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ハード・ソフト協調検証環境の
Success STORIES Success STORIES 日本イヴ株式会社 日本イヴ株式会社 いち早いソフトウェア検証を実現する ハード・ソフト協調検証環境の ZeBu(ゼブ) 従来、ASIC や SoC はアプリケーションごとや製品クラスごとに開発していたが、現在はプラットフォームを共通化しソフトウェア 先 端 の Virtex-6 LX760 を 搭 載 し、 最 大 3200 万 限があります。その代わり、価格が半額となっ ASIC ゲートの ASIC および SoC のハード・ソフト ています」 (松本氏) 。コストメリットのあるSDP 協調検証向けに開発されたデスクトップサイズ を複数導入してハードウェア検証のレグレッ の高速エミュレータである( 動作クロックは同 ションを並行で行っているユーザもいるという。 で機能を変えるようになってきた。その背景として、微細化による開発コストの高騰、プロセッサの高性能化、マルチコア化など じく 30MHz)。消費電力は 200W 以下であり使 ZeBu は、ESL から RTL まであらゆる抽象度レ がある。そこでポイントとなるのが検証環境である。いち早くソフトウェアを検証するため、ハード・ソフトの協調検証の重要度 い勝手が高い。ちなみに、ZeBu-Blade2 の対応 ベルの ARM モデルに対応している。ESL モデル が増すなか、協調検証環境には、充分な速度でソフトウェアを実行できる性能、ハードウェアの優れたデバッグ力が求められる。 容量は、日本イヴの顧客におけるチップ開発全 しかないような最先端の ARM コアでも、ZeBu 日本イヴは、高速のハード・ソフトの協調検証環境である「ZeBu(ゼブ)」を提供している。ここでは、ZeBu の魅力を聞いた。 体の 60%をカバーしている。 なら状況と目的に応じてあらゆる抽象度の ARM 日本イヴ株式会社 代表取締役 井芹 弘幸 氏 ムチップのバグを限りなくゼロにしたいという ハード・ソフト協調検証環境は、FPGA プロト モデルと混在することもできる。これらの ARM タイプを用いても実現できる。 「しかし、FPGA プ モデルには ARM RealView などのソフトウェア ロトタイプではFPGA の深い知識が必要であり、 技術者が使い慣れたソフトウェア・デバッガを 完全に動作するまでに時間がかかってしまいま 接続可能であり、効率的にデバッグできる。 す」 (井芹氏) 。さらに、 「ゲートサイズが 2,000 論理シミュレータによる ESL と RTL の協調シ 万を超えるような大規模なものは、技術的にさ ミュレーションは速度の低下を招いてしまうが、 らに難しいのが現状です」 (バラン氏)という。 ZeBu は「ESL コ・エミュレーション」環境を構 築することでこの課題を解決している。ZeBu 思いが込められています」 (松本氏)。 他社製品と比較して あらゆる抽象度レベルの コンパイラは、デザインの大きさや複雑度に関 ARM モデルに対応 係なく RTL ブロックを取り込み、ESL 向けアダ 非常にコンパクトな筐体 充分な速度を持った 論理エミュレータ ASIC や SoC などのカスタムチップの現状につ 52 「一般的な SoC 開発は、ある程度工程が進ん 境を実現できる。 プタを追加することで、RTL そのものを ESL モ ハード・ソフト協調検証には論理シミュレー デルとして利用できるようにする。ZeBu の高性 ZeBu は、ザイリンクスの FPGA である Virtex タが用いられることもあるが、速度が充分で 能トランザクション・レベル・モデリングによ を搭載した論理エミュレータである。対応規 はない。一般に、論理エミュレータは、論理 り、1 秒間に数 100 万トランザクションを処理 模 数 に 応 じ た 最 新 版 と し て、ZeBu-Server(5- シミュレータの 100 ~ 1,000 倍以上の速度で動 できる。 