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「デザインの活用によるイノベーション創出環境整備に向け

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「デザインの活用によるイノベーション創出環境整備に向け
平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備
デザインの活用による
イノベーション創出環境整備に向けた
デザイン業の実態調査研究
報告書
平成28年3月
目次
サマリー
p.4
Ⅱ章
事例調査(事例集)
p.123
i.
企業内で生じているデザイン上の変化
P.7
Ⅱ-1
海外概要
p.125
ii.
デザインを重視する企業の特徴
P.22
Ⅱ-2
国内事例
p.134
iii.
デザインが企業経営に及ぼす効果と
投資効果判断のメカニズム
P.32
デザイン投資拡大に向けた政策ニーズ
P.39
iv.
序章
調査実施要領
デザイナーの活用状況
p.44
Ⅰ-1
アンケート調査結果
p.45
Ⅰ‐1-1 単純集計結果
P.48
Ⅰ‐1-2 クロス集計結果
P.84
ヒアリング調査結果
p.110
デザインへの投資効果等
p.149
Ⅲ-1
デザインが企業経営に及ぼす影響と
デザイン投資効果判断のメカニズム
p.151
Ⅲ-2
企業内で生じているデザイン上の変化と
政策ニーズ
p.158
p.41
Ⅰ章
Ⅰ-2
Ⅲ章
Ⅳ章
デザイン業の実態
p.161
付属資料
p.195
付-1
統計データ集
p.196
付-2
アンケート調査票
p.209
1
アンケート調査実施概要・要領
(1)調査目的
産業界におけるデザイン活用の現状と課題(社内におけるデザイナーの現状、デザインの投資効果、
会社経営とデザインとの関係等)を把握・分析し、今後のデザイン政策の検討に向けた基礎資料と
する。
(2)実施要領
■調査方法:郵送配布・回収方式によるアンケート調査
■調査対象:新聞・文献等にて紹介されている企業、国内外のデザイン賞を受賞している企業、
意匠登録等に積極的である企業
600社
■回収件数:108件(回収率18.0 %)
■実施期間:平成27年11月9日~12月25日
【備考】調査対象抽出方法
下記条件等を踏まえて、総合的に調査対象企業を抽出した。なお、デザインを主業とする企業は極力対象外とした。
□デザイン経営への取組に関する新聞・雑誌検索において、記事が多く掲載されている企業
□海外のデザイン賞(IF賞、ReddotDesign賞)を受賞している企業
□国内のデザイン賞(グッドデザイン賞、キッズデザイン賞)を複数回受賞している企業
□意匠登録を数多く行っている企業
2
ヒアリング調査実施概要・要領
(1)調査目的
国内でデザインに注力している企業を対象に、社内デザイナーの現状、製品・サービス開発へのデ
ザイナーの関わり、デザインが経営に及ぼす影響、政策への要望等に関する意見を収集することを
目的とする。別途実施されたアンケート調査項目を深掘りする役割を担う。
(2)実施要領
■調査方法:対面方式によるヒアリング調査(対象者が要望する場合には電話聴取方式)
■調査対象:文献調査、アンケート調査等から精力的にデザイン活動に取り組む企業を抽出
■実施件数:20社
■実施期間:平成27年10月~28年2月
(3)調査項目
1.市場環境の変化と企業経営におけるデザインの位置づけ
2.デザイン部門の位置づけ・活動
3.デザイナーの業務と期待される能力
4.製品・サービス開発へのデザイナーの関わり
5.デザイナーの育成
6.デザイナーの評価・報奨
7.外部デザイナーの活用
8.デザインが経営に及ぼす影響
9.デザイン投資の効果評価
3
サマリー
4
サマリー
デザイン領域の広がり
 “ものづくり”(技術開発)から“ことづくり”(体験価値創造)へのパラダイムシフトや、製品が持つ世界観を重
視する顧客ニーズの高まり等の市場環境変化に伴い、企業のデザインを取り巻く環境も変化している。
 上記市場変化の中、事業運営や売上計上にデザインが貢献しているとする企業や、企業戦略等の中でデザインを
取り扱うも企業、技術投資と同等にデザイン投資の効率性を評価する企業も多くみられており、企業におけるデ
ザインの重要性は高まっていると言える。
 これに伴い、企業がデザインに期待する領域・役割は拡大傾向にある。その領域は、プロダクトデザインに加え、
サービス/ソリューションデザイン、UI/UXデザイン等にまで広がっている。またデザイン部門は、企画・開発
の一機能を担い、他部門・他職種との連携をとりながらイノベーションを促進するとともに、デザインマインド
を社内に浸透させる役割を担うようになっている。
 デザイナーの業務範囲も多様化・高度化している。UI/UXデザイン等を含む幅広い業務範囲・内容を手掛けつつ、
事業企画者としての企画力・課題解決能力、社内外の連携を円滑にするハブ役・ファシリテーター役、世の中の
流れを俯瞰し未来を想像する機能等を果たすことが求められている。
デザインの効果
 企業のデザインないしはデザイン部門を統括する立場の方々からのヒアリング調査結果からは、デザインが製
品・サービスのイノベーションに大きな影響を及ぼしているとの意見が多くみられた。とりわけ、ブランド力や
顧客満足度の向上、売上の増大に及ぼす影響が大きく、シェア拡大、製品・サービス開発力向上等への影響がこ
れに次いでいる。
5
サマリー
政策ニーズ
 デザイン領域が拡大し、デザイナー業務が多様化・高度化する状況において、新たな課題も発生している。①イ
ノベーション創出に向け、組織にデザインマインドを浸透させる必要性が高まっていること、②高度なデザイン
人材が不足しており、その育成が必要となっていること、③社内外を含めたデザイナーの最適配置とデザイン体
制の再構築等である。
 これらの課題に対して、企業からは、1)デザインの重要性に関する普及啓発(上記課題①に対応)、2)高度デ
ザイン人材の育成(同②に対応)等への政策ニーズが挙げられている。
6
i)企業内で生じているデザイン上の変化
7
i-1 デザインを取り巻く市場環境の変化
市場環境の変化により、デザインの領域・役割等が変化している
 ヒアリング調査では、市場環境の変化と、それがデザインに及ぼす影響として、下記等の意見がみられた。
①製品競争・価格競争だけでは企業の発展が望めない
⇒“ものづくり”から“ことづくり”へパラダイムシフトに向けデザインの役割が重要に
②顧客ニーズの変化(製品の機能から、製品が持つ世界観へ)への対応が必要
⇒デザイン領域が大きく拡大(サービスデザイン、ソリューションデザイン、UI/UXデザイン等)
③既存市場の成長鈍化に伴い、新規市場創出の必要性が増大
⇒新たな市場・顧客の開拓に向け、新たなビジョン・ビジネスを描くことが重要に
④経済社会が複雑化しており、真のニーズ・解決課題がわかりにくくなっている
⇒課題探索・発掘、コンセプト設計においてデザイナーの役割が期待されている
【ヒアリング調査における企業コメント】

顧客ニーズが多様化する昨今、購買動機が商品単品の機能や単なる色・形(モノ)から、商品が持つ世界観やストーリー、感性価値や体験
価値(コト)へと移行しており、デザインの領域もプロダクトデザインから、ユーザーインターフェース(UI)/ユーザーエクスペリエ
ンス(UX)デザイン等へと大きく拡大している。
8
i-2 企業におけるデザインの重要性の高まり ①事業とデザインの関係
デザインが事業運営や売上計上に貢献しているとの回答は8割超
 アンケート調査の結果、「デザインが事業そのものに直結しており、売上げと緊密な相関がある」、 「デザインが
事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している」、「デザインは事業の一要素
として、企業の総合力の一部として売上げに貢献している」との回答を合わせると8割を超える。
Q 事業とデザインの関係についての考えを教えてください(n=106)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
高
デザインが事業そのものに直結しており、売上げと緊密な相関がある
事
業
に
お
け
る
デ
ザ
イ
ン
の
貢
献
度
25.5%
デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している
17.0%
デザインは事業の一要素として、企業の総合力の一部として売上げに貢献している
41.5%
デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのはむしろ優れた技術だと思う
デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのは販売戦略等によるところが大きい
デザインの貢献は限定的で、売上げとはほとんど関係ない
10.4%
2.8%
1.9%
低
その他
0.9%
9
i-2 企業におけるデザインの重要性の高まり ②企業戦略とデザイン
企業戦略においてデザインに言及する企業は6割超
 企業経営戦略(中長期計画や行動指針等)の中でデザインが検討要素の一つとして扱われているかとの問いに対し
ては、「扱われている」との回答が6割超に達している。
Q 事業の中期計画や行動指針等の中でデザインについて触れているなど、
企業経営戦略で検討する要素の一つとして扱われていますか(n=105)
わからない
11.4%
扱われていない
27.6%
扱われている
61.0%
10
i-2 企業におけるデザインの重要性の高まり ③デザイン投資と技術投資
デザイン投資は技術投資と同等もしくはそれ以上に効率が高いとする企業は5割超
 デザインへの投資と技術への投資では、どちらの方が効率が高い投資行動かとの問いに対しては、「どちらも同じ
程度の効率」との回答が4割弱、「デザインへの投資の方が高効率」との回答も2割弱に達した。
Q 将来の事業収益を増加させるための無形財産への投資として、デザインへの投資と技術への投資を
比較した場合、どちらの方が効率が高い投資行動とお考えですか(n=101)
わからない
16.8%
どちらも同じ程度の効率
35.6%
デザインへの投資の方が高効率
18.8%
技術への投資の方が高効率
28.7%
11
i-2 企業におけるデザインの重要性の高まり ④デザイン費
過去及び今後の企業のデザイン費が増加基調にあるとの企業は、それぞれ4割程度
 過去5年間のデザイン費の推移については、「ほぼ同水準で推移した」が約1/3と最も多くなっているが、増加基
調との回答(「年によって上下しつつも、増加基調にある」、「年々着実に増加を続けてきた」の和)も4割超。
 今後の推移についても、最多の「ほぼ同水準で推移」との回答に拮抗し、「年々着実に増加する」との回答が4割弱
に達している。
Q 過去5年間にデザイン費はどのように推移しましたか(n=107)
0%
10%
20%
年々着実に増加を続けてきた
30%
40%
50%
18.7%
年によって上下しつつも、増加基調にある
24.3%
ほぼ同水準で推移した
35.5%
徐々に減少してきた
1.9%
年によって上下しつつも、減少基調にある
7.5%
わからない
12.1%
Q デザイン費の予算規模は今後どのように推移すると予想していますか(n=107)
0%
10%
20%
年々着実に増加する
見通しはない/わからない
40%
50%
37.4%
ほぼ同水準で推移
徐々に減少する
30%
44.9%
0.9%
16.8%
12
i-3 デザイン部門/デザイナーの役割・業務範囲が拡大 ①デザインの役割
企業がデザインに期待する役割は多様に
 経営においてデザインに期待する事項として、ブランドの構築、外観での付加価値の向上、オリジナリティの表
現等が多く挙げられているが、これらに続いて、品質や技術力の表現や、コンセプトの提案等の役割が期待され
るようになっている。
Q 経営において「デザイン」に期待されていることを教えてください(n=108)
0%
20%
40%
60%
80%
製品等のブランドを構築するためのツール
74.8%
企業ブランドを構築するためのツール
68.2%
外観での付加価値を高めるツール
63.6%
オリジナリティを表すためのツール
63.6%
高品質を表現するためのツール
59.8%
技術力を視覚的に表現するためのツール
50.5%
製品等の知名度を上げるためのツール
49.5%
コンセプトをつくり、その中で品質や機能をまとめるツール
45.8%
製品等の安全性を表現するためのツール
27.1%
円滑なコミュニケーションを実現させるツール
その他
特にない
20.6%
3.7%
1.9%
13
i-3 デザイン部門/デザイナーの役割・業務範囲が拡大 ②デザイン部門の役割
デザイン部門には、社内からの理解と連携を得て、企画・開発の一機能を担うとともに、
デザインマインドを社内に浸透する役割が期待されている
 デザインに期待される役割の拡大に伴い、社内のデザイン部門にも下記等の変化がみられている。
①デザイン部門の位置づけは経営課題に応じて変遷するが、
現在は、企画・開発機能(本社機能)に位置づけられる傾向あり
②他部門、他職種との連携・コミュニケーションをとりながら、
イノベーションを促進する役割が求められる
③デザインマインドを社内に浸透させる役割も担う
(デザインに対する社内の理解不足が有効な活動の支障となるため、経営者・社内からの理解獲得が重要)
【ヒアリング調査における企業コメント】

歴史的にはデザイン部門は本社のコストセンターとして発足したが、90年代にプロフィットセンターとなるべく分社化され、各事業部門に
近いポジションに配置された。近年再び本社コストセンターとして統合された背景には、新たな戦略事業にデザインが有効であること、全社
及び複数事業分野にまたがるテーマのデザインが重要となったこと等がある。
14
i-3 デザイン部門/デザイナーの役割・業務範囲が拡大 ③デザイナーの業務範囲
デザイナーの業務範囲は幅広くなっている
 デザイナーの主要業務としては、アイデア出し、コンセプトメイキング、スケッチ、商品パッケージ、スタイリ
ング、モデリング、3Dデータ作成等が挙げられる。
 一方、近年デザイン・シンキング等でその重要性が指摘されている、マーケティングリサーチや課題/ユーザー
設定、ブランド戦略構築等もこれに続く。
Q デザイナーは、製品等の開発プロセスにおいてどのような業務範囲に関与していますか(n=90)
0%
アイデア出し
コンセプトメイキング
スケッチ/レンダリング
商品パッケージ
スタイリング
モデリング
3Dデータ作成
製品ブランド戦略
プロトタイピング
パンフレット作成
課題設定/ユーザー設定
マーケティングリサーチ
製品等のディスプレイ
企業ブランド戦略
販売戦略
知的財産権の先行調査
広告戦略
製品等のHP作成
関係部局間の調整
知財戦略
トータルプロデュース
その他
20%
40%
60%
80%
100%
83.3%
77.8%
75.6%
64.4%
61.1%
60.0%
58.9%
56.7%
51.1%
51.1%
50.0%
45.6%
45.6%
41.1%
33.3%
30.0%
30.0%
28.9%
27.8%
24.4%
22.2%
5.6%
15
i-4 デザイナーに求められる能力の多様化・高度化
デザイナーに求められる能力は多様化・高度化している
 デザイナーが幅広い業務範囲・業務内容を手掛けるようになるに伴い、デザイナーに期待される能力も多様化・
高度化している。ヒアリング調査から、その方向性を以下に示す。
①幅広い業務範囲・業務内容を手掛けるようになっている
(プロダクト、サービス、ソリューション、UI/UXデザイン等)
②事業企画者として、企画力・社会課題解決力等をベースとした、
トップダウン的な思考に基づくデザイン活動も必要とされている
③社内外のハブ役・ファシリテーター役となることが望まれている
④世の中の流れを俯瞰し、未来を想像する機能が期待されている
【ヒアリング調査における企業コメント】

デザイナーの持つ思考の展開力やアイデア発想、ビジュアル化等の能力を活かして、新事業・新製品の企画立案や、製品等の高付加価値化に
寄与することへの期待が高まっており、求められる能力は高度・多角的・複合的になっている。

未来を想像できるというのがデザイナーの職能である。デザイナーには世の中の流れを俯瞰的にみて、どのように価値観やニーズが移行する
かを考え、ビジュアルをもって示すという役割を期待している。
16
i-5 新たな課題 ①組織へのデザインマインドの浸透
デザインをイノベーションにつなげる環境整備として、
組織へのデザインマインドの浸透が必要となっている
 デザイン思考を「取り入れている」、「試行的に取り入れているが浸透はしていない」を合わせると、約6割の企業
がデザイン思考の導入に取り組んでいる。
 デザイン思考導入に際しては、人材、予算の不足が課題となっており、社内関係者の理解が必要となる。
Q デザイン思考に基づいた「手法」を実践したり、
導入を検討したりしていますか(n=107)
Q デザイン思考を取り入れる際の課題と考えられることは
何ですか(n=101)
0%
わからない
15.7%
10%
20%
30%
社内におけるファシリテーション等、
全体をとりまとめるプロデューサー人材がいない
25.7%
デザインに投資するための予算が確保されていない
取り入れている
40.7%
23.8%
デザイン思考の取組をするだけの予算的な余裕がない
21.8%
密なコミュニケーションを取る時間が確保できない
18.8%
社内で部署横断的な枠組みで議論することに困難が伴う
取り入れてない
24.1%
新たな提案に対する事業化の成否を
判断できる投資家或いは経営層が不足している
デザイン思考の取組をしても技術等の要素が優先され、
製品等開発に活用される見込みがない
経営者がデザインを理解・判断することをしない
試行的に取り入
れているが浸透
はしていない
19.4%
その他
特にない
16.8%
14.9%
7.9%
5.9%
8.9%
26.7%
【定義】デザイン思考
「デザイン思考」の定義は諸説あるが、本アンケートにおいては、想定ユーザーの所作等の詳細な観察から潜在的ニーズを発掘し、複数領域の専門家がグ
ループワークを通してのブレインストーミング等によりアイディアを拡散・収斂させ、ラピッドプロトタイピング等の手法でイメージを可視化・具現化し
つつ試作を繰り返し、製品開発や事業構想等を創造的に行うフレームワークあるいは開発手法を指すものと解する。
17
i-5 新たな課題 ②高度デザイン人材の育成
デザイン機能の拡大に伴い、高度なデザイン人材が不足し、その育成が課題に
 デザイナーの果たす役割・機能が多様化・高度化するにつれ、高度な能力を有する人材が不足しており、その確
保・育成が必要とされている。ヒアリング調査結果から、その方向性を以下に示す。
①エース人材が不足
(戦略設計、プロデュース、コーディネート等の能力を備え、イノベーション創出の核となる人材)
②UI/UXデザイン能力向上が課題
③製造・サービス等の現場にまで精通したデザイナー(クリエイティブ営業機能)が重要
(特に中小・中堅企業)
【ヒアリング調査における企業コメント】

育成面での課題は中堅人材(35歳前後~)の能力向上である。35歳くらいから40歳台は、脂が乗ったエース世代となってもらいたい。その
ためには、ビジネスに対する理解、デザインによる課題解決に向けた提案能力、ビジネスコミュニケーション能力、プロジェクトマネジメン
ト能力等を身につけて、デザイナーからアートディレクターへとステップアップしていかなければならない。エース人材の育成・活性化は、
若い世代にキャリアパスイメージを与えることにもつながる。
18
i-5 新たな課題 ③社内外デザイナーの最適配置
斬新な発想、高度な技術等を求めて外部デザイナーを活用する企業が多い
 外部デザイナーの活用している企業は8割超に達する。
 外部デザイナーには、斬新な発想や高度・専門的な技術を求める傾向がみられる。また、社内デザイナーが多忙
との回答も多い。
Q 外部デザイナーを活用していますか(n=107)
していない
16.8%
以前はしていたが
現在はしていない
0.0%
常時している
29.9%
Q 外部デザイナーに委託しているのは
どのような理由からですか(n=86)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
社内デザイナーにはない斬新な発想のデザインが必要になった
社内デザイナーの業務量が多すぎる
40.7%
高度で専門的な技術的知見が必要となる
40.7%
29.1%
新事業展開に向けて、当該市場の専門的知見が必要だった
デザイナーを社内で雇用するほど常にデザイン業務がない
外部委託の方がコストがかからない
その他
70%
64.0%
社内デザイナーに刺激を与えてほしい
必要な場合に限ってしている
53.3%
60%
23.3%
16.3%
12.8%
11.6%
19
i-5 新たな課題 ③社内外デザイナーの最適配置
社内外のデザイナーを含めた最適配置・最適役割分担が重要
 外部資源も含めたデザイン推進体制の最適化が模索されている。
①外部デザイナー活用の目的は、業界トップレベルの発想、高度なスキルの獲得、
コスト削減、社内のしがらみの打破等、多様である
②社内外のデザイナーの最適配置、最適分担等が重要となっている
デザイン責任者は社内外のデザイナーのハブとなる役割も担う
【ヒアリング調査における企業コメント】

社内デザイナーですべての業務を行っているわけではなく、常時外部リソースを活用しながらデザイン活動を進めている。各分野で強みを
持つデザインパートナー会社と協力しながら一つの仕事を完遂しており、その際のハブ的な役割をデザイン部門が担っている。
20
i-6 まとめ
 上記までにみてきた、企業内で生じているデザイン上の変化の構造を図示した。
企業内で起こっているデザイン上の変化の構造図
市場環境の変化によりデザインの重要性が高まる
“ものづくり”から“ことづくり”へのパラダイムシフト
新市場開拓に向け、新ビジョン・ビジネスモデルを描く機能が重要に
“機能からスタイルへ”という顧客ニーズに合わせ、デザイン領域が拡大
経済社会が複雑化する中、真のニーズ・課題の探索・発掘機能が重要に
社内でのデザインに期待される役割、デザイナーが手掛ける業務範囲が拡大
企業は、製品の外観のみならず価値(技術力・品質・安全性)を表現するデザイン、製品のみならず企業のブランド化を図るデザインを求める
デザイナーの業務範囲は、「色・モノ・カタチ」のデザインから、ブランド戦略策定、事業企画、関係部局間のファシリテート等にまで拡大
デザイナーに求められる能力の多様化・高度化
新たに、イノベーション推進の中核となるための能力、ユーザーに経験・価値を提供するための能力、クリエイティブ営業機能を担う能力等が
求められている
新たな課題①
デザインをイノベーションにつなげる環境づくり
組織へのデザインマインドの浸透
企業戦略にどのようにデザインを位置づけるか、
事業にいかにデザインを取り入れるか等
政策ニーズ:
デザインマインドの普及啓発
新たな課題②
高度人材不足の解消
高度デザイン人材の育成
プロデュース・コーディネート人材、UI/UX人材、
クリエイティブ営業人材等
新たな課題③
社内デザイナー業務量増への対応
社内外デザイナーの最適配置
社内外デザイナーの最適な協業・連携体制の
設計等
政策ニーズ:
高度人材育成
21
ii)デザインを重視する企業の特徴
22
ii-1 事業におけるデザインの貢献度が高い企業の特徴 ①企業属性
製造業以外、新たな企業等において、事業におけるデザインの貢献度が高い企業が多い
 アンケート設問「事業とデザインとの関係」への回答状況から、回答企業ごとに事業におけるデザインの貢献度を
下記【定義】の要領で設定。企業属性とのクロス集計を実施した。
 事業におけるデザインの貢献度が高い企業は、全体と比較して、業種別には製造業以外、創業年別には比較的新
しい企業において多い傾向がみられる。
事業におけるデザインの貢献度別、
業種構成
0%
20%
全体
貢献 大
40%
63.8%
57.8%
貢献 中
貢献 なし
80%
36.2%
製造業
14.3%
50.0%
その他(製造業以外)
0%
全体
貢献 大
37.2%
85.7%
50.0%
100%
42.2%
62.8%
貢献 小
60%
事業におけるデザインの貢献度別、
創業年構成
貢献 中
20%
40%
44.2%
37.8%
60%
33.7%
貢献 なし
1949年以前
50.0%
31.1%
37.2%
61.5%
100%
22.1%
31.1%
44.2%
貢献 小
80%
18.6%
38.5%
0.0%
1950年~1989年
0.0%
50.0%
1990年以降
【定義】事業におけるデザインの貢献度が高い企業
アンケート設問「事業とデザインの関係についての考えを教えてください」への回答内容から、企業を以下の4つのグループに分類した。
①(デザインが事業・売上げに)「貢献 大」(「デザインが事業そのものに直結しており、売上げと緊密な相関がある」との回答)
②「貢献 中」(「デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している」、「デザインは事業の一要素として、企業の総
合力の一部として売上げに貢献している」との回答の和)
③「貢献 小」(「デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのはむしろ優れた技術だと思う」、「デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているの
は販売戦略等によるところが大きい」との回答の和)
④「貢献なし」(「デザインの貢献は限定的で、売上げとはほとんど関係ない」との回答)
【備考】業種の「製造業以外」
製造業と回答した企業以外を指す。回答企業数としては、「卸売業・小売業」、「建設業」、「不動産業」、「専門サービス業」等が多い。
23
ii-1 事業におけるデザインの貢献度が高い企業の特徴 ②経営へのデザイン導入
事業におけるデザインの貢献度が高い企業では、経営へのデザイン導入が進んでいる
 事業におけるデザインの貢献度が高い企業では、企業戦略の中でデザインが扱われていたり、デザイン思考を導
入していたりする企業が多くなっている。
事業におけるデザインの貢献度別
企業戦略等でのデザインの取り扱いの有無
0%
20%
40%
全体
80%
61.2%
貢献 大
28.2%
73.3%
貢献 中
15.6%
58.5%
貢献 小
貢献 なし
60%
31.7%
42.9%
0.0%
42.9%
100.0%
0%
100%
10.7%
全体
11.1%
貢献 大
9.8%
貢献 中
14.3%
0.0%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
事業におけるデザインの貢献度別
デザイン思考の導入状況
貢献 小
貢献 なし
20%
41.5%
40%
60%
23.6%
46.7%
40.9%
28.6%
17.8%
22.7%
35.7%
50.0%
80%
100%
19.8%
17.8%
15.1%
17.8%
22.7%
13.6%
21.4%
14.3%
50.0%
0.0%
デザイン思考を・・・
扱われていない
わからない
取り入れている
取り入れてない
試行的に取り入れているが浸透はしていない
わからない
24
ii-2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ③経営陣の理解等
企業戦略でデザインを重視している企業では、
デザインに関する経営陣・社内の理解が得られている傾向あり
 企業戦略でデザインを取り扱っている企業(以下、「企業戦略でデザインを重視している企業」)においては、デ
ザイナー出身あるいはデザイン関連キャリアを有する経営陣が存在する比率が高い、デザイン部として独立した
部署を有している比率が高い等の傾向がうかがえる。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
デザイン関連キャリアを有する経営陣の有無
0%
20%
40%
60%
80%
企業戦略でデザインが・・・
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
デザイナーが配属されている部署
100%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
企業戦略でデザインが・・・
1.6%
扱われている
扱われていない
69.1%
26.9%
30.9%
73.1%
デザイン関連のキャリアを持つ役員がいる
扱われている
扱われていない
いない
30.2%
25.0%
9.5%
3.6%
17.5%
28.6%
7.9% 4.8%
10.7%
15.9%
17.9%
12.7%
14.3%
デザイン部としての独立した部署
社長直下の組織或いは総務部の関係部署
研究開発部の関係部署
技術部の関係部署
広告・宣伝部の関係部署
マーケティング部の関係部署
デザインの独立事業所(デザインセンター等)
その他
すべて外部委託で社内にデザイナーはいない
25
ii-2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ④デザインの役割
企業戦略でデザインを重視している企業では、デザインへの期待が幅広い分野に及ぶ
 企業戦略でデザインを重視している企業では、下記等の特徴がみられる。
 外観デザインのみならず、技術力、品質等を表現するツールとしてデザインに期待している。
 製品ブランドのみならず、企業全体のブランドを構築する機能をデザインに期待している。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、デザインに期待していること
0%
20%
40%
60%
80%
77.8%
企業ブランドを構築するためのツール
51.7%
77.8%
79.3%
製品等のブランドを構築するためのツール
71.4%
高品質を表現するためのツール
44.8%
68.3%
62.1%
外観での付加価値を高めるツール
66.7%
65.5%
オリジナリティを表すためのツール
60.3%
技術力を視覚的に表現するためのツール
34.5%
57.1%
製品等の知名度を上げるためのツール
48.3%
49.2%
44.8%
コンセプトをつくり、その中で品質や機能をまとめるツール
33.3%
27.6%
製品等の安全性を表現するためのツール
23.8%
17.2%
円滑なコミュニケーションを実現させるツール
その他
特にない
企業戦略でデザインが・・・
100%
4.8%
3.4%
0.0%
3.4%
扱われている
扱われていない
26
ii-2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑤デザイナーの業務範囲
企業戦略でデザインを重視している企業では、デザイナーの業務範囲が広い
 企業戦略でデザインを重視している企業では、下記の特徴がみられる。
 販売戦略、広告戦略、製品ブランド戦略等の戦略立案に関与している。
 製品ディスプレイ、パンフレットなどのコミュニケーションデザインを手掛けている。
 トータルプロデュースを手掛けている。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、デザイナーの業務範囲
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
アイデア出し
コンセプトメイキング
76.9%
76.4%
76.9%
スケッチ/レンダリング
50.0%
34.6%
スタイリング
56.4%
プロトタイピング
56.4%
50.0%
54.5%
3Dデータ作成
52.7%
課題設定/ユーザー設定
マーケティングリサーチ
46.2%
製品等のディスプレイ
企業ブランド戦略
23.1%
製品等のHP作成
23.1%
トータルプロデュース
65.4%
57.7%
50.9%
45.5%
38.2%
11.5%
知的財産権の先行調査
11.5%
36.4%
32.7%
29.1%
29.1%
26.9%
25.5%
26.9%
関係部局間の調整
知財戦略
その他
38.5%
38.2%
23.1%
広告戦略
73.1%
50.9%
30.8%
販売戦略
87.3%
84.6%
81.8%
60.0%
61.5%
58.2%
モデリング
パンフレット作成
100%
63.6%
65.4%
61.8%
商品パッケージ
製品ブランド戦略
90%
3.6%
3.8%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
扱われていない
27
ii-2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑥デザイン投資の費用対効果算定
企業戦略でデザインを重視している企業では、
デザイン投資の費用対効果算定への取組が進んでいる傾向あり
 企業戦略でデザインを重視している企業では、デザインの費用対効果の把握に取り組んでいる(「できるかぎり定
量的に把握している」及び「定性的な把握にとどまっている」)との回答比率が高くなっている。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、デザイン投資に対する費用対効果の算定状況
0%
20%
40%
60%
80%
100%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
扱われていない
18.8%
28.1%
13.8%
43.8%
79.3%
できるかぎり定量的に把握している
定性的な把握にとどまっている
していない
わからない
9.4%
6.9%
28
ii-2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑦デザイン費
企業戦略でデザインを重視している企業では、デザイン費が増加基調の傾向あり
 企業戦略でデザインを重視している企業においては、過去5年間のデザイン費の推移、今後のデザイン費の推移
予想ともに、「増加」との回答が多い傾向が見られる。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
過去5年間のデザイン費の推移
0%
20%
40%
60%
80%
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
今後のデザイン費の推移予想
100%
企業戦略で
デザインが・・・
20%
40%
60%
80%
企業戦略で
デザインが・・・
扱われている
扱われていない
0%
55.6%
24.1%
増加
30.2%
51.7%
横ばい
減少
6.3% 7.9%
13.8%
わからない
10.3%
扱われている
扱われていない
年々着実に増加する
100%
1.6%
43.8%
32.1%
ほぼ同水準で推移
43.8%
50.0%
徐々に減少する
10.9%
17.9%
見通しはない/わからない
29
ii-2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑧売上高
企業戦略でデザインを重視している企業で、売上高が増加しているとの状況はみられない
 一方で、企業戦略でデザインを重視している企業においては、売上高が増大しているという相関関係は認められ
なかった。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、 過去5年間の売上高の推移
0%
20%
40%
60%
80%
100%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
76.7%
扱われていない
71.4%
増加
横ばい
減少
13.3%
10.7%
10.0%
3.6%
14.3%
わからない
【備考】デザインへの投資・取組と売上高への影響
デザイン費が増加している企業、事業へのデザインの貢献度が高い企業、デザイン思考を導入している企業等とのクロス集計においても、売上高増加との
関係はみられなかった。この要因としては、アンケート調査自由回答及びヒアリング調査でみられた下記意見等が影響していると推察される。
①売上高にはデザイン以外にも多様な要素が影響する、
②売上高とデザイン費では規模が違いすぎて比較が難しい、
③デザインの効果は金額に直結しない要素も多い等
30
ii-3 まとめ
 上記までにみてきた、デザインを重視する企業の特徴についてまとめた。
①製造業以外(卸・小売業、建設業、不動産業、サービス業等)や創業が比較的新しい企業等では、
事業におけるデザインの貢献度が高い企業が多い。
②事業におけるデザインの貢献度が高い企業の中には、デザインを経営に導入している企業が多い。
(例:企業戦略においてデザインを取り扱う、デザイン思考を導入する等)
③企業戦略でデザインを重視している企業には、そうでない企業と比較して、下記の特徴がみられる。
 経営トップの理解が得られている
 デザイン部門の社内的地位が高い
 デザイン部門に期待される役割が幅広い
 デザイナーが手掛ける業務が幅広い
 デザイン投資の費用対効果算定への取組が進む
 デザイン費が増加傾向(一方で、売上高増加傾向はみられず)
31
iii)デザインが企業経営に及ぼす効果と
投資効果判断のメカニズム
32
iii-1 デザインが企業経営に及ぼす影響 ①製品・サービスのイノベーション
デザインが、製品・サービスのイノベーションに大きな影響を及ぼしている
との回答企業は9割超
 ヒアリング対象企業に対し、デザインは製品・サービスのイノベーションにどの程度影響している
かをたずねたところ、「非常に大きい」及び「大きい」との回答が9割超に達した。
製品・サービスのイノベーションに、デザインが及ぼす影響(n=18)
あまり大きくない
5.6%
全く大きくない
0.0%
大きい
33.3%
非常に大きい
61.1%
33
iii-1 デザインが企業経営に及ぼす影響 ②-1 デザインの効果
ブランド力向上、売上増大、下請け脱却等の効果創出にデザインが寄与
 ヒアリング調査では、デザインが企業経営に及ぼす影響として、下記等の効果が挙げられている。
①ブランド力・顧客満足度の向上
②売上の増大
③自社製品の開発による下請けからの脱却(特に中小・中堅企業)
【ヒアリング調査における企業コメント】

