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PE-2-5B

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PE-2-5B
PE-2-5B
過去の経験人数や年数がコミュニケーション支援者の精神機能に与える影響
The influence of past experience on the mental function of supporters for the
patients with neurodegenerative disease
森脇繁登 (OT)
島根大学医学部附属病院リハビリテーション部
Key words: 神経難病,STAI,健康関連QOL
【はじめに】
近年,作業療法士(以下,OT)が神経難病患者に対するコミュニケーション支援を行うことが増えて
いる.しかし,その人材が十分ではなく,様々な職種が手探りで支援しており,難渋することも少なくな
い.神経難病患者にとってコミュニケーションは,病気の進行とともに生活の中での重要性が高まり,生
活を支援する医療,福祉のスタッフは様々な葛藤を抱きながら患者の切なる想いを聞いている.このよ
うな状況の中で,支援者の精神的負担は強いことが予想される.本研究の目的は,コミュニケーション支
援に関わる支援者の精神機能について,過去の経験などの影響を踏まえて明らかにすることである.
【方法】
対象は,2014年4月~2016年12月に島根県で行われた神経難病患者に対するコミュニケーション支
援に関する研修会に参加した114名(男35名 女性79名)である.調査内容は,対象者の基本情報(性,
年齢,主な資格,介入する主な疾患,現在介入の有無,過去の経験年数,経験人数,これまでの最長介入期
間)とState-Trait Anxiety Inventory(以下,STAI)および健康関連QOL Short-Form 8(以下,SF-8)
である.倫理的配慮として,対象者には口頭にて十分に説明を行い同意を得た上で行った.統計解析
は,STAI及びSF-8を経験年数,経験人数,最長期間別に一元配置分散分析にて検討した.なお,STAIとSF-8
はそれぞれの下位尺度別に検討した.統計解析は,SPSS Statistics Ver.23 for Windowsを用いて,危険
率5%未満を有意水準とした.
【結果】
解析は,データ欠損を除いた67名(男性12名 女性55名)を対象とし,解析対象者の平均年齢は,44.2
±11.1歳であった.人数分布は,経験年数では10~20年,経験人数は10人未満,これまでの最長介入期
間では1~2年が最も多かった.STAIおよびSF-8は,経験年数と経験人数のそれぞれの群間に有意差は
認めなかったが,最長介入期間においては,SF-8のRE(P<0.01),MH(P=0.04),MCS(P<0.01)
で介入期間が長いほど有意に高い傾向を示した.
【考察】
神経難病患者におけるコミュニケーション支援において,IT機器などを活用した技術支援は,対象者の
想いを聞くために作業療法士等による専門的な支援が重要である.その一方で,日々対象者の切なる想
いを聞く支援者の精神状態も,充実したコミュニケーション支援を行うためには十分に配慮しなければ
ならない.本研究結果より,支援を行う中で一人の神経難病患者に長い期間をかけて介入した経験のあ
る支援者は,精神面における健康関連QOLが高いことが明らかとなった.神経難病における病状の進
行は様々であるが,長い期間介入することは各病期における支援を経験することになる.つまり,各病期
を経験した支援者は,患者のコミュニケーションを含めた今後の生活を想像することが可能となり,支
援におけるゆとりが生まれる.そのゆとりは,支援者の精神的負担の軽減となり,SF-8の中でも精神関連
の項目であるRE,MH,MCSの得点に反映されたのではないかと考える.
本研究のように支援者を対象とした研究は,これまで皆無であり,今後のコミュニケーション支援の在
り方に示唆を与えることができる.引き続き,症例数を増やしながら,より詳細に期間等を区分するなど
して,解析の精度を高めていきたい.
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