slot ユニット版/ 2-slot ユニット版)や ZeBu- 作させることができる。「論理エミュレータは、 Blade2 などがラインアップされている。 全メモリやレジスタを ZeBu-Server は、Virtex-5 LX330 を搭載し、最 任意のタイミングで観 大 10 億 ASIC ゲートの非常に大規模なマルチコ 測できるなど、サイク ア ASIC および SoC のハード・ソフト協調検証 ル精度の完全な制御性 向けに開発されたもので、スケーラブルな拡張 や観測性を備えていま 性およびマルチユーザ機能を備えている(動作 す」 (松本氏)という。 だ段階で致命的なバグが発見されると大きな手 仏 EVE 社は、2000 年に設立されたメーカであ 戻りが発生しかねません。それが、製品出荷時 り、現在、アメリカやヨーロッパ、アジアの各 クロック 30MHz)。幅と奥行きは 50cm であり、 期を遅らせる要因にもなるのです」 (松本氏)。 拠点で約 140 名の従業員を抱えている。日本イ 5-slot ユニット版でも高さ 50cm、2-slot ユニッ バッグ用のHDP と実行 ヴは、仏 EVE 社の日本法人として 2004 年に設 ト版では高さ 23cm である。他社製品と比較し 専用の SDP の2つのタ 立された。 て非常にコンパクトな筐体に収まっている。 イ プ が あ る。 「HDP も PC / Linux ZeBu DSP RVデバッガ ZeBu TLM-2.0 Adapter ZeBu には、フルデ いて井芹氏は、「設計数自体は減っているので 仏 EVE 社の「ZeBu(ゼブ)」は、充分な速度 すが、その分個々の設計規模が大きくなってい を持った論理エミュレータである。ハードウェ ます。小規模なものは FPGA に流れていますが、 アとソフトウェアに加え、さらにユーザ・イン EVE 社の主力製品が、論理エミュレータの ZeBu-Blade2 は、ZeBu シリーズの 7 世代目 SDP も製品自体は同じ FPGA では消費電力や規模の点で課題が残りま タフェースまでも統合した仮想プロトタイピン ZeBu である。「ZeBu とは、『Zero Bug(ゼロバ となる製品だ。シングルユニットのみである な の で す が、SDP は 波 す」という。 グ環境を構築でき、最終製品に直結した開発環 グ)』から取った名前であり、文字通りカスタ が、小型軽量でデスクトップでも使用できる。 形が取れないなどの制 ARM PARTNERS SUCCESS ZeBu は、 図 1 の よ う な「OSCI TLM-2.0 ベ ー OSCI ARM TLM-2.0 コア モデル 環境 Generic Payload バス ブリッジ UART Timer 外部 IP コント ローラ DDR3 図 1:OSCI TLM-2.0 ベースの ESL 環境。SystemC ベースの仮想環境とのインテグレーションが可能 となり、SystemC と RTL を組み合わせた「高性能ハイブリッド仮想プラットフォーム」が実現できる。 ARM PARTNERS SUCCESS 53 Success STORIES テクニカル・ノート Technical NOTE 日本イヴ株式会社 ロセッサの組込みソフトウェアの開発期間を 6 先進のハード・ソフト協調検証環境を実現する ~ 9 ヶ月短縮できたとのことです」 (井芹氏)。 ZeBu論理エミュレータ 「 TI 様はわれわれの初期からのお客様で、今 後もOMAPの開発にZeBuが使われる予定です」 (バラン氏)。 ZeBu では、最先端の ASIC や SoC の高度な検 “完全無欠”の制御性と観測性 最速かつ最高精度のハード・ソフト協調検証 証エコシステムを効率的に構築するための検 証 IP が豊富に用意されている。その中で、ハー ◆ コンパクトかつ軽量な筐体 ド・ソフト協調検証向けには UARTトランザク タや JTAGトランザクタがよく用いられており、 仏EVE社 VP Worldwide Operations クリストフ バラン 氏 日本イヴ株式会社 また USB と Ethernet については実機と容易に接 AE Manager 続可能な仮想モデルも用意されている。 