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平成23年度 地域探検隊活動記録 平成 24 年 3 月 名古屋市

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平成23年度 地域探検隊活動記録 平成 24 年 3 月 名古屋市
平成23年度
地域探検隊活動記録
平成 24 年 3 月
名古屋市
概
要
1 目的
地域に眠る歴史・文化資産を発掘、発表することにより、地域の魅力を
再発見、発信する。
2 調査対象地域
原則として、地域探検隊の属する区における小学校区内
ただし、同一の区の範囲内であれば、複数の学区をまたがる範囲も可
3 活動期間
平成23年6月~平成24年3月
4 地域探検隊
・碁盤割地域探検隊(中区 名城・御園学区)
・鳴海歴史倶楽部○(緑区 熊の前・神の倉・徳重ほか緑区東部関連学区)
5 活動内容
登録されたそれぞれの地域探検隊は、7月中に各区の生涯学習センターで調
査方法等についての講座を受講し、それぞれが設定したテーマに沿って探検隊
活動を行い、調査結果をパネルにまとめました。
平成23年11月23日(水・祝)に名古屋都市センターにおいて開催され
た「地域探検隊活動発表会&歴史まちづくり講演会」において、調査内容を発
表するとともに、調査結果のパネル展示を行いました。
また、探検隊ごとに、地区会館や生涯学習センターにおいても発表を行い、
自分たちの住む学区内にある歴史的建造物、ため池などの歴史・文化資産の調
査結果を披露しました。
6 活動報告
・碁盤割地域探検隊
・鳴海歴史倶楽部
7
地域探検隊活動発表会&歴史まちづくり講演会
8 参考資料
・「地域探検隊」事業実施要綱
1
7
12
ープ名
グループ名:碁盤割地域探検隊
グル プ名 碁盤割地域探検隊
【活動概要】
活動内容
実施日
場 所 等
7月6日(水)
中生涯学習センター
講師:津田豊彦氏(名古屋市史編集委員)
8月25日(木)
中生涯学習センター
役割分担
9月8日(木)
中生涯学習センター
資料収集等
9月22日(木)
中生涯学習センター
随時
碁盤割地域
10月13日(木)
中生涯学習センター
10月27日(木)
中生涯学習センター
事 入門講座(生涯学習センター)
前
学
研究テーマの絞り込み
習
調
査 現地調査
活
合同現地調査
動
パネル作成
成
果 地域探検隊活動発表会&歴史
名古屋都市センター ホール
11月23日(水・祝)
発 まちづくり講演会
パネル展示及びステージ発表(30分)
表
1
【活動を終えての所感】
碁盤割地域の地域探検隊の活動を始めるに当って、最も頭を悩ましたのはテーマ
の選定です。
碁盤割は清洲越以来、城下町の中心であり、現在入手できる書籍等でも題名に碁
盤割 文字が付
盤割の文字が付いているものでも何冊もあり、一部にテーマとなっている書籍、論
るも
も何冊もあり
部にテ
とな
る書籍 論
文等を挙げれば限りがないといっていいでしょう。
その中で、今回選んだのは碁盤割の中で生活してきた商人たちがどのように起業
し、経営し、苦難を乗り越え、現在に至っているかを知ることです。
また、現在の姿を実際に訪問等して写真等に撮ってきました。
やり方としては事前に10人のメンバーにそれぞれ担当を設定し、事前に調査して
から皆で探検する様にしました。
コースは中北薬品→荒川長太郎合名会社→大西人形店→美濃忠→河文→両口屋→
川村畳店→升半→美の伊美術店→亀末広です。(以上、10件が今回の対象です)
全員で調査、探検を行い発表まで行うことが出来たのは大きな喜びであり、今後
もこのテーマをより深め、広げて調べていきたいと思います。
【メンバー表】
no.
