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2012年JFMAオーストラリア研修ツアー報告

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2012年JFMAオーストラリア研修ツアー報告
JFMAオーストラリア視察ツアー
■2012年10月21日
●午前中はシドニー市内の花屋さんを2軒視察。ダブリューベイと言う高級住宅街にある「Mandalay Flowers」間口はそんなに
広くない、奥行きがあり高級感溢れるお店。
入り口は今が旬のアジサイがずらっと並べられ、店内は、バラ、芍薬、カラーなどからワイルドフラワーがある。花瓶も豊富。鉢
物もセラックス(SERAX)の鉢を使ったりしてお洒落感。
バックヤードには大きな冷蔵室。価格はバラで1本400~300円位。
2軒目ローズベイにある「Rose Bay Florist and Nursary」やはり間口は狭いが奥行きがある、一番奥は屋外でナーセリー。入り
口は、向かって右側にグリーン、ハーブで、左側に鉢。視察は日曜日の朝の11時頃でお客さんが並ぶ。男性が多い。店内にはバ
ラ、ユリ、ガーベラ、ピンクッション、ワックスフラワーが並べられている。バラが10本束で20~30A$。1軒目の店より
安い。バラは単品売りのもっと値段の高いものも置いている。
お店は4人の男性スタッフ。お客様と愛想良くいろいろ話をしながら花束を作成。花店の仕事は、花を運んだり、汚れる。厳しい
仕事だから男性の方が良いそう。
■10月22日
●7時にシドニーの花市場、
「シドニーフラワーマーケット」に到着。区画ごとに花が並べられて誰でもが買える。月曜から土曜ま
で、5:00~11:00オープン。休日前の土曜日に残っている花がディスカウントされて販売される。シドニーフラワーマー
ケットは生産者が投資して作った生産者市場。バラ、カーネーション、キク、ガーベラなどに加えてオーストラリア特有のワイル
ドフラワーがあって色も鮮やか。ワイルドフラワー専門の区画もあり、種類、品質ともに良い。バラで、35㎝、40cm、45
㎝、50㎝の長さのものや香りの強いバラなど。
●オーストラリアで最大規模の花束加工会社「Lynch Group」を訪問。ユリ、チューリップ、鉢物などの生産、卸もやっている。
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創業は1916年オーストラリアで最初に花の生産、卸を開始。400の生産者から直接花を仕入。60年、70年お付合いの生
産者もいる。販売先は、スーパーなど2500~3000の顧客を持っている。本社のシドニーの他、ブリスベン、パース、メル
ボルンにブランチがあり、それぞれ花束加工工場を持って、中国昆明にも花束加工工場がある。
Lynch は、QCコントロールを行っていて、ISOも取得している。また花でHACCP(ハセプ)に取組み、認証取得してい
る。ISO、HACCP共に、「SCI QUAL」と言う認証会社が認証。HACCPの導入で花の廃棄率が減少したとのこ
と。QCは生産者からスタートして、入荷時に検査される。入荷してから出荷までの時間を1日と目標とし、生産者の品質を守る
ためにスピードを大事にしている。また、品質管理担当が生産者の所へ行き、情報交換をしてお互いに学んでいる。オーストラリ
アも昆明もポストハーベストコントロールを統一して行っている。お客様の要求(ニーズ)にあった品質管理という考え方をとっ
ている。
入荷、検査場、選別、加工などの作業場は16℃、保管倉庫は4℃で管理されている。日持ち試験室を持っていて、品種、生産
地別にチェックしている。日持ち試験は21℃、80%で行われていて、お客様の飾る環境を考えてスタート。Lynch Grou
pのモットーは、「Pride&Passion」で、花にHACCPの導入と生産者と一体となって取り組んでいる品質管理を
ベースに圧倒的な強みを発揮している。
●11:00オーストラリアで最大のバラの生産をしている「Flora
Internatinal」を訪問。35000㎡
の面積で、全量をシドニーフラワーマーケットに出荷している。最近バラは輸入品との競争が激しくなっていて、オリエンタルユ
リ(4000㎡)生産、更にはランの生産にも踏み出している。バラの生産は、35~50㎝の長さのもので短径多収生産を行っ
ている。ハウスは、温度、湿度を計測して、灌水、ファン運転、天井窓の開閉をCPU制御の自動で管理している(オランダ
P
RIVA社製)。また、バラの選別は、自動選別機が導入されていて、年に30万束(300万本)生産している。
Flora社が主力としているバラは、輸入バラとの競争に厳しくなっているため、切り花から鉢物生産に移行している。人
件費が最低賃金で21A$/時と(時給1600円)と高く、安価な輸入花との競争は大変厳しい。オーストラリアは切花には薫
蒸を義務付けていて、輸入花のコストもそんなに安くなくともコスト競争できない。オーストラリアの切花生産は、契約栽培で収
入の安定化を図るか、輸入品が入ってこない鉢花に移行せざるを得ない状況。
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●13:00前にシドニー大学の育種研究所を訪問。小麦とトウモロコシを掛け合わせたものから耐サビ病品種の育種、ワイルド
