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2 地域経済の現状と課題 (PDF形式, 2.84MB)

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2 地域経済の現状と課題 (PDF形式, 2.84MB)
地
本市は、世界有数のものづくりの中枢圏域である名古屋圏の中心都市として発展を続け
てきました。本章ではビジョン策定の背景として、名古屋圏と本市の産業・就労の現状と、
地域経済が有する産業の魅力について分析し、本市経済の課題について整理します。
1
本市の市内総生産額(名目)は、平成 20 年のリーマンショックに端を発した世界
的な景気後退の影響を受けて急激に減少しました。平成 21 年度以降は概ね横ばいで
推移しており、平成 24 年度は 11.8 兆円となっています。
1
(
)
(単位:兆円)
年度
平成
15
平成
16
平成
17
平成
18
平成
19
平成
20
平成
21
平成
22
平成
23
平成
24
名古屋市
12.5
12.9
13.2
13.3
13.4
12.6
11.8
11.7
12.0
11.8
指 数
100
103
105
106
107
101
94
94
96
94
愛 知 県
33.6
34.6
35.4
36.7
37.5
33.3
32.1
31.7
32.7
34.4
指 数
100
103
105
109
111
99
95
94
97
102
名古屋圏
48.4
49.7
50.5
52.4
53.4
48.1
46.3
46.2
46.9
48.8
指 数
100
103
104
108
110
99
96
95
97
101
日 本
指 数
501.9 502.8 505.3 509.1 513.0 489.5 473.9 480.2 473.9 474.5
100
100
101
101
102
98
94
96
94
95
(注)指数は、平成 15 年度を 100 とした時の数値
出所)「平成 24 年度名古屋市の市民経済計算」(名古屋市)等により作成
平成 24 年度の市内総生産額 ( 名目 ) の規模は… 1,426 億ドルに相当し、海外の国内
総生産額の規模と比較すると、ベトナム一国に相当する巨大な経済規模となっていま
す。また、名古屋圏の経済規模は、スイス一国に相当する規模を有しています。
4
I. 地域経済の現状と課題
2
(10
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
)
7000
5 935 9
3 426 0
2 611 2
2 461 8
1 129 6
1 106 3
631 2
587 9
413 6
394 5
155 6
142 6
※為替レート 1ドル= 83.08 円で換算
出所)「平成 24 年度県民経済計算について」(内閣府経済社会総合研究所)等より作成
経済活動別に平成 25 年度の市内総生産額(名目)をみると、卸売・小売業とサー
ビス業を合わせると 45.2%となり、約半数を占めています。
3
(
)
業 24 8
12
20
49
業 10 7
業 20 4
業
64
業
11 3
業
52
業 00
業 13
業 78
業
業 46
出所)「平成 25 年度名古屋市の市民経済計算」(名古屋市)
5
2
・
・
市内の民営事業所数は、平成 3 年をピークにその後は減少傾向が続き、平成 18 年
には 128,419 事業所まで減少しました。平成 21 年以降は調査方法が異なり単純な
比較はできませんが、平成 26 年は 124,636 事業所となっています。また、従業者
数については、平成 8 年以降減少傾向が続き、平成 16 年には 1,284,915 人となり
ましたが、平成 26 年は 1,425,480 人となっています。
4
(
業
(
業
)
従業
160 000
150 000
)
(人)
1 500 000
1 461 385
1 425 480
1 397 502
1 400 000
1 362 514
1 385 648
1 375 262
140 000
1 284 915
1 300 000
130 000
120 000
124 636
145 356
139 155
128 649
128 419
130 787
121 778
平成 11 年
平成 13 年
平成 16 年
平成 18 年
平成 21 年
平成 24 年
平成 26 年
1 200 000
(注)1.民営事業所とは、国及び地方公共団体の事業所を除く事業所。
2.事業内容等不詳の事業所を除く
3.平成 18 年までの「事業所・企業統計調査」と「平成 21・26 年経済センサス-基礎調査」、
「平
成 24 年経済センサス-活動調査」では、調査手法が若干異なるため、単純な比較はできない。
出所)平成 21・24・26 年は「経済センサス」(総務省・経済産業省)、
平成 11・13・16・18 年は「事業所・企業統計調査」(総務省)
た
従業者規模別に事業所数の推移をみると、小規模事業者において減少傾向が大きい
ことが分かります。従事者 4 人以下の事業所では、平成 21 年の 72,844 事業所から
平成 26 年では 67,467 事業所となっており、小規模事業者の置かれた厳しい状況を
うかがうことができます。
6
I. 地域経済の現状と課題
5
(
)
(事業所)
従業者規模
平成 21 年
平成 24 年
平成 26 年
4 人以下
72,844
66,618
67,467
5~9人
27,616
26,031
26,749
10 ~ 19 人
16,118
15,588
16,328
20 ~ 29 人
5,742
5,553
5,796
30 ~ 49 人
4,175
4,004
4,174
50 ~ 99 人
2,601
2,410
2,562
100 ~ 299 人
1,360
1,262
1,269
331
312
291
130,787
121,778
124,636
300 人以上
総 計
出所)「平成 21 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
「平成
…
24 年経済センサス-活動調査」(総務省・経済産業省)
「平成 26 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
市内の事業所数(平成 26 年)を産業別にみると、卸売業・小売業やサービス業など
第 3 次産業の比率が 8 割を超えており、東京 23 区や大阪市と同様の傾向にあります。
また、愛知県に占める割合をみると、「情報通信業」、「学術研究、専門・技術サービ
ス業」が 5 割以上を、
「卸売業、小売業」、
「金融業、保険業」、
「不動産業、物品賃貸業」、
「宿泊業、飲食サービス業」が 4 割以上を占めており、本市は名古屋圏に集積するもの
づくり産業のビジネス支援拠点としての機能を果たしていることがわかります。
サービス産業については、製造業からのアウトソーシングや社会構造の変化による新
