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永久磁石インバータモータ駆動スクリュ空気圧縮機
〔日本機械工業連合会会長賞〕 永久磁石 インバータモータ駆動 スクリュ空気圧縮機 株式 会社神戸 製鋼 所 神戸市中央区 1.機 器 の概要 空気 圧縮 機 は大気 を吸 い込 み 、所定 の圧 力 まで昇圧 した圧縮空気 を吐出 す る機 械 であ り、 この圧縮空 気 は、 1次 、 3次 産業 を含 む全産 業 で 、制御 、原料輸送用、 動力用、吹 き付 け用 な どあ らゆる分野 で使用 されて い る。 また、油分 を含 まない 圧縮空 気 を吐出で きるオイル フ リー圧縮 機 も食品、医療 、 繊維、電子部品、半導体 な どの 分野 で も幅広 く使用 されて い る。 圧縮空気 を作 り出す には電 気 (モ ー タ)を 動力源 と した ス クリュ型、ター ボ型 、 レシプ ロ型 の圧縮 機 が主 に使用 され、 これ らの圧縮 機 は産業界各事業所 の全消 費 電力 の約 10∼ 30%を 占め る とい われてい る。 近年、環境 問題 と して省 エ ネ法 の施行 、地球温暖化防止 (C02削 減 )、 産業廃棄 物 の削減 の 関心が高 ま り、企業環境 で もこの要求 に応 え うる圧 縮機が必要不可欠 となって きた。 この よ うな背景か ら、消 費電力 の削減、不必要空気排 出量 の削減 、環境 へ の 配 慮 (油 分排 出 の削減 )を 目的 と し、経 済性 に優 れた永久磁石 イ ンバ ー タモ ー タ駆 動 のス クリュ圧縮機 を開発 し、実用化 した。 図 1 ,由 入 り圧縮機 外観 図 2 オイル フ リー圧縮機外観 - 28 - 2.機 器 の技術的特徴 お よび効果 2.1 技術 的特徴 圧縮機 にお い てモ ー タは直接電力 を消費す る駆動源 であ り、圧縮機 の効率 を直 接左右す る。従来 よ リモー タの中で もと くに永久磁 石式 モー タは、機構上 回転子 に電気損失 が発生 せ ず 、高効率 モ ー タとして注 目されてお リエ レベ ー タ、巻 上 げ 機 、電気 自動車等 で使用 されてい る。 しか しなが ら、圧縮機分野 で は永久磁石式 モー タが非常 に高価 で あ る ことや、同期 を得 るための位置 セ ンサ (パ ルス ジ ェ ネ レー タ)部 の信頼性確保 が困難であ ることな どか ら、圧縮機 に適用 された事例 は ない。 一 方 、回転数制御 による圧縮 機 の省 エ ネルギ とい う観点 で は、誘導 モー タをイ ンバ ー タ駆動 す る とい う方式 で数 多 くの圧 縮機 メ ー カが実施 して い るが 、回転数 低下時 (低 負荷時 )の モ ー タ効率 の低下 (=発 熱 )お よび冷却効率 の低下 (=発 熱 )に よ り 30%程 度 まで の減速 しか実現 で きなか った。 当装置 で は永久磁石同期 モ ー タの冷却効率 と共 に、圧縮機 パ ッケ ー ジ全 体 での 冷却効率 を向 上 させ た ことによ り、 20%ま での低負荷 (低 回転数 )で の運転 を 可能 と し、平均負荷状態 で 34%(当 社 ON/OFF機 比 )の 消費電力削減 を達成 す る と共 に、30%以 下 の低負荷領 域 で は 50%も の省 エ ネルギ ー を達成 した。(誘 導電動機仕様機 比 ) これ らの 運転効率 お よび冷却効率 の 向上 に よ り電動機 の小型化 を実現 し、永久 磁 石 同期電動機 ゆえの価格 上 昇 を抑 え、誘導電動機 の イ ンバ ー タ ドライブ と同 レ ベ ルの価格 を実現 して い る。 本 圧縮 機 では低消費電力 以外 に も環境 。安全性 に配慮 した設計 な ど様 々 な特徴 を持 つ 。 以下 に市場 で好評 を得 て い る特徴 の一 部 を紹介す る。 ・ 油分離器 内 に凝縮水 ドレ ンが溜 まらない 強制 自動水分乾燥 運転方法 を実現す る ことに よ り、低負荷連続運転 を可能 とし、 ドレ ン排 出 による圧縮 エ アの排 出 とそれ に伴 う外部 へ の油 の排 出 も抑 えた。 ・圧縮効率 の 良 い オイル フリー 2段 式 圧縮機 に も当方式 を採用、国内初 で実現 した。 - 29 - 回転子が熱 を持 たない ためモ ー タベ ア リ ング寿命 が従来比倍 とな り、温度低 下 によ リグ リース 、 モ ー タ コ イルの信頼性 も高 まった。 潤滑油 中の ドレン水 を 自動排 除す る機構 に よ り、機械 の発錆 を防 ぎ部品 の信 頼性 を向上 させ 、安定的 に長期 間 の運転 に耐 え うる よ うにな った。 制御基盤部 に耐塵、耐湿 のための耐湿 コー テ イ ングを行 い 、耐塵厚膜 ワニ ス コー テ ィ ングを標準装備 し、 グス トフィル タを装着 した強制換 気構造 を採 用 し耐 環境安全性 を強 化 した。 イ ンバ ー タ電源 か らの 高調波 による電 源 トラ ンス な どへ の影響 を避 けるた め DCリ アク トル を内蔵標準装備 した。 オイル フ リー 2段 式圧縮機 で は環境 へ 油分、油煙が出 に くい大気 開放穴 2箇 所 の特 許機構 を採 用、 か つ完全 に油 分除去 を可 能 とす る静電吸着分離形 の 油 煙分離装置 を開発 した。 2.2 効果 当装 置で は、従来 の機種 にイ ンバ ー タを付加す る必要があ るためにイニ シャル コス トとい う面 では高 くな るが 、誘導電動機 の 回転 数制御機種 なみ の低価 格化 を 実現 し、 さらに運転効率 の 高 さか ら、 イニ シャル コス トは早期 に回収 で きる。 一般的 に圧 力変動 による容量制御 で は負荷側 で必要 な圧力 で圧 縮機が圧送 を行 い 、必要圧力 +lk程 度 で圧 送 を 中止す る。 これ に対 し当装置 を使用 した場合 、 一定 圧 力制御 が可能 となるため 、圧縮機 の 吐出圧力 を必要圧力 まで低下 させ る こ とで 、余 分 な圧力上昇 (=消 費電力 が大 き くな る)を 抑 える こ とが可能 となる。 圧縮 機設備 は一 般 に複数台数 の圧 縮機 を併設す る場 合 が 多 く、当装置 をそ の圧 縮機設備 の 中 に 1台 加 える こ とで 、そ の他 の圧 縮機 の吐出圧力 も一 定 とす るこ と が可 能 となる。 つ ま り、当装置 だ けで はな く圧縮機設備全体 の消費電力 を下 げ る ことが可能 となる。 一般 的 な ス クリュ圧縮機 で吐 出圧力 を lk低 下 させ る と、消費電力 は約 6%低 下す る。当装置 の設置 は負荷圧力 を一 定 に保 つ ことを可能 と し、圧縮機総 出力 × 0.06/kg/cm2G× 設置台数 の消費電力 が 省 エ ネ となる。 この定圧制御 を可 能 とす る ―- 30 -― こ とは、設置す る圧縮 機 1台 以上 の大 きな効果 を及 ぼす。 また、 一 定 圧 力制御 を行 い運転圧力 を低 下 させ る ことは、単純 な消 費電力 の削 減 だ けで な く、負荷 の消費量 自体 を減少 させ る効果 もある。 以下 に当装置 にて得 られた省 エ ネ (消 費電力 )効 果 の比較表 を示す。 表 1 75kW当 装置 と従来標準機 での経済性比較 (負 荷率 70%、 電気料 金 :15円 /kwh) 年 間 ラ ンニ ング コス ト (3千 時 間/年 当装置 差異 ¥3,338,500 ¥2,201,000 ¥1,137,500 34.1% ¥6,677,000 ¥4,402,000 ¥2,275,000 34.10/0 ) 年 間 ラ ンニ ング コス ト (6千 時 間/年 消費電力削減率 従来 (ON/OFF)機 ) 次 に、当装置 の大 きな特徴 である永久磁石同期電動機 と誘導電動機 との省エ ネ 効果 の対比 を示す。条件 は上記同様負荷率 70%で の運転 とした。 表 2 75kW当 装置 と従来回転数制御機 の経済性比較 (負 荷率 70%、 電気料金 :15円 /kwh) 誘導機 十 インバー タ 年 間 ラ ンニ ング コス ト (3千 時 間 /年 差異 ¥2,568,000 ¥2,201,000 ¥367,000 14.3% 136,000 ¥4,402,000 ¥734,000 14.3% ) 年 間 ラ ンニ ング コス ト (6千 時 間/年 消費電力削減率 当装置 ¥5、 ) 3.用 途 1999年 11月 の 出荷 開始 以降、市場 での評価 も高 く販売台数 は増加 を続 け、 工 場動力用 をは じめ として あ らゆる分野 で使用 され ている。 -31-