デザインが経営に及ぼす効果としては、売上台数・金額・シェア等の増大への貢献や、ブランド価値向上、顧客満足度向上、知財
獲得等が挙げられる。

最も大きかった変化は、請負型事業(下請けビジネス)から提案型事業(お客様のパートナー)への転換である。従来は請負型で、
価格決定権はなく、完成品が何の「部品」に使われるかもわからず、取引先との交渉も値引きについてしかなかった。当社にブラ
ンディングできる技術と感性があるとお客様に認めてもらうことにより、パートナーとして企画段階からともに議論し、新たな価
値を有する製品を次々と開発するサイクルが確立できた。
34
iii-1 デザインが企業経営に及ぼす影響 ②-2 デザインの効果
デザインはブランド向上、売上増のほか、開発力の向上、シェア拡大等にも貢献
 ヒアリング対象企業に対し、デザインが企業経営に及ぼす効果項目ごとに、デザイン活動が及ぼした影響度合い
を5段階評価でたずねたところ、知名度・ブランド向上、売上増大に加え、開発力の向上、シェア拡大、デザイ
ナー雇用創出等にも好影響を及ぼしているとの結果が得られた。
分野・項目別、デザインが及ぼす影響(n=18)
0%
10%
20%
30%
知名度・ブランド力の向上
製品・サービス品質の向上
28%
リードタイム短縮
13%
コスト削減
12%
90%
29%
28%
28%
39%
38%
総合評価
6%
56%
41%
38%
0%
0%
21%
35%
35%
25%
影響は大きい
11%
28%
29%
29%
6% 0%
28%
22%
43%
利益増大・投資余力増大
13%
33%
50%
売上増大
6%
19%
61%
シェア拡大
0%
53%
13%
新市場開拓
11%
39%
12%
28%
6%
22%
28%
19%
高価格設定
13%
35%
39%
デザイナー雇用の創出
11%
38%
18%
社員の意識変化
0%
29%
44%
19%
29%
100%
11%
17%
33%
キャリアパス・人材育成プログラム等への影響
影響は非常に大きい
80%
12%
19%
経営理念の再構築・社内浸透
営業費用逓減
70%
28%
56%
新素材・技術の導入
組織内コミュニケーションの活性化
経済効果への
影響項目
60%
59%
有能人材の獲得
組織活性化への
影響項目
50%
72%
製品・サービス開発力の向上
事業活動への
影響項目
40%
24%
12%
12%
0%
12%
31%
6%
56%
影響はある
影響はあまりない
影響はほとんど/全くない
【備考】デザインへの取組と売上との関係
アンケート調査で、デザインへの取組状況と企業の売上高(マクロの金額の推移)との間には明確な関係がみられないとの結果が出ている(p.30)。一方、
ここではヒアリング調査にて、デザインが売上増加に及ぼす影響(ミクロの貢献度)について聞いたところ、影響が大きいとの回答が得られている。両者
の差異に留意されたい。
35
iii-2 デザイン投資効果判断のメカニズム(仮説) ①投資判断の実施状況、評価軸
デザイン投資の費用対効果算定に取り組む企業は1/3程度
評価指標は、顧客満足度/ブランド向上及び売上への貢献度が中心
 デザイン投資の費用対効果を算定する試みをしているとの回答は、定量・定性把握合わせて約1/3に及ぶ。
 効果測定・評価に用いる評価軸としては、顧客満足度・ブランド向上関連(ユーザー評価、顧客評価、ブランドイ
メージ調査結果等)、売上・受注関連(売上伸長率、受注率等)が多くなっている。
Q デザインへの投資に対する費用対効果を
算定する試みをしていますか(n=108)
わからない
9.3%
Q どのような評価軸で効果測定・
評価をしていますか(自由記述、抜粋)
できるかぎり定量的に把握している
12.0%
定性的な把握にとどまっている
24.1%
していない
54.6%
36
iii-2 デザイン投資効果判断のメカニズム(仮説) ②投資判断の実施方法
デザイン投資の効果評価は、ブランド向上、売上増への貢献度等を指標として、
定性的・総合的に判断されていることが多い
 ヒアリング調査では、デザイン投資効果の評価・判断の現状につき、下記等の意見が得られた。
①効果評価未実施の企業も少なくない(金額ベースの費用対効果評価はほとんど行われていない)
②効果評価の指標は、1)顧客満足度/ブランド向上、2)売上への貢献度
③次年度のデザイン投資額は、デザイン部門の活動成果を定性的・総合的に判断して
決定されることが多い(将来的には定量化の可能性も)
【ヒアリング調査における企業コメント】

事業部や製品等の単位で、デザインが売上台数・金額・シェア等の増大に貢献した効果や、ブランド価値向上、顧客満足度向上、
知財獲得等にもたらした効果と、デザインに要した費用を天秤にかけ、デザインの費用対効果を定性的に判断することは行われて
いる。

デザインの主目的は新製品開発にあるため、デザインがうまくいっているかを判断するKPIとしては、「過去3年間に開発した新製
品が、売上の30%に達しているか」という指標を重視している。この指標が着実に向上しているならば、現在のデザイナー人件費
比率を高めるという経営判断はあり得る。
37
iii-3 まとめ
 上記で得られた情報を基に、デザインが企業経営に及ぼす効果と、デザイン投資の効果判断のメカニズムについ
て、図示した。
デザインが企業経営に及ぼす効果とデザイン投資効果判断のメカニズム
デザインが企業経営に及ぼす効果
デザイン投資
人員
予算
製品・サービスの
イノベーション
デザインが事業活動、組織活性化、経済効果に及ぼす効果
知名度・ブランド力向上
デザインを活用した
製品・サービスの
イノベーション
の創出
主要効果
売上増大
シェア拡大
製品・サービス開発力向上
デザイナー雇用の創出
※上記には、「分野・項目別、デザインが及ぼす影響」
(p.35)において、「影響は非常に大きい」、「影響は大きい」
との回答比率が7割を超えた項目を記載。
再
投
資
デザイン投資効果判断のメカニズム
デザイン投資効果判断
• デザイン投資と主要効果を比較考証
• デザイン投資の有効性は定性的・総
合的に判断されることが多い
• 判断者の考え等に左右されることも
少なくない
38
iv)デザイン投資拡大に向けた政策ニーズ
39
iv-1 デザイン投資拡大に向けた政策ニーズ
普及啓発、人材育成に関する政策ニーズがみられる
 アンケート調査、ヒアリング調査からは、以下の政策に対する要望が多くみられた。
①デザインの重要性に関する普及啓発
 経営層、一般社員、学生等に対し、デザイン思考導入・デザインマインド浸透の重要性を普及啓発する活動。
 デザインに対する社会や消費者・生活者の意識を高める活動の充実は、必然的に彼らを顧客とする企業のデザイ
ン活動の活性化に結びつくと期待されている。
②高度デザイン人材の育成
 高度な能力を有するデザイン人材が不足しており、特に下記の人材の育成が求められている。
 エース層:戦略設計、プロデュース、コーディネート等の能力を備え、イノベーション創出の核となるデザイン人材
 UI/UX人材:ユーザーに経験・価値を提供する能力を持つデザイン人材
【アンケート調査における企業コメント】