1
2
3
氏 名
岡本
隆司
岡本 隆司
今泉 純子
熊谷 次雄
4
澤井 政子
5
富田 哲司
6
村辻
村辻 規利枝
規利枝
7
林 春好
8
林 良一
9
三ツ井 昭夫
10
森川 徒男
2
3
4
5
ープ名
プ
グループ名:鳴海歴史倶楽部
グル プ名 鳴海歴史倶楽部
【活動概要】
活動内容
実施日
場 所
等
事 入門講座(生涯学習センター)
前
学
習 担当分け
7月20日(水)
緑生涯学習センター
講師:近藤修平氏、熊谷武文氏(愛知県
農地計画課)
同上
緑生涯学習センター
総論 鳴海東部のため池調査 ため池の構
総論、鳴海東部のため池調査、ため池の構
造、民話等の6つの担当者決め
①第1回 中間報告・打合せ会
9月7日(水)
緑生涯学習センター
6つの担当部門の中間進度状況報告
〃地元古老 寺島嘉三郎氏聞取り
調
②第2回 中間報告・打合せ会
査
活
動
③第3回 まとめ作業
ユメリア徳重
元徳重地区整理組合役員で、地元の昔を知
る方に話を伺う
緑生涯学習センター
6つの担当部門の中間進度状況報告と打合
せ
9月20日(火)
10月12日(水)
10月19日(水)
緑生涯学習センター
10/27(木)報告提出を控え、まとめ案作成
④第4回 まとめ作業
10月26日(水)
緑生涯学習センター
翌日提出用報告のまとめ作業
リーダーのまとめ報告作成
10月26日(水)
~10月27日(木)
竹安氏宅
報告書の最終版作成作業
地域探検隊活動発表会&歴史まち
名古屋都市センター ホール
11月23日(水・祝)
づくり講演会
パネル展示及びステージ発表(30分)
成 鳴海歴史倶楽部 勉強会
果
発 鳴海歴史倶楽部 鳴海東部ため池
表 散策会
緑図書館文化講演会
2月15日(水)
緑生涯学習センター
緑生涯学習センタ
3/10(土)配布資料を再度勉強
3月7日(水)
緑文化小劇場より出発
鳴海東部の調査ため池を散策
3月10日(土)
徳重地区会館 集会室
講演(パネル展示)
7
【活動を終えての所感】
鳴海村は尾張藩屈指の大米作農村でした。
この地域は丘陵地が多く川が少ないため、先人達は多くのため池を作って稲作の
増産に努めてきました。
緑区には市内で最多のため池があります。
緑区には市内で最多のため池があります
現在では宅地化が進んでため池は激減し、農業用のため池は皆無となりました。
私達は先人が苦労して作ったため池の現地・現物の確認調査から始めました。
同時に緑区のため池の歴史的変遷、ため池の築造技術、ため池の役割などの調査
と地元の古老やため池の愛鳥家からの聞き取りも行いました。
地元 古 やた 池 愛鳥家 ら 聞き取りも行
た。
現在のため池の役割は、周辺を含む公園の環境保全と都市化による水害を防止する
洪水調整へと大きく変わってきています。
この地区の文化遺産であるため池を今後も見守り、次世代へ残していく活動を継
続したいと考えています。
最後
最後に、探検隊を先導した竹安リーダーが1月下旬に急死されました。謹んで御
探検隊を先導 た竹安リ ダ が 月下旬 急死されま た 謹ん 御
冥福を祈ります。
【メンバー表】
no.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
氏 名
竹安 一郎
村上 弘
堀川
堀川 幸男
幸男
鈴木 幸男
山村 幸雄
須原 敏行
伊藤 総俊
木村
木村 浩
浩
山本 金夫
河内 忠則
伊藤 多香子
8
緑区のため池探検Ⅰ
①ため池とは?
