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デジタルカメラを用いた植物体 の色素含有量の簡易定量方法
デジタルカメラを用いた植物体 の色素含有量の簡易定量方法 三重大学 大学院生物資源学研究科 資源循環学専攻 教授 橋本 篤 教授 亀岡孝治 Graduate School of Bioresources 研究背景 農作物 成分情報を反映 栄養成分 代謝 色素 複雑な構造体 幾何学的構造・色彩分布 汎用的なデジタルカメラによる 汎用的なデジタルカメラによる 色彩画像解析技術 色彩画像解析技術 不安定な光条件 天候・太陽光の経時変化 周囲からの散乱光 Graduate School of Bioresources 色彩画像計測システム デジタルカメラ 拡散反射板 暗室 拡散円筒 光源 試料 試料台 拡散素材にて拡散光 の環境を再現 高演色性蛍光灯 ・True Light (Duro Test) 色温度5500K,演色性91 光条件の安定した撮影環境 Graduate School of Bioresources HSL色座標系を用いた色彩画像解析法 1 1 1 W W W G B B O (K) RGB色座標系 S 1 R G L R H O (K) O (K) HIS中間座標系 光の三原色 照明光量に 依存しない 赤成分 Red 緑成分 Green 青成分 Blue 明るさの情報を 含む 0 255 1 1 0~1 を8bitで量子化 HSL色座標系 色の三属性 色相 Hue 彩度 Saturation 明度 Lightness 0 Graduate School of Bioresources 255 実験方法 カボチャ表面 色彩画像解析 HSL (平均色) 分光測色 L*a*b* (40回平均) 色彩画像計測条件 実験試料:カボチャ (北海道農業研究センターより提供) 様々な色彩の12品種 実験装置: 撮影感度 ISO 200 絞り値 F8.0 シャッター速度 1/2 sec (EV7) 記録方式 RAW 一眼レフデジタルカメラ ・ EOS Kiss Digital (Canon) 分光測色器 ・NF333 (日本電色) 分光測色条件 測定波長 400 ~ 700 nm 波長間隔 20 nm Graduate School of Bioresources カボチャ表面色評価における 画像解析(HSL)と標準法(L*a*b*)の比較 90 濃緑色 緑色 黄緑色 淡緑色 橙色 b* L [-] 80 tan-1(b*/a*) 70 H 60 S (a*2+b*2)1/2 a* -a* 50 50 濃緑色 緑色 黄緑色 淡緑色 30 -2.0 90 100 110 H S L 標準法で認められた色彩の差異が, 画像解析でも同様に認められた. 濃緑色 緑色 黄緑色 淡緑色 橙色 60 -b* 50 40 80 80 S [-] H [-] 60 70 L = 0.554L* + 24.5 r = 0.986 (N = 12) L* [-] 80 70 60 r = 0.986 r = 0.982 L*a*b*表色系の H = 43.4tan (b*/a*) + 101.5 r = 0.982 (N = 10) a*b*平面 -1.0 2 -0.5 -1 tan (b*/a*) [-] r = 0.993 HSL色座標系の S = 0.614(a* +b* ) + 2.21 HS平面 r = 0.993 (N = 12) 20 -1 -1.5 40 L*a*b* 0 0 20 40 60 2 2 1/2 (a* +b* ) 80 2 1/2 100 120 [-] Graduate School of Bioresources 研究背景 高カロテンニンジンが注目 生食,ジュース等への加工へ利用 迅速かつ大量にカロテン分析を行う必要性 従来法(HPLC法) 色彩画像解析 分析に多大な時間・手間 迅速な計測 試料の破壊 非破壊的 目的成分の情報のみ 生体色素の色彩情報 テクスチャー・色分布 ニンジンの色からカロテン含量を推定 Graduate School of Bioresources 実験方法(ニンジン中のカロテン含量) 実験試料:ニンジン (野菜茶業研究所より提供) 様々な色彩の15品種(45個体) 高カロテン育種系統336個体 測定部 (1cm) 測定部 (1cm) 断面の 色彩画像解析 HPLC 色彩情報 カロテン含量 実験装置: 一眼レフデジタルカメラ ・ Fine Pix S2 Pro (FUIFILM) 本紅金時 HPLCシステム ・SPD-M10Avpシステム (島津製作所) ・Wakopak Navi C30-5 (和光純薬) 色彩画像計測条件 撮影感度 ISO 200 絞り値 F8.0 USA1 向陽二号 Yellow Carrot UM98027 シャッター速度 1/2 sec (EV7) 記録方式 RAW Graduate School of Bioresources 採取部位の決定 34 32 30 直径7mm 色相 H [-] 28 26 24 22 20 Sample1 (Large) Sample2 (Middle) Sample3 (Small) 18 16 0.00 0.25 0.50 0.75 1.00 1.25 1.50 X/XR=7mm [-] Graduate School of Bioresources カロテン含量と輝度Yの関係 350 高カロテン品種 USA1 カロテン含量 C [ppm] 300 東北寒越二号 カロチンキング その他 一般的な色の品種 紅福625 紅誉五寸 向陽二号 その他 色に変異のある品種 本紅金時 250 200 150 Yellow Carrot UM98027 100 相関係数 R = -0.712 50 0 110 120 130 140 150 160 170 180 190 輝度 Y [-] Graduate School of Bioresources カロテン含量とHSLの関係 350 350 高カロテン品種 高カロテン品種 300 USA1 東北寒越二号 カロチンキング その他 一般的な色の品種 紅福625 紅誉五寸 向陽二号 その他 色に変異のある品種 本紅金時 250 200 150 カロテン含量 C [ppm] カロテン含量 C [ppm] 300 Yellow Carrot UM98027 100 50 0 10 15 20 25 30 35 40 250 200 150 100 USA1 東北寒越二号 カロチンキング その他 一般的な色の品種 紅福625 紅誉五寸 向陽二号 その他 色に変異のある品種 本紅金時 Yellow Carrot UM98027 50 0 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 220 色相 H [-] 350 彩度 S [-] 高カロテン品種 USA1 カロテン含量 C [ppm] 300 東北寒越二号 カロチンキング その他 一般的な色の品種 紅福625 紅誉五寸 向陽二号 その他 色に変異のある品種 本紅金時 250 200 150 相関係数 R Yellow Carrot UM98027 100 H - 0.624 S 0.690 L - 0.703 50 0 115 120 125 130 135 140 145 150 155 明度 L [-] Graduate School of Bioresources モデルの検討結果 線形モデル 輝度Yの単回帰モデルが 最も良好 GMDHモデル (Grouping Method of Data Handling) 非線形性を考慮することで, 予測的決定係数が向上 説明変数 決定係数 R2 予測的決定係数 Q2 説明変数 決定係数 R2 予測的決定係数 Q2 Y 0.693 0.621 Y, Y2 0.783 0.704 Y, H 0.694 0.606 Y, H, Y2 0.784 0.691 Y, L 0.693 0.603 Y, L, L-1 0.775 0.698 Y, B 0.694 0.593 Y, B, Y2 0.795 0.712 R, G 0.696 0.601 G, L, G-1 0.791 0.711 Graduate School of Bioresources ニンジンにおける 色彩情報とカロテン含量の関係 40 120 濃橙色 黄色 芯部 肉部 110 彩度S [-] 色相H [-] 35 全面 30 25 20 100 90 80 0 50 100 150 200 250 300 カロテン含量 C [μg/g-FW] 350 70 0 50 100 150 200 250 300 カロテン含量 C [μg/g-FW] 色相Hは指数関数的に減少 彩度Sは対数関数的に増加 全面 芯部 肉部 組織構造により関係性が異なる Graduate School of Bioresources 350 高カロテン育種系統の選抜シミュレーション 120 C > 120 (N=36) 90 > C > 119 (N=89) 60 > C > 89 (N=126) C < 59 (N=85) 彩度S [-] 115 向陽二号 (平均C = 27) H閾値*1 S閾値*1 110 淘汰率 淘汰個数 カロテン含量優良 個体の損失数*2 カロテン含量優良 個体の残存率*2 105 100 95 17 選抜結果 21.6 (36%) 108.0 (26%) 44.9% 151/336 2/36 94.4% *1・・・括弧内は単一成分における淘汰率 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 *2・・・120[μg/g-FW]以上のものと規定した場合 色相H [-] 色素分析の一次スクリーニングに 対して色彩画像解析が応用可能 Graduate School of Bioresources 実験方法(トマト栽培過程) 自然光に近い光を 再現できる照明 (True Light、色温度5500K) 基準条件下(室内) System 自然環境下 ② ① 色彩情 報比較 色補正処理 After Before Graduate School of Bioresources トマト表面色に対する色補正処理の効果 標準光環境下 補正後 補正前 色補正処理 Graduate School of Bioresources 光応用ユビキタスセンシング安全・品質管理システム (農産物の色彩情報モニタリング) air temp. soil temp. humidity PPFD 400 300 20 40 20 200 10 0 0 気象情報 2 30 PPFD [μmol/ m /s] 60 500 40 Temperature [℃] 80 100 0 50 100 150 200 250 300 色彩変化情報 0 350 Time, t [h] 80 2005.12.28 - 2006.1.11 60 40 Hue, H Humiditiy [%] 100 20 0 -20 -40 before after fitting ordinary single-lens reflex camera (RAW ) fine web camera (JPEG) ordinary web camera (JPEG) 0 50 100 150 200 250 300 350 色彩補正後のトマト表面色 Time, t [h] Graduate School of Bioresources 従来技術とその問題点 従来法としては,高速液体クロマトグラフィー (HPLC)法や分光光度計によって測定する方 法があるが, ・試料の磨砕、有機溶剤による抽出、脱水、 減圧乾固等の煩雑な操作を必要とする ・測定に長時間を要する 等の問題があり、試料を短時間で分析する必 要がある場合には、利用することができない。 Graduate School of Bioresources 新技術の特徴・従来技術との比較 植物体表面全体の色値を評価するの に適した装置と色の座標系を利用し た。 植物体の表面全体の色を正確に評価 することによって植物体の色彩値と色 素含有量の定量を方法を提供した。 簡易かつ迅速な色素定量を可能にし た。 Graduate School of Bioresources 想定される用途 高カロテンニンジン等の育種の為の一 次スクリーニング 色彩情報に基づいた農産物の栽培管 理 食品のトレーサビリティシステムにおけ るセンシングデータの活用 農業生産現場から食品加工場への農 産物品質情報の伝達 Graduate School of Bioresources 想定される業界 農業 農産物製造業 育種等を行っている研究機関 食品業界 食品加工メーカー 農産物流通・小売業界 情報・通信関連企業 Graduate School of Bioresources 実用化に向けた課題・企業への期待 本技術の具体的なシステム化 育種・栽培技術とのリンク 食味等々の品質情報とのリンク 農業・流通・小売・食品加工・外 食業などへの展開 Graduate School of Bioresources 本技術に関する知的財産権 発明の名称: 画像解析を利用した植 物体の色素含有量の定 量方法 出願番号 : 特願2005-315877 出願人 : 三重大学 発明者 : 杉山慶太,亀岡孝治, 橋本 篤,川頭洋一 Graduate School of Bioresources お問い合わせ先 国立大学法人三重大学 知的財産統括室 助教 狩野 幹人 TEL 059-231 - 5495 FAX 059-231 - 5495 e-mail chizai-mip@crc.mie-u.ac.jp Graduate School of Bioresources