国全体でデザインに力を入れるという発信に期待する。日本の国民・企業がデザインで日本は強くなるというイメージ・機運を醸
成してほしい。

ユーザー視点、テクノロジー視点、ビジネス視点の3つを兼ね備えた人材は稀有・貴重であり、このような人材を育成していくこと
が課題である。
40
序章 調査実施要領
41
調査目的
産業競争力強化に向け、企業経営にデザインを活用することの重要性は従来から指摘されているところ、近年一部企
業においてデザインを活用したイノベーションの成功事例が創出されるなど、デザインに投資することが重要である
との認識は産業界において一定程度浸透しつつある。
一方、個別の成功事例は散見されるものの、デザインに対する投資とイノベーション誘発の因果関係は必ずしも客観
的に確立されていない。また、経営層がデザインへの投資を決定するに足る十分なデザイン関連の基盤情報が整備さ
れていないことが、デザインの重要性は理解しつつも具体的な意思決定には至らない等、経営層によるデザイン投資
の波及に向けた障害となっている。
また、近年のIT技術の進展に伴い、モノとインターネットの事業領域が融合しつつある昨今の外部経済環境の下、例
えばIoT等のコンセプトの事業への活用など、新たなビジネスモデルを構築する上で、単なるモノの「色、形」に
とどまらず、ユーザーエクスペリエンスやシステムやサービスなどを含む広く「課題解決」を目的とする本来のデザ
インの概念・考え方の企業活動への浸透がますます重要になる。
しかし、我が国におけるデザインを取りまく環境として、フリーランスデザイナーに比してインハウスデザイナー
(企業に所属するデザイナー)が占める割合が多く、企業内でのデザインの投資の実態やインハウスデザイナーの活
用状況を把握することは困難な実態がある。このことを踏まえ、定量的データから企業経営におけるデザインの活用
の在り方について示すため、第一義としてデザインに係る業界の実態を把握する必要がある。
上記の問題意識の下、本委託調査においては、企業におけるイノベーション創出に向けたツールとしてのデザイン及
びデザイナーの更なる活用に向けた環境整備を行う観点から、デザイン分野における業況調査、産業界におけるデザ
インの活用に向けた具体的な課題の抽出、デザイン投資に対する経済効果等を調査することとする。
調査で得られた結果については、広く周知・普及を行うと共に、今後のデザイン政策の検討や今後のクールジャパン
政策の推進に資する基礎資料として活用する。
42
調査項目
(1)デザイン業の実態調査(⇒第Ⅰ章)
公開されている各種統計データ、デザインに関する国内外の文献を収集・調査し、デザイン業・デザイナーを取りま
く現状について分析する。
(2)デザイナーの活用状況の調査(⇒第Ⅱ章)
我が国におけるインハウスデザイナー/フリーランスデザイナーの適切なバランスのあり方や、インハウスデザイ
ナーの企業内の報償制度の整備状況、企業がフリーランスデザイナーを活用する場合のデザイン契約の形式、デザイ
ン活用の成功要因等の把握・分析した。
①アンケート調査
日本国内でデザインに注力する企業を対象として、アンケート調査を実施した(有効回答数108件)。
②ヒアリング調査
日本国内でデザインに注力する企業を対象として、原則対面型のヒアリング調査を実施した(20社)。
(3)デザインへの投資効果等に係る調査(⇒第Ⅲ章)
企業経営におけるデザインの位置づけ、企業においてデザイナーに期待される役割等を踏まえた上で、デザインへの
投資がもたらす経済効果について考察した。
43
Ⅰ章 デザイナーの活用状況
44
Ⅰ-1 アンケート調査結果
45
調査概要
(1)調査目的
産業界におけるデザイン活用の現状と課題(社内におけるデザイナーの現状、デザインの投資効果、
会社経営とデザインとの関係等)を把握・分析し、今後のデザイン政策の検討に向けた基礎資料と
する。
(2)実施要領
■調査方法:郵送配布・回収方式によるアンケート調査
■調査対象:新聞・文献等にて紹介されている企業、国内外のデザイン賞を受賞している企業、
意匠登録等に積極的である企業
600社
■回収件数:108件(回収率18.0 %)
■実施期間:平成27年11月9日~12月25日
【備考】調査対象抽出方法
下記条件等を踏まえて、総合的に調査対象企業を抽出した。なお、デザインを主業とする企業は極力対象外とした。
□デザイン経営への取組に関する新聞・雑誌検索において、記事が多く掲載されている企業
□海外のデザイン賞(IF賞、ReddotDesign賞)を受賞している企業
□国内のデザイン賞(グッドデザイン賞、キッズデザイン賞)を複数回受賞している企業
□意匠登録を数多く行っている企業
46
(3)質問項目
Ⅰ.企業概要(企業名、所在地、資本金、創業年、雇用者数、売上高の推移等)
Ⅱ.デザイナーの現状
 社内デザイナーの人数
 デザイナーの役割
 社内デザイナーの待遇
 外部デザイナーの活用
Ⅲ.デザインの効果
 デザイン費とその費用対効果
 デザインの評価
Ⅳ.会社経営とデザインとの関係
 企業経営におけるデザインの位置づけ
Ⅴ.政策ニーズ
47
Ⅰ-1-1 単純集計結果
48
1 企業概要 ①資本金、創業年、常時雇用者数
 回答企業の資本金は、1億円未満が約半数、1~100億円未満が3割程度となっている。
 創業年は、1949年以前が4割強、1950年~1989年が3割強、1990年以降が2割強となっている。
 常時雇用者数は、100名未満が4割弱、100~1,000名未満が3割強、1,000名以上が3割強となっている。
資本金(n=106)
常時雇用者数(n=105)
100億円以上
19.8%
1,000名以上
31.4%
100名未満
37.1%
1億円未満
49.1%
1億円~100億円未満
31.1%
創業年(n=106)
100名~1,000名未満
31.4%
1990年以降
22.6%
1949年以前
43.4%
1950年~1989年
34.0%
49
1 企業概要 ②業種、過去5年間の売上高推移
 回答企業の業種構成としては、製造業が中心であり、特に製造業(生活関連)が多い。卸売業・小売業、建設業、
不動産業等がこれに続く。
 過去5年間の売上高推移をみると、増加傾向(「年々着実に増加を続けてきた」と「年によって上下しつつも、増加基
調にある」との和)にある企業が7割超と多く、業績好調企業からの回答が多いことがうかがえる。
業種(n=107)
0%
農林水産業
10%
20%
22.4%
徐々に減少してきた
0.0%
1.9%
卸売業・小売業
その他
40%
50%
40.8%
33.0%
ほぼ同水準で推移した
運輸業
上記以外のサービス業
30%
12.6%
40.2%
1.9%
専門サービス業
20%
年によって上下しつつも、増加基調にある
0.9%
情報通信業
不動産業
10%
年々着実に増加を続けてきた
5.6%
製造業(生活関連)
金融・保険業
50%
0%
製造業(加工組立)
電気・ガス・熱供給業
40%
0.0%
建設業
製造業(基礎素材)
過去5年間の売上高推移(n=103)
30%
2.9%
年によって上下しつつも、減少基調にある
わからない
9.7%
1.0%
13.1%
0.0%
5.6%
2.8%
1.9%
3.7%
50
2 デザイナーの現状 ①デザイナーが配置されている部署
 デザイナーが配属されている部署としては、「デザイン部としての独立した部署」、「研究開発部の関係部署」が多
く、「その他」が続く。
 「すべて外部委託で社内にデザイナーはいない」との回答も多い。
 「その他」の内容としては、商品企画部の関連部署、企画・開発・製造を統合した部署、各事業部の下に存在等が
挙げられている。
Q デザイナーが最も多く配属されている部署は、どのような組織体系の下に位置づけられていますか(n=106)
0%
5%
10%
15%
20%
25%
デザイン部としての独立した部署
25.5%
研究開発部の関係部署
19.8%
技術部の関係部署
8.5%
社長直下の組織或いは総務部の関係部署
7.5%
マーケティング部の関係部署
7.5%
広告・宣伝部の関係部署
デザインの独立事業所
その他
すべて外部委託
30%
2.8%
0.0%
11.3%
17.0%
51
2 デザイナーの現状 ②デザイナー数
 デザイナーの人数は「1~5人」が約4割と最も多く、次いで「11~29人」が約2割、「6~10人」が2割弱となっている。
 30人未満との回答が約8割に上る一方で、「100人以上」との回答も1割程度見られる。
Q デザイナーは何人いますか(n=91)
0%
0人
10%
20%
50%
39.6%
6~10人
17.6%
11~29人
100人以上
40%
3.3%
1~5人
30~99人
30%
19.8%
8.8%
11.0%
52
2 デザイナーの現状 ③デザイナー出身等経営陣の有無
 デザイナー出身やデザイン関連キャリアを有する経営陣がいるかについては、6割弱の企業が「いる」と回答して
いる。
 デザイン関連のキャリアを持つ役員がいる企業に、その人数を聞いたところ、「1人」との回答が過半数に上った。
Q 経営陣の中には、デザイナー出身の方、デザイン関連のキャリアを持った方はいますか。
また、何人いますか(n=90)
いない
43.3%
いる
56.7%
2人以上
38.0%
1人
62.0%
53
2 デザイナーの現状 ④デザイナーが関与する業務範囲
 デザイナーが関与している業務範囲としては、「アイデア出し」、「コンセプトメイキング」、「スケッチ/レンダリ
ング」等が多い。「商品パッケージ」、「スタイリング」、「モデリング」、「3Dデータ作成」等がこれらに続いており、
デザイナーにとっての主要業務と位置付けることができる。
 一方、近年デザイン・シンキング等でその重要性が指摘されている、「トータルプロデュース」、「関係部署間の調
整」や、「知財戦略」等の業務への関与度は未だ少ないと言える。
Q デザイナーは、製品等の開発プロセスにおいてどのような業務範囲に関与していますか(n=90)
0%
アイデア出し
コンセプトメイキング
スケッチ/レンダリング
商品パッケージ
スタイリング
モデリング
3Dデータ作成
製品ブランド戦略
プロトタイピング
パンフレット作成
課題設定/ユーザー設定
マーケティングリサーチ
製品等のディスプレイ
企業ブランド戦略
販売戦略
知的財産権の先行調査
広告戦略
製品等のHP作成
関係部局間の調整
知財戦略
トータルプロデュース
その他
20%
40%
60%
80%
100%
83.3%
77.8%
75.6%
64.4%
61.1%
60.0%
58.9%
56.7%
51.1%
51.1%
50.0%
45.6%
45.6%
41.1%
33.3%
30.0%
30.0%
28.9%
27.8%
24.4%
22.2%
5.6%
54
2 デザイナーの現状 ⑤デザイナーに期待される能力
 デザイナーに期待する能力を自由記述で尋ねたところ、下記のような能力への回答が寄せられた。
 市場・製品・顧客及び自社戦略に精通し、個性とバランス感覚を有し、プロダクトデザインのみならず価値体験
等もデザインすることにより、新たな価値やブランドを創出すべく、マネジメント力・プロデュース力等を発揮
するというデザイナーの理想像が浮かび上がる。
 商品・パッケージ等の外観デザインを通じた商品開発への貢献には限界が見えてきており、上流の企画コンセプ
ト立案や下流のプロモーション等、デザイナーがトータルでの商品やブランドの開発に関わる機会が増えている
ことや、顧客の購買動機が商品単品の機能や色・形(モノ)から、商品が持つ世界観、ストーリー、感性価値や
体験価値(コト)へと移行する中、デザイナーの役割もプロダクトデザインから、ユーザーインターフェース
(UI)・ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインへと拡大していること等を背景に、デザイナーに求められる
能力が拡大していることが示唆される。
Q デザイナーに期待する能力について、教えてください(自由記述、抜粋)
55
2 デザイナーの現状 ⑤デザイナーに期待される能力
56
2 デザイナーの現状 ⑥デザイナーの雇用形態、給与体系
 デザイナーの雇用形態は、正社員との回答が9割を超え、契約社員その他との回答は5%前後と少数であった。
 デザイナーの給与形態は、「一般の職員と同等」との回答が約半数と多く、次いで「技術職と同等に扱われている」
トン回答が1/3に及ぶ。「デザイナーが独自の専門職として扱われる」との回答は16%となっている。
Q デザイナーの主な雇用形態を
教えてください(n=90)
アルバイト
その他
契約社員 0.0%
2.2%
4.4%
Q デザイナーの給与形態はどのように
位置づけられていますか(n=90)
デザイナーが独自の専門職として扱われる
15.6%
わからない
2.2%
一般の職員と同等
46.7%
正社員
93.3%
技術職と同等に扱われる
35.6%
57
2 デザイナーの現状 ⑦デザイナーのキャリアパス
 キャリアパスとしてどのような機会を用意しているかについては、「デザイン部門内での昇格」、 「担当する分野
やクライアントを変える」、 「プロデュース/マネジメントの業務担当」が多くなっている。
 次いで、「資格取得の機会提供」、「他部門への移動・昇格」等との回答が見られている。
Q デザイナーのキャリアパスとしてどのような経験、スキルを得る機会を用意していますか(複数回答、n=85)
0%
20%
40%
60%
デザイン部門内での昇格
62.4%
担当する分野やクライアントを変える
54.1%
プロデュース/マネジメントの業務担当
48.2%
資格取得の機会提供
31.8%
他部門への異動・昇格
27.1%
海外のデザイン拠点での勤務
14.1%
子会社/系列会社への出向
海外の大学/研究機関等への留学・研修
10.6%
7.1%
クライアント等他社への出向
5.9%
国内の大学/研究機関等への留学・研修
5.9%
行政等公的機関への出向
その他
80%
2.4%
11.8%
58
2 デザイナーの現状 ⑧デザイナーの報奨制度
 デザイナーに対する報奨制度の有無については、「ある」、「ない」ともに半数程度となった。
 報奨の対象となる事項については、「デザインした商品等の売上が大きく伸びた」、「知的財産権の取得に至った」
が多く、「企業/製品等のブランド価値が向上した」、「顧客満足度が高まった」等がこれに次ぐ。一方、「社外のコ
ンペでデザイン賞を取った」、「社内コンペで優秀な成績をとった」等はあまり対象とされていない。
 報奨方法としては、「報奨金の支給」や「社内表彰」等が多い一方、昇進、昇給等の手段をとる企業は比較的少ない。
デザイナーの活躍に対しては、一時的な措置で報いている様子がうかがえる。
Q どのような場合が報奨の対象になりますか(n=45)
0%
Q 活躍しているデザイナーに対して
何らかの報酬制度は整備されていますか(n=88)
わからない
1.1%
10%
20%
40%
50%
デザインした商品等の売上げが大きく伸びた
60%
51.1%
産業財産権(特許、意匠、商標等)の取得に至った
48.9%
企業/製品等のブランド価値が向上した
31.1%
顧客満足度が高まった
31.1%
新たな事業領域を拓いた
24.4%
社外のコンペでデザイン賞を取った
22.2%
事業化に至った
17.8%
デザインを通じて社内の業務改善に貢献した
ない
47.7%
30%
17.8%
社内コンペで優秀な成績を取った
8.9%
その他
8.9%
Q どのような報奨を行っていますか(n=44)
制度がある
51.1%
0%
20%
40%
60%
報奨金の支給
52.3%
昇給
27.3%
昇進
22.7%
研修の機会の提供
その他
100%
77.3%
社内表彰
有給休暇の増加
80%
15.9%
0.0%
2.3%
59
2 デザイナーの現状 ⑨外部デザイナー活用の有無と理由
 外部デザイナーの活用状況については、「必要な場合に限ってしている」が約半数と最も多い。「常時している」と
の回答も3割に達している。
 外部デザイナーへ業務を委託する理由としては、「斬新な発想のアイデアが必要になった」が最も多く、「高度で専
門的な技術的知見が必要となるから」、「社内デザイナーの業務量が多すぎる」等がこれに続く。
Q 外部デザイナーを活用していますか(n=107)
していない
16.8%
以前はしていたが
現在はしていない
0.0%
常時している
29.9%
Q 外部デザイナーに委託しているのは
どのような理由からですか(n=86)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
社内デザイナーにはない斬新な発想のデザインが必要になった
必要な場合に限ってしている
53.3%
40.7%
高度で専門的な技術的知見が必要となる
40.7%
社内デザイナーに刺激を与えてほしい
29.1%
新事業展開に向けて、当該市場の専門的知見が必要だった
外部委託の方がコストがかからない
その他
70%
64.0%
社内デザイナーの業務量が多すぎる
デザイナーを社内で雇用するほど常にデザイン業務がない
60%
23.3%
16.3%
12.8%
11.6%
60
2 デザイナーの現状 ⑩外部デザイナー非活用の理由
 外部デザイナーを活用していない理由としては、「社内デザイナーで十分だから」、「外部デザイナーでは対応が難
しいため」等、業務量や業務内容を理由としている回答が多い。
 一方、「委託費が高額になるため」との金銭的な理由も約3割みられている。
Q 外部デザイナーを活用していない背景となる理由は何ですか(n=17)
0%
20%
40%
60%
社内デザイナーで十分だから
52.9%
外部デザイナーでは対応が難しいため
52.9%
委託費が高額になるため
29.4%
適当な外部デザイナーを探す手段を知らないため
11.8%
外部デザイナーを起用して事業が成功する可能性が低いという理解が前提にあるため
11.8%
契約手続が煩雑なため
5.9%
委託する業務範囲の策定が困難なため
5.9%
外部デザイナーの能力を客観的に量る指標がないため
5.9%
過去に外部デザイナーを活用したが、成功しなかったため
5.9%
その他
5.9%
61
2 デザイナーの現状 ⑪外部デザイナーの業務範囲
 外部デザイナーが担当する業務範囲としては、「アイディア出し」、「スケッチ/レンダリング」、「コンセプトメイ
キング」等が多く、「商品パッケージ」、「スタイリング」、「モデリング」、「3Dデータ作成」等がこれらに続く。
 一方、「知財戦略」、「知的財産権の先行調査」、「販売戦略」、 「関係部署間の調整」等、知財関連や戦略構築、社
内調整等の業務への関与は少なくなっている。
Q 外部デザイナーは製品等の開発プロセスにおいてどのような業務範囲を担当していますか(n=89)
0%
アイデア出し
スケッチ/レンダリング
コンセプトメイキング
3Dデータ作成
スタイリング
モデリング
商品パッケージ
パンフレット作成
プロトタイピング
マーケティングリサーチ
製品ブランド戦略
広告戦略
製品等のディスプレイ
製品等のHP作成
課題設定/ユーザー設定
企業ブランド戦略
外部視点からのコンサルティング
トータルプロデュース
販売戦略
知的財産権の先行調査
関係部局間の調整
知財戦略
その他
20%
40%
60%
80%
69.7%
65.2%
52.8%
47.2%
44.9%
43.8%
43.8%
37.1%
32.6%
27.0%
24.7%
23.6%
23.6%
23.6%
18.0%
15.7%
14.6%
10.1%
9.0%
6.7%
5.6%
1.1%
3.4%
62
2 デザイナーの現状 ⑫社内外デザイナーの業務範囲
 社内デザイナー、外部デザイナーの担当業務を比較すると、コンセプトメイキングからプロトタイピングといっ
た主要業務においては、グラフ形状が類似する結果となっている。
 先述の知財、戦略構築、調整業務等に加えて、マーケティングリサーチから課題設定への工程は社内デザイナー
を中心に実施する傾向がうかがえる。
【比較】社内デザイナー(左)と外部デザイナー(右)の業務範囲
0%
マーケティングリサーチ
課題設定/ユーザー設定
知的財産権の先行調査
コンセプトメイキング
アイデア出し
スケッチ/レンダリング
モデリング
スタイリング
3Dデータ作成
プロトタイピング
商品パッケージ
販売戦略
広告戦略
製品ブランド戦略
企業ブランド戦略
知財戦略
製品等のディスプレイ
製品等のHP作成
パンフレット作成
トータルプロデュース
関係部局間の調整
その他
20%
40%
60%
80%
100%
45.6%
50.0%
30.0%
77.8%
83.3%
75.6%
60.0%
61.1%
58.9%
51.1%
64.4%
33.3%
30.0%
56.7%
41.1%
24.4%
45.6%
28.9%
51.1%
22.2%
27.8%
5.6%
0%
マーケティングリサーチ
課題設定/ユーザー設定
知的財産権の先行調査
コンセプトメイキング
アイデア出し
スケッチ/レンダリング
モデリング
スタイリング
3Dデータ作成
プロトタイピング
商品パッケージ
販売戦略
広告戦略
製品ブランド戦略
企業ブランド戦略
知財戦略
製品等のディスプレイ
製品等のHP作成
パンフレット作成
トータルプロデュース
関係部局間の調整
外部視点からのコンサルティング
その他
20%
40%
60%
80%
100%
27.0%
18.0%
6.7%
52.8%
69.7%
65.2%
43.8%
44.9%
47.2%
32.6%
43.8%
9.0%
23.6%
24.7%
15.7%
1.1%
23.6%
23.6%
37.1%
10.1%
5.6%
14.6%
3.4%
63
2 デザイナーの現状 ⑬外部デザイナーとの契約条件
 外部デザイナーへの報酬体系は「コンサルタント契約で総額を決める」や「開発着手前のイニシャルフィー」が多い。
 外部デザイナーと契約する場合、得られた知的財産の帰属先は「自社」との回答が多い。「デザイナー」との回答も
一部だが見られる。
Q 外部デザイナーに支払う報酬の体系について教えてください(n=85)
0%
10%
20%
30%
40%
コンサルタント契約で総額を決める
50%
41.2%
開発着手前のイニシャルフィー
34.1%
イニシャルフィーとロイヤルティの組み合わせ
8.2%
製品等販売に応じたロイヤルティ
2.4%
わからない
1.2%
その他
12.9%
Q 外部デザイナーと契約する場合、その開発の過程/結果として得られた
知的財産権は自社/デザイナーの何れに帰属することとしていますか(n=91)
0%
20%
自社
60%
80%
65.9%
契約書等に定めがなく都度協議
14.3%
デザイナー
4.4%
外部デザイナー等への依頼予定はない
3.3%
わからない
40%
12.1%
64
2 デザイナーの現状 ⑭外部デザイナーの探索方法
 外部デザイナーの探索方法としては、「同業者・関連業者に紹介を依頼する」、「社内データベースから」等の回答
が多く、社員や信頼のおける取引先等のネットワークの範囲で探索することが多いことがうかがえる。
 公的機関やデザイン職能団体を使った探索行動は一般的ではない状況が読み取れる。
Q 外部デザイナー等に依頼する場合どのような方法で探しますか(n=92)
0%
20%
40%
同業者・関連業者に紹介を依頼する
51.1%
社内のデータベースから
32.6%
その他
21.7%
各種デザイン賞の受賞リストから
8.7%
外部デザイナー等への依頼予定はない
8.7%
デザイン職能団体に問い合わせる
4.3%
ネットを介した仕事依頼のサイト等で不特定に向けて
4.3%
公的機関のデザイナー等のデータベースから
わからない
60%
1.1%
6.5%
65
3 デザインの投資効果 ①年間デザイン費
 年間のデザイン費の水準としては、「1,000万円未満」が4割弱、「1,000万円~1億円未満」が4割、「1億円以上」
が2割強となっている。
 デザイン費がどのような性格のものとして位置づけられているかについては、「研究開発の一部費用」、「製造コス
トの一部費用」との回答が多い。「その他」との回答内容は、人件費、経費、設計費、商品開発費、デザインの内容
によって費目が異なる等となっている。
Q 貴社のデザイン費は、
年間およそどの程度になりますか(n=58)
Q デザイン費はどのような性格のものとして
位置づけられていますか(n=107)
0%
1億円以上
24.1%
10%
20%
30%
40%
研究開発の一部費用
1,000万円未満
36.2%
40.2%
製造コストの一部費用
33.6%
広告宣伝の一部費用
経営企画関連等間接費の一部
その他
わからない
50%
15.0%
0.9%
6.5%
3.7%
1,000万円~1億円未満
39.7%
【定義】デザイン費
本アンケートでは、モノだけでなくサービスやシステム等を含む創造的な活動を広く「デザイン」と解している。そのため、このようなデザインに係るすべ
ての費用を「デザイン費」と解する。
66
3 デザインの投資効果 ②デザイン費の試験研究費としての取扱の有無
 研究開発税制に類似する制度として、デザイン税制を検討することを目的に、デザイン費を税法上の試験研究費
の一部として扱っているか否かを尋ねたところ、[わからない」との回答が半数に上ったものの、「全て含めてい
る」、「一部を含めている」との回答も3割強に達した。
Q デザイン費を税法上の試験研究費の
一部として扱っていますか(n=105)
Q 税法上の試験研究費として扱っていないデザイン費は、
どのような費目として扱われるものか教えてください
(自由記述、抜粋)
全て含めている
23.8%
わからない
46.7%
一部を含めている
9.5%
 特許費用
 原材料費
 販売促進費
 自社は設計費・外部は外注費
 社員の人件費
 研究試作費
 原価
 広告宣伝費
 開発費
 建築工事費
等
全く含めていない
20.0%
【定義】税法上の試験研究費
「製品の製造」または「技術の改良、考案若しくは発明」にかかる試験研究のために要する費用で次に掲げるもの。①その試験研究を行うために要する原材料
費、人件費(専門的知識をもってその試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限る)及び経費、②他の者に試験研究を委託する場合の委託研究費、③
技術研究組合に賦課される費用。
67
3 デザインの投資効果 ③デザイン控除額増額の影響とその理由
 デザイン費の控除額が増えると仮定した場合、デザイン費を増やそうと考えるかについては、「わからない」との
回答が多数となった。次いで「現状では控除の対象でないデザイン費が控除対象として計上できる費目となったら
考える」が多くなっている。
Q 税制改正によってデザイン費の控除額が増えると仮定した場合、
デザイン費を増やそうと考えますか(n=94)
0%
20%
控除の対象でないデザイン費が控除対象として計上できる費目となったら考える
控除対象に含めているデザイン費の控除に上乗せがついたら考える
上記の両方がうけられるなら考える
わからない
40%
60%
80%
22.3%
5.3%
8.5%
63.8%
68
3 デザインの投資効果 ③デザイン控除額増額の影響とその理由
 デザイン費の税控除額が増えると仮定した場合、デザイン費を増やそうと考えるかについての回答内容の理由を
尋ねたところ、下表のような回答が寄せられた。
 税控除を増額する場合、デザイン費増を考えるとの回答企業では、節税のため、税負担が低くなればデザイン投
資を維持・拡大したいためとの回答が主であった。
 わからないとする企業では、デザイン投資増減の判断は税額のみで判断するものではない、デザイン費増減の判
断は経営層・親会社等が行う、税制に関する知識不足等の回答が多かった。
Q 前問の回答の理由について教えてください(自由記述、抜粋)
69
3 デザインの投資効果 ④デザイン費の推移
 過去5年間のデザイン費の推移については、「ほぼ同水準で推移した」が約1/3と最も多くなっているが、増加基
調との回答(「年によって上下しつつも、増加基調にある」、「年々着実に増加を続けてきた」の和)4割超となっ
ている。
 デザイン費の今後の推移についても、「ほぼ同水準で推移」との回答が4割超で最も多いが、これに拮抗して「年々
着実に増加する」との回答が4割弱に達している。
Q 過去5年間にデザイン費はどのように推移しましたか(n=107)
0%
10%
20%
年々着実に増加を続けてきた
30%
40%
50%
18.7%
年によって上下しつつも、増加基調にある
24.3%
ほぼ同水準で推移した
35.5%
徐々に減少してきた
1.9%
年によって上下しつつも、減少基調にある
7.5%
わからない
12.1%
Q デザイン費の予算規模は今後どのように推移すると予想していますか(n=107)
0%
10%
20%
年々着実に増加する
見通しはない/わからない
40%
50%
37.4%
ほぼ同水準で推移
徐々に減少する
30%
44.9%
0.9%
16.8%
70
3 デザインの投資効果 ⑤事業とデザインとの関係
 事業とデザインの関係について尋ねたところ、「デザインは事業の一要素として、企業の総合力の一部として売上
げに貢献している」との回答が4割強と最も多くなっている。次いで「デザインが事業そのものに直結しており、
売上げと緊密な相関がある」が3割弱、「デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、
売上げに貢献している」が2割弱となっており、総じてデザインの売上げ貢献を高く評価している回答がみられて
いる。
Q 事業とデザインの関係についての考えを教えてください(n=106)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
高
デザインが事業そのものに直結しており、売上げと緊密な相関がある
事
業
に
お
け
る
デ
ザ
イ
ン
の
貢
献
度
25.5%
デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している
17.0%
デザインは事業の一要素として、企業の総合力の一部として売上げに貢献している
41.5%
デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのはむしろ優れた技術だと思う
デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのは販売戦略等によるところが大きい
デザインの貢献は限定的で、売上げとはほとんど関係ない
10.4%
2.8%
1.9%
低
その他
0.9%
71
3 デザインの投資効果 ⑥デザイン投資の費用対効果算定の有無
 デザインへの投資に対する費用対効果を算定する試みをしているかについては、「していない」との回答が最も多
く、半数を超えている。実施している場合にも「定性的な把握にとどまっている」との回答が多くなっている。
 効果測定・評価に用いる評価軸としては、売上・受注関連(売上伸長率、受注率等)、顧客評価関連(ユーザー評価、
顧客評価、ブランドイメージ調査結果等)が多くなっている。そのほかにも費用水準関連(売上高デザイン費比率
等)、開発数関連(開発案件数)、社内評価関連(KPI評価)等、様々な指標が用いられている。
Q デザインへの投資に対する費用対効果を
算定する試みをしていますか(n=108)
わからない
9.3%
Q どのような評価軸で効果測定・
評価をしていますか(自由記述、抜粋)
できるかぎり定量的に把握している
12.0%
定性的な把握にとどまっている
24.1%
していない
54.6%
72
3 デザインの投資効果 ⑦デザイン投資と技術投資
 デザインへの投資と技術への投資を比較した場合、どちらの方が効率が高い投資行動と思うかを尋ねたところ、
「どちらも同じ程度の効率」との回答が4割弱と最も多くなっている。
 「デザインへの投資の方が高効率」との回答は、「技術への投資の方が高効率」との回答には及ばないものの、2割
弱に達している。
Q 将来の事業収益を増加させるための無形財産への投資として、デザインへの投資と技術への投資を
比較した場合、どちらの方が効率が高い投資行動とお考えですか(n=101)
わからない
16.8%
どちらも同じ程度の効率
35.6%
デザインへの投資の方が高効率
18.8%
技術への投資の方が高効率
28.7%
73
3 デザインの投資効果 ⑧デザイン賞への応募状況、応募・受賞効果
 開発した製品等をデザイン関連の賞に応募しているかについては、「している」、「過去にしたことがある」との回
答が9割に達する。これには、国内外のデザイン賞受賞企業を調査対象抽出の一条件としたことが影響している。
 応募・受賞して得られた効果については、「国内での会社・製品の知名度の向上」、「ブランドの価値向上」 、「デ
ザインに対して客観的な第3者評価を得られる」が三大効果となっている。次いで、「自社のデザイン力の高さの
発信」、「デザイナーのモチベーション向上」、「デザインに注力しているという企業イメージを示すことができる」
との回答が多くなっている。
Q 開発した製品等をデザイン関連の
賞に応募していますか(n=107)
Q デザイン関連の賞に応募・受賞して
得られた効果を教えてください(n=98)
0%
応募したことはない
6.5%
20%
40%
60%
80%
国内での会社・製品の知名度の向上
わからない
1.9%
80.6%
ブランドの価値向上
72.4%
デザインに対して客観的な第3者評価を得られる
過去にしたことがある
15.9%
68.4%
自社のデザイン力の高さの発信
53.1%
デザイナーのモチベーション向上
51.0%
デザインに注力しているという企業イメージを示すことができる
している
75.7%
44.9%
海外での会社・製品の知名度の向上
32.7%
製品等の高付加価値化、利益の拡大
31.6%
社内でのデザイン部署のプレゼンス向上
30.6%
有能な人材確保やリクルーティングで活用できる
29.6%
技術がデザインを介して可視化されるため、技術力の発信に繋がる
26.5%
新規取引先の獲得、新規事業領域の開拓に繋げられる
その他
100%
22.4%
2.0%
74
4 会社経営とデザインの関係 ①企業戦略とデザイン
 企業経営戦略(中長期計画や行動指針等)の中でデザインが検討要素の一つとして扱われているかを尋ねたところ、
「扱われている」との回答が6割超に達している。
 経営において「デザイン」に期待されている事項として、「製品等のブランドを構築するためのツール」、「企業ブラ
ンドを構築するためのツール」、「オリジナリティを表すためのツール」、「外観での付加価値を高めるツール」との
回答がそれぞれ6割超に達している。次いで、「高品質を表現するためのツール」、「技術力を視覚的に表現するた
めのツール」、「製品等の知名度を上げるためのツール」等への期待も多くなっている。
Q 事業の中期計画や行動指針等の中で
デザインについて触れているなど、
企業経営戦略で検討する要素の一つとして
扱われていますか(n=105)
Q 経営において「デザイン」に期待されている
ことを教えてください(n=108)
0%
20%
40%
60%
80%
製品等のブランドを構築するためのツール
わからない
11.4%
74.8%
企業ブランドを構築するためのツール
68.2%
外観での付加価値を高めるツール
63.6%
オリジナリティを表すためのツール
63.6%
高品質を表現するためのツール
扱われていない
27.6%
扱われている
61.0%
59.8%
技術力を視覚的に表現するためのツール
50.5%
製品等の知名度を上げるためのツール
49.5%
コンセプトをつくり、その中で品質や機能をまとめるツール
45.8%
製品等の安全性を表現するためのツール
27.1%
円滑なコミュニケーションを実現させるツール
その他
特にない
20.6%
3.7%
1.9%
75
4 会社経営とデザインの関係 ②デザイン思考の導入状況
 デザイン思考の導入状況については、「取り入れている」との回答が最も多くなっている。「試行的に取り入れてい
るが浸透はしていない」と合わせると、6割の企業がデザイン思考の導入に取り組んでいる。
 デザイン思考導入の課題としては、「社内におけるファシリテーション等、全体を取りまとめるプロデューサー人
材がいない」、「デザイン思考の取組をするだけの予算的な余裕がない」、「デザインに投資するだけの予算が確保
されていない」が三大課題となっている。一方、「特にない」との回答も多くなっている。
Q デザイン思考に基づいた「手法」を実践したり、
導入を検討したりしていますか(n=107)
Q デザイン思考を取り入れる際の課題と考えられることは
何ですか(n=101)
0%
10%
20%
30%
社内におけるファシリテーション等、
全体をとりまとめるプロデューサー人材がいない
わからない
15.7%
25.7%
デザインに投資するための予算が確保されていない
取り入れている
40.7%
23.8%
デザイン思考の取組をするだけの予算的な余裕がない
21.8%
密なコミュニケーションを取る時間が確保できない
取り入れてない
24.1%
18.8%
社内で部署横断的な枠組みで議論することに困難が伴う
新たな提案に対する事業化の成否を
判断できる投資家或いは経営層が不足している
デザイン思考の取組をしても技術等の要素が優先され、
製品等開発に活用される見込みがない
経営者がデザインを理解・判断することをしない
試行的に取り入れているが
浸透はしていない
19.4%
その他
特にない
16.8%
14.9%
7.9%
5.9%
8.9%
26.7%
【定義】デザイン思考
「デザイン思考」の定義は諸説あるが、本アンケートにおいては、想定ユーザーの所作等の詳細な観察から潜在的ニーズを発掘し、複数領域の専門家がグ
ループワークを通してのブレインストーミング等によりアイディアを拡散・収斂させ、ラピッドプロトタイピング等の手法でイメージを可視化・具現化し
つつ試作を繰り返し、製品開発や事業構想等を創造的に行うフレームワークあるいは開発手法を指すものと解する。
76
4 会社経営とデザインの関係 ③デザイン領域、デザイナーの活躍機会の拡大
 今後のデザイン領域の拡大の可能性、それに伴うデザイナー活躍機会の拡大等について尋ねたところ、下表のよ
うな回答が寄せられた。
 回答内容からは、市場の変化・多様化からデザインへの要請が拡大していること、それに伴いデザイナーが関わ
る業務領域も拡大していることが読み取れる。反面、人員のひっ迫や人材不足が顕在化しており、効率化や人材
育成が必要であることがうかがえる。また、デザインの重要性に関する認識を社内で共有・拡散していくことが
必要であることが指摘された。
Q 今後のデザインの領域の拡大の可能性や、それに伴うデザイナーの活躍等について、
ご意見をお聞かせください(自由記述、抜粋)
77
4 会社経営とデザインの関係 ③デザイン領域、デザイナーの活躍機会の拡大
78
5 政策ニーズ ①情報・データベース基盤整備
 デザインの創作活動に資する情報・データベース基盤整備に関するニーズを尋ねた。デザイナー・取引先情報、
契約・報酬基準関連情報から類似デザイン情報・権利フリー素材情報、マーケット情報、成功事例・ビジネスモ
デル情報に至るまで、さまざまなニーズが寄せられた。
 特に契約の雛形・報酬基準、著作権等に係る類似デザイン検索データベース、人体測定情報に基づく人間工学
データベース、海外市場情報等に関するニーズが多くみられた。
Q デザインの創作活動に資する情報・データベースの基盤整備をするとした場合、どのような情報・データ
ベースをオープン情報として共有知化されるのが適切と考えられるか、ご意見・ご要望をお聞かせください
(自由記述、抜粋)
79
5 政策ニーズ ①情報・データベース基盤整備
80
5 政策ニーズ ②公的支援策
 今後のデザイン振興においてどのような公的支援策が望ましいかを尋ねたところ、下表に示すように多様なニー
ズが回答された。
 特に、広報活動、公的評価基準や資格制度の構築、デザイン教育、中小企業・地域支援等の分野で多くの支援要
望が寄せられた。
Q 今後のデザイン振興について、どのような公的な支援策があれば望ましいか、
ご意見・ご要望をお聞かせください(自由記述、抜粋)
81
5 政策ニーズ ②公的支援策
82
