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事例7 将来展望を見据えベトナムへ進出、現地の事情に合った施策で

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事例7 将来展望を見据えベトナムへ進出、現地の事情に合った施策で
事例
7
将来展望を見据えベトナムへ進出、
現地の事情に合った施策で足場を固める
NAGAE VIETNAM
現地リーダーの育成とワーカーへの仕事の教え
している。このほか、インテリア向けの鋳造の仏
方。日本とは異なる発想で取り組まなければ、円
像やアクセサリーの飾り台などを「naft」
「銀雅堂」
滑な運営はできないが、日本国内で築き上げた良
のブランドで提供し、工芸品の分野でも注目を集
いやり方を取り入れる視点も必要だ。現地法人設
めている。
立から2年、奮闘を続けるナガエの幹部に中小企
需要拡大への対応と
人材確保が可能な地
業が海外展開する際に必要な考え方と人材育成の
勘どころを聞いた。
同社の持ち味は企画・デザインから設計・生産
多彩な製品群
にいたる全工程を自社で行えるところにある。複
数のプロセスをこなすことで付加価値を高めるこ
銅器の町として知られる富山県高岡の地で産声
とができるのである。ここが、いわゆる下請型の
を上げて 60 年。設計からダイカスト鋳造、加工、
中小企業とは一線を画する点である。
組立に至るモノづくりの全プロセスを担って、着
約 170 名の社員が在籍し、業績は過去に紆余曲
実に発展を続けてきたナガエ。ガスメーターの部
折はあったもののここ数年は年商 30 億円前後で堅
品
(筐体)といった工業製品からインタフォンのパ
調に推移している。90 年代半ばから開始した改善
ネル、物干し竿掛けといった建材製品など多彩な
活動も定着、社員の意識の高さには定評がある。
製品を手がける。ベランダで使用される物干し掛
モノづくり企業としての基盤は確立されている。
けは、アームを折りたためる収納方式などが普及
外観
企
業
概
要
会 社 名:NAGAE VIETNAM Ltd.
所 在 地:ベトナムドンナイ省 ロンドウック工業団
地内
設 立:2013 年
資 本 金:3億 5000 万円(700 億 VND)
従業員数:55 名、日本人スタッフ3名
事業内容:ダイカスト鋳造(亜鉛、アルミ)および機械
加工、溶剤焼付け塗装、組立までの一貫生
産。生産品目は工業部品 / 建材部品、医療
機器部品など
本 社:㈱ナガエ(富山県高岡市)
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Vol.61 No.7 工場管理
現地一体となれ!強い海外工場をつくるリーダー力
特集
長柄幸隆海外事業部部長(左)熊木信雄社長(中央)熊木恒実開発部部長(右)
こうした状況で同社が海外進出の方針を固めた
のは 2011 年頃のこと。その理由を熊木信雄社長は
つぎのように語る。
充実した生産設備で
一貫生産を実現
「少子化の流れの中で国内の人口が減少し、建材
工場はホーチミン市街地から東へ 40km に位置
製品など、現在の主力製品の国内市場が縮小して
し、高速道路で約 40 分の好立地にある。電気や水
いくことは避けられません。そうなれば消耗戦と
のようなインフラも整っており、工業団地に入居
ならざるを得ません。一方、ASEAN や中国にお
しているのは日系企業が多数を占める。敷地面積
ける需要はこれから拡大していくことが確実です。 は約1万 m2、建屋面積は約 5,000m2。そこに最新
そうした地で当社の特徴を活かした仕事を増やし
のダイカストマシン4台をはじめとして、マシニ
ていこうと考えたのです」
ングセンタなどの最新設備を日本から導入した。
ところで、海外に進出する中小企業の多くが、
研磨や塗装のラインも備え、ダイカスト鋳造から
先行して進出した親会社などの取引先についてい
機械加工、塗装、組立までの一貫生産を実現でき
き、仕事を確保しているのに対し、同社の場合は、 るのも前述の通り、同社の強みを活かすためだ。
まず現地法人を立ち上げてから営業を開始してい
こうして準備を整えた同社は、長柄幸隆海外事
る。ある意味大胆なやりかたのように見えるが、
業部部長を先頭に現地での営業にも注力した。さ
「当社は落下傘のようにベトナムの地に降り立った
っそく、日系企業から介護用具の部品を受注。
のですが、海外というのは実際に立ち上げてみな
「当初は現地の日系企業をターゲットにしていき
ければわからないことが多々あるもの」(熊木社
ます。同時に日本の本社を通じたアプローチも行
長)
という見立ての下、商社などの力を借りて日系
います。建材関係の製品は現地の取引先も開拓し
企業が数多く進出しているベトナム ドンナイ省の
ていく考えです」
(長柄部長)
と積極的に営業展開
ロンドウック工業団地に 2013 年3月、約 350 万ド
している。
ルを投じ、現地法人を設立し、2014 年5月に操業
その後も取引先は徐々に増えている状況だ。
を開始した。
当初、中国やタイへの進出も選択肢にあったが、
日本の本社工場でベトナム人の研修生を受け入れ
リーダー人材は日本で教育訓練
てきた経緯もあり、リーダークラスの人材確保も
では、生産の担い手である人材面はどう対処し
見込めることからベトナムを選択した。ASEAN
ているのだろうか。日本国内からは、工場長をは
の要所に位置するといった地理的な要素や気質と
じめ、3名の社員を駐在させている。
いった点も考慮した。
工場長には、工場管理者として能力を発揮して
もらうことを期待して派遣した。だが、思わぬ誤
算があった。
ベトナムで工場を運営するには公的機関に提出
工場管理 2015/05
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