。加
島の特殊性の御陰もあってか、特に話題に上ることもな
えて、古来より神道や密教系仏教が習合し合い唱道され
く、島内のゴミ処理に関しても昔から鹿の糞の処理を継
た「厳島信仰」も、宮島の独特の雰囲気を生み出す要因
続している為、それと同じ様に片付けてしまうのである。
となっている。そのお陰で、中世には厳島神社を中心と
このように宮島は古くから旅人を受け入れて来た長い
する宗教都市として、次々と参拝客を呼び寄せた。さら
歴史ゆえに、他の世界遺産に比して、観光地としてはむ
に近世になると、宗教都市としてのみならず、安芸広島
しろ成功例に近いとも言われている。
藩における交易拠点や文化の集積地として多彩な人間を
受け入れるようになった。
【石見銀山】
一方、思想的な面だけでなく、宮島の持つ風景に惹か
(担当:東寛章、河野久美、多田玲於奈、樋口尚也)
れてやってくる人も少なくなかったようだ。門前町は、
島根県大田市にある、石見銀山遺跡の正式名称は、
門前町形成以前から存在する厳島神社と、その他の寺社
「石見銀山遺跡とその文化的景観」である。石見銀山は、
を基盤として、昭和初期まで断続的に造られてきた為、
大きく分けて鉱山遺跡とそれを支える鉱山町、銀を海外
宮島は当時の空間と景観を現在まで伝えている。そして、
へ輸出するための街道や港町、そして銀を求めて石見を
せ
厳島神社は湾曲護岸のうちに社殿を建築し、その後、背
訪れた武将たちの山城などがある。
に社を設け、前方の海上に鳥居を設置するというダイナ
登録基準としては、以下の三つの点が挙げられる。
ミックな構図を取っている。そのような宮島全体に存在
銀の輸出を通して海外との交易が盛んに行われたこ
する美しさを、今も昔も旅人は享受しようと訪れるので
と。石見の地名は当時の世界地図にも記され、それに
ある。因みに2008年には、観光客数343万人の内、実際
より東西文化の交流の証左を物語る。
に参詣したのは191万人で、残りの152万人は宮島の景観
灰吹法等により、順度の高い高品質な銀が生産され
や歴史など、参拝以外の魅力を堪能しているようだ(花
たこと。
。
岡 2010:95)
豊かな自然が現在まで残されていること。
ユネスコでは、特にこの
3
の基準が重視され、世界遺
2012年度
地域文化調査成果報告書
産登録へとつながった。
「過疎」の問題に取り組むとともに、観光地づくりの面
そこで私たち石見銀山班は、8月24日∼25日の2日間
では客数のみを望むのではなく、「訪れた人々の満足度
にわたって現地を訪れ、初めに石見銀山世界遺産セン
を上げる体制づくり」を確立し、一体感を保ちつつバラ
ターにおいて、大田市教育委員会石見銀山課主事である
エティーに富んだ観光地づくりを行っていきたい、との
青木俊介氏にインタビューを行った。
ことであった。
写真①は、大久保間歩を実際に歩くという「石見銀山
大久保間歩、一般公開限定ツアー」の様子である。間歩
とは「坑道」を意味している。石見銀山では多くの鉱山
が採掘されており、中でも大久保間歩は一番の規模を誇
る。何より、ガイドの説明を通して、当時の鉱山におけ
る生活の様子をリアルに体感できるツアーといえよう。
石見銀山世界遺産センター
青木氏へのインタビューを通して、他地域の文化遺産
との意見交換や、遺産登録を目指す地域との交流がある
ことが分かった。また、世界遺産登録直後のブームが
去って安定期に入ったことにより、交通機関や町並み、
住民の生活環境、遺産保全の確保ができているとのこと、
一方、観光客数は減少したものの、事前に歴史的価値や
遺産観光のポイントを学習した上で現地を訪れる観光客
が増え、観光客の遺産に対する認識の変化が見受けられ
るとのことであった。さらに今日では「世界遺産」が、
遺産の保護・保全の面だけでなく、観光の観点からも捉