②ため池の数
業用水確保のためにつくられた人工池
愛知県ため池分布図
市内の ため池数は 緑区が最多
☆ 昔は雨池(アマイケ、アメイケ)と呼ばれた。
名古屋市のため池分布(2010 年度末)
丘陵地では 河川の水を汲みあげて使うのが
困難なので、谷間にため池(谷池)を作り、谷
区
北
千
種
昭
和
瑞
穂
守
山
名
東
天
白
緑
計
数
2
7
1
1
27
15
9
49
111
たんぼ
川の水や山地の湧き水を溜めておいて、田圃の
鳴海歴史倶楽部
尾張東部丘陵~知多半島の
愛知用水通過地帯に密集したため池
稲作に用いた。
ため池減少中
かんがい
平地でも 川や水路から流入する水を灌 漑 用
▲入鹿池(犬山市)
名古屋市のため池数推移(44 年間の変化)
に調整する ため池 があった
東部丘陵に多い農業遺跡!
1965 基準
残存率
年
1965
2009
変化数
民有池
278
21
△257
8%
公有池
82
90
+8
110%
合計
360
111
△249
31%
現代では洪水調節に活用!
▲三好池(みよし市)
◎民有池・公有池合計で 31%に減少
◎民有池の減少が顕著
自然・環境重視へ!
赤点は農業用「ため池」
出典:愛知県 農地計画課 講義資料
「市内河川・ため池・名古屋港の水質の変遷」平成 23 年3月
名古屋市地域環境対策課/環境科学研究所/河川計画課より
③緑区鳴海地区のため池一覧表
No
所有
ため池名
築立年
1
大池
(<1688?)
公
2
神沢池
覚書き滝水池
公
3
要池
(<1670?)
公
4
神池
民
5
梨の木池
6
二ツ池
7
平手池
8
相原池
公
9
横吹大池
民
鳴海カントリークラブ
雨水
10
水広下池
公
水広公園
雨水・湧水
A
魚釣場
11
松池
公
鳴海公園
雨水
B
一部グランド化
12
滝ノ水北池
公
滝ノ水緑地
雨水
B
周回遊歩道有
13
上朝日出池
公
上朝日出公園
雨水
A
14
新海池
1634
公
新海池公園
雨水・地下水
A
15
琵琶ヶ池
1635
公
A
戸笠池
覚書になし
公
大高緑地公園
戸笠公園/
なかよし広場
雨水
16
雨水・湧水
A
17
螺貝池
1715
公
螺貝公園
雨水
A
18
鳴子池
1725
公
―
雨水
A
19
四郎曽池
1638
公
雨水
A
20
鏡田池
公
雨水
C
21
重池
民
白曽池公園
みどり が丘公園外
愛知用水
みどり が丘公園外
愛知用水
雨水
C
1653
流入水
雨水・
市外家庭排水
治水評価
雨水・湧水
A
雨水・神沢川
A
―
雨水
A
公
梨の木公園
雨水
A
公
通曲公園
雨水
A
公/民
乗鞍公園
雨水
A
一部テニスコート
雨水・細口川
A
一次閉鎖
1792
公園名
平成 23 年
白土中央公園
―
要池公園
―
A
備考
一部グランド
鳴海伝馬新田用水
グランド化
ゴルフ場施設
鳴海の地形 (25000 分の一 大正 9 年測図)
鳴海地区最大
周囲散策路
魚釣り場
一部グランド
鳴海村の特徴
(1)水源涵養効果大なる広大な御林・砂留山
(2)尾張国内屈指の大米作農村
④東部丘陵ため池史概要
⑤尾張の代表的ため池
(1)中世以前
(農水省ため池百選[2010 年 3 月公表]より)
典型:谷間に小雨池群、丘陵端部に集落、
低地に雨池懸り水田
特例:大規模雨池 勅使池(1528 豊明市)
⑦ため池環境/管理留意点
1.環境
①入鹿池(犬山市、1633 築造)ため池規模日本 No2
周辺環境
外観など
貯水減少
雑草繁茂
②三好池(みよし市、1959 年築造)愛知用水調整池
(2)近世前期
尾張藩の新田開発促進方針に対応し大規模雨池多数建設
新海池(1634 鳴海町池上)
、神沢池(1655 鳴海町神沢)
(参考)入鹿池(1633 犬山市)
(3)近世後期以降