たな需要などにより市場の拡大が見込まれ、その重要性がますます高まっています。一
方、サービス産業はその特性から一般的に労働生産性が低くなりがちであり、また、人
手不足などの課題も抱えていることから、ICT技術の導入やサービスの質の向上、新
たなサービスの開発などの取り組みの推進が必要と考えられます。
(
26
)
(
業
業
1
業
業(
業
2
業(
業
業
業
業
業
業
業
業)
業
)
業
業
業
業
業
業
業
3
業
業(
業
業
)
業
業
業
56
0
8 654
10 896
19 550
58
2 413
2 372
32 929
2 311
8 582
7 130
18 360
9 895
4 144
8 826
381
7 629
105 030
124 636
00
00
69
87
15 7
00
19
19
26 4
19
69
57
14 7
79
33
71
03
61
84 3
100 0
61
00
31 0
28 5
29 5
24 3
68 6
31 7
41 2
46 8
44 1
51 7
43 4
37 1
35 2
39 8
27 2
38 5
41 5
38 9
921
69
27 958
38 293
66 320
239
3 518
7 475
79 832
4 941
19 467
13 792
42 312
26 648
11 772
22 175
1 402
19 794
253 367
320 608
03
00
87
11 9
20 7
01
11
23
24 9
15
61
43
13 2
83
37
69
04
62
79 0
100 0
23
272
84
29 817
41 641
71 542
328
20 413
14 016
126 804
9 540
49 995
36 882
74 387
36 030
12 663
34 617
1 234
32 547
449 456
521 270
業
01
00
57
80
13 7
01
39
27
24 3
18
96
71
14 3
69
24
66
02
62
86 2
100 0
業
)
業
55
9
9 431
18 467
27 907
77
4 895
4 423
52 474
3 111
16 999
12 547
28 422
11 728
3 780
12 752
453
11 006
162 667
190 629
00
00
49
97
14 6
00
26
23
27 5
16
89
66
14 9
62
20
67
02
58
85 3
100 0
出所)「平成 26 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
7
市内の従業者数(平成 26 年)を産業別にみると、「卸売業、小売業」が 23.9%と最
も多く、次いで「宿泊業、飲食サービス業」が 10.7%となっており、第 3 次産業が全
体の 83.4%を占めています。愛知県では、「製造業」が全体の 24.3%と最も多くを占
めており、名古屋市の 10.2%と対照的な産業構造となっています。
7
(
従業員
従業員
1
業
業(
業
2
業(
業
業
業
業
業
業
業
業)
業
)
業
業
業
業
業
業
業
業
業
3
業
業(
業
業
業
)
416
0
91 381
145 094
236 475
7 823
56 482
70 069
341 020
42 238
41 194
56 999
152 292
62 036
56 883
138 466
7 773
155 314
1 188 589
1 425 480
00
00
64
10 2
16 6
05
40
49
23 9
30
29
40
10 7
44
40
97
05
10 9
83 4
100 0
45
00
41 6
15 9
20 9
57 1
77 7
34 0
45 2
54 7
51 3
51 4
43 9
41 6
48 4
38 9
30 4
51 1
45 5
37 9
9 297
425
219 620
913 449
1 133 494
13 709
72 649
206 262
755 259
77 255
80 311
110 820
346 585
149 027
117 615
355 585
25 545
303 854
2 614 476
3 757 267
02
00
58
24 3
30 2
04
19
55
20 1
21
21
29
92
40
31
95
07
81
69 6
100 0
26
)
(人)
従業員
23
2 334
1 934
384 198
544 270
930 402
24 020
791 902
403 175
1 696 879
371 544
300 756
417 983
721 784
277 890
275 671
550 947
26 934
919 108
6 778 593
7 711 329
00
00
50
71
12 1
03
10 3
52
22 0
48
39
54
94
36
36
71
03
11 9
87 9
100 0
従業員
412
36
124 385
228 246
352 667
10 113
132 822
109 330
546 629
83 751
86 599
100 766
224 300
84 231
50 787
202 918
12 337
269 702
1 914 285
2 267 364
00
00
55
10 1
15 6
04
59
48
24 1
37
38
44
99
37
22
89
05
11 9
84 4
100 0
出所)「平成 26 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
次に第3次産業について従業者数の増加率をみると、
「医療、福祉」、
「教育、学習支援業」
が平成 18 年以降継続して増加し続けています。
8
100
80
60
40
20
0
93
業
業
業
74
20
45
73
業
業
99
業
業
業
業
67
28
65
業
業
業
業
13
業
23
06
業
業(
)
45
59 7
60
80
100
(%)
96
44
22
15 7
21
74
10 1
08
12 6
95
29
11 0
21 0
77
16 4
37
03
44 7
40
28
73
94
業
業
20
55 7
平成24 26年
平成21 24年
平成18 21年
90 7
出所)「平成 26 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
8
I. 地域経済の現状と課題
名古屋地域(市内の 3 つの職業安定所の管轄区域)の有効求人倍率は、平成 23 年
に 1 倍を上回り、平成 27 年は 2.02 倍と高い水準で推移しています。
9
(
2 40
倍
)
2 00
1 68
1 60
0 81
0 80
0 64
0 40
0 00
0 87
平成22
24
1 20
1 09
0 93
0 80
23
1 53
1 31
1 12
0 65
0 52
1 54
1 40
1 07
1 20
2.02
1 95
25
26
27