え直され、世界遺産を、まさに観光価値の一種の「お墨
付き」として解する傾向にあるとの指摘もあった。
訪日観光という視点からは、外国人観光客への対策と
して、ホームページに韓・中国語の訳文をアップしたり、
写真①
外国人向けガイドを設置する等の取り組みを行っている
次の写真②は「大森地区」の様子である。大森地区で
ものの、現地でのガイダンス対策の遅れ等もあり、訪問
は、昔ながらの建物がそのまま残され資料館として改修
客数が年々減少するなど、課題が山積している。
されており、私たちが訪れた時にも、神社が点在する通
今後は、世界遺産登録を経た後も緩和されずにいる
りは多くの観光客で賑わいを見せていた。又、写真③の
ように、自販機にも景観を壊さない工夫が施されている。
写真②
石見銀山の外国人観光客数
(島根県観光動態調査結果より)
4
世界遺産とツーリズム
―世界遺産と旅の理想的関係を探る―
最後に、現地調査を終えての考察として、以下の三点
に言及しておこう。まず石見銀山遺跡は、確かに「世界
遺産」として以上に、一つの「観光地」として認知・確
立されつつあるのではないかという点である。即ち、
「世界遺産ゆえに訪れたのではない」
、「観光整備が整い
つつある」といった観光客の声はまさにその証左となろ
う。第二に、やはりある程度の知識がなければその価値
を理解するに及ばないことからも、事前学習の重要性を
何よりも痛感させる遺産といえよう。最後に、「観光と
保存の兼ね合い」という問題を指摘したい。車の乗り入
れといった観光面での便利さを求めると、遺産や地域の
環境破壊を伴う可能性があり、まさに「保存」という世
界遺産本来の目的を見失ってしまうのではないかという
問題が残される。これは石見銀山遺跡のみならず、あら
ゆる遺産に共通する重要な課題であると考えられる。
写真③
まず今回、実際に現地を訪れ体感したこととして、石
【白川郷】
見銀山遺跡では遺産の範囲が広く、観光客の多い石見銀
(担当:下木梨佐、中山安希子)
山地区や大森地区はよく整備されている一方で、両地区
白川郷とは、岐阜県の庄川上陸にある集落一帯を指し、
から離れた港町の整備が遅れている様子から、まだ観光
厳しい自然条件のもとに生まれた大家族制度が特徴的な
地として完成されていない面があるのではないかと感じ
集落である。
た。次に、同遺跡は、実際に現地を訪れることを通して、
初めてその魅力を堪能できる遺産とも考えられる。ただ
一度限りではその価値が十分に伝わり難く、つまり事前
調査を要する遺産の一つと思われた。また交通面では、
世界遺産センターと石見銀山遺跡を結ぶバス料金の半端
さや時刻表の読み辛さ、また運行回数の少なさ等、改善
すべき点が幾つか散見された。
続いて観光客の方にインタビューを試みた結果、世界
遺産ゆえに訪れたというよりも、旅のついでに足を伸ば
された方や、町並みを一見する為に訪れた人も多かった。
世界遺産登録以前に訪れた旅人も多く、当時よりは観光
整備が整っているとの意見も聞かれた。また要望として
白川郷にある合掌造り家屋①
は、高齢者向けの土産店や飲食店が少なく、そのような
1995年、世界遺産に登録された「白川郷」は、以下の
施設の充実を希求する声も印象に残っている。厳しい意
二つの登録基準を満たしている。即ち、
見が出る中、再訪を望む意見も多くみられた。
これに対し、地域住民の見解として、登録直後のツー
歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、
リストのマナーが悪かったという指摘もある。中には民
科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本
家の石垣の石を削り持ち帰ろうとした観光客もいたそう