新田開発の勢いは鈍化したが、商人資本も加わり継続
雨池は漸増
*南区干拓新田への天白川横断送水
(4)現代高度成長期以降
水田減・宅地開発進展で、小規模ため池消滅。
一方、残るため池は、
・都市内水氾濫・洪水の対策施設として重要性高まる
・安らぎ景観、多様な生物の生息空間としても期待される
◇近世参考資料
一 寛文村々覚書 (1661~73)
二 尾張徇行記
(1822)
三 天保村絵図
(1841)
四 新修名古屋市史
2.水質
特異例
要改善
・要池(1600 年代)→鳴海伝馬新田
・鳴子池・戸笠池(1700 年代はじめ)→笠寺・戸部
・水広下池(1751)→柴田屋新田
*伏越し
逆サイフォン樋管による立体交差水路
*新田開発見直し論議もあった
⇒鏡田池など
⇒鳴子池など
⇒相原池など
⇒平手池など
⇒大池(白土)
⇒全般
⑧自治体の施策・方針
名古屋市
⑥名古屋市の緑被状況、ため池数推移
◇ため池保全要綱
保全のための買取り、管理費用補助
◇環境条例
水質汚濁に関わる環境目標値
◇なごや緑の基本計画 2020(2011 年 5 月)
緑の都市像と展開施策の基本方針
愛知県
◇ため池保全構想(2007 年 4 月)
今後のため池のあり方
緑区のため池探検 Ⅱ
鳴海歴史倶楽部
①ため池の構造
◇ため池堤体断面
上流法面保護工
波等による浸食防止を図るための設備で、捨石、石張り、コンクリートブロック張 等
遮水性ゾーン(前刃金) 遮水を目的として設けられたゾーンで粘土性の鋼土を用いる
透水性ゾーン(さや土)
主として堤体の安定性を保つ部分
◇洪水吐
ため池の安全のために、大雨時、池に流入する流水を下流に安全に流下させるための施設
②取水施設
ヨシゴイ(絶滅危惧種、螺貝池)
堅樋(斜樋管) 堤体の前法面に沿って埋設し、取水孔を設け、これから取り入れた用水を底樋
に導いてため池の貯水を取水
底樋管
堤体の底部に埋設し斜樋から導いた用水を導水する
取水部
取水量を調節するゲート、バルブ等を設置し、堤防上の巻上げハンドルで操作
(「かがわの農業 農村整備」より)
立杁(ため池の垂直型取水樋管)
立杁の線(全面操作は危険)
(知多市歴史民俗博物館展示)
③洪水調節
水害抑制策:河川整備、遊水池整備
都市化と水害
◇河川掘削:天白川・扇川
◇ため池保全・治水施設整備:戸笠池・鳴子池・
神沢池・新海池
◇雨水貯留施設(公園・緑地・校庭・広場等、
集合住宅用地・戸建住宅用地等)
・地表面貯留[窪地利用、調整池]
・地下空間利用[コンクリート水槽、砕石空
隙利用] など
◇ポンプ場設置:合流地点
・市街地拡大→降水の地中浸透減
→表流水増→河川流量増/周辺地域浸水被害
・昭和 30 年代後半からの東部丘陵地の大規模
開発→丘陵地全体の保水機能低下→河川出
水量増/流出時間短縮/土砂流出で河床上昇
→河川沿い谷底平野・下流沖積地で水害多発
⇓
名古屋市総合排水計画(改訂版
1988)
⇓
ため池・調整池を雨水流出抑制策に位置付
その他の洪水調節施設
◇防災用調節池(雨水一時貯留池)
扇川公園調節池、滝ノ水中央公園調節池、
諸の木公園調節池、平手南公園調節池、
姥子山中央公園調節池など 16 カ所
◇礫間貯留層:区内小・中・高校グランド地下
◇雨水貯留管
④生きもの
⑤エピソード
ため池は、生物の種類 が多様である。
*谷池・皿池
植物:ため池内には、ヨシ、コガマ、ヒシ
などが多い。周辺の樹木には、ヤナ
ギ、ハンノキが目に付く。
鳥類:ヨシゴイ(絶滅危惧種)など
魚類、爬虫類、両生類 など
*ダダボウシ池
▼外来種 が増えている
*黒鍬かせぎ
*水広下池経費訴訟
鳴海-柴田新田
*南区新田跡散策ルート
☆大江川緑地と新田めぐり
☆新田開発と神社めぐり
ブルーギル
(駆除対象生物)
⑥緑区の民話
地形・環境
◇丘陵地
~民話の背景~
丘:落雷
山道/崖地:湧き水