5 政策ニーズ ②公的支援策
83
Ⅰ-1-2 クロス集計結果
84
1 事業におけるデザインの貢献度が高い企業の特徴 ①企業属性
 アンケート設問「事業とデザインとの関係」への回答状況から、回答企業ごとに事業におけるデザインの貢献度を
下記【定義】の要領で設定。企業属性とのクロス集計を実施した。
 事業におけるデザインの貢献度が高い企業は、全体と比較して、業種別には製造業以外、創業年別には比較的新
しい企業において多い傾向がみられる。
事業におけるデザインの貢献度別、
業種構成
0%
20%
全体
貢献 大
40%
63.8%
57.8%
貢献 中
貢献 なし
80%
36.2%
50.0%
製造業
14.3%
50.0%
その他(製造業以外)
全体
貢献 大
37.2%
85.7%
0%
100%
42.2%
62.8%
貢献 小
60%
事業におけるデザインの貢献度別、
創業年構成
貢献 中
20%
40%
44.2%
37.8%
60%
33.7%
貢献 なし
1949年以前
50.0%
31.1%
37.2%
61.5%
100%
22.1%
31.1%
44.2%
貢献 小
80%
18.6%
38.5%
0.0%
1950年~1989年
0.0%
50.0%
1990年以降
【定義】事業におけるデザインの貢献度が高い企業
アンケート設問「事業とデザインの関係についての考えを教えてください」への回答内容から、企業を以下の4つのグループに分類した。
①(デザインが事業・売上げに)「貢献 大」(「デザインが事業そのものに直結しており、売上げと緊密な相関がある」との回答)
②「貢献 中」(「デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している」、「デザインは事業の一要素として、企業の総
合力の一部として売上げに貢献している」との回答の和)
③「貢献 小」(「デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのはむしろ優れた技術だと思う」、「デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているの
は販売戦略等によるところが大きい」との回答の和)
④「貢献なし」(「デザインの貢献は限定的で、売上げとはほとんど関係ない」との回答)
【備考】業種の「製造業以外」
製造業と回答した企業以外を指す。回答企業数としては、「卸売業・小売業」、「建設業」、「不動産業」、「専門サービス業」等が多い。
85
1 事業におけるデザインの貢献度が高い企業の特徴 ②経営へのデザイン導入
 事業におけるデザインの貢献度が高い企業では、企業戦略の中でデザインが扱われていたり、デザイン思考を導
入していたりする企業が多くなっている。
事業におけるデザインの貢献度別、
企業戦略等でのデザインの取り扱いの有無
0%
20%
40%
全体
80%
61.2%
貢献 大
28.2%
73.3%
貢献 中
15.6%
58.5%
貢献 小
貢献 なし
60%
31.7%
42.9%
0.0%
42.9%
100.0%
0%
100%
10.7%
全体
11.1%
貢献 大
9.8%
貢献 中
14.3%
0.0%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
事業におけるデザインの貢献度別、
デザイン思考の導入状況
貢献 小
貢献 なし
20%
41.5%
40%
60%
23.6%
46.7%
40.9%
28.6%
17.8%
22.7%
35.7%
50.0%
80%
100%
19.8%
17.8%
15.1%
17.8%
22.7%
13.6%
21.4%
14.3%
50.0%
0.0%
デザイン思考を・・・
扱われていない
わからない
取り入れている
取り入れてない
試行的に取り入れているが浸透はしていない
わからない
86
1 事業におけるデザインの貢献度が高い企業の特徴 ③デザインへの取組
 事業におけるデザインの貢献度が高い企業では、企業戦略の中でデザインが扱われていたり、デザイン思考を導
入していたりする企業が多くなっている。
事業におけるデザインの貢献度別
企業戦略等でのデザインの取り扱いの有無
0%
20%
40%
全体
80%
61.2%
貢献 大
28.2%
73.3%
貢献 中
15.6%
58.5%
貢献 小
貢献 なし
60%
31.7%
42.9%
0.0%
42.9%
100.0%
0%
100%
10.7%
全体
11.1%
貢献 大
9.8%
貢献 中
14.3%
0.0%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
事業におけるデザインの貢献度別
デザイン思考の導入状況
貢献 小
貢献 なし
20%
41.5%
40%
60%
23.6%
46.7%
40.9%
28.6%
17.8%
22.7%
35.7%
50.0%
80%
100%
19.8%
17.8%
15.1%
17.8%
22.7%
13.6%
21.4%
14.3%
50.0%
0.0%
デザイン思考を・・・
扱われていない
わからない
取り入れている
取り入れてない
試行的に取り入れているが浸透はしていない
わからない
【定義】事業におけるデザインの重要性が高い企業
アンケート設問「事業とデザインの関係についての考えを教えてください」への回答内容から、企業を以下の4つのグループに分類した。
①(デザインが事業・売上げに)「貢献 大」(「デザインが事業そのものに直結しており、売上げと緊密な相関がある」との回答)
②「貢献 中」(「デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している」、「デザインは事業の一要素として、企業の総
合力の一部として売上げに貢献している」との回答の和)
③「貢献 小」(「デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのはむしろ優れた技術だと思う」、「デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているの
は販売戦略等によるところが大きい」との回答の和)
④「貢献なし」(「デザインの貢献は限定的で、売上げとはほとんど関係ない」との回答)
87
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ①デザイン思考の導入
 企業戦略等においてデザインを検討要素の一つとして取り扱っている企業(以下、「企業戦略でデザインを重視し
ている企業」)においては、デザイン思考を導入・試行しているとの回答比率が高くなっている。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
デザイン思考の導入状況
0%
20%
40%
60%
80%
100%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
扱われていない
51.6%
31.0%
25.0%
27.6%
14.1%
27.6%
9.4%
13.8%
デザイン思考を・・・
取り入れている
取り入れてない
試行的に取り入れているが浸透はしていない
わからない
88
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ②経営陣の理解等
 企業戦略でデザインを取り扱っている企業(以下、「企業戦略でデザインを重視している企業」)においては、デ
ザイナー出身あるいはデザイン関連キャリアを有する経営陣が存在する比率が高い、デザイン部として独立した
部署を有している比率が高い等の傾向がうかがえる。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
デザイン関連キャリアを有する経営陣の有無
0%
20%
40%
60%
80%
企業戦略でデザインが・・・
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
デザイナーが配属されている部署
100%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
企業戦略でデザインが・・・
1.6%
扱われている
扱われていない
69.1%
26.9%
30.9%
73.1%
デザイン関連のキャリアを持つ役員がいる
扱われている
扱われていない
いない
30.2%
25.0%
9.5%
3.6%
17.5%
28.6%
7.9% 4.8%
10.7%
15.9%
17.9%
12.7%
14.3%
デザイン部としての独立した部署
社長直下の組織或いは総務部の関係部署
研究開発部の関係部署
技術部の関係部署
広告・宣伝部の関係部署
マーケティング部の関係部署
デザインの独立事業所(デザインセンター等)
その他
すべて外部委託で社内にデザイナーはいない
89
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ③デザイナーの地位確立
 企業戦略でデザインを重視している企業においては、給与形態等においてデザイナーが独自の専門職として扱わ
れる比率がやや高い等、社内でデザイナーが地位を確立している可能性がうかがえる。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
給与体系においてデザイナーが独自の専門職として位置づけられているか
0%
20%
40%
60%
80%
100%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
扱われていない
45.5%
50.0%
18.2%
11.5%
32.7%
38.5%
一般の職員と同等
デザイナーが独自の専門職として扱われる
技術職と同等に扱われる
わからない
90
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ④-ア デザイン費の増加
 企業戦略でデザインを重視している企業においては、過去5年間のデザイン費の推移、今後のデザイン費の推移
予想ともに、「増加」との回答が多い傾向が見られる。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
過去5年間のデザイン費の推移
0%
20%
40%
60%
80%
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
今後のデザイン費の推移予想
100%
企業戦略でデザインが・・・
20%
40%
60%
80%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
扱われていない
0%
55.6%
24.1%
30.2%
51.7%
6.3% 7.9%
13.8%
10.3%
扱われている
扱われていない
年々着実に増加する
増加
横ばい
減少
100%
1.6%
43.8%
32.1%
ほぼ同水準で推移
43.8%
50.0%
徐々に減少する
10.9%
17.9%
見通しはない/わからない
わからない
91
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ④-イ デザイン費の増加
 【参考】デザイン思考を導入している企業についても同様に、過去5年間のデザイン費の推移、今後のデザイン
費の推移予想ともに、「増加」との回答が多い傾向が見られる。
デザイン思考の導入状況別、
過去5年間のデザイン費の推移
デザイン思考を・・・
0%
20%
取り入れている
60%
55.8%
試行的に取り入れているが
浸透はしていない
取り入れてない
40%
28.6%
57.7%
増加
80%
32.6%
42.9%
15.4%
デザイン思考の導入状況別、
今後のデザイン費の推移予想
横ばい
19.0%
7.7%
減少
100%
7.0%
4.7%
9.5%
19.2%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
デザイン思考を・・・
取り入れている
47.7%
試行的に取り入れているが
浸透はしていない
取り入れてない
40.9%
33.3%
15.4%
47.6%
61.5%
11.4%
4.8%
14.3%
23.1%
わからない
年々着実に増加する
ほぼ同水準で推移
徐々に減少する
見通しはない/わからない
92
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑤売上高の推移
 企業戦略でデザインを重視している企業やデザイン思考を導入している企業では、売上高が増大しているという
相関関係は認められなかった。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、
過去5年間の売上高の推移
0%
20%
40%
60%
デザイン思考の導入状況別、
過去5年間の売上高の推移
80%
0%
100%
20%
40%
60%
80%
100%
デザイン思考を・・・
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
76.7%
13.3%
10.0%
取り入れている
77.3%
試行的に取り入れているが
浸透はしていない
扱われていない
71.4%
増加
横ばい
減少
10.7%
21.1%
取り入れてない
78.3%
増加
横ばい
減少
9.1%
21.1%
3.6%
14.3%
わからない
57.9%
13.6%
8.7%
8.7%
4.3%
わからない
93
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑥費用対効果の算定
 企業戦略でデザインを重視している企業では、デザインの費用対効果の把握に取り組んでいる(「できるかぎり定
量的に把握している」及び「定性的な把握にとどまっている」)との回答比率が高くなっている。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、デザイン投資に対する費用対効果の算定状況
0%
20%
40%
60%
80%
100%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
扱われていない
18.8%
28.1%
13.8%
43.8%
79.3%
できるかぎり定量的に把握している
定性的な把握にとどまっている
していない
わからない
9.4%
6.9%
94
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑦デザインの役割
 企業戦略でデザインを重視している企業では、下記等の特徴がみられる。
 外観デザインのみならず、技術力、品質等を表現するツールとしてデザインに期待している。
 製品ブランドのみならず、企業全体のブランドを構築する機能をデザインに期待している。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、デザインに期待していること
0%
20%
40%
60%
80%
77.8%
企業ブランドを構築するためのツール
51.7%
77.8%
79.3%
製品等のブランドを構築するためのツール
71.4%
高品質を表現するためのツール
44.8%
68.3%
62.1%
外観での付加価値を高めるツール
66.7%
65.5%
オリジナリティを表すためのツール
60.3%
技術力を視覚的に表現するためのツール
34.5%
57.1%
製品等の知名度を上げるためのツール
48.3%
49.2%
44.8%
コンセプトをつくり、その中で品質や機能をまとめるツール
33.3%
27.6%
製品等の安全性を表現するためのツール
23.8%
17.2%
円滑なコミュニケーションを実現させるツール
その他
特にない
企業戦略でデザインが・・・
100%
4.8%
3.4%
0.0%
3.4%
扱われている
扱われていない
95
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑧デザイナーの業務範囲
 企業戦略でデザインを重視している企業では、下記の特徴がみられる。
 販売戦略、広告戦略、製品ブランド戦略等の戦略立案に関与している。
 製品ディスプレイ、パンフレットなどのコミュニケーションデザインを手掛けている。
 トータルプロデュースを手掛けている。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、デザイナーの業務範囲
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
アイデア出し
コンセプトメイキング
76.9%
76.4%
76.9%
スケッチ/レンダリング
50.0%
34.6%
スタイリング
56.4%
プロトタイピング
56.4%
50.0%
54.5%
3Dデータ作成
52.7%
課題設定/ユーザー設定
マーケティングリサーチ
46.2%
製品等のディスプレイ
企業ブランド戦略
製品等のHP作成
23.1%
11.5%
57.7%
50.9%
45.5%
36.4%
23.1%
トータルプロデュース
65.4%
38.2%
11.5%
知的財産権の先行調査
32.7%
29.1%
29.1%
26.9%
25.5%
26.9%
関係部局間の調整
知財戦略
その他
38.5%
38.2%
23.1%
広告戦略
73.1%
50.9%
30.8%
販売戦略
87.3%
84.6%
81.8%
60.0%
61.5%
58.2%
モデリング
パンフレット作成
100%
63.6%
65.4%
61.8%
商品パッケージ
製品ブランド戦略
90%
3.6%
3.8%
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
扱われていない
96
2 企業戦略でデザインを重視している企業の特徴 ⑨デザイン思考を取り入れる際の課題
 デザイン思考を取り入れる際の課題に関し、企業戦略でデザインを重視している企業では下記の特徴がみられる。
 「特にない」との回答が多い。
 予算確保や人材不足が課題となりにくい。
 技術等の要素がデザインに優先されてしまう状況に陥りにくい。
 経営層の理解不足が課題となりにくい。
企業戦略でのデザインの取扱有無別、デザイン思考を取り入れる際の課題
0%
10%
20%
30%
13.8%
社内におけるファシリテーション等、全体をとりまとめるプロデューサー人材がいない
22.4%
デザイン思考の取組をするだけの予算的な余裕がない
22.4%
20.7%
34.5%
19.0%
デザインに投資するための予算が確保されていない
37.9%
19.0%
20.7%
密なコミュニケーションを取る時間が確保できない
新たな提案に対する事業化の成否を判断できる投資家或いは経営層が不足している
17.2%
17.2%
社内で部署横断的な枠組みで議論することに困難が伴う
17.2%
20.7%
8.6%
10.3%
その他
デザイン思考の取組をしても技術等の要素が優先され、製品等開発に活用される見込みがない
企業戦略でデザインが・・・
扱われている
50%
27.6%
特にない
経営者がデザインを理解・判断することをしない
40%
5.2%
10.3%
3.4%
20.7%
扱われていない
97
3 デザイン思考の導入に向けたポイント ①デザイン思考を取り入れる際の課題
 デザイン思考を取り入れている企業(導入企業)では、他と比較して、デザイン思考を取り入れる際の課題が「特に
ない」との回答が多いほか、経営者の理解不足が課題とならない、予算確保が課題となりにくい等の特徴がある。
 試行的に取り入れているが浸透はしていない企業(試行企業)では、部署横断的な取組、予算不足、人材不足、コ
ミュニケーション不足、経営者の理解不足等をはじめ、導入企業と比較すると多くの課題を抱えている。
 取り入れていない企業(未導入企業)では、人材不足、予算不足が課題となっている。
デザイン思考を取り入れている企業とのクロス集計
【デザイン思考の導入状況 × デザイン思考を取り入れる際の課題】
0%
経営者がデザインを理解・判断することをしない
5%
10%
2.6%
7.7%
15%
20%
15.4%
13.2%
デザインに投資するための予算が確保されていない
社内におけるファシリテーション等、全体をとりまとめるプロデューサー人材がいない
23.8%
15.8%
19.2%
デザイン思考の取組をするだけの予算的な余裕がない
デザイン思考の取組をしても技術等の要素が優先され、製品等開発に活用される見込みがない
7.9%
45%
34.6%
28.6%
42.3%
23.8%
28.6%
30.8%
13.2%
15.4%
7.9%
7.7%
特にない
デザイン思考を・・・
取り入れている
40%
7.9%
9.5%
7.7%
社内で部署横断的な枠組みで議論することに困難が伴う
その他
35%
19.0%
21.1%
密なコミュニケーションを取る時間が確保できない
30%
14.3%
15.8%
新たな提案に対する事業化の成否を判断できる投資家或いは経営層が不足している
25%
試行的に取り入れているが浸透はしていない
33.3%
14.3%
14.3%
15.4%
34.2%
取り入れてない
98
3 デザイン思考の導入に向けたポイント ②デザインに期待している要素
 デザインに期待している要素につき、導入企業では、外観での付加価値を重視する比率は他と同水準であるもの
の、技術力・高品質・安全性等製品品質・機能の表現や、コンセプト設計への期待が高くなっている。
 試行企業では、ブランド構築や外観デザインを重視する一方で、製品品質・機能のデザインに対する期待は低く
なっている。未導入企業はさらにこの傾向が顕著である。
デザイン思考を取り入れている企業とのクロス集計
【デザイン思考の導入状況 × デザインに期待している要素】
0%
20%
40%
60%
80%
69.8%
外観での付加価値を高めるツール
76.2%
73.1%
技術力を視覚的に表現するためのツール
38.5%
高品質を表現するためのツール
57.1%
65.1%
72.1%
57.1%
57.7%
製品等の安全性を表現するためのツール
14.3%
41.9%
26.9%
53.5%
52.4%
50.0%
製品等の知名度を上げるためのツール
企業ブランドを構築するためのツール
69.8%
73.1%
65.1%
オリジナリティを表すためのツール
コンセプトをつくり、その中で品質や機能をまとめるツール
38.1%
34.6%
特にない
取り入れている
57.7%
55.8%
90.5%
71.4%
25.6%
23.8%
19.2%
円滑なコミュニケーションを実現させるツール
デザイン思考を・・・
76.7%
81.0%
61.5%
製品等のブランドを構築するためのツール
その他
100%
7.0%
4.8%
0.0%
2.3%
0.0%
0.0%
試行的に取り入れているが浸透はしていない
取り入れてない
99
3 デザイン思考の導入に向けたポイント ③デザイナーの業務範囲
 デザイン思考導入企業では、他と比較して、コンセプトメイキング、3Dデータ作成とプロトタイピング、顧客と
のコミュニケーション(商品パッケージ、製品ディスプレイ等)、戦略策定(販売戦略、ブランド戦略)、トータル
プロデュース等、デザイナーの業務範囲を広範囲に設定していることがうかがえる。
デザイン思考を取り入れている企業とのクロス集計
【デザイン思考の導入状況 × デザイナーの業務範囲】
0%
10%
20%
30%
40%
マーケティングリサーチ
50%
50.0%
40.0%
課題設定/ユーザー設定
60%
27.5%
90%
36.8%
35.0%
70.0%
アイデア出し
90.0%
78.9%
92.5%
70.0%
スケッチ/レンダリング
モデリング
63.2%
50.0%
スタイリング
72.5%
3Dデータ作成
70.0%
40.0%
商品パッケージ
52.6%
販売戦略
15.8%
広告戦略
63.2%
40.0%
企業ブランド戦略
26.3%
知財戦略
15.0%
21.1%
21.1%
31.6%35.0%
35.0%
30.0%
製品等のディスプレイ
製品等のHP作成
40.0%
30.0%
80.0%
60.0%
47.5%
30.0%
30.0%
31.6%35.0%
製品ブランド戦略
78.9%
77.5%
63.2%
35.0%
31.6%
100.0%
85.0%
84.2%
70.0%
70.0%
45.0%
プロトタイピング
100%
57.9% 62.5%
コンセプトメイキング
72.5%
55.0%
55.0%
52.5%
52.6%
50.0%
パンフレット作成
トータルプロデュース
10.0%
関係部局間の調整
その他
80%
57.9%
35.0%
知的財産権の先行調査
70%
15.8%
15.0%
2.5%
0.0%
デザイン思考を・・・
32.5%
27.5%
42.1%
15.8%
取り入れている
試行的に取り入れているが浸透はしていない
取り入れてない
100
4 業種・企業規模による特徴 ①業種
 製造業の特徴・傾向としては以下が挙げられる。
 研究開発系の部署にデザイナーが多く配置される。
 報奨等の制度が整っている。
 デザイン費が研究開発費として処理されることが多い。  税法上試験研究費として扱われていることが多い。
 製造業以外の特徴・傾向としては以下が挙げられる。
 デザイン関連キャリアを有する役員が多い。
 デザイン部として独立した部署がある。
 デザイン費が製造コストとして処理されることが多い。  過去および将来のデザイン費が増加基調との回答が多い。
業種別、デザイナーが多く配置される部署
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
4.5%
製造業
製造業以外
20.9%
4.5%
34.2%
25.4%
13.2%
6.0%
10.5%
10.4%
13.2%
7.5%
2.6%
20.9%
18.4%
デザイン部としての独立した部署
社長直下の組織或いは総務部の関係部署
研究開発部の関係部署
技術部の関係部署
広告・宣伝部の関係部署
マーケティング部の関係部署
デザインの独立事業所(デザインセンター等)
その他
7.9%
すべて外部委託で社内にデザイナーはいない
101
4 業種・企業規模による特徴 ①業種
業種別、(給与体系において)
デザイナーが独自の専門職として位置づけられているか
業種別、デザイン関連キャリアを有する経営陣の有無
0%
製造業
製造業以外
20%
40%
60%
49.1%
80%
100%
0%
50.9%
68.6%
20%
製造業
40%
42.6%
60%
11.1%
80%
100%
46.3%
31.4%
製造業以外
デザイン関連のキャリアを持つ役員がいる
52.8%
22.2%
19.4%
5.6%
いない
一般の職員と同等
デザイナーが独自の専門職として扱われる
技術職と同等に扱われる
わからない
業種別、デザイナー向け報奨制度整備の有無
0%
20%
製造業
製造業以外
40%
60%
60.4%
100%
39.6%
37.1%
制度がある
80%
60.0%
ない
2.9%
わからない
102
4 業種・企業規模による特徴 ①業種
業種別、デザイン費の位置づけ
0%
製造業
20%
40%
27.9%
製造業以外
60%
13.2%
44.7%
業種別、過去5年間のデザイン費の推移
80%
100%
1.5%
1.5%
5.9%
50.0%
18.4%
23.7%
0%
製造業
20%
広告宣伝の一部費用
研究開発の一部費用
経営企画関連等間接費の一部
その他
わからない
増加
80%
33.8%
10.8%
12.3%
製造業以外
7.7%
全て含めている
33.3%
一部を含めている
12.8%
わからない
20%
40%
60%
80%
100%
32.8%
47.8%
1.5%
17.9%
43.1%
製造業以外
7.7%
減少
5.1%
100%
製造業
製造業
11.9% 11.9%
28.2%
横ばい
100%
業種別、今後のデザイン費の推移予想
0%
60%
38.8%
53.8%
業種別、デザインを試験研究費に含めているか
40%
80%
13.2%
製造コストの一部費用
20%
60%
37.3%
製造業以外
0%
40%
46.2%
38.5%
15.4%
51.3%
全く含めていない
わからない
年々着実に増加する
ほぼ同水準で推移
徐々に減少する
見通しはない/わからない
103
4 業種・企業規模による特徴 ②企業規模
 資本金1億円未満、1~100億円未満、100億円以上の3つに分類して、企業規模別の特徴・傾向をみた。
 企業規模の大きい企業の特徴・傾向としては以下が挙げられる。
 独立したデザイン部門を有する比率が高い。
 報奨等の制度が整っている。
 デザイン費を試験研究費として扱っていることが多い。  デザインの費用対効果の把握を試みる企業が多い。
 デザイン賞への応募実績が多い。
 デザイン思考を導入している比率が高い。
 企業規模の小さい企業の特徴・傾向としては以下が挙げられる。
 デザイン関連キャリアを有する役員がいることが多い。
 過去デザイン費を増加させている。
 デザイナーを独自の専門職として位置づけている比率が高い。
企業規模別、デザイナーが多く配置される部署
0%
1億円未満
1億円~100億円未満
100億円以上
20%
19.6%
15.6%
40%
11.8%
6.3%
15.6%
57.1%
デザイン部としての独立した部署
研究開発部の関係部署
広告・宣伝部の関係部署
デザインの独立事業所(デザインセンター等)
すべて外部委託で社内にデザイナーはいない
23.5%
15.6%
60%
80%
2.0%
5.9% 5.9% 11.8%
6.3% 12.5%
14.3%
12.5%
100%
19.6%
15.6%
4.8%
9.5%
4.8%
9.5%
社長直下の組織或いは総務部の関係部署
技術部の関係部署
マーケティング部の関係部署
その他
104
4 業種・企業規模による特徴 ②企業規模
企業規模別、デザイン関連キャリアを有する経営陣の有無
0%
20%
40%
1億円未満
60%
80%
73.2%
1億円~100億円未満
100億円以上
20%
1億円未満
1億円~100億円未満
100億円以上
40%
52.4%
32.1%
80%
26.2%
10.7%
57.9%
46.4%
53.6%
制度がある
0%
1億円未満
18.4%
3.6%
1億円~100億円未満
18.2%
デザイナーが独自の専門職として扱われる
技術職と同等に扱われる
わからない
2.4%
53.6%
ない
20%
19.0% 2.4%
一般の職員と同等
100%
16.7%
わからない
企業規模別、デザイン費を試験研究費に含めているか
100%
42.1%
80%
83.3%
いない
60%
60%
56.1%
100億円以上
企業規模別、(給与体系において)
デザイナーが独自の専門職として位置づけられているか
0%
40%
41.5%
1億円~100億円未満
60.0%
デザイン関連のキャリアを持つ役員がいる
20%
1億円未満
53.6%
40.0%
0%
100%
26.8%
46.4%
企業規模別、デザイナーの報奨制度整備状況
40%
12.2%
3.0%
60%
20.4%
21.2%
100億円以上
42.9%
全て含めている
一部を含めている
80%
100%
49.0%
57.6%
14.3%
19.0%
全く含めていない
23.8%
わからない
105
4 業種・企業規模による特徴 ②企業規模
企業規模別、費用対効果の算定状況
0%
1億円未満
1億円~100億円未満
20%
9.6%
23.1%
12.1%
18.2%
100億円以上
40%
60%
企業規模別、過去5年間のデザイン費の推移
80%
59.6%
7.7%
57.6%
19.0%
33.3%
100%
38.1%
できるかぎり定量的に把握している
定性的な把握にとどまっている
していない
わからない
0%
1億円未満
1億円未満
20%
40%
66.7%
1億円~100億円未満
100億円以上
している
60%
1億円~100億円未満
36.4%
9.5%
100億円以上
38.1%
増加
過去にしたことがある
81.8%
90.5%
応募したことはない
60%
80%
29.4%
36.4%
減少
5.9%
13.7%
18.2%
4.8%
42.9%
横ばい
100%
9.1%
14.3%
わからない
企業規模別、デザイン思考の導入状況
80%
21.6%
40%
51.0%
12.1%
企業規模別、デザイン賞への応募状況
0%
20%
0%
100%
11.8%
3.0%
12.1%
3.0%
4.8%
1億円未満
1億円~100億円未満
20%
34.6%
100億円以上
取り入れている
取り入れてない
60%
23.1%
39.4%
4.8%
わからない
40%
17.3%
30.3%
57.1%
80%
100%
25.0%
24.2%
14.3%
19.0%
試行的に取り入れているが浸透はしていない
6.1%
9.5%
わからない
106
4 業種・企業規模による特徴 ③創業年
 創業年を、1949年以前、1950~89年、1990年以降の3つに分類して、創業年別の特徴・傾向をみた。
 創業年が古く、歴史のある企業の特徴・傾向としては以下が挙げられる。
 製造業の比率が高い
 外部デザイナーを活用しているとの回答比率が高い。
 デザイン費を製造コストや研究開発費として扱っているとの回答比率が高い。
 創業年が新しい企業の特徴・傾向としては以下が挙げられる。
 製造業以外の比率が比較的高い。
 デザイン関連キャリアを有する経営陣がいるとの回答比率が高い。
 デザイナーを独自の専門職として扱っているとの回答比率が高い。
 デザイン費を広告宣伝費として扱っているとの回答比率が比較的高い。
 デザインが事業や売上げに直結しているとの回答比率が高い。
創業年別、業種構成
0%
20%
1949年以前
1950年~1989年
1990年以降
40%
創業年別、デザイン関連キャリアを有する経営陣の有無
60%
80%
82.2%
50.0%
45.8%
製造業
17.8%
50.0%
54.2%
製造業以外
0%
100%
1949年以前
1950年~1989年
1990年以降
20%
40%
60%
51.2%
60.0%
66.7%
デザイン関連のキャリアを持つ役員がいる
80%
100%
48.8%
40.0%
33.3%
いない
107
4 業種・企業規模による特徴 ③創業年
創業年別、デザイナーの給与体系
0%
20%
1949年以前
40%
60%
52.5%
1950年~1989年
1990年以降
80%
7.5%
41.9%
20%
1949年以前
35.5%
27.8%
0%
100%
40.0%
19.4%
44.4%
創業年別、外部デザイナーの活用状況
3.2%
22.2%
5.6%
40%
60%
35.6%
1950年~1989年
4.4%
44.4%
20.8%
25.0%
54.2%
25.0%
一般の職員と同等
デザイナーが独自の専門職として扱われる
常時している
必要な場合に限ってしている
技術職と同等に扱われる
わからない
以前はしていたが現在はしていない
していない
創業年別、今後のデザイン費の推移
創業年別、過去5年間のデザイン費の推移
0%
1949年以前
20%
40%
32.6%
80%
39.1%
1950年~1989年
52.8%
1990年以降
52.2%
増加
60%
横ばい
15.2%
38.9%
17.4%
減少
わからない
8.7%
100%
13.0%
2.8%
5.6%
21.7%
100%
60.0%
30.6%
1990年以降
80%
0%
1949年以前
1950年~1989年
1990年以降
20%
28.9%
40%
60%
80%
2.2%
53.3%
47.2%
41.7%
100%
41.7%
33.3%
年々着実に増加する
ほぼ同水準で推移
徐々に減少する
見通しはない/わからない
15.6%
11.1%
25.0%
108
4 業種・企業規模による特徴 ③創業年
創業年別、デザイン費の性格
0%
1949年以前
20%
32.6%
1950年~1989年
40%
60%
10.9%
42.9%
80%
2.9%
37.1%
0%
100%
6.5%
4.3%
45.7%
14.3%
創業年別、事業とデザインの関係
1949年以前
20.8%
25.0%
33.3%
17.4%
40%
19.6%
60%
41.3%
80%
100%
13.0%
4.3%
2.2%
2.2%
1950年~1989年
22.9%
17.1%
45.7%
11.4%
2.9%
2.9%
1990年以降
1990年以降
20%
47.8%
13.0%
34.8%
4.3%
12.5% 8.3%
デザインが事業そのものに直結しており、売上げと緊密な相関がある
製造コストの一部費用
広告宣伝の一部費用
デザインが事業の柱として技術やその他の要素をバランスよくまとめ、売上げに貢献している
研究開発の一部費用
経営企画関連等間接費の一部
デザインは事業の一要素として、企業の総合力の一部として売上げに貢献している
その他
わからない
デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのはむしろ優れた技術だと思う
デザインは重要な要素だが、売上げに貢献しているのは販売戦略等によるところが大きい
デザインの貢献は限定的で、売上げとはほとんど関係ない
その他
109
Ⅰ-2 ヒアリング調査結果
110
調査概要
(1)調査目的
国内でデザインに注力している企業を対象に、社内デザイナーの現状、製品・サービス開発へのデ
ザイナーの関わり、デザインが経営に及ぼす影響、政策への要望等に関する意見を収集することを
目的とする。別途実施されたアンケート調査項目を深掘りする役割を果たす。
(2)実施要領
■調査方法:対面方式によるヒアリング調査(対象者が要望する場合には電話聴取方式)
■調査対象:文献調査、アンケート調査等から精力的にデザイン活動に取り組む企業を抽出
■実施件数:20社
■実施期間:平成27年10月~28年2月
(3)調査項目
1.市場環境の変化と企業経営におけるデザインの位置づけ
2.デザイン部門の位置づけ・活動
3.デザイナーの業務と期待される能力
4.製品・サービス開発へのデザイナーの関わり
5.デザイナーの育成
6.デザイナーの評価・報奨
7.外部デザイナーの活用
8.デザインが経営に及ぼす影響
9.デザイン投資の効果評価
111
調査実施概要・要領
(4)調査対象企業
■A社(IT業、大企業)
■K社(IT業、大企業)
■B社(製造業、中小企業)
■L社(製造業、中小企業)
■C社(製造業、中小企業)
■M社(不動産業、大企業)
■D社(製造業、大企業)
■N社(製造業、大企業)
■E社(製造業、大企業)
■O社(製造業、大企業)
■F社(製造業、大企業)
■P社(製造業、大企業)
■G社(製造業、中小企業)
■Q社(製造業、大企業)
■H社(製造業、大企業)
■R社(製造業、大企業)
■I社(製造業、大企業)
■S社(製造業、大企業)
■J社(小売業、中小企業)
■T社(専門サービス業、中小企業)
112
1 デザインを取り巻く市場環境の変化
市場環境の変化により、デザインの領域・役割等が変化している
 ヒアリング調査では、市場環境の変化と、それがデザインに及ぼす影響として、下記等の意見がみられた。
①製品競争・価格競争だけでは企業の発展が望めない
⇒“ものづくり”から“ことづくり”へパラダイムシフトに向けデザインの役割が重要に
②顧客ニーズの変化(製品の機能から、製品が持つ世界観へ)への対応が必要
⇒デザイン領域が大きく拡大(サービスデザイン、ソリューションデザイン、UI/UXデザイン等)
③既存市場の成長鈍化に伴い、新規市場創出の必要性が増大
⇒新たな市場・顧客の開拓に向け、新たなビジョン・ビジネスを描くことが重要に
④経済社会が複雑化しており、真のニーズ・解決課題がわかりにくくなっている
⇒課題探索・発掘、コンセプト設計においてデザイナーの役割が期待されている
【ヒアリング調査における企業コメント】