である。
だ。特に大森地区の人々は、昔から石見銀山の歴史的価
あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけ
値を認識していたものの、世界遺産登録により、初めて
るような伝統的居住形態、若しくは陸上・海上の土地利
知り得た文化財も実際にはあるとのことで、いわば世界
用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境
遺産認定により、当地の新たな魅力に気付いたという意
とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆
見もあった。尚、今回インタビューにお答え頂いた方は
的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
。
換言すれば、日本の木造建築の中でも豪雪・養蚕の為
一部の観光客や地元住民であり、当然の事ながら、他に
に急勾配の「切妻屋根」という独特な建築技術を有する
も様々な考えや印象をお持ちの方もいるであろう。
5
2012年度
地域文化調査成果報告書
ことや伝統的な大家族制度が存在していたこと、更に集
その目的は、白川郷の魅力を伝えると同時に、生活の維
落の自然景観が見事であること等が登録の対象となった。
持や世界遺産を維持する為であると考えられる。
私たちは9月12日∼13日にかけて、白川郷の「荻町合
掌造り集落」を訪れた。荻町集落は共に世界遺産に登録
された菅沼集落や相倉集落に比べて、合掌造りが114件
と最も多く残され、「切妻屋根」と称される、本を立て
たような形が特色的である。本調査において、実際に足
を踏み入れたのは、神田家、和田家、長瀬家の三つであ
り、集落自体は2時間ほどで回れる規模である。
神田家
続いて長瀬家のインタビューに進もう。同様に長瀬家
でも、まず後継者問題は存在しないそうだ。特に長瀬家
では、有名な「結い」をめぐる詳細なお話を拝聴するこ
グラフ①(白川村役場HPより
とができた。「結い」とは、お互いの労働力を貸し借り
観光客入れ込み数)
する仕組みで、「労働力を返すこと」が前提となってい
上記のグラフ①は、白川郷の観光客数を示したもので
る。「結い」は屋根の葺き替え作業で用いられ、そのか
ある。これを見ると、1995年に登録されて以降、観光客
たちは、時代と共に「結い」
、「現代結い」
、「業者委託」
数は漸次、増加の傾向にはあるものの、その大半が日帰
と変化する。即ち、「結い」とは村人同士のみで助け合
り客であり、つまり宿泊者数に大きな変化が見られない
うもの、「現代結い」はボランティアと村人が共同で作
ことが分かる。これは交通網の整備により、宿泊するこ
業を行うもの、そして「業者委託」は、専門の業者に全
となく白川郷に比較的行き易くなった為ではないかと考
て委託するものだ。かつては地元民だけで行っていた
えられる。また、訪日観光に関しては、台湾からの観光
「結い」による葺き替え作業も、現在、ボランティアと
客数が最も多い。とはいえ、外国人観光客向けの旅行誌
業者の助けなしにはきわめて難しい。とはいえ、「助け
『ロンリープラネット』に紹介されているにも拘わらず、
合い、支え合う心」は今も変わらず健在である。このよ
日帰り者数・宿泊者数とも、登録後は一旦増加の傾向に
うに、白川郷の魅力は「合掌造り」だけでなく、昔の村
あったものの、近年は減少の一途を辿っている(「白川
人たちの知恵が息づく集落の暮らし全体に及んでいると
郷観光協会HP」
)
。このことから、まだ海外への情報発
いえるだろう。
信は不十分だといえるのではないだろうか。
次に、現地でのインタビュー報告に進もう。最初の取
材は神田家である。文献調査によれば、屡々、後継者問