松山/雑木林:動物との交流
民話の例
野菜三兄弟、かみなりドン平
融伝の泉、花の井戸、
◇御林/里山
狐の嫁さん、高蔵坊と狐
ノミになったキツネ(南吉童話へ発展)
◇水田/畑
雨乞い
花の井戸
雨池:龍神・怪物(池保全、身体安全) 天に昇った竜、ダダボウシ池、ごんべえ谷、
片葉のアシ、ここだけのはなし
◎動物民話の形成:丘陵地帯→「雨池」→砂防目的の周辺林保全→多様な生物
→村人と生きものの日常的接触→豊富な動物民話
ミシシッピアカミミガメ
*COP10
⑦留意事項
まとめ
ため池のマナー
~今後に向けて~
一、他から動植物を持ち込まない
・ため池(雨池)に関する歴史発掘の継続
二、えさを与えない
・ため池(雨池)の歴史を語ろう
三、ごみを持ち帰る
四、釣のマナーを守る
五、立ち入り禁止区域には入らない
(「名古屋のため池ガイドブック」より)
・緑区の史跡と緑・水辺を組み合わせた散
策計画充実
・ため池解説標札の設置
地域探検隊活動発表会&歴史まちづくり講演会
<イベントの概要>
日時 平成 23 年 11 月 23 日(水・祝)14:00~16:30
会場 名古屋都市センター ホール(来場者 約 100 人)
内容 2隊の地域探検隊の活動成果の発表と名古屋都市センター専任研究員で
ある杉山正大氏による歴史まちづくり講演会を行った。
<碁盤割地域探検隊の発表要旨>
私たちは、碁盤割の中で、今に残る江戸時
代の名残をもっている店、歴史のある店を探
して、そこが実際に現在どうなっているか、
歴史を踏まえながらまわろうという形で探検
を行いました。
探検の最初に本町公園に集合しました。こ
こは明治維新後、名古屋憲兵隊本部のおかれ
たところで、それほど広くはありませんが、
明治から敗戦までの大きな歴史の流れを経験した場所です。
中北薬品は、享保 11 年江戸時代の中期8代
将軍吉宗のころに油屋として開業しましたが、
それから 20 年ほど後、薬種業を始め、さら
に 50 年くらい後に今の京町通りの辺りに移
っています。ここのエピソードと致しまして
は、明治維新の 10 年ほど前の安政の大火の
時に、安政2年にふろ場から出火したという
ことで、店はもちろん、京町全体がほとんど焼けるというような火事になりま
した。その火事の起きた日には、風呂を焚かない。それから再建した時にはま
わりの店よりも軒を低くして謝罪の意をこめたとのことです。
荒川長太郎合名会社は現在、アラクスさんということで一般的には知られて
います。ここは江戸の末期に尾張徳川家の薬種御用をつとめています。薬とし
ては当初は神仙湯という神経妙薬、これを中心にしていましたけれども今はノ
ーシンという名前で有名になっています。
大西人形店は 150 年ほど前、綿とかそういうものを扱っていましたが、借金
のカタにとった人形を店に置いたところそれがよく売れたということでそのま
ま人形店になったといわれています。人形専門店として今も活躍しています。
徳川時代の和菓子は、桔梗屋と美濃忠の二つが有名ですけれども桔梗屋の方
は明治時代には営業を終えているということで、その桔梗屋の分家、そこで働
いていた人が伊藤忠平という人が美濃忠を建てて今に繋がっていきます。
河文は、河内家文左衛門という人が元禄年間に料亭を開いています。当時は
魚の棚この河文のあった辺りに、有名な御納屋、
近直、大又、それから河文といった料亭があり
ました。それも戦後になりますと、こういう料
亭、芸妓遊びそういうのが今でいえばキャバレ
ー、スナック、カラオケそういうようなものに
変わっていきました。河文さんも今は近代的な
洋食料理も取り入れています。
両口屋是清さん。ここもお菓子屋さんで皆さんよくご存知だと思います。
あと、河村畳店さん。ここは宝永4年ということで、ちょうど元禄畳奉行と
して有名な朝日文左衛門が畳奉行をやっている頃に開業していますが、朝日文
