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末期がんを有する高齢者と家族の在宅支援 【事例の概要】

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末期がんを有する高齢者と家族の在宅支援 【事例の概要】
末期がんを有する高齢者と家族の在宅支援
【事例の概要】
I病院・医療相談室・MSWより相談依頼。
食道癌の治療後、体力低下により遠方への一人での外出は難しいものの、自宅内でのADL
や日常生活は問題なく行えていた。
2ヶ月前に肺炎にて入院。体力が著しく低下,ADL面でも介助が必要となった。癌性疼痛
も発生し、医療用麻薬製剤使用。入院中は酸素・2ℓ/24h使用。(
医師からは、転移が広がっており、今後積極的な治療は困難であると判断。
医師、本人や家族で今後の療養方針について検討した結果、最期は家族や愛犬と一緒に自宅
で過ごしたいとの希望から、在宅での受け入れ準備ができ次第退院ということになったた
め、介護サービス計画の作成をお願いしたい。
尚、要介護認定申請済で、要介護 4 と認定されている。
退院後も在宅酸素が必要となるが、業者への手配等については病院側で対応する。また、退
院後は自宅近所の往診可能な開業医へお願いすることになるとのことだった。
アセスメント概要
基本情報に関する項目
標準項目名
基本情報
項目の主な内容
初回受付日
平成 26 年 3 月 5 日
受付者
Y居宅介護支援事業所
氏名(性別)
磐井
竹山
一郎
生年月日(年齢) 昭和○○年○○月○○日
住所
B県E市H町
その他
高齢者世帯(妻との 2 人暮らし)
生活歴
現在地にて、4 人兄弟の長男として出生。高校卒業後、電気関
係の会社に入社(60 歳まで勤務)。
27 歳の時に結婚。1 男 1 女をもうける。長男は市内在住(自
宅から車で 20 分位)。長女は県内K市在住。現在は妻(75 歳)
との 2 人暮らし。
定年後は近所の友人たちとグランドゴルフを楽しんでいた。ま
た弟妹との交流も頻回で弟妹家族と国内旅行や日帰りで温泉
生活状況
に行ったり、盆、正月等には自宅に集まったりと楽しんでいた。
趣味はグランドゴルフのほかにテレビでの野球観戦や愛犬と
の散歩を日課にしていた。
家族状況
□
□
○
利用者の
後期高齢者医療保険
被保険者情報
国民年金・厚生年金(月 15 万程度)
現在 利用しているサ
ービスの状況
障害高齢者の
日常生活自立度
認知 症である高齢者
の日常生活自立度
○
□
○
□
○
○
○
□
○
○
なし
C1
自立
初回の相談者等
I病院・医療相談室MSW(主治医からの指示、本人・家族了解済)
主訴
相談内容
ターミナル患者の退院後の在宅生活の調整
本人・家族の要望
本人:できれば最期は自宅で家族や愛犬と一緒に生活したい。
ただ、家族の負担が大きくなるのは申し訳ない。
妻 :酸素や痛み止めが必要な状態で自宅で介護できるのか不
安。でも、お父さんが家へ帰りたいという気持ちもわか
る…。
長男・長女:本人の自宅で過ごしたい。という希望を叶えてあ
げたい。母の不安もわかるが、利用できるサービ
スを使いながら、自分たちも協力していきたい。
認定情報
要介護 4(認定日:平成 26 年 2 月 25 日)
有効期間:平成 26 年 2 月 1 日∼平成 27 年 1 月 31 日
課題分析
(アセスメント)理由
退院後の在宅サービス利用のため(新規・ターミナル)
課題分析(アセスメント)に関する項目
標準項目名
健康状態
項目の主な内容
病名
食道がん
肺転移
既往・病歴等
平成 25 年 2 月頃∼
食事の際に食道のつかえ感が出現
し、自宅近所の開業医を受診。紹介
された I 病院にて、食道癌と診断され
る。
平成 25 年 3∼4 月
外科的手術の適応が難しい状態であ
ると説明を受け、化学療法施行。癌
の縮小、食道のつかえ感消失。反
面、歩行など ADL 面では問題はなか
ったが、体力の著しい低下がみら