題が取り沙汰されているが、実際、白川郷においては
「後継者問題は深刻ではない」というお話であった。一
方、登録後の変化として、当時降雪にも拘わらず、翌日
以降、観光客数が10倍に急増したという。また、登録後
の不満については、例えば、「観光客用の駐車場が白川
郷の風景には相応しくない」という声や、「生活と遺産
維持の両立の難しさ」を挙げる声などが聞かれた。
一方、白川郷の魅力については、「建物、人間性、古
の雰囲気などが見事である」という回答を頂いた。現在、
白川郷では、観光客に向けて一部の家を公開しているが、
6
長瀬家の内部
世界遺産とツーリズム
―世界遺産と旅の理想的関係を探る―
長瀬家へのインタビューが示唆するように、現在でも
第二の課題としては、合掌造りで暮らしながら、普通
助け合いの文化は存在し続け、伝統を継承する者は絶え
の暮らし、つまり現代人の快適な生活を維持していくこ
ないと結論づけることができる。また、白川郷の暮らし
との困難さであろう。いかに技術が進歩しても、世界遺
は地元民の助け合いがあるからこそ維持できるものであ
産に登録されたが故に、古いしきたりや生活を守らなけ
り、地元民たちは白川郷を「誇り」としているのである。
ればならないという意識が生じ、それによって集落の発
展が遅滞し、現代の暮らしから取り残されてしまう。現
在、駐車場の規制問題が指摘されているように、「現代
人の暮らし」をどこまで取り入れ、その一方で「古の暮
らし」をどこまで守るべきか、こうした新旧の折り合い
のつけ方が、もう一つの重要な課題となるだろう。
【武陵源】
(担当:周艶梅)
武陵源は中国湖南省にあり、1992年にユネスコの世界
遺産(自然遺産)に登録されている。
武陵源は、以下の登録基準を満たしている。即ち、
白川郷にある合掌造り家屋②
最上級の自然現象、又は類(たぐい)
まれな自然美・
美的価値を有する地域を包含する。
中国全土の地図
白川郷にある合掌造り家屋③
武陵源は主に四つの景観区に区分されており、それら
最後に、観光課題について検討を加えることにしよう。
まず第一の課題は、白川郷の観光客数のグラフからも
は、1)張家界国家森林公園(チョウジャジエ コウジャ
見て取れるように、登録後も上向く気配のない宿泊者数
センリン ゴンユイン)
、2)楊家界風景区(ヤンジャジ
を如何に延ばすかという点である。既述のように、白川
エ
郷の魅力は、確かに1日では感得できないものであろう。
フンジンキュウ)
、4)索溪谷風景区(ソシク フンジン
つまり観光客は、宿泊して長時間現地に滞在することに
キュウ)である。
フンジンキュウ)
、3)天子山風景区(テンチサン
よって、世界遺産としての白川郷の魅力や集落独自の生
まず、「張家界国家森林公園」は、写真①内のマーク
活の様子を、より身近に実感することが出来るのではな
が上から順に示す通り、「世界自然遺産」
、「世界ジオ
いだろうか。一方、地元住民の側に立つならば、観光客
パーク」
、「国立景勝地」に認定されている。
が同地に宿泊することを通して、白川郷の古くからの伝
また、当地では景観区全景を見せるために、写真②の
統をさらに深く理解してもらうと同時に、今まで以上に
ような、世界で最高のスピードを誇る高さ335メートル
大きな経済効果も期待出来るだろう。今後、白川郷の観
のエレベーターが設置されている。
光をさらに発展させていくためには、何よりも宿泊者数
の増加こそが、重要課題の一つになってくるのではない
だろうか。
7
2012年度
写真①
地域文化調査成果報告書
張家界国家森林公園の石碑
土家族の生活場面
さらに四つの景観区の中で最も美しいと評される「天
子山風景区」には、「中韓友好寺」が建立され、観光客
が一息休憩することのできる名所となっている。また、
