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第三回 留学便り

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第三回 留学便り
第三回 留学便り
2011 年 7 月 8 日
欧米第二課程フランス語科
ODA 斑
片岡 敬子
留学先 Université de Nice Sophia Antipolice
学部
sociologie
留学期間 2010/09/01~2011/06/30
みなさん、お久しぶりです。お元気でしょうか。私は二週間ほど前に帰国し、現在は地
元でインターンの申し込みをしたり、自動車学校に通ったりしております。自動車学校と
就活の情報集め、TOEIC の勉強などで日々忙しくは過ごしていますが、やはり早く免許を
取って東京に住みたいなと思っているところです。さて、帰国して少し時間が経ってしま
いましたが、三回目の留学便りとして 10 カ月の留学を振り返ってみたいと思います。
まず授業面では、後期はこの4つの授業をとりました。
・Polituque sociale
・Anthropologie de l’eau
・économie sociale
・langue française
Polituque sociale はどのような思想や時代の潮流からどのような政策が取られたのかを
中心に学ぶ授業で、主に社会保障や移民政策について勉強しました。Anthropologie de l’eau
は水が人間の生活と深く結びついていることを学びました。特にアフリカなど水が貴重な
地域ほど、政治的な権力が水の所有権と深く結びおり、ある国では水の使用権担保にお金
の貸し借りをする仕組みもあり興味深かったです。この授業はプレゼンの課題があったの
で、私は近年注目されている日本の水インフラ輸出について発表しました。Économie
sociale では一般的な経済の原理や歴史について学びました。Langue française は有料の外
国人向けのフランス語講座で、日常的なフランス語から少しアカデミックなフランス語ま
で勉強できたので生活する上でとても役に立ちました。
勉強面で 10 カ月を振り返ると、常に授業に付いていくことが精一杯でした。社会学に興
味があって選択しましたが、あまり予備知識がなかったのでフランス語で社会学を勉強す
ることは想像以上に大変でした。実際、社会学部の中にあった経済学の授業は、自分の予
備知識を活かすことが出来たので一番簡単に感じられました。しかし、その他の授業も録
音したり、本を参考にしたり、友人にノートをかりたりと、自分なりに工夫して勉強でき
たと思います。日本での卒論の執筆などにもフランスでの学習で得た視点を活かしていき
たいです。また、フランス語力もまだまだ満足のいくものではないので、日本でも日々努
力を続けて行こうと思います。
生活面では、後期は前期に比べ友人も増え、街の楽しいスポットもわかるようになり、
より充実していたと思います。フランス人の友人、語学の講座で出会ったメキシコ・コロ
ンビア・モルドバ・アメリカなど様々な国籍の友人、フラットメイトの友人・・・など、
多くの出会いがありました。特に印象に残ったイベントは、フランス人と韓国人、中国人
の友人計 10 人で行った二泊三日のスノーボードです。みんなでアパートの一室を借り、昼
間はスノーボードをしたり、雪だるまを作ったりし、夜はスーパーで買った食材で料理を
作ったり、フランス版の人生ゲームのようなものをしたりしました。朝から晩まで友人た
ちとわいわい過ごせたのは、とても良い思い出になりました。フランス人の友人が冗談で
「それじゃあ、東アジアの領土問題について話し合って!」と言ったときは、韓国人と中
国人の友人が軽い言い争いになってしまい一瞬冷やっとしましたが……、彼らは領土問題
についてきちんと教育されていて、日本の教育とは差を感じました。
生活面で約 10 カ月の留学を振り返って、大変だったこと、楽しかったことなどたくさん
の出来事がありますが、私にとって一番大きな変化は今まで自分にとって世界の中心だっ
た日本がとても小さなものに見えるようになったことだと思います。以前、哲学を学ぶ友
人から、フランス人と日本人の哲学者が「日本人はモラルの囚人、フランス人はエゴの囚
人」とお互いを揶揄して議論していたと聞きました。私は哲学についてはよくわかりませ
んが、日本人もフランス人も自己のことは囚人とは思っていなくて、他者ばかりが囚人に
見えるとのことらしいです。実際、私も最初はフランス人がかなり特殊に感じられました。
たとえば、フランス人は自分の機嫌が悪いときにそれをそのまま表現する人が多い点が最
初はとても強烈でした。しかし、一年間フランスで暮らしてみて、フランス人はエゴを大
切にすることで自分により素直な生活をすることができているのではないかと考えるよう
になりました。私はフランスに少し居ただけであり、他の国に行けばまた違う異文化があ
るはずです。今回の留学の経験を活かして、今後も自分の基準に囚われない広い視野を持
つよう意識していきたいと思いました。
留学を終えて日本に帰ってきましたが、達成感というより、自分はまだまだという気持
ちの方が多くあります。留学で得たものを活かして、残りの学生生活をより充実させてい
きたいです。
カンヌ映画祭でのブラッド・ピットとアンジェリーナジョリー 筆者撮影 2011/05/17
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