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食感の喜び 東京大学教育学部附属中等教育学校6年
食感の喜び 東京大学教育学部附属中等教育学校6年 片岡 彩葉 研究の動機 私は普段、料理を食べるときにその料理の食感に、特にこだわって味わっている。そし て、料理が人を魅了する要因は、味や見た目、器、盛り付けなどさまざまあるが、その中 でも、食感は大変重要な役割を演じていると考えている。そこで私は食感が料理を食べる 人に与えるポジティブな影響、すなわち「食感の喜び」について研究を始めた。 研究内容 まず料理は言葉によって説明されることにより魅力が明確になると考え、食感を表す表 現をさまざまな文献から収集し、食感を表す言葉の定義付けを行った。つぎに、料理のレ シピを調査し、レシピの中で食感の工夫はどのようになされているのか、食感の喜びとは どのようなものなのかを調べた。そして、実際に食感に工夫が凝らされたレシピを料理し てみて、食材の食感の生かし方などを確認した。その後、食感にこだわったメニューを提 供していると考えられる飲食店を選び訪問し、人気メニューの工夫や食感を生かした料理 への取り組みの取材を行った。また、冷凍食品製造会社が、食感を充実させた製品の開発 に力をいれていると考えて、冷凍食品の食感の工夫の調査を行った。一方、食感の喜びに 関するアンケート調査を行い、どのぐらいの人が食べ物を食べるときに食感にこだわるの か、また、どんな食べ物に「食感の喜び」を求めるのかを調査した。これらの結果を基に、 食感の喜びをふんだんに盛り込んだ自作のレシピを考え、試作を重 ねた。そして最終的に 「食感の喜び」を存分に感じられるレシピを完成させた。 考察 食感を表す言葉は、擬音語、擬態語、五感に訴える性質をもつことを示す言葉 の三つに 大別できることが分かった。レシピの調査では、いくつかの食感の組み合わせ ることが料 理の魅力を引き立てる重要な要因になっていることが分かった。また、調理の際のひと工 夫で随分食感が豊かになるという事が分かった。飲食店への取材からは食材のカットの仕 方や、加熱時間の微妙な調整などで食感を工夫させることが出来ることや、またカロリー を低めにするため食感を工夫する場合もあることを知った。食感に関するアンケート調査 では、食感を楽しむ人は柔らかい食感を楽しむ人と、歯ごたえのある硬めの食感を楽しむ 人に分けられることが分かった。また、食べ物の素材の食感をそのまま楽しんでいる人が 多く、食材に似合わない食感を楽しむ人はあまりいないことが分かった。これらの結果を 基に食感の喜びをふんだんに盛り込んだ自作のレシピを考案した。 餅を使った料理、油揚 げを使ったおつまみ、そうめんを使ったおかず、ゼリーのデザートの 4 つである。それぞ れ材料や配合を変えて試行を重ね、周りの人に食べてもらい一番人気のあったものを完成 レシピにした。 餅を使った料理で一番人気のあった餅は、白玉粉と大根の組合わせであった。油揚げを 使ったおつまみは、好みの味や食感に合わせて好きなチーズを選べるようにした。 そうめ んを使ったおかずは、見た目から想像のつく食感と意外性のある中身の食感が楽しめるよ うになっている。ゼリーのデザートは、さまざまな食感の組合わせがあり食べる温度によ って食感が変化するデザートに仕上がった。今後は、 「食感の喜び」を盛り込んだ、よりレ ベルの高い料理を開発したい。