フラワーの育種など多方面でユニークな研究をされている。農場視察の後は、研修室で、
「オーストラリア産ワイルドフラワーの品
質規格、収穫後処理マニュアル」受講。お客様にワイルドフラワーを安心して楽しんでもらえるように開発研究された成果の報告
■10月23日
●7:00ホテル出発。最初の訪問地、Brimstone Waratahs に8時到着。農場主のゴードンさんは、ワラタ、プロテア、ピンク
ッション、カンガルーポー、バンクシア、グレビリア、ブルニア、ポウメリア、ティツリーなど作っている。
品質、栽培技術に絶対的な自信を持っているように見える。農場は、25エーカーで、2000株。
●11:45に次の訪問地 Brushtop Farm に到着。ここは、プロテアがメインで、ピンクッション、リューカデンドロン、ライス
フラワーなども作っている。9月末からの3.5ヶ月で28万本出荷する。プロテアは日本にも大量に輸出されている。
●シドニー空港17:00発の QF453便⇒メルボルン空港19:00到着。
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メルボルンは、通りは碁盤の目となっていて整然と街作りされている。1840年に始まって付近に金鉱が発見されて急激に発
展したとのこと。ビクトリア州560万人の中、413万人がメルボルンに住む。市内の四分の一が公園になっている。
■10月24日
●9:00Flowers Vasette メルボルンの中心地にある花店に到着。外観からして大きな花びら、蜂、花びらから飛び出した怪物の
頭とかのオブジェが目を引く。店内は溢れるばかりの花。バラ、ユリといったようなものからワイルドフラワーまで大変な種類の
花がある。視察の間もお客様が花を買っていく。バックヤードも大きい。店と離れたところにも2箇所の拠点を持っている。
●10:20輸出会社の WAFEX を訪問。ここは、メルボルンとパースに拠点を持つ会社。燻蒸設備も自社で持っている。ケニア
から輸入のバラは、採花から4日目に到着。シッピングアレンジメントノウハウを持っているのが強み。品質管理を徹底。フラン
ネルフラワー、ワックスフラワーを作っている35ha の農園を買収して調達を強化した。日本との取引、それもダイレクトの取引
を増やしたい。
●14:00Proteaflora Nursery 訪問。農園名のようにプロテア類の生産、販売をしていて、国内ばかりでなく、南アフリカ、イ
タリア、日本に輸出している。生産は毎年50万個。
●16:45大手スーパーの Coles(Port
Melboume)に寄って花売り場を見る。ミックスフラワーの花束25A$(2000円)
、
マムのモノブーケ8A$(640円、10本)
、その他、アレンジ、鉢物、苗など置いている。
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■10月25日
朝6:00タスマニア Devonport 港に到着。
●7:24Peonies from Tasmania に到着。シャクヤクを生産していて、オーナーの HansVan Niekerk 氏はオランダで22年、
タスマニアで8年間の生産実績があるそう。採花後2℃で保管。5本束でスリーブに入れ、1箱45~50本で梱包。5本束で8
A$。輸出は5%程度でほとんどが国内消費。年間生産量50万本。
●8:15に農場を後にする。次の訪問地に行く前にシェフィールドという街に寄る。8時半到着。ここは壁画で有名だそうで、
街中の壁に歴史や文化に基づいて壁画が描かれている。タスマニアタイガーや街の景観の象徴に山は良く見るとあちこちの壁画に
登場している。
●10:10Flowerdale Flowers & Southem Bulbs に到着。ここはユリの生産で、2万㎡のオランダ式のグラスハウスの建設中。
土をコントロールして健康な花を作ることに注力している。全く使わないという事ではないが、基本的には無農薬で生産している。
既存のハウスを見ると CPU による自動管理システムを入れていた。11:00農場出発で次の訪問地に向かう。朝からタスマニア
州政府の方が2、3人フルアテンドしてくれている。
●11:10Van Dieman Quality Bulbs に到着。先ずチューリップ畑を見る。チューリップ8ha、ユリ6ha、ダッチアイリス9
ha、カラー、シャクヤク、ラッパスイセンの切花、球根を作って国内卸売、メールオーダーに対応、海外はヨーロッパに輸出。
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●今日4つ目の訪問地 Blokker Freesias に13:35到着。タイムスケジュール通りだ。ここはフリージアの生産がオーストラリ
アで最大。生産量は、フリージア280万本、アイリス80万本、カラー40万本で主に国内に出荷。ここも CPU でコントロール
していた。土壌殺菌は蒸気殺菌。面積はハウスが1ha、露地が2~3ha で、現在8500㎡増設中。
●16:50Launceston 空港発⇒ブリスベン空港18:35到着。
■10月26日
8:00ホテルを専用バスで出発。8:45Flower Association Queensland Inc.(FAQI)の Redlands Reseach Station に到着。Rodi