(年)
全
出所)「平成 27 年 12 月分・平成 27 年分 最近の雇用情勢」(愛知労働局)
愛知県の完全失業率は全国値を下回って推移しています。リーマンショックの影
響で平成 21 年に失業率が悪化しましたが、その後は改善傾向に転じ、平成 27 年の
完全失業率はリーマンショック前とほぼ同水準の 2.5%に回復しています。愛知県の
若年者失業率(15 歳~ 24 歳)は平成 21 年の 8.2%をピークに大幅に改善し、平成
27 年は 4.1%になっています。
10
(%)9 0
70
70
61
60
51
50
40
30
23
20
10
00
平成
29
2 1 2 12 2
16 16
2
55
42
36
33 36
29
25
18 18
3
全
4
29
66
47 47
75
50
32
2829
31
43 42
6
7
8
72
64
57 59
44
35
41
62
55
52
39
40
34
28 27 29
29
9
47
40 40
36
21
5
76
54 53
44
41
34 34
82
81
77
80
65
51 51
45
43
36
46
48
43
36
41
34
40
37
36
32
2 62 5
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
(年)
年
業 (15~24 )
出所)「最近の雇用情勢」(愛知労働局)
9
2
な
名古屋の産業の歴史は、木曽ヒノキをはじめとした良質の木材や水量豊かな木曽川水系、
陶磁器を生んだ焼き物に適した土などの自然資源に恵まれ、江戸時代から培われた経営資
源や職人技と融合し、繊維や陶磁器などの産業が盛んになったことで、今日の自動車産業、
先端機械産業、ファインセラミックス産業などが集積し、世界のものづくりの中枢圏域と
なるまでに発展してきました。
名古屋圏には、良質な木材や水などの豊かな自然資源を背景に、イノベーションを繰り
返して成長してきた企業をはじめ、人材や大学、金融機関、本市の産業労働支援拠点など
の地域資源が多彩に存在します。
また、リニア中央新幹線の開業(平成 39 年度予定)や名古屋駅周辺の大規模再開発な
どが全国的にも注目を集めています。
・地
本市の総人口は、平成 27 年 10 月 1 日現在 229 万6千人で、近年は増加傾向にあ
ります。社会増減についてみると、平成 12 年以降は概ね転入が転出を上回るように
なっています。
11
(
人
人)
(
4 000
103
3 000
104
98
92
2 155
2 159
103
96
2 162
105
92
2 159
106
91
2 153
104
92
2 152
101
92
2 151
100
95
2 154
97
96
2 162
96
94
2 167
94
94
96
97
96
95
95
93
2 177
2 172
2 186
2 193
98
94
2 202
103
100
102
102
101
92
92
2 215
95
92
2 237
2 223
94
2 248
94
2 258
90
2 264
90
91
89
89
2 267
2 267
93
94
86
86
2 271
2 277
人
人
人)
98
88
2 296
120
100
80
60
2 000
40
人
1 000
20
0
平成2 3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
0
27
(年)
出所)「愛知県人口動向調査(名古屋市分)」(名古屋市)
10
I. 地域経済の現状と課題
平成 25 年 10 月から平成 26 年 9 月までの年齢別・地域別社会増減は、男女とも 20 歳
から 24 歳までは社会増が著しく多い状況でした。また男女とも 0 歳から 59 歳のほとん
どの年齢区分で関東圏に対して社会減が見られました。特に社会増が著しく多い 20 歳か
ら 24 歳においても、女性は関東圏に対して社会減という状況であり、就職する年代の若
い女性が関東圏に流出している傾向が見受けられます。
12
2 500
(
(
25
10
26
)
)
2 000
(
1 500
)
1 000
転入超過
500
転出超過
0
500
1 000
75
75
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳以上
74
歳以上
70
74
〜
70
69
〜
65
69
〜
65
64
〜
60
64
〜
60
59
〜
50
59
〜
50
49
〜
40
49
〜
40
39
〜
30
39
〜
30
29
〜
25
29
〜
25
24
〜
20
24
〜
20
19
〜
15
19
〜
15
歳
歳
歳
14
〜
〜
〜
14
出所)「平成 26 年愛知県人口動向調査(名古屋市分)」(名古屋市)
11
・
名古屋圏には、東京圏、関西圏に続き、多くの大学・短大が集積しています。学生の
人口割合も、京都府や東京都ほどではないものの、全国的に見て高い割合となっており、
大学・短大数、学生数とも全国有数となっています。
13
200
(
)
176
180
160
140
120
100
60
81
72
80
54
40
18
20
12
23
21
55
48
46
43 37
54
27 26
17 19 23
10
11
11
0
出所)「平成 27 年度学校基本調査」(文部科学省)
14
(
80
人)
(%)
75 6
6 36
70
6 00
人
60
4 00
40
2 69
2 49
30
20
0
5 00
5 59
50
10
7 00
94
2 66
20 2
12 6
58 39
11 4
32
3 00
24 5
16 6
19 9
32 31 38 26
17
35
2 00
13 1
12 8
45 63
1 00
29
0 00
出所)「平成 27 年度学校基本調査」(文部科学省)、「平成 27 年国勢調査(速報値)」(総務省統計局)
12
I. 地域経済の現状と課題
・
名古屋圏における法務・税務関連事業所は、法律事務所が 916 事業所、税理士事務所
が 3,136 事業所、社会保険労務士事務所が 580 事業所となっています。そのうち本市が
占める割合は高く、多くの専門家が本市に集積しています。本市が今後ますますビジネス
支援機能を発揮するためには、こうした中小企業のビジネスをサポートする専門人材の活
躍が不可欠です。
15
①名古屋圏
(事業所)
②名古屋市
(事業所)
名古屋市が占める
割合(②/①)
法律事務所
916…
628…
68.6%
特許事務所
133…
99…
74.4%
公認会計士事務所
265…
139…
52.5%
3,136…
1,217…
38.8%
580…
178…
30.7%
税理士事務所
社会保険労務士事務所
出所)「平成 26 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
13
市内には、本店がある地方銀行 3 行と信用金庫 2 金庫をはじめ、多くの金融機関
の支店が集積しており、名古屋圏の金融の中枢機能を担っています。(一社)名古屋