顧客ニーズが多様化する昨今、購買動機が商品単品の機能や単なる色・形(モノ)から、商品が持つ世界観やストーリー、感性価値や体験
価値(コト)へと移行しており、デザインの領域もプロダクトデザインから、ユーザーインターフェース(UI)/ユーザーエクスペリエ
ンス(UX)デザイン等へと大きく拡大している。【E社】

成熟化社会となり、経済全体の成長率が鈍化する中で、既存顧客を対象とした既存市場からは大きな成長が見込めなくなってきた。新たな
市場、新たな顧客を開拓するためには、新たなビジョンを描き、新たなロジックを構築していく必要であり、そこにデザインを活用してい
く。【A社】
113
2 デザイン部門の位置づけ・活動
デザイン部門には、社内からの理解と連携を得て、企画・開発の一機能を担うとともに、
デザインマインドを社内に浸透する役割が期待されている
 デザインに期待される役割の拡大に伴い、社内のデザイン部門にも下記等の変化がみられている。
①デザイン部門の位置づけは経営課題に応じて変遷するが、
現在は、企画・開発機能(本社機能)に位置づけられる傾向あり
②他部門、他職種との連携・コミュニケーションをとりながら、
イノベーションを促進する役割が求められる
③デザインマインドを社内に浸透させる役割も担う
(デザインに対する社内の理解不足が有効な活動の支障となるため、経営者・社内からの理解獲得が重要)
【ヒアリング調査における企業コメント】

歴史的にはデザイン部門は本社のコストセンターとして発足したが、90年代にプロフィットセンターとなるべく分社化され、各事業部門に
近いポジションに配置された。近年再び本社コストセンターとして統合された背景には、新たな戦略事業にデザインが有効であること、全社
及び複数事業分野にまたがるテーマのデザインが重要となったこと等がある。【A社】

デザイナーは、新規ビジネスモデル開発等を担当する本部に属し、プロデューサーやディレクターとの密な連携・コミュニケーションに基づ
き、業務を行う。【K社】

デザイン部門の役割として、イノベーション事例を創出していくとともに、“デザイン思考”を全社に拡げ、根付かせていくことを期待されて
いる。【A社】
114
3 デザイナーの業務と期待される能力
デザイナーに求められる能力は多様化・高度化している
 デザイナーが幅広い業務範囲・業務内容を手掛けるようになるに伴い、デザイナーに期待される能力も多様化・
高度化している。ヒアリング調査から、その方向性を以下に示す。
①幅広い業務範囲・業務内容を手掛けるようになっている
(プロダクト、サービス、ソリューション、UI/UXデザイン等)
②事業企画者として、企画力・社会課題解決力等をベースとした、
トップダウン的な思考に基づくデザイン活動も必要とされている
③社内外のハブ役・ファシリテーター役となることが望まれている
④世の中の流れを俯瞰し、未来を創造する機能が期待されている
【ヒアリング調査における企業コメント】

デザイナーの持つ思考の展開力やアイデア発想、ビジュアル化等の能力を活かして、新事業・新製品の企画立案や、製品等の高付加価値化に
寄与することへの期待が高まっており、求められる能力は高度・多角的・複合的になっている。【N社】

未来を想像できるというのがデザイナーの職能である。デザイナーには世の中の流れを俯瞰的にみて、どのように価値観やニーズが移行する
かを考え、ビジュアルをもって示すという役割を期待している。【P社】
115
4 製品・サービス開発へのデザイナーの関わり
製品・サービス開発の上流工程から参画し、仮説・検証等を繰り返す
 製品・サービス開発へのデザイナーの関わり方として、上流工程からデザイナーが参画する、発想・仮説・試
作・検証等を繰り返しながらイノベーションに結びつける等の方法論がとられている。
①上流工程から製品・サービス開発へ関与
②デザイン思考アプローチ(発想、仮説、試作、検証等を繰り返すアプローチ)の導入
【ヒアリング調査における企業コメント】

デザイナーが上流段階から関わるよう開発体制を見直してきたことで、開発成果が相次ぐようになった。顧客が体験する価値をど
のように伝えるかがデザインの重要な役割となっている。そのような視点で開発を支援できる体制を整備している。【D社】

デザイナーは、営業スタッフと(あるいは単独で)顧客を訪問し、お客様の困りごとを聞き出すとともに、デザイン面、コスト面、
生産面等からの解決策を提案する“クリエイティブ営業”としての活動を行っている。【B社】

製品を作り上げるためのデザイン、フィールド試験、開発、量産等の各工程において、デザイナーは都度「仮説-検証」サイクル
を回していく。【G社】
116
5 デザイナーの育成
デザイン機能の拡大に伴い、高度なデザイン人材が不足し、その育成が課題に
 デザイナーの果たす役割・機能が多様化・高度化するにつれ、高度な能力を有する人材が不足しており、その確
保・育成が必要とされている。ヒアリング調査結果から、その方向性を以下に示す。
①エース人材が不足
(戦略設計、プロデュース、コーディネート等の能力を備え、イノベーション創出の核となる人材)
②UI/UXデザイン能力向上が課題
③製造・サービス等の現場にまで精通したデザイナー(クリエイティブ営業機能)が重要
(特に中小・中堅企業)
【ヒアリング調査における企業コメント】

育成面での課題は中堅人材(35歳前後~)の能力向上である。35歳くらいから40歳台は、脂が乗ったエース世代となってもらいたい。その
ためには、ビジネスに対する理解、デザインによる課題解決に向けた提案能力、ビジネスコミュニケーション能力、プロジェクトマネジメン
ト能力等を身につけて、デザイナーからアートディレクターへとステップアップしていかなければならない。エース人材の育成・活性化は、
若い世代にキャリアパスイメージを与えることにもつながる。 【K社】

UIデザイナーをどう育てるかが課題になっている。社内のUIデザイン人材も少ないが、大学にも少ない。UIデザイナーは海外にはいるが、
日本でも底上げができないかと考えている。【H社】
117
6 デザイナーの評価・報奨
大企業を中心に評価制度の確立が進むが、評価結果の報奨への反映等に課題も
 デザイナー向けの評価制度の体系化は難しい課題であり、整備が十分に進んでいない状況がうかがえる。その中、
大企業を中心に、評価方法を構築し、全社評価システムとの整合を図る取組も見られている。
①デザイナー向けの体系だった評価制度を持たない企業も少なくない
②大企業を中心に、デザイナー向けの評価方法を体系化し、
全社評価システムと整合をとっている事例もみられる
③デザイン賞受賞、知財取得等も評価指標の一つに
④評価優秀者には、表彰や報奨金等の一時的な報奨形態で対応することが多い
他部門とのバランスもあり、昇格・昇給で報いることは難しい
【ヒアリング調査における企業コメント】

デザイナーのための体系だった評価・報酬制度はない。企業全体の評価・報奨制度の仕組みの中で、専門職であるデザイナーをど
のように位置づけていくかは難しいテーマである。【D社】

デザイナーの評価はデザイン評価、プロダクト評価、コントリビューション評価の3つからなる。デザイン評価では商品のクオリ
ティ、デザイン品質を評価。プロダクト評価では新しい事業のブランディング、ビジネス提案等、コンセプトとしてよいものを評
価する。コントリビューション評価はデザイナーの行動評価である。【H社】

評価優秀者に対しては、社内表彰、報奨金支給等の手段で報いている。一方、他部署とのバランス等もあるため、またデザイナー
は比較的年齢が若いため、昇進・昇給にはなかなか直結させられない状況がある。【F社】
118
7 外部デザイナーの活用
社内外のデザイナーを含めた最適配置・最適役割分担が重要
 社内デザイナーの業務範囲や、求められる役割が拡大する中、外部資源も含めたデザイン推進体制の最適化が模
索されている。
①外部デザイナー活用の目的は、業界トップレベルの発想、高度なスキルの獲得、
コスト削減、社内のしがらみの打破等、多様である
②一方、外部デザイナーを活用しない理由は、
社内デザイナーと同等のデザイン理念、製品知識、スキルを期待することが難しいため
③社内外のデザイナーの最適配置、最適分担等が重要となっている
デザイン責任者は社内外のデザイナーのハブとなる役割も担う
【ヒアリング調査における企業コメント】

外部デザイナーは、国内のトップクラスに依頼している。トップデザイナーのエッジの効いたアイデアを求めている。【C社】

コスト削減が見込めるデザイン業務・領域においては、外部デザイナーも活用している。【K社】

外部デザイナーの活用は考えられない。デザイナーは基本的には自社で採用し、研修を経て企業理念を体得し、社内で育てるという考えで
ある。【P社】

社内デザイナーですべての業務を行っているわけではなく、常時外部リソースを活用しながらデザイン活動を進めている。各分野で強みを
持つデザインパートナー会社と協力しながら一つの仕事を完遂しており、その際のハブ的な役割をデザイン部門が担っている。【N社】
119
8 デザインが企業経営に及ぼす影響
ブランド力向上、売上増大、下請け脱却等の効果創出にデザインが寄与
 ヒアリング調査では、デザインが企業経営に及ぼす影響として、下記等の効果が挙げられている。
①ブランド力・顧客満足度の向上
②売上の増大
③自社製品の開発による下請けからの脱却(特に中小・中堅企業)
【ヒアリング調査における企業コメント】

デザインが経営に及ぼす効果としては、売上台数・金額・シェア等の増大への貢献や、ブランド価値向上、顧客満足度向上、知財
獲得等が挙げられる。【E社】

最も大きかった変化は、請負型事業(下請けビジネス)から提案型事業(お客様のパートナー)への転換である。従来は請負型で、
価格決定権はなく、完成品が何の「部品」に使われるかもわからず、取引先との交渉も値引きについてしかなかった。当社にブラ
ンディングできる技術と感性があるとお客様に認めてもらうことにより、パートナーとして企画段階からともに議論し、新たな価
値を有する製品を次々と開発するサイクルが確立できた。【B社】
120
9 デザイン投資の効果評価
デザイン投資の効果評価は、ブランド向上、売上増への貢献度等を指標として、
定性的・総合的に判断されていることが多い
 ヒアリング調査では、デザイン投資効果の評価・判断の現状につき、下記等の意見が得られた。
①効果評価未実施の企業も少なくない(金額ベースの費用対効果評価はほとんど行われていない)
②効果評価の指標は、①顧客満足度/ブランド向上、②売上への貢献度
③次年度のデザイン投資額は、デザイン部門の活動成果を定性的・総合的に判断して
決定されることが多い(将来的には定量化の可能性も)
【ヒアリング調査における企業コメント】

現状ではデザインの費用対効果の算定は行っていないが、将来的には必要と考えている。【M社】

デザインの費用対効果は、デザイン費用と売上増大効果等の金額換算ベースで単純に算出できるものではない。【D社】

事業部や製品等の単位で、デザインが売上台数・金額・シェア等の増大に貢献した効果や、ブランド価値向上、顧客満足度向上、
知財獲得等にもたらした効果と、デザインに要した費用を天秤にかけ、デザインの費用対効果を定性的に判断することは行われて
いる。【E社】

デザインの主目的は新製品開発にあるため、デザインがうまくいっているかを判断するKPIとしては、「過去3年間(及び1年間)
に開発した新製品が、売上の30%(10%)に達しているか」という指標を重視している。この指標が着実に向上しているならば、
現在のデザイナー人件費比率を高めるという経営判断はあり得る。【G社】
121
10 デザイン投資拡大に向けた政策ニーズ
普及啓発、人材育成に関する政策ニーズがみられる
 アンケート調査、ヒアリング調査からは、以下の政策に対する要望が多くみられた。
①デザインの重要性に関する普及啓発
 経営層、一般社員、学生等に対し、デザイン思考導入・デザインマインド浸透の重要性を普及啓発する活動。
 デザインに対する社会や消費者・生活者の意識を高める活動の充実は、必然的に彼らを顧客とする企業のデザイ
ン活動の活性化に結びつくと期待されている。
②高度デザイン人材の育成
 高度な能力を有するデザイン人材が不足しており、特に下記の人材の育成が求められている。
 エース層:戦略設計、プロデュース、コーディネート等の能力を備え、イノベーション創出の核となるデザイン人材
 UI/UX人材:ユーザーに経験・価値を提供する能力を持つデザイン人材
【ヒアリング調査における企業コメント】