戦争時に貢献した人物「ホロン」
の彫像も建造されている。
写真②
百龍エレベーター
天子山風景区
写真③
エレベーター内から撮影した武陵源全景
次の「楊家界風景区」は現在、唯一住民が生活を営む
景観区である。そこに居住する人々は最も伝統的、代表
的な民族「土家族(トジャゾウ)
」という。そして景観
区では土家族の昔のままの生活場面や演劇などが見られ
る。
中韓友好寺
8
世界遺産とツーリズム
―世界遺産と旅の理想的関係を探る―
景観区は市内から車で2時間程の距離にある。国は景
観保護政策として市内の工場をすべて廃止すると共に、
景観区内にある全ホテルの撤去に踏み切った。加えて当
地では既述の民族「土家族」のみ居住が許され、これも
伝統保全の為に国が行っている規制の一つである。
実際に現地を訪れてみると、確かに、武陵源は心と体
が癒される場所ではあるが、景観区が余りに広大な為、
ガイド無しには極めて危険な観光地であると感じた。さ
らに地図が無いこと、加えて看板とバスの案内に関する
説明が不十分であること等も改善すべき点だと考える。
【古都京都のインバウンド観光】
(担当:權アヨン)
「インバウンド観光」とは、外国人による訪日観光、
又は訪日する外国人観光客を集める戦略である。日本で
ホロンの彫像
は2003年「外国人旅行者訪日促進戦略」をはじめとして、
最後の景観区は、洞窟の中にある石がまるで奇跡のよ
訪日する外国人観光客について注目し、2010年の調査で
うに立つ「索溪谷風景区」である。普通の石ではあるが、
「観光客は何を期待して観光地を訪れるのか」を把握す
ライトを照らすだけで、写真のような現象が見られるこ
ることが肝要であると考えるようになった。
とが、この景観区の素晴らしいところではないだろうか。
人口減少社会、日本人の低い出国率、国際競争力の強
化のため、前述のように、日本は観光、特にインバウン
ド観光に力を入れており、2003年、観光立国推進戦略会
議で主張された訪日外国人促進戦略では、「2010年まで
に訪日外国人観光客1000万人」という中期的な計画に加
え、「2020年までに訪日外国人観光客2000万人」という
長期的な目標も設定している。2008年の調査によると、
日本全国を訪れる外国人観光客数約835万の内、京都を
訪れる観光客は約94万である。グラフ①は、京都におけ
る宿泊施設を利用する外国人観光客の推移を表しており、
京都のインバウンド観光客数は、2002年のワールドカッ
プを契機に増加し、一時的にわずかな減少はあるものの
年々増加していることが分かる。
索溪谷風景区
続いて、現地の村長、管理事務局の職人、ガイドの
方々にインタビューした結果を紹介したいと思う。観光
客は、卒業旅行で訪れる中国人の学生が多く、次いで韓
国の年配者またはヨーロッパの人々だそうだ。また、武
陵源が世界遺産に登録された後、観光事業で得た利益が
住民達の主な収入源になったと言われる。無論、景観区
グラフ①(上田 2012:178)
はほぼ山に覆われ、敷地も広大無辺な為か、その危険性
ゆえに命を落とす人もいるということに驚愕を覚えた。
9
2012年度
地域文化調査成果報告書
では、京都を訪れる外国人観光客は、何れの国からの
4)世界遺産の中では現代的建築物が見えないことや、
観光客であろうか。日本全体を見れば、中国や韓国が多
そうした建物が見えるところでも世界遺産の景観を損
いと思いがちだが、京都では他の地域と異なる現状がう
なわないよう配慮されていることから、周囲の環境を
かがえる。日本全体の外国人観光客の約7割がアジア系
含めて遺産が保護されているように感じられたこと。
であるのに対し、京都を訪れる外国人観光客は、ヨー
7%を
ロッパ、北米、オセアニアからの観光客が、約68.