銀行協会加盟 36 銀行の平成 27 年9月の貸出金総額は 13 兆 1,120 億円、預金総額
は 21 兆 5,745 億円に上り、経済活動の活発化により貸出金は年々増加する傾向がみ
られます。
16
(単位:億円)
250 000
200 000
150 000
184 527
118 650
196 193
124 701
203 573
122 877
201 825
210 886
126 331
124 370
119 781
206 901
207 288
127 726
213 942
130 805
215 745
131 120
100 000
50 000
0
平成 19
年度末
平成 20
年度末
平成 21
年度末
平成 22
年度末
貸出金総額
平成 23
年度末
平成 24
年度末
平成 25
年度末
平成 26
年度末
平成 27 年
9月
預金総額
(注)(一社)名古屋銀行協会加盟の都市銀行、地方銀行、信託銀行、長期信用銀行における主要勘定
出所)「金融」((一社)全国銀行協会)
14
I. 地域経済の現状と課題
2
名古屋圏の学術・開発研究機関事業所数は 467 事業所、全国に占める割合は 8.5%
です。
また、名古屋圏の特許登録件数は 19,151 件、全国に占める割合は 10.8% であり、
名古屋の企業における技術力に裏づけされた創造力で、日本で初めての製品が数多く
生み出されています。
17
区 分
件 数(件)
学術・開発研究機関事業所数
特許登録件数
大学発ベンチャー設置件数
全国シェア
467
8.5%
19,151
10.8%
121
6.7%
出所)「平成 26 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
「特許行政年次報告書(2015 年版)」(経済産業省)
「大学発ベンチャーに関する基礎調査(平成 20 年度)」(経済産業省)
18
★ コンタクトレンズ
★ トマト製品
★ スタンパー
★ 温水洗浄便器
★ 自動織機
★ パチンコ
★ 集約電波塔
★ 国産飛行機
出所)名古屋市市民経済局産業部産業労働課調べ
携
名古屋圏における産学連携の共同研究実績を主要な大学別にみると以下のとおり
で、多くの研究開発が進行しています。さらに名古屋大学はノーベル賞受賞者を6人
輩出するなど、世界に認められる優れた研究開発の実績を多く生み出しています。
19
機 関 名
件 数
名古屋大学
名古屋工業大学
豊橋技術科学大学
名古屋市立大学
愛知県立大学
愛知県立芸術大学
三重大学
岐阜大学
岐阜薬科大学
情報科学芸術大学院大学
529
250
149
61
11
1
241
242
41
2
受入額(千円)
1,918,363
654,495
295,422
85,517
11,713
4,482
409,390
286,475
85,144
2,500
出所)「平成 26 年度大学等における産学連携等実施状況 共同研究実績(機関別)」(文部科学省)
15
名古屋圏の輸出額は 15 兆 7,855 億円で、全国 21.6%のシェアを占めています。
とりわけ名古屋港は日本最大の輸出港として、平成 26 年における輸出から輸入を差
し引いた黒字額は 5 兆 6,583 億円であり、産業貿易の重要な拠点機能を担っています。
名古屋港の輸出品目は、自動車(乗用車・バス)が 27.1%、自動車の部分品が
14.9%を占めており、名古屋圏に集積する自動車産業の輸出拠点となっています。
20
(
26
)
(単位:億円)
区 分
全 国
名古屋市
対全国シェア
名古屋圏
対全国シェア
輸出額
730,930
113,748
15.6%
157,855
21.6%
輸入額
859,091
57,165
6.7%
99,082
11.5%
貿易収支
▲…128,161
56,583
-
58,773
-
(注)名古屋市の金額は名古屋港のみ。名古屋圏の金額は名古屋港、中部国際空港、三河港、衣浦港、
四日市港、尾鷲港、津港の合計
出所)「管内貿易概況(平成 26 年分)(確定)」(名古屋税関)
21
(
)
3 5%
(3 954
(
(
)
26
)
)
27 1%
(30 836
(
)
14 3%
(8 195
)
(
)
)
10 8%(6 202
)
(
(
)
14 9%
(16 987
(
4 5%(5 171
)
(
)
(
)
4 8%(5 437
)
6 3%(3 628
)
)
3 5%
(2 023
(
)
)
)
4 8%(2 730
)
)
出所)「管内貿易概況(平成 26 年分)(確定)」(名古屋税関)
16
I. 地域経済の現状と課題
愛知県内企業のグローバル化は年々進展しており、中小企業の海外進出も活発化して
います。進出先から撤退する企業もありますが、それを上回る企業の進出があり、平成
26 年の海外進出企業数は 792 企業にのぼり一貫して増加しています。
22
出所)「愛知県内企業の海外事業活動調査」(公益財団法人あいち産業振興機構)
17
本市の国際会議開催件数は、平成 23 年から増加しており、平成 26 年は 163 件と
過去 10 年間で最多となりました。また平成 26 年の国際会議参加者総数は 96,197 人、
うち外国人参加者数は… 7,304 人と海外からも多くの来訪があり、国際的な知の交流が
進んでいます。
23
(
240
)
19 1
20 0
16 2
16 0
120
8 0
121
115
10 8
10 9
17
18
15 8
15 3
16 4
13 3
128
13 0
10 4
9 8
15 5
10 9
163
143
124
122
112
126
8 9
8 3
40
0
平成15
16
19
20
名古屋
21
22
23
24
25
26
(
名古屋
)
(注)1つの会議が複数の都市にまたがって開催された場合、それぞれの都市において1件として計
上している。
出所)「2014 年国際会議統計」(日本政府観光局)
24
(
国内参加者数
外国人参加者数
26
)
(人)
参加者総数
名古屋市
88,893
7,304
96,197
名古屋圏
105,049
8,204
113,253
出所)「2014 年国際会議統計」(日本政府観光局)
(注)国際会議の選定基準
【2007 年統計からの新基準】
以下の①~④を全て満たす国際会議を、「国際会議」とする。
①主催者:「国際機関・国際団体(各国支部を含む)」又は「国家機関・国内団体」
(各々の定義が明確ではないため、「特定企業の利益を追求することを目的とした会議」の
主催者を除く全てが対象となる。)
②参加者総数:50 名以上
③参加国:日本を含む 3 カ国以上
④開催期間:1 日以上
【2006 年統計までの旧基準】
○ 参加者総数が 20 名以上で、かつ参加国が日本を含む 2 カ国以上の国際会議
○ または、参加者総数が 20 名以上で、かつ外国人参加者数が 10 名以上の国内会議
○ 上記 2 つの条件のいずれかを満たしているセミナー、シンポジウム等
18
I. 地域経済の現状と課題
な
な
サイエンス ーク
なごやサイエンスパーク事業は、守山区志段味地区の区画整理事業やガイドウェイ