企業側、制作側の双方に対して、デザイン思想・活用の重要性を理解させ、日本のデザイン領域の価値を向上させていくことが重
要である。【K社】

ユーザー視点、テクノロジー視点、ビジネス視点の3つを兼ね備えた人材は稀有・貴重であり、このような人材を育成していくこと
が課題である。【A社】

デザイン業務別には、UIはできるがUXはできない人材がまだ多い。ここ数年は、UX能力を獲得することが重要となる。【K社】
122
Ⅱ章 事例調査(事例集)
123
調査方法
(1)海外事例調査
文献及びホームページ等を参考に、デザインを活用したイノベーション創出を実現している企業を抽出。情報を収集
し、事例としてとりまとめた。
参考資料一覧(海外事例調査)
Air New Zealandホームページ、Bank of Americaホームページ、Bespoke Innovationフェースブック、IKEAホームページ、The LEGO
Group「The LEGO Group 2013 –responsibility impacts」、 The LEGO Group 「Progress Report 2012」、Starbucksホームページ、
Next Doorホームページ、Tescoホームページ、TravelVisionホームページ、Business Design Associationホームページ、IDEOホーム
ページ、Fast Company & Inc.ホームページ、greensjp ホームページ、Designorate.comホームページ、Wired Company & Inc. ホー
ムページ、日経デザイン「実践 デザイン・シンキング」(日経BP社)
(2)国内事例
文献調査及びアンケート調査から、デザインを活用したイノベーション創出事例を抽出。後述のヒアリング調査にお
いて関連情報を収集し、対象企業の監修の下、事例としてとりまとめた。
124
Ⅱ-1 海外事例
125
Air New Zealand
直
面 課
し 題
た
新たな長距離移動のあり方をデザイン
需要拡大に向け、搭乗体験の質を高める方策が必要だった
 航空会社間競争が激化する中、量より質を求めるニュージーランド訪問客に対して、搭乗体験の質を向上し、需要を拡大
する取組が必要だった。
 2011年11月の新機種“ボーイングB777-300ER”の導入は、そのような取組を打ち出す好機だった。
搭乗時間を快適にするための新型シート等の導入
行
っ
た
取
組
 長距離移動のあり方を見直し、新型シートを含む搭乗空間や登場体験を設計。リラックスし、ゆっくりと時間を過ごすこ
とを重視するニュージーランドの国民性・文化もデザインに取り入れた。
 エコノミークラスには、 3つのシートが前の席の背もたれ部分まで水平になる“スカイカウチ”を導入。カップル・夫婦・小
さな子供連れのファミリー層に訴求した。2名での利用時は3席目を半額にする等、料金面でも工夫した。
 プレミアム・エコノミークラスには、ビジネスクラスに匹敵するシートを導入。窓側2列はプライバシーを確保しやすく、
中央2列は2名でゆったり利用できる配置とした。
 サービス面でも飲食物のオンデマンドサービスを導入する等、搭乗時間が快適な一刻となるように配慮している。
創
出
し
た
価
値
“リラックスできる長距離移動”という価値を具現化
【企業プロフィール】
 窮屈を強いられていたフライトを、リラックスした時間へと変化させる
という価値を創出。展示会に出展する等、新たな長距離移動のあり方を
世に打ち出し、同社のブランドイメージの向上をもたらした。
オセアニア地域を中心に欧・米・亜への航
空サービスを提供する航空会社。ニュー
ジーランドらしいサービスの提供を企業理
念とする。
 同機は欧米路線のほか、日本路線にも導入されている。
1940年設立。本拠地はニュージーランドの
オークランド。
【参考URL】
エコノミークラスの“スカイカウチ”:http://www.airnewzealand.com/777-200-experience
プレミアムエコノミークラスのシート:http://www.airnewzealand.com/777-200-premium-economy#premiumeconomy
126
Bank of America
直
面 課
し 題
た
人々の貯蓄形成に資するサービスをデザイン
顧客行動観察の結果、重要顧客ターゲット層で多くみられる貯蓄行動を発見
 Bank of Americaの商品開発チームは、デザインコンサルティング会社であるIDEOの協力を得て、フィールドワーク、エ
スノグラフィによる顧客行動調査を行った。
 その結果、同行の重要ターゲットである45歳以上、女性、子供ありの層で、買物から帰るとつり銭(特にドル以下の小
銭)を瓶(貯金箱)に入れ、瓶が一杯になると銀行に持ちこみ口座に入金するという行動が多く観察された。
顧客の貯蓄行動をサポートする“仕組み”を構築し、サービスとして提供
行
っ
た
取
組
 Bank of Americaでは、上記の顧客行動を支援するサービスとして、“Keep the Change”(お釣りは取っておいて)をデ
ザイン。当座預金・貯蓄口座連携サービスとして2005年10月に提供を開始した。
 このサービスを利用する顧客がデビットカードを用いて買い物をすると、同行は支払金額のセント単位の端数をドル単位
に切り上げて普通口座より引き落とし、その差額を自動的に貯蓄口座に振り込む。
 多くの人が瓶を用いて行っていた貯蓄行動を、デビットカード、貯蓄口座を用いた仕組みとして具現化。手間もかからず、
知らず知らずのうちにお金が貯まっていくという、単純だが訴求力の高いサービスとして実現させた。
顧客からの絶大な支持を受け、短期間に多くの口座を獲得
創
出 価
し 値
た
【企業プロフィール】
 人々の貯蓄形成を支援する本サービスに対し、市場からの共感は強く、プロ
グラム開始から1年もたたないうちに約70万の貯蓄口座、約100万の当座
預金口座が新たに開設された。
世界有数の銀行。40か国以上に拠点を
展開。世界中の有力企業、機関投資家
との取引を有する。
 ビジネスイノベーションに関する賞を受賞する等、プロモーション面でも大
きな効果が得られた。
1928年設立。本社はノースカロライ
ナ州シャーロット。
【参考URL】
“Keep the Change”プログラム:https://www.bankofamerica.com/deposits/manage/keep-the-change.go
127
Bespoke Innovation
特注・安価・ファッショナブルな義肢を開発
カスタムメイド、安価で、ファッショナブルな義肢がなかった
直
面
し
た
課
題
 従来の大量生産型の義肢は、多様な体型・好み・ライフスタイルを有するユーザーの細かなニーズに的確には応えてこな
かった。
 一方、オーダーメイド義肢は高価で、多くの人が利用できるものではなかった。
 自身の障害や義肢を隠したがるユーザーもみられるが、そこには義肢の見た目(肌に似せようとして不気味になってしま
う等)が関係している。
3Dスキャン・プリント技術等を駆使した新製造方法を開発
 3Dプリンティング等の先端技術を活用し、各ユーザーの体型・感覚に合った義肢を、短期間で仕上げることに成功。
行
っ
た
取
組
 失われていない脚を3Dスキャン。また脚部組織の柔らかさ・硬さ等を測定することにより、復元すべき脚の3Dモデルを
作成する。これらのデータを基に、ユーザーのライフスタイル等を加味した上で使用する素材を決定し、3Dプリンターに
より形状化する。
 デザイン過程では、ユーザーとデザイナーとのコミュニケーションに時間をかけ、ユーザーの好みやライフスタイルに応
じて、様々なバリエーションの中から最適な義肢を作製していく。
 一方で、FDA(米国食品医薬品局)の認可取得等、実用化に向けた課題は少なくない。
創
出
し
た
価
値
義肢を医療器具からファッションアイテムへと転換
 ユーザーの身体データに基づいて作製された義肢は、無理なく身体に
フィット。
 職人によるオーダーメイドに比べ、価格を1/10にまで抑えた。
 意匠性の高いファッショナブルな義肢に対する満足度向上もみられる。
【企業プロフィール】
工業デザイナーのSummit氏と整形外科医の
Trauner博士により設立された、義肢の設計・
製造を手掛けるベンチャー企業。各ユーザーの
ニーズに合った安価な義肢づくりを目指す。
カリフォルニア州サンフランシスコを本拠とす
る。Bespokeは古い英語で「特注」を意味する。
【参考URL】
Bespoke Innovationフェイスブック:https://www.facebook.com/Bespoke-Innovations-209851012376206
128
IKEA
イケアとお客様が力を合わせて高品質低価格を実現
革新的な製品を安く売るため、コストのかからないデザインが必要とされていた
直
面 課
し 題
た
 イケアでは、お客様に革新的な製品をできるだけ安く提供することを企業使命としている。
 幅広い顧客層に対して創造的な製品を売るための重要課題の一つが「価格」である。この課題を解決するため、デザイ
ナーは、 “コストがかからないデザイン”を徹底追求している。
イケアとお客様が力を合わせることで、お金を節約しながら優れた品質の製品を提供している
行
っ
た
取
組
創
出
し
た
価
値
 イケアが考える優れたデザインとは、フォルム・機能・品質・サステナビリティ・低価格を適切に組み合わせたデザイン
であり、同社ではこれを“デモクラティックデザイン”と呼んでいる。
 同社製品にはフラットな梱包方法が用いられていることが多いが、これはできるだけ保管や運送に係るコストを削減する
ための工夫である。また、既成概念にとらわれず、梱包用の箱をなくす工夫も行っている(ランパンテーブルランプ等)。
 お客様には製品の組立を行ってもらう等、イケアとお客様が力を合わせることで、優れた製品を安く提供することを可能
としている。
デザイン面での挑戦の繰り返しが、企業の競争力を高めた
 革新的なデザインを低価格で実現するためには、人一倍の工夫が必要となる。
この努力が同社をトップクラスの企業へと成長させている。
 上記取組は製品の低価格化をもたらすだけでなく、保管場所の削減、物流ト
ラックや燃料の削減等を通じて、同社の環境保全に関する目標達成にも貢献
している。
【企業プロフィール】
世界最大の家具製造・販売店。43か国
で事業を展開。
独自のデザイナーを抱え、商品企画か
ら製造・販売までを一気通貫で行うビ
ジネスモデルが特徴。
1943年創業。本拠地はスウェーデン。
従業員数約15.5万人。
【参考URL】
イケアのデモクラティックデザイン:http://www.ikea.com/ms/ja_JP/this-is-ikea/democratic-design/index.html
129
LEGO
直
面
し
た
課
題
デザインを通じて、子どもにやさしいおもちゃを開発・提供
企業理念「レゴの約束」を基に、企業経営の全工程の見直しを図る
 レゴ社では、世界有数の玩具メーカーとして、世界中の子どもが安全に、想像力を働かせながら遊ぶことができる社会を
実現・維持していくために何ができるかについて考え、行動することが必要とされていた。
 「遊び」、「地球」、「パートナー」、「人々」に向けた4つの約束(“レゴの約束(LEGO Promises)”)をサステナビリティ原則
として掲げた。このうち「地球への約束」では、子どもの安全を守り、子どもの成長する権利、自然をいつくしむ権利を尊
重することをうたっている。
子どもの体にやさしく、環境負荷が少ないおもちゃを開発
行
っ
た
取
組
創
出
し
た
価
値
 「レゴの約束」に沿って、すべての企業活動の見直しを図っている。商品開発工程やその根幹を担うデザイン業務もこの例
外ではない。
 例えばレゴブロックの車輪部分に従前使われていた金属の車軸は廃され、車輪をブロックに直接取り付けるデザインへと
変更されている。
 新規性・創造性に満ちたデザインの追求ばかりでなく、対象顧客(子ども)とそのニーズを熟知し、将来子どもたちがど
のような環境のもとでレゴブロックとともに遊んでいてほしいかをイメージすることが重要とされ、デザイン・製品コン
セプトの設定に活かされている。
やさしいおもちゃへの安心感とともに、
商品価格下げ、環境負荷低減、顧客満足度向上等に貢献
 子どもにやさしいおもちゃ(金属を使わないことによる安全性向上、金属アレ
ルギーへの配慮等)、環境にやさしいおもちゃ(リサイクル率100%)を提供。
 このデザインの変更により、商品価格を下げるとともに、環境負荷を10~20%
低減した。このような取組も奏功し、全社の顧客満足度(NPS値)は近年高水
準で推移、リサイクル率も90%超に達している。
【企業プロフィール】
レゴ®ブロックを代表製品とする
世界有数の子供向け玩具メーカー。
1932年設立。本拠地はデンマーク。
米、英、中、シンガポールに主要
オフィスを構える。
売上高は28.6bDKK、従業員数
約12,600人(2014)。
【参考URL】
“レゴの約束”(右記ファイルのp.8):http://cache.lego.com/r/www/r/aboutus//media/about%20us/media%20assets%20library/progress%20report/lego_group_responsibility_infographics_2013.pdf
130
Starbucks
直
面 課
し 題
た
地域密着型の店舗デザインでお客様の共感をつかむ
業界トップに対抗する新たな売上拡大方策が必要とされていた
 Starbucksの店舗数は2000年台半ばに飛躍的に拡大。店舗網はアジアや南米等、世界中に広がっていった。
 その後リーマンショックに伴う業績の悪化で約600店を閉鎖。顧客調査の結果、「Starbucksはどの店舗に行っても同じ」
でファストフード店の代名詞とみなされていた。この状況からの脱却が急務となっていた。
地域・利用者の特性を踏まえた、店舗デザイン改革に着手
 小規模に事業を展開していた1970~80年代、Starbucksは“近所のコーヒー店”として市民に愛されてきた。この原点に
回帰するため、店舗デザインの改革に着手。
行
っ
た
取
組
 それまで本社に勤務し、自身がデザインする店舗がある地域に足を運んだこともなかったデザイナーたちを、各地に転属
させることから開始した。
 各地域の特性を知るにつれ、デザイナーたちは地域の気候を踏まえたデザインを行うようになった(例:南部では涼しい
素材の椅子、ビーチでは砂・塩に耐性のある什器を採用する等)。また店舗デザインに地域のストーリー(例:ニューオ
リンズではトランペットの形状をした照明を設置する等)や、市民のコーヒー店の利用スタイル(例:NYではテーブル席
に他人同士が隣り合って座ることを厭わない。大グループでの来店が多い中国では人数に合わせて席をアレンジするため
の一人掛け椅子が有効等)を反映させるようになった。
 さらに、車内でコーヒーをというニーズを捉え、ドライブスルー型の店舗を開発。今後、多くの新店舗で導入予定である。
創
出 価
し 値
た
心地よい“近所のコーヒー店”というブランドイメージを再構築
 地域や利用者の特性にマッチした店舗デザインを通じて、利用
者に“心地よい、お気に入りのコーヒー店”として再認知しても
らうことで、Starbucks のブランドイメージ向上に結び付くこ
とが期待されている。
【企業プロフィール】
世界最大手のコーヒーチェーン企業。67か国で
22,000店超を展開。
1971年創業。本拠地はワシントン州シアトル。全
世界の従業員数は14万人超。
“シアトルスタイル”と呼ばれるカフェブームを創出。
【参考URL】
ニューオリンズ フレンチ・クオーターの店舗:https://news.starbucks.com/news/starbucks-unveils-new-store-inspired-by-new-orleanscoffee-heritage-and-art
ドライブスルー型店舗:https://news.starbucks.com/news/seattles-best-coffee-ready-to-open-the-drive-thru-windows-of-10-new-locatio
131
State Farm Insurance
直
面
し
た
課
題
市民と企業の接点となる“場”をデザイン
若年層に、保険を身近に感じてもらう必要があった
 自動車保有率の低下、自動車の安全性の向上、カーシェアリングの普及等、近年の経済社会の変化は、自動車保険を主
力サービスとするState Farm Insurance社にとって厳しいものであった。
 既存顧客層からの収入が伸び悩む中、新たに若い世代の顧客層を開拓する必要が生じていた。ところがこの若年層は、
保険会社は威圧的で、自分たちとは無関係のサービスを販売しているというイメージを持っていることが判明した。
市民と企業との接点となるコミュニティスペースをデザイン
行
っ
た
取
組
 市民が保険や金融について学ぶことができる場所を地域に設置することを発案。実験的にスペースをつくり、若者と一
緒にどのようなサービスを提供すべきか、試行錯誤を通じてデザインしていった。
 2011年にシカゴ地域で「Next door」というコミュニティスペースを開設。金融のプロが、市民に対して、金融知識を身
に着けてもらうためのコーチングを提供した。無料で、かつ同社サービスに加入させようという圧力をかけずにコーチ
ングを提供することがポイントである。
 カフェ、Free-Wifi、金融関連図書コーナーを設置するほか、ヨガ教室等も開催。若者が立ち寄りやすく、長居しながら
学習できる環境の構築に努めている。
創
出
し
た
価
値
市民との関係性が深まり、企業イメージの向上につながった
【企業プロフィール】
 Next doorの開設後、8,000人のメンバー登録があり、1,200のコーチング
セッション、600の講義が提供された。Next doorはState Farm
Insurance社とコミュニティの間の関係性を深める場となった。
北米有数の保険相互会社。保険・金融・
投資等の分野で多様な製品・サービスを
展開する。
 地方紙・全国紙等のマスコミに称賛をもって取り上げられ、企業イメージ
の向上につながった。
イリノイ州ブルーミントンを本拠地とす
る。従業員数は60,000人超。
【参考URL】
Next Door Chicago:https://www.nextdoorchicago.com
132
Tesco
直
面
し
た
課
題
バーチャルスーパーという新たな買物スタイルをデザイン
業界トップに対抗する新たな売上拡大方策が必要とされていた
 世界有数の売上高を誇るイギリスの小売店Tesco社も、進出先の韓国では競合のE-MARTに店舗数、売上高等で大きく水
をあけられていた。
 同社が手掛ける「Home plus」というディスカウントストアを、多大な費用と時間をかけて店舗数を拡大するという従
来手法によらずに、 E-MARTと比肩するレベルに高めることが必要とされていた。
実店舗を必要としない新たな販売方法“バーチャルスーパー”
行
っ
た
取
組
 2011年に同社がとった戦略は、「地下鉄のホームをバーチャルスーパーとしてデザインする」というもの。具体的には、
駅構内の壁に、スーパーの商品棚を描いた巨大なポスターを貼り付けて、仮想店舗を出現させた。
 取扱商品は生鮮食品・生活必需品等約500アイテム。各商品の写真にはQRコードがつけられている。買物客はこれをス
マートフォンで読み取り、ネット上で注文・決済を行うと、商品が自宅まで配送される仕組み。
 その後、同様の販売形態は、イギリス、中国の地下鉄や空港等にも展開された(トライアルを含む)。
通勤・移動時の“隙間時間に買物”という新たな価値を創出
創
出
し
た
価
値
 先進国の中でも労働時間、通勤時間が長い傾向にある韓国では、通勤・移動等
の隙間時間に買物ができる利便性が高く評価された。サービス開始後2カ月で、
ネットショッピングの登録者数は76%、売上は130%増加した。普段ネット
ショッピングを利用しない新規顧客層の獲得にも貢献した。
 インパクトのあるビジュアルにより、社会的関心を高めた。CMがカンヌ国際
広告祭2011でメディア部門グランプリを受賞、プロモーション効果も大きな
ものとなった。
 バーチャルスーパーという新たな買物スタイルのモデルを確立した。
【参考URL】
Tescoバーチャルストア:http://www.tescoplc.com/index.asp?pageid=17&newsid=593
【企業プロフィール】
世界有数の売上を誇るイギリスの大
手小売店。世界十数カ国でハイパー
マーケット、スーパーマーケット、
コンビニエンスストア等を展開。
1919年創業。本拠地はイングランド
ブロックスボーン。従業員数は約45
万人。
133
Ⅱ-2 国内事例
134
アイ・エム・ジェイ
UCDの手法を活用した顧客体験デザイン
顧客体験をデザインするコミュニケーションデザイン開発がカギに
直
面 課
し 題
た
“PANICOUPON”
 従来、WEBサイト制作が主であった市場が、デジタルを通して最適な顧客体験を実現
するデジタルマーケティング市場へ大きくシフトしている。
 WEBサイト制作の市場としては、2020年頃から市場の鈍化が予想されているが、デ
ジタルマーケティング市場においては、成長が期待できる。その一方で、差別化でき
るサービスを創出できる企業のみが生き残れる厳しい市場であるとも捉えられる。
企業とお客様とのエンゲージメントを高める仕組みをデザイン
行
っ
た
取
組
創
出
し
た
価
値
 メディアやデバイス、ビジネスモデル、消費者志向などの各分野が多様化・複雑化し
不確実性が増し続けるビジネス環境において、従来の”プロダクトアウト”型のアプ
ローチとは異なる”顧客中心”型のアプローチ、つまり顧客の求める本質的価値を中心
に据えて、その成立要件から逆引き的に製品やサービスを考えていく『顧客体験デザ
イン』が現在注目されている。
“タートルタクシー”
 IMJではこの顧客体験デザインによる最適な顧客体験を実現するための接点づくりを
UCD(ユーザ中心設計)のプロセスと手法をベースに提供。
 “PANICOUPON”(オキュラスリフト用実写映像を活用し、ゾンビが襲ってくるホラー
ムービーを見て上昇した心拍数に応じてクーポンを発行するプロモーションパッケー
ジ)、“タートルタクシー”(ゆっくり丁寧な運転を望む乗客向けに「ゆっくりボタ
ン」を社内に設置)など、各種デザイン賞を受賞した顧客体験デザインの施策を開発
実施した。
顧客から評価を受けるクリエイティブの実現
 利用シーンに応じた最適な顧客体験を設計し、体験価値をカタチとして創出。
 三和交通様の“タートルタクシー”では各メディアへの露出も影響し、タクシーの電話
予約本数113%UPを実現。
 TSUTAYA店頭誘引施策“PANICOUPON”では、イベント体験者がクーポンを使うこと
でホラーカテゴリーの売上げが通常時より飛躍的に向上。
【企業プロフィール】
業
種:IT業
事業内容:Webコンサルティング、
制作、運用
資 本 金 :43億1,046万円
従業員数:694名
所 在 地 :東京都目黒区
U R L:www.imjp.co.jp
135
exiii
デザインの活用により義手のイメージを刷新
既存の筋電義手には、価格の高さ、外観の一様性という特徴があった
直
面 課
し 題
た
“HACKberry”
 exiiiが開発を進めている“筋電義手”は筋肉が動く際に脳から筋肉に送れられる電気信号、
つまり“筋電”を利用して動かすタイプの義手である。
 このような義手には既存商品が存在するが、それらは特に高価格(1台数百万円)であり、
また人間の腕を模すことに重点が置かれているなどの特徴があった。
デザイン・3Dプリンタの活用により筋電義手を「気軽な選択肢」に
行
っ
た
取
組
 同社は過去に大手企業に属していた“ソフトウェアエンジニア”、“メカエンジニア”、“イ
ンダストリアルデザイナー”の3人が2014年に立ち上げたベンチャー企業である。3名
がそれぞれの技術を持ち寄って、「(義手に)気軽な選択肢を」をコンセプトに、手頃
な価格でデザイン性の高い義手の開発を進めている。初号機である「handiii」のほか、
実用性を高めた「HACKberry」等を発表している。
“オープンソースを活用した
外部でのHACKberry制作例”
 HACKberryは、高いデザイン性で注目を集めている。人肌を精緻に再現するのではなく、
むしろ、メカニカルなデザインにすることにより、これまでの義手に対するイメージを
刷新している。
 低コスト化に向けては3Dプリンタを活用。また、全世界のコミュニティーの力を借り
て開発を促進するため、設計情報やデザイン情報をオープンソース化して発信。3Dプリ
ンタを活用して世界中で筋電義手を作成できる環境を構築し、ユーザーとともに開発を
進めている。
障害者と健常者の関係性に変化をもたらす
創
出
し
た
価
値
 3Dプリンタの活用などにより低コスト化に成功。
【企業プロフィール】
 デザイン性の高い筋電義手は、健常者と障害者の関係性に変化をもたらしている。通常、
義手使用者に対して握手を求めるということは起きにくいが、 HACKberryの場合には、
健常者から率先して握手を求めてくるという。
業
種:製造業
事業内容:電気機械器具の製造・販
 HACKberryの設計・デザイン情報のオープンソース化により、exiiiの外で、新たな
HACKberryが創出されている(例 ポーランドで子供用のHACKberryが誕生)。
企画、制作及び販売 など
従業員数:3名
所 在 地 :東京都千代田区(秋葉原)
U R L:http://exiii.jp
 ユーザーと一体で開発を進めることにより、新たなコミュニティーも創出。
売、工業・商業デザインの
136
コクヨ
企画力・総合力で新たな製品用途・カテゴリーを開拓
差別化が困難な時代に、新しい企画提案が必要とされていた
直
面
し
た
課
題
 ステーショナリー、ファニチャーの業界では、テクノロジーと設備さえあれば類似
品・模倣品をつくることが可能であり、製品差別化が難しくなっている。
 その中で、企画力とデザイン力の双方を兼ね備える企業が業績を上げている。デザイ
ンだけでなく、全く異なる製品の使い方や、今までにはなかった製品カテゴリーを企
画提案することが求められるようになっている。
 表層的なデザインに加え、新たな企画提案を行うために、社員の能力向上が必要とさ
れていた。
社員の企画力と総合力を磨く、種々の取組を実践
行
っ
た
取
組
 これからのデザインには、企画力、総合力が重要との認識の下で、社員の採用では、
専攻よりも、創造性、企画力、想像力、アイデアの発展力を重視する方針を採り、デ
ザインや企画を行う社員には、専門の力をつける為の研修等も用意している。
遺言書キット
 デザインありきではなく、顧客の見つけ方や優れたアイデアにデザイナーを参加させ
ることで、総合的に優れた商品を作り上げている。
 使う人の視点で優れた商品デザインを広くユーザーから集め、商品化を目指すコンペ
ティション「コクヨデザインアワード」を主催。ユーザー起点の研究開発の一環とし
て、注力している。
商品企画力で新たな市場を開拓、新シリーズに発展
創
出
し
た
価
値
コクヨデザインアワードから商品化された作品
(カドケシ、ビートルティップ)
 コクヨデザインアワードからは、“カドケシ”、“ビートルティップ”等、数々の新商品
が生まれる。
 文系大出身社員が企画力を発揮し、誰でも簡単に遺言書をつくるキットを考案。デザ
イナーも参加し、文具メーカーのノウハウを活用して商品化。予想以上の反響を得た。
若年層が生活・安心のために気になっていることを整理するための新たな文具「ライ
フイベントサポートシリーズ」へと発展した。
【企業プロフィール】
業
種:文具・オフィス家具製造業
事業内容:ステーショナリー関連事業、
オフィス家具、公共家具製
造・販売、ファニチャー等
従業員数:6,673名(連結)
所 在 地 :大阪市東成区
U R L:www.kokuyo.co.jp
137
スノーピーク
直
面
し
た
課
題
ユーザーによる、ユーザーのためのデザイン
オートキャンプという新領域を提唱、当該市場開拓を企業使命に
“ラウンジシェル”
 SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)を走らせ、自然の中で豊かな時間を過ごす
“オートキャンプ”という新しいスタイルを提唱。
 自らオートキャンプ製品の愛好者として、感動を呼ぶ製品・サービスを提供することを
企業使命とし、新事業領域の確立・拡大に注力。
“世界で一番ユーザーに近い企業”としてのデザイン努力
 徹底してユーザーの立場に立った製品開発を行うこと、開発製品を自らフィールドで仮
説検証することを社の根本精神とする。
行
っ
た
取
組
 1製品に対し1人のデザイナーが、商品企画、デザイン、設計、金型製作、パッケージま
でを一気通貫で担当。デザイナーは製品を作り上げる工程で4つ(①デザイン、②フィー
ルドテスト、③開発の各工程、④量産時)の仮説-検証サイクルを回す。自らが使い手
として心から欲しいモノであるか、ユーザーの期待以上のモノであるかを常に自問しつ
つデザインを行っている。
“半ソト空間”
 ユーザーと社員が一緒にキャンプを楽しむイベント“Snow Peak Way”を開催。経営課
題やユーザーニーズを詳細・具体的に把握する場としている。
 その結果、品質へのこだわり、製品の永久保証とアフターサービスの充実、テントや
テーブルをシステムとして接続して使えるようにするための共通寸法規格の策定等、画
期的なビジネスモデルを生み出している。また、テント内に炭火スペースを設けた“ラウ
ンジシェル”等、世界初の製品を提供し続けている。
創
出
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値
熱烈なファン層をつかみ売上増を実現、新領域にも取り組む
 市場の伸びを大きく上回る売上成長率を記録。スノーピーク製品を熱烈に支持するユー
ザーは「スノーピーカー」と呼ばれ、同社の売上を支える。2014年12月に東証マザー
ズに上場。翌年2015年12月には東証一部に市場変更。
 新領域として“アーバンアウトドア”に着目。マンション1階住戸の居室内部と専用庭にア
ウトドア空間をつくりだす“半ソト空間”を開発。
【企業プロフィール】
業
種:製造販売業
事業内容:アウトドア用品、ナチュラルライフスタイル
プロダクツの企画開発・製造
販売
従業員数:198名(15/12/末 連結)
所 在 地 :新潟県三条市
U R L:www.snowpeak.co.jp
138
スマイルズ
デザインがトリガーとなりオンリーワンブランドを構築
多様な業種展開の中でオンリーワンブランドを構築するために
直
面 課
し 題
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組
行
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た
取
組
 スマイルズは「Soup Stock Tokyo」、ネクタイブランド「giraffe」、「セレクトリサイクルショップ」、ファミリーレストラン
「100本のスプーン」、「スマイルズ生活価値拡充研究所」など多様な業種展開を行っている。
 多様な業種を展開しつつ他社と比較できないオンリーワンブランドを構築するため、「世の中の体温をあげる」「生活価値の拡充」
「5感」というスマイルズが大切にしている3つのことをいかに実践するかが重要視されていた。
デザインは事業づくりの前提
Soup Stock Tokyo
 デザインコンサルティングのキャリアを有する野崎氏が取締役として就任。野崎氏就任を
きっかけに、“スマイルズのコアコンピタンスはクリエイティブである”ことが共通言語と
なった。ユーザーが受ける印象や感覚をクリエイトすること、誰もがユーザーであり感覚
を研ぎ澄ませればできるという認識が社内に浸透した。
 野崎氏は、ブランドとユーザー間に存在する印象や感覚を「文脈」と呼んでいる。その文
脈づくりのためにデザイナーがイメージをつくる。人のイメージに近づけられるのはデザ
イナーだという考えから、絵や制作物などでアイデアを具現化した。アイデアを具現化す
ると、それを軸にまたアイデアが出て、それを再度具現化する。そのサイクルを繰り返す
こともデザイナーの役割と位置づけた。
100本のスプーン
 スマイルズは、新事業開発においてマーケット分析は行わず、自分たちの感覚から事業可
能性を判断している。ターゲットを明確にして意識や感情をイメージし、「これを提供し
たら喜ぶだろう」と考えることがビジネスの起点となった。ターゲットを「このように感
じさせたい」ではなく、「こう感じるはずだ」という発想を重視するようになり、デザイ
ンが全事業の前提であり核となった。
デザインがトリガーとなり新たな価値を創出
創
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価
値
 業績が思わしくなかったファミリーレストラン「100本のスプーン」の新店舗展開では、
“コドモがオトナに憧れて、オトナがコドモゴコロを思い出す”という言葉と共にお父さん
を真似て髭を剃るふりをする子供の絵が描かれた。
 そのイメージがきっかけとなり、子供を少しだけ大人の気分にさせるファミリーレストラ
ン「100本のスプーン」二子玉川店がオープンした。ワインを真似たぶどうジュースも人
気メニューとなり、“懐かしいけど新しい”親子への体験価値を創出し、オンリーワンのブ
ランドが構築された。
【企業プロフィール】
業
種:サービス業
事業内容:飲食店・小売店経営
食料品・雑貨企画・
製造・販売等
従業員数:270名
所 在 地 :東京都目黒区
URL:http://www.smiles.co.jp/
139
ソニー
デザイナー自らの“体験”と“対話”から新たな価値を具現化
経営・事業とデザインとの“共通言語”が必要とされた
直
面
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た
課
題
 ソニーグループのデザイン機能を担う「クリエイティブセンター」では、経営層や事業部門等社内の多くのステークホルダーとの関わり合い
の中でグループ製品のインダストリアル、コミュニケーション、ユーザーインターフェースデザインを手掛けている。
 ソニーでは「世の中にないものをつくる」という思想が強い。そのような社風の中、デザイナーは自らのセンスと直感的発想から、美しく独
自性の高いデザインを生み出しているが、これらのデザインは論理性やプロセスでは説明しきれない要素を含んでいる。
 デザインで伝えたいことは、定量的データなどでは説明できないため、各ステークホルダーとデザイナーとが共通の課題認識を持ち“対話す
る”ことが重要とされていた。
デザイナー自身の体験とデザイナー間、事業部門間の“対話”を通して、デザインを最終化する
行
っ
た
取
組
 デザイナーは、商品を通して提供したい価値を明確にしたうえで、デザインに落とし込み、構造的な負荷がないか、手にしたとき・身
につけたときの使い心地はどうか、使い勝手はどうか等を、まず自分が体験・確認しつつブラッシュアップする。
 部門内ではデザイナー同士がよりよいデザインを生み出すために意見を出し合う審議を行い最終案を決定。事業部も交えた会議や製品
ファイナライズの前のレビューで対話を深める。さまざまな立場・世代の人が意見を出し合い、デザインを高めていくフローが確立さ
れている。
 経営層や事業部門とデザイナーの“直接対話”は、ソニーらしいものづくりへとつながり、商品化されている。
創
出 価
し 値
た
新たな体験デザイン、新たなデザイン領域を創出
 ハイレゾ対応の高音質なヘッドホンは、自分のスタイルを大切にしたいユーザーが自らの個性表現と合わせやすくするために徹底的に
シンプルにすることで、様々なユーザーの生き方に寄り添う、これまでにないデザインとなった。
 電子ブロック“MESH”は、難しいプログラミングや電子工作の知識を必要とせず、IoTを活用した仕組みも簡単に実現させることができ、
誰でも簡単に「あったらいいな」をつくることができる。
ハイレゾ対応ヘッドホン h.ear
TM
スマートDIYキット
MESH
TM
【企業プロフィール】
業
種:製造業
事業内容:モバイル、ゲーム&ネットワーク、イメージング・
プロダクツ、ホームエンタテインメント、デバイス、
映画、音楽、金融 等
従業員数:131,700名(連結)
所 在 地 :東京都港区
U R L:www.sony.co.jp
140
ダイキン工業
企業に貢献するデザイン部門のあり方を追求
従来のデザインアプローチに限界を感じていた
直
面
し
た
課
題
 ダイキン工業のデザイナー集団である先端デザイングループでは、従来のデザインア
プローチ(既存技術に立脚した課題設定、マーケティング調査の積み上げによるお客
様利便性向上策の検討等)では、イノベーションを継続的に創出することは難しいと
感じていた。
高齢者向けエアコン“ラクエア”
のリモコンを開発
 従来アプローチに加え、お客様に提供する“価値”、新たに創出する”ライフスタイル
“を提示し、お客様の共感を得ていくアプローチを模索していた。
デザイン部門の競争力を強化し、
企業経営に貢献するデザイン活動に邁進
行
っ
た
取
組
創
出
し
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価
値
 先端デザイングループでは、デザイン思考を導入し、“ものづくり(技術開発)”から“こ
とつくり(価値創造)”へのパラダイムシフトを図る取組を展開。
 デザイン領域を一歩踏み出て他領域の知見を高めることで、デザイナー個人や先端デ
ザイングループの競争力を高めている。
扇をコンセプトとした
“うるさら7”側面のデザイン
 高齢者にターゲットを絞ったエアコン開発(“ラクエア”)や、主力エアコンの大型モ
デルチェンジ(“うるるとさらら7”)のほか、世界最大のデザイン祭典“ミラノサロー
ネ”に出展し、ダイキンブランドをグローバルに発信する活動に注力。デザインの有効
性、先端デザイングループの存在価値を社内外にアピールした。
社内のデザインマインド向上に貢献
 デザイン業務を①プロダクトデザイン(造形を中心としたデザイン)と②サービスデザ
イン(サービス・ビジネスモデル等のデザイン)に分類。イノベーション創出等により
企業に大きく貢献するために、②サービスデザインの領域を重視したデザイン活動を
進めている。
 さらなる業績発展に向けて“変化”を目指す同社において、デザインが重要であるとの
認識を社内に広めている。
【企業プロフィール】
業
種:製造業
事業内容:家庭用・業務用の空調関連
商品の製造
従業員数:6,845名
所 在 地 :大阪府摂津市
U R L:www.daikin.co.jp
141
日本電気
デザインを活用しつつ新たなサービス・価値を創造
新事業「社会ソリューション」開発にデザインを活用
直
面
し
た
課
題
Social Value Designの事例
 成熟化社会となり既存事業からの大きな成長が見込めなくなる中、新顧客・
新市場の開拓に向け、新たなビジョンを描き、新たなロジックを構築してい
く必要があった。そのため、社会の課題を解決し、新たなサービス・価値を
提供する「社会ソリューション」への注力を全社戦略とした。
 複雑かつ潜在化する社会課題に向き合うためには、これまで市民・ユーザー
の立場(人間中心設計等)から課題発掘に取り組んできたデザイン部門のア
プローチが有効との判断の下、イノベーション創出に向け“デザイン”を活用
することを全社方針とした。
デザインセンター設置とデザイン思考の社内普及促進
行
っ
た
取
組
 2015年にデザインセンターを設置し、グループ内のビジネスデザイナーを集
結。全社注力事業の牽引やビジネスモデル創造の推進などを担う部門ととも
にイノベーションを興していく組織設計を図った。
 デザインセンターは、イノベーション事例の創出とともに、“デザイン思考”
を全社に拡げ、根付かせていくことを使命としている。また、デザイナーは、
組織横断的活動や、社外との”共創活動”におけるハブ機能として、ファシリ
テーションや要件整理、議論の拡散と集約、事業イメージの形成等を行う役
割を担っている。
 デザイン思考の社内浸透に向け、発想法の教育や共創ワークショップ等を実
施している。
社会の課題解決に資する新規ソリューションを創出
創
出 価
し 値
た
 アルゼンチン・ティグレ市の2030年ビジョン、空港ソリューション、セブン
銀行ATMの開発等にデザイン思考及びデザイナーが貢献。
 デザインセンターは現在、20本程度の新事業開発PJに深く関わっている。
【企業プロフィール】
業
種:製造業
事業内容:パブリック事業、エンタープライズ
事業、テレコムキャリア事業、シス
テムプラットフォーム事業(社会
ソリューション事業)
従業員数:98,882名
所 在 地 :東京都港区
U R L:jpn.nec.com/
142
パナソニック
直
面 課
し 題
た
全社デザイナーの行動指針となる哲学を再構築
経営のグローバル化に伴い、新たなデザインフィロソフィーが必要とされていた
 従前から、創業者の理念を踏まえた松下のデザイン方針(“用と美を極める”)があったが、これは日本語で、日本人が理解しやすい言葉
で、日本中心に書かれたものであった。経営がグローバル化する中で、数百人に及ぶ世界のデザイナーが行動指針とできる新たなフィ
ロソフィーが求められていた。
デザインフィロソフィー“Future Craft”を構築
行
っ
た
取
組
創
出 価
し 値
た
 2011年、パナソニックのデザインフィロソフィー“Future Craft”を構築。これは、SNSを通じて世界中のパナソニックのデザイナー
から募った意見を集約させながら、1年間かけて作成したものである。
 Future Craftは、「憧れを魅せる(革新)」、「誠実に造りこむ(日本のものづくり)」、「人を見つめる(ユニバーサルデザイン)」、「地球と共
に(エコロジー)」の4要素から成る。それぞれに具体的行動指針が記されているため、世界のデザイナーが、デザイン活動の拠り所と
できる内容となっている(行動指針は非公開)。
 Future Craftという語には、未来(future)と過去(craft)という意味が込められている。明るい未来へつなげる先進デザインと、こ
れまで培ってきた信頼と人への細やかな心配り。この二つを商品デザインとして表現し、洗練された丁寧なものづくりを行うことを目
標としている。 Future Craftは、パナソニックの全商品に一貫して用いられている。
デザインフィロソフィーの浸透が、対外的評価の高まりと新製品群の創出につながる
 デザインフィロソフィーの構築により、関係者から“パナソニックのデザインが一つ高みに上った”との評価をもらうようになった。デ
ザインに思想が盛り込まれたことにより、特に欧州等において対外的評価が上がった。
 近年、デザイン・シンキング等を取り入れた新たな製品群(三角形のフォルムのロボット掃除機“RULO”、高齢者向け家電シリーズ“J
コンセプト”等)が次々と創出されている。
“Future Craft”の内容
【企業プロフィール】
業
種:製造業
事業内容:アプライアンス、エコソリューションズ、
AVCネットワークス、オートモーティブ
&インダストリアルシステムズ等
従業員数:254,084名
所 在 地 :大阪府門真市
U R L:www.panasonic.com
143
福永紙工
直
面
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た
課
題
自由な発想でデザインされたオリジナル紙製品を展開
印刷業特有の受注生産体質から脱却する必要があった
“かみの工作所”
 福永紙工は、1963年創立の印刷会社。特色印刷や厚紙印刷、抜き加工、折り加工等を得
意とし多くの実績を積み重ねてきた。
 同社を含む印刷業は基本的に受注生産であり、同社も請負型業務がほぼ100%を占めて
いた。将来的な会社運営のためにも下請けからの脱却が求められた。
トップデザイナーとのコラボによりオリジナル紙製品を展開
 現代表の山田社長はアパレル業界の出身であり、ファッション業界の経験を活かし、新
事業を立ち上げた。そこには、何より“面白いことがしたい”という気持ちがあった。
行
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た
取
組
 まず開始した「かみの工作所」では、新しい紙の可能性を追求したテーマに基づき、外
部デザイナーが自由な発想でデザイン、それをもとに紙製品にしていった。製品化にあ
たっては、もちろん、同社が長年に渡って培ってきた印刷・加工技術が核となっている。
その結果、「空気の器」等の成功例が創出された。
“テラダモケイ”
 その後、「テラダモケイ」、「MABATAKI NOTE」等の新しい製品を次々と開発。外部
デザイナー、特にトップランナーのデザイナーとのコラボレーションにより“今までにな
い”紙製品を創りだしている。
 デザイナーにとって、同社のプロジェクトは、大きな制約なく自由な発想で取り組める
場。これは参加デザイナーのモチベーション向上にも繋がっており、プロジェクトの成
功要因のひとつとなっている。
創
出
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“空気の器”
新事業が既存事業を凌ぐまでに成長、受注生産からの脱却に成功
 現在、オリジナル紙製品の販売は、同社の核となる事業にまで成長している。
 「空気の器」が「reddot design award best of the best 2012」(ドイツ)を受賞。
またデザイン性の高い製品に敏感な国内外の美術館のショップ等が同社のオリジナル紙
製品を取り扱う等により知名度が向上。これにより既存の印刷事業の受注拡大にも繋
がっている。
“1/100建築模型用添景セット No.11 お花見編”
【企業プロフィール】
業
種:製造業、小売業
事業内容:紙製品の印刷・加工・販売
従業員数:43名
所 在 地 :東京都立川市
U R L:
http://www.fukunaga-print.co.jp/
144
本多プラス
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面 課
し 題
た
技術とデザインの力で、下請企業から提案型企業へと躍進
新成長分野の開拓に向け、“作る力”、“売る力”の両輪が必要とされた
 90年代前半、文書のデジタル化等により、売上の多くを依存していた修正液ボトルの需要減が見込まれていた。本多プラスの強みであ
る、多様な表現性が可能な「ブロー成形(中空成形)技術」を活かして取扱製品の幅を広げる必要があった。
 そのために、優れた技術(“作る力”)と販売力(“売る力”)が必要とされた。
技術とデザインの力で、自社製品を次々と開発・提案
 製品設計から素材開発、金型製作、成形機開発までを内製化し、一貫して手がける戦略拠点「ブローラボ」を設置。プラスティックネ
イルカラー容器として利用可能な、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂のブロー成形技術を世界で初めて開発する等、“作る力”を
向上させた。
行
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た
取
組
 自社製品の開発に向けデザインを重視。デザイナー採用を開始し、デザイン部門「クリエイティブオフィス」を設置。社長自らクリエイ
ティブディレクターとして提案活動をけん引する。
 デザイナーは入社後ブローラボで研修を受け、製造知識を身につける。その上で自らお客様を訪問し、相手の“熱量”を体感しつつ対話
の中から曖昧な要望をくみ取る。技術とお客様ニーズを理解したデザイナーは、デザインとコスト・納期を両立した提案をする“クリ
エイティブ営業機能”を担うようになった。これにより“売る力”を伸長。
 着実に成果を出すことにより、上記の新たな取組に対する社内外の理解と協力を徐々に広めていった。
創
出 価
し 値
た
下請け企業から、お客様のパートナーへ
 下請型企業から提案型企業へと転換。「本多プラスにはブランディングできる技術と感性がある」と認めてもらうことで、 お客様のパー
トナーとして企画段階からともに議論し、新製品を次々と開発するサイクルを確立した。
 化粧品、医薬品等の新領域で売上が拡大。取扱製品数は約2万アイテム、取引企業は3,500社にまで拡大した。
世界初、PEN樹脂による
ネイルカラー容器
新開発のメタリック調素材
“メタパール”
企画提案を行った
ストラップ型ボトル
【企業プロフィール】
業
種:製造業
事業内容:プラスティックブロー成形品の
クリエイティブデザイン&
開発・製造
従業員数:140名
所 在 地 :愛知県新城市
U R L:www.hondaplus.co.jp
145
三菱地所レジデンス
暮らしを豊かにするための取組をデザイン
生物多様性保全、実効力のある防災体制を浸透させたかった
直
面
し
た
課
題
 三菱地所レジデンスの住まいのブランド、 “ザ・パークハウス”のコンセプトは「一生も
のに、住む。」。「一生もの」にふさわしい品質を求めて、こだわりを「5つのアイズ」
(①CHECK EYE’S:建物品質、②ECO EYE’S:環境、③CUSTOM EYE’S:自分だけの
住空間、④LIFE EYE’S:安心・安全、⑤COMMUNITY EYE’S:入居後サポート、の5
つ)に集約。住まいづくりのみならず、暮らしを豊かにするサービスづくりにも注力し
てきた。
 一方で、同社は生物多様性保全に対する意識を生活者レベルに浸透させていく必要があ
ると感じていた。また、災害への備えをしているマンションとしていないマンションと
で二極化しており、マンション内でも居住者により防災意識に差がある状況であった。
問題を“我が事化”し、考える取組をデザイン
 同社では、マンション居住者に、生物多様性の保全・防災を“我が事”として捉えてもら
えるよう、取組をデザインした。
行
っ
た
取
組
創
出 価
し 値
た
“BIO NET INITIATIVE”のイメージ
本マップはイメージであり、実在する地域や実際の建物ではありません。また、
実際に特定の生物が生息および飛来すること等を保証するものではありません。
“そなえるカルタ”を活用した防災訓練
 生物多様性保全については、規模の大小に関わらず全てのマンションの植栽を周囲の緑
とつなぎ、植物や生物の中継地としての役割を果たすことで、いのちをつなぎ、多様性
を育む街へと発展させる“BIO NET INITIATIVE”を開始。住まいを起点にすることで、
居住者へ生物多様性保全の取組の浸透を図っている。
 防災面では、マンション居住者の「我が事化」をサポートするため、防災訓練のサポー
トとともに、東日本大震災の経験を「被災地の声」として用い、実際の生活者として
困った事例を伝えている。例えば、トイレの備品組み立て訓練に合わせて、被災地で特
に苦労したと聞いているトイレ事情に関する事例をオリジナル防災ツールである「そな
えるカルタ」を活用し、伝えている。
「一生もの」にふさわしい品質を備えたマンションづくりを
ハード・ソフトの両面で行っている
 “BIO NET INITIATIVE”では「守る」、「育てる」、「つなぐ」、「活かす」、「減らす」とい
う5つの行動指針によって居住者にも理解しやすいものとしている。
 そなえるカルタなどを利用した防災訓練を行うことで、災害に対する備えを居住者が
考えるようになり、マンション全体の防災意識の向上につながっている。
【企業プロフィール】
業
種:不動産業
事業内容:不動産の開発・販売・賃貸借
従業員数:1,080名
所 在 地 :東京都千代田区
U R L:http://www.mec-r.com/
146
三菱重工業
デザインにより自社ビジネスの価値を社会に伝える
重電分野でデザインに対する要請が増大している
直
面
し
た
課
題
 従前はデザイン性が求められてこなかった発電システムや制御システム等の分野において
も、近年、デザインに対する要請が増大している。
 このような要請は一般社会やエンドユーザーの視点を意識して製品やサービスの価値を差
別化しようとする動きによるものであり、B2B事業であっても高度なデザイン対応が求め
られるようになってきた。同社の先進デザイングループに対しても、社内の事業部門から
デザインオファーが来るケースが増えている。
人と製品・サービスのタッチポイントすべてをデザイン
 同社のデザイン業務は、燃料電池複合発電システムからエネルギー利用最適化システム
のGUI*さらには国産旅客機“MRJ”にまで、広範囲に及んでいる。
行
っ
た
取
組
燃料電池複合発電システム
“HYBRID-FC”
エネルギー利用最適化システム
“Energy Cloud”
*GUI:Graphical User Interface
 グループ企業の広範なデザイン業務に対応すべく、先進デザイングループでは“人と製
品・サービスのタッチポイントすべてをデザインする”との考えの下、デザイン領域を①
コミュニケーションデザイン、②プロダクトデザイン、③エルゴノミクスデザインの3つ
に設定し、これらを組み合わせたトータルソリューションを提供している。
国産旅客機“MRJ”
 幅広い業務を行うがゆえに、先進デザイングループにはさまざまな情報が集まってくる。
それらの情報を分析・統合等して、多くのデザインプロジェクトに活かしていく役割も
担っている。
三菱航空機(株)提供
創
出
し
た
価
値
自社の価値を社会に伝えていく手段として、デザインが貢献
 社内に対してデザインの重要性をアピールする取組を進めてきた中、MRJ等の大型プロ
ジェクトも後押しし、社内におけるデザインへの認識が高まってきている。
 自分たちが生み出した製品・サービスの価値を社会に伝えていく手段、お客様との相互
理解を高めるための手段として、デザインが果たす役割が大きくなってきており、顧客
満足度の向上にも寄与している。
【企業プロフィール】
業
種:製造業
事業内容:エネルギー・環境、機械・
設備システム、交通・輸送、
防衛・宇宙
従業員数:21,117名
所 在 地 :東京都港区
U R L:www.mhi.co.jp
147
リコー
経験価値を生み出し、伝えて、届けるためのデザイン活動
事業領域拡大に伴い、デザインにも変革が求められていた
直
面
し
た
課
題
全天球カメラ“RICOH THETA”
 リコーの事業領域は急速に拡大している。例えばオフィス領域では、従来の複写機、
プリンター等のハードウェアに加え、遠隔会議やネットワーク運用等のソフトウェ
ア、サービスを手掛けるに至っている。
 事業が変わるとお客様のニーズ、製品の使用法等が変わるため、デザインも変えて
いく必要が生じる。従来の商品(モノ)のデザインに加え、顧客体験等を通じたイ
ンテグレーション(コト)のデザインの重要性が増大している。
開発上流工程からデザイナーが参画、経験デザイン等に注力
 インテグレーションのデザインにおいては、人と人、情報と情報、人と情報とのつ
ながりに目を向け、お客様にどのようなユーザー経験を届けるかが必要となる。
行
っ
た
取
組
 開発の上流工程からデザイナーを参画させるように開発体制を見直した。デザイ
ナーはお客様のニーズや経験価値を、関係者に対して的確に伝えることで、開発を
支援する役割を担う。また、将来ビジョンの描写し、社内外へアイデア発信し、関
係者の想像をかきたてる等の役割を果たしている。
RICOH Unified Communication
System P3500
 あるラインアップの商品群のデザインを統括する“デザインディレクター”を設置。
商品間にまたがるテーマ(ライフスタイル)のデザインや全社的なコンセプトのデ
ザイン等に注力している。
デザイン・シンキング手法を取り入れた新商品開発が続く
創
出
し
た
価
値
 360度空間(全天球)を撮影できるカメラ“RICOH THETA (リコーシータ)”では、
SNSでユーザーから寄せられる意見を基に、「THETAでいいね!を増やす」、「全天球
画像をフェイスブックに掲載する」等の利用法を提案。ユーザーとともに製品の楽し
み方を考えだすことで販売台数増に結びつけた。
 RICOH Unified Communication System では、“ポータブルなテレビ会議システ
ム”という新たな経験価値を生み出した。
【企業プロフィール】
業
種:製造業
事業内容:オフィスイメージング、プロダクションプリン
ティング、ネットワークシステムソリューション、
サーマルメディア、デジタルカメラ等
従業員数:109,951名(連結)
所 在 地 :東京都中央区
U R L:jp.ricoh.com
148
Ⅲ章 デザインへの投資効果等
149
分析概要
分析目的
企業経営におけるデザインの位置づけ、企業においてデザイナーに期待される役割等を踏まえた上で、
デザインへの投資がもたらす経済効果と投資効果判断のメカニズム等について考察する。
分析項目
アンケート調査、ヒアリング調査で得られた調査結果を基に、下記の事項につき分析・考察を行った。
1. デザインが企業経営に及ぼす影響
2. デザイン投資効果判断のメカニズム(仮説)
3. 企業内で生じているデザイン上の変化の構造
4. デザイン投資拡大に向けた政策支援の方向性
150
Ⅲ-1 デザインが企業経営に及ぼす影響と
デザイン投資効果判断のメカニズム
151
1 デザインが企業経営に及ぼす影響 ①製品・サービスのイノベーション
デザインが、製品・サービスのイノベーションに大きな影響を及ぼしている
との回答企業は9割超
 ヒアリング対象企業に対し、デザインは製品・サービスのイノベーションにどの程度影響している
かをたずねたところ、「非常に大きい」及び「大きい」との回答が9割超に達した。
製品・サービスのイノベーションに、デザインが及ぼす影響(n=18)
あまり大きくない
5.6%
全く大きくない
0.0%
大きい
33.3%
非常に大きい
61.1%
152
1 デザインが企業経営に及ぼす影響 ②各分野へのデザインの影響
デザインはブランド向上、売上増のほか、開発力の向上、シェア拡大等にも貢献
 ヒアリング対象企業に対し、デザインが企業経営に及ぼす効果項目ごとに、デザイン活動が及ぼした影響度合い
を5段階評価でたずねたところ、知名度・ブランド向上、売上増大に加え、開発力の向上、シェア拡大、デザイ
ナー雇用創出等にも好影響を及ぼしているとの結果が得られた。
分野・項目別、デザインが及ぼす影響(n=18)
0%
10%
20%
30%
知名度・ブランド力の向上
製品・サービス品質の向上
28%
リードタイム短縮
13%
コスト削減
12%
90%
29%
28%
28%
39%
38%
総合評価
6%
56%
41%
38%
0%
0%
21%
35%
35%
25%
影響は大きい
11%
28%
29%
29%
6% 0%
28%
22%
43%
利益増大・投資余力増大
13%
33%
50%
売上増大
6%
19%
61%
シェア拡大
0%
53%
13%
新市場開拓
11%
39%
12%
28%
6%
22%
28%
19%
高価格設定
13%
35%
39%
デザイナー雇用の創出
11%
38%
18%
社員の意識変化
0%
29%
44%
19%
29%
100%
11%
17%
33%
キャリアパス・人材育成プログラム等への影響
影響は非常に大きい
80%
12%
19%
経営理念の再構築・社内浸透
営業費用逓減
70%
28%
56%
新素材・技術の導入
組織内コミュニケーションの活性化
経済効果への
影響項目
60%
59%
有能人材の獲得
組織活性化への
影響項目
50%
72%
製品・サービス開発力の向上
事業活動への
影響項目
40%
24%
12%
12%
0%
12%
31%
6%
56%
影響はある
影響はあまりない
影響はほとんど/全くない
【備考】デザインへの取組と売上との関係
アンケート調査で、デザインへの取組状況と企業の売上高(マクロの金額の推移)との間には明確な関係がみられないとの結果が出ている(p.93)。一方、
ここではヒアリング調査にて、デザインが売上増加に及ぼす影響(ミクロの貢献度)について聞いたところ、影響が大きいとの回答が得られている。両者
の差異に留意されたい。
153
1 デザインが企業経営に及ぼす影響 ③まとめ
デザインは、事業活動、経済効果及び組織活性化へと影響をもたらす
 デザインが企業経営に及ぼす影響は下図のように発現するとの設定の下、前ページの調査結果で影響が大きいと
された項目を色付けした結果、デザイン投資が製品・サービスのイノベーションを生み、商品開発力やブランド
力を高めることで、シェア拡大及び売上増大に貢献している様子がうかがえる(図中、赤網掛け)。
 今後、さらなる経済効果や組織活性化にもデザインが寄与し得る状況がうかがえる(図中、緑網掛け)。
デザインが企業経営に及ぼす影響 構造図
事業活動への影響
製品・サービスの
イノベーション
デザイン投資
人員
デザインを活用した
製品・サービスの
イノベーション
の創出
予算
プイ
ロノ
ダベ
クー
トシ
ョ
ン
プイ
ロノ
セベ
スー
シ
ョ
ン
経済効果への影響
商品品質向上
シェア拡大
商品開発力向上
高価格設定
知名度・ブランド力向上
新市場開拓
新素材・技術導入
売上増大
利益増
投資余力増大
コスト削減
営業費用低減
リードタイム短縮
組織活性化への影響
経営理念の再構築・社内浸透
社員の意識変化(顧客志向・発想力向上等)
組織内コミュニケーションの活性化
有能人材の獲得
等
【備考】デザインが企業経営に及ぼす影響の図示化
上図には、「分野・項目別、デザインが及ぼす影響」(前ページ)において、「影響は非常に大きい」、「影響は大きい」との回答比率が、
7割を超えた項目⇒
赤網掛け
5割を超えた項目⇒
緑網掛け
で示したもの。
154
2 デザイン投資効果判断のメカニズム(仮説) ①投資判断の実施状況、評価軸
デザイン投資の費用対効果算定に取り組む企業は1/3程度
評価指標は、顧客満足度/ブランド向上及び売上への貢献度が中心
 デザイン投資の費用対効果を算定する試みをしているとの回答は、定量・定性把握合わせて約1/3に及ぶ。
 効果測定・評価に用いる評価軸としては、顧客満足度・ブランド向上関連(ユーザー評価、顧客評価、ブランドイ
メージ調査結果等)、売上・受注関連(売上伸長率、受注率等)が多くなっている。
Q デザインへの投資に対する費用対効果を
算定する試みをしていますか(n=108、再掲)
わからない
9.3%
Q どのような評価軸で効果測定・
評価をしていますか(自由記述、抜粋、再掲)
できるかぎり定量的に把握している
12.0%
定性的な把握にとどまっている
24.1%
していない
54.6%
155
2 デザイン投資効果判断のメカニズム(仮説) ②投資判断の実施方法
デザイン投資の効果評価は、ブランド向上、売上増への貢献度等を指標として、
定性的・総合的に判断されていることが多い
 ヒアリング調査では、デザイン投資効果の評価・判断の現状につき、下記等の意見が得られた。
①効果評価未実施の企業も少なくない(金額ベースの費用対効果評価はほとんど行われていない)
②効果評価の指標は、①顧客満足度/ブランド向上、②売上への貢献度
③次年度のデザイン投資額は、デザイン部門の活動成果を定性的・総合的に判断して
決定されることが多い(将来的には定量化の可能性も)
【ヒアリング調査における企業コメント(一部再掲)】