左衛門のメモはそういった仕事関係のものはなく、当主の人も探してみたそう
ですが何もなかったということです。
お茶の升半さんとかは時間の都合で紹介できませんけれども、一度時間をぜ
ひ作っていただいてこの地図を見ながら昔の歴史とかそういうものを思い起こ
していただければ幸いかと思います。
<鳴海歴史倶楽部の発表要旨>
私たちは、「ため池の歴史」ということをテ
ーマに選びました。緑区は、鳴海・大高・有松・
桶狭間といろいろ歴史のあるところですが、私
たちが主に取り上げた緑区東部地域は、今から
50 年前は山ばかりだったということで、ため池
ということになるわけです。
ため池は、昔の文献などでは「雨池」などと
出てきます。
「ため池」というのは新しい言葉のようです。ため池とは、農業用
水を確保するために作られた人口の池ということになっております。鳴海村は
尾張藩の中で3番目に石高の多い村で、米の生産にため池の水が使われました。
現在、名古屋市には 111 のため池がありますが、その半数近い 49 が緑区にあ
ります。名古屋市のため池はこの 40 年ほどで1/3くらい減ってしまいました
が、この間に民有の池の公有化が進み、公有の池は増えているという状況です。
私たちがため池を見る視点は3つあ
ります。1つ目が農業遺産の視点、2
つ目が洪水調節の施設、3つ目が環境
要素の視点です。
現在、名古屋市内では米作りに池の
水が使われているということはほとん
どありません。しかし、江戸時代には
尾張藩の新田開発促進にともない多く
のため池が作られました。また、緑区の要池、螺貝池などは、天白川を越えて
南区側まで水を送っていた池でした。これらのため池を農業の歴史を伝えるも
のとして、私たちは「農業遺産」と呼びたいと思っています。
ため池には民間伝承も多く残っています。池に絡んだ民間伝承というのは子
どもたちに、
「池というのは危ないところだよ」、
「行くなよ」ということ教える
ものでなければならない。したがって、龍や蛇が登場させて非常に危険なとこ
ろだよということが多いようです。
現代のため池の役割として、洪水調整があります。開発が進み、水をためる
事のできた森林や田んぼがなくなると、アスファルトの道路などに降った雨は
ものすごい勢いで一瞬のうちに下水に流れ込むということになります。10 年近
く前に東海豪雨というのがございましたけれども、ああいうような被害が出て
くる恐れがあります。そういうものへの対応策としてこのため池というのが使
えるであろうということで、名古屋市もため池を重視する政策を出しています。
環境要素ということでは、ため池や緑は
当然確保しなければいけません。私の家の
近くの螺貝池には、ヨシゴイという絶滅危
惧種の鳥がおります。こういう池には絶滅
危惧種など非常に面白い生物がいっぱい集
まってきます。そういう意味でも池という
のは大事にしなければいけません。
ところが困るのはここへ外国から持ってきた魚を捨てる方がいる。それから
ミドリガメ。これらは日本に古くからいた生物を食い尽くすんじゃないかとい
うぐらいの勢いで増えているんです。市も言っていますが、そういうことにな
らないように他から動植物を持ち込まないようにしてほしいものです。
ため池は、歴史的な大事なものであり、景色のいいものであるので、これを
利用して散策会などをどんどんやって皆さんに理解してもらうのがいいのでは
ないかと考えています。そのためにも、ため池を解説する案内板のようなもの
が充実するとよいと思います。
「地域探検隊」事業実施要綱
(目的)
第 1 条 地域に眠る歴史・文化資産を発掘、発表することにより、地域の魅力を再発見、発
信する契機とすることを目的として「地域探検隊」事業を実施する。
(地域探検隊)