バス事業と一体となり、ものづくり産業を支える研究開発拠点を形成し、産学行政が
連携して研究開発を促進することにより地域の持続的な発展を目的として進めている
事業です。
当地域の研究開発機能を先導する研究開発拠点として、Aゾーンにおいては、「研
究開発センター」、「先端技術連携リサーチセンター」、「サイエンス交流プラザ」や、
国の研究機関である「国立研究開発法人産業技術総合研究所中部センター」、独立行
政法人中小企業基盤整備機構が運営する賃貸型施設「クリエイション・コア名古屋」
といった研究機関が集積しています。
また、なごやサイエンスパークに集積する公的研究機関の研究成果を地域産業に波
及させ、本市産業の高度化・活性化や新産業の創出を図るため、Cゾーンとして研究
開発型企業団地「テクノヒル名古屋」を整備しています。
Bゾーンについては、医療・福祉・健康産業分野の研究開発型企業を誘致し、医療
対応型特別養護老人ホームやAゾーンの公的研究機関等との連携を図り、革新的な医
療福祉機器等の開発を促進することにより、今後成長が見込まれる医療・福祉・健康
産業の振興等を図るゾーンとして整備していきます。
25
19
ートメッ な
名古屋市国際展示場「ポートメッセなごや」は約 34,000㎡の展示規模を有し、中部
圏で最大の展示場施設です。国際展示場で開催される見本市 ・ 展示会では国内外から優
れた製品・情報そして人材が一堂に集まり、商談や情報交流が行われることでビジネス
チャンスやイノベーション創出につながるとともに、企業が市場の需要動向を直接的に
収集できる場として重要な役割を果たしています。見本市 ・ 展示会の開催には、幅広い
経済波及効果や展示装飾や宿泊、飲食業をはじめとした様々な周辺産業における雇用創
出効果が期待されます。
現在、金城ふ頭開発の一環として平成 29 年の開業が予定されているレゴランドや商
業施設などとともに、国際展示場第一展示館の移転整備が計画されています。
また、名古屋圏の産業の強みをさらに高めるためには、海外の競合都市にも対抗でき
る世界標準の展示規模を持ち、これまで対応できていなかった名古屋圏のものづくり産
業の集積を活かしたビジネス向けの全国規模、あるいは国際的な見本市・展示会の開催
を可能とする展示場施設の整備が必要との認識から、新たな大規模展示場の整備に向け
た検討を進めています。
地
アク ス
・名古屋駅から 30 分以内で到着できる立地環境(徒歩含む)
・複数の交通経路確保による選択肢の充実と混雑の緩和
・初めての来訪者が円滑に乗り継ぎできる動線の確保
アク ス
・円滑な乗り継ぎ動線の確保、国内外からの来訪者に配慮したアクセス環境
・シャトルバス等の運行の可能性(国際見本市の開催時)
・
・幹線道路・高速道路との近接性
・大規模催事に対応可能な道路環境(車線拡張や交差点拡幅等の措置)
・大規模駐車場の整備用地の確保
・幹線道路・高速道路からの円滑な入出庫ルートの確保
・周辺地域の既存駐車場との連携の可能性
・搬出入に必要な大型車両の待機場所の確保
地
・
・10 万㎡を視野に入れると、整備には 30 万㎡以上の用地が必要
・将来的な拡張に対応可能な環境が望ましい(埋立等)
・宿泊等関連施設の立地可能性
・展示場が周辺地域に及ぼす影響への許容度
・大規模展示場の立地に適した環境
⇒ 臨海部、郊外、公共交通や幹線道路に隣接した地域
出所)「名古屋市における展示場のあり方構想懇談会」(平成 26 年度)資料より
20
I. 地域経済の現状と課題
工業研究所は、工業技術に関する研究及び指導を行い、中小企業の生産技術の向上に
資することを目的として、昭和 12 年に設立されました。そして、本市の機関として、
「公
共性・公平性」と「地元企業との近い距離」という特徴を活かし、中小企業に信頼され
る技術支援を実施して、地域産業の発展に貢献しています。
26
100
30,000
技術
90
80
25,000
60
20,000
研究
・
70
(
50
)
30
10,000
平成22
平成23
平成24
中小企業振興会館は、総合展示会から会
議まで多種多様なニーズに応え、総合展示
会ができる大規模展示施設(吹上ホール)
や会議室を備えた中小企業の振興と産業交
流の促進を図る場となっています。また、
中小企業振興会館には、(公財)名古屋産
業振興公社、(公財)名古屋市小規模事業
金融公社、
(公財)名古屋市中小企業共済会、
なごやジョブサポートセンターなどが入居
しており、創業・新事業展開支援やセミナー
等の開催、資金繰り、福利厚生、経営など
の様々な相談に対応できる中小企業の支援
拠点となっています。
21
平成25
平成26
20
多様な支援機関が入居する
中小企業振興会館
)
(
40
15,000
な
ブサ ート ンター
なごやジョブサポートセンター(以下「なごジョブ」といいます。)は、平成 23 年
6 月に中小企業振興会館内に開設した本市の就職相談窓口で、民間事業者に委託して運
営しています。
なごジョブでは、市内で求職活動をされている方や新卒者などを対象に、専門のカウ
ンセラーが担当制で個々に合わせたきめ細かな就職相談から職業紹介、職場への定着ま
で一貫した支援を行っています。
また、独自の求人開拓も行っており、中小企業と求職者のマッチングの機会を提供す
るなど、中小企業の人材確保についても支援しています。
平成 24 年 2 月には、愛知労働局と連携し、なごジョブ内にハローワークの相談員を
配置した「職業紹介支援室」を設置し、ハローワークの求人情報の紹介等を併せて実施
することで、就業機会の拡充を図りました。
このほか、若者や女性などの対象者別の就職支援セミナーの開催、大学のキャリアセ
ンターや民間事業者団体等と連携した取り組みも行っています。
多様な人材の活躍、多様な働き方の推進のため、求職者にとって最適な就労支援が提
供できるよう、国や県の就労支援機関などとも連携して取り組んでいます。
27
(人)
1 200
(
)
3 300
1 000
2 500
800
2 000
600
1 500
400
1 000
200
500
0
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
(注)平成 23 年度は、平成 23 年 6 月 22 日(開設日)以降の実績
22
0
規
I. 地域経済の現状と課題
リ ア
新
平成 39 年度には、リニア中央新幹線の東京―名古屋間の開業が予定されており、
都市間の移動時間が大幅に短縮されることで、人口 5,000 万人規模の大きな新しい
交流圏(スーパーメガリージョン)が形成されると考えられます。これにより首都圏
とのつながりが深まる期待がある一方、人口や経済活動が首都圏に吸い取られるスト
ロー現象が懸念されており、リニア中央新幹線の開業を見据えながら、これをビッグ
チャンスとして地域産業の活性化につなげていくことが求められます。
28
人
1 990 人
215
人
86
人
5 000
人規模
3 562 人
1 135 人
377
人
40
100
出所)リニア中央新幹線建設促進既成同盟会資料より本市作成
リニア中央新幹線の開業による大きな新しい交流圏の形成は、