デザイン投資とその効果の評価は測っていない。今のところ、結果的に売上につながればよいとの考えであるが、将来的には効果
評価を行いたいと考えている。

デザインの効果を売上高貢献等の金額ベースで捉えることはしていない。デザインの効果は金額に直結しない要素も多いため、費
用対効果を金額ベースで捉えることは論理的にそぐわない側面がある。

事業部や製品等の単位で、デザインが売上台数・金額・シェア等の増大に貢献した効果や、ブランド価値向上、顧客満足度向上、
知財獲得等にもたらした効果と、デザインに要した費用を天秤にかけ、デザインの費用対効果を定性的に判断している。

経営層がデザインの効果として捉えているのは「CS(顧客満足度)」である。市場調査会社の顧客満足度調査の中には、明らかに
デザインの影響とみなせる指標がいくつか設けられており、これを参考としている。

売上に対してどのような貢献をしたかという定性的な評価を行っている。裏返せば、投資水準を決定する指標としては売上高のX%
等の指標が妥当かと思われる。ただし、現在そのような指標設定はなく、定量評価測定の検討を行ったこともない。

デザインの主目的は新製品開発にあるため、デザインがうまくいっているかを判断するKPIとしては、「過去3年間(及び1年間)
に開発した新製品が、売上の30%(10%)に達しているか」という指標を重視している。この指標が着実に向上しているならば、
現在のデザイナー人件費比率を高めるという経営判断はあり得る。
156
2 デザイン投資効果判断のメカニズム(仮説) ③まとめ
 上記で得られた情報を基に、デザインが企業経営に及ぼす効果と、デザイン投資の効果判断のメカニズムについ
て、図示した。
デザインが企業経営に及ぼす効果とデザイン投資効果判断のメカニズム
デザインが企業経営に及ぼす効果
デザイン投資
人員
予算
製品・サービスの
イノベーション
デザインが事業活動、組織活性化、経済効果に及ぼす効果
主要効果
知名度・ブランド力向上
デザインを活用した
製品・サービスの
イノベーション
の創出
売上増大
シェア拡大
製品・サービス開発力向上
デザイナー雇用の創出
※上記には、「分野・項目別、デザインが及ぼす影響」
(p.153)において、「影響は非常に大きい」、「影響は大きい」
との回答比率が7割を超えた項目を記載。
再
投
資
デザイン投資効果判断のメカニズム
デザイン投資効果判断
• デザイン投資と主要効果を比較考証
• デザイン投資の有効性は定性的・総
合的に判断されることが多い
• 判断者の考え等に左右されることも
少なくない
157
Ⅲ-2 企業内で生じている
デザイン上の変化と政策ニーズ
158
1 企業内で起こっているデザイン上の変化の構造
 アンケート調査、ヒアリング調査結果から、企業内で生じているデザインに係る変化の構造を図示した。
 その中から、デザインの重要性に関する普及啓発、高度デザイン人材育成という政策ニーズが浮かび上がった。
企業内で起こっているデザイン上の変化の構造図
市場環境の変化によりデザインの重要性が高まる
⇒ヒアリング調査(p.113)
“ものづくり”から“ことづくり”へのパラダイムシフト
新市場開拓に向け、新ビジョン・ビジネスモデルを描く機能が重要に
“機能からスタイルへ”という顧客ニーズに合わせ、デザイン領域が拡大
経済社会が複雑化する中、真のニーズ・課題の探索・発掘機能が重要に
社内でのデザインに期待される役割、デザイナーが手掛ける業務範囲が拡大
⇒アンケート調査(p.54~56,77,78)
⇒ヒアリング調査(p.114)
企業は、製品の外観のみならず価値(技術力・品質・安全性)を表現するデザイン、製品のみならず企業のブランド化を図るデザインを求める
デザイナーの業務範囲は、「色・モノ・カタチ」のデザインから、関係部局間のファシリテート、トータルプロデュース、ブランド戦略策定等にまで拡大
デザイナーに求められる能力の高度化・多様化
⇒ヒアリング調査(p.115)
新たに、イノベーション推進の中核となるための能力、ユーザーに経験・価値を提供するための能力、クリエイティブ営業機能を担う能力等が
求められている
新たな課題①
デザインをイノベーションにつなげる環境づくり
新たな課題②
高度人材不足の解消
組織へのデザインマインドの浸透
企業戦略にどのようにデザインを位置づけるか、
事業にいかにデザインを取り入れるか等
⇒ヒアリング調査(p.114)
高度デザイナー人材の育成
UI/UX人材、プロデュース・コーディネート人材、
クリエイティブ営業人材等
政策ニーズ:
デザインの重要性に関する
普及啓発 ⇒ヒアリング調査(p.122)
⇒ヒアリング調査(p.117)
政策ニーズ:
高度デザイン人材育成
⇒ヒアリング調査(p.122)
新たな課題③
社内デザイナー業務量増への対応
社内外デザイナーの最適配置
社内外デザイナーの最適な協業・連携体制の
設計。オープンイノベーション
⇒アンケート調査(p.60~65)
⇒ヒアリング調査(p.119)
159
2 デザイン投資拡大に向けた政策ニーズ
普及啓発、人材育成に関する政策ニーズがみられる
 アンケート調査、ヒアリング調査からは、以下の政策に対する要望が多くみられた。
①デザインの重要性に関する普及啓発
②高度デザイン人材の育成
【アンケート調査における企業コメント(一部再掲)】

国全体でデザインに力を入れるという発信に期待する。日本の国民・企業がデザインで日本は強くなるというイメージ・機運を醸
成してほしい。

企業側、制作側の双方に対してデザイン思想、活用の重要性を理解させ、日本のデザイン領域の価値を向上させていくことが大切。

経営層を対象とした、デザイン投資成功事例、デザインシンキングの有効性等をテーマにした講習会が有効と思われる。

企業人が、デザインが商品開発や企業経営に果たす役割を理解すること。デザイナーが、自分が企業に対して、果たせる役割を理
解すること。これに寄与するようなセミナー、ワークショップの機会の創出。