第 2 条 「地域探検隊」とは、地域にある歴史・文化資産を発掘し、地域の魅力を情報発信
するために組織する5名から10名程度のグループとする。
(活動内容)
第 3 条 「地域探検隊」の活動の内容は、次の各号のとおりとする。
(1) 地域にある伝承、民話、古文書、歴史的建造物、古木などの歴史・文化遺産の調査
に関すること。
(2) 前号にあげる調査の結果の発表に関すること。
(3) その他、「地域探検隊」事業の推進に市長が特に必要であると認める事項に関する
こと。
(調査対象地域)
第 4 条 「地域探検隊」の調査対象地域は、原則として各「地域探検隊」が属する区におけ
る小学校区(以下、「学区」という。)内とする。ただし、同一の区の範囲内であれば、複数
の学区をまたがる範囲を調査対象地域にできるものとする。
(アドバイザー)
第 5 条 「地域探検隊」が調査する内容に関して専門的知識を有する者や地域活動に知見
を有する者などをアドバイザーとして「地域探検隊」に置くことができる。
2 アドバイザーの選定に当たっては、調査対象地域が属する区(以下、「該当区」という)
において情報提供するものとする。
(募集・登録)
第 6 条 市は、ひろく公募により「地域探検隊」の募集を行うとともに登録の決定をし、登録が
決定されたグループ及び該当区に対して登録の通知を行う。
(応募)
第 7 条 「地域探検隊」の応募は原則として該当区に居住する5名から10名程度のグループ
により、該当区へ申請するものとする。
2 前項の規定による応募は、グループの代表者を選定の上、行うものとする。
(応募資格)
第 8 条 「地域探検隊」のメンバーは、「地域探検隊」事業に対して積極的に活動すること
を希望する者で、継続して活動可能な者とする。
2 第7条第2項の規定によるグループの代表者は、20才以上の者とする。
3 市から既に補助金等の交付を受けているグループも応募することができる。ただし、「地
域探検隊」事業にかかる活動に対して当該補助金等を充当してはならない。
(登録の期間)
第 9 条 登録の期間は、登録日から登録年の翌年の3月31日までとする。
(登録の取消し)
第 10 条 市長は、「地域探検隊」が次の各号に該当する事由が生じた場合には登録を取
消すものとする。
(1) 営利目的、政治目的、宗教目的の活動をした場合。
(2) 活動上知りえた秘密の漏洩等「地域探検隊」として不適格と認められる事態が発
生した場合。
(3) 市からの要請に応じられない状態が続いた場合。
(報酬)
第 11 条 「地域探検隊」の活動に対する報酬は支給しないものとする。
2 第5条の規定によるアドバイザーに対する報酬については、別に定める規定により支給
することができる。
(保険)
第 12 条 「地域探検隊」のメンバーは、ボランティア保険に加入するものとし、その費用は、
市が負担する。
(活動支援)
第 13 条 「地域探検隊」の活動は、グループの自主性により進めていくものとする。ただし、
活動に資する情報収集や地域の魅力を発信・発見する過程で、市及び該当区は必要に
応じその活動支援にあたるものとする。
(活動成果発表)
第 14 条 市及び該当区は、「地域探検隊」に対し、活動の成果をひろく市民に向けて発表
する機会を提供するものとする。
(市及び区の事業担当部署)
第 15 条 「地域探検隊」事業にかかる市の担当部署は、市民経済局観光推進室とし、区の
担当部署は、まちづくり推進室とする。
(その他)
第 16 条 この要綱に定めるもののほか、「地域探検隊」に関する必要な事項は市長が定め
る。
附 則
この要綱は、平成22年4月26日から施行する。
附 則
この要綱は、平成23年4月12日から施行する。
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