会長他 FAQI のメンバーで出迎えてくれる。9:00からセミナー。地元のレッドランド市長が歓迎の挨拶。続いてロディ会長自
ら FAQI の活動を紹介。
FAQI は、生産者をはじめ花に関わる全ての人が参加でき、花き業界をリードしていく。政府とのコンタクト、会員への情報提
供、経営のコンサルタントなどを行っている。理事会では、これからの花き産業をどうしていかなければならないかを議論してい
る。協会では、
「ベストプラクテスガイド」を出していて、毎年優良生産者に賞を与えている。その他、FAQI が現在取り組んでい
るプロジェクトが紹介された。マルチのかけ方、アザミウマ対策、コスト管理ツール(モデルを提示)
、省エネルギー、節水、環境
汚染対策など幅広い。
「オーストラリア
フラワーインダストリー」という雑誌を9年前から季刊で出している。
オーストラリアフラワーカウンシル(AFC)と共に生産とのマッチングを図りながらマーケティングとプロモーションに力を入
れる。日持ち試験室は、グリフィス大学との共同研究で取り組みが始まったばかり。室温24℃、12時間点灯・消灯で湿度は成
行きでまだこれからという状況。研究所は遺伝子組換え(GMO)も行っており、サトウキビのエタノール生成の効率アップなどに
取り組んでいた。東アフリカのバナナの耐病性などの品種改良には、ビル・ゲイツから資金提供を受けている。併設されているガ
ーデンも素晴らしかった。
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●12:00Redlands Fresh Flowers⇒12:50到着。ここは、バラ、ガーベラ、スターチスを生産して国内で販売、直売もし
ていて、花束で25~35Å$。クイーンズランドでは最大のバラ、ガーベラの生産者だそう。バラは鉢でアーチングをやってい
た。
●13:35Gladland Flowers に到着。ここは花束を生産加工して、大手スーパーのウールワース70店舗に花束を販売している。
店頭価格は、
「クローバーヒル」というブランド、花束18A$、アレンジ20A$、モノブーケは、バラ13A$(10本)
、SP
カーネーション10A$(10本)と安い。生産は、4.2haでスターチス、ユリ、スプレーマム、ガーベラなどを作っている。
通いコンテナを使っていて、4℃で保管、冷蔵コンテナで輸送されている。70人を雇用、時給は25A$だそうで高賃金。仕入
れは、輸入30%、国内30%、自社生産40%の割合。以前IFEXに出展して、コロンビアからの仕入れがダイレクトに調達
できるようになった。
■10月27日
●ツアー最終日。7:20ホテル出発。最初の訪問地は、Ceder Hill Flowers & Foliage で7:45到着。ここは州政府からグリ
ーンを採取できるライセンスを持っていて、日本をはじめ世界に輸出している。
採取する山の中には4輪駆動の車でなければ入れない為、事務所でプレゼンを受ける。スティールグラス、フレクシーグラス、
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アンブレラファンなど自然環境への影響を最小限にするように、持続的成長を確保しながら採取する。直射日光を嫌うので、朝の
4時から採取して10時には終わっている。植物のどの部分を採取するか、どこから採取するかなど決めている。
スティールグラスは、日持ちが3ヶ月、60%が日本向けに輸出されている。自由に曲げられるフレクシーグラス、傘みたいな
アンブレラファン、コアラファンなどある。作業場、保管庫から輸送も全て温度管理されコールドチェーンとなっている。
ここでは、クリーンベンチが6台の小規模ながら組織培養(TC)も行われていて、苗生産や珍しい植物の増殖をしている。
●9:30Ceder Hill Flowers & Foliage⇒9:45モントビルと言う景勝地に僅か20分だったが寄る。10:35Top of the
Range Flowers に到着。FAQI会長のRodiさんの農園。奥様、娘さん、息子さんとご家族皆で迎えてくれる。Rodi さんの
プレゼン。ここでは主にクリスマスブッシュを生産している。3.4ha に3500本のクリスマスブッシュの木がある。土を分析
して、栽培な最適なコンディションを作り出している。徹底的な品質管理で、採花して2分以内に前処理(クリザール RVB)に浸け
て、直ちに花束加工されて、2~5℃のコールドチェーンで日本にダイレクト便で出荷。工程の随処でいろいろな工夫がされてい
る。例えば、前処理のバケツは、市販のゴミ箱をカットしたものを使っている。一つ一つが Rodi さんのアイディア、自製で使い易
い合理的な設備となっている。
Rodi さんは15年のキャリア、どうしたらコストダウンが出来るかを考え生産者自らが出来るようにエクセルのソフトを作成し
て皆を指導している。
「輸入に対抗するにはどうしたらよいか」との質問に、自分お花の差別性に着目(見つけて)
、ブランディング
して国(州)とも連携して「国産」へのアピールを先ずすべきだと。前向きな姿勢で挑戦すれば、お客はついてくるものだとの見解。
11:45に Rodi さんの農園を後にして、ブリスベン⇒シドニー⇒成田に向かう。
緻密なスケジュールをアレンジしてくれたオーストラリア大使館西川さんに感謝です。有難うございました。
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