「人・モノ・カネ・情報」
の交流を世界規模で活発化させると考えられます。この機会を捉え、本市は名古屋圏
の中心都市として多様な主体による産業交流の促進を図り、新たな価値の創造を生み
続ける魅力あるまちを目指していく必要があります。
平成 39 年度のリニア中央新幹線の開業に向けて、名古屋駅周辺の大規模な再開発
が急速に進んでいます。平成 27 年 10 月に大名古屋ビルヂング、11 月にJPタワー
名古屋が竣工し、今後は平成 28 年 6 月にシンフォニー豊田ビル、平成 29 年 2 月に
はJRゲートタワーが竣工する予定です。また、ささしまライブ 24 の開発が進行中で、
さらには名古屋駅南地区再開発も予定されています。
名古屋駅周辺地区では、交通の利便性を活かし、ものづくり圏域の中枢として、ま
た、名古屋圏の産業の進化と成長の起点として、商業機能・オフィス機能、ビジネス
交流機能等が大きく高まるとともに、地域経済への波及効果に大きな期待が寄せられ
ています。
23
29
区 分
事 業
主 体
大名古屋
ビルヂング
三菱地所
JPタワー
名古屋
日本郵便、
名工建設
シンフォニー
豊田ビル
東和不動産
JRゲート
タワー
グローバル
ゲート
ささしまライブ
24 特定目的会
JR 東海、
社(豊田通商、
ジェイアールセ 大和ハウス工
ントラルビル
業、日本土地建
物、オリックス、
名鉄不動産)
延 床
面 積
148,000㎡
180,000㎡
47,500㎡
260,000㎡
157,000㎡
高 さ
174.7 m
195 m
115 m
220 m
170m
タカシマヤ ゲートタワー
モール、
名古屋JRゲー
トタワーホテル、
オフィス
プリンスホテル、
コンファレンス
センター、商業
施設、オフィス
平成 29 年 2 月
(予定)
平成 29 年 3 月
(予定)
豊田通商、三井
ガーデンホテル
イセタンハウス、 郵便局、
ゆうちょ銀行、 名古屋、
入 居 クリニック、
テナント ショールーム、 KITTE名古 シネマコン
プレックス、
屋、オフィス
オフィス等
ショップ
竣 工
平成 27 年 10 月 平成 27 年 11 月
平成 28 年 6 月
(予定)
24
I. 地域経済の現状と課題
本市経済を取り巻く環境は、日本社会の成熟化、少子高齢化、グローバル化の進展、新
興国などの急速な発展、環境・エネルギー問題の増大などの影響を受け、今後 10 年間に
おいてもさらに変化していくことが予想されます。本市の産業が成長、発展し、労働環境
を改善するうえでの課題として以下のことがあげられます。
ー
名古屋圏の主要な産業である自動車の世界市場は、先進国を中心として、エネルギー
制約や地球温暖化への対応から環境志向が高まっており、ガソリン車に代わって、ハ
イブリッド自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、電気自動車などの次世代自動
車の市場が拡大するとみられています。また、高齢化の進展を背景としたコミュニケー
ションロボットの登場やSNSに代表されるような「コミュニティの構築」、「共感」
への関心の高まりなど、時代の変化に対応した新たな製品、サービスへのニーズが高
まっています。
あらゆるものがインターネットで結ばれるIoT(Internet… of… Things… の略。… モ
ノのインターネット)と呼ばれる新しい概念が台頭してきており、モビリティ、ヘル
スケア、エネルギーなど様々な分野のビジネスが変化しはじめています。ドイツ政府
はIoTを積極的に取り込んだインダストリー 4.0(注)を打ち出し、製造業の改革
プロジェクトに取り組むなど、IoT時代における新たなビジネス開発が進められて
います。
30
(
)
モ ノ
以
ト
インターネット
出所)「海外の IoT 市場動向」((一財)マルチメディア振興センター)
(注)インダストリー 4.0:生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化のレベルを現在よりも高め
ることにより、コストの極小化を目指す動き。ドイツでは自ら考える「スマート工場」などの
開発が行われている。
25
価値
価値観の多様化が進む中、消費者のこだわりは、環境や安心・安全といったライフス
タイルへと変化しています。さらに、これまでの「購入」や「所有」重視から、「消費」
あるいは「利用」重視へと、大きな価値観の変化が生じており、新たなビジネスモデル
の構築が重要となっています。
企業の価値観の変化への対応として、従来の産業の枠にとらわれず、多様な関連する
企業を巻き込みながら成長する「ビジネス・エコシステム」という考え方が注目されて
います。
例えばICT産業においては、従来の携帯電話・メールからスマートフォン・SNS
へと進化して消費者に新たな価値を提供することに成功しました。携帯電話・メールは
通信事業者が主導していましたが、スマートフォン・SNSは、通信事業者のみならず、
アプリ等多種多様な企業が供給する補完的な財・サービスを巻き込むことで市場を創出
し、成長を実現しています。
31
2000 年前後
〈 2G 〉
価値
2010 年前後
〈 3G Wi-Fi〉
携帯電話・メール
インターネット
サービス
アプリ
プラットフォーム
アップル
キャリア
ボーダフォン
フェイスブック
グーグル
ボーダフォン
端末
ノキア
アップル
エリクソン
ノキア
モトローラ
基地局
アマゾン
コンテンツ/
OS
スマートフォン・SNS
新たな価値
モトローラ
エリクソン
グーグル
サムスン電子
アマゾン
出所)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成 24 年)を参考に作成
26
I. 地域経済の現状と課題
な
インターネット等の情報技術の発達による情報通信の活発化は、グローバリゼー
ションを進展させ、より魅力的な都市に「人・モノ・カネ・情報」が集中するように
なっています。都市の活力である人の集積は、多様な想像力、知恵等の交流により新
たなイノベーションを生み、継続的なイノベーションは地域経済の発展を創出する原
動力となっています。
世界との都市間競争に打ち勝つためには、本市独自の魅力と都市としての総合力を
高め、積極的に情報発信する必要があります。
32
(
12
)
10
8
6
4
2
0
平成16 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21 平成22 平成23 平成24 平成25 平成26 (年
)
出所)名古屋市市民経済局産業部産業労働課調べ
27
2
経済センサス(総務省)によると、平成 26 年7月における本市内の民営事業所の
98.8%が中小企業であり、また市内従業者の 74.8%が中小企業で働いています。地
域の社会・産業・雇用において重要な役割を果たしている中小企業の振興を図ること
が、本市の目指す「魅力と活力のあるまち」という都市像の実現につながります。し
かしながら、少子高齢化やグローバル化といった社会経済状況の変化や後継者不足な
ど、中小企業や小規模事業者を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。