占めている。これは、京都の17件の社寺城郭それぞれに
個性が存在することに加え、とりわけ欧米からの観光客
の目にエキゾチックに映る日本の古典美が豊富に残され
ている為ではないだろうか。いずれにせよ、世界遺産観
光の地として定着している上に外国人観光客が多い京都
は、調査対象として最適な地域であると言えよう。
京都の世界遺産、通称「古都京都の文化財」の登録基
準は
と
である。この「古都京都の文化財」は17件の
社寺城郭を合わせたものであり、平安時代(∼794年)
から江戸時代(∼1868年)に至るまでの各時代を代表す
る建築様式、庭園様式、文化的背景を今に伝えるものと
して貴重であると共に、それらがその後の日本の建築、
造園、都市計画に多大な影響を及ぼしたこと等も評価さ
れて、1994年に世界遺産に登録された。
東寺(教王護国寺)
それに対し、不満足な意見は、以下の通りである。
1)二条城内では、外国語の説明が不足しているところ
が散見され、また、それを補うための音声ガイドシス
テムはも、値段が入場料と同価格で、比較的高価な為
に利用者は少数に留まったこと。
銀閣寺(慈照寺)
以下は、外国人観光客の視点からの古都京都の文化財
について、実際にインタビューを行った結果をまとめた
ものである。まずは満足な意見から紹介しよう。
1)京都市内全域を回る様々な市バスを1日何度でも乗
車することのできる手頃な値段の定期券がある。また、
自転車レンタルシステムもあり、交通が大変便利で、
エコな観光ができること。
2)二条城を回った韓国人観光客からは、韓国に比べ綺
麗に保存されている遺産であるという意見。
3)西本願寺でのパンフレットでは日本語、英語、中国
語、韓国語の以外にポルトガル語やスペイン語といっ
二条城
た多国語への対応が行き届いていたこと。
10
音声ガイドシステム案内の看板
世界遺産とツーリズム
―世界遺産と旅の理想的関係を探る―
2)二条城の韓国語のパンフレット内に、文字ミスが複
『
「新しい魅力」を常に発信することをして行かなけれ
数検出されたこと。
ば、忘れられるかも知れないし、地元の方々の保全しよ
3)清水寺では、平日にもかかわらず、多くの観光客ゆ
うとする意欲も削がれてしまうかも知れない。まずは地
えに、じっくりと遺産を満喫することが困難だったこと。
元の方々が「新しい魅力の発信」ということを常にやっ
ていかなければならないと思う。
』
(2012年6月23日「TSK
4)韓国人観光客からは、満足な意見とは別に、見た目
が自国と相似し、新鮮味に欠けるという厳しい声も。
スーパーニューススペシャル」
(山陰中央テレビ)
さて、保全が大切な世界遺産名所である京都にも、地
粋であるが、この言説にこそ、まさに私たちのテーマの
これは、ある報道番組で収録されたインタビューの抜
ヒントが含まれていると考えるのである。
域開発は欠かせない課題だ。地域開発を進めながら、同
さらに具体的に、観光と保全の両立における両極のパ
時に世界遺産の文化的景観を保護しなければならない。
ターンを提示してみよう。
そのため京都では、京都の街の開発と保存の調和に配慮
した上で、道路や鉄道を地下に建設することを望んでい
る。また、京都市民にとって、京都にある文化遺産は単
A.【観光と保全の両立の悪い例】
に見るだけのものではない。地元の大学を拠点に行われ
1.地域が新しい魅力の発信を行わない。
ている世界遺産講座「明日の京都」は、100年先に向け
2.ツーリストには、何が面白いのか、見るだけでは理
て文化遺産を護り、育み、創造するという、伝統と創造
解できない。(そして、
)
をつなごうという試みである。京都の地域住民のために、
3.観光客が来ない。(その結果、
)
世界遺産で世界遺産の講座を開くことで、地域住民は自
4.地域は自信を失い、保全に対するやる気も喪失。
ら文化遺産の文化的価値を見出すことができるだろう。
インバウンド観光を含め、京都の観光では、リピー
B.【観光と保全の両立の良い例】
ターによる情報発信が大きな役割を果たしている。そし
1.地域は観光と保全の両立、次世代が支える新しい魅
て新しい魅力を見出すためには、地域住民による情報発
力の発信に努める。
信と、それを基に当地を訪れた観光客による情報の再発
2.ツーリストにもっと知りたいという欲求が湧く。
信によって、新たな観光客を誘致すると共に、効果的に
3.観光客が増加する。(その結果、
)
問題点を探り、改善策を見出していくという形が最も理
4.地域は自信を持つようになり、保全へのさらなる意
想的だと言えるのではないだろうか。
欲が誘発される。
【まとめ
このように、世界遺産を保有する地域とツーリストが
今後の世界遺産観光の行方】
(担当:東寛章)
相互に意識を変えていくことが重要である。これこそが、
これまでの論旨を踏まえて、最後のまとめに入ろう。
まさに観光と保全の理想的な関係の一つと言える。
今回、本テーマに取り組んだ目的は、「世界遺産と旅
最後に、「今後の世界遺産観光のありよう」を、以下
の理想的な関係を探る」ということであり、その目的を
のように図式化することで、これまでの考察を締め括り