松本 光寛 氏 高速動作など汎用 FPGA ならではの ス の ESL 環 境 」も 構 築 で き る。EVE 社 製 品 の メリットを持つ 「TLM-2.0 トランザクタ・アダプタ」を用いる ことで SystemC モデルと ZeBu の高度な連携を 他社の論理エミュレータは、専用の FPGA を 実現する。この技術によって SystemC ベースの 採用しているが、EVE 社の ZeBu はザイリンクス 仮想環境とのインテグレーションが可能となり、 社の汎用 FPGA を搭載している。 SystemC と RTL を組み合わせた「高性能ハイブ 54 証プラットフォームは、サイクル精度の完全な制御性と観測性、そして 電力面でも有利だ。「他社製品は動作や冷却 源を落とすだけでも勇気が要ることもあります。 日本が元気になるような製品を ちなみに、ZeBu-Serverは、2年半前の国内導入以 いち早く開発して欲しい ZeBu-Serverを用いて 来、数十台にわたって、製品ハードウェアには1 約 7分で Android OS をブート 度の不具合も起きていません」 (松本氏)という。 今後も ZeBu は、Virtex の新しいバージョンへ 「他社製品では、納入されてわずか数週間で の継続的な対応を予定している。これが汎用 さらに、ZeBu の実力が見事に発揮された事例 壊れてしまったこともある、と聞いたことがあ FPGA を搭載している良い点であり、常に最新 として、テキサス・インスツルメンツ( TI )社 ります」 (井芹氏)とのことだ。さらに、Virtex のテクノロジを反映していける。 「開発期間の短縮やパフォーマンス向上を求 めていらっしゃるお客様に、ぜひ ZeBu を活用 アルコア「Cortex-A15 MP」を搭載した同社最 デメリットとしては、専用 FPGA と比べてコン していただきたいですね。日本が元気になる 新のモバイルプロセッサである。この開発に パイル時間がかかることであるが、並列処理 ような製品をいち早く開発していただきたい ZeBu-Server が活用された。 の強化や ZeBu に特化した高速論理合成ツール です」 (井芹氏)。 適用されたのは、OMAP5430 プロセッサであ z FAST の開発などにより飛躍的に改善されてい 松本氏も「日本ではハードウェアとソフト る。「OMAP5430 プロセッサを ZeBu-Server に る。ちなみに、論理合成ツールに zFAST を用い ウェアの部門間に " 壁 " があるケースが多いよ マッピングしたところ、約 7 分で Android OS た場合、300 万ゲートで 28 分、700 万ゲートで 1 うです。ZeBu をソフトウェア技術者の方に活用 をブートできました。これは他社製品と比較し 時間 22 分、1800 万ゲートで 1 時間 55 分のコンパ していただくことで、ハードウェア開発部門の て 30 倍以上も高速でした」 (井芹氏)。ちなみに、 イル(論理合成から FPGA ビットストリーム生 方々ともっと仲良くなって欲しいと思います」 他社製品では、ブートまで 3 時間 44 分もかかっ 成まで)時間がかかっている(2011 年のデータ) 。 と語った。 Server を利用することで、TI 様は OMAP5430 プ ARM PARTNERS SUCCESS 「ZeBu は、コンパイル時間の長さをすぐに取 最後にバラン氏は、「最近は、アジア各国の り返せるほど実行速度が速く、低コストかつ非 動きは速いのですが、日本は停滞感を感じます。 常に頑丈といえます」 (井芹氏)。 ZeBu を活用することで、輝きを取り戻して欲 さらに、サポート面も高く評価されている。 ZeBu-Blade2 で は 1800 万 ゲ ー ト ま た は 3200 万 ゲ ー ト、ZeBu- サイズに応じてゲート容量をスケーラブルに選択可能です。 「専用 FPGA を搭載している他社製品は、電 と っ て 大 き な メ リ ッ ト と な り ま し た。