れ、遠方や長時間の外出はできなく
なった。
平成 26 年 1 月
肺炎にて、I 病院入院。肺炎治療を行
っていたが、検査実施にて、肺への
がん転移を確認。SPO2 も低く酸素
開始。
平成 26 年
2月
転移が広がっており、今後積極的な治
療は困難であると診断。医師・本人・
家族とで、今後の療養方針について検
討した結果、自宅に戻り療養すること
となる。この頃から癌性疼痛の出現
頻度が多くなり、痛み止めの)種類
を医療用麻薬製剤へ変更。
主治医
I 病院
福山医師
退院後は自宅近所の往診可能な A 医院の吹石医師へ変更予定
ADL
癌性疼痛により、ADL 全体に時間がかかるようになっている。
寝返り:自立
起き上がり:
ベッド柵につかまり、時間をかけて実施
〃
〃
するが、時間がかかる
ため、最近は電動ベッドを自分で操作し、起き上がっている。
座位:短時間なら端座位可能だが、疲れるため背もたれが必要
移乗:手すりなどにつかまり可能だが、ふらつきがあるため見守りや体を支え
るなどを要する。
歩行:支えてもらえば2∼3mは可能だが、普段は車椅子を使用。体力低下が
あり移動時は介助を要する。
更衣:準備してもらい、時間をかけ自分で着替える。
入浴:入院してからは清拭のみの対応。機械浴実施予定。
食事:準備してもらえば、食事摂取動作は自立。食事摂取量は減少している。
排泄:洋式トイレ使用にて自立
IADL
調理・掃除・洗濯:元来妻が対応している
買い物:以前は妻と一緒に近所に買い物に行くこともあったが、現在は外出困
難なため、妻や長男の妻へ依頼。
金銭管理:妻と長男の妻が実施しているが、収支の把握はできている。
服薬管理:入院中は看護師管理にて、毎食後に準備してもらい自分で飲んでい
る。痛みどめが医療用麻薬製剤に変更になったため、退院後も家族
管理が必要
認知
特になし
コミュ二ケ=ション 会話可能で特に大きな支障はないが、痛みが強くなってからは、本人からの話
能力
しかけや言葉数は減っている。
社会との関わり
癌発病前は、近所の友人等と交流もあったが、現在は家族との関わりのみ。
市内在住の長男夫婦は 1/w程度。長女や弟妹は1/月は自宅に訪問。
入院中は、長男夫婦や長女、弟妹たちも頻回に面会に来ている。
排泄・排便
排尿・排便とも室内にある洋式トイレを使用。ただ、トイレまでの移動時に見
守り、介助が必要。
縟瘡・皮膚の問題
現在は特に問題はないが、体重減少もあり、今後全身状態の変化により縟瘡等
のリスクは高い。
口腔衛生
上下とも自歯。虫歯、欠損はなし。朝・夕、歯磨きを自分で実施
食事摂取
準備してもらえば、食事摂取動作は自立。食事摂取量は減少している。
粥食など柔らかいものを摂取するように指導されたが、普通の米飯を好む。
医師は本人の好むものを摂取してよいと話される。
問題行動
特になし
介護力
主介護者は妻。現在のところ治療が必要な疾病はなし。本人の病気の進行に対
する不安はあるものの、介護に対しては積極的。
長男は会社員で、出張が多く、不在がちだが、協力的。
長男の妻はパートで仕事を持っているが、家事全般や買い物等協力している。
長女は市外在住で就労しているため、休日などに訪問している。
孫達は、社会人と学生で自宅から離れて生活。時々、電話で本人と話している。
居住環境
閑静な住宅街の一戸建て住居。数年前にリフォームし、室内はバリアフリー化
されており、トイレ、浴室にも段差なく手すりも設置されている。玄関先から
外へ出るためには3段ほどの階段があり、手すりもついている。
本人居室はリビング脇の8畳ほどの洋室でベッド使用。庭に面しており、日当
たりも良好
特別な状況
癌末期でターミナル期(医師からはお盆まで持つかどうか…といわれている)
告知は本人・家族もすべて受けているため、本人の意思を優先する。
疼痛の出現回数が増加し、ADL やコミュ二ケーション等に影響が出てきてい
る。
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