本市職員が平成 25・26 年度に実施した市内中小企業への訪問調査(621 件、うち
小規模事業者 275 件)には、生産設備の老朽化や原材料費の上昇・燃料費の値上がり、
指導者などの人手不足、技術者の高齢化などの経営上の不安、また人材育成の必要性
や新事業展開、自社製品開発への取り組みの不足、ネット販売への対応などの課題を
抱えている企業の声が多く寄せられています。
33
(
)
区 分
平成 26 年
中小企業事業所数
民営事業所数(※)全体に対する割合
120,691 事業所
(98.8%)
小規模事業所数
民営事業所数(※)全体に対する割合
83,582 事業所
(68.4%)
中小企業従業者数
民営事業所(※)従業員数全体に対する割合
1,058,082 人
(74.8%)
(※総数から政治・経済・文化団体、宗教を除いた数に対する割合)
出所)「平成 26 年経済センサス-基礎調査」(総務省)
34
全体(168
22 0%(37
)
)
規模
業
)
)
全体(169
39 3%(66
38 7%(65
34 2%(25
(
23 1%(39
)
34 2%(25
46 2%(78
31 5%(23
)
規模
)
全体(166
)
)
30 8%(52
(73
)
34 2%(25
27 7%(46
)
24 7%(18
)
34 9%(58
(73
)
41 1%(30
)
規模
)
36 1%(26
)
)
)
37 3%(62
)
)
業
26
業
)
(72
)
33 3%(24
30 6%(22
)
経常利益増加の主な理由:「売上数量(利用客数)の増加」
経常利益減少の主な理由:「売上数量(利用客数)の減少」「原材料(仕入)価格の上昇」
28
)
)
I. 地域経済の現状と課題
35
(
27
)
〇経営上の問題点としては、建設業では「人手不足」、製造業、小売業では「需要の減少・
停滞」、卸売業、サービス業は「競争の激化」が最も多くなっています。また、卸売業、サー
ビス業でも「需要の減少・停滞」、建設業、小売業でも「競争の激化」が挙げられており、
経済の先行きについて影響が懸念されています。
(%)
1
建設業
業 製造業
種 卸売業
別 小売業
人手不足
2
3
(45.7)競争の激化
(39.1)後継者・指導者の不足 (27.2)
需要の減少・停滞 (47.0)生産設備の老朽化・不足 (24.2)製品価格の低下・上昇難 (22.2)
競争の激化
(46.4)需要の減少・停滞 (39.7)仕入価格の上昇
需要の減少・停滞 (38.7)競争の激化
サービス業 競争の激化
(30.5)
(37.8)消費者ニーズの変化 (31.9)
(36.2)需要の減少・停滞 (35.4)料金の低下・上昇難 (29.1)
後
〇今後の経営方針をみると、建設業では「人材の育成・確保」、製造業では「合理化・
省力化」、卸売業、小売業では「販売体制の強化」、サービス業では「顧客の開拓」が
最も多くなっています。
(%)
1
建設業
製造業
業
卸売業
種
別 小売業
2
3
人材の育成・確保 (51.1)施工技術の高度化 (30.4)合理化・省力化
(27.2)
合理化・省力化
(28.2)人材の育成・確保 (25.3)コストダウン
(21.3)
販売体制の強化
(42.4)人材の育成・確保 (41.1)新商品の企画・開発 (29.8)
販売体制の強化
(34.5)人材の育成・確保 (31.1)サービスの向上
サービス業 顧客の開拓
(37.0)サービスの向上
(29.9)
(27.7)
業務の高級化・
(29.1)
高付加価値化
〇『人材育成』について「取り組んでいる」割合は、卸売業で 64.2%と最も高く、建
設業が 50.0%と続いています。小売業、サービス業は 5 割弱、製造業は 35.9%とな
りました。小規模企業は 3 割強と比較的低い水準となっています。
〇『新製品開発や他の分野への進出』について「取り組んでいる」割合は、卸売業で 5
割強となっており、他の業種が約 2 ~ 3 割であるのに比べ突出して高くなっています。
(%)
全
体
業
業
44 7
50 0
35 9
業
業
規模
業
60
58 1
45 4
48 0
33 0
43
45 7
64 2
業
64
48 9
(%)
29 4
20 7
92
40 9
11 0
84
58 6
29
26 8
24 6
49
67 8
50 3
20 2
43
75 0
27 3
26
33 1
45 4
9
64 8
45 7
40
71 4
84
63 0
10 2
68 0
74
市内民営事業所の 68.4%を占める小規模事業者においては、経営資源の確保が特に
困難なことが多いことを踏まえ、小規模事業者の事情に配慮した施策の展開が必要と
なっています。
な
団塊の世代の中小企業経営者が高齢化による引退の時期を迎えているものの、多くの
中小企業では事業承継の準備ができておらず、後継者不足が深刻化しています。中には
優れたポテンシャルを持っているものの、創業者の引退による営業力、組織力の低下に
より廃業となる中小企業もあり、円滑な世代交代や計画的な事業承継が必要となってい
ます。
30
I. 地域経済の現状と課題
・
地
高い技術力をもつ企業からのスピンアウトや新事業への展開、大学発ベンチャーなど、
創業・起業が活発に行われることは、新たな産業を生み出す原動力となり、地域経済の
活性化や雇用につながります。
本市の起業者についてみると、業種別では、
「建設業」、
「卸売業、小売業」、
「学術研究、
専門・技術サービス業」の順に多くなっており、起業者数全体の 8 割以上を男性が占
めています。起業者のうち 20 歳~ 39 歳の占める割合は 16.57%と全国よりも高くなっ
ています。また、名古屋市は、愛知県や全国に比べると開業率が高く、平成 26 年度は
開業率が廃業率を上回っています。
36
(
)
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
分類不能の産業
サービス業(
他に分類されないもの)
公務(
他に分類されるものを除く)
複合サービス事業
医療,福祉
教育,学習支援業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
学術研究,専門・技術サービス業
金融業,保険業
不動産業,物品賃貸業
卸売業,小売業
運輸業,郵便業
情報通信業
製造業
電気・
ガス・
熱供給・
水道業
建設業
鉱業,採石業,砂利採取業
漁業
農業,林業
0
(注)起業者とは :「会社などの役員」及び「自営業主」について、今の仕事(事業)が自ら起こした
ものであるかどうかを調査し、自ら起業した場合に「起業者」としている。
出所)「平成 24 年就業構造基本調査」(総務省統計局)より本市作成
37
0%
20
39
10%
20%
18 51%
17 80%
16 57%
模
16 54%
15 82%
全
11 30%
出所)「平成 24 年就業構造基本調査」(総務省統計局)
31
38
65
60
55
50
45
40
35
30
25
平成18年
19年
業
業
全
業
業
業