達成する為に、私たちは「見るだけの観光ではなく、知
たいと思う。
るための観光」というスローガンを提言したいと思う。
これには観光客側の「知ろうとする姿勢」と共に、地域
側の「知ってもらおうとする姿勢」
の双方が重要視される。
換言すれば、ツーリスト側は、⑴自国の大切な遺産と
して敬意を払い、⑵事前学習を通して歴史や文化を知る
楽しみを享受する。そして⑶現地の風習を理解し、⑷危
険への心構えを持つ。他方、地域側としては、⑴もてな
しの心を持ち、観光客との出会いを大切にする。⑵観光
客のニーズの理解と共に、⑶見せ方を創意工夫し、⑷新
しい魅力と共に情報発信を行っていく、ということが肝
要である。
ここで、文化庁の近藤長官から、石見銀山観光への貴
今後の世界遺産観光のありよう
重な助言を一つ紹介しておこう。即ち、
11
2012年度
地域文化調査成果報告書
http://www.pref.shimane.lg.jp/kanko/report_h21.data/H
図が示すように、ツーリストと遺産を保有する地域、
21_3-3-2.pdf
この双方の役割が果たされた時、「世界遺産観光」は、
・平成22年島根県観光動態調査結果
文化・自然への理解や国民間の相互理解をより深めるこ
月別外国人宿泊客
とに繋がるであろう。そして何より、保護と観光の共生
延べ数
の問題は、「世界遺産観光」のみならず、諸地域におけ
http://www.pref.shimane.lg.jp/kanko/report_h22.data/3-
る文化観光のまさに普遍的な課題となり得るものと言える。
2-gaikokujin.pdf
・平成23年島根県観光動態調査結果
・花岡拓郎「5章
http://www.pref.shimane.lg.jp/kanko/report_h23.data/3_
もてなしの文化を支える地域社会
1_3_2_tukibetu_gaikokujinn_shukuhaku.pdf
広島県宮島・厳島神社門前町」
、藤木庸介編著『生き
・白川郷観光協会ホームページ
ている文化遺産と観光―住民によるリビングヘリテー
http://www.shirakawa-go.gr.jp
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ジの継承』
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・黒田乃生著『世界遺産白川郷―視線の先にあるもの』
・世界遺産
白川郷合掌造り集落
tokuzo.fc2web.com/2003/sirakawa/sirakawa.htm
(筑波大学出版会、2007年)
』
№893(2012―Ⅱ)
・「特集『世界遺産』
」
、『學士會会報
・白川村役場
http : / / shirakawa - go. org / wp - content / uploads / kank
4―26頁。
京都観光の現状―5000万人観光都市
outoukei_2012_01.pdf
と政策ネットワーク」
、井口貢・池上惇編著『京都観
・オンライン孔子学院
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2012年)
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http://www.miyajima.or.jp/sightseeing/ss_itsukushima.
=related
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・世界遺産
http://japanese.chinese.cn /chineseculture/article/201203/21/content_362309.htm
.
Planet Publications, 2009)
・厳島神社
月別外国人宿泊客
延べ数
【引用文献/URL】
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石見銀山遺跡とその文化的景観
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・島根県公式ウェブページ「島根県観光動態調査」島根
http://tomorrows-kyoto.jp/profile/00.html
県観光振興課
・平成19年島根県観光動態調査結果
月別外国人宿泊客
延べ数
http://www.kankou-shimane.com/report/h19/3_8.html
・平成20年島根県観光動態調査結果
月別外国人宿泊客
延べ数
http://www.pref.shimane.lg.jp/kanko/report_h20.data/31-3.pdf
・平成21年島根県観光動態調査結果
月別外国人宿泊客
2012年度〈ツーリズム班の学生〉
延べ数
12
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