デザイン教育(小・中学生くらいから。起業に関する教育を含む)。

ユーザー視点、テクノロジー視点、ビジネス視点の3つを兼ね備えた人材は稀有・貴重であり、このような人材を育成していくこと
が課題である。

エース人材の育成・活性化は、若い世代にキャリアパスイメージを与えることにもつながる。

デザイン業務別には、UIはできるがUXはできない人材がまだ多い。ここ数年は、UX能力を獲得することが重要となる。UX能力の
取得に向けては、その重要性や手法等の基本知識をセミナーで学び、OJTでこれを実践していくという方法が取られる。
160
Ⅳ章 デザイン業の実態
161
調査概要
調査目的
公開されている各種統計データ、デザインに関する国内外の文献を収集・調査し、デザイン業・デザ
イナーを取りまく現状について分析する。
調査項目
1. デザインに関する事業所:事業所数の推移、構成、都道府県分布
2. デザイン業の経営状況:売上高の推移、構成、都道府県分布、営業利益率の推移
3. デザイナーの動態:デザイナー数の推移、構成、所在、就職状況、学歴、都道府県分布
4. デザイナーの就業・報酬の実態:労働時間数の推移、構造、年収の推移、構造
5. デザイナーの経営参画状況
6. 教育機関によるデザイナー育成・就職状況:学生数の推移、構成、入学者数・卒業生数の推移、
就職状況
7. 国際デザイン賞の受賞状況
162
調査概要
調査対象統計とその特徴
統計
調査項目
調査方法
総務省統計局
「国勢調査」
 デザイナー数(職業別従業者数―デザイ
ナー):性別、年齢別、従業上の地位別、都
道府県別 等
本邦内に常住している者を対象とする全数調査。調査は
世帯単位で実施される。
総務省統計局
「経済センサス
‐基礎調査
-活動調査」
 デザイン業事業所数、年間売上高
 デザイナー数(従業者規模別) 等
国・地方公共団体の事業所、個人経営の農林漁業等を除
く、ほぼすべての事業所・企業を対象としている。
経済産業省
「特定サービス
産業実態調査」
 事業所数(従業者規模別、売上高規模別、都
道府県別)
 年間売上高(従業者規模別、業務別、業務種
類別、都道府県別)、営業費用 等
全国の事業所から調査対象を無作為に抽出する標本調査
(20年調査までは全数調査)。毎年実施。
厚生労働省
「賃金構造
基本統計調査」
 労働時間数:性別・年齢別、企業規模別
 年収:性別・年齢別、企業規模別 等
5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所及び10人以
上の常用労働者を雇用する公営事業所から都道府県、産
業及び事業所規模別に一定の方法で抽出した事業所を対
象とする。抽出方法として、事業所を第1次抽出単位、
労働者を第2次抽出単位とする層化二段抽出法をとる。
文部科学省
「学校基本調査」
 デザイン関係学科・専攻の学生数、入学整数、 学校教育法で規定されている学校、市町村教育委員会全
卒業・修了生数(学校種類別、性別) 等
数を対象に、毎年実施される。
等
163
調査概要
統計
U.S. Census Bureau, “Statistics
of U.S. Businesses”
調査項目
調査方法
 米国のデザイン業の経済規模
米国において有給雇用者を雇い上げるすべての事業所
を対象とした調査。毎年実施。
Bureau of Labor Statistics,
“Occupational Employment
Statistics”
 米国のデザイナーの平均年収
職種別に雇用・賃金等を把握することを目的に、半年
ごとに電子メールにて実施。全米を対象としたサンプ
ル調査であり、一部の州を除いては、州の失業保険DB
から調査対象者を抽出している。
Office for National Statistics,
“Annual Business Survey”
 英国のデザイン業の経済規模
全英の企業の事業及び財務状況の調査を目的に、毎年
実施される。サンプル調査(2014年調査では7.3万企
業を対象)。
 英国のデザイナーの平均年収
全英の従業者の収入や労働時間等を対象に毎年実施。
HM Revenue and Customs (HMRC) 及びPay As
You Earn (PAYE) に登録された従業者数の1%を抽出
して実施するサンプル調査。自営業者は含まない。
Office for National Statistics,
“Annual Survey of Hours and
Earnings”
164
1 デザインに関する事業所 ①事業所数の推移
デザイン業の事業所数は近年減少傾向
 2014年のデザイン業の事業所数は9,010となっている。過去10年間の推移をみると、2004年の
9,415から増加をたどり、2009年には10,000超となったが、その後減少に転じている。
 2009年から2014年の5年間に15%の事業所数減少が見られており、厳しい業界環境がうかがえる。
デザイン業の事業所数の推移
資料:総務省統計局「事業所・企業統計調査」(H16、18)、総務省「経済センサス-基礎調査」(H21、26)、
総務省「経済センサス-活動調査」(H24)
【定義】デザイン業(特定サービス産業実態調査報告書より)
顧客の要請に応じて工業的・商業的製品またはその他の造形物、装飾の製造・制作に関し、販売を目的に用途、材料、製作法、形状、色彩、模様、配置、
照明等について設計、表現する業務を行う事業所。業務形態としては、①インダストリアルデザイン、②グラフィックデザイン、③インテリアデザイン、
④パッケージデザイン、⑤ディスプレイデザイン、⑥テキスタイル、ファッションデザイン、⑦マルチメディアデザイン、⑧その他デザイン等が該当する。
ただし、デザインにより一貫して製造・販売までを行う事業所(衣服製造業、漆器製造業等)は対象としない。
165
1 デザインに関する事業所 ②事業所の構成
従業者数10人未満、売上高1億円未満の小規模事業所が9割を占める
 事業所数を従業者規模別にみると、「4人以下」が78%を占める。これに「5~9人」の14%を加える
と、9割超が10人未満の小規模事業所となっている。
 また、売上高規模別には「1千万円未満」が41%、「1千万円以上3千万円未満」が28%、「3千万円以
上1億円未満」が22%と、1億円未満の事業所が9割を超えている。
従業者規模別、事業所数
(2014年)
売上高規模別、事業所数
(2014年)
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
166
1 デザインに関する事業所 ③事業所の都道府県分布
事業所の約半数が東京都・大阪府に立地
 デザイン業の事業所の約半数が東京都(36%)、大阪府(14%)に立地する。
 愛知県(6%)、神奈川県(5%)、福岡県、北海道、兵庫県、京都府(各2%)がこれに次ぐが、トッ
プ2都府との事業所数の開きは大きく、大都市集中型の事業所分布であることがうかがえる。
都道府県別、事業所数(2014年)
単位:件
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
167
2 デザイン業の経営状況 ①売上高の推移
売上高は横ばいないしは減少基調
 2014年のデザイン業の年間売上高は3,240億円となっている。
 対前年比で2013年には11%、2014年には7%のマイナスとなっており、デザイン業を取り巻く経
営環境は厳しい状況にあると言える。
デザイン業の年間売上高の推移
※2011年についてはデータなし
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H21、22、25、26)、総務省統計局「経済センサス活動調査」(H24)
【定義】年間売上高(特定サービス産業実態調査報告書より)
1月1日から12月31日までの1年間または調査日に最も近い決算日前の1年間に得た事業所全体の売上高で、利益や所得ではなく経費を差し引く前の売上
高に消費税額を含めた金額。したがって、当該年間売上高には、営業として行っていない財産運用や財産売却による収入は含まない。
168
2 デザイン業の経営状況 ②売上高の構成
従業者30人未満の事業所、グラフィックデザインを手掛ける事業所等が、
デザイン業の売上高の多くを占めている。
 従業員規模別にみると、30人未満の事業所が売上高の86%を占める。一方で、事業所数の1%に満たない30人以
上の事業所が14%の売上高を計上している。
 デザイン業を主業とする事業所による売上高が94%を占める。
 また、事業従事者5人以上の事業所において、業務種類別に売上構成をみると、グラフィックデザインが約6割を
占めており中核業務となっている。
従業者規模別、年間売上高
(2014年)
業務別、年間売上高
(2014年)
業務種類別、年間売上高
(2014年)
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
169
2 デザイン業の経営状況 ③売上高の都道府県分布
売上高の50%が東京都に集中
 デザイン業における年間売上高の2/3が東京都(51%)、大阪府(16%)に集中しており、大都市集中
型の産業構造がうかがえる。
 愛知県(6%)、福岡県(3%)等がこれに次ぐが、東京・大阪との差は大きい。
デザイン業を主業とする事業所の都道府県別、年間売上高(2014年)
単位:百万円
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
170
2 デザイン業の経営状況 ④デザイン経済規模の国際比較
欧米主要国と比して小さい日本のデザイン業の経済規模
 日・米・英のデザインの経済規模を比較すると、米国が飛びぬけて大きく、次いで英国、日本と
なっている。
日・米・英のデザイン業の経済規模
資料:日本)経済産業省「特定サービス産業実態調査」(2014)、
米国)U.S.Census Bureau, “Statistics of U.S. Businesses”(2012)、
英国)Office for National Statistics, “Annual Business Survey”(2012) を基に作成
為替レートは、OECDが公表する年平均値を使用
【備考】各国の経済規模に関する指標
日本は売上高、米国はEstimated Revenue(製品・サービスからの営業収入。各種税を除いた額)、英国はGross Value Added(粗付加価値。売上高
から原材料費や仕入原価等の変動費を差し引いたもの。製造経費、人件費、営業利益、賃借料、租税公課、支払利息、減価償却費等を合わせたものでもあ
る)と、国により経済規模を表す指標が異なることに留意されたい。
171
2 デザイン業の経営状況 ⑤営業利益率の推移
景気停滞期を経て、産業のコスト削減等の対応力の向上がみられている
 2009年から10年にかけての売上高減少期には、営業費用圧縮が売上減少に追いつかず営業利益率
の低下が見られた。
 一方、2013年から14年にかけての売上高減少期には、売上減少幅を上回る営業費用削減により営
業利益率はむしろ上昇している。
デザイン業の年間売上高、営業利益及び利益率の推移
※2011年についてはデータなし、2012年については営業費用のデータなし。
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H21、22、25、26)、総務省統計局「経済センサス活動調査」(H24)を基に作成
172
3 デザイナーの動態 ①デザイナー数の推移
デザイナー数は堅調に増加している
 2000年に16.1万人だったデザイナー数は、05年に16.5万人、10年には18.0万人と、堅調に増加
している。
 増加率は、2000年から05年にかけては2.1%、05から10年にかけては9.0%となっており、増加
のスピードもやや早まっている。
デザイナー数の推移
資料:総務省統計局「国勢調査」
173
3 デザイナーの動態 ②デザイナーの構成
男女比率は57:43。30歳台、40歳台、20歳台が多く、平均年齢は39.6歳
 デザイナーの男女比率は57%:43%となっている。
 年齢階層別には、30歳台が最も多く36%、次いで40歳台23%、20歳台22%となっている。平均
年齢は39.6歳で、上昇基調にある。
性別、デザイナー数の比率
(2010年)
年齢階層別、デザイナー数の比率
(2010年)
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
174
3 デザイナーの動態 ③デザイナーの構成
平均年齢は、男性41.8歳、女性36.8歳
 男性では、30歳台が多く、それ以降は徐々に減少していくものの、60歳以上も8,000人以上存在
する。
 女性では、20歳台が多く、数的に男性を上回る。30歳台も多いが、40歳台以降は急速に減少する。
性別・年齢層別、デザイナー数(2010年)
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
175
3 デザイナーの動態 ④デザイナーの所在
デザイン業のほか、情報通信業、製造業、卸売業・小売業等が活躍の場となっている
 デザイナーが就業する産業として最も多いのはデザイン業(32%)となっている。次いで、インター
ネット付随サービス業(13%)、広告業(11%)、映像・音声・文字情報制作業(8%)となっている。
 製造業(印刷・同関連業、繊維工業等)、卸売業等もデザイナーの働く場となっている。
デザイナーが就業する産業(2010年)
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
176
3 デザイナーの動態 ⑤デザイナーの就職状況
正社員として勤めるデザイナーが多い
 従業上の地位としては、「雇用者_正規の職員・従業員」が最も多く52%、次いで「雇人のない業主
(フリーランス)」が22%、「役員」が11%となっている。派遣社員やパート・アルバイトや経営者
(雇人のある業主)は比較的少ない。
 デザイン業で働く従業者数(デザイナーの他、間接部門人員等も含まれる)を従業者規模別にみる
と「1~4人」が33%、「5~9人」が23%、「10~19人」が19%と、20人未満の事業所で8割超となっ
ている。この状況から、デザイナーも小規模事業所で働くケースが多いことが示唆される。
従業上の地位別、デザイナー数(2010年)
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
【参考】従業者規模別、デザイン業における
従業者数(2014年)
資料:総務省「経済センサス」(H26)
177
3 デザイナーの動態 ⑥インハウス/フリーランスの構成
インハウス:フリーランス=3:1
 企業に属するインハウスデザイナーが3/4を占める。
 企業に属さないフリーランスデザイナーは2割強となっている。
インハウス/フリーランス別、デザイナー数の比率(2010年)
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
【定義】インハウスデザイナー、フリーランスデザイナー
インハウスデザイナーとは、企業に属するデザイナーを指す。ここでは国際調査において、従業上の地位が「雇用者」、「役員」、「雇人のある業主」である
デザイナーをインハウスデザイナーとした。
フリーランスデザイナーとは、特定の企業や団体に専従せず、個人事業主もしくは個人企業法人として活動するデザイナーを指す。同じく、従業上の地
位が「雇人のない業主」であるデザイナーをフリーランスデザイナーとした。
なお、その他には、「家族従業者」、「家庭内職者」が含まれる。
178
3 デザイナーの動態 ⑦デザイン業従事者の都道府県分布
デザイン業の従事者は東京都・大阪府等大都市圏に集中
 事業所分布や売上高分布と同様、デザイン業従事者数(デザイナーの他、間接部門人員等も含まれ
る)も東京都(43%)、大阪府(15%)に集中している。
 この状況から、デザイナーも大都市圏に集中していることが推察される。
【参考】デザイン業を主業とする事業所の都道府県別、事業従事者数(2014)
単位:人
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
179
4 デザイナーの就業・報酬の実態 ①労働時間数の推移
デザイナーの月間労働時間数は180時間前後で推移
 2014年のデザイナーの月間の総労働時間数は175時間(所定内実労働時間165時間+超過実労働時
間数10時間)となっている。
 総労働時間数は近年上下を繰り返しながらも、おおよそ180時間前後で推移している。
デザイナーの月間労働時間数の推移
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
【用語説明】所定内実労働時間数、超過実労働時間数(賃金構造基本統計調査より)
所定内実労働時間数とは、事業所の就業規則等で定められた所定労働日における始業時刻から終業時刻までの時間において、1日の労働時間ではなく、
調査対象期間中に実際に労働した時間数をいう。超過実労働時間数とは、事業所の就業規則等で定められた所定労働日における始業時刻から終業時刻ま
での時間以外に実際に労働した時間数及び所定休日において実際に労働した時間数をいう。ともに1か月間の数値。
180
4 デザイナーの就業・報酬の実態 ②労働時間数の構造
労働時間数に男女差はほとんどない。一方小規模企業では労働時間が長い傾向がみられる
 2014年の労働時間においては男女差はあまり見られない。
 同じく2014年の労働時間数を企業規模別にみると、10~99人の企業では月間178時間、100~
999人では170時間、1,000人以上では163時間と、企業の規模が大きくなるほど、労働時間は短
くなる状況が伺える。
性別、デザイナーの月間労働時間数(2014年)
企業規模別、デザイナーの月間労働時間数(2014年)
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
181
4 デザイナーの就業・報酬の実態 ③労働時間数の構造
40歳台半ばまで:さほど変化なし、それ以降:男性減少・女性増加
 労働時間数は、男女とも40歳台半ばまではさほど変化しない。この間、男性の労働時間数が若干多
い傾向がみられる。
 45~49歳では男性の労働時間数が増加する一方で、女性では減少がみられる。その後は男性が次
第に減少するのに対し、女性は増加をたどることが特徴である。
性別・年齢層別デザイナーの月間労働時間数(2014年)
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
182
4 デザイナーの就業・報酬の実態 ④年収の推移
近年は400万円前後で安定
 2014年のデザイナーの年収は399万円(年間きまって支給する現金給与額356万円+年間賞与その
他特別給与額43万円)となっている。
 年収は2011年までは420~430万円水準で推移していたが、12年以降は400万円前後で安定して
いる。
デザイナーの年収の推移
※年収=年間きまって支給する現金給与額(きまって支給する現金給与額×12か月)+年間賞与その他特別給与額
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を基に作成
【用語説明】きまって支給する現金給与額、年間賞与その他特別給与額(賃金構造基本統計調査より)
決まって支給する現金給与額とは、労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって
6月分として支給された現金給与額(手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額)をいう。基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、
家族手当などのほか、超過労働給与額も含まれる。年間賞与その他特別給与額とは1年間の賞与、期末手当等特別給与額(いわゆるボーナス)をいう。
183
4 デザイナーの就業・報酬の実態 ⑤年収の構造
収入水準は男性、大企業で高くなっている
 2014年の年収を男女別にみると、男性428万円、女性370万円となっている。
 同じく2014年の年収を企業規模別にみると、10~99人の企業では402万円、100~999人では
378万円、1,000人以上では499万円となっている。小規模よりも中堅規模の企業の方が年収水準
が低い現象が見られている。
性別、デザイナーの年収(2014年)
企業規模別、デザイナーの年収(2014年)
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
【用語説明】年収
年収=決まって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額とした。
184
4 デザイナーの就業・報酬の実態 ⑥年収の構造
40歳台半ばまで:収入増加・男性優位、それ以降:収入増減・女性が上回る状況も
 年齢層別には、30歳台半ばくらいまでは収入が順調に増加し、その後増加率は次第に低くなるもの
の、40歳台までは増加基調が続く。一方、50歳以上となると増減を見せるようになる。これは、
経営している企業の業績や、役職に就くか否か等の要因が収入に影響によるものと推察される。
 性別には40歳台半ばまではどの年齢層においても男性の収入が5~10%高くなっている。一方、
40歳台半ばからは女性の年収が男性を上回る状況も見られるようになる。
性別・年齢層別デザイナーの年収(2014年)
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
185
4 デザイナーの就業・報酬の実態 ⑦年収の国際比較
日本のデザイナーの年収水準は米英比で低いとは言えないが、減少傾向にあることが課題
 日本の統計では、デザイン領域(グラフィック、インテリア等)別に年収を把握することはできな
いが、グラフィックデザイン領域の売上比率が大きいことを受け、米英のグラフィックデザイナー
の年収水準と比較すると、おおよそ同水準になることが分かる。
 一方、日本のデザイナーの年収水準は近年、円建てのみならずドル換算においても減少傾向にある
ことが課題となっている。
日・米・英のデザイナーの平均的年収の推移
資料:日本)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、
米国)Bureau of Labor Statistics, “Occupational Employment Statistics”(平均年収)、
英国)Office for National Statistics, “Annual Survey of Hours and Earnings”(平均年収)を基に作成
為替レートは、OECDが公表する年平均値を使用
186
5 デザイナーの経営参画状況
経営に参画するデザイナーの数は、徐々に増加している
 経営に参画しているデザイナーとしては、デザイン事務所の経営者及びデザイナーに出自を持つ経
営者(「雇入のある業主」)、経営層(「役員」)、フリーランス(「雇入れのない業主」)等が挙げられる。
 経営者は2000年から10年にかけて徐々に減少。この間、デザイン事業所の減少したこと等が背景
にあると思われる。一方、役員はこの間徐々に増加、フリーランスも2005年から10年にかけて急
速に増加している。
 三者の合計は、2000年:55,962人、05年:56,621人、10年62,910人と増加基調にある。
「職業:デザイナー」かつ「従業上の地位:経営者、経営層、フリーランス」の従業者数の推移
資料:総務省統計局「国勢調査」
187
6 教育機関によるデザイナー育成・就職状況 ①学生数の推移
学生数は4.2万人超の水準で推移
 教育機関(大学院、大学、短大、高専、専門学校、通信教育等)でデザインの教育を受けている学
生数は、近年、約42,000人/年の水準で推移している。その数は学生総数の1%強となっている。
 教育機関別には、専門学校が全体の5割、大学が4割を占めている(2014年)。
デザイン関係学科・専攻の学生数(左軸)及び学生総数に占めるデザイン関係学科・専攻学生数の比率(右軸)の推移
(大学院、大学、短大、高専、専門学校、通信教育)
資料:文部科学省「学校基本調査」を基に作成
【用語説明】専門学校
学校基本法第百二十四条によって設立された専修学校のうち専門課程を有する学校を指す。
188
6 教育機関によるデザイナー育成・就職状況 ②学生の構成
学生の男女比率は1:2
 デザイン教育を受けている学生の約2/3は女性となっている。
 教育機関別にみると、学生数が多い大学、専門学校において6~7割を女性が占めている。
 前述の通り、デザイナー職に就いている方の男女比率は57:43であることから、デザイン教育を
受けてもデザイナー職に就かない層が女性を中心に少なくないことが示唆される。
デザイン関係学科・専攻の学生の男女比率
(左:全体、右:教育機関別、2014年)
資料:文部科学省「学校基本調査」(H26)
189
6 教育機関によるデザイナー育成・就職状況 ③入学者数の推移
毎年約1万5千人の入学生を迎える
 デザイン関係学科・専攻に入学してくる学生数は、近年、約15,000人/年前後で微減傾向で推移
している。その数は入学者総数の1.4%前後となっている。
 専門学校への入学生が約2/3、大学が約3割を占める。
デザイン関係学科・専攻への入学者数(左軸)及び入学者総数に占めるデザイン関係学科・専攻入学者数の比率
(右軸)の推移 (大学院、大学、短大、高専、専門学校、通信教育)
資料:文部科学省「学校基本調査」を基に作成
190
6 教育機関によるデザイナー育成・就職状況 ④卒業・修了者数の推移と就職状況
毎年1.2~1.5万人の卒業・修了者を輩出
 デザイン関係学科・専攻を卒業・修了する学生数は、近年、約12,000~15,000人/年程度で推移
している。その数は卒業・修了者総数の1.4%前後となっている。
 卒業・修了者の進路としては、就職が約2/3、進学が1割弱。就職する者は、正規職員としての採
用が多くなっている。
デザイン関係学科・専攻を卒業・修了した学生数の推移
(大学院、大学、短大、高専、専門学校)
デザイン関係学科・専攻を卒業・修了した学生の進路
(大学、短大、高専、2014年)
資料:文部科学省「学校基本調査」を基に作成
191
7 デザイン賞の受賞状況
国内デザイン賞の受賞数は増加基調で推移
 過去10年間程度の国内デザイン賞の受賞数を見ると、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞ともに、
増加基調で推移している。
グッドデザイン賞の受賞数及び日本の受賞数の推移
資料:グッドデザイン賞HPの「受賞対象一覧」サイトを基に作成
キッズデザイン賞の受賞数の推移
資料:キッズデザイン賞HPの「受賞作品検索」サイトを基に作成
【参考】数値取得条件
グッドデザイン賞:同賞ホームページの「受賞対象一覧」サイトから各年度の受賞件数総数と「国籍:日本」の受賞件数を検索。
キッズデザイン賞:同賞ホームページの「受賞作品検索」サイトから各年度の受賞件数総数を検索。
192
7 デザイン賞の受賞状況
国際デザイン賞へのエントリー件数は着実に増加、日本勢による受賞数も増えている
 過去10年間程度の国際デザイン賞のエントリー状況を見ると、ドイツのiF design賞、香港の
Design for Asia賞ともに増加基調にあることがうかがえる(DFA賞は2015年に急減が減少してい
るが、これは香港民主化デモの影響と思われる)。
 その中で日本の企業・個人による受賞数も堅調に増加していると言える。
iF design賞(ドイツ)のエントリー数(左軸)及び
日本の受賞数(右軸)の推移
※iF Design賞受賞者の中から特に優秀な者に対してIF Gold Awardが授与される。
※応募担当の支社が海外の場合、日本からのエントリー、受賞にカウントされない。
資料:iF Design Award日本事務局データを基に作成
Design for Asia賞(香港)の受賞数及び
日本の受賞数の推移
※2015年の受賞総数186点には新設した「DFAファイナリ
スト」15点が含まれる。
資料:Design for Asia Awards HP「Winners」サイトを基に作成
【参考】数値取得条件
iF賞:エントリー総数は、同賞ホームページから検索。
Design for Asia賞:同賞ホームページの「Winners」サイトから各年度の受賞件数総数をカウント。日本企業の受賞数は、受賞リストの
「Designers/Clients」から日本企業名を抽出・カウントした。
193
7 デザイン賞の受賞状況
 ドイツのReddot design賞の受賞件数は、2011年以降、コミュニケーションデザイン部門やデザ
インコンセプト部門を追加することで急速に増加している。
Reddot design賞(ドイツ)の受賞件数の推移
資料:Reddot design award HPの「Red Dot winners」サイトを基に作成
【参考】数値取得条件
Reddot Design賞:同賞ホームページの「Red Dot Winners」サイトから各年度の受賞件数総数を検索。
194
付属資料
195
付-1 統計データ集
196
データ集
※【 】内はグラフが掲載されているページ・箇所を表す。
デザイン業の事業所数の推移(単位:件) 【p.165】
資料:総務省統計局「事業所・企業統計調査」(H16、18)、総務省「経済センサス-基礎調査」(H21、26)、総務省「経済センサス-活動調査」(H24)
従業者規模別、事業所数(2014年、単位:件、%)
【p.166左図】
売上高規模別、事業所数(2014年、単位:件、%)
売上高規模
1千万円未満
1千万円以上3千万円未満
3千万円以上1億円未満
1億円以上10億円未満
10億円以上
計
【p.166右図】
事業所数
比率
3,321 40.7%
2,292 28.1%
1,829 22.4%
708
8.7%
11
0.1%
8,161 100.0%
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
デザイン業の年間売上高の推移(単位:百万円) 【p.168】
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H21、22、25、26)、総務省統計局「経済センサス活動調査」(H24)
197
データ集
従業者規模別、年間売上高
(2014年、単位:百万円、%)
【p.169左図】
業務種類別、年間売上高
(2014年、単位:百万円、%)
【p.169右図】
業務別、年間売上高
(2014年、単位:百万円、%)
【p.169中図】
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H26)
日・米・英のデザイン業の経済規模
(単位:百万ドル) 【p.171】
資料:日本)経済産業省「特定サービス産業実態調査」(2014)、
米国)U.S.Census Bureau, “Statistics of U.S. Businesses”(2012)、
英国)Office for National Statistics, “Annual Business Survey”(2012) を基に作成
為替レートは、OECDが公表する年平均値を使用
198
データ集
デザイン業の年間売上高、営業費用及び営業利益率の推移(単位:百万円、%)【p.172】
資料:経済産業省「特定サービス産業実態調査」(H21、22、25、26)、総務省統計局「経済センサス活動調査」(H24)を基に作成
デザイナー数の推移(単位:人) 【p.173】
年齢階層別、デザイナー数の比率
(2010年、単位:人、% ) 【p.174右図】
資料:総務省統計局「国勢調査」
性別、デザイナー数の比率
(2010年、単位:人、%)【p.174左図】
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
199
データ集
性別・年齢層別、デザイナー数
(2010年、単位:人 ) 【p.175】
従業上の地位別、デザイナー数
(2010年、単位:人、%) 【p.177左図】
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
従業者規模別、デザイン業における従業者数
(2014年、単位:人、%) 【p.177右図】
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
資料:総務省「経済センサス」(H26)
200
データ集
インハウス/フリーランス別、デザイナー数の比率
(2010年、単位:人、%) 【p.178】
資料:総務省統計局「国勢調査」(H22)
デザイナーの月間労働時間数の推移(単位:時間)
【p.180】
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
性別、デザイナーの月間労働時間数
企業規模別、デザイナーの月間労働時間数
(2014年、単位:時間)【p.181左図】 (2014年、単位:時間)【p.181右図】
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
201
データ集
性別・年齢層別デザイナーの月間労働時間数(2014年、単位:時間) 【p.182】
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
デザイナーの年収の推移(単位:千円) 【p.183】
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を基に作成
202
データ集
性別、デザイナーの年収
(2014年、単位:千円)【p.184左図】
企業規模別、デザイナーの年収
(2014年、単位:千円)【p.184右図】
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
性別・年齢層別デザイナーの年収(2014年、単位:千円)
【p.185】
資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(H26)
203
データ集
「職業:デザイナー」かつ「従業上の地位:経営者、経営層、フリーランス」の従業者数の推移(単位:人)
【p.187】
資料:総務省統計局「国勢調査」
デザイン関係学科・専攻の学生数及び学生総数に占めるデザイン関係学科・専攻学生数の比率の推移
(大学院、大学、短大、高専、専門学校、通信教育、単位:人) 【p.188】
資料:文部科学省「学校基本調査」を基に作成
204
データ集
デザイン関係学科・専攻の学生の男女比率(2014年、単位:人)
【p.189左・右図】
資料:文部科学省「学校基本調査」(H26)
デザイン関係学科・専攻への入学者数及び入学者総数に占めるデザイン関係学科・専攻入学者数の比率の推移
(大学院、大学、短大、高専、専門学校、通信教育、単位:人)
【p.190】
資料:文部科学省「学校基本調査」を基に作成
205
データ集
デザイン関係学科・専攻を卒業・修了者数及び卒業・修了者総数に占めるデザイン関係学科・専攻の卒業・修了者
数の比率の推移(大学院、大学、短大、高専、専門学校、単位:人)
【p.191左図】
資料:文部科学省「学校基本調査」を基に作成
デザイン関係学科・専攻を卒業・修了した学生の進路(大学、短大、高専、2014年、単位:人) 【p.191右図】
資料:文部科学省「学校基本調査」(H26)
206
データ集
グッドデザイン賞の受賞件数の推移(単位:件) 【p.192左図】
資料:グッドデザイン賞HP「受賞対象一覧」サイトを基に作成
キッズデザイン賞の受賞件数の推移(単位:件) 【p.192右図】
資料:キッズデザイン賞HP「受賞作品検索」サイトを基に作成
iF design賞(ドイツ)のエントリー数及び日本の受賞数の推移(単位:件) 【p.193左図】
資料:iF Design Award日本事務局データを基に作成
Design for Asia賞(香港)の受賞数及び日本の受賞数の推移(単位:件) 【p.193右図】
資料:Design for Asia Awards HP「Winners」サイトを基に作成
207
データ集
Reddot design賞(ドイツ)の受賞件数の推移(単位:件) 【p.194】
資料:Reddot design award HPの「Red Dot Winners」サイトを基に作成
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付-2 アンケート調査票
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アンケート調査票
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アンケート調査票
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アンケート調査票
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アンケート調査票
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アンケート調査票
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アンケート調査票
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