全
業
20年
21年
22年
23年
24年
25年
26年
(注)市内3職安(中、東、南)の合計値によるもので、各職安所管の周辺市分も含む。
また、平成 19 年以前は平成 20 年 3 月末に廃止された名古屋北職安の数値も含む。
出所)厚生労働省「雇用保険事業月報」、愛知労働局「愛知労働局年報」より作成
32
I. 地域経済の現状と課題
年
景気の回復基調を背景に、若年無業者の減少や完全失業率の低下など、近年の雇用
情勢は改善する傾向にあります。名古屋地域の有効求人倍率は、平成 23 年に1倍を
上回り、平成 27 年は 2.02 倍と高い水準を維持しています。
愛知労働局管内の求人・求職バランスを職種別にみると、専門技術、サービス、介
護関連など多くの職種では人材不足となっている一方、事務、運搬・清掃等では求職
者が過剰となっており、求人・求職のミスマッチが発生しています。また、少子化の
進展により若年労働者数が減少しており、将来的な労働力不足の深刻化による経済の
停滞が懸念されます。
また、愛知県の新規大学卒業者の卒業後 3 年以内に離職した者の割合は、平成 24
年 3… 月卒業者で 29.0%と高く、社会にとって大きな損失となっています。早期離職
者はその後の就職活動において不利な状況になることも多く、若者に対するカウンセ
リングの充実や中小企業内での定着支援の取り組みが重要となっています。
このほか、深刻化する人材不足への対応としては、女性・高齢者・外国人などの就
労や人材の確保・定着支援の取り組みが必要です。また、ものづくり現場を支えてき
た熟練技術者の退職に加え、若者のものづくり現場離れも進んでおり、特に中小企業
においては、技術の伝承と人材確保の支援が必要となっています。
39
40 000
(
30 000
25 749
7.00
23 603
11 568
2.69 9 589
550 271
9.00
8.00
8.29
5.24
14 935
12 820
11 271
7 358
1.87 6 858
1.33
3 813 0.86
460 352 410
0.49
人
8 038
2.64
6.00
4.66
5.00
14 928
14 341
11 513
4.00
4.58
2.03
)
(倍)
20 000
0
12
(人)
33 849
10 000
27
5 012
0.77
3 043
957
3.00
2.00
3 079 1.00
0.00
人
(注)「介護関連」は専門技術およびサービスの職業のうち、介護関連の職業を合計したものである。
出所)「平成 27 年 12 月分・平成 27 年分最近の雇用情勢」(愛知労働局)
33
40
40 0
(
)
(%)
35 0
30 0
25 0
20 0
15 0
70
98
77
10 4
75
86
83
95
72
87
85
84
78
89
9 5 10 0
82
88
84
9 2 10 1
90
年
89
10 2
91
年
10 0
10 0
50
年
12 2 13 0 11 6 12 2 10 5 11 5 11 8 12 5 13 0 13 4 11 6 13 1 11 4 12 7 11 3 12 2
00
全
平成19
全
全
平成20
平成21
全
全
全
平成22
平成23
平成24
全
全
平成25
平成26
(年)
出所)「新規学校卒業者(高校・短大等・大学)の離職状況」(愛知労働局)
女性は結婚・出産・育児などにより一度離職することが多いため、女性の労働力率を
表すグラフが、いわゆるM字カーブとなっています。平成 14 年から平成 24 年にかけ
て年齢の高い層の労働力率が上昇し、またM字カーブの底も上昇していますが、依然と
して本市は全国平均より深いM字カーブとなっています。
地域経済の持続的成長のためには、様々な分野において女性が活躍していくことが不
可欠です。ライフスタイルにあった多様な働き方や男女ともに働きやすく仕事と育児等
が両立できる環境づくりへの取り組みが必要です。
41
(
)
100
90
75 9
76 4
80
70
60
63 6
50
40
30
平成24(名古屋)
20
平成14(名古屋)
10
平成24(全国)
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
歳
19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74
歳以上
〜
〜
〜
〜
〜
〜
〜
〜
〜
〜
〜
15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75
〜
0
出所)「平成 24 年就業構造基本調査」(総務省)
34
I. 地域経済の現状と課題
ーク・ライフ・ ランス
近年、仕事と生活の好循環をもたらす働き方として、「ワーク・ライフ・バランス」
が重要視されています。
愛知県の県政世論調査では、「仕事」「家庭生活」「地域・個人への生活」への関わり
方について、希望としては「『仕事』と『家庭生活』をともに優先したい」が 31.4%と
最も多く、「『仕事』を優先したい」は 6.7%であるのに対し、現実は「『仕事』を優先
している」が 40.3%と最も多くなっており、希望と現実に大きな隔たりがあるという
結果となりました。
42
15
67
26 7
40
31 4
32
99
13 9
27
17
40 3
0%
10%
20%
22 5
30%
40%
50%
25
60%
19 6
70%
2747 30
80%
90%
29
100%
人
人
人
人
出所)愛知県「平成 26 年第 3 回県政世論調査」(名古屋市分)
長時間労働に代表される硬直化した労働習慣を見直し、一人ひとりのライフスタイル
にあった多様な働き方や効率的な働き方の実現は、人材の確保・育成、生産性の向上な
ど企業にとって効果的であるだけでなく、企業価値の向上にもつながるものと考えられ
ています。
しかしながら、愛知県が実施した企業向け実態調査によると、有給休暇の取得促進や
ノー残業デーの設定など、労働時間短縮に向けた取り組みを実施している企業の割合は
5 割程度で停滞しており、企業規模が小さいほど取り組みが実施されていない傾向が伺
えます。
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、労働時間短縮に向けた取り組みのほか、
子育て、介護、地域活動などの生活と仕事の両立が可能となる勤務形態や勤務制度の整
備・運用など、だれもがいきいきと働きつづけることができる環境づくりへの取り組み
を企業等に引き続き働きかけていく必要があります。
35
43
(%)
100
(従業員規模)
90
10~29人
30~49人
80
50~99人
70
(%)
100~299人
60
300~999人
1000人以上
50
全体
40
30
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
出所)「労働条件・労働福祉実態調査」(愛知県)
36
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