ZeBu- ◆ デザイン・サイズに応じたスケーラビリティ 業界最高速の ZeBu 論理エミュレータをベースにした HW/SW 協調検 ムは最近国内でも導入され、GPU のドライバ開 「すべてソフトウェアで組めるのが TI 様に ションが一般的です。しかし、実行速度が十分ではないため、より高速 くのお客様に認めていただいています」 (井芹氏) 。 消費しません」 (バラン氏)という。 たという。 す。さらに非常に軽量ですので簡単・自由に移設できます。 しています。こうしたフットワークの良さは、多 などがある。高速性は、汎用FPGA採用による。 汎用品の良いところである。 性能検証などで高い精度が必要な場合、DSM を用いた HDL シミュレー Server では最小 1000 万ゲートから最大 10 億ゲートまで、デザイン・ この高性能ハイブリッド仮想プラットフォー OMAP5 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム は、ARM の デ ュ トかつ軽量な筐体です。約 60cm 四方のスペースがあれば設置可能で ◆ ZeBu によるハード・ソフト協調検証の特徴 の規模のものでも他社の 1/10 程度の電力しか は常に新しいものが数年ごとに出てくることも ARM コア SoC のハードウェア・ソフトウェア (HW/SW) 協調検証では、 壊れたときでも直ぐに代替機を用意できるように トとしては、動作が速い、低価格、高い堅牢性 の OMAP5 プラットフォームの開発がある。 ZeBu 論理エミュレータの大きな特徴は、設置場所を選ばないコンパク なアプローチが求められています。 に多くの電力を必要としますが、ZeBu は同程度 発や OS ブートなどで活躍している。 ◆ 従来のハード・ソフト協調検証の問題点 「ZeBu はたいへん壊れにくいのですが、万が一 これにはメリットとデメリットがある。メリッ リッド仮想プラットフォーム」が実現できる。 ZeBu 論理エミュレータの特徴 しいですね。『日本ガンバレ!』」と結んだ。 メガヘルツの性能を両立した、" 見える" HW/SW 協調検証を実現します。 ◆ 豊富な検証 IP を提供 ZeBu ベース HW/SW 協調検証環境では、ハードウェア部の全てのメモ 高度な検証エコシステムを効率的に構築するための検証 IP が豊富に リとレジスタの内容を、自由にダンプまたはトレースできるだけでなく、 用意されています。代表的なものとしては、DDR3 や Flash などのメ いつでも書き換えられます。 モリモデル、PCI-Express、USB や AMBA バスなどのトランザクタ、 ソフトウェア部については、RealView などの使い慣れたソフトウェア ESL 環境と接続するアダプタなどがあります。 デバッガで縦横無尽にデバッグできます。さらに UART を介した仮想 ターミナル接続を使って、ハードウェアと容易に交信できます。 ◆ ESL から RTL まであらゆる ARM モデルに対応 例えば、最先端 ARM コアの場合には、ESL モデルしかない状況でプロ ジェクトを開始せざるをえないこともありえます。 ZeBu なら、状況と目的に応じて最適な、あらゆる抽象度の ARM モデ ルに対応可能です。 お問い合わせ先 日本イヴ株式会社 〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜 2-7-17 KAKiYAビル 4F TEL:045-470-7811 FAX:045-473-7814 Web:www.eve-japan.co.jp email:[email protected] Complete HW/SW SOC Co-verifi cation environment with ZeBu-Server ZeBu ARM Processor Implementation with ARM VSTR EAM 図 1:HW デバッグ機能と SW 開発環境の融合 図 2:ARM VSTREAM によるフル仮想開発環境の一例 ARM PARTNERS SUCCESS 55