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高効率・高精度・多軸加工
▼ 高効率・高精度・多軸加工 A−4 大型プレス金型の生産性向上に貢献する形状加工機 Profile Milling Machine to contribute to the productivity improvement of the large stamping dies 下 垣 統 路* 〔SHIN NIPPON KOKI CO., LTD.〕新日本工機㈱ 山 内 一 郎** 前 川 貞 之*** 1.はじめに 工段差を解消することは金型加工の最重要課題と言え 近年、金型のコスト競争が激化する中、生産性向上 る。この課題に対し当社ではレーザー測定器による刃 は不可欠なテーマであり、金型製作においてもリード 先位置測定補正機能を準備している。従来の構成では タイムの短縮は必須課題となっている。当社では長年 レーザー測定器と工具姿勢の関係から干渉が発生する にわたる金型加工のノウハウを集積し、荒∼仕上げ加 ため、B 軸角度が±30°を超える角度では計測できな 工までの一貫加工、さらには手仕上げレスを狙った機 い課題があった。この課題を解決するため、すべての 械製作に努めている。その中から生産性向上に貢献す B 軸 C 軸角度で計測可能となる新たな計測器を開発 る機械構造・機能について紹介する。 した(特許取得済) 。これによりさまざまな加工姿勢 2.高速・高精度を実現する機械構造 でのつなぎ加工段差 0. 01 mm 以下を実現し、自動化 近年大型機においても 15, 000 min−1 を超える高速 の推進と手仕上げ工数の大幅な削減に貢献している。 主軸を有した機械(図 1)が一般化する中、主軸回転 4.高速制御 DCS システム1) 速度に見合った切削送り速度の実現が求められる。平 当社では、金型加工におけるノウハウを盛り込み金 均切削送り速度をいかに上げていくかが重要な課題と 型加工機として最高性能を目指すうえで、高速制御ソ なる。切削送り速度 10 m/min から 12 m/min さら フト「DCS」を自社開発している。これは上述の機 に 15 m/min と高速化し、かつ、高い加工面品位と 械性能を十分発揮するために、高速・高品位・高精度 加工精度を得るためには、極めて正確な動的位置決め を高次元に最適化した制御ソフトである。 精度と繰返し精度が必要とされる。一般に速度比の 2 最新機での加工指令速度は 12∼15 m/min に達し 乗に比例して誤差が増大する関係があり、この課題を ており、従来の制御装置では制御上、追従が難しくな 克服するためには、主として機械剛性を高めること、 る場合がある。DCS ではそうした高速領域でも「滑 高速送りに適した案内方式の採用、優れた制御性能が らかな部分は必ず指令点を通過する曲線再現を行い、 必要となる。当社では金型加工に最適と考える機械構 速度制御や精度維持に必要な制御点も再現された曲線 成を目指した機械づくりを行っている。 上に追加する制御」を行っている。また、一種の「増 3.ボールエンドミル刃先位置測定機能(図 2) 速装置」とも言える「ゼロトレランス機能」は、発生 工具交換前後・アタッチメント交換前後のつなぎ加 する誤差をリアルタイムに演算・管理したうえで滑ら * Toji Shimogaki:技術部 生産設計課 課長 **Ichiro Yamauchi:同 ソフト課 課長 ***Sadayuki Maegawa:同 部長 〒590−0157 大阪府堺市南区高尾 2−500−1 かさを保ったまま実速度を向上させている。金型加工 に求められるのは「CAD デザインの再現」であり、 冗長性を廃した DCS 制御は優れた機械性能をダイレ 新開発(特許取得済み) レーザー測定器(5 軸) すべての角度において 刃先位置計測可能 90°旋回 測定イメージ ・工具長・径 ・角度割出し誤差 ・主軸熱変位誤差 などの機械的誤差を排除 360°旋回 DC5ASM テーブルサイズ:2.5×5.0m テーブル上面∼立主軸端:2,300mm X 軸ストローク:6,250mm Y 軸ストローク:3,700mm Z 軸ストローク:800mm XYZ 合成切削送り速度:15m/min 立主軸回転速度:6,000min-1 高速 ATT 主軸回転速度:15,000min-1 図 1 「DC5ASM」の概観 016 つなぎ段差をなくすために、 加工直前に、加工姿勢で、 工具刃先位置を計測し、ズレを補正 レーザー測定器(Y 方向) レーザー測定器(X 方向) 角度によって干渉問題により 測定できない角度がある ①工具交換後、加工する姿勢(角度)に向けた状態で ②主軸回転スタート ③ボールエンドミル刃先中心位置を XYZ 座標値として計測 (X方向、 Y方向のレーザー両方向から挟み込んで計測) ④刃先位置誤差を補正 ⑤加工開始 図 2 5 軸レーザー測定器